JP2016217691A - 蓄熱式空気調和機 - Google Patents

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安尾 晃一
Koichi Yasuo
晃一 安尾
修二 藤本
Shuji Fujimoto
修二 藤本
柯壁 陳
Kebi Chen
柯壁 陳
拓哉 中尾
Takuya Nakao
拓哉 中尾
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Abstract

【課題】蓄熱式空気調和機全体のコストを抑える。
【解決手段】蓄熱式空気調和機10は、バイパス流路31を含む冷媒回路11と、蓄熱回路61とを備える。蓄熱式空気調和機10は、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器37にて冷媒により冷却され蓄熱タンク62に貯留される蓄冷サイクルを、凝縮器となる室外熱交換器22から蒸発器となる室内熱交換器27へ冷媒が循環する冷房サイクルが冷媒回路11にて行われている間にのみ、蓄熱回路61に行わせる。
【選択図】図5

Description

本発明は、蓄熱媒体の蓄熱作用を利用して冷熱を蓄える蓄熱式空気調和機に関するものである。
特許文献1に示すように、蓄熱媒体を冷熱源として利用して室内の空調を行う蓄熱式空気調和機が知られている。特許文献1では、蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンクの中に、冷媒が通過する流路を有する蓄熱用熱交換器が配置されている。蓄熱媒体は、蓄冷運転時、冷媒によって冷却されて蓄熱タンク内に蓄えられる。
特許第4407582号公報
ところで、蓄冷運転を、昼間よりも電気料金が安い夜間に行う蓄熱式空気調和機が知られている。このような空気調和機においては、容量の比較的小さな蓄熱タンクを採用すると、単位時間あたりの圧縮機出力は変化しないため、比較的短時間で冷熱が蓄えられる。一方で、蓄熱用熱交換器には、この圧縮機出力に対応するサイズのものが必要となり、タンク容量に比べて蓄熱式空気調和機のコストが上昇する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄熱用熱交換器(37)を有する蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることである。
第1の発明は、冷媒と空気とを熱交換させる室外熱交換器(22)及び室内熱交換器(27)を有する冷媒回路(11)と、上記冷媒回路(11)に含まれており、上記室内熱交換器(27)に並列に接続されており、冷媒と冷却によって包接水和物が生成される蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱用熱交換器(37)を有するバイパス流路(31)と、上記蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク(62)と、上記蓄熱用熱交換器(37)と、該蓄熱タンク(62)及び該蓄熱用熱交換器(37)の間で上記蓄熱媒体を循環させるポンプ(63)とを有する蓄熱回路(61)と、上記蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(37)にて冷媒により冷却され上記蓄熱タンク(62)に貯留される蓄冷サイクルを、凝縮器となる上記室外熱交換器(22)から蒸発器となる上記室内熱交換器(27)へ冷媒が循環する冷房サイクルが上記冷媒回路(11)にて行われている間にのみ、上記蓄熱回路(61)に行わせる運転制御部(100)とを備えることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
ここでは、冷熱を蓄熱媒体に蓄える動作は、冷房サイクル中にのみ行われる(冷房蓄冷運転)。冷熱を一定量蓄えるとして比較した際、上述した従来の蓄冷運転よりも冷房蓄冷運転の方が、たとえ一定量の冷熱を蓄えるのに時間がかかるとしても、蓄冷に使われる単位時間あたりの圧縮機出力は小さくなる傾向になり、当該圧縮機出力にあわせて蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(熱交換面積)及びポンプ(63)の容量を小さくできる。従って、蓄熱用熱交換器(37)及びポンプ(63)を有する蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記運転制御部(100)は、上記冷媒回路(11)が上記冷房サイクルを行っているが上記蓄熱回路(61)が上記蓄冷サイクルを行っていない冷房運転、の実行中に、上記蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作を開始させるための所定条件が満たされた場合、上記蓄熱回路(61)に上記蓄冷サイクルを開始させることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
ここでは、冷房運転時に所定条件が成立した場合、冷房蓄冷運転が開始され、冷房中に冷熱が蓄えられるようになる。そのため、仮に冷房運転から蓄冷運転に切り換えて冷熱を蓄えるとした場合と比較しても、例えば冷房運転から冷房蓄冷運転への切換時の圧縮機の回転数の変化の程度は小さくて済む。
第3の発明は、第2の発明において、上記冷媒回路(11)は、容量可変式の圧縮機(21)、を更に有し、上記所定条件には、上記冷房運転実行中の上記圧縮機(21)の回転数が、上記圧縮機(21)の圧縮機効率が最大となる時の回転数よりも下回る条件、が含まれることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
圧縮機効率は、圧縮機(21)の回転数が許容下限回転数と許容上限回転数との間である最大効率回転数のところでピークとなる。圧縮機効率は、圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数に近づくよう上昇するのに伴って高くなるが、圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数を超えると低下していく。そこで、蓄熱式空気調和機(10)は、冷房運転実行中の圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数よりも下回る場合に、冷房蓄冷運転を開始して蓄熱媒体に冷熱を蓄える。冷房運転から冷房蓄冷運転へと運転種類を切り換えると、圧縮機(21)の回転数は、冷房運転時から蓄冷の分だけ上昇するが、特にこの場合、回転数は最大効率回転数に近づくように上昇する。従って、冷房蓄冷運転は、確実に冷房運転時よりも高い圧縮機効率にて行われる。
第4の発明は、第2の発明または第3の発明において、上記所定条件には、外気温度が所定温度以上である条件、が含まれることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
外気温度が所定温度よりも低い状態には、例えば外気温度が蓄熱媒体の水和物生成温度よりも低くなる状態が含まれる。この状態で冷房蓄冷運転が行われると、蓄熱回路(61)は、常に外気により冷却されている状態となるため、蓄熱回路(61)の途中で包接水和物が生成されて蓄熱回路(61)が閉塞される虞がある。これに対し、ここでは、冷房運転中における外気温度が所定温度以上である場合に、冷房蓄冷運転が開始される。従って、冷房蓄冷運転時に蓄熱回路(61)が過度に冷やされずに済み、蓄熱回路(61)の閉塞を抑制することができる。
第5の発明は、第2の発明から第4の発明のいずれか1つにおいて、上記蓄熱式空気調和機は、所定の地域に設置されており、上記所定条件には、上記冷房運転実行中の時刻が、上記所定の地域の需要電力量が一日のうちで最大となることが予測される時間帯以外の時間帯に該当する条件、が更に含まれることを特徴とする蓄熱式空気調和機である。
冷房蓄冷運転では、冷房運転時よりも圧縮機(21)の回転数が上昇するため、蓄熱式空気調和機(10)の消費電力量は上昇する。これに対し、ここでは、所定の地域の需要電力量が一日のうちで最大となることが予測される時間帯を避けて、冷房蓄冷運転が実行される。これにより、需要電力量が一日のうちで最大となるであろう時間帯における、所定の地域での実際の消費電力量の上昇は抑えられる。
本発明によれば、蓄熱用熱交換器(37)及びポンプ(63)を有する蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
また、上記第2の発明によれば、仮に冷房運転から蓄冷運転に切り換えて冷熱を蓄えるとした場合と比較しても、例えば冷房運転から冷房蓄冷運転への切換時の圧縮機の回転数の変化の程度は小さくて済む。
また、上記第3の発明によれば、冷房蓄冷運転は、確実に冷房運転時よりも高い圧縮機効率にて行われる。
また、上記第4の発明によれば、冷房蓄冷運転時における蓄熱回路(61)の閉塞を抑制することができる。
また、上記第5の発明によれば、需要電力量が一日のうちで最大となるであろう時間帯における、所定の地域での実際の消費電力量の上昇は抑えられる。
図1は、蓄熱式空気調和機の構成図である。 図2は、単純冷房運転時の冷媒の流れを表す図である。 図3は、単純暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。 図4は、利用冷房運転時の冷媒及び蓄熱媒体の各流れを表す図である。 図5は、冷房蓄冷運転時の冷媒及び蓄熱媒体の各流れを表す図である。 図6は、冷房蓄冷運転が実行開始されるための所定条件の流れを表すとともに、所定条件を説明するための図である。 図7は、圧縮機効率と圧縮機の回転数との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
≪実施形態≫
<概要>
本実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、後述する蓄熱タンク(62)に蓄えられた冷熱を利用して室内を冷房することができる空気調和機である。更に、蓄熱式空気調和機(10)は、蓄熱タンク(62)に冷熱を蓄えながらも室内の冷房を行うことができる。
なお、蓄熱式空気調和機(10)は、所定の地域に設置されている。図示していないが、所定の地域には、複数のビルや集合住宅等の建物が建設されており、蓄熱式空気調和機(10)は、当該建物内に設置されている。また、建物内には、蓄熱式空気調和機(10)以外にも様々な電気器具が設置されており、電気器具及び蓄熱式空気調和機(10)は、電力会社からの電力の供給を受けて動作することができる。
図1に示すように、蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20a)と、室内ユニット(20b)と、蓄熱ユニット(50)と、コントローラ(100)(運転制御部に相当)とで構成されており、冷媒回路(11)及び蓄熱回路(61)を有する。
コントローラ(100)は、蓄熱式空気調和機(10)の運転を制御するためのものである。コントローラ(100)は、冷媒回路(11)の圧縮機(21)や蓄熱回路(61)の循環ポンプ(63)の駆動制御、複数の開閉弁(25,39,40,41)の開閉制御等を行う。
<冷媒回路の構成>
冷媒回路(11)には冷媒が充填されており、冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。図1に示すように、冷媒回路(11)は、主として、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、室外側過冷却熱交換器(24)、第1開閉弁(25)、蓄熱側過冷却熱交換器(29)、室内膨張弁(26)、室内熱交換器(27)及び四方切換弁(28)により構成されている。このうち、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、室外側過冷却熱交換器(24)及び四方切換弁(28)は、室外ユニット(20a)に設けられ、室内膨張弁(26)及び室内熱交換器(27)は、室内ユニット(20b)に設けられている。第1開閉弁(25)及び蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、蓄熱ユニット(50)に設けられている。
圧縮機(21)は冷媒を圧縮して吐出する。圧縮機(21)は、容量可変式であって、図示しないインバータ回路によって回転数(運転周波数)が変更される。
室外熱交換器(22)は、配管(12)を介して四方切換弁(28)と接続されている。室外熱交換器(22)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式であって、室外ユニット(20a)に設けられた室外ファン(22a)によって室外空気が供給されると、当該室外空気と冷媒との熱交換を行う。
室外膨張弁(23)は、配管(13)を介して室外熱交換器(22)と接続され、配管(14a)を介して室外側過冷却熱交換器(24)と接続されている。室外膨張弁(23)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の流量を調整する。
室外側過冷却熱交換器(24)は、配管(14a)を介して室外膨張弁(23)と接続された高圧側通路(24a)と、高圧側通路(24a)の入口側及び圧縮機(21)の吸入側に接続された低圧側通路(24b)とを有する。室外側過冷却熱交換器(24)は、高圧側通路(24a)及び低圧側通路(24b)それぞれを流れる冷媒同士が熱交換を行うことで高圧側通路(24a)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。低圧側通路(24b)に流れる冷媒の流量は、膨張弁(24c)によって調節される。
第1開閉弁(25)は、配管(14b)を介して室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)に接続され、配管(14c)を介して蓄熱側過冷却熱交換器(29)と接続されている。第1開閉弁(25)は、例えば電磁弁で構成されており、配管(14b,14c)の間の冷媒の流れを許容または停止させるものである。第1開閉弁(25)に並列に、逆止弁(25a)が接続されている。逆止弁(25a)は、後述する単純暖房運転時に、蓄熱側過冷却熱交換器(29)側から室外側過冷却熱交換器(24)側に向けて冷媒が流れるように設けられている。
蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、高圧側通路(29a)と低圧側通路(29b)とを有する。高圧側通路(29a)の一端は配管(14c)に接続され、他端は配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に接続されている。低圧側通路(29b)の一端は配管(17)を介して高圧側通路(29a)の入口側に接続され、他端は配管(16)(圧縮機(21)の吸入側)に接続されている。蓄熱側過冷却熱交換器(29)は、高圧側通路(29a)及び低圧側通路(29b)それぞれを流れる冷媒同士が熱交換を行うことで高圧側通路(29a)を流れる冷媒が過冷却されるように構成されている。低圧側通路(29b)に流れる冷媒の流量は、配管(17)上に設けられている膨張弁(29c)によって調節される。
室内膨張弁(26)は、配管(15)を介して室内熱交換器(27)と接続されている。室内膨張弁(26)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の循環量を調整する。
室内熱交換器(27)は、配管(16)を介して四方切換弁(28)と接続されている。室内熱交換器(27)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式であって、室内ユニット(20b)に設けられた室内ファン(27a)によって室内空気が供給されると、当該空気と冷媒との熱交換を行う。室内熱交換器(27)によって熱交換された後の空気は、再び室内に供給される。
四方切換弁(28)は、4つのポートを有する。具体的に、四方切換弁(28)の第1ポートは、圧縮機(21)の吐出側に接続され、四方切換弁(28)の第2ポートは、図示しないアキュムレータを介して圧縮機(21)の吸入側に接続されている。四方切換弁(28)の第3ポートは、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に接続され、四方切換弁(28)の第4ポートは、配管(16)を介して室内熱交換器(27)に接続されている。四方切換弁(28)は、蓄熱式空気調和機(10)の運転種類に応じて、各ポートの接続状態を第1状態(図1の実線で示す状態)または第2状態(図1の破線で示す状態)に切り換える。
<バイパス流路の構成>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、バイパス流路(31)を含む。バイパス流路(31)は、室内熱交換器(27)に並列に接続されており、内部を冷媒が通過する。具体的に、バイパス流路(31)の一端は、室外側過冷却熱交換器(24)と第1開閉弁(25)との間の配管(14b)に接続されている。バイパス流路(31)の他端は、室内熱交換器(27)と四方切換弁(28)の第4ポートとの間の配管(16)に接続されている。バイパス流路(31)は、主として、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)、蓄熱用膨張弁(38)、及び第2〜第3開閉弁(39,40)を有する。
予熱用熱交換器(36)は、冷媒側通路(36a)と蓄熱側通路(36b)とを有する。冷媒側通路(36a)は、配管(32)上、つまりはバイパス流路(31)の一端と蓄熱用膨張弁(38)との間に位置し、内部には冷媒が流れる。蓄熱側通路(36b)は、蓄熱回路(61)に直列に接続され、内部には蓄熱媒体(後述)が流れる。予熱用熱交換器(36)は、冷媒と蓄熱媒体との熱交換を行う。つまり、予熱用熱交換器(36)は、蓄熱用熱交換器(37)にて熱交換する前の冷媒を、蓄熱媒体と熱交換させる。
蓄熱用熱交換器(37)は、冷媒側通路(37a)と蓄熱側通路(37b)とを有する。冷媒側通路(37a)は、配管(33)上において蓄熱用膨張弁(38)と第3開閉弁(40)との間に位置し、内部には冷媒が流れる。蓄熱側通路(37b)は、蓄熱回路(61)に直列に接続され、内部には蓄熱媒体が流れる。蓄熱用熱交換器(37)は、冷媒と蓄熱媒体との熱交換を行うことで、蓄熱媒体を冷却等することができる。つまり、蓄熱用熱交換器(37)は、予熱用熱交換器(36)にて熱交換した後の冷媒を、蓄熱媒体と熱交換させる。
蓄熱用膨張弁(38)は、予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)と蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)との間に接続されている。蓄熱用膨張弁(38)は、例えば電子膨張弁で構成されており、開度を変更することで冷媒の圧力及び循環量を調整する。
第2開閉弁(39)は、逆止弁(39a)と直列に接続されている。互いに直列接続された第2開閉弁(39)及び逆止弁(39a)は、蓄熱用膨張弁(38)に対し並列に接続されている。逆止弁(39a)は、予熱用熱交換器(36)側から蓄熱用熱交換器(37)側への冷媒の流れのみを許容する。第3開閉弁(40)は、配管(34)上に設けられている。なお、配管(34)の一端は、配管(33)に接続され、配管(34)の他端は、配管(16)に接続されている。
なお、蓄熱用膨張弁(38)に並列に、圧力逃がし弁(44)が設けられている。圧力逃がし弁(44)は、例えば蓄熱式空気調和機(10)の運転停止時、蓄熱用熱交換器(37)側の圧力が許容値を超えた場合に、当該圧力を放出させるための弁である。
<第1分岐流路>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、第1分岐流路(35)を更に含む。第1分岐流路(35)の一端は、バイパス流路(31)における配管(33,34)の接続ポイントに接続され、第1分岐流路(35)の他端は、配管(14c)に接続されている。第1分岐流路(35)は、主として、第4開閉弁(41)及び逆止弁(41a)を有する。第4開閉弁(41)及び逆止弁(41a)は、互いに直列に接続されている。逆止弁(41a)は、配管(33)側から配管(14c)側への冷媒の流れのみを許容する。
<第2分岐流路>
図1に示すように、冷媒回路(11)は、第2分岐流路(42)を更に含む。第2分岐流路(42)の一端は、バイパス流路(31)における配管(33,34)の接続ポイント、つまりはバイパス流路(31)と第1分岐流路(35)との接続ポイントに接続されている。第2分岐流路(42)の他端は、配管(16)に接続されている。第2分岐流路(42)は、主として、蒸発圧力調整弁(43)を有する。蒸発圧力調整弁(43)は、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発圧力を調整するための弁であって、例えば膨張弁で構成されている。
なお、蒸発圧力調整弁(43)は、基本的には全閉状態を保っている。
<蓄熱回路の構成>
蓄熱回路(61)には蓄熱媒体が充填されており、蓄熱媒体を循環させて冷熱を蓄熱する蓄冷サイクル等が行われる。蓄熱回路(61)は、主として、蓄熱タンク(62)及び循環ポンプ(63)の他に、上述した予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)の各蓄熱側通路(36b,37b)によって構成されている。
ここで、蓄熱媒体について説明する。蓄熱媒体には、冷却によって固体成分(例えば包接水和物)が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。この蓄熱媒体は、冷却によって0℃より高く20℃より低い温度にて固体成分が生成されるものであることができる。固体成分とは、その融点において液体から相転移(潜熱変化)し、発熱した状態にある成分を言い、ここでは包接水和物を例に取る。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ちスラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
本実施形態では、上記蓄熱媒体として、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を採用している。特に、上記蓄熱媒体は、調和濃度の近傍の濃度を有する媒体であることが好ましい。本実施形態では、調和濃度を約40%とする。この場合の臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は、約12℃である。
なお、蓄熱媒体の濃度に応じて、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は変化する。例えば、蓄熱媒体の濃度が約20%である場合、水和物生成温度は約8.5℃となる。調和濃度とは、包接水和物が生成される前後において、水溶液の濃度が変化しない濃度を意味する。
蓄熱タンク(62)は、中空の容器であって、蓄熱媒体を貯留する。例えば、蓄熱タンク(62)は、両端が閉塞された円筒状に形成され、その軸方向が上下方向となるように配置されている。蓄熱タンク(62)には、流出口と流入口とが形成されており、流出口は、例えば流入口よりも上方に位置している。
循環ポンプ(63)は、蓄熱回路(61)において、蓄熱タンク(62)、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)の間で蓄熱媒体を循環させる。蓄熱媒体の循環方向は、蓄熱タンク(62)から流出した蓄熱媒体が予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)を通過し、更にその後に循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)を通過して、蓄熱タンク(62)に流入する方向となっている。循環ポンプ(63)の運転のオン及びオフや蓄熱媒体の流量は、コントローラ(100)によって制御される。
以上の構成により、蓄熱回路(61)は、閉回路となっている。
<蓄熱式空気調和機の運転動作>
蓄熱式空気調和機(10)の運転種類としては、単純冷房運転(冷房運転に相当)、単純暖房運転、利用冷房運転、及び冷房蓄冷運転が挙げられる。コントローラ(100)は、これらの各運転が行われるように、冷媒回路(11)及び蓄熱回路(61)における各種機器を制御する。
単純冷房運転とは、冷媒回路(11)の冷房サイクルによって得られる冷熱のみを用いて室内の冷房を行う運転である。単純暖房運転とは、冷媒回路(11)の暖房サイクルによって得られる温熱のみを用いて室内の暖房を行う運転である。利用冷房運転とは、蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体を冷熱源として用いて室内の冷房を行う運転である。冷房蓄冷運転は、蓄熱回路(61)においては蓄冷サイクルで得られる冷熱を蓄熱タンク(62)に貯留しながら、冷媒回路(11)においては冷房サイクルで得られる冷熱のみを用いて室内の冷房を行う運転である。即ち、冷房蓄冷運転では、蓄冷と冷房とが同時に行われる。
−単純冷房運転−
図2に示されるように、単純冷房運転では、冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)が凝縮器となり室内熱交換器(27)が蒸発器となり、室外熱交換器(22)から室内熱交換器(27)へと冷媒が循環する冷房サイクルを行う。バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)には冷媒は流入せず、蓄熱回路(61)は蓄熱媒体を循環させない。即ち、単純冷房運転時、蓄熱回路(61)は、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(37)にて冷媒により冷却され蓄熱タンク(62)に貯留される蓄冷サイクルを行わない状態にある。具体的に、バイパス流路(31)では、蓄熱用膨張弁(38)の開度は全閉状態に設定され、バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)の開閉弁(39,41)は閉状態に設定される。但し、バイパス流路(31)の開閉弁(40)は、蓄熱用熱交換器(37)の冷媒側通路(37a)に冷媒が溜まることを防ぐため、開状態に設定される。蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)は停止する。
冷媒回路(11)では、四方切換弁(28)が第1状態に設定され、第1開閉弁(25)は開状態に設定される。室外膨張弁(23)の開度は全開状態に設定され、蓄熱側過冷却熱交換器(29)の膨張弁(29c)は全閉状態、室内膨張弁(26)の開度は所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)に設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)を通過する間に室外空気に放熱して凝縮する。室外熱交換器(22)にて凝縮された冷媒は、配管(13)及び室外膨張弁(23)を介して室外側過冷却熱交換器(24)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14b,14c,14d)、第1開閉弁(25)及び蓄熱側過冷却熱交換器(29)の高圧側通路(29a)を介して室内膨張弁(26)に流入し、室内膨張弁(26)にて減圧される。室内膨張弁(26)にて減圧された冷媒は、配管(15)を介して室内熱交換器(27)に流入し、室内熱交換器(27)を通過する間に室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。室内熱交換器(27)にて蒸発した冷媒は、配管(16)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
−単純暖房運転−
図3に示されるように、単純暖房運転では、冷媒回路(11)は、室内熱交換器(27)が凝縮器となり室外熱交換器(22)が蒸発器となり、室内熱交換器(27)から室外熱交換器(22)へと冷媒が循環する暖房サイクルを行う。単純冷房運転と同様、バイパス流路(31)及び第1分岐流路(35)には冷媒は流入せず、蓄熱回路(61)は蓄熱媒体を循環させない。
冷媒回路(11)では、四方切換弁(28)が第2状態に設定される。室内膨張弁(26)の開度は、所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過冷却度が目標過冷却度となる開度)に設定される。各過冷却熱交換器(29,24)の膨張弁(29c,24c)は全閉状態、第1開閉弁(25)は閉状態、室外膨張弁(23)の開度は所定の開度(室外熱交換器(22)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)に設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(16)を介して室内熱交換器(27)に流入し、室内熱交換器(27)を通過する間に室内空気に放熱して凝縮する。この時、室内空気は温められる。室内熱交換器(27)にて凝縮された冷媒は、各種配管(15,14d~14a)、室内膨張弁(26)、各過冷却熱交換器(29,24)の高圧側通路(29a,24a)、及び逆止弁(25a)を介して室外膨張弁(23)に流入し、室外膨張弁(23)にて減圧される。減圧後の冷媒は、配管(13)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)を通過する間に室外空気から吸熱して蒸発する。蒸発後の冷媒は、配管(12)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
−利用冷房運転−
図4に示すように、利用冷房運転では、蓄熱タンク(62)に蓄えられた冷熱と冷媒回路(11)の冷凍サイクルによって得られる冷熱とを用いて室内の冷房が行われる。つまり、室外熱交換器(22)にて凝縮及び冷却された冷媒が、更に予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)にて蓄熱媒体から冷熱を得た後に室内熱交換器(27)にて蒸発することで、室内空気が冷却される。蓄熱回路(61)は、蓄熱タンク(62)から流出した蓄熱媒体が予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)を順に通過して蓄熱タンク(62)に再度流入するように蓄熱媒体を循環させる。
この場合、冷媒回路(11)側においては、室外熱交換器(22)が凝縮器、室内熱交換器(27)が蒸発器となる。特に、バイパス流路(31)においては、予熱用熱交換器(36)及び蓄熱用熱交換器(37)が共に過冷却器(即ち放熱器)となり、冷媒は、バイパス流路(31)の途中で第1分岐流路(35)へと流れる。
具体的には、四方切換弁(28)は第1状態、第1開閉弁(25)及び第3開閉弁(40)は閉状態、第2開閉弁(39)及び第4開閉弁(41)は開状態にそれぞれ設定される。室外膨張弁(23)及び蓄熱用膨張弁(38)の開度は全開状態、室外側過冷却熱交換器(24)の膨張弁(24c)は全閉状態、室内膨張弁(26)の開度は所定の開度(室内熱交換器(27)の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度となる開度)にそれぞれ設定される。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)にて室外空気に放熱して凝縮する。凝縮された冷媒は、全開である室外膨張弁(23)及び室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)を介して配管(14b)に流れる。第1開閉弁(25)が閉状態であるため、当該冷媒は、配管(14b)の途中でバイパス流路(31)内へと流入する。バイパス流路(31)に流入した冷媒は、予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)を通過する間に蓄熱側通路(36b)を流れる蓄熱媒体によって更に冷却され、その後は全開である蓄熱用膨張弁(38)または第2開閉弁(39)を介して蓄熱用熱交換器(37)に流入する。蓄熱用熱交換器(37)に流入した冷媒は、冷媒側通路(37a)を通過する間に、蓄熱側通路(37b)を流れる蓄熱媒体によって更に冷却される。この冷媒は、第1分岐流路(35)を介して配管(14c)に流入する。その後、冷媒は、蓄熱側過冷却熱交換器(29)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に流入する。室内膨張弁(26)にて減圧された後、室内熱交換器(27)にて室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。蒸発した冷媒は、配管(16)及び四方切換弁(28)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)が作動する。蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体は、該タンク(62)から流出して予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)に流入する。蓄熱側通路(36b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(36a)を流れる冷媒から吸熱する。吸熱した蓄熱媒体は、循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)に流入する。蓄熱側通路(37b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(37a)を流れる冷媒から更に吸熱する。更に吸熱した蓄熱媒体は、蓄熱タンク(62)内に流入される。このようにして、蓄熱媒体から冷媒へ冷熱が付与される。
−冷房蓄冷運転−
図5に示すように、冷房蓄冷運転では、冷媒回路(11)においては室外熱交換器(22)で凝縮された冷媒が室内熱交換器(27)で蒸発するように冷媒が循環する冷房サイクルが行われる。特に、冷媒回路(11)では、冷媒の一部がバイパス流路(31)へも流れる。そして、冷房蓄冷運転では、蓄熱回路(61)においては蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(37)にて冷媒により冷却され蓄熱タンク(62)に貯留される蓄冷サイクルが行われる。つまり、冷房サイクルと蓄冷サイクルとが同時に行われる。
この場合、冷媒回路(11)側においては、室外熱交換器(22)が凝縮器、室内熱交換器(27)が蒸発器となる。特に、バイパス流路(31)においては、予熱用熱交換器(36)は過冷却器(即ち放熱器)、蓄熱用熱交換器(37)は蒸発器となる。なお、冷媒は、第1分岐流路(35)には流れない。
具体的には、四方切換弁(28)は第1状態、第1開閉弁(25)及び第3開閉弁(40)は開状態、第2開閉弁(39)及び第4開閉弁(41)は閉状態にそれぞれ設定される。室外膨張弁(23)の開度は全開状態、室外側過冷却熱交換器(24)の膨張弁(24c)は全閉状態、蓄熱用膨張弁(38)及び室内膨張弁(26)の開度は、コントローラ(100)によって冷媒流量調節のための開度制御が行われる。圧縮機(21)、室外ファン(22a)及び室内ファン(27a)は作動する。
圧縮機(21)から吐出された冷媒は、配管(12)を介して室外熱交換器(22)に流入し、室外熱交換器(22)にて室外空気に放熱して凝縮する。凝縮された冷媒は、全開である室外膨張弁(23)及び室外側過冷却熱交換器(24)の高圧側通路(24a)を通過する。第1開閉弁(25)は開状態であって、且つ蓄熱用膨張弁(38)は全閉状態ではないため、室外側過冷却熱交換器(24)から流出した冷媒は、配管(14b)の途中にて、第1開閉弁(25)側とバイパス流路(31)側とに分岐して流れる。
第1開閉弁(25)側に流れた冷媒は、配管(14c)を介して蓄熱側過冷却熱交換器(29)の高圧側通路(29a)に流入し、更に冷却される。更に冷却された冷媒は、配管(14d)を介して室内膨張弁(26)に流入し、室内膨張弁(26)にて減圧される。室内膨張弁(26)にて減圧された冷媒は、室内熱交換器(27)にて室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。
一方、バイパス流路(31)側に流れた冷媒は、配管(32)を介して予熱用熱交換器(36)の冷媒側通路(36a)に流入し、当該冷媒側通路(36a)を通過する間に蓄熱側通路(36b)を流れる蓄熱媒体を加熱する。これにより、蓄熱タンク(62)から流出する蓄熱媒体に含まれる包接水和物は融解する。従って、予熱用熱交換器(36)を通過後の蓄熱媒体が通過する配管(蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)を含む)にて、蓄熱媒体の包接水和物が大量に生成されて蓄熱回路(61)が閉塞することを防ぐことができる。
特に、冷房蓄冷運転では、室外側過冷却熱交換器(24)での冷媒の冷却が行われていない。仮に室外側過冷却熱交換器(24)で冷媒が冷却されると、予熱用熱交換器(36)にて冷媒が蓄熱媒体を加熱する効果が薄れてしまい、包接水和物による蓄熱回路(61)の閉塞が生じ易くなるためである。
そして、予熱用熱交換器(36)にて蓄熱媒体を加熱した冷媒は、冷やされた状態で予熱用熱交換器(36)から流出し、蓄熱用膨張弁(38)にて減圧される。その後、冷媒は、蓄熱用熱交換器(37)において、冷媒側通路(37a)を通過する間に、蓄熱側通路(37b)を流れる蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、第3開閉弁(40)及び配管(34)を流れ、室内熱交換器(27)を通過した冷媒と配管(16)にて合流する。合流した冷媒は、四方切換弁(28)を介して圧縮機(21)に吸入されて再び圧縮される。
蓄熱回路(61)では、循環ポンプ(63)が作動する。蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体は、該タンク(62)から流出して予熱用熱交換器(36)の蓄熱側通路(36b)に流入する。この蓄熱側通路(36b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(36a)を流れる冷媒から吸熱することで加熱される。これにより、蓄熱媒体に含まれる包接水和物は融かされる。吸熱した蓄熱媒体は、循環ポンプ(63)を介して蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱側通路(37b)に流入する。蓄熱側通路(37b)を通過する間に、蓄熱媒体は、冷媒側通路(37a)を流れる冷媒によって冷却される。冷却された蓄熱媒体は、蓄熱タンク(62)内に流入する。このようにして、蓄熱タンク(62)には冷熱が蓄えられる。
なお、以上の説明では、冷房蓄冷運転において、蒸発圧力調整弁(43)の開度が全閉状態に設定され、第3開閉弁(40)が開状態に設定される場合を例に挙げているが、冷房蓄冷運転において、第3開閉弁(40)を閉状態に設定し、蒸発圧力調整弁(43)の開度を所定の開度に調節してよい。この場合、蓄熱用熱交換器(37)から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁(43)において減圧され、配管(16)と四方切換弁(28)とを順に通過して圧縮機(21)に吸入されることになる。このように制御することにより、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発圧力を圧縮機(21)の吸入圧力よりも高くすることができ、蓄熱用熱交換器(37)における冷媒の蒸発温度が低くなり過ぎることを防止することができる。これにより、蓄熱用熱交換器(37)において蓄熱媒体が冷却され過ぎて、包接水和物が大量に生成されて蓄熱媒体の循環効率が低下することを防止することができる。
<冷房蓄冷運転の実行制御について>
ところで、蓄熱媒体に冷熱を蓄える手段には、蓄熱回路(61)に蓄冷サイクルのみを行わせて冷媒回路(11)は何らサイクルを行わない、いわゆる単純蓄冷運転というものがある。この単純蓄冷運転と、本実施形態にて上述した冷房蓄冷運転とを、同量の冷熱量を蓄える場合で比較すると、単純蓄冷運転では、冷房蓄冷運転よりも短時間で冷熱の蓄えが完了するものの、単位時間あたりの圧縮機出力は冷房蓄冷運転と比べると大きくなる傾向にある。蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(熱交換面積)及び循環ポンプ(63)の容量(蓄熱媒体の流量)は、利用冷房運転では特に問題がないとしても、単純蓄冷運転では蓄熱タンク(62)の容量に対して適合していない場合が生じる。
具体例としては、蓄熱式空気調和機(10)が単純蓄冷運転も行うことができる構成だと仮定した上で、単純蓄冷運転時に約20rpsで回転する圧縮機(21)、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液である蓄熱媒体、及び、約1時間利用できる程度の冷熱量を蓄冷容量とする比較的小容量の蓄熱タンク(62)、がそれぞれ採用された場合を考える。従来機における蓄冷容量を約260MJ(72kWh)とした場合、上記仮定における蓄熱タンク(62)の蓄冷容量は、従来の蓄冷容量の約1/10である約26MJ(7.2kWh)となる。上記仮定における圧縮機(21)が約20rpsの回転数で単純蓄冷運転を行うと、蓄冷容量が小さいが故に蓄冷は僅か1時間15分程度で完了し、その時の蓄冷に必要な能力である圧縮機出力は約5.7kW(5.7kW=7.2kWh/1.25hr)となる。これでは、蓄熱タンク(62)の蓄冷容量が小容量であるが、蓄熱用熱交換器(37)のサイズは大きく、蓄熱用熱交換器(37)の熱交換能力にあわせて決定される循環ポンプ(63)の容量も、蓄熱タンク(62)からすると大きいことになる。このように、上記仮定における単純蓄冷運転での蓄冷を考えると、蓄熱用熱交換器(37)及び循環ポンプ(63)としては、上記圧縮機出力5.7kWに対応可能なものを選択する必要があるが、そうすると蓄熱タンク(62)の容量との関係ではサイズ及び容量が大きすぎるものを選択せざるを得ず、蓄熱ユニット(50)のコスト、更には上記仮定に係る蓄熱式空気調和機全体のコストが上昇してしまう。
そこで、本実施形態に係るコントローラ(100)は、冷媒回路(11)が冷房サイクルを行っている間にのみ、蓄熱回路(61)に蓄冷サイクルを行わせる。つまり、蓄熱タンク(62)への蓄冷動作は、室内の冷房中に実行、即ち冷房蓄冷運転のみによって行われる。具体的には、単純冷房運転の実行中に、蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作を開始させるための所定条件が満たされた場合、コントローラ(100)は、蓄熱回路(61)に蓄冷サイクルを開始させることで冷房蓄冷運転を実行させる。
一例としては、単純冷房運転にて、圧縮機(21)が図7の回転数“Ra”で運転しているとする。この状態で所定条件が満たされた場合、運転種類は、単純冷房運転から冷房蓄冷運転に切り換えられる。冷房蓄冷運転では、室内の冷房が行われつつも冷熱が蓄えられるため、圧縮機(21)の回転数は、単純冷房運転時よりも蓄冷分だけ上昇して“Rb”となる。蓄熱タンク(62)の冷熱容量が単純蓄冷運転の上記具体例(仮定)と同様に7.2kWhであると、冷房蓄冷運転では、6時間かけて7.2kWhの冷熱容量が蓄えられ、圧縮機出力は、1.2kW(1.2kW=7.2kWh/6hr)となる。これは、冷房蓄冷運転では、蓄冷に要する時間は上記仮定における単純蓄冷運転よりも長いものの、1時間あたりの圧縮機出力“1.2kW”は、上記仮定における単純蓄冷運転時の圧縮機出力“5.7kW”の約21%程度で済むことを示す。そのため、蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(熱交換面積)及び循環ポンプ(63)の容量それぞれも、上記仮定における単純蓄冷運転の上記具体例の場合の約5分の1で済むことになり、蓄熱ユニット(50)のコスト、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストの上昇を抑えることができる。
なお、冷房蓄冷運転において蓄冷に要する圧縮機(21)の回転数は、単純冷房運転時からの上昇分“Rb−Ra”であり、これは上記仮定における単純蓄冷運転の場合の回転数“Re”よりも低い。
ここで、上記所定条件について説明する。図6のステップS2〜S5にて示すように、本実施形態に係る所定条件には、以下の4つの条件A〜Dが含まれる。単純冷房運転が行われており(図6のステップS1のYes)、且つ、以下の4つの条件A〜条件D全てが満たされる場合に(図6のステップS2〜S5それぞれのYes)、コントローラ(100)は、冷房蓄冷運転を実行させる(図6のステップS6)。
(条件A)単純冷房運転実行中の外気温度が所定温度以上である場合(図6のステップS2)
(条件B)単純冷房運転実行中の圧縮機(21)の回転数が、最大効率回転数よりも下回る場合(図6のステップS3)
(条件C)単純冷房運転実行中である現在、蓄熱タンク(62)に蓄えられている冷熱量が必要量よりも少ない場合(図6のステップS4)
(条件D)単純冷房運転実行中である現在の時刻が、電力ピーク時間帯以外の時間帯に該当する場合(図6のステップS5)
上記条件Aは、配管凍結防止のための条件である。具体的に、外気温度が所定温度よりも低い状態には、例えば外気温度が蓄熱媒体の水和物生成温度よりも低い状態が含まれる。この状態で冷房蓄冷運転が行われると、蓄熱回路(61)は、常に外気により冷却されている状態となるため、蓄熱回路(61)の途中で包接水和物が生成されて蓄熱回路(61)が閉塞される虞がある。特に、本実施形態に係る蓄熱回路(61)は、図5に示されるように、蓄熱回路(61)を閉塞している包接水和物を融解させるような機構を有していない。故に、一旦閉塞してしまうと、外気温度が低いままでは包接水和物は融解されることがなく、蓄熱回路(61)は運転(包接水和物の循環)が不可能となる。これに対し、本実施形態では、条件Aが満たされた場合に冷房蓄冷運転が開始されるため、冷房蓄冷運転時に蓄熱回路(61)が過度に冷やされずに済み、蓄熱回路(61)の閉塞を抑制することができる。
なお、コンローラ(100)は、外気温度が所定温度よりも高い上限温度(例えば30度)以上か否かは判断しない。外気温度が上限温度以上の状態で冷房蓄冷運転を行うと、圧縮機(21)の回転数を上限温度以下の場合に比して増大させる必要があったり、蓄熱用熱交換器(37a)に流入する冷媒の温度が上限温度以下の場合よりも高くなったりするため、蓄冷の効率が悪化する。しかし、蓄熱式空気調和機(10)が設置された所定の地域に対し、電力会社から突如として消費電力の制限要請が送られ、当該要請に応じて蓄熱式空気調和機(10)も消費電力を急遽抑えなければならなくなる可能性もある。それ故、コントローラ(100)は、外気温度が上限温度よりも高いか否かの判断を行わずに、条件Aの成立の可否のみを判断する。
上記条件Bの最大効率回転数とは、圧縮機(21)の圧縮機効率が最大となる時の回転数である。図7に示すように、圧縮機(21)は、回転数が許容上限値と許容下限値との間であれば問題なく運転することができるが、圧縮機(21)の圧縮機効率は、圧縮機(21)の回転数が許容上限値の例えば約70%程度である“Rp”においてピークとなっている。この回転数“Rp”が、最大効率回転数となる。圧縮機(21)の圧縮機効率は、圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数“Rp”に近づくようにあがると上昇するが、圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数“Rp”を超えると次第に低下していく。
単純冷房運転時に最大効率回転数“Rp”を超える回転数で圧縮機(21)が回転している状態から、運転種類が冷房蓄冷運転へと切り換えられると、圧縮機(21)の回転数は、単純冷房運転時から蓄冷の分だけ上昇する。例えば、図7において、単純冷房運転時に圧縮機(21)が最大効率回転数“Rp”よりも高い回転数“Rc”で回転している状態から、冷房蓄冷運転に切り換えられると、冷房蓄冷運転における圧縮機(21)の回転数は“Rd”に上昇する。すると、冷房蓄冷運転時の圧縮機(21)の圧縮機効率は、単純冷房運転時よりも低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、蓄熱式空気調和機(10)は、上記条件Bの判断結果に基づいて冷房蓄冷運転を開始する。この場合、単純冷房運転から冷房蓄冷運転への運転種類の切替によって圧縮機(21)の回転数が上昇するが、回転数は最大効率回転数“Rp”に近づくように上昇する。例えば、図7において、圧縮機(21)の回転数が単純冷房運転時の“Ra”から冷房蓄冷運転時には“Rb”へと上昇したとすると、冷房蓄冷運転時の圧縮機効率は、単純冷房運転時の圧縮機効率よりも上昇する。つまり、条件Bにより、冷房蓄冷運転は、確実に単純冷房運転時よりも高い圧縮機効率にて行われることになる。
なお、圧縮機効率は、許容下限値よりも高い回転数で圧縮機(21)が運転する方が、許容下限値付近で圧縮機(21)が運転するよりも高い。そのため、例えば外気温度が約25℃である夜間等に、許容下限値付近の回転数で且つ短時間で仮に単純蓄冷運転が行われるとするよりも、例えば外気温度の平均値が約30℃の昼間の間に、本実施形態のように6時間かけて冷房蓄冷運転を行う方が、蓄冷に使用する入力(kW)を低く抑えることができるとも言える。
上記条件Cは、蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体に蓄えられている冷熱量が不足していることを示す条件である。例えば、現時点にて80%の冷熱量が蓄えられており、80%の冷熱量があれば利用冷房運転を不足なく実行できる場合には、更に冷熱を蓄える必要はない。そのため、条件Cは、冷房蓄冷運転の必要性を判断するための条件と言える。
なお、蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体に蓄えられている冷熱量は、現時点よりも前に行われた冷房蓄冷運転で蓄えられた蓄冷量、現時点よりも前に行われた利用冷房運転での冷熱の使用量、蓄熱タンク(62)からの放熱量等に基づいて算出されることが好ましい。また、上記条件Cにおける必要量は、蓄熱用熱交換器(37)のサイズや循環ポンプ(63)の容量等に応じて、予め適宜設定される。
上記条件Dの電力ピーク時間帯とは、蓄熱式空気調和機(10)が設置されている所定の地域の需要電力量が一日のうちで最大となることが予測される時間帯である。運転種類を単純冷房運転から冷房蓄冷運転に切り換えると、既に述べたように、圧縮機(21)の回転数が蓄冷分だけ上昇する。すると、蓄熱式空気調和機(10)の冷房蓄冷運転時の消費電力量も、単純冷房運転時よりも上昇する。そこで、上記条件Dは、電力ピーク時間帯を避けて冷房蓄冷運転を行うことで、電力会社が所定の地域に供給する電力量が増加し逼迫することを防止するための条件と言える。
なお、利用冷房運転は、上記電力ピーク時間帯に積極的に実行されることが好ましい。電力ピーク時間帯に蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体の冷熱を利用して冷房が行われることで、蓄熱式空気調和機(10)は消費電力をさほど上昇させることなく冷房を行うことができ、また蓄えられた冷熱を一日の間に利用することで蓄えらえた冷熱量を無駄にせずに済むためである。
−冷房蓄冷運転の実行動作の流れ−
図6を用いて、冷房蓄冷運転の実行動作の流れを簡単に説明する。
先ず、ステップS1において、コントローラ(100)は、単純冷房運転が行われているか否かを判断する。
単純冷房運転が行われている場合(ステップS1のYes)、コントローラ(100)は、外気温度が所定温度以上であるか否か、つまりは条件Aが満たされているか否かを判断する(ステップS2)。
条件Aが満たされている場合(ステップS2のYes)、コントローラ(100)は、現在の圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数を下回っているか否か、つまりは条件Bが満たされているか否かを判断する(ステップS3)。
条件Bが満たされている場合(ステップS3のYes)、コントローラ(100)は、蓄熱タンク(62)内の現在の冷熱量が必要量よりも少ないか否か、つまりは条件Cが満たされているか否かを判断する(ステップS4)。
条件Cが満たされている場合(ステップS4のYes)、コントローラ(100)は、現在の時刻が電力ピーク時間帯以外であるか否か、つまりは、条件Dが満たされているか否かを判断する(ステップS5)。
条件Dが満たされている場合(ステップS5のYes)、コントローラ(100)は、冷房蓄冷運転を実行させる(ステップS6)。
ステップS1からステップS5のいずれか1つでも満たされない場合(ステップS1〜ステップS5それぞれのNo)、コントローラ(100)は、冷房蓄冷運転を実行させない(ステップS7)。この場合、例えば現在実行中の運転(冷房蓄冷運転以外)が引き続き実行される。
図6の動作は、所定時間毎に繰り返し行われる。所定時間は、例えば約5分と設定される。所定時間が例えば1時間毎のように比較的長いと、蓄冷を行うべきか否かを判断するための指標が、場合によっては蓄冷を行うには不適切な状態となっている可能性があるためである。また、所定時間が例えば20秒のように比較的短いと、蓄冷を行うべきか否かを判断するための指標が、20秒前の判断時に用いた内容から変化しておらず、蓄冷を行うべきかどうかの判断自体が無駄となる可能性があるためである。従って、所定時間は、蓄冷を行うべきかどうかを適切に判断できる時間に設定されることが好ましい。
なお、ステップS1〜S5の順序は、図6に限定にされず、適宜入れ替わっても良い。
<効果>
本実施形態では、冷熱を蓄熱媒体に蓄える動作は、冷房サイクル中にのみ、つまりは冷房蓄冷運転のみによって行われる。これにより、冷熱を一定量蓄えるとして比較した際、上述した仮定における単純蓄冷運転よりも冷房蓄冷運転の方が、たとえ一定量の冷熱を蓄えるのに時間がかかるとしても、単位時間あたりの圧縮機出力は上述した仮定における単純蓄冷運転時よりも小さくなる傾向になり、当該圧縮機出力にあわせて蓄熱用熱交換器(37)のサイズ(熱交換面積)及び循環ポンプ(63)の容量を小さくできる。従って、蓄熱ユニット(50)、更には蓄熱式空気調和機(10)全体のコストを抑えることができる。
特に、単純冷房運転の実行中に、蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作を開始させるための所定条件が満たされた場合、冷房蓄冷運転が開始される。そのため、単純冷房運転から仮に単純蓄冷運転に切り換えて冷熱を蓄えるとした場合と比較しても、単純冷房運転から冷房蓄冷運転への切換時の圧縮機(21)の回転数の変更の程度は小さくて済む。
また、蓄熱式空気調和機(10)は、図6のステップS3に示すように、単純冷房運転実行中の圧縮機(21)の回転数が最大効率回転数よりも下回る場合に、冷房蓄冷運転を開始して蓄熱媒体に冷熱を蓄える。単純冷房運転から冷房蓄冷運転へと運転種類を切り換えると、圧縮機(21)の回転数は、単純冷房運転時から蓄冷の分だけ上昇するが、特にこの場合、回転数は最大効率回転数に近づくように上昇する。従って、冷房蓄冷運転は、確実に単純冷房運転時よりも高い圧縮機効率にて行われる。
また、蓄熱式空気調和機(10)は、図6のステップS2に示すように、単純冷房運転中における外気温度が所定温度以上である場合に、冷房蓄冷運転を開始して蓄熱媒体に冷熱を蓄える。これにより、冷房蓄冷運転時に、蓄熱用熱交換器(37)の蓄熱回路(61)(具体的には蓄熱側通路(37b))が過度に冷やされて蓄熱回路(61)が包接水和物によって閉塞されることを防ぐことができる。
また、蓄熱式空気調和機(10)は、図6のステップS5に示すように、単純冷房運転実行中の時刻が電力ピーク時間帯以外の時間帯に該当する場合に、冷房蓄冷運転を開始して蓄熱媒体に冷熱を蓄える。これにより、需要電力量が一日のうちで最大となるであろう時間帯における、所定の地域での実際の消費電力量の上昇は抑えられる。
≪その他の実施形態≫
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
蓄熱媒体は、冷却により包接水和物を生成する媒体であれば良く、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液以外の蓄熱材であっても良い。
蓄熱媒体の濃度は、40%に限定されずとも良い。
コントローラ(100)は、単純冷房運転が行われていない時に(即ち、図6のステップS1がNoである場合)、条件A〜条件Dが満たされるか否かの判断を行っても良い。
また、条件A〜条件D全てではなく、条件A〜条件Dのいずれか、または、条件A〜条件Dのうち少なくとも1つが満たされた場合に、冷房蓄冷運転が開始されてもよい。
以上説明したように、本発明は、蓄熱媒体の蓄熱作用を利用して冷熱を蓄える蓄熱式空気調和機について有用である。
10 蓄熱式空気調和機
11 冷媒回路
21 圧縮機
22 室外熱交換器
27 室内熱交換器
37 蓄熱用熱交換器
61 蓄熱回路
62 蓄熱タンク
63 循環ポンプ(ポンプ)
100 コントローラ(運転制御部)

Claims (5)

  1. 冷媒と空気とを熱交換させる室外熱交換器(22)及び室内熱交換器(27)を有する冷媒回路(11)と、
    上記冷媒回路(11)に含まれており、上記室内熱交換器(27)に並列に接続されており、冷媒と冷却によって包接水和物が生成される蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱用熱交換器(37)を有するバイパス流路(31)と、
    上記蓄熱媒体を貯留する蓄熱タンク(62)と、上記蓄熱用熱交換器(37)と、該蓄熱タンク(62)及び該蓄熱用熱交換器(37)の間で上記蓄熱媒体を循環させるポンプ(63)とを有する蓄熱回路(61)と、
    上記蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(37)にて冷媒により冷却され上記蓄熱タンク(62)に貯留される蓄冷サイクルを、凝縮器となる上記室外熱交換器(22)から蒸発器となる上記室内熱交換器(27)へ冷媒が循環する冷房サイクルが上記冷媒回路(11)にて行われている間にのみ、上記蓄熱回路(61)に行わせる運転制御部(100)と
    を備えることを特徴とする蓄熱式空気調和機。
  2. 請求項1において、
    上記運転制御部(100)は、
    上記冷媒回路(11)が上記冷房サイクルを行っているが上記蓄熱回路(61)が上記蓄冷サイクルを行っていない冷房運転、の実行中に、上記蓄熱媒体に冷熱を蓄える動作を開始させるための所定条件が満たされた場合、上記蓄熱回路(61)に上記蓄冷サイクルを開始させる
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
  3. 請求項2において、
    上記冷媒回路(11)は、容量可変式の圧縮機(21)、を更に有し、
    上記所定条件には、上記冷房運転実行中の上記圧縮機(21)の回転数が、上記圧縮機(21)の圧縮機効率が最大となる時の回転数よりも下回る条件、が含まれる
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
  4. 請求項2または3において、
    上記所定条件には、外気温度が所定温度以上である条件、が含まれる
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
  5. 請求項2から4のいずれか1項において、
    上記蓄熱式空気調和機は、所定の地域に設置されており、
    上記所定条件には、上記冷房運転実行中の時刻が、上記所定の地域の需要電力量が一日のうちで最大となることが予測される時間帯以外の時間帯に該当する条件、が更に含まれる
    ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
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