JP2016125729A - 蓄熱式空気調和機 - Google Patents

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安尾 晃一
Koichi Yasuo
晃一 安尾
修二 藤本
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修二 藤本
柯壁 陳
Kebi Chen
柯壁 陳
拓哉 中尾
Takuya Nakao
拓哉 中尾
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Abstract

【課題】低コスト化を実現するため、夜間に蓄熱運転を行う蓄熱式空気調和機を提供する。
【解決手段】蓄熱式空気調和機10は、蓄冷運転を行う。蓄冷運転では、冷媒回路11では凝縮器となる室外熱交換器22から蒸発器となる蓄熱用熱交換器37へと冷媒が循環すると共に、蓄熱回路61では蓄熱用熱交換器37にて冷却された蓄熱媒体が蓄熱タンク62に貯留するように蓄熱媒体が循環する。コンローラ100は、夜間に、上記蓄冷運転を実行させつつ圧縮機21を所定の下限容量で運転させる制御を行う。
【選択図】図4

Description

本発明は、蓄熱媒体の蓄熱作用を利用して冷熱を蓄える蓄熱式空気調和機に関するものである。
特許文献1に示すように、蓄熱媒体を冷熱源として利用して室内の空調を行う蓄熱式空気調和機が知られている。特許文献1では、蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンクの中に、冷媒が通過する流路を有する蓄熱用熱交換器が配置されている。蓄熱媒体は、例えば蓄冷運転時、冷媒によって冷却されて蓄熱タンク内に蓄えられる。
特許第4407582号公報
ところで、蓄冷運転を、昼間よりも気温が低く電気料金が安い夜間に行う蓄熱式空気調和機が知られている。このような空気調和機では、一般的には、蓄熱タンク等が比較的大容量であるが、蓄熱タンクや蓄熱用熱交換器等のサイズを小さくすることで全体的にコストを抑えることが望まれる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、夜間に蓄熱運転を行える蓄熱式空気調和機において、低コスト化を実現することである。
第1の発明は、冷却によって固体成分が生成される蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク(62)と、上記蓄熱媒体を冷却可能な蓄熱用熱交換器(37)と、該蓄熱タンク(62)及び該蓄熱用熱交換器(37)の間で上記蓄熱媒体を循環させるポンプ(63)とを有する蓄熱回路(61)と、容量可変式の圧縮機(21)と、冷媒と空気とを熱交換させる室外熱交換器(22)と、冷媒と上記蓄熱媒体とを熱交換させる上記蓄熱用熱交換器(37)とを有する冷媒回路(11)と、上記冷媒回路(11)では凝縮器となる上記室外熱交換器(22)から蒸発器となる上記蓄熱用熱交換器(37)へと冷媒が循環すると共に、上記蓄熱回路(61)では上記蓄熱用熱交換器(37)にて冷却された上記蓄熱媒体が上記蓄熱タンク(62)に貯留するように上記蓄熱媒体が循環する蓄冷運転、を実行可能に制御する運転制御部(100)とを備え、上記運転制御部(100)は、夜間に、上記蓄冷運転を実行させつつ上記圧縮機(21)を所定の下限容量で運転させる制御を行うことを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
これにより、蓄熱タンク(62)には、夜間の時間帯を長時間使って冷熱がゆっくりと蓄えられる。そのため、蓄熱タンク(62)のサイズ、蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(即ち熱交換面積)、及びポンプ(63)の容量を従来に比して小さくしても、問題なく冷熱を蓄えることができる。従って、蓄熱タンク(62)、蓄熱用熱交換器(37)及びポンプ(63)を有する蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記所定の下限容量は、上記圧縮機(21)の回転数が許容下限値である場合の容量値であることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
本発明によれば、蓄熱タンク(62)、蓄熱用熱交換器(37)及びポンプ(63)を有する蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストが抑えられる。
図1は、蓄熱式空気調和機の構成図である。 図2は、単純冷房運転時の冷媒の流れを表す図である。 図3は、単純暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。 図4は、蓄冷運転時の冷媒及び蓄熱媒体の各流れを表す図である。 図5は、利用冷房運転時の冷媒及び蓄熱媒体の各流れを表す図である。 図6は、冷房蓄冷運転時の冷媒及び蓄熱媒体の各流れを表す図である。 図7は、蓄冷運転及び冷房蓄冷運転が行われる時間帯と、各運転時の圧縮機の回転数とを表す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
≪実施形態≫
<概要>
本実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、後述する蓄熱タンク(62)に冷熱を蓄えたり、蓄えた冷熱を利用して室内を冷房したりすることができるシステムである。更に、蓄熱式空気調和機(10)は、蓄熱タンク(62)に冷熱を蓄えながらも室内の冷房を行うことができる。
図1に示すように、蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20a)と、室内ユニット(20b)と、蓄熱ユニット(50)と、コントローラ(100)(運転制御部に相当)とで構成されており、冷媒回路(11)及び蓄熱回路(61)を有する。
コントローラ(100)は、蓄熱式空気調和機(10)の運転を制御するためのものである。コントローラ(100)は、冷媒回路(11)の圧縮機(21)や蓄熱回路(61)の循環ポンプ(63)の駆動制御、複数の開閉弁(25,39,40,41)の開閉制御等を行う。
<冷媒回路の構成>
冷媒回路(11)には冷媒が充填されており、冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。図1に示すように、冷媒回路(11)は、主として、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、室外側過冷却熱交換器(24)、第1開閉弁(25)、蓄熱側過冷却熱交換器(29)、室内膨張弁(26)、室内熱交換器(27)及び四方切換弁(28)により構成されている。このうち、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、室外側過冷却熱交換器(24)及び四方切換弁(28)は、室外ユニット(20a)に設けられ、室内膨張弁(26)及び室内熱交換器(27)は、室内ユニット(20b)に設けられている。第1開閉弁(25)及び蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、蓄熱ユニット(50)に設けられている。
圧縮機(21)は冷媒を圧縮して吐出する。圧縮機(21)は、容量可変式であって、図示しないインバータ回路によって回転数(運転周波数)が変更される。
室外熱交換器(22)は、配管(12)を介して四方切換弁(28)と接続されている。室外熱交換器(22)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式であって、室外ユニット(20a)に設けられた室外ファン(22a)によって室外空気が供給されると、当該室外空気と冷媒との熱交換を行う。
室外膨張弁(23)は、配管(13)を介して室外熱交換器(22)と接続され、配管(14a)を介して室外側過冷却熱交換器(24)と接続されている。室外膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の流量を調整する。
室外側過冷却熱交換器(24)は、配管(14a)を介して室外膨張弁(23)と接続された高圧側通路(24a)と、高圧側通路(24a)の入口側及び圧縮機(21)の吸入側に接続された低圧側通路(24b)とを有する。室外側過冷却熱交換器(24)は、高圧側通路(24a)及び低圧側通路(24b)それぞれを流れる冷媒同士が熱交換を行うことで高圧側通路(24a)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。低圧側通路(24b)に流れる冷媒の流量は、膨張弁(24c)によって調節される。
第1開閉弁(25)は、配管(14b)を介して室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)に接続され、配管(14c)を介して蓄熱側過冷却熱交換器(29)と接続されている。第1開閉弁(25)は、例えば電磁弁で構成されており、配管(14b,14c)の間の冷媒の流れを許容または停止させるものである。第1開閉弁(25)に並列に、逆止弁(25a)が接続されている。逆止弁(25a)は、後述する単純暖房運転時に、蓄熱側過冷却熱交換器(29)側から室外側過冷却熱交換器(24)側に向けて冷媒が流れるように設けられている。
蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、高圧側通路(29a)と低圧側通路(29b)とを有する。高圧側通路(29a)の一端は配管(14c)に接続され、他端は配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に接続されている。低圧側通路(29b)の一端は配管(17)を介して高圧側通路(29a)の入口側に接続され、他端は配管(16)(圧縮機(21)の吸入側)に接続されている。蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、高圧側通路(29a)及び低圧側通路(29b)それぞれを流れる冷媒同士が熱交換を行うことで高圧側通路(29a)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。低圧側通路(29b)に流れる冷媒の流量は、配管(17)上に設けられている膨張弁(29c)によって調節される。
室内膨張弁(26)は、配管(15)を介して室内熱交換器(27)と接続されている。室内膨張弁(26)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の循環量を調整する。
室内熱交換器(27)は、配管(16)を介して四方切換弁(28)と接続されている。室内熱交換器(27)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式であって、室内ユニット(20b)に設けられた室内ファン(27a)によって室内空気が供給されると、当該空気と冷媒との熱交換を行う。室内熱交換器(27)によって熱交換された後の空気は、再び室内に供給される。
四方切換弁(28)は、4つのポートを有する。具体的に、四方切換弁(28)の第1ポートは、圧縮機(21)の吐出側に接続され、四方切換弁(28)の第2ポートは、図示しないアキュムレータを介して圧縮機(21)の吸入側に接続されている。四方切換弁(28)の第3ポートは、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に接続され、四方切換弁(28)の第4ポートは、配管(16)を介して室内熱交換器(27)に接続されている。四方切換弁(28)は、蓄熱式空気調和機(10)の運転種類に応じて、各ポートの接続状態を第1状態(図1の実線で示す状態)または第2状態(図1の破線で示す状態)に切り換える。
<バイパス流路の構成>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、バイパス流路(31)を含む。バイパス流路(31)は、室内熱交換器(27)に並列に接続されており、内部を冷媒が通過する。具体的に、バイパス流路(31)の一端は、室外側過冷却熱交換器(24)と第1開閉弁(25)との間の配管(14b)に接続されている。バイパス流路(31)の他端は、室内熱交換器(27)と四方切換弁(28)の第4ポートとの間の配管(16)に接続されている。バイパス流路(31)は、主として、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)、蓄熱用膨張弁(38)、及び第2〜第3開閉弁(39,40)を有する。
予熱用熱交換器(36)は、冷媒側通路(36a)と蓄熱側通路(36b)とを有する。冷媒側通路(36a)は、配管(32)上、つまりはバイパス流路(31)の一端と蓄熱用膨張弁(38)との間に位置し、内部には冷媒が流れる。蓄熱側通路(36b)は、蓄熱回路(61)に直列に接続され、内部には蓄熱媒体(後述)が流れる。予熱用熱交換器(36)は、冷媒と蓄熱媒体との熱交換を行う。つまり、予熱用熱交換器(36)は、蓄熱用熱交換器(37)にて熱交換する前の冷媒を、蓄熱媒体と熱交換させる。
蓄熱用熱交換器(37)は、冷媒側通路(37a)と蓄熱側通路(37b)とを有する。冷媒側通路(37a)は、配管(33)上において蓄熱用膨張弁(38)と第3開閉弁(40)との間に位置し、内部には冷媒が流れる。蓄熱側通路(37b)は、蓄熱回路(61)に直列に接続され、内部には蓄熱媒体が流れる。蓄熱用熱交換器(37)は、冷媒と蓄熱媒体との熱交換を行うことで、蓄熱媒体を冷却等することができる。つまり、蓄熱用熱交換器(37)は、予熱用熱交換器(36)にて熱交換した後の冷媒を、蓄熱媒体と熱交換させる。
蓄熱用膨張弁(38)は、予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)と蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)との間に接続されている。蓄熱用膨張弁(38)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の圧力及び循環量を調整する。
第2開閉弁(39)は、逆止弁(39a)と直列に接続されている。互いに直列接続された第2開閉弁(39)及び逆止弁(39a)は、蓄熱用膨張弁(38)に対し並列に接続されている。逆止弁(39a)は、予熱用熱交換器(36)側から蓄熱用熱交換器(37)側への冷媒の流れのみを許容する。第3開閉弁(40)は、配管(34)上に設けられている。なお、配管(34)の一端は、配管(33)に接続され、配管(34)の他端は、配管(16)に接続されている。
なお、蓄熱用膨張弁(38)に並列に、圧力逃がし弁(44)が設けられている。圧力逃がし弁(44)は、例えば蓄熱式空気調和機(10)の運転停止時、蓄熱用熱交換器(37)側の圧力が許容値を超えた場合に、当該圧力を放出させるための弁である。
<第1分岐流路>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、第1分岐流路(35)を更に含む。第1分岐流路(35)の一端は、バイパス流路(31)における配管(33,34)の接続ポイントに接続され、第1分岐流路(35)の他端は、配管(14c)に接続されている。第1分岐流路(35)は、主として、第4開閉弁(41)及び逆止弁(41a)を有する。第4開閉弁(41)及び逆止弁(41a)は、互いに直列に接続されている。逆止弁(41a)は、配管(33)側から配管(14c)側への冷媒の流れのみを許容する。
<第2分岐流路>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、第2分岐流路(42)を更に含む。第2分岐流路(42)の一端は、バイパス流路(31)における配管(33,34)の接続ポイント、つまりはバイパス流路(31)と第1分岐流路(35)との接続ポイントに接続されている。第2分岐流路(42)の他端は、配管(16)に接続されている。第2分岐流路(42)は、主として、蒸発圧力調整弁(43)を有する。蒸発圧力調整弁(43)は、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発圧力を調整するための弁であって、例えば膨張弁で構成されている。
なお、蒸発圧力調整弁(43)は、基本的には全閉状態を保っている。
<蓄熱回路の構成>
蓄熱回路(61)には蓄熱媒体が充填されており、蓄熱媒体を循環させて冷熱を蓄熱する蓄冷サイクル等が行われる。蓄熱回路(61)は、主として、蓄熱タンク(62)及び循環ポンプ(63)の他に、上述した予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)の各蓄熱側通路(36b,37b)によって構成されている。
ここで、蓄熱媒体について説明する。蓄熱媒体には、冷却によって固体成分(例えば包接水和物)が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。この蓄熱媒体は、冷却によって0℃より高く20℃より低い温度にて固体成分が生成されるものであることができる。固体成分とは、その融点において液体から相転移(潜熱変化)し、発熱した状態にある成分を言い、ここでは包接水和物を例に取る。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ちスラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
本実施形態では、上記蓄熱媒体として、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を採用している。特に、上記蓄熱媒体は、調和濃度の近傍の濃度を有する媒体であることが好ましい。本実施形態では、調和濃度を約40%とする。この場合の臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は、約12℃である。
なお、蓄熱媒体の濃度に応じて、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は変化する。例えば、蓄熱媒体の濃度が約20%である場合、水和物生成温度は約8.5℃となる。調和濃度とは、包接水和物が生成される前後において、水溶液の濃度が変化しない濃度を意味する。
蓄熱タンク(62)は、中空の容器であって、蓄熱媒体を貯留する。例えば、蓄熱タンク(62)は、両端が閉塞された円筒状に形成され、その軸方向が上下方向となるように配置されている。蓄熱タンク(62)には、流出口と流入口とが形成されており、流出口は、例えば流入口よりも上方に位置している。
循環ポンプ(63)は、蓄熱回路(61)において、蓄熱タンク(62)、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)の間で蓄熱媒体を循環させる。蓄熱媒体の循環方向は、蓄熱タンク(62)から流出した蓄熱媒体が予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)を通過し、更にその後に循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)を通過して、蓄熱タンク(62)に流入する方向となっている。循環ポンプ(63)の運転のオン及びオフや蓄熱媒体の流量は、コントローラ(100)によって制御される。
以上の構成により、蓄熱回路(61)は、閉回路となっている。
<蓄熱式空気調和機の運転動作>
蓄熱式空気調和機(10)の運転種類としては、単純冷房運転、単純暖房運転、蓄冷運転、利用冷房運転、及び冷房蓄冷運転が挙げられる。コントローラ(100)は、これらの各運転が行われるように、冷媒回路(11)及び蓄熱回路(61)における各種機器を制御する。
単純冷房運転とは、冷媒回路(11)の冷房サイクルによって得られる冷熱のみを用いて室内の冷房を行う運転である。単純暖房運転とは、冷媒回路(11)の暖房サイクルによって得られる温熱のみを用いて室内の暖房を行う運転である。蓄冷運転とは、蓄熱回路(61)の蓄冷サイクルによって得られる冷熱を蓄熱タンク(62)に蓄える運転である。利用冷房運転とは、蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体を冷熱源として用いて室内の冷房を行う運転である。冷房蓄冷運転は、蓄熱回路(61)においては蓄冷サイクルで得られる冷熱を蓄熱タンク(62)に貯留しながら、冷媒回路(11)においては冷房サイクルで得られる冷熱のみを用いて室内の冷房を行う運転である。即ち、冷房蓄冷運転では、蓄冷と冷房とが同時に行われる。
−単純冷房運転−
図2に示されるように、単純冷房運転では、冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)が凝縮器となり室内熱交換器(27)が蒸発器となる冷房サイクルを行う。バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)には冷媒は流入せず、蓄熱回路(61)は蓄熱媒体を循環させない。具体的に、バイパス流路(31)では、蓄熱用膨張弁(38)の開度は全閉状態に設定され、バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)の開閉弁(39,41)は閉状態に設定される。但し、バイパス流路(31)の開閉弁(40)は、蓄熱熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)に冷媒が溜まることを防ぐため、開状態に設定される。蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)は停止する。
冷媒回路(11)では、四方切換弁(28)が第1状態に設定され、第1開閉弁(25)は開状態に設定される。室外膨張弁(23)の開度は全開状態に設定され、蓄熱側過冷却熱交換器(29)の膨張弁(29c)は全閉状態、室内膨張弁(26)の開度は所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)に設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)を通過する間に室外空気に放熱して凝縮する。室外熱交換器(22)にて凝縮された冷媒は、配管(13)及び室外膨張弁(23)を介して室外側過冷却熱交換器(24)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14b,14c,14d)、第1開閉弁(25)及び蓄熱側過冷却熱交換器(29)の高圧側通路(29a)を介して室内膨張弁(26)に流入し、室内膨張弁(26)にて減圧される。室内膨張弁(26)にて減圧された冷媒は、配管(15)を介して室内熱交換器(27)に流入し、室内熱交換器(27)を通過する間に室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。室内熱交換器(27)にて蒸発した冷媒は、配管(16)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
−単純暖房運転−
図3に示されるように、単純暖房運転では、冷媒回路(11)は、室内熱交換器(27)が凝縮器となり室外熱交換器(22)が蒸発器となる暖房サイクルを行う。単純冷房運転と同様、バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)には冷媒は流入せず、蓄熱回路(61)は蓄熱媒体を循環させない。
冷媒回路(11)では、四方切換弁(28)が第2状態に設定される。室内膨張弁(26)の開度は、所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過冷却度が目標過冷却度となる開度)に設定される。各過冷却熱交換器(29,24)の膨張弁(29c,24c)は全閉状態、第1開閉弁(25)は閉状態、室外膨張弁(23)の開度は所定の開度(室外熱交換器(22)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)に設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(16)を介して室内熱交換器(27)に流入し、室内熱交換器(27)を通過する間に室内空気に放熱して凝縮する。この時、室内空気は温められる。室内熱交換器(27)にて凝縮された冷媒は、各種配管(15,14d~14a)、室内膨張弁(26)、各過冷却熱交換器(29,24)の高圧側通路(29a,24a)、及び逆止弁(25a)を介して室外膨張弁(23)に流入し、室外膨張弁(23)にて減圧される。減圧後の冷媒は、配管(13)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)を通過する間に室外空気から吸熱して蒸発する。蒸発後の冷媒は、配管(12)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
−蓄冷運転−
図4に示すように、蓄冷運転では、室外熱交換器(22)及び予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)にて凝縮及び冷却された冷媒が、蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)にて蒸発することで、蓄熱側通路(37b)内の蓄熱媒体が冷却されて蓄熱タンク(62)に貯留される。冷媒回路(11)では、冷媒がバイパス流路(31)に流れるが、第1分岐流路(35)には流れない。即ち、冷媒回路(11)では、凝縮器となる室外熱交換器(22)側から蒸発器となる蓄熱用熱交換器(37)側へと冷媒が循環する。蓄熱回路(61)は、蓄熱用熱交換器(37)にて冷却された蓄熱媒体が蓄熱タンク(62)に貯留するように蓄熱媒体を循環する蓄冷サイクルを行う。
具体的に、四方切換弁(28)は第1状態、第3開閉弁(40)は開状態に設定され、第2開閉弁(39)及び第4開閉弁(41))は閉状態に設定される。なお、第1開閉弁(25)は、開状態に設定される。第1開閉弁(25)が開状態となることにより、バイパス流路(31)への分岐点から室内膨張弁(26)までの配管(液管)に液冷媒が溜まり込み、この配管内の冷媒が単純冷房運転時と同じ状態になり、余剰冷媒の発生が防止されるためである。また、室外膨張弁(23)の開度は全開状態、各過冷却熱交換器(24,29)の膨張弁(24c,29c)は全閉状態、室内膨張弁(26)の開度は全閉状態、蓄熱用膨張弁(38)の開度は所定の開度(蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)の出口における冷媒の蒸発温度が目標蒸発温度となる開度)にそれぞれ設定される。圧縮機(21)は概ね一定の回転数で作動する。室外ファン(22a)は作動し、室内ファン(27a)は停止する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)にて室外空気に放熱して凝縮する。凝縮された冷媒は、配管(13,14a)、室外膨張弁(23)及び室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)を介して配管(14b)に流れる。第1開閉弁(25)が開状態であるため、当該冷媒は、配管(14b)におけるバイパス流路(31)への分岐点から室内膨張弁(26)に至るまでの配管に溜まり込むとともに、バイパス流路(31)側へも流入し、予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)にて更に冷却される。予熱用熱交換器(36)から流出された冷媒は、蓄熱用膨張弁(38)にて減圧され、その後蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)にて蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、第3開閉弁(40)及び配管(34)を介してバイパス流路(31)から流出し、配管(16)に流入する。その後、冷媒は、四方切換弁(28)を介して圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)が作動する。蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体は、該タンク(62)から流出して予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)に流入する。蓄熱側通路(36b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(36a)を流れる冷媒によって加熱される。加熱された蓄熱媒体は、循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)に流入する。蓄熱側通路(37b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(37a)を流れる冷媒によって冷却される。冷却された蓄熱媒体は、蓄熱タンク(62)内に流入する。このようにして、蓄熱タンク(62)には冷熱が蓄えられる。
−利用冷房運転−
図5に示すように、利用冷房運転では、蓄熱タンク(62)に蓄えられた冷熱と冷媒回路(11)の冷凍サイクルによって得られる冷熱とを用いて室内の冷房が行われる。つまり、室外熱交換器(22)にて凝縮及び冷却された冷媒が、更に予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)にて蓄熱媒体から冷熱を得た後に室内熱交換器(27)にて蒸発することで、室内空気が冷却される。蓄熱回路(61)は、蓄熱タンク(62)から流出した蓄熱媒体が予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)を順に通過して蓄熱タンク(62)に再度流入するように蓄熱媒体を循環させる。
この場合、冷媒回路(11)側においては、室外熱交換器(22)が凝縮器、室内熱交換器(27)が蒸発器となる。特に、バイパス流路(31)においては、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)が共に過冷却器(即ち放熱器)となり、冷媒は、バイパス流路(31)の途中で第1分岐流路(35)へと流れる。
具体的には、四方切換弁(28)は第1状態、第1開閉弁(25)及び第3開閉弁(40)は閉状態、第2開閉弁(39)及び第4開閉弁(41)は開状態にそれぞれ設定される。室外膨張弁(23)及び蓄熱用膨張弁(38)の開度は全開状態、室外側過冷却熱交換器(24)の膨張弁(24c)は全閉状態、室内膨張弁(26)の開度は所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)にそれぞれ設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)にて室外空気に放熱して凝縮する。凝縮された冷媒は、全開である室外膨張弁(23)及び室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)を介して配管(14b)に流れる。第1開閉弁(25)が閉状態であるため、当該冷媒は、配管(14b)の途中でバイパス流路(31)内へと流入する。バイパス流路(31)に流入した冷媒は、予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)を通過する間に蓄熱側通路(36b)を流れる蓄熱媒体によって更に冷却され、その後は全開である蓄熱用膨張弁(38)または第2開閉弁(39)を介して蓄熱用熱交換器(37)に流入する。蓄熱用熱交換器(37)に流入した冷媒は、冷媒側通路(37a)を通過する間に、蓄熱側通路(37b)を流れる蓄熱媒体によって更に冷却される。この冷媒は、第1分岐流路(35)を介して配管(14c)に流入する。その後、冷媒は、蓄熱側過冷却熱交換器(29)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に流入する。室内膨張弁(26)にて減圧された後、室内熱交換器(27)にて室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。蒸発した冷媒は、配管(16)及び四方切換弁(28)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)が作動する。蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体は、該タンク(62)から流出して予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)に流入する。蓄熱側通路(36b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(36a)を流れる冷媒から吸熱する。吸熱した蓄熱媒体は、循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)に流入する。蓄熱側通路(37b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(37a)を流れる冷媒から更に吸熱する。更に吸熱した蓄熱媒体は、蓄熱タンク(62)内に流入される。このようにして、蓄熱媒体から冷媒へ冷熱が付与される。
−冷房蓄冷運転−
図6に示すように、冷房蓄冷運転では、冷媒回路(11)においては室外熱交換器(22)で凝縮された冷媒が室内熱交換器(27)で蒸発するように冷媒が循環する冷房サイクルが行われる。特に、冷媒回路(11)では、冷媒の一部がバイパス流路(31)へも流れる。そして、冷房蓄冷運転では、蓄熱回路(61)においては蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(37)にて冷媒により冷却され蓄熱タンク(62)に貯留される蓄冷サイクルが行われる。つまり、冷房サイクルと蓄冷サイクルとが同時に行われる。
この場合、冷媒回路(11)側においては、室外熱交換器(22)が凝縮器、室内熱交換器(27)が蒸発器となる。特に、バイパス流路(31)においては、予熱用熱交換器(36)は過冷却器(即ち放熱器)、蓄熱用熱交換器(37)は蒸発器となる。なお、冷媒は、第1分岐流路(35)には流れない。
具体的には、四方切換弁(28)は第1状態、第1開閉弁(25)及び第3開閉弁(40)は開状態、第2開閉弁(39)及び第4開閉弁(41)は閉状態にそれぞれ設定される。室外膨張弁(23)の開度は全開状態、室外側過冷却熱交換器(24)の膨張弁(24c)は全閉状態、蓄熱用膨張弁(38)及び室内膨張弁(26)の開度は、コントローラ(100)によって冷媒流量調節のための開度制御が行われる。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)にて室外空気に放熱して凝縮する。凝縮された冷媒は、全開である室外膨張弁(23)及び室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)を通過する。第1開閉弁(25)は開状態であって、且つ蓄熱用膨張弁(38)は全閉状態ではないため、室外側過冷却熱交換器(24)から流出した冷媒は、配管(14b)の途中にて、第1開閉弁(25)側とバイパス流路(31)側とに分岐して流れる。
第1開閉弁(25)側に流れた冷媒は、配管(14c)を介して蓄熱側過冷却熱交換器(29)の高圧側通路(29a)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に流入し、室内膨張弁(26)にて減圧される。室内膨張弁(26)にて減圧された冷媒は、室内熱交換器(27)にて室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。
一方、バイパス流路(31)側に流れた冷媒は、配管(32)を介して予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)に流入し、当該冷媒側通路(36a)を通過する間に蓄熱側通路(36b)を流れる蓄熱媒体を加熱する。これにより、蓄熱タンク(62)から流出する蓄熱媒体に含まれる包接水和物は融解する。従って、予熱用熱交換器(36)を通過後の蓄熱媒体が通過する配管(蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)を含む)にて、蓄熱媒体の包接水和物が大量に生成されて蓄熱回路(61)が閉塞することを防ぐことができる。
特に、冷房蓄冷運転では、室外側過冷却熱交換器(24)での冷媒の冷却が行われていない。仮に室外側過冷却熱交換器(24)で冷媒が冷却されると、予熱用熱交換器(36)にて冷媒が蓄熱媒体を加熱する効果が薄れてしまい、包接水和物による蓄熱回路(61)の閉塞が生じ易くなるためである。
そして、予熱用熱交換器(36)にて蓄熱媒体を加熱した冷媒は、冷やされた状態で予熱用熱交換器(36)から流出し、蓄熱用膨張弁(38)にて減圧される。その後、冷媒は、蓄熱用熱交換器(37)において、冷媒側通路(37a)を通過する間に、蓄熱側通路(37b)を流れる蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、第3開閉弁(40)及び配管(34)を流れ、室内熱交換器(27)を通過した冷媒と配管(16)にて合流する。合流した冷媒は、四方切換弁(28)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)が作動する。蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体は、該タンク(62)から流出して予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)に流入する。この蓄熱側通路(36b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(36a)を流れる冷媒から吸熱することで加熱される。これにより、蓄熱媒体に含まれる包接水和物は融かされる。吸熱した蓄熱媒体は、循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)に流入する。蓄熱側通路(37b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(37a)を流れる冷媒によって冷却される。冷却された蓄熱媒体は、蓄熱タンク(62)内に流入する。このようにして、蓄熱タンク(62)には冷熱が蓄えられる。
なお、以上の説明では、冷房蓄冷運転において、蒸発圧力調整弁(43)の開度が全閉状態に設定され、第3開閉弁(40)が開状態に設定される場合を例に挙げているが、冷房蓄冷運転において、第3開閉弁(40)を閉状態に設定し、蒸発圧力調整弁(43)の開度を所定の開度に調節してよい。この場合、蓄熱用熱交換器(37)から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁(43)において減圧され、配管(16)と四方切換弁(28)とを順に通過して圧縮機(21)に吸入されることになる。このように制御することにより、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発圧力を圧縮機(21)の吸入圧力よりも高くすることができ、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発温度が低くなり過ぎることを防止することができる。これにより、蓄熱用熱交換器(37)において蓄熱媒体が冷却され過ぎて、包接水和物が大量に生成されて蓄熱媒体の循環効率が低下することを防止することができる。
<夜間の蓄冷運転について>
本実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、昼間(例えば8時〜22時)には、上述した蓄冷運転以外の運転(具体的には、利用冷房運転及び冷房蓄冷運転など)を行う。そして、蓄熱式空気調和機(10)は、昼間よりも電力料金が安い夜間(例えば、22時〜8時)の間に、上述した蓄冷運転を行う。夜間であれば、昼間よりも気温が低く、よって冷熱を利用した運転(利用冷房運転)を行わずに蓄冷のみを行ってもユーザに支障はないためである。
また、本実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、急なデマンドレスポンスへの対応を主目的に、比較的小容量の蓄冷を行う仕様となっている。デマンドレスポンスとは、電力供給元である電力会社から電力供給先であるユーザ側へと、電力の使用量に関する要求がなされることを言う。デマンドレスポンスとしては、電力の使用量を抑えるべき旨の要請と、逆に電力の使用量を増大させるべき旨の要請とが挙げられる。電力の使用量を抑えるべき旨の要請は、電力会社側の供給電力量がユーザ側の消費電力量に比して不足する場合に出される。供給電力量が不足すると、最悪のケースでは停電が引き起こされる。また、電力の使用量を増大させるべき旨の要請は、電力会社側の供給電力量がユーザ側の消費電力量に比して過剰な場合に出される。例えば、太陽光及び風力等の再生可能エネルギーに基づく発電電力が供給電力に含まれているとする。すると、再生可能エネルギーの発電電力量の制御は困難であるが故に、発電電力量が増大して電力会社側の供給電力量がユーザ側の消費電力量に比して過剰となる場合が考えられる。供給電力量が過剰となると、最悪のケースでは、停電が引き起こされる。
このようなデマンドレスポンスは、最長でも2〜3時間対応できれば十分と考えられているため、蓄熱式空気調和機(10)は、予め蓄熱タンク(62)の蓄冷容量を比較的小さくしている。例えば、従来の蓄熱式空気調和機における蓄冷容量を約260MJとした場合、本実施形態に係る蓄冷容量は、従来の蓄冷容量の約1/10である約26MJとなっている。
ところが、このように蓄冷容量が小さいと、従来と同様の条件下での蓄冷運転は好適とは言い難くなる。例えば、従来と同様の吐出圧にて圧縮機(21)を運転させると、従来の約10分の1の時間にて蓄冷が完了するが、この吐出圧では、蓄熱タンク(62)の容量(小容量)に比べて蓄熱用熱交換器(37)のサイズが大きすぎることになる。すると、蓄熱用熱交換器(37)の熱交換能力にあわせて決定される蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の循環量(循環ポンプ(63)の容量)も、蓄熱タンク(62)の容量(小容量)からすると大きすぎることになる。
そこで、本実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)では、昼間よりも電力料金の安い夜間に蓄冷運転を行うが、その際、図7に示すように、コントローラ(100)は、圧縮機(21)を所定の下限容量で運転させる制御を行う。
ここで、所定の下限容量は、圧縮機(21)の回転数が許容下限値である場合の容量値に概ね合致する。つまり、圧縮機(21)は容量可変式の圧縮機であり、許容下限値は、この圧縮機(21)が問題なく運転することのできる回転数の範囲のうち、最も低い回転数である下限値を意味する。
このように、本実施形態では、夜間の蓄冷運転時、圧縮機(21)は所定の下限容量で運転するため、圧縮機(21)の出力(吐出圧力)は、蓄冷容量が約260MJである従来の蓄熱式空気調和機に比して低下する。そのため、蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(熱交換面積)及び循環ポンプ(63)の容量を従来に比して小さくした上で、蓄熱タンク(62)には、夜間の時間帯をできる限り長時間使って冷熱をゆっくりと溜めることができる。従って、蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
但し、外気温度が25℃を超える熱帯夜の場合にも、許容下限値の回転数にて圧縮機(21)が運転すると、冷媒回路(11)における高圧側の冷媒の圧力(即ち、高圧圧力)は、外気温度が25℃の場合よりも必然的に上昇する。そのため、熱帯夜に蓄冷運転を行う際、外気温度が25℃の場合と同等の蒸発能力を蓄熱用熱交換器(37)に維持させるためには、許容下限値に1ステップ増加させた回転数で圧縮機(21)を運転すると良い。なお、1ステップとは、2〜5rpsを意味する。許容下限値に1ステップ増加させた回転数で圧縮機(21)が運転する場合、所定の下限容量には、許容下限値に1ステップ増加させた回転数が含まれる。
なお、図7では、蓄熱式空気調和機(10)が昼間に行う運転を例示している。昼間に、単純暖房運転を行う場合においても、圧縮機(21)は、図7に示すように、問題なく運転することのできる回転数の範囲内で運転する。
<効果>
本実施形態のコントローラ(100)は、夜間に、図4に示す蓄冷運転を実行させつつ圧縮機(21)を所定の下限容量で運転させる制御を行う。これにより、蓄熱タンク(62)には、夜間の時間帯を長時間使って冷熱がゆっくりと蓄えられる。そのため、蓄熱タンク(62)のサイズ、蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(即ち熱交換面積)、及び循環ポンプ(63)の容量を従来に比して小さくしても、問題なく冷熱を蓄えることができる。従って、蓄熱タンク(62)、蓄熱用熱交換器(37)及び循環ポンプ(63)を有する蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
≪その他の実施形態≫
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
蓄熱媒体は、冷却により包接水和物を生成する媒体であれば良く、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液以外の蓄熱材であっても良い。
蓄熱媒体の濃度は、40%に限定されずとも良い。
以上説明したように、本発明は、蓄熱媒体の蓄熱作用を利用して冷熱を蓄える蓄熱式空気調和機について有用である。
10 蓄熱式空気調和機
11 冷媒回路
21 圧縮機
22 室外熱交換器
37 蓄熱用熱交換器
61 蓄熱回路
62 蓄熱タンク
63 循環ポンプ(ポンプ)
100 コントローラ(運転制御部)

Claims (2)

  1. 冷却によって固体成分が生成される蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク(62)と、上記蓄熱媒体を冷却可能な蓄熱用熱交換器(37)と、該蓄熱タンク(62)及び該蓄熱用熱交換器(37)の間で上記蓄熱媒体を循環させるポンプ(63)とを有する蓄熱回路(61)と、
    容量可変式の圧縮機(21)と、冷媒と空気とを熱交換させる室外熱交換器(22)と、冷媒と上記蓄熱媒体とを熱交換させる上記蓄熱用熱交換器(37)とを有する冷媒回路(11)と、
    上記冷媒回路(11)では凝縮器となる上記室外熱交換器(22)から蒸発器となる上記蓄熱用熱交換器(37)へと冷媒が循環すると共に、上記蓄熱回路(61)では上記蓄熱用熱交換器(37)にて冷却された上記蓄熱媒体が上記蓄熱タンク(62)に貯留するように上記蓄熱媒体が循環する蓄冷運転、を実行可能に制御する運転制御部(100)と
    を備え、
    上記運転制御部(100)は、夜間に、上記蓄冷運転を実行させつつ上記圧縮機(21)を所定の下限容量で運転させる制御を行う
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
  2. 請求項1において、
    上記所定の下限容量は、上記圧縮機(21)の回転数が許容下限値である場合の容量値である
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
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