JP2016125090A - 銅鉱石の浸出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】方解石を含む硫化銅鉱石の浸出において、ヨウ素のロスを増やすことなく、銅の最終浸出率を上げる。【解決手段】本発明は、方解石を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、方解石および一次硫化銅鉱を含む銅鉱石から銅を効率良く浸出させる方法に関する。
銅鉱石から銅を回収する方法の一つとして、L−SX−EW法がある。L−SX−EW法では、銅鉱石を硫酸等により浸出(L、Leaching)し、銅の浸出液から銅イオンを溶媒抽出(SX、Solvent Extraction)によって選択的に回収−濃縮し、この硫酸銅液から電解採取(EW、Electrowinning)により電気銅を生産する。
この方法において、銅鉱石に含まれる銅分のうち酸化銅鉱は、単純な酸浸出で銅を容易に浸出することができる。また、銅鉱石に含まれる銅分のうち二次硫化銅鉱、例えば輝銅鉱(Cu2S)等は、鉄(III)イオンによって浸出可能であるため、鉄(III)イオンを含む溶液を用いたフェリックリーチング法、もしくは溶液中の鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化できる微生物を利用するバクテリアリーチング法によって、銅を効率的に浸出することができる。
二次硫化銅鉱のフェリックリーチング法は、以下の(式1)の反応式で進行すると考えられる。また、バクテリアリーチング法についても(式1)で生成する鉄(II)イオンを鉄酸化微生物によって鉄(III)イオンに順次酸化して酸化剤を連続的に供給するものであり、反応機構はフェリックリーチング法と同様である。
Cu2S+4Fe3+→2Cu2++4Fe2++S (式1)
しかし、銅鉱石に含まれる銅分のうち黄銅鉱(CuFeS2)等の一次硫化銅鉱は、単純な酸浸出、フェリックリーチング法及びバクテリアリーチング法では銅の浸出が著しく遅い。そのため、上記方法で高い銅浸出率を達成するには極めて長い浸出時間を要し、浸出には向かないと考えられていた。また、仮に一次硫化銅鉱から銅の回収を行わないとするならば銅の浸出率は低値にとどまり、いずれにしても経済性が損なわれる。
一方で、銅鉱石において黄銅鉱は賦存量が大きく、黄銅鉱からも高効率での銅の回収が望まれている。従って、黄銅鉱を含む銅鉱石を浸出するに際して、その浸出速度を改善するため様々な技術が提案されている。その中で、ヨウ素(あるいはヨウ化物イオン)と鉄(III)イオンとを添加し浸出を行う方法は、触媒であるヨウ素を低ヨウ素濃度の水溶液として供給することで、黄銅鉱を含む銅鉱石の浸出速度を上げることができる(特許文献1、2)。
黄銅鉱を含む銅鉱石を浸出するに際して、その最終浸出率を低下させることなく、ヨウ素のロスを低減させる方法が提案されている。その中で、銅鉱石の2段階浸出は、ヨウ素を用いなくても溶け出す酸化銅鉱および二次硫化銅鉱を通常の酸化浸出反応であるフェリックリーチング法もしくはバクテリアリーチング法にて浸出(1段階目浸出)後、1段階目浸出では溶け出しにくい一次硫化銅鉱をヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出(2段階目浸出)する方法で、ヨウ素を一次硫化銅鉱の浸出に対してのみ用いることにより、銅の最終浸出率を維持しつつヨウ素のロスを低減することができる(特許文献3)。加えて、鉄(III)イオンを含有する浸出液と、ヨウ化物イオンを含有する浸出液とを、それぞれ供給する前に混合させるのではなく、それぞれお互いに異なる経路から硫化銅鉱を含む鉱石の積層体へ供給することで、ヨウ素のロスを低減することができる(特許文献4)。
ところで、ヨウ素(あるいはヨウ化物イオン)と鉄(III)イオンを添加して浸出を行う方法では低ヨウ素濃度で黄銅鉱を含む銅鉱石の浸出速度を上げることができる。一方、銅鉱石には、スカルン型鉱床やマント型鉱床由来の鉱石で、方解石(CaCO3)を多く含有するものがある。そのような方解石を多く含む一次硫化銅鉱石に対しては、浸出中に(式2)の反応式で石膏(CaSO4)の沈殿が生じて銅の浸出反応を阻害するため、ヨウ化物イオンとFe(III)イオンを添加した際の銅浸出速度はフェリックリーチング法による銅浸出速度とほぼ同程度にとどまることがわかり、銅浸出速度を改善する余地が残っていた。
CaCO3+H2SO4 → CaSO4+H2CO3 (式2)
本発明は、このような事情に鑑み、ヨウ素を添加して行う、方解石および一次硫化銅鉱を含む硫化銅鉱石の浸出において、銅の浸出速度および浸出率を上げる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、方解石及び一次硫化銅鉱を含む銅鉱石から銅を浸出するに際して、まず塩酸にて浸出することにより、硫化銅鉱に含まれる方解石を以下の(式3)の反応式で溶解させてから、必要に応じて二次硫化銅鉱をFe(III)イオンを含有する溶液にて浸出した後、一次硫化銅鉱をヨウ化物イオンとFe(III)イオンとを含有する溶液にて浸出することで、銅浸出速度を上げることができることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)方解石及び一次硫化銅鉱を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、
前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法。
(2)前記ヨウ化物浸出工程の前に、前記塩酸浸出の残渣を鉄(III)イオンによる溶液にて浸出する鉄イオン浸出工程を含む、(1)に記載の方法。
(3)前記銅鉱石は、方解石を重量割合が2質量%を超える割合で含み、且つ、一次硫化銅鉱を重量割合が50質量%を超える割合で含む、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記塩酸浸出工程に用いられる塩酸の濃度が3.5〜7.0g/Lである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)塩酸浸出後の方解石の重量割合を2質量%以下にする、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記塩酸浸出工程にて生成した浸出後液に、硫酸を添加することにより石膏の沈殿を生成させて石膏を回収するとともに、石膏分離後の液を塩酸液として再度塩酸浸出工程の浸出前液として利用することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(1)方解石及び一次硫化銅鉱を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、
前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法。
(2)前記ヨウ化物浸出工程の前に、前記塩酸浸出の残渣を鉄(III)イオンによる溶液にて浸出する鉄イオン浸出工程を含む、(1)に記載の方法。
(3)前記銅鉱石は、方解石を重量割合が2質量%を超える割合で含み、且つ、一次硫化銅鉱を重量割合が50質量%を超える割合で含む、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記塩酸浸出工程に用いられる塩酸の濃度が3.5〜7.0g/Lである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)塩酸浸出後の方解石の重量割合を2質量%以下にする、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記塩酸浸出工程にて生成した浸出後液に、硫酸を添加することにより石膏の沈殿を生成させて石膏を回収するとともに、石膏分離後の液を塩酸液として再度塩酸浸出工程の浸出前液として利用することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
本発明の方法によれば、ヨウ素を添加して行う、方解石および一次硫化銅鉱を含む硫化銅鉱石の浸出において、銅の浸出速度および浸出率を上げることができる。
以下、本発明に関して、詳細に述べる。
本発明は、方解石および一次硫化銅鉱を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法である。
本発明は、方解石および一次硫化銅鉱を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法である。
本発明にて処理対象とする銅鉱石は、方解石(炭酸カルシウム)を含み、かつ、一次硫化銅鉱を、50質量%を超える割合で含むものである。また、特に方解石を重合割合で2質量%を超える量で含むものについて効果を発揮する。
この方解石は、前述のように、銅浸出に際して浸出液中の硫酸と反応して石膏を生成し、浸出反応の妨げとなることが、このたび判明した。
この方解石は、前述のように、銅浸出に際して浸出液中の硫酸と反応して石膏を生成し、浸出反応の妨げとなることが、このたび判明した。
そこで、銅浸出に先立って、この方解石を塩酸により浸出する(塩酸浸出工程)。
このときの塩酸の濃度は、典型的には3.5〜7.0g/Lである。この方解石の塩酸浸出により、方解石含有率を典型的には2質量%以下、好ましくは1質量%以下にすることができる。
このときの塩酸の濃度は、典型的には3.5〜7.0g/Lである。この方解石の塩酸浸出により、方解石含有率を典型的には2質量%以下、好ましくは1質量%以下にすることができる。
この塩酸浸出後の残渣を、ヨウ化物イオンおよび鉄(III)イオンを含有する溶液で浸出する(ヨウ化物浸出工程)。
ここで、好適な実施の態様において、添加するヨウ化物イオンの形態としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどの塩、もしくはヨウ化水素酸を硫酸溶液に溶解したものが利用可能である。また、添加するヨウ素イオン濃度は、50〜300mg/L、好ましくは50〜100mg/Lの範囲とすることが、コストと環境負荷の軽減の観点から好ましい。
また、銅鉱石に酸化銅鉱および/または二次硫化銅鉱が含有されている場合、一次硫化銅鉱を浸出させるためのヨウ化物浸出工程の前に、前記塩酸浸出の残渣を鉄(III)イオンによる溶液にて浸出する工程(鉄イオン浸出工程)を設けることが好ましい。
一次硫化銅鉱よりも溶解性の高い酸化銅鉱や二次硫化銅鉱が、鉄(III)イオンにより一次硫化銅鉱よりも早い段階で浸出されてCu2+が生じ、このCu2+がヨウ化物イオンと反応することにより、ヨウ化物浸出工程においてヨウ素ロスが生じる可能性があるところ、一次硫化銅鉱のヨウ化物による浸出よりも前にこれらを浸出しておくことで、ヨウ素ロスを極力抑えることが可能になる。
そこで、この鉄イオン浸出工程では、銅鉱石中の酸化銅鉱および二次硫化銅鉱の浸出処理が、その浸出率が80%以上に達するまで継続されることが、ヨウ化物イオンと銅が沈殿を生じない程度まで浸出液の銅濃度を下げるとの観点から好ましい。
また、前記塩酸浸出工程にて生成した浸出後液に、硫酸を添加することにより石膏の沈殿を生成させて石膏を回収することにより、石膏分離後の液を塩酸液として再度塩酸浸出工程の浸出前液として利用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
対象鉱はチリ国産出の粗鉱とした。全銅品位は0.26質量%、銅鉱物組成はシーケンシャルアッセイ(Sequential Assay)により算出し、酸化銅鉱が0.03質量%、二次硫化銅鉱が0.05質量%、一次硫化銅鉱が0.18質量%であった。
対象鉱はチリ国産出の粗鉱とした。全銅品位は0.26質量%、銅鉱物組成はシーケンシャルアッセイ(Sequential Assay)により算出し、酸化銅鉱が0.03質量%、二次硫化銅鉱が0.05質量%、一次硫化銅鉱が0.18質量%であった。
尚、Sequential Assayは次の手順で鉱石中の銅鉱物を溶出し、その分析結果により酸化銅鉱、二次硫化銅鉱並びに一次硫化銅鉱を算出する方法であり、試験・分析機関SGS Lakefield Research Chile社に分析依頼した。
(1)酸化銅鉱:一定粒度に粉砕したサンプルに硫酸を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(2)二次硫化銅鉱:酸化銅鉱分析の固液分離で得られた固体部分にシアン化ソーダ液を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(3)一次硫化銅鉱:二次硫化銅鉱の固液分離で得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解。溶出した銅を定量。
(1)酸化銅鉱:一定粒度に粉砕したサンプルに硫酸を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(2)二次硫化銅鉱:酸化銅鉱分析の固液分離で得られた固体部分にシアン化ソーダ液を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(3)一次硫化銅鉱:二次硫化銅鉱の固液分離で得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解。溶出した銅を定量。
また、上記の粗鉱中の方解石の重量割合はSGS Lakefield Research Chile社による走査電子顕微鏡を用いた鉱物の定量的評価分析(QEMSCAN)により4.49質量%と見積もられた。
上記組成の粗鉱を粒径22.4mm以下に破砕後、直径10cm、高さ1mの透明塩化ビニル製筒に12kg充填した。塩化ビニル製筒の底部は濾布及び塩化ビニル製目皿を装着して浸出液が通過後、浸出後液として回収できる構造とした。塩化ビニル製筒の上部より浸出液をポンプで供給した。
塩酸濃度3.5〜7.0g/L、供給速度は2L/日とした(塩酸浸出工程)。方解石の重量割合が2質量%以下となった後、鉄(III)イオンを含有する溶液にて浸出を行った(鉄イオン浸出工程)。鉄(III)イオン5g/L、pHは1.6、供給速度は1L/日とした。続いて、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出を行った(ヨウ化物浸出工程)。ヨウ化物イオン源はKIを用い260mg/L(ヨウ素濃度200mg/L)、pHは1.6、供給速度は0.5L/日とした。鉄(III)イオンは10g/L、pHは1.6、供給速度は0.5L/日とした。これにより、全体ではヨウ素濃度100mg/L、鉄(III)イオン5g/L、pH1.6、供給速度1L/日となる。
(比較例)
比較として、実施例において塩酸浸出を行わず、代わりに硫酸浸出を行った(硫酸浸出工程)。pHは0.5、供給速度は1L/日とした。その後、鉄(III)イオンを含有する溶液にて浸出を行った(鉄イオン浸出工程)。鉄(III)イオン5g/L、pHは1.0、供給速度は1L/日とした。続いて、ヨウ化物イオンと鉄(III)とを含有する溶液にて浸出を行った(ヨウ化物浸出工程)。ヨウ化物イオン源はKIを用い260mg/L(ヨウ素濃度200mg/L)、pHは1.0、供給速度は0.5L/日とした。鉄(III)イオンは10g/L、pHは1.0、供給速度は0.5L/日とした。これにより、全体ではヨウ素濃度100mg/L、鉄(III)イオン5g/L、pH1.0、供給速度1L/日となる。すなわち、鉄イオン浸出工程とヨウ化物浸出工程ではpHを除いて同一条件である。
比較として、実施例において塩酸浸出を行わず、代わりに硫酸浸出を行った(硫酸浸出工程)。pHは0.5、供給速度は1L/日とした。その後、鉄(III)イオンを含有する溶液にて浸出を行った(鉄イオン浸出工程)。鉄(III)イオン5g/L、pHは1.0、供給速度は1L/日とした。続いて、ヨウ化物イオンと鉄(III)とを含有する溶液にて浸出を行った(ヨウ化物浸出工程)。ヨウ化物イオン源はKIを用い260mg/L(ヨウ素濃度200mg/L)、pHは1.0、供給速度は0.5L/日とした。鉄(III)イオンは10g/L、pHは1.0、供給速度は0.5L/日とした。これにより、全体ではヨウ素濃度100mg/L、鉄(III)イオン5g/L、pH1.0、供給速度1L/日となる。すなわち、鉄イオン浸出工程とヨウ化物浸出工程ではpHを除いて同一条件である。
実施例および比較例において、銅、鉄及びカルシウム濃度はICP発光分光分析装置(ICP−AES)で測定し、ヨウ素濃度はヨウ化物イオンに還元した後にイオン電極法で定量した。pH調整剤として硫酸を用いた。塩酸浸出工程における方解石の重量割合は、溶出したカルシウムが全て方解石由来であると仮定して算出した。
図1は、実施例における塩酸浸出日数(日)と方解石の重量割合(質量%)との推移を示すグラフである。表1は、実施例及び比較例のそれぞれにおける塩酸浸出終了時(比較例は硫酸浸出終了時)、鉄イオン浸出終了時、及びヨウ化物浸出終了時の全銅浸出率(%)である。表1の比較例において、硫酸浸出工程は浸出日数0〜3日、鉄イオン浸出工程は浸出日数3〜18日、ヨウ化物浸出工程は浸出日数18〜60日である。表1の実施例において,鉄イオン浸出工程とヨウ化物浸出工程の浸出日数は比較例と同様である。
図1に示した通り、塩酸浸出開始31日後に方解石の重量割合は2質量%を下回ったため、塩酸浸出工程を終了し、鉄イオン浸出工程及びヨウ化物浸出工程に移行した。塩酸浸出開始31日後の銅浸出率は4.7%であった。
表1に示した通り、鉄イオン浸出工程を終了した時点で、銅鉱石のうち酸化銅鉱(12質量%)及び二次硫化銅鉱(19質量%)の合計31%の32%程度に相当する、全銅浸出率10%程度までの銅浸出率は実施例、比較例ともに同等であった。
このことは、浸出日数18日以降のヨウ化物浸出工程における実施例と比較例の銅浸出率の差を正確に評価できることを示す。
その後、浸出が進むにつれ処理対象となる鉱石は一次硫化銅鉱が主体となり、浸出日数18日目以降、実施例において、比較例と同様の浸出条件であるヨウ化物イオン並びに鉄(III)イオンを含有する溶液による浸出を行った。ヨウ化物イオン浸出工程の初期段階では、実施例の銅浸出速度は比較例と大きな差は見られないが、浸出日数60日目では、実施例の銅浸出率は比較例の銅浸出率より5%程度高い結果が得られた。
このことは、実施例では、鉄イオン浸出工程及びヨウ化物浸出工程の前に塩酸浸出を実施することにより、粗鉱中の方解石の重量割合を低減し、その後の浸出において銅浸出の阻害因子である石膏の沈殿生成量を低減したことを示す。
従って、方解石を含有する一次硫化銅鉱主体の銅鉱石に対しては、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程の前に塩酸浸出を実施することにより、銅浸出速度を改善することができる。
Claims (6)
- 方解石及び一次硫化銅鉱を含む銅鉱石を、塩酸により浸出する塩酸浸出工程と、
前記塩酸浸出の残渣を、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する溶液にて浸出するヨウ化物浸出工程とを有する銅鉱石の浸出方法。 - 前記ヨウ化物浸出工程の前に、前記塩酸浸出の残渣を鉄(III)イオンによる溶液にて浸出する鉄イオン浸出工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記銅鉱石は、方解石を重量割合が2質量%を超える量で含み、且つ、一次硫化銅鉱を重量割合が50質量%を超える割合で含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記塩酸浸出工程に用いられる塩酸の濃度が3.5〜7.0g/Lである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 塩酸浸出後の方解石の重量割合を2質量%以下にする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記塩酸浸出工程にて生成した浸出後液に、硫酸を添加することにより石膏の沈殿を生成させて石膏を回収するとともに、石膏分離後の液を塩酸液として再度塩酸浸出工程の浸出前液として利用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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---|---|---|---|---|
JP2020164968A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | Jx金属株式会社 | 鉱石からのカルシウムの除去方法及び金属の回収方法 |
JP2020164967A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | Jx金属株式会社 | 鉱石の処理方法 |
CN115772607A (zh) * | 2022-12-12 | 2023-03-10 | 昆明理工大学 | 一种利用超声强化配位剂高效浸出黄铜矿的方法 |
-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014265954A patent/JP2016125090A/ja active Pending
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