JP2016124720A - 硬化性組成物、転写フィルム、画像表示装置の前面板、前面板一体型センサー、画像表示装置および画像表示装置の前面板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。静電容量型の入力装置は、単に一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。静電容量型入力装置として、前面板が静電容量型入力装置と一体化した前面板一体型(カバーガラス一体型、OGS:One Glass Solutionとも言う)センサーを備えた静電容量型入力装置が知られている。
静電容量型タッチパネルを液晶や有機ELディスプレイ上に備えたスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの画像表示装置の前面板として、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化処理されたガラス(強化ガラスと言われることもある)を用いることが知られている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
本発明者らが特許文献1に記載の画像表示装置の前面板の透明導電膜の抵抗を下げるために高温でアニールする方法を検討した。その結果、特許文献1において第1の透明導電膜および第2の透明導電膜との間に形成される透明な有機化合物からなる下地絶縁膜として実際に採用しているアクリルの重合性化合物を用いて硬化膜を設けた画像表示装置の前面板は、タッチパネルの感度を十分に高められる程度に透明導電膜の抵抗を下げようとすると熱により着色し、画像表示装置用途として実用できない透過率まで低下してしまうことがわかった。
[1] 強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成するための硬化性組成物であって、
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を含有する硬化性組成物。
[2] [1]に記載の硬化性組成物は、硬化性組成物が0.1μm以上5μm未満の硬化膜を形成するための硬化性組成物であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の硬化性組成物は、硬化性組成物の金属酸化物を除く固形分の量に対する、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物の含有率が、80質量%以上であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の硬化性組成物は、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物として、少なくとも有機変性シリコーンを含むことが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の硬化性組成物は、硬化性組成物が、さらに金属酸化物を含有することが好ましい。
[6] 仮支持体と、
[1]〜[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を含む硬化性組成物層と、
を含む転写フィルム。
[7] 強化処理されたガラスと、
ガラスの一方の面に形成される透明導電膜と、
ガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に配置された硬化膜と、
を有し、
硬化膜が、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を硬化した硬化膜であるか、あるいは、[6]に記載の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層した硬化性組成物を硬化した硬化膜である、
画像表示装置の前面板。
[8] [7]に記載の画像表示装置の前面板は、硬化膜が、ガラスと透明導電膜との間にのみ形成されたことが好ましい。
[9] [7]に記載の画像表示装置の前面板は、硬化膜が、少なくとも透明導電膜の形成された領域において、ガラスを全面的に覆う連続膜として形成されたことが好ましい。
[10] [7]〜[9]のいずれか一つに記載の画像表示装置の前面板を有し、
透明導電膜が電極パターンを含むセンサーである前面板一体型センサー。
[11] [10]に記載の前面板一体型センサーを構成要素として備えた、画像表示装置。
[12] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を強化処理されたガラス上に製膜する工程、あるいは、[6]に記載の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程と;
硬化性組成物を硬化して硬化膜を製膜する硬化工程と;
硬化膜上に透明導電膜を形成する工程と;
を含む画像表示装置の前面板の製造方法。
[13] [12]に記載の画像表示装置の前面板の製造方法は、硬化工程が、ガラス上で硬化性組成物を200℃以上で熱処理する工程であることが好ましい。
[14] [12]または[13]に記載の画像表示装置の前面板の製造方法は、透明導電膜にエッチングレジストを積層した後にエッチングレジストが積層されていない領域の透明導電膜をエッチングして透明電極パターンを形成する工程を含み、
エッチングレジストが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の硬化性組成物は、強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成するための硬化性組成物であって、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を含有する硬化性組成物である。
このような構成により、本発明の硬化性組成物は、強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成するための硬化性組成物であって、強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下が抑制でき、透過率も高い硬化性組成物となる。強化処理されたガラス上に直接透明導電膜(透明電極パターンを含む)を形成した場合に比較して、WO2014/030599と同様に強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下が抑制できる。また、本発明の硬化性組成物は、強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を製膜した場合に、硬化時やその他のプロセスでの加熱時に加熱による着色が少ない有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を用いることで、光の透過率も高めることができる。そのため、本発明の硬化性組成物を用いることで、タッチパネルの感度が高く、かつ、画像表示部分の光の透過率が高い画像表示装置の前面板を提供することができる。
本発明の硬化性組成物は、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を含有する。
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物とは、有機基およびシロキサン結合を1分子内に持つ化合物のことを言う。
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有する有機基の位置としては、少なくとも2つのシロキサン結合に関与するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの側鎖の位置)や、1つのシロキサン結合に関与するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの末端の位置)や、1つのシロキサン結合に関与する酸素原子に置換する位置(シリコーンの末端の位置)などを上げることができる。有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有する有機基の位置は、シロキサン結合を少なくとも2つ有するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの側鎖の位置)または1つのシロキサン結合に関与するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの末端の位置)であることが好ましく、シロキサン結合を少なくとも2つ有するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの側鎖の位置)および1つのシロキサン結合に関与するケイ素原子に置換する位置(シリコーンの末端の位置)であることが、透明導電膜をエッチングする際にエッチングレジストに用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの有機溶媒耐性を高める観点からより好ましい。すなわち、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物は、有機溶媒耐性を高める観点から有機変性シリコーンであることが好ましい。
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有する有機基の種類としては、公知のシリコーンの側鎖に用いられる有機基や、公知の有機変性シリコーンに用いられる有機変性基を挙げることができる。公知の有機変性シリコーンに用いられる有機変性基は、繰り返し単位を有する共重合成分であってもよい。有機基の例としては、後述のシラン化合物の例が有する有機基を挙げることができる。有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有する有機基は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有する有機基の分子内の個数としては、1つ以上であることが好ましく、2つ以上であることがより好ましく、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物が有するケイ素原子の数の2倍以上であることが特に好ましい。
シリコーンゴムは、一般的に耐熱性、透明性が優れている。
生ゴム状のシロキサン構造を有する化合物(例えば高重合度ジメチルポリシロキサン)と補強材として粒子(例えば微粉末シリカ)とを基本成分として、必要に応じて各種添加剤を配合してシリコーンゴム前駆体が得られる。この補強材としての粒子は、フィラーと言われることもある。このシリコーンゴム前駆体では、特に高重合度のものをシリコーンゴムコンパウンドと言われる。このシリコーンゴム前駆体に、必要に応じて有機過酸化物や触媒などの加硫剤を使用時に添加して加熱硬化すると、狭義のシリコーンゴムが得られる。本明細書におけるシリコーンゴムには、シリコーンゴム前駆体と加熱硬化後の狭義のシリコーンゴムの両方が含まれる。
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
シリコーンレジンとして公知のものが使用できる。
シリコーンレジンは、樹脂を下記シラン化合物で一部変性し、多様な特性が付与されたた変性シリコーンレジンと、アルコキシ基又はシラノール基を有するシラン化合物を脱水縮合させ、シリコーン本来の性質を利用したストレートシリコーンレジンとに分類できる。上記シリコーンレジンが、有機変性シリコーンレジン、または、ストレートシリコーンレジンであることが好ましく、有機変性シリコーンレジンであることがより好ましい。すなわち、本発明の硬化性組成物は、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物として、少なくとも有機変性シリコーンを含むことが好ましい。
有機変性シリコーンのシリコーン成分の構造としては、後述のストレートシリコーンレジンの好ましい構造と同様である。
R1の表す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
R1の表す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R1の表す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基の中では、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、R1の表す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の置換アルキル基としては、例えばアリールアルキル基、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、(メタ)アクリロキシアルキル基およびメルカプトアルキル基を挙げることができる。これらの具体例としては、例えば、フェニルメチル(ベンジル)基、ジフェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−n−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル(クミル)基、3−フェニル−n−プロピル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1−フェニルペンチル基、2−フェニルペンチル基、3−フェニルペンチル基、4−フェニルペンチル基、5−フェニルペンチル基、1−フェニルヘキシル基、2−フェニルヘキシル基、3−フェニルヘキシル基、4−フェニルヘキシル基、5−フェニルヘキシル基、6−フェニルヘキシル基、1−フェニルシクロヘキシル基、2−フェニルシクロヘキシル基、3−フェニルシクロヘキシル基、1−フェニルヘプチル基、2−フェニルヘプチル基、3−フェニルヘプチル基、4−フェニルヘプチル基、5−フェニルヘプチル基、6−フェニルヘプチル基、1−フェニルオクチル基、2−フェニルオクチル基、3−フェニルオクチル基、4−フェニルオクチル基、5−フェニルオクチル基、6−フェニルオクチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基、1−ナフチル−n−プロピル基、2−ナフチル−2−プロピル基、3−ナフチル−n−プロピル基、1−ナフチルブチル基、2−ナフチルブチル基、3−ナフチルブチル基、4−ナフチルブチル基、1−ナフチルペンチル基、2−ナフチルペンチル基、3−ナフチルペンチル基、4−ナフチルペンチル基、5−ナフチルペンチル基、1−ナフチルヘキシル基、2−ナフチルヘキシル基、3−ナフチルヘキシル基、4−ナフチルヘキシル基、5−ナフチルヘキシル基、6−ナフチルヘキシル基、1−ナフチルシクロヘキシル基、2−ナフチルシクロヘキシル基、3−ナフチルシクロヘキシル基、1−ナフチルヘプチル基、2−ナフチルヘプチル基、3−ナフチルヘプチル基、4−ナフチルヘプチル基、5−ナフチルヘプチル基、6−ナフチルヘプチル基、1−ナフチルオクチル基、2−ナフチルオクチル基、3−ナフチルオクチル基、4−ナフチルオクチル基、5−ナフチルオクチル基、6−ナフチルオクチル基、などのアリールアルキル基;フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、(トリフルオロメチル)メチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロ−n−プロピル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、(ペンタフルオロエチル)メチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、4−フルオロ−n−ブチル基、3−(トリフルオロメチル)−n−プロピル基、2−(ペンタフルオロエチル)エチル基、(ヘプタフルオロ−n−プロピル)メチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、5−フルオロ−n−ペンチル基、4−(トリフルオロメチル)−n−ブチル基、3−(ペンタフルオロエチル)−n−プロピル基、2−(ヘプタフルオロ−n−プロピル)エチル基、(ノナフルオロ−n−ブチル)メチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、6−フルオロ−n−ヘキシル基、5−(トリフルオロメチル)−n−ペンチル基、4−(ペンタフルオロエチル)−n−ブチル基、3−(ヘプタフルオロ−n−プロピル)−n−プロピル基、2−(ノナフルオロ−n−ブチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ペンチル)メチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、7−(トリフルオロメチル)−n−ヘプチル基、6−(ペンタフルオロエチル)−n−ヘキシル基、5−(ヘプタフルオロ−n−プロピル)−n−ペンチル基、4−(ノナフルオロ−n−ブチル)−n−ブチル基、3−(パーフルオロ−n−ペンチル)−n−プロピル基、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチル基、(パーフルオロ−n−ヘプチル)メチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、9−(トリフルオロメチル)−n−ノニル基、8−(ペンタフルオロエチル)−n−オクチル基、7−(ヘプタフルオロ−n−プロピル)−n−ヘプチル基、6−(ノナフルオロ−n−ブチル)−n−ヘキシル基、5−(パーフルオロ−n−ペンチル)−n−ペンチル基、4−(パーフルオロ−n−ヘキシル)−n−ブチル基、3−(パーフルオロ−n−ヘプチル)−n−プロピル基、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル基、(パーフルオロ−n−ノニル)メチル基、パーフルオロ−n−デシル基、4−フルオロシクロペンチル基、4−フルオロシクロヘキシル基等のフルオロアルキル基;ならびにクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、3−クロロシクロペンチル基、4−クロロシクロヘキシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基等を挙げることができる。
また、R1の表す炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基等を挙げることができる。R1の表す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の置換アルキル基の中では、アリールアルキル基が好ましく、クミル基がより好ましい。
また、R1の表す炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。R1の表す炭素数6〜20のアリール基のなかでは、加熱時にベンゼンを発生しにくい観点から無置換のフェニル基以外、すなわち、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基が好ましく、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基がより好ましい。
また、R1の表す炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
上記一般式(1)で表されるシロキサン構造は、R1としてメチル基を含むことが、加飾層のL値を特に高めることができる観点から好ましい。
で表されるシロキサン構造の共重合体であることも好ましい。この場合、R1がアルキル基である上記一般式(1)で表されるシロキサン構造と、R1が水素原子、置換アルキル基またはアリール基である上記一般式(1)で表されるシロキサン構造との共重合体を好ましく挙げることができる。共重合比としては特に制限はないが、R1がアルキル基である上記一般式(1)で表されるシロキサン構造が、全ての上記一般式(1)で表されるシロキサン構造中、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましく、70〜100モル%であることが特に好ましい。
より好ましいのは、メチル系ストレートシリコーンレジン、メチルトリル系ストレートシリコーンレジン、メチルフェニル系ストレートシリコーンレジン、アクリル樹脂変性シリコーンレジン、メチルハイドロジェン系ストレートシリコーンレジン、ハイドロジェントリル系ストレートシリコーンレジンであり、加熱時にベンゼンを発生せず、明度の低下抑制の観点から、特に好ましいのは、メチル系ストレートシリコーンレジン、メチルトリル系ストレートシリコーンレジン、メチルハイドロジェン系ストレートシリコーンレジン、ハイドロジェントリル系ストレートシリコーンレジンである。
これらのシリコーンレジンは単独で使用しても2種以上を併用してもよく、これらを任意の比率で混合することにより膜物性を制御できる。
・カラム:GPCカラム TSKgelSuper HZM−H(東ソー社製)
・溶媒:テトラヒドロフラン
・標準物質:単分散ポリスチレン
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、クミルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシ、トリアシルオキシまたはトリフェノキシシラン類、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシランなどのアルコキシシランまたはジアシルオキシシラン類、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエチルメチルシラン、トリエチルシラン、ブチルジメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、メチルフェニルビニルシラン、ジフェニルメチルシラン、トリプロピルシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルシラン、トリヘキシルシラン、ジエチルシラン、アリルジメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、オクチルシラン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、および1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ジメチルトリルシラン、メチルトリルビニルシラン、ジトリルメチルシラン、トリトリルシラン、ジメチルベンジルシラン、メチルベンジルビニルシラン、ジベンジルメチルシラン、トリベンジルシラン、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレン、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−i−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリクロロシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリエトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリクロロシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリクロロシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、ヒドロキシメチルトリクロロシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−i−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−ブトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリクロロシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリ−i−プロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−i−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルジクロロシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ−n−プロポキシシラン、メチルジ−i−プロポキシシラン、メチルジ−n−ブトキシシラン、メチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジクロロシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジエメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジクロロシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(γ−グリシドキシプロピル)ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジクロロシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)
ジメトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジエトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジクロロシラン、(メチル)(ビニル)ジメトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジエトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−sec−ブトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ−i−プロポキシシラン、ジビニルジ−n−ブトキシシラン、ジビニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−i−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシシラン、ヨードトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、n−プロポキシトリメチルシラン、i−プロポキシトリメチルシラン、n−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、(クロロ)(ビニル)ジメチルシラン、(メトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(エトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(クロロ)(メチル)ジフェニルシラン、(メトキシ)(メチル)ジフェニルシラン、(エトキシ)(メチル)ジフェニルシラン等をそれぞれ挙げることができる。但し、本発明はこれらの具体例により限定されない。
KC−89、KC−89S、X−21−3153、X−21−5841、X−21−5842、X−21−5843、X−21−5844、X−21−5845、X−21−5846、X−21−5847、X−21−5848、X−22−160AS、X−22−170B、X−22−170BX、X−22−170D、X−22−170DX、X−22−176B、X−22−176D、X−22−176DX、X−22−176F、X−22−3710ST、X−40−2308、X−40−2651、X−40−2655A、X−40−2671、X−40−2672、X−40−9220、X−40−9225、X−40−9226、X−40−9227、X−40−9246、X−40−9247、X−40−9250、X−40−9323、X−40−2460M、X−41−1053、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1810、KF6001、KF6002、KF6003、KR−212、KR−213、KR−217、KR−220、KR−240、KR−242A、KR−251、KR−253、KR−255、KR−271、KR−282、KR−300、KR−311、KR−400、KR−401N、KR−500、KR−510、KR−5206、KR−5230、KR−5235、KR−9218、KR−9706、KR−165、SMP−2003PGMEA、ES−1023(以上、信越化学工業(株)社);
SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400、SR2402、SR2405、SR2406、SR2410、SR2411、SR2416、SR2420(以上、東レ・ダウコーニング社);
YR3187、YR3370、TSR127B(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)
FZ3711、FZ3722(以上、日本ユニカー社);
DMS−S12、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、DMS−S32、DMS−S33、DMS−S35、DMS−S38、DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51、DMS−227、PSD−0332、PDS−1615、PDS−9931、XMS−5025(以上、チッソ社);
メチルシリケートMS51、メチルシリケートMS56(以上、三菱化学社);
エチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート社);
グラスレジンGR100、GR650、GR908、GR950(以上、昭和電工社)等の部分縮合物が挙げられる。但し、本発明はこれらの具体例により限定されない。
硬化性組成物が有機基およびシロキサン結合を持つ化合物以外の他の重合性化合物を含んでいてもよい。
他の重合性化合物としては、光重合性化合物が好ましい。光重合性化合物の有する光重合性基としては特に制限は無く、エチレン性不飽和基、エポキシ基などを挙げることができる。硬化性組成物に用いられる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことがより好ましい。
エチレン性不飽和結合含有化合物としては、特許第4098550号の段落[0023]〜[0024]に記載の重合性化合物や、トリシクロデカンジオールジメタノールジアクリレートなどの2官能の重合性化合物を用いることができる。
硬化性組成物には、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、ジペンタエリスリトール(ペンタ/ヘキサ)アクリレートやトリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどの少なくとも5つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物;ウレタン(メタ)アクリレート化合物などのウレタン系モノマー;エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートやトリシクロデカンジオールジメタノールジアクリレートなどの2官能の重合性化合物を好ましく用いることができる。
硬化性組成物が、少なくとも5つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含むことが感度の観点から好ましい。
他の重合性化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることが、感度の観点から好ましい。
他の重合性化合物は有機基およびシロキサン結合を持つ化合物に対して50質量%以下の範囲で使用することが好ましく、20質量%以下の範囲で使用することがより好ましく、10質量%以下の範囲で使用することが特に好ましく、5質量%以下の範囲で使用することがより特に好ましく、実質的に0質量%であることがさらにより特に好ましい。
他の重合性化合物は、平均分子量が200〜3000であることが好ましく、250〜2600であることがより好ましく、280〜2200であることが特に好ましい。
硬化性組成物が触媒を含むことが、上記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を含む硬化膜を硬化して脆性を改善する観点から好ましい。特に、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を2種以上用いる場合、脱水・脱アルコール縮合反応させることによる架橋促進のために好ましく用いられる。
上記触媒として公知の触媒が使用できる。
好ましい触媒としては、金属成分としてスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)及びガリウム(Ga)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の有機錯体又は有機酸塩のような有機金属化合物触媒が挙げられる。
これらの中でもSn、Ti、Zn、Zr、Hf、Gaは、反応活性が高い点で好ましく、ベーク時のひび割れ防止の観点からZnまたはTiがより好ましく、ポットライフ向上の観点からZnが特に好ましい。
亜鉛(Zn)を含有する有機金属化合物触媒としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)等が挙げられる。
スズ(Sn)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)を含有する有機金属化合物触媒の例としては、例えば、特開2012−238636号公報に記載の触媒を好ましく用いることができる。
上記触媒としては市販の触媒を用いることもできる。例えば、亜鉛系縮合触媒D−15(信越化学工業式会社製)などを挙げることができる。
上記触媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また反応促進剤や反応抑制剤と併用してもよい。
上記触媒の含有量は、上記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物に対して、0.01〜10質量%であることがベーク時のひび割れ防止およびポットライフ向上の観点から好ましく、より好ましくは0.03〜5.0質量%である。
画像表示装置の前面板用の強化処理されたガラス上に設けられる硬化膜は、光重合開始剤を含む硬化性組成物を光硬化させて形成されなくともよく、硬化性組成物は、光硬化性樹脂や光重合開始剤を含んでいても含んでいなくてもよい。硬化性組成物が光重合開始剤を含まないことが好ましい。そのため、上記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物は熱硬化性であることが好ましい。
硬化性組成物に用いられる光重合開始剤としては、特開2011−95716号公報に記載の[0031]〜[0042]に記載の光重合開始剤を用いることができる。
本発明の硬化性組成物が、さらに金属酸化物を含有することが好ましい。ここで、WO2014/030599では「透明な有機化合物からなる下地絶縁膜」を用いており、下地絶縁膜に金属酸化物を添加することは想定されていない。それに対し本発明の硬化性組成物では、さらに金属酸化物を含有することで、透明導電膜をパターン形成して得られた透明電極パターンを見えにくくする骨見え防止をすることが好ましい。すなわち、本発明では、硬化膜に屈折率調整層としての機能を持たせることが好ましい。
硬化性組成物は、屈折率や光透過性を調節することを目的として、金属酸化物粒子を含有することが好ましい。金属酸化物粒子は、高屈折率で透明性が高く、光透過性を有するため、強化処理ガラスよりも透明導電膜に近い高屈折率で、透明性に優れた硬化性組成物が得られる。
金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子を除いた材料からなる硬化性組成物の屈折率より屈折率が高いものであることが好ましく、具体的には、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上の粒子がより好ましく、屈折率が1.70以上の粒子が更に好ましく、1.90以上の粒子が特に好ましい。
ここで、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上であるとは、上記範囲の波長を有する光における平均屈折率が1.50以上であることを意味し、上記範囲の波長を有する全ての光における屈折率が1.50以上であることを要しない。また、平均屈折率は、上記範囲の波長を有する各光に対する屈折率の測定値の総和を、測定点の数で割った値である。
光透過性で屈折率の高い金属酸化物粒子として、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウムが更に好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウムが特に好ましく、二酸化チタンが最も好ましい。二酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料で処理することもできる。
その他の金属酸化物としては、特開2013−97362号公報の段落[0021]に記載の金属酸化物などを用いることができる。
硬化性組成物における金属酸化物粒子の含有量は、硬化性組成物により得られる光学部材に要求される屈折率や、光透過性等を考慮して、適宜決定すればよいが、硬化性組成物の全固形分に対して、5〜80質量%とすることが好ましく、5〜70質量%とすることがより好ましく、10〜70質量%とすることが特に好ましい。
硬化性組成物が、酸化ジルコニウム粒子および酸化チタン粒子のうち少なくとも一方を有することが、硬化膜の屈折率を好ましい範囲に制御する観点から好ましく、酸化ジルコニウム粒子がより好ましい。
金属酸化物粒子が酸化ジルコニウムである場合、硬化性組成物が金属酸化物粒子を40.0〜80質量%含有することが好ましく、40.0〜70質量%含有することがより好ましく、40.0〜69.8質量%含有することが特に好ましく、40.0質量%を超え69.8質量%以下含有することがより特に好ましく、50.0〜65.0質量%含有することがさらにより特に好ましく、60.0〜65.0質量%含有することが最も好ましい。金属酸化物粒子が酸化チタンである場合、硬化性組成物が金属酸化物粒子を30〜70質量%含有することが好ましい。
硬化性組成物から得られる硬化膜の金属酸化物粒子の含有量を測定する方法は、以下のとおりである。
硬化膜の断面を切削した後、TEM(透過型電子顕微鏡)で、断面を観察する。硬化膜の膜断面積における、金属酸化物粒子の占有面積の割合を層内の任意の3箇所で測定し、その平均値を体積分率(VR)と見なす。
体積分率(VR)と重量分率(WR)は、下記の式で換算することにより、硬化膜内における金属酸化物粒子の重量分率(WR)を算出する。
WR=1/(1.1*(1/(D*VR)−1)+1)
D:金属酸化物粒子の比重
金属酸化物粒子が、酸化チタンの場合D=4.0、酸化ジルコニウムの場合D=6.0として計算することができる。
さらに、上記硬化性組成物には、その他の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、例えば特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜0071に記載の界面活性剤や、特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤、さらに、特開2000−310706号公報の段落0058〜0071に記載のその他の添加剤が挙げられる。硬化性組成物がバインダーを含んでいてもよいが、実質的に含まないことが好ましい。バインダーとしては、バインダーとしては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無く、公知のものの中から適宜選択でき、アルカリ可溶性高分子化合物が好ましい。アルカリ可溶性高分子化合物としては、特開2011−95716号公報の段落[0025]、特開2010−237589号公報の段落[0033]〜[0052]に記載のポリマーを用いることができる。
上記硬化性組成物に含まれる界面活性剤の濃度は硬化性組成物の全固形分に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
また、硬化性組成物を塗布により製造する際の溶剤としては、特開2011−95716号公報の段落0043〜0044に記載の溶剤を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物が0.1μm以上5μm未満の硬化膜を形成するための硬化性組成物であることが好ましく、0.7〜4μmの硬化膜を形成するための硬化性組成物であることがより好ましく、1〜3μmの硬化膜を形成するための硬化性組成物であることが特に好ましい。
硬化膜の厚みが上記の下限値よりも厚い方が、強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下を抑制する観点から好ましい。硬化膜の厚みが上記の上限値よりも薄い方が、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物の熱収縮を抑制して有機基およびシロキサン結合を持つ化合物の熱収縮に伴う強化処理ガラスの歪みによる面強度の低下を抑制する観点と、透明導電膜をエッチングする際にエッチングレジストに用いられるPGMEAなどの有機溶媒による硬化膜の膨潤を抑制して有機溶媒耐性を高める観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前面板一体型センサーが通常画像表示領域を囲う枠状に有する加飾層とガラスとの段差を埋めるために用いてもよいが、加飾層とガラスとの段差を埋める必要はない。加飾層とガラスとの段差を埋める高さと同程度の厚みに調整するよりも、前述の強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下の抑制や有機溶剤耐性を高めるために、硬化性組成物層は転写フィルムに用いる段階で前述の硬化膜の好ましい膜厚程度の厚みに調製しておくことが好ましい。
本発明の転写フィルムは、仮支持体と、本発明の硬化性組成物を含む硬化性組成物層と、を含む。
また仮支持体と硬化性組成物層との間に熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
本発明の転写フィルムの一例の断面を示す概略図を図10に示す。図10に示した転写フィルム30は、仮支持体26、熱可塑性樹脂層27、中間層28、本発明の硬化性組成物を含む硬化性組成物層25および保護剥離層(保護フィルム)29がこの順で積層された構成である。
以下、各層の好ましい構成など、転写フィルムの好ましい態様について説明する。
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下または、加圧および加熱下で著しい変形、収縮もしくは伸びを生じない材料を用いることができる。このような仮支持体の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
また、仮支持体は透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
本発明の転写フィルムは、本発明の硬化性組成物を含む硬化性組成物層を含む。
転写フィルムは、仮支持体と硬化性組成物層との間に熱可塑性樹脂層が設けられることが好ましい。熱可塑性樹脂層はアルカリ可溶性であることが好ましい。熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などによる凹凸等も含む。)を吸収することができるようにクッション材としての役割を担うものであり、対象面の凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
転写フィルムには、硬化性組成物層と熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けたり、あるいは硬化性組成物層の表面に保護フィルムなどを更に設けたりして好適に構成することができる。
本発明の転写フィルムは、特開2006−259138号公報の段落0094〜0098に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
具体的に中間層を有する転写フィルムを形成する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と共に添加剤を溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、この熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂や添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層し、この中間層上に更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製した本発明の硬化性組成物を塗布し、乾燥させて加飾層を積層することによって、好適に作製することができる。
本発明の画像表示装置の前面板は、強化処理されたガラスと、ガラスの一方の面に形成される透明導電膜と、ガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に配置された硬化膜と、を有し、
硬化膜が、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化膜であるか、あるいは、本発明の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層した硬化性組成物を硬化した硬化膜である。
まず、本発明の画像表示装置の前面板の構成を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の画像表示装置の前面板の一例の断面を示す概略図である。図1の画像表示装置の前面板10は、強化処理されたガラス1と、強化処理されたガラス1の一方の面に形成される透明導電膜3または4と、強化処理されたガラス1と透明導電膜3または4との間に配置された硬化膜12とを有し、硬化膜12が、強化処理されたガラス1と透明導電膜3または4との間にのみ形成された構成である。
図2は、本発明の画像表示装置の前面板の他の一例の断面を示す概略図である。図2の画像表示装置の前面板10は、強化処理されたガラス1と、強化処理されたガラス1の一方の面に形成される透明導電膜3または4と、強化処理されたガラス1と透明導電膜3または4との間に配置された硬化膜12とを有し、硬化膜12が、少なくとも透明導電膜3または4の形成された領域(静電容量型入力装置の入力面)において、ガラスを全面的に覆う連続膜として形成された構成である。
このような構成により、本発明の画像表示装置の前面板は強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下が抑制でき、透過率も高い。
画像表示装置の前面板は、強化処理されたガラスを有する。強化処理されたガラスの透明導電層や透明電極パターンが設けられたセンサー面の面強度は、透明導電膜の形成による面強度低下が起こるため、十分に高くならない。本発明では、強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成することで、強化処理されたガラスの透明導電膜の形成による面強度低下が抑制でき、透過率も高くなる。
強化処理されたガラスとは、表面に、強化層(圧縮応力層)を形成して圧縮応力を働かせることにより、強度を高めたガラスである。
強化処理されたガラスの製造方法としては、加熱と冷却によるガラスの膨張と収縮を利用して、強化層を形成する物理強化法(風冷強化法)と、ガラス中のアルカリイオンをよりイオン半径の大きな他のアルカリイオンと交換することで、強化層を形成する化学強化法が知られている。
タッチパネルのカバーガラスなどの薄いガラスでは、一般的に、化学強化法により強化処理されたガラス、いわゆる化学強化ガラスが利用される。一方、物理強化法により強化処理されたガラス、いわゆる物理強化ガラスを用いてもよい。
本発明に用いられる強化処理されたガラスとしては、前述の化学強化ガラスや物理強化ガラス等の強化ガラスが例示される。化学強化や物理強化は、公知の方法で行えばよい。中でも、アルミノシリケート化学強化ガラス、ソーダライム化学強化ガラス等は、好適に利用される。
強化処理されたガラスの厚さは、公知のタッチセンサに用いられるカバーガラスと同様でよい。なお、強化処理されたガラスの厚さは、通常、0.3〜1.5mmであり、好ましくは、0.5〜1.1mmである。
強化処理されたガラスとしては、WO2014/030599の[0021]〜[0023]に記載の強化処理されたガラスを用いることができ、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
本発明の画像表示装置の前面板は、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化膜を有する。
硬化膜の膜厚は0.1〜10μmとすることができるが、本発明の硬化性組成物の<用途>に上述したとおり、0.1μm以上5μm未満であることが好ましく、0.7〜4μmであることがより好ましく、1〜3μmであることが特に好ましい。
本発明の画像表示装置の前面板は、ガラスの一方の面に形成される透明導電膜を有する。
透明導電膜は、連続膜の形状であっても、タッチパネルなどの静電容量型入力装置のセンサーとして用いられる透明電極パターンの形状であってもよい。連続膜の形状の透明導電膜は、フォトリソグラフィなどの公知の方法によって前面板一体型センサーにおける電極パターンの一部または全部の透明電極パターンとして用いられる。
後述する本発明の前面板一体型センサーは、透明導電膜から形成されてなる透明電極パターンを有することが好ましい。
前面板一体型センサー中、電極パターンは行方向と列方向の略直交する2つの方向にそれぞれ第一の電極パターンおよび第二の電極パターンとして設けられることがある(例えば、図3参照)。例えば図3の構成では、本発明の画像表示装置の前面板における透明導電膜から形成されてなる透明電極パターンは、第二の電極パターン4であっても、第一の電極パターン3であってもよい。
図3を用いて第一の電極パターン3および第二の電極パターン4について説明する。図3は、第一の電極パターンおよび第二の電極パターンの一例を示す説明図である。図3に示すように、第一の電極パターン3は、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の電極パターン4は、第一の電極パターン3と絶縁層5によって電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(図3における第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の電極パターン3を形成する場合、前述のパッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、図3に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3aの一部とが連結され、且つ、絶縁層5によって第一の電極パターン3と第二の電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
ここで、前述の電極パターンの端部がテーパー形状であるときの電極パターンの端部の角度(以下、テーパー角とも言う)は、30°以下であることが好ましく、0.1〜15°であることがより好ましく、0.5〜5°であることが特に好ましい。
本明細書中におけるテーパー角の測定方法は、前述の電極パターンの端部の顕微鏡写真を撮影し、その顕微鏡写真のテーパー部分を三角形に近似し、テーパー角を直接測定して求めることができる。
テーパー部分を近似した三角形の底面は、10〜3000nmであることが好ましく、100〜1500nmであることがより好ましく、300〜1000nmであることが特に好ましい。
なお、テーパー部分を近似した三角形の高さの好ましい範囲は、電極パターンの膜厚の好ましい範囲と同様である。
前述の第二の電極パターンが透明電極パターンであっても、透明電極パターンでなくてもよいが、透明電極パターンであることが好ましい。
本発明の画像表示装置の前面板を製造する方法に特に制限はないが、以下に記載する本発明の画像表示装置の前面板の製造方法によって製造することが好ましい。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、本発明の硬化性組成物を強化処理されたガラス上に製膜する工程、あるいは、本発明の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程と;
硬化性組成物を硬化して硬化膜を製膜する硬化工程と;
硬化膜上に透明導電膜を形成する工程と;
を含む画像表示装置の前面板の製造方法である。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、本発明の硬化性組成物を強化処理されたガラス上に製膜する工程、あるいは、本発明の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程を含む。
上記硬化膜の製膜方法としては特に制限はない。例えば、塗布(印刷を含む)や蒸着などを用いることができる。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、製膜工程が、硬化性組成物を強化処理されたガラス上に塗布する工程、あるいは、本発明の転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程であることが、蒸着よりも製造コストを下げられる観点から好ましい。また、転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程は、硬化性組成物を仮支持体上に塗布する工程で得られた転写フィルムの硬化性組成物層をガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程であることが好ましい。
上記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物や他の添加剤を含む本発明の硬化性組成物を塗布液として用いて塗布等して形成することが好ましく、塗布等の際に用いる硬化性組成物は溶媒を用いて調製できる。
硬化膜の塗布による形成方法としては特に制限は無く、スクリーン印刷などを挙げることができる。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、硬化性組成物を硬化して硬化膜を製膜する硬化工程を含む。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、硬化工程が、ガラス(強化処理されたガラス)上で硬化性組成物を200℃以上で熱処理する工程であることが好ましい。熱処理において、有機基とシロキサン結合を持つ化合物は、加熱により着色せずに硬化させることができる。
上記熱処理の温度は、200〜300℃であることがより好ましく、220〜260℃であることが特に好ましい。
上記熱処理の時間は、10〜150分であることがより好ましく、20〜100分であることが特に好ましい。
上記熱処理は、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよいが、空気環境下で行うことが、特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点から特に好ましい。
本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、硬化膜上に透明導電膜を形成する工程を含む。
前述の透明導電膜の屈折率は1.75〜2.1であることが好ましい。
前述の透明導電膜の材料は特に制限されることはなく、公知の材料を用いることができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性の導電性金属酸化膜で作製することができる。このような金属膜としては、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられる。この際、各要素の、膜厚は10〜200nmとすることができる。また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とするため、電気的抵抗を低減することが好ましい。その中でも、前述の透明導電膜は、ITO膜であることが好ましい。
ITO等の透明導電膜の成膜は、スパッタリングや蒸着等の公知の方法で行えばよい。また、前述の第一の電極パターン3と、第二の電極パターン4と、後述する引き回し配線6とは、導電性繊維を用いた光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の電極パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落0014〜0016等を参考にすることができる。
透明導電膜から、前面板一体型センサーにおける電極パターンの一部または全部の透明電極パターンを形成することが好ましい。透明導電膜から透明電極パターンを形成する方法としては特に制限は無く、フォトリソグラフィなどの公知の方法によって透明導電膜から透明電極パターンを形成することができる。フォトリソグラフィによって透明導電膜から透明電極パターンを形成する場合、エッチングレジストを設けてマスク露光による露光・現像、すなわちエッチング処理を行うことが好ましい。
光硬化性樹脂層を有する転写フィルムをエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いる場合にも、前述の方法と同様にして、レジストパターンを得ることができる。前述のエッチングは、特開2010−152155公報の段落0048〜0054等に記載の公知の方法でエッチング、レジスト剥離を適用することができる。
ウェットエッチングに用いられるエッチングレジストは樹脂と溶媒を含むことが好ましい。エッチングレジスト用の樹脂としては特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。エッチングレジスト用の溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンを挙げることができる。エッチングレジスト用の溶媒としては、特開2010−181729号公報の段落[0104]に記載の材料も用いることができる。本発明の画像表示装置の前面板の製造方法は、透明導電膜にエッチングレジストを積層した後にエッチングレジストが積層されていない領域の透明導電膜をエッチングして透明電極パターンを形成する工程を含み、エッチングレジストが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。エッチングレジストが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含む場合も、本発明の硬化性組成物から形成された硬化膜はこれらの有機溶媒耐性が高いため、エッチングレジスト用の溶媒がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
エッチング後、ライン汚染を防ぐために必要に応じて、洗浄工程・乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10〜300秒間基材を洗浄して行い、乾燥工程については、エアブローを使用して、エアブロー圧(0.1〜5kg/cm2程度)を適宜調整し行えばよい。
本発明の前面板一体型センサーは、本発明の画像表示装置の前面板と、少なくとも電極パターンを含むセンサーと、を有する前面板一体型センサーである。
前面板一体型センサーは、静電容量型入力装置であることが好ましい。
以下、本発明の前面板一体型センサーの好ましい態様の詳細を説明する。
まず、本発明の前面板一体型センサーの好ましい構成について、装置を構成する各部材の製造方法とあわせて説明する。
図6〜8は、前面板一体型センサーの構成の一例である。図6は、第一の電極パターン3が形成された前面板一体型センサーの一例を示す上面図である。図7は、第一の電極パターン3と第二の電極パターン4が形成された前面板一体型センサーの一例を示す上面図である。図8は、第一および第二の電極パターンとは引き回し配線6が形成された前面板一体型センサーの一例を示す上面図である。これらは、以下の説明を具体化した例を示すものであり、本発明の範囲はこれらの図面により限定的に解釈されることはない。
加飾層は、枠状の加飾層であることが好ましい。すなわち、画像表示装置に用いた場合に、中央の画像表示部分(電子機器表示窓)を加飾層が枠状に囲むことが好ましい。加飾層の好ましい態様としては、特許5020580号公報に記載の枠状遮光層と同様の態様を挙げることができる。
引き回し配線は、枠状であることが好ましい。すなわち、画像表示装置に用いた場合に、中央の画像表示部分を引き回し配線が枠状に囲むことが好ましい。
前述のオーバーコート層によって、前述の電極パターンおよび前述の電極パターンが形成されていない非パターン領域の両方が連続して直接または他の層を介して被覆されたことが好ましい。
ここで、「連続して」とは、前述のオーバーコート層がパターン膜ではなく、連続膜であることを意味する。すなわち、前述のオーバーコート層は、開口部を有していないことが、電極パターンを視認されにくくする観点から好ましい。
また、前述のオーバーコート層によって、前述の電極パターンおよび前述の非パターン領域が、他の層を介して被覆されるよりも、直接被覆されることが好ましい。他の層を介して被覆される場合における「他の層」としては、遮光性導電膜が含まれる場合の遮光性導電膜などを挙げることができる。
引き回し配線は、電極パターンの引き回し配線であることが好ましく、電極パターンとは別の導電性要素である。引き回し配線は後述の遮光性導電膜とは別の導電性要素であってもよく、引き回し配線は後述の遮光性導電膜とは同じ部材であってもよい。
引き回し配線の材料は特に制限されることはなく、公知の材料を用いることができる。従来は導電性が高く微細加工が容易な点から、引き回し配線の材料としてMo/Al/Moの3層構造のMAMが一般的に用いられてきたが、上述の電極パターンの材料と同じ材料を好ましく用いることができ、さらにAu(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、C(炭素)、Fe(鉄)などの金属を用いることもできる。これらの金属が含まれる導電性ペーストまたは導電性インクをウェット法により成膜することで、蒸着法に比べてより安価なプロセスで引き回し配線を得ることができる。引き回し配線の材料は金属であることが好ましく、銅またはアルミニウムであることがより好ましい。
本発明の画像表示装置の前面板は、加飾層を有していてもよい。
加飾層は、画像表示装置の前面板上の一部に枠状(額縁状)に形成された加飾層であることが好ましい。
画像表示装置の前面板には、図5〜8に示すように、強化処理されたガラス1の一部の領域(図5〜8においては入力面以外の領域)を覆うように加飾層2が設けられていることが好ましい。
前述の加飾層は、指またはタッチペンなどで触れる領域の周囲に黒色の額縁として、電極パターンの引き回し配線を接触側から視認できないようにしたり、加飾をしたりするためにも設けられる。前述の加飾層は、指またはタッチペンなどで触れる領域の周囲に額縁として加飾のために設けられ、例えば白色または黒色の加飾層を設けることが好ましい。
上記転写フィルムを用いて加飾層を形成する場合には、樹脂層に着色剤を用いることができる。上記着色剤としては、前述の着色剤(有機顔料、無機顔料、染料等)を好適に用いることができる。
遮光性導電膜は、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。また、遮光性導電膜は、電極パターンはエッチングされないが遮光性導電膜自身はエッチングされるというエッチャントが存在することが好ましい。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、錫などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れ、電極パターンはエッチングされない酸性雰囲気下でも過酸化水素水で容易にエッチングできるため非常に好ましい。遮光性導電膜の厚みはより好ましくは、厚み30nm以上である。遮光性導電膜の厚みはさらに好ましくは、100〜500nmにするとよい。100nm以上の厚みに設定することで高い導電性の遮光性導電膜が得られ、500nm以下にすることで取り扱いやすく加工性に優れた遮光性導電膜が得られるからである。
オーバーコート層を透明電極パターンの上に転写して作製されてなることが好ましい。
センサー上に作製されたフレキシブル配線である電極パターンおよび引き回し配線を、引き回し配線の端末部31に直接つなぐことができ、これにより、センサーの信号を電気回路に送ることが可能になる。
オーバーコート層は、光硬化性であっても、熱硬化性かつ光硬化性であってもよい。その中でも、オーバーコート層は熱硬化性透明樹脂層かつ光硬化性透明樹脂層であることが、転写後に光硬化して製膜しやすく、かつ、製膜後に熱硬化して膜の信頼性を付与できる観点から好ましい。
オーバーコート層としては、特開2014−178922号公報の[0024]〜[0036]に記載の保護層と同じ層を用いることができる。
本発明の画像表示装置は、本発明の前面板一体型センサーを構成要素として備えた、画像表示装置である。
本発明の前面板一体型センサーを構成要素として備えた画像表示装置は、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行(株)テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
<硬化性組成物1の調製>
下記の組成となるように、有機基およびシロキサン結合を持つ化合物であるシリコーン樹脂、界面活性剤、硬化触媒及び溶剤を量り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度24℃(±2℃)のもと、150RPM(Round per minutes)で30分間攪拌することで硬化性組成物1を得た。得られた硬化性組成物1を、実施例1の硬化性組成物とした。
下記表1に硬化性組成物1の組成を記載した。なお、表1に記載された量は質量基準の部数である。
・シリコーンレジン:KR−300(信越化学工業(株)製;
ストレートシリコーンのキシレン溶液(固形分50質量%)) :300質量部
・シリコーン樹脂:KR−311(信越化学工業(株)製;
ストレートシリコーンのキシレン溶液(固形分60質量%)) :250質量部
・シリコーン樹脂用Zn硬化触媒:D−15(信越化学工業(株)製;
キシレン溶液(固形分25質量%)) :12.0質量部
・界面活性剤:下記構造物1 :10.0質量部
・キシレン :218質量部
・メチルエチルケトン :210質量部
(積層)
次に、150mm×150mm×厚み0.55mmの化学強化済みのゴリラガラス3(コーニング(株)製、応力層40μm、圧縮応力810MPa)上に硬化性組成物1をスピンコートして積層し、100℃、3分間の条件で揮発成分を揮発させて硬化性組成物膜1を形成した。
冷却後、この硬化性組成物膜1を、240℃、30分間の条件で熱処理(ポストベーク処理)して硬化し、強化処理されたガラス上に2μmの硬化膜1を作製した。
上記にて作製された硬化膜1の透過率を、硬化膜のついていない強化処理されたガラスをブランクとして、オリンパス(株)製の顕微分光測定装置OSP−SP200を用いて測定した。熱着色で最も透過率が低下する400nmの透過率を下記の評価基準に従って評価し、得られた結果を下記表2に記載した。透過率は値が大きいほど好ましく、A、BまたはCが実用範囲である。
(評価基準)
A:98%以上
B:95%以上98%未満
C:90%以上95%未満
D:85%以上90%未満
E:85%未満
続いて、得られた硬化膜1付きの強化処理されたガラスに、スパッタリング法によりITOを前面に100nm厚となるように成膜して、透明導電膜付きの画像表示装置の前面板を得た。
得られたサンプルに対し、AGS−X(島津製作所製)を用いてガラスの面強度測定を行った。図9に示した支持部Sと荷重部Lを備える面強度測定器具を用いて、リング状の支持部S(直径15cm)の上に中心を一致して、ITO蒸着面を支持部S側に向けて透明導電膜付きの画像表示装置の前面板10を設置した。支持部Sの中心が荷重部Lのリング状の接触部(直径5cm)の中心と重なるように、荷重部Lを押し付けて荷重をかけ、強化処理されたガラスが割れた際の荷重から透明導電膜付きの画像表示装置の前面板の面強度を測定した。
得られた結果を下記表2に記載した。値が大きいほど好ましく、A、BまたはCが実用範囲である。
A:500MPa以上
B:400MPa以上500MPa未満
C:300MPa以上400MPa未満
D:200MPa以上300MPa未満
E:200MPa未満
硬化膜1付きの強化処理されたガラスを、真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基材の温度250℃、アルゴン圧0.13Pa、酸素圧0.01Pa)により、厚さ40nmのITO透明導電膜を形成して、透明導電膜付きの画像表示装置の前面板を得た。ITO透明導電膜の表面抵抗は80Ω/□であった。
この透明導電膜の上から25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、和光純薬製)を滴下し、表面形状の変化を光学顕微鏡にて観察した。A、B、Cが実用範囲である。Dの場合は、透明導電膜をパターニングするためのエッチングレジストを塗布した際に透明導電膜にヒビ割れが生じるため実用できない。
A:滴下20分以降も変化なし
B:滴下15分後まで変化ないが、20以降に透明導電膜にヒビが生じる
C:滴下10分後まで変化ないが、15分以降に透明導電膜にヒビが生じる
D:滴下10分後までにヒビが生じる
(画像表示装置の前面板の作製)
硬化膜1の上に有機溶媒耐性評価と同様のスパッタリング法によりITOを前面に100nm厚となるように成膜して、透明導電膜付きの画像表示装置の前面板1を得た。
次に、得られた画像表示装置の前面板1の透明導電膜に対して以下の方法でウェットエッチングして、透明導電膜をストライプ状にパターン形成して透明電極パターンを形成した。得られたサンプルを骨見え評価用のサンプルである前面板一体型センサーとした。
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、後述の実施例14の転写フィルムに用いた処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、後述の実施例14の転写フィルムに用いた処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記の処方E1からなるエッチング用光硬化性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、膜厚2.0μmエッチング用光硬化性樹脂層から成る積層体を得、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とエッチング用光硬化性樹脂層とが一体となった転写材料を作製した。
・メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸共重合体
(共重合体組成(質量%):31/40/29、質量平均分子量60000、
酸価163mgKOH/g) :16質量部
・モノマー1(商品名:BPE−500、新中村化学工業(株)製)
:5.6質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートのテトラエチレンオキシドモノ
メタクリレート0.5モル付加物 :7質量部
・分子中に重合性基を1つ有する化合物としてのシクロヘキサンジ
メタノールモノアクリレート :2.8質量部
・2−クロロ−N−ブチルアクリドン :0.42質量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル
ビイミダゾール :2.17質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 :0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット :0.26質量部
・フェノチアジン :0.013質量部
・界面活性剤(商品名:メガファックF−780F、大日本インキ(株)製)
:0.03質量部
・メチルエチルケトン :40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール :20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :35質量部
なお、エッチング用光硬化性樹脂層用塗布液E1の溶剤除去後の100℃の粘度は2500Pa・secであった。
画像表示装置の前面板1を洗浄し、保護フィルムを除去したエッチング用感光性フィルムE1をラミネートした(透明フィルム基板の温度:130℃、ゴムローラー温度120℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分)。仮支持体を剥離後、露光マスク(透明電極パターンを有す石英露光マスク)面とエッチング用光硬化性樹脂層との間の距離を200μmに設定し、露光量50mJ/cm2(i線)でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を25℃で100秒間、界面活性剤含有洗浄液(商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて33℃で20秒間処理し、回転ブラシ、超高圧洗浄ノズルで残渣除去を行い、さらに130℃30分間のポストベーク処理を行って、画像表示装置の前面板1の透明電極層上にエッチング用光硬化性樹脂層パターンを形成した。
画像表示装置の前面板1の透明電極層上のエッチング用光硬化性樹脂層パターンを、ITOエッチャント(塩酸、塩化カリウム水溶液。液温30℃)を入れたエッチング槽に浸漬し、100秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層で覆われていない露出した領域の透明電極層を溶解除去し、画像表示装置の前面板1上にエッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極パターンを得た。
次に、画像表示装置の前面板1上にエッチング用光硬化性樹脂層パターンのついた透明電極パターンを、レジスト剥離液(N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、界面活性剤(商品名:サーフィノール465、エアープロダクツ製)液温45℃)を入れたレジスト剥離槽に浸漬し、200秒処理し、エッチング用光硬化性樹脂層を除去し、画像表示装置の前面板1上に透明電極パターンを形成した前面板一体型センサー1を得た。
このサンプルを黒い布の上に置き、目視により透明電極パターン部が視認できるか、下記の基準で評価した。A、Bが実用範囲である。
A:透明電極パターン部が視認できない
B:透明電極パターン部がかすかに視認できる
C:透明電極パターン部がはっきり視認できる
実施例1において、膜厚と硬化性組成物1を下記表1に記載の硬化性組成物2〜13またはC2に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜13、比較例2の硬化性組成物および画像表示装置の前面板を作製し、評価を行った。実施例2〜13および比較例2で得られた硬化膜を硬化膜2〜13およびC2とした。
硬化性組成物2、8および13で用いたKR−251はジメチルシリコーンレジンであり、硬化性組成物2、8および13で用いたX−40−9246はアルコキシオリゴマー変性メチル系シリコーンレジン(いずれも信越化学工業(株)製)である。
硬化性組成物3、5、11および12で用いたKR−5230はポリエステル変性シリコーンレジン(いずれも信越化学工業(株)製)である。
硬化性組成物4で用いたES−1002Tはエポキシ変性シリコーンレジン(信越化学工業(株)製)である。
硬化性組成物7で用いたKE−1820は一液系シリコーンゴム(信越化学工業(株)製)である。
硬化性組成物8で用いたKR−400はアルコキシオリゴマー変性メチルシリコーンレジン(信越化学工業(株)製)である。
硬化性組成物11、12およびC2で用いた日本化薬製 KAYARAD DPHAはジペンタエリスリトール(ペンタ/ヘキサ)アクリレートである。
硬化性組成物C2で用いたアクリベース FF187はベンジルメタクリレート/メタアクリル酸(=70/30[モル比])共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(45%、重量平均分子量30000、藤倉化成(株)製)である。
硬化性組成物5、6および8で金属酸化物として用いたナノユース OZ−S20M(日産化学製)は顔料濃度30%、一次粒子径10nm、屈折率1.9の酸化ジルコニウム分散液である。
比較例1については、硬化性組成物を塗布せずに、強化処理されたガラス上に直接ITO層を形成して比較例1の画像表示装置の前面板を作製し、評価を行った。
<転写フィルムの作製>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前述の硬化膜の形成用の組成物である硬化性組成物1を塗布、乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が15.1μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.0μmの硬化性組成物層を設け、最後に保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と硬化性組成物層とが一体となった転写フィルムを作製し、サンプル名を実施例14の転写フィルムとした。
・メタノール : 11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 6.36質量部
・メチルエチルケトン : 52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) : 5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) : 13.6質量部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) : 9.1質量部
・フッ素系ポリマー : 0.54質量部
(C6F13CH2CH2OCOCH=CH2 40部と H(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2 55部と H(OCHCH2)7OCOCH=CH2 5部との共重合体、重量平均分子量3万、メチルエチルケトン30質量%溶液、大日本インキ化学工業製、商品名:メガファックF780F)
・PVA205 : 32.2質量部
(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550)
・ポリビニルピロリドン : 14.9質量部
(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)
・蒸留水 : 524質量部
・メタノール : 429質量部
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30質量%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で20秒間、フラットノズル圧力0.1MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去し、硬化性組成物層が転写された硬化性組成物膜14を得た。引き続き、この硬化性組成物膜14の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。この硬化性組成物膜14を、240℃30分間ポストベーク処理し、強化処理されたガラス上に2μmの硬化膜14を作製した。
上記硬化膜作製法以外は実施例1と同様にして画像表示装置の前面板および前面板一体型センサーを作製し、評価を行った。
特開2009−47936号公報の実施例1に記載の方法で製造した液晶表示素子に、先に製造した各実施例の前面板一体型センサーを貼り合せ、公知の方法で静電容量型入力装置である各実施例の前面板一体型センサーを構成要素として備えた、各実施例の画像表示装置を作製した。
一方で、強化処理されたガラスとガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成していない比較例1の画像表示装置の前面板は、強化処理されたガラスが透明導電膜の形成(ITO蒸着)により面強度が低下し、画像表示装置用途として実用に耐えなかった。
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物ではなく、WO2014/030599で採用しているアクリルの重合性化合物を用いて硬化膜を設けた比較例2の画像表示装置の前面板は熱により着色し、画像表示装置用途として実用できない透過率まで低下した。
2 加飾層
3 透明導電膜(電極パターン、第一の電極パターン)
3a パッド部分
3b 接続部分
4 透明導電膜(電極パターン、第二の電極パターン)
5 絶縁層
6 引き回し配線(別の導電性要素)
8 開口部
10 画像表示装置の前面板
12 硬化膜
25 硬化性組成物層
26 仮支持体
27 熱可塑性樹脂層
28 中間層
29 保護剥離層(保護フィルム)
30 転写フィルム
C 第1の方向
D 第2の方向
L 荷重部
S 支持部
Claims (14)
- 強化処理されたガラスと前記ガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に硬化膜を形成するための硬化性組成物であって、
有機基およびシロキサン結合を持つ化合物を含有する硬化性組成物。 - 前記硬化性組成物が0.1μm以上5μm未満の硬化膜を形成するための硬化性組成物である請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物の金属酸化物を除く固形分の量に対する、前記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物の含有率が、80質量%以上である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 前記有機基およびシロキサン結合を持つ化合物として、少なくとも有機変性シリコーンを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物が、さらに金属酸化物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 仮支持体と、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含む硬化性組成物層と、
を含む転写フィルム。 - 強化処理されたガラスと、
前記ガラスの一方の面に形成される透明導電膜と、
前記ガラスと前記ガラスの一方の面に形成される透明導電膜との間に配置された硬化膜と、
を有し、
前記硬化膜が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化した硬化膜であるか、あるいは、請求項6に記載の転写フィルムの硬化性組成物層を前記ガラスに積層した硬化性組成物を硬化した硬化膜である、
画像表示装置の前面板。 - 前記硬化膜が、前記ガラスと前記透明導電膜との間にのみ形成された請求項7に記載の画像表示装置の前面板。
- 前記硬化膜が、少なくとも前記透明導電膜の形成された領域において、前記ガラスを全面的に覆う連続膜として形成された請求項7に記載の画像表示装置の前面板。
- 請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像表示装置の前面板を有し、
前記透明導電膜が電極パターンを含むセンサーである前面板一体型センサー。 - 請求項10に記載の前面板一体型センサーを構成要素として備えた、画像表示装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物を強化処理されたガラス上に製膜する工程、あるいは、請求項6に記載の転写フィルムの硬化性組成物層を前記ガラスに積層して硬化性組成物を製膜する工程と;
前記硬化性組成物を硬化して硬化膜を製膜する硬化工程と;
前記硬化膜上に透明導電膜を形成する工程と;
を含む画像表示装置の前面板の製造方法。 - 前記硬化工程が、前記ガラス上で前記硬化性組成物を200℃以上で熱処理する工程である請求項12に記載の画像表示装置の前面板の製造方法。
- 前記透明導電膜にエッチングレジストを積層した後にエッチングレジストが積層されていない領域の透明導電膜をエッチングして透明電極パターンを形成する工程を含み、
前記エッチングレジストが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含む請求項12または13に記載の画像表示装置の前面板の製造方法。
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