JP2016128382A - 消石灰および酸性ガス除去剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】BET比表面積および消石灰の有効性分量を十分に大きくすると共にCODを低く抑えた消石灰および消石灰の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の消石灰は、生石灰1と水3を反応させる消化工程4によって製造される消石灰であって、消化工程4に用いられる所定の添加剤2が添加され、添加剤2は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む。これらの添加剤によって製造される消石灰は、低いCODと高いBET比表面積を両立でき、酸性ガス除去剤などに最適に利用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、高比表面積を有する消石灰に関するものであり、特に酸性ガス除去剤として適用される場合に化学的酸素要求量(以下、「COD」という)を低減できる消石灰、消石灰の製造方法および酸性ガス除去剤に関する。
生石灰は、石灰石(主成分は、炭酸カルシウム)を焼成することで得られる。焼成によって得られた生石灰は、水と反応されることで(生石灰が水と反応することを「消化」という)消石灰となる。この消石灰は、強い塩基性を有するので、塩化水素ガスなどの酸性ガスを除去する酸性ガス除去剤として用いられる。
例えば、ごみ焼却炉においては、塩化水素ガスを始めとする酸性ガスが発生するので、この酸性ガスを除去するために、消石灰を原料とする酸性ガス除去剤が焼却炉に投入されることがある。特に、焼却炉の排ガス煙道に、粉体である消石灰が投入されることが多い。このとき、粉体である消石灰と酸性ガスとは、消石灰の表面で反応して、消石灰は、酸性ガスとの反応を通じて酸性ガスを除去する。このように、消石灰は、その表面において酸性ガスと反応を生じさせるので、BET比表面積が大きいことが好適である。
このような状況に基づいて、BET比表面積の大きな消石灰の開発が進められてきている。
消石灰は、生石灰と水との消化反応によって製造されるが、この消化反応において種々の添加剤が加えられることで、BET比表面積を調整することが行われている。
例えば、添加剤としては、種々の有機化合物や無機化合物が用いられており、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。
特許文献1は、消化工程において有機化合物を添加する技術を開示する。このとき、特許文献1は、オキシカルボン酸、エタノールアミン類、エチレングリコール類を、添加剤として開示する。
特許文献2は、消化工程において、エタノールを多量に含む水を用いる技術を開示している。特許文献1、2は、有機化合物を消化工程において用いる技術を開示している。特に、特許文献1、2は、分子内にヒドロキシル基を有する有機化合物を、消化工程において用いる技術を開示する。
特許文献3は、消化工程において、無機化合物を添加する技術を開示する。特許文献3は、アルカリ土類金属の酸化物に、石炭灰、ケイ砂、ベントナイト、カオリナイトのケイ素供給物質を混合した物質を、消化工程における添加剤として開示している。このようにして消化工程を経て得られる消石灰が、脱硫剤として用いられる。
また、特許文献4は、消化工程において、珪酸アルカリ、ケイ酸塩、含水珪酸、無水珪酸および結晶性珪酸を、添加剤として用いる技術を開示する。これらの添加剤を用いて、生石灰を消化して、消石灰を得る技術を開示する。
更に、特許文献5は、添加剤として、ケイ素供給物質である二酸化ケイ素含有の物質を混合した物質を開示している。
特開平9−278435号公報 特開平9−110425号公報 特開平5−154335号公報 特開2003−327427号公報 特開2001−276566号公報
特許文献1や2のように、有機化合物を添加する技術は、種々に提案されている。あるいは、特許文献3に開示されるように、石炭灰などの二酸化ケイ素含有の物質が、消化工程における添加剤として使用されることは、種々に提案されている。また、特許文献5は、二酸化ケイ素含有の物質に加えて、有機溶剤を添加する技術を開示している。
有機化合物が添加剤として用いられる場合には、得られる消石灰に有機化合物が残存する。消石灰は、焼却炉に投入されたり吹き込まれたりして酸性ガス除去剤として利用されるが、消石灰に有機化合物が残存していると、CODが、増加するとの問題が生じる。加えて、酸性ガス処理時に一酸化炭素を発生させる問題も生じる。
無機化合物が添加剤として用いられる場合には、BET比表面積が十分に確保できない問題がある。BET比表面積が不十分であると、当然ながら、酸性ガス除去剤としての有用性が低いことになる。また、無機化合物である二酸化ケイ素を添加剤として用いる場合には、BET比表面積を十分に大きくするために、多量の二酸化ケイ素を必要として消石灰の有効成分量が少なくなる問題が生じる。
あるいは、特許文献5は、無機化合物を添加剤としつつ有機溶剤を追加する技術を開示している。しかしながら、特許文献5は、有機溶剤を生石灰の分散用として利用しており(例えば実施例7−1〜7−3など)、BET比表面積を大きくする効果を生じさせていない。すなわち、無機化合物を添加剤とする場合におけるBET比表面積を改善する技術を開示していない。
すなわち、従来技術において開示されるように、消化工程において添加される添加剤に無機化合物が用いられる場合であっても有機化合物が用いられる場合であっても、それぞれにメリットとデメリットが存在する。従来技術では、このメリットおよびデメリットのバランスを考慮した添加剤および消石灰は、提案されていなかった。
以上のように、従来技術では、(1)BET比表面積を十分に大きくする、(2)CODを低く抑える、(3)得られる消石灰の有効成分量を十分に確保する、との全てをバランスよく実現することができない問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、BET比表面積および消石灰の有効成分量を十分に大きくすると共にCODを低く抑えた消石灰および消石灰の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、
前記消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、
前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含み、
前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量を一定とし、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量を増加させることで、BET比表面積が増加する、
もしくは、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量を一定とし、前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量を増加させることで、BET比表面積が増加し、
BET比表面積が、20m/g以上である。
本発明の消石灰は、BET比表面積を十分に確保しつつ、十分な有効成分量を確保できる。同時に、CODの値を低くすることができる。
特に、消化工程の添加剤として、有機化合物と無機化合物を組み合わせた物質を用いることで、大きなBET比表面積と低いCOD値を両立させることができる。
結果として、本発明の酸性ガス除去剤は、一酸化炭素やCODを低く抑えることができ、環境負荷を低減できる。
本発明の実施の形態1における消石灰の製造工程を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における第7実験の実験その1の結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における第7実験の実験その2の結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2における消石灰の製造工程を示すブロック図である。
本発明の第1の発明に係る消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む。
この構成により、製造される消石灰は、そのBET比表面積を増加させるとともにCODの値を抑えることができる。
本発明の第2の発明に係る消石灰では、第1の発明に加えて、消石灰は、BET比表面積が、20m/g以上であって、更に好ましくは35m/g以上である。
この構成により、得られる消石灰は、十分なBET比表面積を備える。
本発明の第3の発明に係る消石灰では、第1又は第2の発明に加えて、ヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類からなる群の少なくとも一つから選択される。
この構成により、添加剤に用いられる有機化合物は、種々の物質から選択できるので、消石灰の製造を容易にするとともに製造コストを低減できる。加えて、これらの有機化合物によって、製造される消石灰のBET比表面積を増加させる。
本発明の第4の発明に係る消石灰では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群の少なくとも一つから選択される。
本発明の第5の発明に係る消石灰では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールおよびキシリトールからなる群の少なくとも一つから選択される。
本発明の第6の発明に係る消石灰では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、エタノールアミン類は、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群の少なくとも一つから選択される。
これらの構成により、添加剤に用いられる有機化合物が、種々の物質から選択できる。結果として、消石灰の製造を容易とするとともに製造コストを低減できる。
本発明の第7の発明に係る消石灰では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、ベントナイト、ケイ酸塩類、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素および石炭灰からなる群の少なくとも一つから選択される。
本発明の第8の発明に係る消石灰では、第7発明に加えて、ケイ酸塩類は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスの少なくとも一つから選択される。なお、水ガラスは、組成上はケイ酸ナトリウムに含まれる場合もある。
これらの構成により、添加剤の無機化合物が、種々の物質から選択できる。結果として、消石灰の製造を容易とするとともに製造コストを低減できる。加えて、無機化合物の作用によって、BET比表面積を増加させつつCODを減少させる。
本発明の第9の発明に係る消石灰では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、添加剤は、(1)生石灰への添加、(2)水への添加、(3)生石灰と水との混合物への添加、において、(1)から(3)の少なくとも一つの手段で添加される。
この構成により、添加剤の効果を様々に得ることができる。
本発明の第10の発明に係る消石灰では、第3から第9のいずれかの発明に加えて、ヒドロキシル基を有する有機化合物の群から選択される少なくとも一つの添加量は、生石灰に対して、0.01重量%〜10重量%である。
この構成により、製造される消石灰のBET比表面積とCODとのバランスが最適化される。
本発明の第11の発明に係る消石灰では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量は、生石灰に対して、0.01重量%〜15重量%であり、更に好ましくは0.01重量%〜10重量%である。
この構成により、製造される消石灰のBET比表面積とCODとのバランスが最適化される。
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
(消石灰の一般的な製造工程)
まず、図1を用いて、添加剤を用いた消石灰の製造工程を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における消石灰の製造工程を示すブロック図である。図1は、消石灰の製造工程を模式的に表している。
消化工程4は、生石灰1と水3を反応させる工程である。このため、消化工程4に対して(例えば、消化工程4を行う攪拌機などに)、原料となる生石灰1および水3が投入される。更に、添加剤2も消化工程4に投入される。なお、添加剤2は、消化工程4に投入されても良いし、水3に予め添加されておいてもよいし、生石灰1に予め添加されておいても良い。
消化工程4では、投入された生石灰1、水3および添加剤2が攪拌されながら、消化反応が生じる。
消化工程4に続いて、熟成工程5において、消化反応を生じた混合物が熟成される。熟成工程5に続いて、乾燥工程6において乾燥されて、消石灰が製造される。
このように、消石灰は、生石灰と水との消化反応を基本とし、添加剤によって、製造される消石灰の性能等が変わってくる。
(全体概要)
実施の形態1における消石灰は、生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、消化工程に必要な所定の添加剤が添加されて、製造される消石灰である。所定の添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが、組み合わされた物質を含む。
生石灰と水を反応させただけの消石灰は、BET比表面積が10m/g〜20m/gであって、BET比表面積が十分ではない。BET比表面積が十分に大きいことは、消石灰が酸性ガス除去剤などとして使用される場合に、高い酸性ガスの吸着性能を示すことになる。このため、BET比表面積が十分に大きいことは、消石灰の製造においては重要な要素である。
所定の添加剤が、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが、組み合わされた物質を含む場合には、この添加剤は、BET比表面積を大きくすることに対する寄与と、CODを低く抑えることに対する寄与とを生じさせる。このため、実施の形態1における消石灰は、BET比表面積が20m/g以上であって、好ましくは30m/g以上、更に好ましくは35m/g以上を有するようになる。
これは、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との相乗効果であって、この相乗効果が、BET比表面積を大きくする。有機化合物は、消化工程において生石灰に混合されることでそのBET比表面積を拡大させる。このとき、無機化合物は、有機化合物の生石灰への均一な分散を促進させつつ、有機化合物とともに生石灰中に広く分散する。また、添加される無機化合物がカルシウムイオンを補足する役割を果たし、BET比表面積の拡大に作用すると思われる。この有機化合物と無機化合物との複数段階による相乗効果によって、消化工程でのBET比表面積を増加させる。結果として、製造される消石灰のBET比表面積が大きくなる。
また、二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、非常に高いBET比表面積を有するものが多い。この二酸化ケイ素を含有する無機化合物が添加剤に含まれていることによって、製造される消石灰のBET比表面積が大きくなる。消化工程が終了した後で、二酸化ケイ素を含有する無機化合物を混合させた場合では、消石灰と混合させる無機化合物の加重平均で算出されるBET比表面積が得られるだけである。これに対して、実施の形態1における添加剤のように消化工程において無機化合物が添加されることで、加重平均よりも高いBET比表面積が得られるようになる。
また、有機化合物と無機化合物とが混合された添加剤によって、有機化合物の添加量が減らせるだけでなく、有機化合物と無機化合物の併用による、それぞれのBET比表面積に対する寄与が相乗される。この結果、高いBET比表面積が得られる。
ここで、BET比表面積が20m/g以上であることが一つの基準であるのは、一般的に市販されている消石灰のBET比表面積が10〜20m/g程度であり、これを超えるBET比表面積を有する消石灰が求められているからである。当然ながら、更にBET比表面積が大きいことが好ましい。消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合には、使いきりであるので、一回の使用で非常に高い吸着性能を有することが求められる。この点から、市販品のBET比表面積を越える程度から、更に高いBET比表面積を有することが求められる。この点から、20m/gを十分に越えていると考えられる30m/gや35m/gは更に好ましい基準である。
また添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を有することで、添加剤全体に占める有機化合物の量を減少させることができる。添加剤の一部が、無機化合物で置き換えられるからである。添加剤に含まれる有機化合物の量が相対的に減少することは、製造される消石灰に含まれる有機化合物の残存量が減少することになる。
有機化合物の残存量が少なければ、当然ながらCODの値も減少する。CODが減少すれば、消石灰が酸性ガス除去剤として利用される場合に、環境負荷が小さいことになる。
特に、消石灰が酸性ガス除去剤として用いられる場合には、消石灰は使いきりである。このような使い切りされる消石灰のCODの値が小さいことは、繰り返し使用される酸性ガス除去剤による環境負荷を低減させる。
なお、無機化合物は、有機化合物量を減らしつつ有機化合物の均一的な混合を助けたりBET比表面積を拡大したりする以外の作用については明確ではない。しかしながら、カルシウムイオンを捕捉する役割を果たしており、この役割がBET比表面積を拡大させる要因を形成していると思われる。
以上のように、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物の組み合わせである添加剤が、消化工程において用いられることで、BET比表面積が大きく、CODの値が小さい消石灰を製造できる。
なお、添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物の組み合わせ以外に、不可避な混合物、製造で必要となる他の混合物あるいは改良に用いられる他の混合物を含むことを除外するものではない。
(ヒドロキシル基を有する有機化合物)
添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである。
ヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類からなる群の少なくとも一つから選択される。これらの群の少なくとも一つから選択されるということは、ヒドロキシル基を有する有機化合物が、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類のいずれか一つが選択されても良いし、2種類以上が選択されても良いということである。
グリコール類、糖類およびエタノールアミン類の少なくとも一つが選択されるのは、これらがヒドロキシル基を有する有機化合物として入手が容易であって、その取り扱いが容易であるからである。また、これらの有機化合物のそれぞれは、対応する化合物の種類も豊富であるので、製造コスト(入手コストも含めて)を抑えることができるからである。
グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群の少なくとも一つから選択される。
これらの物質は、入手が容易であるし取り扱いが容易であるからである。
また、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールおよびキシリトールからなる群の少なくとも一つから選択される。ここで、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびキシリトースのそれぞれは、単糖類である。また、スクロース、マルトース、ラクトースおよびトレハロースのそれぞれは、ニ糖類である。また、ソルビトールおよびキシリトールのそれぞれは、還元糖である。
エタノールアミン類は、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群の少なくとも一つから選択される。これらも、エタノールアミン類のうちで入手が容易な物質だからである。これらは、入手が容易なものも入手が不便なものも含んでいるが、一般的あるいは代替品として利用できるエタノールアミン類である。これら多数の種類の糖類が利用されることで、入手経路の確保やコスト変動などに柔軟に対応して、消石灰が製造できる。
グリコール類、糖類、エタノールアミン類のそれぞれで列挙されている上述の物質のそれぞれは、入手容易性、コスト、取り扱い容易性、生じさせる効果などにおいて、相違するものであるが、目的とする消石灰の性能、必要な手順、コスト、製造工場における原料入手ネットワークなどに応じて、柔軟に対応できる。すなわち、上述のように、ヒドロキシル基を有する有機化合物として、種々の物質が使用の範疇に含まれることで、消石灰の製造を容易とすることができる。
上述のこれらグリコール類、糖類、エタノールアミン類のそれぞれで列挙されている物質のうち、単一の種類のみが添加剤に用いられても良いし、複数の種類が添加剤に用いられてもよい。また、これらの有機化合物と無機化合物とが予め混合された添加剤が、生石灰と水との消化工程に混合されても良いし、有機化合物のみが生石灰や水に混合されてから(あるいはその前に)、無機化合物が生石灰や水(あるいは、有機化合物が混合されている生石灰や水)に混合されても良い。
添加剤として、上記に列挙された有機化合物が用いられれば良い。また、これらの有機化合物を含む廃棄物や副産物が、有機化合物として利用されても良い。
(無機化合物)
添加剤には、二酸化ケイ素を含有する無機化合物も用いられる。添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが混合された物質(混合物)を有するからである。
二酸化ケイ素を含有する無機化合物が含有されることで、有機化合物の添加量が減少してCODを減少させ、有機化合物との相乗効果によってBET比表面積を増加させる。
二酸化ケイ素を含有する無機化合物は、ベントナイト、ケイ酸塩類、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素および石炭灰からなる群の少なくとも一つから選択される。これらの種類の物質は、比較的容易に入手が可能であって、取り扱いも容易だからである。添加剤には、ベントナイト、ケイ酸塩、クリストバライト、カオリン、含水参加ケイ素および石炭灰のいずれか一種が混合されても良いし、2種以上の無機化合物が混合されてもよい。
また、ケイ酸塩類は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスの少なくとも一つから選択される。これらの物質は、入手が容易であって、ケイ酸塩類としての取扱が容易だからである。
なお、ここで列挙された無機化合物は、ベントナイトならベントナイトとしての物性(組成、結晶構造など)を有していればよい。例えば、製造企業の商品名や属性的な名称がベントナイトでない場合でも、物性から判断してベントナイトと考えられる物質も、ベントナイトに含まれる。ケイ酸塩類も同様である。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスのそれぞれと物性が同等である物質は、これらケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスのそれぞれであると考えられる。製造企業の商品名や属性的な名称がこれらと異なる場合であっても同様である。
もちろん、物性として、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスのそれぞれと、僅かに組成比が異なったり比重が異なったりするだけの物質であっても、同様の物性を示す場合には、これらの物質も、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスのいずれかであると判断される。
また、ケイ酸塩類の例として、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスが列挙されているが、ケイ酸塩類として利用可能な他の物質を排除する意図ではない。
また、有機化合物は、上述の通り、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類から少なくとも一つが選択される。このため、無機化合物は、選択される有機化合物の種類に応じて決定されても良い。発明者の所見では、有機化合物は、グリコール類、糖類およびエタノールアミン類から少なくとも一つが選択され、無機化合物は、ベントナイト、ケイ酸塩類、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素および石炭灰からなる群の少なくとも一つから選択される。これらから選択された有機化合物と無機化合物の組み合わせであれば、添加剤の作用効果は十分である。
しかしながら、BET比表面積やCODを、特定範囲に収めたい場合やコストを考慮した場合には、ある有機化合物の種類とある無機化合物の種類とのマッチングが最適なこともある。このような組み合わせの最適性がある場合には、添加剤は、この組み合わせによって得られる。
上述に列挙された無機化合物は、入手容易性、コスト、取り扱い容易性、生じさせる効果などにおいて、相違するものであるが、目的とする消石灰の性能、必要な手順、コスト、製造工場における原料入手ネットワークなどに応じて、柔軟に対応できる。すなわち、無機化合物として多くの種類が対象であることで、消石灰の製造容易性を高め、製造コストを下げることができる。また、これらの無機化合物を含む触媒の廃棄物や副産物が、無機化合物として利用されても良い。
無機化合物は、予め有機化合物と混合されて、有機化合物と無機化合物とが混合された添加剤が得られてもよい。この場合には、有機化合物と無機化合物との組み合わせの混合物である添加剤が、生石灰に投入されたり、水に投入されたり、生石灰と水との混合物に投入されたりする。
また、無機化合物は、予め有機化合物と混合されるのではなく、生石灰、水および生石灰と水との混合物の少なくとも一つに、有機化合物と別に投入されても良い。すなわち、有機化合物と無機化合物のそれぞれが、個別に投入されることで、結果的に有機化合物と無機化合物との組み合わせが、添加剤としての役割を果たすことでも良い。
以上のように、二酸化ケイ素を含有する無機化合物において、種々の物質が選択されることでCODを低くしつつBET比表面積の大きな消石灰を、容易かつ低コストで製造できる。
(添加剤による効果)
ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせによる添加剤が用いられることの効果を、実験結果より説明する。
発明者は、実際にヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせによる添加剤を製造し、この添加剤を消化工程に用いて消石灰を製造した。
(第1実験 無機化合物そのものの物性の確認実験)
まず、発明者は、上述される無機化合物のそれぞれの単体での物性を計測した。すなわち、ベントナイト、ケイ酸塩類、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素および石炭灰、ケイ酸塩類としてのケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムおよび水ガラスのそれぞれの単体での物性を計測した。なお、いずれの物質についても、市販品を入手して、単体でのBET比表面積および水分率を計測した。
計測した結果を表1に示す。
ベントナイト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、水ガラス、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素、石炭灰のいずれも、様々なBET比表面積を有していることが分かる。
(第2実験 本発明の有機化合物と無機化合物を添加剤として用いた消石灰の効果の確認実験)
次に、本発明の消石灰である「ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む添加剤を用いた消石灰」の効果が、実験により確認された。
なお、本明細書において「実施例」とは、本発明の消石灰である「ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む添加剤を用いた消石灰」に対応して製造された消石灰であり、比較例は、この実施例と比較されるために製造された消石灰である。
発明者は比較例としての生石灰のみの消石灰(比較例1−1)、比較例としての生石灰と有機化合物の消石灰(比較例1−2)、実施例としての生石灰、有機化合物および無機化合物の消石灰(実施例1)を、実際に製造した。製造工程は次の通りである。
(製造工程)
25℃である60gの水に、添加剤(添加剤を投入する例の場合)が予め投入されて、添加剤が水の中で分散される。この添加剤が分散されている水の中に、60gの生石灰が投入されて攪拌される。この攪拌を通じて、10分間に渡って消化工程が行われる。消化工程の後で、110℃で一昼夜乾燥されて、消石灰が得られる。
これらの製造工程によって比較例1−1、比較例1−2、実施例1が製造された。比較例1−1、比較例1−2、実施例1のBET比表面積およびCODが測定された。測定結果を表2に示す。
(比較例1−1)
比較例1−1は、60gの生石灰と水による消化工程のみで製造された消石灰である。比較例1−1のBET比表面積は、12.6m/gであり、COD値は、5ppmである。BET比表面積は小さく、不十分であることが分かる。
(比較例1−2)
比較例1−2は、60gの生石灰に、添加剤として有機化合物のジエチレングリコールが生石灰に対して1.0重量%が添加されて製造される消石灰である。比較例1−2のBET比表面積は、40.0m/gと大きいが、CODも350ppmと大きい。有機化合物によって、消石灰のBET比表面積は大きくなったと考えられるが、有機化合物のみが添加剤として用いられているので、COD値が大きくなってしまうと考えられる。COD値が大きいので、比較例1−2は、環境負荷が大きく、好ましくないと考えられる。
(実施例1)
実施例1は、60gの生石灰に、添加剤として有機化合物であるジエチレングリコールと無機化合物であるベントナイトが添加されて製造される消石灰である。このとき、生石灰に対して0.5重量%のジエチレングリコールと、生石灰に対して1.0重量%のベントナイトが、添加剤として添加される。すなわち、実施例1は、本発明のヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含む添加剤を用いた消石灰の一例である。
実施例1の消石灰のBET比表面積は、41.1m/gと大きく、COD値は、180ppmと比較例1−2よりも低い。BET比表面積およびCOD値のいずれからも、実施例1は、酸性ガス除去剤などの用途に最適に使用できることが分かる。比較例1−2よりもCOD値低いのは、添加剤としての無機化合物が、有機化合物と相乗効果を生じさせたことによるものと推測される。
以上のように、比較例1−1、比較例1−2および実施例1の実験結果から、本発明のヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされる物質を含む添加剤が用いられる消石灰は、高いBET比表面積と低いCOD値とを両立させることが実証された。
(第3実験 有機化合物の種類に対応する確認実験)
発明者は、添加剤に用いる有機化合物を、様々に変えた場合の消石灰の実験を行った。比較例として、無機化合物が含まれていない有機化合物だけの添加剤によって消石灰が製造され、実施例として、有機化合物と無機化合物とを含む添加剤によって消石灰が製造された。この第3実験の実験結果を、表3に示す。
なお、第3実験では、60gの生石灰を基礎に、消化に用いられる水の量は400gであり消化の際の温度は60℃である。第2実験とは、消化における条件が異なるが、製造される消石灰の特性(BET比表面積やCOD値)の現出や傾向において矛盾は生じない。
(比較例2−1と実施例2−1)
比較例2−1と実施例2−1は、添加剤の有機化合物にプロピレングリコールを用いた相互に対となる例である。
比較例2−1は、生石灰に対して1重量%のプロピレングリコール(有機化合物)を添加剤として用い、無機化合物を用いていない。比較例2−1の消石灰のBET比表面積は、32.0m/gであり、COD値は、170ppmである。一方、実施例2−1は、生石灰に対して0.5重量%のプロピレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1重量%のベントナイト(無機化合物)を、添加剤として用いている。実施例2−1の消石灰のBET比表面積は、37.3m/gでありCOD値は、80ppmである。
比較例2−1と実施例2−1の対比からわかる通り、添加剤として有機化合物であるプロピレングリコールと無機化合物であるベントナイトが用いられた消石灰は、BET比表面積およびCOD値のいずれでも優秀である。実施例2−1の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できることがわかる。また、添加剤の有機化合物が、プロピレングリコールであっても、製造される消石灰の特性が優れていることが分かる。
(比較例2−2と実施例2−2)
比較例2−2と実施例2−2は、添加剤の有機化合物にジプロピレングリコールを用いた相互に対となる例である。
比較例2−2は、生石灰に対して1重量%のジプロピレングリコール(有機化合物)を添加剤として用い、無機化合物を用いていない。比較例2−2の消石灰のBET比表面積は、32.5m/gであり、COD値は、160ppmである。一方、実施例2−2は、生石灰に対して0.5重量%のジプロピレングリコール(有機化合物)と生石灰に対して1重量%のベントナイト(無機化合物)を、添加剤として用いている。実施例2−2の消石灰のBET比表面積は、35.1m/gでありCOD値は、90ppmである。
比較例2−2と実施例2−2の対比からわかる通り、添加剤として有機化合物であるジプロピレングリコールと無機化合物であるベントナイトが用いられた消石灰は、BET比表面積およびCOD値のいずれでも優秀である。実施例2−2の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できることがわかる。また、添加剤の有機化合物が、ジプロピレングリコールであっても、製造される消石灰の特性が優れていることが分かる。
(比較例2−3と実施例2−3)
比較例2−3と実施例2−3は、添加剤の有機化合物にグリセリンを用いた相互に対となる例である。
比較例2−3は、生石灰に対して1重量%のグリセリン(有機化合物)を添加剤として用い、無機化合物を用いていない。比較例2−3の消石灰のBET比表面積は、30.9m/gであり、COD値は、160ppmである。一方、実施例2−3は、生石灰に対して0.5重量%のグリセリン(有機化合物)と生石灰に対して1重量%のベントナイト(無機化合物)を、添加剤として用いている。実施例2−3の消石灰のBET比表面積は、33.0m/gでありCOD値は、90ppmである。
比較例2−3と実施例2−3の対比からわかる通り、添加剤として有機化合物であるグリセリンと無機化合物であるベントナイトが用いられた消石灰は、BET比表面積およびCOD値のいずれでも優秀である。すなわち、実施例2−3の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できることがわかる。また、添加剤の有機化合物が、グリセリンであっても、製造される消石灰の特性が優れていることが分かる。
(比較例2−4と実施例2−4)
比較例2−4と実施例2−4は、添加剤の有機化合物にグルコースを用いた相互に対となる例である。
比較例2−4は、生石灰に対して1重量%のグルコース(有機化合物)を添加剤として用い、無機化合物を用いていない。比較例2−4の消石灰のBET比表面積は、30.4m/gであり、COD値は、70ppmである。一方、実施例2−4は、生石灰に対して0.5重量%のグルコース(有機化合物)と生石灰に対して1重量%のベントナイト(無機化合物)を、添加剤として用いている。実施例2−4の消石灰のBET比表面積は、31.2m/gでありCOD値は、55ppmである。
比較例2−4と実施例2−4の対比からわかる通り、添加剤として有機化合物であるグルコースと無機化合物であるベントナイトが用いられた消石灰は、比較例2−4の消石灰に対して、BET比表面積およびCOD値のいずれでも優秀である。すなわち、実施例2−4の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できることがわかる。また、添加剤の有機化合物が、グルコースであっても、製造される消石灰の特性が優れていることが分かる。
(比較例2−5と実施例2−5)
比較例2−5と実施例2−5は、添加剤の有機化合物にトリエタノールアミンを用いた相互に対となる例である。
比較例2−5は、生石灰に対して1重量%のトリエタノールアミン(有機化合物)を添加剤として用い、無機化合物を用いていない。比較例2−5の消石灰のBET比表面積は、37.0m/gであり、COD値は、55ppmである。一方、実施例2−5は、生石灰に対して0.5重量%のトリエタノールアミン(有機化合物)と生石灰に対して1重量%のベントナイト(無機化合物)を、添加剤として用いている。実施例2−5の消石灰のBET比表面積は、35.1m/gでありCOD値は、40ppmである。
比較例2−5と実施例2−5の対比からわかる通り、添加剤として有機化合物であるトリエタノールアミンと無機化合物であるベントナイトが用いられた消石灰は、比較例2−5の消石灰に対して、COD値において優秀である。BET比表面積では、若干の低下があるものの、総合的には、ベントナイトが用いられた実施例2−5は比較例2−5よりも好適である。すなわち、実施例2−5の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できることがわかる。また、添加剤の有機化合物が、トリエタノールアミンであっても、製造される消石灰の特性が優れていることが分かる。
以上、第3実験により、添加剤の有機化合物が、本発明で列挙されている物質のいずれかに変更されても、BET比表面積およびCOD値の特性に好影響を与えることが分かる。また、有機化合物のそれぞれにおいて、有機化合物単体の添加剤に比して、有機化合物と無機化合物とによる添加剤は、BET比表面積およびCOD値において、良い結果を生じさせることも分かる。
(第4実験 無機化合物の変更による確認実験)
次に、発明者は、添加剤に用いられる無機化合物を変更した場合の、消石灰の効果を確認する実験を行った。実施例4−1〜実施例4−9のそれぞれは、60gの生石灰に、60gの水を加えて、消化温度25℃で消化工程を進めて得られる消石灰である。また、添加剤は、有機化合物と無機化合物とを含んでいる。なお、第4実験では、実験結果の統一を図るために、添加剤の有機化合物は、ジエチレングリコールで統一されている。これに対して、添加剤の無機化合物は、実施例4−1〜実施例4−9毎に変更されている。実施例4−1〜実施例4−9のそれぞれの消石灰のBET比表面積とCOD値が測定された。第4実験の結果を、表5に示す。
(実施例4−1)
実施例4−1は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−1の消石灰のBET比表面積は、41.2m/gとCOD値は、110ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてベントナイトが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−2)
実施例4−2は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のケイ酸ナトリウムを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−2の消石灰のBET比表面積は、34.7m/gとCOD値は、120ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてケイ酸ナトリウムが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−3)
実施例4−3は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のケイ酸アルミニウムを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−3の消石灰のBET比表面積は、38.5m/gとCOD値は、110ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてケイ酸アルミニウムが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−4)
実施例4−4は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のケイ酸マグネシウムを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−4の消石灰のBET比表面積は、34.1m/gとCOD値は、120ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてケイ酸マグネシウムが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−5)
実施例4−5は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%の水ガラスを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−5の消石灰のBET比表面積は、33.9m/gとCOD値は、110ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物として水ガラスが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−6)
実施例4−6は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のクリストバライトを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−6の消石灰のBET比表面積は、35.3m/gとCOD値は、120ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてクリストバライトが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−7)
実施例4−7は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%のカオリンを用いた。この添加剤によって得られた実施例4−7の消石灰のBET比表面積は、32.2m/gとCOD値は、120ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物としてカオリンが用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−8)
実施例4−8は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%の含水酸化ケイ素を用いた。この添加剤によって得られた実施例4−8の消石灰のBET比表面積は、39.2m/gとCOD値は、110ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物として含水酸化ケイ素が用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
(実施例4−9)
実施例4−9は、添加剤の有機化合物として生石灰に対して0.2重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として生石灰に対して1重量%の石炭灰を用いた。この添加剤によって得られた実施例4−9の消石灰のBET比表面積は、31.3m/gとCOD値は、110ppmである。BET比表面積は十分に大きく、COD値も、実用上十分に低い値である。
この結果から、添加剤の無機化合物として石炭灰が用いられることは、酸性ガス除去剤などに用いられる消石灰に好適であることが確認された。
以上の実施例4−1〜実施例4−9から明らかな通り、有機化合物と無機化合物を含む添加剤が用いられる場合には、無機化合物として、ベントナイト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、水ガラス、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素、石炭灰が用いられることが、好適であることが分かる。
(第5実験 有機化合物の添加量の確認)
次に、発明者は添加剤としての有機化合物の添加量の最適値を確認する実験を行った。有機化合物の例としてジエチレングリコールを用い、無機化合物の例としてベントナイトを用いた添加剤により消石灰を製造した。ここで、有機化合物の添加量の最適値を確認するために、無機化合物であるベントナイトは、生石灰に対して1重量%で固定され、有機化合物であるジエチレングリコールのみが、生石灰に対して、0.005重量%から15.0重量%の範囲で変化された。これらの手段で製造された消石灰の評価結果(BET比表面積、COD値)を、表6に示す。
表6は、ジエチレングリコールの添加量を徐々に変化させた実施例3−1〜実施例3−8の評価結果を示している。なお、第5実験では、60gの生石灰に、400gの水を加えて、温度条件60℃で消化させている。
(実施例3−1)
実施例3−1は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して0.005重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1のBET比表面積は、31.0m/gであり、COD値は、5.3ppmである。BET比表面積はそこまで小さくはないが、他の実施例に比較して小さい。このため、添加剤の有機化合物は、0.005重量%では不足していると考えられる。
(実施例3−2)
実施例3−2は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して0.01重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1と比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−2のBET比表面積は、34.1m/gであり、COD値は、5.8ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。このため、添加剤の有機化合物は、生石灰に対して0.01重量%以上であることが好ましいと考えられる。
(実施例3−3)
実施例3−3は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して0.1重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1と比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−3のBET比表面積は、35.9m/gであり、COD値は、40ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。また、実施例3−2に比較してBET比表面積が増加しており、実施例3−3の消石灰が、酸性ガス除去剤などとして用いられることは好適であると考えられる。
(実施例3−4)
実施例3−4は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して0.5重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1などと比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−4のBET比表面積は、36.8m/gであり、COD値は、110ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。また、実施例3−2、実施例3−3に比較してBET比表面積が増加しており、添加剤の有機化合物の添加量が増加することで、BET比表面積が増加することが分かる。このことより、添加剤の有機化合物の添加量が増加することは好ましいと考えられる。
もちろん、実施例3−4の消石灰が、酸性ガス除去剤などとして用いられることは好適であると考えられる。
(実施例3−5)
実施例3−5は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1などと比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−5のBET比表面積は、37.3m/gであり、COD値は、200ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。また、実施例3−2〜実施例3−4に比較してBET比表面積が増加しており、添加剤の有機化合物の添加量が増加することで、BET比表面積が増加することが分かる。このことより、添加剤の有機化合物の添加量が増加することは好ましいと考えられる。
もちろん、実施例3−5の消石灰が、酸性ガス除去剤などとして用いられることは好適であると考えられる。
(実施例3−6)
実施例3−6は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して5.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1などと比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−6のBET比表面積は、38.8m/gであり、COD値は、790ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。また、実施例3−2〜実施例3−5に比較してBET比表面積が増加しており、添加剤の有機化合物の添加量が増加することで、BET比表面積が増加することが分かる。このことより、添加剤の有機化合物の添加量が増加することは好ましいと考えられる。
もちろん、実施例3−6の消石灰が、酸性ガス除去剤などとして用いられることは好適であると考えられる。
(実施例3−7)
実施例3−7は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して10.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1などと比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−7のBET比表面積は、39.5m/gであり、COD値は、1300ppmである。実施例3−1に比較して、BET比表面積が大きく、COD値も実用性で十分に低い。また、実施例3−2〜実施例3−6に比較してBET比表面積が増加しており、添加剤の有機化合物の添加量が増加することで、BET比表面積が増加することが分かる。このことより、添加剤の有機化合物の添加量が増加することは好ましいと考えられる。
特に、BET比表面積は、実施例3−1等に比較して順調に増加しており、添加剤の有機化合物が、10.0重量%まで増加することで、得られる消石灰のBET比表面積が増加することが分かる。
(実施例3−8)
実施例3−8は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して15.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例3−1などと比較して、有機化合物のジエチレングリコールのみの添加率が増加されている。実施例3−7のBET比表面積は、39.7m/gであり、COD値は、1800ppmである。実施例3−7までと異なり、添加剤の有機化合物の添加量が増加されているにも係らず、実施例3−8では、BET比表面積の増加は収束していることが分かる。一方、COD値は増加しており、かなりの大きさである。
このことから、添加剤の有機化合物の添加量が増加することは、実施例3−7までは、BET比表面積においてメリットを生じさせていたが、15重量%となってしまうと、メリットが失われるか、COD値の増加というデメリットを生じさせるかの状態となる。この点で、実施例3−8の消石灰は、酸性ガス除去剤として使用は可能であるが、他の実施例ほど好適ではないと考えられる。
以上、実施例3−1〜実施例3−8に係る第5実験の結果から、添加剤としての有機化合物は、好ましくは生石灰に対して0.01重量%〜15.0重量%、よりこのましくは0.01重量%〜10.0重量%の範囲で添加されるのがよいと考えられる。
(第6実験 無機化合物の添加量の確認)
次に、発明者は、添加剤に用いられる無機化合物の添加量の最適値を確認した。有機化合物の例としてジエチレングリコールを用い、無機化合物の例としてベントナイトを用いた添加剤により消石灰を製造した。ここで、無機化合物の添加量の最適値を確認するために、無機化合物であるベントナイトは、生石灰に対して0重量%〜20重量%の範囲で変化され、有機化合物であるジエチレングリコールは、生石灰に対して1.0重量%で固定された。これらの手段で製造された消石灰の評価結果(BET比表面積、COD値)を、表7に示す。
表7は、上述の通りで製造された実施例5−1〜実施例5−9の消石灰の評価結果(BET比表面積およびCOD値)を示している。なお、第6実験では、60gの生石灰に、400gの水を加えて、温度条件60℃で消化させている。
(実施例5−1)
実施例5−1は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−1のBET比表面積は34.3m/gであり、COD値は、190ppmである。実施例5−1は、添加剤に無機化合物が使用されておらず、他の実施例5−2〜実施例5−9と異なりBET比表面積が小さい。すなわち、実施例5−1の消石灰は、酸性ガス除去剤などに好適に利用できにくい。
(実施例5−2)
実施例5−2は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して0.005重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−2のBET比表面積は、35m/gであり、COD値は180ppmである。添加剤として無機化合物であるベントナイトが添加されているが、添加量が少ないために、BET比表面積は、他の実施例と比較して十分であるとはいえない。このため、添加剤としての無機化合物は、0.005重量%では、最適とはいえないと考えられる。なお、この添加量での消石灰が実用できないということではない。
(実施例5−3)
実施例5−3は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して0.01重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−3のBET比表面積は、35.4m/gであり、COD値は、200ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。特に、BET比表面積は、実施例5−2に比較して大きい。
すなわち、実施例5−3の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして好適に利用できる。
(実施例5−4)
実施例5−4は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して0.1重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−4のBET比表面積は、36.8m/gであり、COD値は、190ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。加えて、実施例5−4のBET比表面積は、実施例5−2、5−3よりも大きく、無機化合物の添加量が増加することが、BET比表面積の増加に繋がっていることが分かる。
実施例5−4の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして好適に利用できる。
(実施例5−5)
実施例5−5は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−5のBET比表面積は、37.7m/gであり、COD値は、200ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。加えて、実施例5−5のBET比表面積は、実施例5−2〜実施例5−4よりも大きく、無機化合物の添加量が増加することが、BET比表面積の増加に繋がっていることが分かる。
実施例5−5の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして好適に利用できる。
(実施例5−6)
実施例5−6は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して5.0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−6のBET比表面積は、38.8m/gであり、COD値は、200ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。加えて、実施例5−6のBET比表面積は、実施例5−2〜実施例5−5よりも大きく、無機化合物の添加量が増加することが、BET比表面積の増加に繋がっていることが分かる。
実施例5−6の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして好適に利用できる。
(実施例5−7)
実施例5−7は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して10.0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−7のBET比表面積は、39.4m/gであり、COD値は、190ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。加えて、実施例5−7のBET比表面積は、実施例5−2〜実施例5−6よりも大きく、無機化合物の添加量が増加することが、BET比表面積の増加に繋がっていることが分かる。
実施例5−7の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして好適に利用できる。
また、添加される無機化合物の量が増加するに合わせて、BET比表面積も順調に増加していることが分かる。
(実施例5−8)
実施例5−8は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して15.0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−8のBET比表面積は、39.7m/gであり、COD値は、190ppmである。BET比表面積は十分な大きさを有しており、COD値も実用上で十分に低い。加えて、実施例5−8のBET比表面積は、実施例5−2〜実施例5−7よりも大きい。実施例5−8の消石灰は、酸性ガス除去剤などとして、好適に利用できることがわかる。
この結果から、添加剤の無機化合物が生石灰に対して15.0重量%であることは、消石灰のBET比表面積向上に効果があると考えられる。しかしながら、実施例5−7と異なり、実施例5−8でのBET比表面積の向上率は減少している。このことから、添加剤の無機化合物の添加量は、15.0重量%程度が、BET比表面積の向上においては限界と考えられる。
(実施例5−9)
実施例5−9は、添加剤の有機化合物として、生石灰に対して1.0重量%のジエチレングリコールを用い、添加剤の無機化合物として、生石灰に対して20.0重量%のベントナイトを用いて製造された消石灰である。実施例5−9のBET比表面積は、39.3m/gであり、COD値は、180ppmである。
BET比表面積は、無機化合物の添加量の少ない実施例5−8よりも若干減少している。このことから、無機化合物の添加量が15.0重量%を越えると、BET比表面積向上への効果は、減少していると考えられる。このため、実施例5−9の消石灰も、実用は可能であるが、コスト面なども考慮した場合には、最適な添加量であるとは言いがたい。
以上の実施例5−1〜5−9に関する第6実験の結果から、添加剤としての無機化合物は、好ましくは生石灰に対して0.01重量%〜15.0重量%、よりこのましくは0.01重量%〜10.0重量%の範囲で添加されるのがよいと考えられる。
(第7実験 有機化合物と無機化合物の相乗効果の確認)
次に、発明者は、添加剤が有機化合物と無機化合物の混合であることが、製造される消石灰に相乗効果をもたらすことを確認した。第7実験では、添加剤として有機化合物と有機化合物とを混合したもので得られる消石灰のBET比表面積の確認実験(実験その1)と、添加剤として有機化合物と無機化合物とを混合したもので得られる消石灰のBET比表面積の確認(実験その2)と、を行った。
実験その1は、添加剤に、有機化合物であるジエチレングリコールと有機化合物であるジプロピレングリコールと、を用いて製造された消石灰のBET比表面積を測定した。図2は、本発明の実施の形態1における第7実験の実験その1の結果を示すグラフである。
実験その1では、添加剤であるジエチレングリコールとジプロピレングリコールとの合計の添加量が、生石灰に対して常に1重量%となるように、ジプロピレングリコールの量を変化させている。図2のグラフの横軸は、生石灰に対するジプロピレングリコールの添加量を示している。図2のグラフの縦軸は、得られた消石灰のBET比表面積を示している。添加剤であるジエチレングリコールとジプロピレングリコールとの合計の添加量が、生石灰に対して常に1重量%であるので、横軸が左から右に行くにつれて、ジプロピレングリコールの添加量が増加し、ジエチレングリコールの添加量が減少している。
図2のグラフから明らかな通り。2種類の有機化合物であるジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールの添加割合を変えていったとしても、BET比表面積は、直線的に変化するだけである。すなわち、2種の有機化合物が添加剤として用いられても、BET比表面積への相乗効果は生じていない。
実験その2は、添加剤に、有機化合物であるジエチレングリコールと無機化合物であるベントナイトと、を用いて製造された消石灰のBET比表面積を測定した。図3は、本発明の実施の形態1における第7実験の実験その2の結果を示すグラフである。
実験その2では、添加剤であるジエチレングリコールとベントナイトとの合計の添加量が、生石灰に対して常に1重量%となるように、ベントナイトの量を変化させている。図3のグラフの横軸は、生石灰に対するベントナイトの添加量を示している。図3のグラフの縦軸は、得られた消石灰のBET比表面積を示している。添加剤であるジエチレングリコールとベントナイトとの合計の添加量が、生石灰に対して常に1重量%であるので、横軸が左から右に行くにつれて、ベントナイトの添加量が増加し、ジエチレングリコールの添加量が減少している。
図3のグラフから明らかな通り、有機化合物であるジエチレングリコールおよび無機化合物であるベントナイトの添加割合を変化させる中で、BET比表面積は、上側に凸となる曲線を示す。図3のグラフの横軸の原点は、添加剤として有機化合物のジエチレングリコールだけであり、図3のグラフの横軸の右端は、添加剤として無機化合物のベントナイトだけである状態である。グラフの曲線の両端である。これらの両端に対して、有機化合物のジエチレングリコールと無機化合物のベントナイトとが混合されている状態(グラフの両端以外)では、凸となる曲線が示される。すなわち、有機化合物と無機化合物とが混合された添加剤は、製造される消石灰のBET比表面積に相乗効果を与えていることが分かる。
このように、第7実験によって、有機化合物と無機化合物の混合である添加剤が、得られる消石灰のBET比表面積に相乗効果を与えることが確認された。
なお、ここでの実験における比較例や実施例においては、BET比表面積を、その結果の一つの基準としているが、BET比表面積は、添加剤の配合比率や構成物質によっても変化し、生石灰、水、添加剤の量によっても変動する。このため、実験結果として示した表やグラフのBET比表面積の値は、添加剤が有機化合物と無機化合物との組み合わせを含んでいることが好ましいとの傾向を示すものであって、絶対的な値であるわけではない。
以上、実施の形態1における消石灰は、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤を用いて製造される。この結果、十分に大きなBET比表面積を確保するとともにCODを低減できる。
なお、実施の形態1において実験結果として説明しているCODの値は、環境省告示46号に準じて得た溶出液をJIS K 0102 17に順次、過マンガン酸カリウムで測定した結果である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、実施の形態1で説明した消石灰の製造方法について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における消石灰の製造工程を示すブロック図である。
消石灰は、生石灰1および水3の少なくとも一方に、所定の添加剤2を混合する第1混合工程7と、生石灰1に水3を混合する第2混合工程8と、生石灰1、水3、添加剤を反応させる消化工程4と、熟成工程5および乾燥工程6を経て、製造される。
消化工程4において、生石灰1、水3および添加剤2が消化反応を生じさせる。この消化反応によって、消石灰となる物質が得られる。この消石灰となる物質が所定時間熟成された上で、乾燥させられると、最終的な消石灰が得られる。
消化工程4において用いられる添加剤2は、実施の形態1で説明したように、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせである。
ここで、添加剤2は、(1)生石灰1へ添加される、(2)水3へ添加される、(3)生石灰1と水3の混合物へ添加される、の少なくとも一つの手段で添加される。図5においては、添加剤2が生石灰1へ添加される矢印A、添加剤2が水3に添加される矢印B、添加剤2が生石灰1と水3の混合物に添加される矢印Cが示されている。添加剤2は、これら(1)〜(3)のいずれの方法で添加されても良い。
例えば、(2)のように水3に添加剤が添加される場合には、添加剤の分散および攪拌が十分に行われるので、添加剤による高い効果が期待できる。もちろん、(1)や(3)の手段によって添加剤を添加する場合でも、添加剤による効果は得られる。
また、生石灰1と水3とは、同量であってもよいし、異なる量であってもよい。生石灰1と水3とが同量である場合には、消化工程4を行う攪拌機に投入される生石灰1の量に応じて、ほぼ同量の水3の量を制御して加えることで、生石灰1と水3との消化工程が開始される。熟成工程5は、熟成機で行われる。また、乾燥工程6は、高温での長時間にわたる乾燥を避けるため、乾燥用熱風と含水消石灰が数秒から数分で接触できるスプレードライヤーや気流式乾燥機が用いられることが望ましい。
あるいは、生石灰1と水3とが異なる量である場合には、生石灰1を水3に投入してスラリー状とする。スラリー状となったものが振動篩などで分級されて、フィルタープレスなどで濾過される。この消化工程を経たあとで、消石灰は、気流乾燥機などで乾燥や分級される。このような、湿式消化法で消石灰が製造されても良い。あるいは、生石灰1に対して同量以下の水3による乾式消化法であってもよい。コストなどの面から、半湿式消化法が採用されても良いが、いずれの方法で、消石灰が製造されても良い。
以上のような製造工程を経て、消石灰は製造される。このとき、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物との組み合わせからなる添加剤が用いられることで、製造される消石灰は、BET比表面積が大きく、CODの値は小さいものである。
また、実施の形態1、2で説明された消石灰は、ごみ焼却炉などに投入される酸性ガス除去剤として利用される。特に、BET比表面積が大きいので、酸性ガスの吸着性能が高くなり、CODが低いことで、環境負荷も小さな酸性ガス除去剤として利用できる。
以上、実施の形態1〜2で説明された消石灰や消石灰の製造方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 生石灰
2 添加剤
3 水
4 消化工程
5 熟成工程
6 乾燥工程
7 第1混合工程
8 第2混合工程

Claims (6)

  1. 生石灰と水を反応させる消化工程によって製造される消石灰であって、
    前記消化工程に用いられる所定の添加剤が添加され、
    前記添加剤は、ヒドロキシル基を有する有機化合物とニ酸化ケイ素を含有する無機化合物とが組み合わされた物質を含み、
    前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量を一定とし、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量を増加させることで、BET比表面積が増加する、
    もしくは、前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の添加量を一定とし、前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量を増加させることで、BET比表面積が増加し、
    BET比表面積が、20m/g以上である、消石灰。
  2. 前記ヒドロキシル基を有する有機化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシリトース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトール、キシリトール、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンの群の少なくとも一つから選択される、請求項1記載の消石灰。
  3. 前記二酸化ケイ素を有する無機化合物は、ベントナイト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、水ガラス、クリストバライト、カオリン、含水酸化ケイ素および石炭灰からなる群の少なくとも一つから選択される、請求項1または2記載の消石灰。
  4. 前記ヒドロキシル基を有する有機化合物の群から選択される少なくとも一つの添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜10重量%である、請求項3から3のいずれか記載の消石灰。
  5. 前記二酸化ケイ素を含有する無機化合物の添加量は、前記生石灰に対して、0.01重量%〜15重量%である、請求項1から4のいずれか記載の消石灰。
  6. 請求項1から4のいずれか記載の消石灰を有効成分とする、酸性ガス除去剤。
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