図1は液晶表示装置の分解断面図である。図1において、TFT基板100に対し対向基板200が周辺においてシール材によって貼り付けられ、TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持されている。TFT基板100の下側には、位相差板160が貼り付けられ、その下側に下偏光板150が貼り付けられ、対向基板200の上側には上偏光板250が貼り付けられている。バックライト2000からの光は下偏光板150によって直線偏光に変換され、さらに、位相差板160によって、視野角特性を向上させるように、偏光光の偏光軸を変化させる。TFT基板100、対向基板200、位相差板160、下偏光板150、上偏光板250を液晶表示パネル1000と称する。なお、以下の実施例では、位相差板160はTFT基板100と下偏光板150の間に配置されるが、位相差板160は対向基板200と上偏光板250の間に配置される場合にも本発明を適用することができる。
液晶表示パネル1000の下偏光板150の下には、バックライト2000が配置している。バックライト2000は、導光板500のサイドに光源510が配置され、導光板500は、光源510からの光が液晶表示パネル1000側に向かうような構造となっている。導光板500の上には拡散シート520が配置されている。拡散シート520の役割は導光板500から液晶表示パネル1000に向かう光の輝度むらを軽減することである。拡散シート520の上には下プリズムシート530が配置され、その上には上プリズムシート540が配置されている。上プリズムシートの540上には、上拡散板550が配置している。上下プリズムシートと液晶表示パネルの映像信号線あるいは走査線との干渉によるモアレの発生を防止するためである。
下プリズムシート530には、例えば図1のx軸方向にピッチが50μm程度の線状のプリズムが形成され、上プリズムシート540には、例えば、図1のy軸方向にピッチが50μm程度の線状のプリズムが形成されている。x軸とy軸とで形成される平面の法線方向がz軸方向であり、バックライトと液晶表示パネルとはz軸方向に配置されている。上プリズムシート540、下プリズムシート530とも、液晶表示パネル1000の法線方向からずれた光を液晶表示パネル1000の法線方向に向かわせて、バックライト2000の効率を向上する役割を有する。
図2は、FFS方式の液晶表示装置における画素部の平面図である。図2において、走査線10が横方向、例えば図1のy軸方向、に延在し、縦方向に配列しており、映像信号線20が縦方向、例えば図1のx方向、に延在し、横方向に配列している。走査線10と映像信号線20で囲まれた領域に画素電極112が形成されている。
図2において、スルーホール140から半導体層103がUの字型に延在して走査線10の下を2回交差する構成となっている。半導体層103が走査線10と交差する部分がTFTのチャネル領域となっている。すなわち、この部分では走査線10がゲート電極となっている。半導体層103はスルーホール120においてコンタクト電極107と接続し、コンタクト電極107はスルーホール130において画素電極112と接続している。画素電極112は内部にスリット1121を有する櫛歯状の電極となっている。図2では、画素電極112はスリットを有する複数の櫛歯電極(線状電極)となっているが、画素電極112はスリットを有さない1本の櫛歯電極(線状電極)の場合もありうる。
図2に示す点線の矢印は後で述べる液晶の初期配向の向きを決める配向膜113の配向軸1131の方向を示している。この配向軸1131の方向は、TFT基板100側と対向基板200側とで、同じ方向となっている。配向軸1131の向きは、液晶の誘電率異方性Δεが負の場合と正の場合とで、90度異なるが、図2は誘電率異方性Δεが負の場合を示している。但し、本発明は、誘電率異方性Δεが正の場合にも同様に適用することができる。図2において、配向軸の方向は、液晶を安定させるために水平方向(y軸方向)よりもθdだけずらせてある。
図3は、画素部の断面図である。図3におけるTFTは、いわゆるトップゲートタイプのTFTであり、使用される半導体としては、LTPS(Low Temperature Poli−Si)が使用されている。図3において、ガラス基板100の上にSiNからなる第1下地膜101およびSiO2からなる第2下地膜102がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。第1下地膜101および第2下地膜102の役割はガラス基板100からの不純物が半導体層103を汚染することを防止することである。
第2下地膜102の上には半導体層103が形成される。この半導体層103は第2下地膜102の上にCVDによってa−Si膜を形成し、これをレーザアニールすることによってpoly−Si膜に変換したものである。このpoly−Si膜をフォトリソグラフィによってパターニングする。
半導体膜103の上にはゲート絶縁膜104が形成される。このゲート絶縁膜104はTEOS(テトラエトキシシラン)によるSiO2膜である。この膜もCVDによって形成される。その上にゲート電極105が形成される。ゲート電極105は図2に示す走査線10が兼ねている。半導体層は2回走査線10の下をくぐるので、図3において、ゲート電極105は2個配置している。ゲート電極105は例えば、MoW膜によって形成される。
ゲート電極105はフォトリソグラフィによってパターニングされるが、このパターニングの際に、イオンインプランテーションによって、リンあるいはボロン等の不純物をpoly−Si層にドープしてpoly−Si層にソースSあるいはドレインDを形成する。また、ゲート電極105のパターニングの際のフォトレジストを利用して、poly−Si層のチャネル層と、ソースSあるいはドレインDとの間にLDD(Lightly Doped Drain)層を形成する。局部的に電界強度が大きくなることを防止するためである。
その後、ゲート電極105を覆って第1層間絶縁膜106をSiO2によって形成する。第1層間絶縁膜106はゲート電極105とコンタクト電極107を絶縁するためである。第1層間絶縁膜106およびゲート絶縁膜104には、半導体層103をコンタクト電極107と接続するためのスルーホール120が形成される。第1層間絶縁膜106とゲート絶縁膜104にスルーホール120を形成するためのフォトリソグラフィは同時に行われる。
第1層間絶縁膜106の上には映像信号線が形成されている。映像信号線は、図2に示すスルーホール140において、半導体層103と接続している。つまり、スルーホール140とスルーホール120の間に2個のTFTが形成されていることになる。第1層間絶縁膜106の上にコンタクト電極107が映像信号線20と同層で形成される。映像信号線20およびコンタクト電極107は例えばMoWによって形成される。
映像信号線20およびコンタクト電極107を覆って無機パッシベーション膜108がSiN等で形成され、TFT全体を保護する。無機パッシベーション膜108は第1下地膜101と同様にCVDによって形成される。無機パッシベーション膜108を覆って有機パッシベーション膜109が形成される。有機パッシベーション膜109は感光性のアクリル樹脂で形成される。有機パッシベーション膜109は、アクリル樹脂の他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等でも形成することが出来る。有機パッシベーション膜109は平坦化膜としての役割を持っているので、厚く形成される。有機パッシベーション膜109の膜厚は1〜4μmであるが、多くの場合は2μm程度である。尚、有機パッシベーション膜を設ける場合、無機パッシベーション膜108を設けない場合もある。
画素電極110とコンタクト電極107との導通を取るために、無機パッシベーション膜108および有機パッシベーション膜109にスルーホール130が形成される。有機パッシベーション膜109は感光性の樹脂を使用している。感光性の樹脂を塗付後、この樹脂を露光すると、光が当たった部分のみが特定の現像液に溶解する。すなわち、感光性樹脂を用いることによって、フォトレジストの形成を省略することが出来る。有機パッシベーション膜109にスルーホール130を形成したあと、230℃程度で有機パッシベーション膜を焼成することによって有機パッシベーション膜109が完成する。
その後コモン電極110となるITO(Indium Tin Oxide)をスパッタリングによって形成し、その後、スルーホール130およびその周辺からITOを除去するようにパターニングする。コモン電極110は各画素共通に平面状に形成することが出来る。その後、第2層間絶縁膜111となるSiNをCVDによって全面に形成する。その後、スルーホール130内において、コンタクト電極107と画素電極112の導通をとるためのスルーホールを第2層間絶縁膜111および無機パッシベーション膜108に形成する。
その後、ITOをスパッタリングによって形成し、パターニングして画素電極112を形成する。画素電極112の平面形状は図3に示すとおりである。画素電極112の上に配向膜材料をフレキソ印刷あるいはインクジェット等によって塗布し、焼成して配向膜113を形成する。配向膜113の配向処理にはラビング法のほか偏光紫外線による光配向法が用いられる。配向処理による配向軸の向きは、図2に示すとおりである。
画素電極112とコモン電極110の間に電圧が印加されると図3に示すような電気力線が発生する。この電界によって液晶分子301を回転させ、液晶層300を通過する光の量を画素毎に制御することによって画像を形成する。
図3において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタが形成されており、これによってカラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成され、画像のコントラストを向上させている。なお、ブラックマトリクス202はTFTの遮光膜としての役割も有し、TFTに光電流が流れることを防止している。
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202の表面は凹凸となっているために、オーバーコート膜203によって表面を平らにしている。オーバーコート膜の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜113が形成される。配向膜113の配向処理はTFT基板100側の配向膜113と同様、ラビング法あるいは光配向法が用いられる。配向軸1131の方向は、TFT基板100側の配向軸と同じ、図2の矢印の向きである。
図4は、図1の液晶表示パネル1000の通常の構成での、下偏光板150の吸収軸1501、位相差板160の延伸軸1601方向、液晶の初期配向の方向を決める配向膜113の配向軸方向1131等を示す模式図である。図4はいわゆるe-modeを用いた液晶表示装置の場合である。図4において、液晶の配向軸1131は点線で示してあり、上偏光板250の吸収軸2501、下偏光板150の吸収軸1501、位相差板160の延伸軸1601等の角度は、液晶の配向軸1301を基準にしている。
図4において、下偏光板150の吸収軸1501は、液晶の配向軸1131に対して90度の方向となっている。なお、偏光板の吸収軸は、この方向に振動する光を吸収するという意味である。位相差板160の延伸軸1601の方向は、液晶の配向軸1131の方向と同じである。なお、位相差板160の延伸軸1601の方向が、屈折率が大きい方向であるneであり、延伸軸1601と直角方向が屈折率の小さい方向であるnoとなる。
配向膜113はTFT基板100と対向基板100とに形成されているが、配向軸1131は同じ方向である。したがって、以後、TFT基板100および対向基板200に形成されている配向膜113の配向軸1131を単に配向軸1131と称する。また、配向軸1131は、液晶の配向軸1131と呼ぶこともある。なお、図2では、配向軸1131は水平方向からθdだけ傾いているが、図4では、基準の方向という意味で、水平方向となっている。また、図4においては、液晶分子301のティルト角θtは2度である。これは配向膜113をラビング処理した場合の例である。その上に配置する上偏光板250の吸収軸2501は、液晶の配向軸1131と同じである。図4において、液晶層によって光が受ける位相差Δnは383nmである。また、位相差板の正面位相差は180nmであり、厚さ方向の位相差(Rth)は54nmである。尚、ラビング処理の場合、ラビング布で配向膜を擦る方向により液晶の配向の特性が異なるが、本願では擦る方向については適宜変更可能である。
一般には、上偏光板250の吸収軸2501、下偏光板150の吸収軸1501、位相差板160の延伸軸1601を図4に示すような角度からわずかでもずらすと、黒輝度が上がる、すなわち、コントラストが低下するので、上偏光板250の吸収軸2501、下偏光板150の吸収軸1501、位相差板160の延伸軸1601の角度のばらつきは、図4で示す値から、1度よりもかなり小さな値になるようにコントロールされる。
以上の構成は、動作モードはいわゆるe-modeの場合であるが、いわゆるo-modeの場合にも同様に本発明を適用することができる。o-modeの場合には、上偏光板250の吸収軸2501と位相差板160の延伸軸1601が配向軸方向1131と90度をなし、下偏光板150の吸収軸1501が配向軸方向1131と同じ方向になると考えればよい。
一般にFFSの場合は、視野角特性が優れており、したがって、輝度むらも小さいが、詳細に画面を観察すると、図5に示すような視野角特性が生じている。図5は黒表示をした場合の、視野角特性を等高線で表したものである。つまり、黒表示にしても、画面を見る角度によって図5に示すような輝度となる。図5において、円の周りに記載した角度は方位角を示している。また、図の点線で記載した同心円は、画面を視る方向の、画面の法線からの角度を示している。つまり、中央が画面を法線上から見た場合であり、点線の同心円は、画面の法線方向から10度ずつ傾いた角度を示している。図5において、輝度の領域が、A1、A2、A3となるにしたがって輝度が大きくなっている。図5において、輝度が見る位置によって、A1からA3まで変化している。すなわち、見る位置によって黒表示における輝度が変化するということである。
コントラストを考える場合、画面の法線方向から視た場合の、黒レベルも問題となる。すなわち、黒レベル(以後黒輝度と称する)をできるだけ沈めるには、図4に示すような構成がもっともよいと考えられている。一方、この場合の黒表示における視野角特性は、図5のようであり、用途によっては、あるいは、使用者の好みによっては問題となることもある。本発明は、上偏光板250の吸収軸の角度2501および下上偏光板150の吸収軸の角度1501、あるいは、位相差板160の延伸軸1601の角度のうち、少なくとも2つを図4の状態から変化させることによって、黒輝度の上昇を所定の値以下に抑え、かつ、黒表示における視野角特性を改善することである。
図6は、本発明の構成を説明するための模式図である。図6において、TFT基板100および対向基板200における液晶の配向軸1131を水平方向の点線で示し、基準方向としている。図6において、下偏光板150の吸収軸1501の配向軸1131との角度はyである。すなわち、yは、必ずしも90度ではなく、90度から所定の角度ずらす場合があることを示している。位相差板160の延伸軸1601の配向軸1131との角度はzである。配向膜113の配向軸1131は図4と同様である。上偏光板250の吸収軸2501の配向軸1131との角度はxである。図6において、液晶層によって光が受ける位相差Δnは383nmである。また、位相差板160の正面位相差は180nmであり、厚さ方向の位相差(Rth)は54nmである。
図7は、視野角特性を改善するために、上偏光板250の吸収軸1501、位相差板160の延伸軸1601、下偏光板150の吸収軸1501のいずれか一つを図4に示す基準角度からずらした場合の、画面の法線方向における黒レベル、すなわち、黒輝度の変化を示す。図7における縦軸は黒輝度であり、単位はnit(cd/m2)である。横軸は、上偏光板250の場合は、吸収軸2501が配向軸方向1131となす角度、すなわち、図6におけるx、位相差板160の場合は、延伸軸1601が配向軸1131となす角度、すなわち、図6におけるz、下偏光板150の場合は、配向軸1501とのなす角度、すなわち、図6におけるyである。
図7において、上偏光板2501を基準の角度、すなわち、液晶の配向軸の方向1131からずらすと黒輝度が上昇するが、3度ずらした場合、0.11nit程度に上昇する。なお、この場合は、位相差板160の延伸軸方向1601と下偏光板150の吸収軸1501は基準のままである。上偏光板2501を基準の角度から3度ずらした時の視野角特性は図8に示すようである。図8において、B1、B2、B3となるにしたがって、輝度が大きくなっていることを示している。図8に示す視野角特性は、従来例である図5と比較してもあまり改善はみられない。
なお、図7に示すように、上偏光板250の吸収軸の角度2501、下偏光板150の吸収軸1501の角度、位相差板160の延伸軸1601の角度度によって、各ケースにおいて、基準となる黒輝度が異なってくる。したがって、以下に示す、図8と同様な視野角特性を示すチャートにおけるベースの輝度は、各ケースにおいて、異なってくるので、各等高線の値は、図ごとに異なっている。例えば、図5においては、等高線で示される輝度はA1、A2等であり、図8においては、等高線で示される輝度はB1、B2等である。以下の同様なチャートにおいても同様である。
図7において、位相差板160の延伸軸1601を基準の角度、すなわち、液晶の配向軸1131の方向からずらすと黒輝度が上昇するが、3度ずらした場合、0.3nit程度に上昇する。なお、この場合は、上偏光板250の吸収軸2501と下偏光板150の吸収軸1501は基準のままである。一方、この時の視野角特性は図9に示すようであり、C1、C2、C3、C4等の順に輝度が大きくなっていくことを示している。
図7において、下偏光板150を基準の角度、すなわち、液晶の配向軸1131の方向からずらすと黒輝度が上昇するが、3度ずらした場合、0.11nit程度に上昇する。なお、この場合は、位相差板160の延伸軸方向1601と上偏光板250の吸収軸2501は基準のままである。一方、この時の視野角特性は図10に示すようであり、D1、D2、D3等にしたがって、輝度が大きくなっている。
以上のように、上偏光板250、位相差板160、下偏光板150のいずれか一つだけを基準の角度からずらしても、黒輝度は上昇してしまう場合がある。
一方、上偏光板250の吸収軸2501、位相差板160の延伸軸1601、下偏光板150の吸収軸1501のうちの、少なくとも2つを基準の方向から連動してずらすことによって、黒輝度の上昇を抑えるとともに、視野角特性の改善を図ることができる。また、本発明においては、上偏光板250の偏光軸2501、下偏光板150の偏光軸1501、位相差板160の延伸軸1601のうち、少なくとも2つを図4に示す方向よりも1度以上45度以下傾けることを特徴としている。上偏光板250の吸収軸2501、位相差板160の延伸軸1601、下偏光板150の吸収軸1501のうちの、少なくとも2つを基準の方向からずらす場合、そのずらし方が問題となる。
図11は、上偏光板250の吸収軸2501、位相差板160の延伸軸1601、下偏光板150の吸収軸1501のうちの、少なくとも2つを基準の方向からずらしたとき、黒輝度が上昇しないように、2つの要素をずらす量を同じ割合でずらした場合である。例えば、上偏光板250の吸収軸2501を1度ずらす場合に、下偏光板150の吸収軸1501も1度ずらすような場合である。
図11において、(A+C)とは、位相差板160の延伸軸1601の角度を基準角度に保ち、上偏光板250の吸収軸2501と下偏光板150の吸収軸150の角度を基準角度からずらした場合の黒輝度の変化を示すものである。(A+B)とは、下偏光板150の吸収軸1501を基準角度に保ち、上偏光板250の吸収軸2501と位相差板160の延伸軸1601の角度を基準角度からずらした場合の黒輝度の変化を示すものである。(B+C)とは、上偏光板250の吸収軸2501の角度を基準位置に保ち、位相差板160の延伸軸1601と下偏光板150の吸収軸1501を基準位置からずらした場合の黒輝度の変化を示すものである。
図11において、(A+C)、すなわち、位相差板160の延伸軸1601の角度を基準角度に保ち、上偏光板250の吸収軸2501と下偏光板150の吸収軸1501を基準角度からずらした場合の黒輝度の変化は、図7に示す上偏光板250、位相差板160、下偏光板150の各一枚のみの軸をずらす場合よりも大幅に小さくっている。一方、図11における、(A+B)、(B+C)の場合は、図7に示す上偏光板250、又は、下偏光板150の各一枚のみの軸をずらす場合とほぼ同等である。
本発明の他の特徴は、上偏光板250の吸収軸2501、位相差板160の延伸軸1601、下偏光板150の吸収軸1501のうちの、少なくとも2つを基準の方向からずらすとき、黒輝度が上昇しないように、2つのずらす量を異ならせることである。
図12は、位相差板160の延伸軸1601を基準方向に固定し、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向からxずらし、下偏光板150の吸収軸1501を基準方向からyずらした場合に、黒輝度を最も小さくするためのxとyの関係を示すものである。つまり、図11は、y=ax+90の関係とした場合、aがどの程度のときに、黒輝度が小さくなるかを示すものである。ここで、aは、xの量とyの量の比率を示すものである。図12において、黒輝度を最も小さくするaの値は0.9である。また、図12より、0.9±0.09の範囲であれば、黒輝度は充分に小さく保つことができるといえる。
図13は、a=0.9において、xを変化させた場合に、黒輝度がどのように変化するかを示すグラフである。つまり、位相差板160の延伸軸1601を基準の位置に保ち、xとyの値をy=ax+90の関係に保つようにして、xの値を変化させた場合の黒輝度の変化である。図13の黒輝度は、図7の場合よりも大幅に改善され、図11の場合の(A+C)よりも若干改善されている。図13において、xが3度の場合、黒輝度は0.043nit程度である。
この時の視野角特性を図14に示す。つまり、図14は、位相差板160の延伸軸1601を基準に保ち、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向からxすなわち、3度ずらし、下偏光板150の吸収軸1501をy=ax+90とした場合の視野角特性を示すものである。図14に示す視野角特性の定義は、図5等で説明したのと同様である。
図14に示すように、この場合の視野角特性は、特定の方位角において、画面の法線方向からの角度が大きい場合に、従来の例に比較して悪化している部分があるが、全体としては、視野角特性が一様になっている部分が広がっている。図14において、E1、E2、E3等にしたがって、輝度が大きくなっている。
図15は、下偏光板150の吸収軸1501を配向軸1131と90度の方向に固定し、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向からxずらし、位相差板160の延伸軸1601をz=bxだけ基準方向からずらした場合に、黒輝度を最も小さくするためのxとzの関係を示すものである。つまり、図15は、z=bxの関係とした場合、bがどの程度のときに、黒輝度が小さくなるかを示すものである。ここで、bは、xの量とzの量の比率を示すものである。図15において、黒輝度を最も小さくするbの値は0.5である。また、図15より、bが0.5±0.05の範囲であれば、黒輝度は充分に小さく保つことができるといえる。
図16は、b=0.5において、xを変化させた場合に、黒輝度がどのように変化するかを示すグラフである。つまり、下偏光板150の吸収軸1501を基準の位置に保ち、xとzの値をz=bxの関係に保つようにして、xの値を変化させた場合の黒輝度の変化である。図16の黒輝度は、図7の場合よりも大幅に改善され、図11の場合の(A+C)よりも若干改善されている。
図16において、xが3度の場合、黒輝度は0.043nit程度である。この時の視野角特性を図17に示す。つまり、図17は、下偏光板150の吸収軸1501を配向軸1131と90度の方向に保ち、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向からxすなわち、3度ずらし、位相差板160の延伸軸1601をz=bxとした場合の視野角特性を示すものである。図17に視野角特性の定義は、図5等で説明したのと同様である。
図17において、F1、F2、F3等にしたがって、輝度が大きくなっている。図17に示すように、この場合の視野角特性は、特定の方位角において、画面の法線方向からの角度が大きい場合に、従来の例に比較して悪化している部分があるが、全体としては、視野角特性が一様になっている部分が広がっている。
図18は、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向に固定し、下偏光板150の吸収軸1501を基準方向からyずらし、位相差板160の延伸軸1601をz=c(y−90)だけ基準方向からずらした場合に、黒輝度を最も小さくするためのyとzの関係を示すものである。つまり、図18は、z=c(y−90)の関係とした場合、cがどの程度のときに、黒輝度が小さくなるかを示すものである。ここで、cは、yの量とzの量の比率を示すものである。図18において、黒輝度を最も小さくするcの値は0.5である。また、図18より、cが0.5±0.05の範囲であれば、黒輝度は充分に小さく保つことができるといえる。
図19は、c=0.5において、yを変化させた場合に、黒輝度がどのように変化するかを示すグラフである。つまり、下偏光板150の吸収軸1501を基準の位置に保ち、yとzの値をz=c(y−90)の関係に保つようにして、yの値を変化させた場合の黒輝度の変化を示すものである。図19の黒輝度は、図7の場合よりも大幅に改善され、図11の場合の(A+C)よりも若干改善されている。
図19において、yが93.5度の場合、黒輝度は0.056nit程度である。この時の視野角特性を図20に示す。つまり、図20は、上偏光板250の吸収軸2501を基準方向に保ち、下偏光板150の吸収軸1501を基準方向からyすなわち、93.5度とし、位相差板160の延伸軸1601をz=c(y−90)とした場合の視野角特性を示すものである。図20に視野角特性の定義は、図5等で説明したのと同様である。
図20に示すように、この場合の視野角特性は、特定の方位角において、画面の法線方向からの角度が大きい場合に、従来の例に比較して悪化している部分があるが、全体としては、視野角特性が一様になっている部分が広がっている。図20において、G1、G2、G3等にしたがって、輝度が大きくなっている。
以上説明したように、上偏光板と下偏光板と位相差板を有するFFS方式の液晶表示装置において、上偏光板の吸収軸、下偏光板の吸収軸、位相差板の延伸軸のうちのいずれか2つを基準の位置からずらすことによって、黒輝度の上昇を許容範囲におさえつつ、視野角特性の向上を図ることができる。
なお、FFSの構造を説明する図3では、カラーフィルタは対向基板に形成されているが、カラーフィルタがTFT基板に形成されている場合も本発明を適用することができる。
以上の説明では、液晶表示装置はいわゆるe-modeを使用するということで説明した。しかし、本発明は、いわゆるo-modeを使用する場合にも適用することができる。o-modeにおいては、図4における上偏光板250の吸収軸2501は配向軸1131と90度であり、下偏光板150の吸収軸1501は配向膜113の配向軸1131と同じ方向であり、位相差板160の延伸軸1601は配向軸1131と90度の方向となる。そして、配向軸1131の方向を基準角度とした場合、図6のような配置において、上偏光板250と下偏光板150を連動して回転させる場合、上偏光板250の吸収軸2501の基準角度からのずれをxとし、下偏光板150の吸収軸1501の配向軸1131からの角度をyとしたとき、y=ax+90の関係となる。また、上偏光板250と位相差板160を連動して回転する場合、上偏光板250の吸収軸250の基準角度からのずれをxとし、位相差板160の延伸軸1601の基準角度からのずれをzとした場合、z=bxとなる。さらに、下偏光板150と位相差板160を連動して回転する場合、下偏光板150の吸収軸1501の基準角度からのずれをyとし、位相差板160の延伸軸1601の基準角度からのずれをzとした場合、z=c(y−90)となる。この場合のa、b、cの値は、e-modeで説明した値と同様になる。つまり、上偏光板250、位相差板160、下偏光板150の連動の仕方は、e-mode、o-modeとも同じになる。