以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の外観を示す概略図である。図2は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
図1および図2を参照して、デジタル複合機11は、デジタル複合機11全体の制御を行う第一および第二の制御部としての制御部12と、デジタル複合機11側から発信する情報やユーザーの入力内容を表示する表示画面21を含み、印刷部数や階調性等の画像形成の条件や電源のオンまたはオフを入力させる操作部13と、セットされた原稿を自動的に読み取り部へ搬送するADF(Auto Document Feeder)22を含み、原稿の画像を読み取る画像読み取り部14と、手差しで用紙をセットする手差しトレイ28や給紙カセット群29として複数枚の用紙を収納可能な給紙カセット23a、23b、23cを含み、画像を形成する用紙をセットする用紙セット部19と、読み取った画像やネットワーク25を介して送信された画像データを基に画像を形成する画像形成部15と、送信された画像データや入力された画像形成条件等の格納を行うハードディスク16と、公衆回線24に接続されており、ファクシミリ送信やファクシミリ受信を行うファクシミリ通信部17と、ネットワーク25と接続するためのネットワークインターフェース部18とを備える。なお、デジタル複合機11は、画像データの書き出しや読み出しを行うDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を備えるが、これらについては、図示および説明を省略する。また、図2中の矢印は、制御信号や制御、画像に関するデータの流れを示している。
デジタル複合機11は、画像読み取り部14により読み取られた原稿を用いて画像形成部15において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機11は、ネットワークインターフェース部18を通じて、ネットワーク25に接続されたコンピューター26a、26b、26cから送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成して用紙に印刷することにより、プリンターとして作動する。すなわち、画像形成部15は、要求された画像を印刷する印刷部として作動する。デジタル複合機11は、ファクシミリ通信部17を通じて、公衆回線24から送信された画像データを用いて、DRAMを介して画像形成部15において画像を形成することにより、また、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを、ファクシミリ通信部17を通じて公衆回線24に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。デジタル複合機11は、画像処理に関し、複写機能、プリンター機能、ファクシミリ機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、詳細に設定可能な機能を有する。
この発明の一実施形態に係るデジタル複合機11を含む画像形成システム27は、上記した構成のデジタル複合機11と、ネットワーク25を介してデジタル複合機11に接続される複数のコンピューター26a、26b、26cとを備える。この実施形態においては、複数のコンピューター26a〜26cについては、3台示している。各コンピューター26a〜26cはそれぞれ、デジタル複合機11に対して、ネットワーク25を介して印刷要求を行って印刷をすることができる。デジタル複合機11とコンピューター26a〜26cとは、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いて有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよく、ネットワーク25内には、他のデジタル複合機やサーバーが接続されている構成でもよい。
次に、デジタル複合機11に備えられる画像形成部15の構成について、さらに詳細に説明する。図3は、デジタル複合機11に備えられる画像形成部15の概略的な構成を示す概略断面図である。なお、理解の容易の観点から、図3において、部材のハッチングを省略する。また、図3は、上下方向に延びる平面でデジタル複合機11を切断した場合の断面図である。
図3を参照して、画像形成部15は、現像器33と、LSU(Laser Scanner Unit)34と、中間転写体としての転写ベルト35と、四つの一次転写ローラー36a、36b、36c、36dを含む一次転写ユニット37と、四つの一次転写ローラー36a、36b、36c、36dにそれぞれバイアスを印加する第一のバイアス印加部44aと、二次転写ローラー38と、二次転写ローラー38にバイアスを印加する第二のバイアス印加部44bと、プレブラシ39と、プレブラシ39にバイアスを印加するプレブラシバイアス印加部44cと、クリーニングブラシ61と、回収ローラー62と、回収ローラーバイアス印加分44dと、クリーニングブレード40と、トナー量検知センサー46とを含む。LSU34については、一点鎖線で概略的に示している。トナー量検知センサー46については、二点鎖線で概略的に示している。なお、デジタル複合機11は、いわゆる四連タンデム形式の画像形成部15を備えることとなる。
現像器33は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各4色に対応する四つの感光体31a、31b、31c、31d、および四つの現像ユニット32a、32b、32c、32dを備える。図3において、現像ユニット32a〜32dについては、概略的に示している。
LSU34は、画像読み取り部14によって読み取った画像を基に、四つの感光体31a〜31dにそれぞれ露光する。露光された各色の成分の光を基に、感光体31a〜31dに静電潜像が形成される。感光体31a〜31dに形成された静電潜像に現像ユニット32a〜32dからそれぞれ各色のトナーを供給する。トナーは、現像ユニット32a〜32d内において撹拌されており、例えば、プラスの電荷を帯びるよう帯電している。この帯電したトナーを感光体31a〜31dに供給して、感光体31a〜31d上にトナーによる可視画像を形成する。このようにして感光体31a〜31d上に形成されたトナーによる可視画像は、転写ベルト35に一次転写される。
転写ベルト35は、無端状である。転写ベルト35は、駆動ローラー41a、および従動ローラー41bによって一方方向に回転する。転写ベルト35の回転方向は、図3中の矢印D1で示される。すなわち、転写ベルト35の回転方向については、感光体31a〜31dが設けられている下方領域においては、左側から右側に向かう方向、プレブラシ39が設けられている上方領域においては、右側から左側に向かう方向である。転写ベルト35の回転方向において、現像ユニット32a〜32dのうち、イエローの現像ユニット32aが最も上流側に配置されており、ブラックの現像ユニット32dが最も下流側に配置されている。なお、転写ベルト35は、上流側から下流側に向かって回転するものとする。
転写ベルト35は、いわゆる積層型であって、薄肉の弾性ベルトである。具体的には、素材として弾性を有し、厚みが約200μm(マイクロメートル)のゴムベルトの表面側に約2〜3μmの厚みの樹脂を被覆し、裏面側に約100μmの厚みを被覆したものが転写ベルト35として用いられる。
四つの一次転写ローラー36a〜36dはそれぞれ、転写ベルト35を介して各色の感光体31a〜31dに対向する位置に配置される。一次転写ユニット37によって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像ユニット32a〜32dにより形成されたトナーによる可視画像が転写ベルト35に一次転写される。具体的には、第一のバイアス印加部44aにより、一次転写ローラー36a〜36dのそれぞれにバイアスを印加することによって、現像ユニット32a〜32dにより感光体31a〜31d上に形成されたトナーによる可視画像が、転写ベルト35の表面42に一次転写される。この時に、各色の画像が転写ベルト35に重ねられて、転写ベルト35上にフルカラーの画像が形成される。
二次転写ローラー38は、転写ベルト35を介して、従動ローラー41bと対向する位置に設けられる。二次転写ローラー38としては、具体的には、例えば、導電性を有する発泡ゴムローラーが用いられる。
画像形成部15は、二次転写ローラー38と転写ベルト35の表面42とが当接する位置45に記録媒体としての用紙を搬送するための用紙搬送路43aを備える。また、画像形成部15は、二次転写された用紙を不図示の定着ユニット側へ搬送するための用紙搬送路43bを備える。給紙カセット群29が位置する上流側となる用紙搬送路43aから、二次転写ローラー38と転写ベルト35の表面42とが当接する位置45aに用紙が供給される。用紙の搬送のタイミングに合わせて、第二のバイアス印加部44bにより二次転写ローラー38へのトナーと逆の極性のバイアスが印加される。二次転写ローラー38へのバイアスの印加により、転写ベルト35の表面42上に形成されたトナーによる可視画像が、供給された用紙側に電気的に引き寄せられ、用紙に二次転写される。トナーによる可視画像が転写された用紙は、用紙搬送路43bを利用して図示しない定着ユニットまで搬送される。
プレブラシ39は、二次転写ローラー38の下流側であって、転写ベルト35を介して、駆動ローラー41aと対向する位置に設けられている。プレブラシ39は、いわゆるブラシ状であって、ブラシの先部分が転写ベルト35の表面42と当接するように設けられている。プレブラシバイアス印加部44cにより、プレブラシ39自体にバイアスが印加される。プレブラシ39は、転写ベルト35の表面42の予備清掃、および転写ベルト35の表面42に残留するトナーの帯電性能の調整等に用いられる。
クリーニングブラシ61は、プレブラシ39の下流側であって、転写ベルト35を介して、駆動ローラー41aと対向する位置に設けられている。クリーニングブレード40は、イエローの現像ユニット32aの上流側に設けられている。クリーニングブラシ61は、プレブラシ39と同様、ブラシ状であって、ブラシの先部分が転写ベルト35の表面42と当接するように設けられている。
回収ローラー62は、クリーニングブラシ61と当接するようにして設けられている。回収ローラー62とクリーニングブラシ61とが当接する位置45dは、クリーニングブラシ61と転写ベルト35の表面42とが当接する位置45cと異なる位置である。具体的には、回収ローラー62とクリーニングブラシ61とが当接する位置はおおよそ、クリーニングブラシ61の中心を中央として、クリーニングブラシ61と転写ベルト35の表面42とが当接する位置と相対する位置である。
回収ローラーバイアス印加部44dにより、回収ローラー62にバイアスが印加される。このバイアスの印加による電位差により、帯電したトナーは、クリーニングブラシ61側から回収ローラー62側へ移動する。
クリーニングブレード40は、回収ローラー62に当接するようにして設けられている。クリーニングブレード40は、弾性を有するゴム状の細長い板状の部材から構成されている。クリーニングブレード40は、デジタル複合機11の主走査方向が長手方向となるように取り付けられる。クリーニングブレード40は、その先端部をいわゆるカウンター方向で回収ローラー62の表面に当接させるようにして配置されている。クリーニングブレード40は、所定の箇所に固定されており、一方方向に回転する回収ローラー62の表面に付着したトナーを物理的に除去する。クリーニングブレード40の材質としては、例えば、ウレタンゴムが用いられる。
デジタル複合機11において画像を用紙に形成する際には、転写ベルト35上に二次転写されたトナーによる可視画像は、搬送されてきた用紙に転写され、図示しない定着ユニットにより用紙に定着される。定着後、用紙はデジタル複合機11外、具体的には、排出トレイ30に排出される。トナーによる可視画像が用紙に転写された後、転写ベルト35上に残留したトナーは、クリーニングブラシ61のブラシ状の部分に掃き捕られるように取り除かれる。クリーニングブラシ61に付着したトナーは、クリーニングブラシ61と当接し、バイアスが印加される回収ローラー62の表面に電気的に付着させることによって回収される。その後、回収ローラー62の表面に付着したトナーは、クリーニングブレード40によって物理的に除去される。そして、次の画像形成が行われる。このようなクリーニングブラシ61や回収ローラー62を用いた転写ベルト35の表面42のクリーニング機構は、転写ベルト35の表面42を痛めるおそれが低減されるため、転写ベルト35の表面42への物理的な負担を軽減することができる。
なお、デジタル複合機11は、ブラックの現像ユニット32dのみを用いたモノクロ印刷が可能である。また、デジタル複合機11は、イエローの現像ユニット32a、マゼンタの現像ユニット32b、およびシアンの現像ユニット32cの少なくともいずれか一つを用いたカラー印刷が可能である。
また、デジタル複合機11は、デジタル複合機11が配置されている環境の絶対水分量を計測する絶対水分量計測部20を備える。具体的には、デジタル複合機11は、デジタル複合機11が配置されている環境の温度および湿度を計測する不図示の温湿度センサーを含む。絶対水分量は、デジタル複合機11が配置されている環境の温度および湿度を温湿度センサーによって計測し、これらを基に算出される。
次に、トナー量検知センサー46の構成について、簡単に説明する。図4は、トナー量検知センサー46の構成を示す概略図である。
図1〜図4を参照して、トナー量検知センサー46は、転写ベルト35の回転方向において、ブラックの現像ユニット32dの下流側に配置されている。トナー量検知センサー46は、転写ベルト35の表面42側に光を照射する発光素子47aと、転写ベルト35の表面42側から反射された反射光を受光する受光素子47bと、受光素子47bによって受光した反射光の光量からトナー量を算出する不図示のトナー量算出部とを備える。この実施形態においては、発光素子47aと受光素子47bとは、転写ベルト35の表面42に垂直な方向に延びる平面48に対して、対称の位置となるように設置されている。すなわち、受光素子47bは、発光素子47aによって発光された光に対して正反射光を受光する位置に設けられている。発光素子47aの一例として、具体的には、赤外光を照射する赤外発光ダイオードが採用される。また、受光素子47bの一例として、具体的には、赤外受光素子が採用される。
発光素子47aは、転写ベルト35の表面42またはトナーによる可視画像50に向かって、図4中の矢印E1で示す左斜め上方向に赤外光といった光49aを照射する。トナーによる可視画像50が形成されていない場合には、発光素子47aは、転写ベルト35の表面42に向かって光49aを照射することになる。
受光素子47bは、図4中の矢印E2で示す左斜め下方向に向かうトナーによる可視画像50からの反射光49bおよび転写ベルト35の表面42からの反射光49bのいずれか一方か、またはトナーによる可視画像50と転写ベルト35の表面42との双方からの反射光49bを受光する。トナーによる可視画像50が転写ベルト35の表面42を完全に覆っていれば、トナーによる可視画像50からの反射光49bのみを受光する。トナーによる可視画像50が転写ベルト35の表面42上に形成されていなければ、転写ベルト35の表面42からの反射光49bのみを受光する。トナーによる可視画像50が転写ベルト35の表面42を完全に覆っておらず、トナーによる可視画像50のトナー量が少なければ、トナーによる可視画像50と転写ベルト35の表面42との双方からの反射光49bを受光する。
トナー量検知センサー46は、その表面42にトナーによる可視画像50が形成された転写ベルト35に対して、図4中の矢印E1で示す方向に光49aを照射する。光49aは、トナーによる可視画像50および転写ベルト35の表面42のいずれか一方か、またはトナーによる可視画像50と転写ベルト35の表面42との双方に当たって反射する。反射された反射光49bは、受光素子47bによって受光される。受光素子47bは、受光した光の光量に応じた電流をそれぞれ出力する。トナー濃度算出部は、受光素子47bによって出力された電流を電圧値に変換する。そして、この電圧値に基づいてトナー量を算出する。このようにして、トナー量検知センサー46は、トナー量を検知する。制御部12は、このようなトナー量検知センサー46を用いて、トナー濃度や形成される画像の位置ずれ等を調整する。
次に、形成される画像の位置ずれを調整するために形成されるパッチ画像について、簡単に説明する。図5は、形成される画像の位置ずれを調整するためのパッチ画像の一例を示す図である。図5を参照して、形成する画像の位置ずれを調整するために、各色の矩形状のパッチ画像群51、および各色の平行四辺形状のパッチ画像群52が形成される。パッチ画像群51は、イエローの矩形状のパッチ画像53a、マゼンタの矩形状のパッチ画像53b、シアンの矩形状のパッチ画像53c、ブラックの矩形状のパッチ画像53dから構成される。形成される順序は、上流側からイエローのパッチ画像53a、マゼンタのパッチ画像53b、シアンのパッチ画像53c、ブラックのパッチ画像53dとなる。また、平行四辺形状のパッチ画像群52は、イエローの平行四辺形状のパッチ画像54a、マゼンタの平行四辺形状のパッチ画像54b、シアンの平行四辺形状のパッチ画像54c、ブラックの平行四辺形状のパッチ画像54dから構成される。形成される順序は、矩形状のものと同様に、イエローのパッチ画像54a、マゼンタのパッチ画像54b、シアンのパッチ画像54c、ブラックのパッチ画像54dとなる。それぞれのパッチ画像53a〜53d、54a〜54dは、デジタル複合機11の転写ベルト35の回転方向である副走査方向に所定の間隔を開けて設けられる。
デジタル複合機11は、所定のタイミング、例えば、画像形成の枚数が10000枚に達する毎のタイミングや現像ユニット32a〜32dの交換があったタイミングで、これらのパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを形成する。制御部12は、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dの形成される位置、具体的には、副走査方向におけるパッチ画像53a〜53d、54a〜54dが形成され始める位置から形成し終わる位置、主走査方向の形成される位置等をトナー量検知センサー46で検知する。制御部12は、検知結果を基に、形成される画像の位置ずれを調整する。すなわち、例えば、形成されるパッチ画像53a〜53d、54a〜54dの位置が所定の閾値を超えて異なる位置に形成されていた場合、適正な位置となるよう露光のタイミングを調整等することにより補正する。
なお、形成される画像の位置ずれを調整するために形成されたパッチ画像53a〜53d、54a〜54dについては、用紙に転写されることはない。すなわち、転写ベルト35の表面42上に残留したパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーは、転写ベルト35の表面42上から除去される。なお、このトナーにより形成されたパッチ画像53a〜53d、54a〜54dについては、帯電されたトナーにより転写ベルト35の表面42上に電気的に付着し、かつ物理的に付着しているものである。
次に、この発明の一実施形態に係るデジタル複合機11を用いて、転写ベルト35の表面42に残留するトナーを除去する場合について説明する。
図6は、この発明の一実施形態に係るデジタル複合機11を用いて図5に示すパッチ画像53a〜53d、54a〜54dをトナーにより形成した後、転写ベルト35の表面42に残留するトナーを除去する場合の処理の内容を示すフローチャートである。図7は、図6に示す処理を行う場合の経過時間と二次転写ローラー38、プレブラシ39および回収ローラー62に印加するバイアスとの関係を示すグラフである。図7中の横軸において、経過時間を示す。図7において、左側から右側に向かって時間が経過していくものとする。図7中の縦軸において、印加するバイアスの極性、すなわち、印加するバイアスがプラス(+)もしくはマイナス(−)か、またはバイアスを印加しないかを示す。バイアスを印加しない場合は、数値の0で示している。図7中の線56aで、二次転写ローラー38に印加するバイアスを示し、線56bでプレブラシ39に印加するバイアスを示し、線56cで回収ローラー62に印加するバイアスを示す。なお、ここでは、現像ユニット32a〜32dにおいて摩擦帯電するトナーが、正の電荷、すなわち、極性としてプラスに帯電するものとする。
図6および図7を参照して、転写ベルト35上に、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを形成する(図6において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。具体的には、まず、感光体31a〜31dにパッチ画像53a〜53d、54a〜54dに相当する静電潜像を形成する。その後、現像ユニット32a〜32dによって感光体31a〜31d上にプラスの極性に帯電したトナーによる可視画像を形成する。そして、第一のバイアス印加部44aにより所定のバイアスを一次転写ローラー36a〜36dにそれぞれ印加し、形成されたトナーによる可視画像を転写ベルト35上に一次転写する。
次に、転写ベルト35の表面42上に一次転写されたパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを用いて、トナー量検知センサー46を用いて、形成する画像の位置ずれを補正する(S12)。この場合、転写ベルト35の回転により、一次転写されたパッチ画像53a〜53d、54a〜54dが、トナー量検知センサー46が検知できる位置に順次到達する。そして、トナー量検知センサー46がパッチ画像53a〜53d、54a〜54dの形成されている位置等を検知する。トナー量検知センサー46によって検知された位置等を基に、制御部12は、形成される画像の位置ずれを補正する。
その後、転写ベルト35の回転により、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーは、二次転写ローラー38と転写ベルト35の表面42とが当接する位置45aに到達する。ここで、位置45aにパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーが達する時間T2までの時間T1において、第二のバイアス印加部44bにより、帯電したトナーの極性と逆の極性のバイアスを二次転写ローラー38に印加する(S13)。この場合、トナーは、プラス側に帯電しているため、二次転写ローラー38に印加するバイアスは、マイナスの値となる。具体的には、例えば、電流値として−40μAのバイアス電流値を印加する。なお、この段階、すなわち、時間T1に達した時点において、プレブラシ39に対しては、プレブラシバイアス印加部44cにより、帯電したトナーの極性と同じ極性であって、第二のバイアス印加部44bにより印加するバイアスの絶対値よりも小さい絶対値のバイアスをプレブラシ39に印加する(S14)。具体的には、例えば、電流値として+5μAのバイアス電流値を印加する。なお、S13とS14については、同時でもよいし、多少時間的にずれていてもよい。また、この段階で、回収ローラーバイアス印加部44dにより、回収ローラー62にバイアスを印加する。具体的には、例えば、電流値として−10μAのバイアス電流値を印加する。
その後、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーが、順次位置45aに到達する。ここで、第二のバイアス印加部44bにより二次転写ローラー38にマイナス側のバイアスが印加されているため、トナーのプラス側に帯電しているトナーの帯電量が低下する。すなわち、プラス側に帯電しているトナーの極性が電気的に0側に近くなる。そうすると、転写ベルト35に対するトナーの電気的な付着力は小さくなる。
その後、転写ベルト35の回転により、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーは、プレブラシ39が設けられた位置45bに到達する。ここで、プレブラシバイアス印加部44cによりプレブラシ39にプラス側のバイアスが印加されている。そうすると、二次転写ローラー38へのバイアスの印加時において、プラス側に帯電していたトナーがマイナス側に帯電してしまったものを、ここで再度プラス側に帯電させることができる。この場合、プレブラシバイアス印加部44cは、第二のバイアス印加部44bにより印加するバイアスの絶対値よりも小さい絶対値のバイアスの印加であるため、ほとんどのトナーの極性は、プラス側に低い帯電量で帯電していることとなる。すなわち、位置45bを経過した時に、トナーは、帯電性能が均一化されて、転写ベルト35に対して電気的にプラス側の弱い帯電量で付着していることとなる。
その後、転写ベルト35の回転により、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーは、クリーニングブラシ61が設けられた位置45cに到達する。この場合、プラス側に帯電しているトナーの極性は、0側に近くなっているため、トナーと転写ベルト35との電気的な付着力は、大きく低減されている。すなわち、転写ベルト35上に付着したトナーは、プラス側の弱い電気的な付着力と弱い物理的な付着力によって付着している状態である。したがって、クリーニングブラシ61により、転写ベルト35上に付着したトナーを容易に転写ベルト35の表面42側から取り除くことができる。
なお、クリーニングブラシ61によって取り除かれたトナーは、クリーニングブラシ61の回転により、プラス側に帯電したまま、回収ローラー62と当接する位置45dに到達する。回収ローラー62は、回収ローラーバイアス印加部44dによってマイナスのバイアスが印加されている。そうすると、回収ローラー62は、クリーニングブラシ61と逆方向に回転しながら、位置45dに到達したトナーを、電気的に回収ローラー62側に引き付ける。すなわち、クリーニングブラシ61上から電気的に回収ローラー62側へ移動させる。
その後、回収ローラー62の表面上に電気的に移動させたトナーは、回収ローラー62と当接するクリーニングブレード40によって物理的に除去される。このようにして、転写ベルト35の表面42上に付着したトナーは、クリーニングブラシ61、回収ローラー62を経由し、クリーニングブレード40によって除去される。
ここで、位置45aをパッチ画像53a〜53d、54a〜54dが通過する際には、転写ベルト35と二次転写ローラー38とは当接しているため、ある程度のトナーが二次転写ローラー38側に付着する。次に、位置45aをパッチ画像53a〜53d、54a〜54dが通過した後、二次転写ローラー38側に付着したトナーの除去の流れについて説明する。なお、ここまでの制御が第一の制御であり、これ以降の制御が第二の制御となる。
パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーが位置45aを通過した時間T3の後である時間T4において、第二のバイアス印加部44bにより、帯電したトナーの極性と同じ極性のバイアスを二次転写ローラー38に印加する(S15)。この場合、二次転写ローラー38に印加するバイアスは、プラスの値となる。具体的には、電流値として+20μAのバイアス電流値を印加する。そうすると、トナーの極性と二次転写ローラー38の極性とは反発しあうため、二次転写ローラー38上から転写ベルト35側にトナーが転写される。この転写を再転写という。
その後、再転写されたトナーは、転写ベルト35の回転により、プレブラシ39が設けられた位置45bに到達する。ここで、プレブラシバイアス印加部44cにより、時間T1からプレブラシ39にプラス側のバイアスが印加されており、帯電しているトナーの極性はプラス側のままである。すなわち、帯電しているトナーの極性がマイナス側となることはない。
その後、転写ベルト35の回転により、パッチ画像53a〜53d、54a〜54dを構成するトナーは、クリーニングブラシ61が設けられた位置45cに到達する。この場合、弱いプラス側に帯電したトナーが電気的に付着している状態であるため、クリーニングブラシ61による物理的な除去により、容易に転写ベルト35からトナーを除去することができる。すなわち、二次転写ローラー38側から転写ベルト35上に付着させたトナーをクリーニングブラシ61によって物理的に効率よく転写ベルト35上から除去することができる。
クリーニングブラシ61によって取り除かれ、プラス側に帯電したトナーは、マイナス側の極性のバイアスが印加されている回収ローラー62によって回収される。そして、クリーニングブレード40によって、回収ローラー62の表面上から除去される。
その後、時間T6において、二次転写ローラー38へのバイアスの印加を停止し(S16)、時間T6の経過後の時間T7において、プレブラシ39へのバイアスの印加を停止する(S17)。また、プレブラシ39へのバイアスの印加を停止してから所定時間を経過し、時間T8に到達した後、回収ローラー62へのバイアスの印加を停止する。
このようなデジタル複合機11によると、転写ベルト35上に一次転写されたトナーの転写ベルト35からの除去に際し、二次転写ローラー38が設けられた位置45aをトナーが通過する時に、第二のバイアス印加部44bにより、帯電したトナーの極性と逆の極性のバイアスを二次転写ローラー38に印加する第一の制御を行う。そうすると、転写ベルト35上に一次転写されたトナーの転写ベルト35に対する電気的な付着力を低減させることができる。二次転写ローラー38の下流側に配置されるプレブラシ39には、帯電したトナーの極性と同じ極性のバイアスであって、第二のバイアス印加部44bにより印加するバイアスの絶対値よりも小さい絶対値のバイアスがプレブラシバイアス印加部44cにより印加されているため、二次転写ローラー38が設けられた位置45aを通過した際に逆の極性となってしまったトナーを、元の極性に戻すことができる。したがって、転写ベルト35上に一次転写されたトナーを低い帯電量で転写ベルト35に付着させた状態として、転写ベルト35上に一次転写されたトナーをクリーニングブラシ61によって物理的に効率よく転写ベルト35上から除去することができる。また、第一の制御後、第二のバイアス印加部44bにより、帯電したトナーの極性と同じ極性のバイアスを二次転写ローラー38に印加する第二の制御を行う。そうすると、二次転写ローラー38が設けられた位置45aをトナーが通過する時に二次転写ローラー38側に物理的に付着したトナーを、転写ベルト35側に電気的に効率よく付着させることができる。したがって、二次転写ローラー38側から転写ベルト35上に付着させたトナーをクリーニングブラシ61によって物理的に効率よく転写ベルト35上から除去することができる。その結果、簡易な構成で、効率よく転写ベルト35上に残留したトナーを除去することができる。
この場合、二次転写ローラー38にトナーを強制的に付着させた後、いわゆる転写ベルト35側に再転写させてトナーを除去する構成ではないため、二次転写ローラー38の汚染のおそれを大きく低減することができる。具体的には、例えば、二次転写ローラー38として、発泡ゴムローラーを用いた場合、発泡ゴムローラーの表面に、トナーが目詰まりするような事態を回避することができる。
なお、上記の実施の形態においては、二次転写ローラー38にバイアスを印加する際に、プレブラシ39にもバイアスを印加することにしたが、これに限らず、二次転写ローラー38が設けられた位置45aをトナーが通過し、二次転写ローラー38が設けられた位置45aからプレブラシ39が設けられた位置45bまでトナーが移動する時間を経過した時に、プレブラシバイアス印加部44cにより印加していたプレブラシ39にトナーの極性と同じ極性のバイアスの印加を停止するよう制御してもよい。
再び図7を参照して、線57aは、この場合の二次転写ローラー38に印加するバイアスを示し、線57bは、プレブラシ39に印加するバイアスを示し、線57cは、回収ローラー62に印加するバイアスを示す。
時間T1に達した際に、第二のバイアス印加部44bにより二次転写ローラー38にマイナスのバイアスが印加される。この時に、プレブラシバイアス印加部44cによるプレブラシ39へのバイアスの印加を行う。
そして、時間T4に達し、第二のバイアス印加部44bにより、二次転写ローラー38にトナーの極性と同じ極性のバイアスを印加した後、位置45aから位置45bに至る距離に相当する時間を経過した時間T5に達した時に、プレブラシバイアス印加部44cによりプレブラシ39に印加していたバイアスの印加を停止する。なお、二次転写ローラー38に印加したバイアスを停止する時間T6、回収ローラー62に印加したバイアスを停止する時間T8については、上記と同じである。
こうすることにより、二次転写ローラー38が複数回回転する場合を考慮して、転写ベルト35上に付着させたトナーの転写ベルト35に対する電気的な付着力を低減させることができる。
なお、上記した構成に基づき、図3に示す画像形成部15を備えるデジタル複合機11を用いて、トナーの除去の効果を確認した。
デジタル複合機11が配置される環境として、温度は10℃、湿度は15%とした。この温度および湿度における絶対水分量は、1.4g/m3である。トナーは、正帯電トナーを用いた。具体的には、トナーの帯電量が、+30〜+40μC/gのものを用いた。転写ベルト35の線速については、250mm/秒とした。プレブラシ39の材質としては、導電性ナイロン(330D/kF、120kF/inch2)を用いた。回収ローラー62の材質としては、導電性アクリル(330T/kF、100kF/inch2)を用いた。クリーニングブレード40の材質としては、ウレタンゴムを用いた。二次転写ローラー38としては、導電性発泡ゴムローラーを用いた。
実験条件としては、以下とした。ある程度、用紙に画像を形成したデジタル複合機11を用いた。なお、用紙に画像を二次転写する際の二次転写ローラー38のバイアス電流値は、−40μAである。そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色のパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを転写ベルト35に転写した。その後、図7に示すように、時間T1〜時間T8において、無給紙状態、すなわち、用紙の搬送を行わないで、二次転写ローラー38が設けられた位置45aを通過させ、二次転写ローラー38、プレブラシ39および回収ローラー62にバイアスを印加した。その後、用紙を給紙し、用紙がトナーで汚れているかについて確認した。確認結果については、表1に示す。
表1を参照して、実施例1については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と逆の極性となる−20μA(マイクロアンペア)としている。そして、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+5μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、良好な「良」となる。
実施例2については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と逆の極性となる−40μAとしている。そして、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+5μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、極めて良好な「優」となる。
実施例3については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と逆の極性となる−60μAとしている。そして、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+5μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、極めて良好な「優」となる。
実施例4については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と逆の極性となる−40μAとしている。そして、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+10μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、極めて良好な「優」となる。なお、実施例1〜実施例4については、図7に示す線56a、線56b、56cのようなバイアスの印加の制御となる。
比較例1については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+40μAとしている。そして、プレブラシ39へバイアスを印加していない。このような制御によっては、トナー汚れは発生し、その結果は、「劣る」となる。
比較例2については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と逆の極性となる−40μAとしている。そして、比較例1と同様、プレブラシ39へバイアスを印加していない。このような制御によっても、トナー汚れは発生し、その結果は、「劣る」となる。
比較例3については、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+40μAとしている。そして、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+5μAとしている。このような制御によっても、トナー汚れは発生し、その結果は、「劣る」となる。
次に、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値について説明する。ここでは、再転写されたトナーの除去の場合について説明する。実験条件としては、以下とした。ある程度、用紙に画像を形成したデジタル複合機11を用いた。なお、用紙に画像を二次転写する際の二次転写ローラー38のバイアス電流値は、−40μAである。そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色のパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを転写ベルト35に転写した。その後、図7に示すように、時間T1〜時間T8において、無給紙状態、すなわち、用紙の搬送を行わないで、二次転写ローラー38が設けられた位置45aを通過させ、二次転写ローラー38、プレブラシ39および回収ローラー62にバイアスを印加した。この場合、時間T4において、二次転写ローラー38によって転写ベルト35側への再転写時に印加するバイアス電流値を、全て+20μAとした。その後、用紙を給紙し、用紙がトナーで汚れているかについて確認した。確認結果については、表2に示す。
表2を参照して、実施例5については、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+10μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、極めて良好な「優」となる。
実施例6については、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+5μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、極めて良好な「優」となる。
実施例7については、プレブラシ39へ印加したバイアス電流値を、プラスに帯電したトナーの極性と同じ極性となる+15μAとしている。このような制御によれば、トナー汚れは発生せず、その結果は、良好な「良」となる。
一方、比較例4のように、プレブラシ39へバイアスを印加しない場合、トナー汚れは発生し、その結果は、「劣る」となる。
次に、二次転写ローラー38へ印加したバイアス電流値について説明する。実験条件としては、以下とした。ある程度、用紙に画像を形成したデジタル複合機11を用いた。そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色のパッチ画像53a〜53d、54a〜54dを転写ベルト35に転写した。その後、図7に示すように、時間T1〜時間T8において、二次転写ローラー38、プレブラシ39および回収ローラー62にバイアスを印加した。この場合、時間T4において、二次転写ローラー38において転写ベルト35側への再転写時に印加するバイアス電流値を、+20μAとした。その後、無給紙状態、すなわち、用紙の搬送を行わないで、二次転写ローラー38が設けられた位置45aを通過させた。このときの用紙がトナーで汚れているかについて確認した。確認結果については、表3に示す。
表3を参照して、実施例8については、時間T1において印加する二次転写ローラー38へのバイアス電流値を−20μAとし、実施例9については、時間T1において印加する二次転写ローラー38へのバイアス電流値を−30μAとし、実施例10については、時間T1において印加する二次転写ローラー38へのバイアス電流値を−40μAとし、実施例11については、時間T1において印加する二次転写ローラー38へのバイアス電流値を−50μAとし、実施例12については、時間T1において印加する二次転写ローラー38へのバイアス電流値を−60μAとしている。なお、表3における周回数は、二次転写ローラー38の周回数である。
実施例8において、周回数が5回であるものの、実施例9〜実施例12については、周回数が3回である。この周回数については、できるだけ少ない方が良い。すなわち、早期にトナー汚れを解消することを意味する。したがって、より確実に周回数を少ない値である3回とするよう、二次転写ローラー38へ印加するバイアス電流値は、−40μA以下とするのが良い。この−40μAという電流値は、用紙を転写する際のバイアス電流値でもある。すなわち、第一の制御部として、第二のバイアス印加部44bにより印加するバイアス値の絶対値を、記録媒体としての用紙上に二次転写する際に印加するバイアス値の絶対値以上とするよう制御する。
なお、上記の実施の形態において、絶対水分量が1.4g/m3以下の時に第一および第二の制御部を作動させるよう構成してもよい。このような環境下においては、トナーの帯電量が高くなるものであり、転写ベルト35に対する電気的な付着力が比較的強くなる。したがって、このような場合に第一および第二の制御部を作動させるようにしてもよい。
また、上記の実施の形態において、デジタル複合機11は、温度および湿度を計測する温湿度センサーを含まない構成としてもよい。すなわち、絶対水分量計測部を含まない構成としてもよい。この場合、ネットワーク25を介して外部から絶対水分量に関するデータを取得し、この取得したデータを用いることとしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、二次転写ローラーとして、発泡ゴムローラーを用いることとしたが、これに限らず、他の種類の二次転写ローラーを用いることとしてもよい。また、回収ローラーとして、導電性アクリルを用いることとしたが、これに限らず、他の種類の回収ローラーを用いることとしてもよい。なお、転写ベルトとして、積層型のものを用いることとしたが、これに限らず、単層型の転写ベルトを用いることとしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、バイアスを印加する際に、電流値で規定することとしたが、これに限らず、バイアスを印加する際に、対応する電圧値で規定することにしてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、正帯電トナーを用いることとしたが、これに限らず負帯電トナーを用いることとしてもよい。この場合、印加するバイアスは、正帯電トナーの場合と逆になる。
また、上記の実施の形態においては、転写体として転写ベルトを適用することとしたが、これに限らず、他の転写体であってもよい。
なお、上記の実施の形態においては、トナーにより形成されたパッチ画像を転写ベルト35上に一次転写し、パッチ画像を構成するトナーを転写ベルト35上から除去する場合について説明したが、これに限らず、例えば、トナーにより形成された画像を転写ベルト35上に一次転写した後、紙詰まりが発生したことにより装置の動作が停止し、一次転写した画像を構成するトナーを転写ベルト35上から除去する場合にも適用される。
図8は、紙詰まりが発生した後、転写ベルト35の表面42に残留するトナーを除去する場合の処理の内容を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートに相当する。
図8を参照して、用紙への印刷の要求をデジタル複合機11が受信した後、感光体31a〜31d、および現像ユニット32a〜32dによりトナーによる画像を形成する。形成した画像は、一次転写ローラー36a〜36dにより転写ベルト35の表面42上に一次転写される。
その後、用紙搬送路43aから搬送されるべき用紙が紙詰まりにより所定のタイミングで搬送されないことをデジタル複合機11は検知する。すなわち、紙詰まりを検知する(S21)。
そうすると、デジタル複合機11は、一旦動作を停止し、ユーザーに詰まった用紙の除去を促す画面を表示画面21に表示する。その後、デジタル複合機11は、ユーザーにより詰まった用紙が取り除かれたことを検知する(S22)。
そうすると、デジタル複合機11は、動作を再開する。すなわち、要求された用紙への印刷要求を再び行おうとする。この場合、転写ベルト35の表面42上にトナーによる画像が一次転写されているため、この一次転写された画像を構成するトナーを除去する。具体的には、S13〜S17と同様の工程を、S23〜S27で行う。すなわち、上述したパッチ画像と同様に一次転写された画像を除去する。このように構成することにしてもよい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。