以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。以下の説明においては、本発明に係る一実施形態である給紙装置20が採用された複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向D1が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向D2が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向D3が定義される。なお、本発明は給送装置が備えるアクチュエータの数によらずに成り立つが、ここでは一例としてアクチュエータを2つ備えた給送装置について説明する。
[複合機10の全体構造]
図1に示すように、複合機10は、略直方体形状を有し、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で用紙12(シート状の媒体:図2参照)の片面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。また、複合機10の上面前方には、表示部150が設けられている。表示150は、複合機10の状態(例えば、用紙残量など)を表示する。
プリンタ部11は、図2に示すように、筐体11a、用紙12を複合機10の内部において搬送する搬送装置1、記録部40及び制御部180などを有する。筐体11aは、プリンタ部11の本体フレームであって、図2に示すように、搬送装置1、記録部40及び制御部180を収容する。搬送装置1は、用紙12を複合機10の内部において搬送する。搬送装置1は、後述する、給紙装置20、プラテン42、搬送ローラ対50及び排出ローラ対60を含む。
給紙装置20は、給紙トレイ21から用紙12をピックアップして搬送路35に給送する。搬送ローラ対50は、給紙装置20によって搬送路35に給送された用紙12を図2に示す一点鎖線の矢印で示される搬送向き15の下流側、すなわち、前方に搬送する。プラテン42は、搬送ローラ対50によって搬送される用紙12を下側から支持する。記録部40は、プラテン42によって支持された用紙12にインク滴を吐出することによって画像を記録する。排出ローラ対60は、記録部40によって画像が記録された用紙12を前方に搬送し、排出トレイ22に排出する。
[給紙装置20]
続いて、給紙装置20について、図1〜図8を参照しつつ以下に説明する。給紙装置(給送装置)20は、図2に示すように、給紙トレイ21と、給紙部70とを有する。給紙部70は、給紙トレイ21から用紙12をピックアップして搬送路35に給送する。本実施形態における給紙部70は、用紙12を後方に向けて給送する。
図1に示すように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給紙トレイ(積載部)21は、開口13を通じて前後方向D2に挿抜可能に筐体11aに支持されている。給紙トレイ21は、その底面21aに複数の用紙12が積層状態で積載されることで、複数の用紙12を収容する。給紙トレイ21の上側には、排出トレイ22が配置されている。排出トレイ22は、給紙トレイ21と一体に移動する。排出トレイ22は、記録部40によって画像が記録され、且つ排出ローラ対60によって排出された用紙12を支持する。
[給紙部70]
給紙部70は、図2に示すように、搬送路35より搬送向き15の上流側であって、給紙トレイ21の上方で且つ記録部40の下方に設けられている。給紙部70は、図2及び図3に示すように、給紙ローラ71と、アーム72と、伝達機構73と、2つのアクチュエータ74,75と、2つのセンサ76,77とを有する。
アーム72は、図3に示すように、アーム本体72aと、このアーム本体72aと一体化された支持フレーム72bとを有する。アーム本体72aは、図2に示すように、前後方向D2の前方寄りの基端部に設けられた支軸79(第1支点)を中心として、左右方向D3における左から右に向かってみたときに、矢印E1向き(反時計回り)及び矢印E2向き(時計回り)に揺動可能に筐体11aに支持されている。これにより、アーム72も筐体11aに対して矢印E1向き及び矢印E2向きに揺動可能に構成される。支軸79は、筐体11aに固定されており、上下方向D1に関して給紙トレイ21よりも上方に配置されている。アーム本体72aは、前後方向D2の後方寄りに位置する先端部に給紙ローラ71を回転可能に支持し、その自重により、矢印E1の下側の向き(図1において反時計回りの向き)に付勢されている。これにより、給紙トレイ21が筐体11aに装着されている状態において、給紙ローラ71は、給紙トレイ21に積載された用紙12に対して、接触可能となる。
なお、アーム72には、筐体11aに対して給紙トレイ21を挿抜する際に給紙トレイ21の側壁と一時的に係合することでアーム72を回動させて、アーム72全体を支軸79とほぼ同じ高さレベルまで一時的に上昇させて退避させる退避部材(不図示)が設けられている。これにより、最大積載量の用紙12が収容された給紙トレイ21を、筐体11aに対して挿抜する際に、給紙トレイ21の用紙12と給紙ローラ71及び2つのアクチュエータ74,75とが干渉しなくなり、給紙トレイ21の挿抜動作をスムーズに行うことが可能となる。
伝達機構73は、図3に示すように、アーム本体72a内において、左右方向D3に沿う回転軸(不図示)を中心として回転可能に支持された複数のギア73aを有する。なお、ギア73aは、図3において4つ図示されているが、アーム本体72aの先端部内であって、後述の一対のローラ71a間には、図3において図示されていない1つのギア73aが設けられている。これら複数のギア73aは互いに噛合されて配置されている。そして、アーム本体72aの基端に配置されたギア73aに、給紙モータ71M(図9参照)の駆動力が伝達されることで、これら複数のギア73aが回転する。
給紙ローラ(給送ローラ)71は、一対のローラ71aを有する。一対のローラ71aは、アーム本体72aの先端部内を左右方向D3に挟んで配置されている。また、一対のローラ71aは、アーム本体72aの先端部内に設けられた図示しないギア73aの回転軸に固定されている。これにより、伝達機構73の複数のギア73aが給紙モータ71Mの駆動力によって回転することで、給紙ローラ71も回転する。この給紙ローラ71の回転により、給紙トレイ21の用紙12が搬送路35に向けて給送される。
支持フレーム72bは、図3に示すように、略箱形状を有しており、アーム本体72aの左右方向D3の左側壁に設けられている。支持フレーム72b内には、2つのアクチュエータ74,75と、2つのセンサ76,77とが設けられている。つまり、支持フレーム72bは、これらアクチュエータ74,75及びセンサ76,77を支持するためのフレームである。支持フレーム72bには、左右方向D3に延在する2つの支軸72b1,72b2が設けられている。支軸72b1は、図4(a)に示すように、支軸79と支軸72b2との間に配置されている。より具体的には、支軸72b1は、上下方向D1において支軸79と支軸72b2との間に配置されており、前後方向D2においても支軸79と支軸72b2との間に配置されている。換言すると、支軸72b2は、支軸72b1よりも支軸79から離れている。支持フレーム72bの底部72b3には、上下方向D1に貫通する2つの開口部(不図示)が形成されている。これら開口部は、アクチュエータ74,75と上下方向D1にそれぞれ対向している。これにより、アクチュエータ74,75が支持フレーム72bから開口部を介して出入り可能となり、用紙12と接触可能となる。
アクチュエータ74は、図3及び図4に示すように、支軸72b1(第2支点)を中心として揺動可能に支持フレーム72bに支持されている。アクチュエータ74は、前後方向D2における前方寄りに位置する前方部74aと、後方寄りに位置する後方部74bと、これら前方部74aと後方部74bとを接続する接続部74cとを有する。前方部74a及び後方部74bはともに支軸72b1と直交する方向に沿って延在している。接続部74cは左右方向D3に延在している。前方部74aと後方部74bとは、左右方向D3にずれて配置されている。アクチェエータ74は、後方部74bの延在方向の中央部分における上下方向D1の下部において、支軸72b1によって支持されている。また、支軸72b1の外周には、図4(a)に示すように、コイルバネ74d(付勢部材)が設けられている。コイルバネ74dの一端は後方部74bに係合し、他端は支持フレーム72bに係合しており、図4(a)に示すように、左右方向D3における左から右に向かって見たときに、コイルバネ74dはアクチュエータ74を反時計回り、すなわち、矢印F1方向に付勢する。
図4(a)に示すように、アクチュエータ74と給紙トレイ21に積載された用紙12とが接触する接触箇所74eは、後方部74bにおける上下方向D1の下部となっており、前後方向D2に関して支軸72b1よりも支軸79から離れた位置にある。これからもアクチュエータ74は、アーム72と同じ方向に揺動する構成となる。具体的には、給紙トレイ21の用紙12が減少すると、アーム72は矢印E1の向きに揺動する。このとき、アクチュエータ74も同じ向き(矢印F1)に揺動する。
アクチュエータ74の前方部74aには、干渉部74a1と、当接部74a2とが設けられている。干渉部74a1は、前方部74aの前後方向D2における前方寄りに形成されており、後述するようにセンサ76と干渉可能に構成されている。当接部74a2は、干渉部74a1よりも前後方向D2における後方寄りにおいて、干渉部74a1よりも上下方向D1の上方に突出しており、後述の筐体11aのフレーム11a1(当接部材)に当接可能に構成されている。
アクチュエータ74は、図4(a)に示すように、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。詳細には、アーム本体72aの支軸72b1からアーム本体72aの先端(支軸79に対して給紙ローラ71と同じ側にあって支軸79から最も離れたアーム72の先端)までの仮想直線L1aの距離は、アクチュエータ74の支軸79から最も離れた位置から支軸72b1までの仮想直線L1bの距離よりも長い。さらに、アーム本体72aの支軸72b1から支軸79までの仮想直線L1cの距離は、アクチュエータ74の支軸79に最も近い位置から支軸72b1までの仮想直線L1dの距離よりも長い。
アクチュエータ75は、図3及び図4(a)に示すように、支軸72b2(第2支点)を中心として揺動可能に支持フレーム72bに支持されている。アクチュエータ75は、前後方向D2における前方寄りに位置する前方部75aと、後方寄りに位置する後方部75bと、これら前方部75aと後方部75bとを接続する接続部75cとを有する。後方部75bは、支軸72b2と直交する方向に延在している。接続部75cは、後方部75bの延在方向の中央よりもやや前方部分から左右方向D3に延在している。前方部75aは、接続部75cの右側端部から前方に延在している。このようにアクチュエータ75も、前方部75aと後方部75bとが左右方向D3にずれて配置されている。前方部75aは、後述するようにセンサ77と干渉可能な干渉部75a1を有している。アクチェエータ75は、後方部75bの後方端部において、支軸72b2によって支持されている。これにより、アクチュエータ75は自重により、図4中時計回り、すなわち、矢印F2方向に付勢される。
図4(a)に示すように、アクチュエータ75と給紙トレイ21に積載された用紙12とが接触する接触箇所75eは、後方部75bの中央における上下方向D1の下部となっており、前後方向D2に関して支軸72b2が接触箇所75eよりも支軸79から離れた位置にある。これからもアクチュエータ75は、アーム72とは逆向きに揺動する構成となる。具体的には、給紙トレイ21の用紙12が減少すると、アーム72は矢印E1に揺動する。このとき、アクチュエータ75は矢印F2に揺動する。
また、アクチュエータ75も、図4(a)に示すように、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。つまり、アーム本体72aの支軸72b2からアーム本体72aの先端(支軸79に対して給紙ローラ71と同じ側にあって支軸79から最も離れたアーム72の先端)までの仮想直線L2aの距離は、アクチュエータ75の支軸79から最も離れた位置から支軸72b2までの仮想直線L2bの距離よりも長い。アーム本体72aの支軸72b2から支軸79までの仮想直線L2cの距離は、アクチュエータ75の支軸79に最も近い位置から支軸72b2までの仮想直線L2dの距離よりも長い。このようにアクチュエータ75は、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。
また、アクチュエータ75は、左右方向D3に沿ってアクチュエータ74と並んで配置されている。換言すると、2つのアクチュエータ74,75は、前後方向D2(給紙ローラ71による用紙12の給送方向)に関して、ほぼ同じ位置に配置されている。このため、給紙装置20の前後方向D2に関するサイズを小さくすることができる。
図4(a)に示すように、アクチュエータ74は、干渉部74a1(干渉箇所)と接触箇所74eとが、支軸72b1に対して互いに反対側に位置している。また、アクチュエータ75は、干渉部75a1(干渉箇所)と支軸72b2とが、接触箇所75eに対して互いに反対側に位置している。このように2つのアクチュエータ74,75は、給紙トレイ21に積載された用紙12が減少するのに伴って、互いに逆方向(アクチュエータ74は矢印F1、アクチュエータ75は矢印F2)に揺動する。
2つのセンサ76,77は、図3及び図4に示すように、左右方向D3及び上下方向D1に若干ずれて配置されているものの、前後方向D2にほぼ同じ位置に配置されている。このため、2つのセンサ76,77を互いに近い位置に配置できる。このため、支持フレーム72bに設けられた1つの配線基板78に取り付けやすくなる。このように2つのセンサ76,77が1つの基板78に取り付けられることで、センサ毎に配線基板を設けるよりも、部品点数を削減できるとともに、製造コストを減少させることが可能となる。また、2つのセンサ76,77が、配線基板78を介して、アクチュエータ74,75を支持する支持フレーム72bに支持されているため、センサ76とアクチュエータ74の干渉部74a1、及び、センサ77とアクチュエータ75の干渉部75a1との位置合わせがしやすくなる。このため、高精度の残量検知が可能となる。
2つのセンサ76,77は、図5に示すように、発光ダイオード(LED)などの発光素子76a,77aと、フォトトランジスタなどの受光素子76b,77bと、筐体76c,77cとをそれぞれ有する透過型光センサである。これら2つのセンサ76,77は同じ構成であるため、センサ76について説明する。
発光素子76a及び受光素子76bは、それぞれが筐体76cに囲まれている。筐体76cは、図5に示すように、コの字状の平面形状を有する。発光素子76aは、筐体76cの右側壁部に設けられており、左方に光を照射可能に配置されている。受光素子76bは、筐体76cの左側壁部に設けられており、発光素子76aから照射された光を受光可能に配置されている。このように発光素子76aと受光素子76bとが、コの字状の筐体76cにおいて左右方向D3へ所定の間隔をあけて対向配置されている。センサ76の発光素子76aと受光素子76bとの間の空間(センサ76の光路)には、アクチュエータ74の干渉部74a1が進入可能である。センサ76の光路に干渉部74a1が進入し、発光素子76aから受光素子76bへの光を遮断すると(つまりセンサ76がアクチュエータ74と干渉すると)、センサ76は「ON状態」となり、センサ76が制御部180にON状態であることを示す信号を出力する。一方、センサ76の光路から干渉部74a1が退避し、発光素子76aからの光を受光素子76bが受光すると、センサ76は「OFF状態」となり、センサ76が制御部180にOFF状態であることを示す信号を出力する。
なお、センサ77は、センサ76と同様に、発光素子77aと受光素子77bとを有する。これら発光素子77aと受光素子77bも、コの字状の筐体77cにおいて左右方向D3へ所定の間隔をあけて対向配置されている。センサ77の発光素子77aと受光素子77bとの間の空間(センサ77の光路)には、アクチュエータ75の干渉部75a1が進入可能である。センサ77の光路に干渉部75a1が進入し、発光素子77aから受光素子77bへの光を遮断すると(つまりセンサ77がアクチュエータ75と干渉すると)、センサ77は「ON状態」となり、センサ77が制御部180にON状態であることを示す信号を出力する。一方、センサ77の光路から干渉部75a1が退避し、発光素子77aからの光を受光素子77bが受光すると、センサ77は「OFF状態」となり、センサ77が制御部180にOFF状態であることを示す信号を出力する。
このようにセンサ76は、アクチュエータ74と干渉するときに「ON状態」をとり、アクチュエータ74と干渉しないときに「OFF状態」をとり、センサ77は、アクチュエータ75と干渉するときに「ON状態」をとり、アクチュエータ75と干渉しないときに「OFF状態」をとる。そして、センサ76,77はアクチュエータ74,75と干渉するときとしないときとで、異なる信号を出力する。
図4(b)に示すように、2つのセンサ76,77、2つの支軸72b1,72b2は、角度θ1と角度θ2とが互いに異なるように配置されている(角度θ1>角度θ2)。角度θ1は、センサ76の発光素子76a(又は受光素子76b)と支軸72b1とを通過する仮想線分L3が、支軸72b1を通過する仮想水平面H1(給紙トレイ21に積載された用紙12の表面と平行な平面)となす角度である。角度θ2は、センサ77の発光素子77a(又は受光素子77b)と支軸72b2とを通過する仮想線分L4が、支軸72b2を通過する仮想水平面H2となす角度である。これにより、センサ76の状態の切替と、センサ77の状態の切替とが行われる用紙12の積載量が互いに異なる構成を容易に実現することができる。
図4(b)に示すように、アクチュエータ74,75を支持する2つの支軸72b1,72b2は、上下方向D1(給紙トレイ21に積載された用紙12の表面と直交する方向)にずれて配置されている。これにより、センサ76のON状態とOFF状態との切替と、センサ77のON状態とOFF状態との切替とが行われる用紙12の積載量が互いに異なる構成を容易に実現することができる。
ここで、2つのアクチュエータ74,75の動作に伴う2つのセンサ76,77の状態の切替について、図6〜図9を参照しつつ以下に説明する。
本実施形態における給紙トレイ21は、例えば、A4サイズの普通紙を最大で250枚積載することが可能である。アーム72は、給紙ローラ71が最も上方にある用紙12と接触する位置に配置されるように、用紙12の残量が減少するに連れて図中反時計回りに用紙1枚分ずつ揺動する。図6(a)に示すように、250枚に相当する所定量A1(アクチュエータ74の第3所定量)の用紙12が給紙トレイ21に積載されている状態の場合、アクチュエータ74の当接部74a2は、内側ガイド部材19を支持するフレーム11a1に当接し、アクチュエータ74は、接触箇所74eが用紙12から離隔した状態で維持される。また、このときのアクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から下方に退避した状態、すなわち、非干渉状態である。つまり、センサ76は「OFF状態(第2状態)」である。一方、積載量が所定量A1(アクチュエータ75の第1所定量)であるとき、アクチュエータ75は、フレーム11a1と当接することがなく、自重により図中時計回り(図4における矢印F2方向)に付勢されているため、接触箇所75eが最も上方にある用紙12と接触する。このとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した状態、すなわち、非干渉状態である。つまり、センサ77は「OFF状態(第2状態)」である。
アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体が下方に変位する。アクチュエータ74の当接部74a2は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1(図6(a)参照)から、第1所定枚数(例えば、150枚)に相当する所定量A2(図6(b)参照)(アクチュエータ74の第1所定量)の間、フレーム11a1と当接している。このため、アクチュエータ74はその自由な揺動が規制されながらも図中反時計回り(図4における矢印F1方向)に揺動する。そして、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2になると、接触箇所74eが用紙12に接触する。給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2になったとき、アクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から下方に退避した状態(非干渉状態)のままである。つまり、センサ76は「OFF状態」に維持される。このようにアクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1以下所定量A2以上の場合、当接部74a2がフレーム11a1に当接し、センサ76の状態を「OFF状態」に確実に維持することができる。一方、アクチュエータ75は、接触箇所75eが用紙12に接触した状態で、アーム72の揺動に伴う支軸72b2の変位によってその全体が下方に変位しながらアーム72とは逆方向、すなわち、図中時計回りに揺動する。給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2になったとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した状態(非干渉状態)のままである。つまり、センサ77は「OFF状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2以上の場合、アクチュエータ74,75は、対応する各センサ76,77が「OFF状態」となる揺動姿勢(以下では「第1姿勢B1,C1」という)をアーム72に対してそれぞれ取るように構成されている。
続いて、さらに用紙12の残量が減少すると、アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体がさらに下方に変位する。図7(a)に示すように、アクチュエータ74の当接部74a2は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満、すなわち、所定量A2から1枚の用紙12が減ると、フレーム11a1から離隔する。このため、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満になると、当接部74a2による規制が解除された状態で図中反時計回りに揺動する。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2から1枚の用紙12が減った状態で、その干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態(干渉状態)となる。つまり、センサ76は「ON状態」に切り替えられる。そして、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が第2所定枚数(例えば、50枚)に相当する所定量A3(図7(b)参照)まで減少する間、干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態(干渉状態)のままである。つまり、センサ76は「ON状態」に維持される。一方、アクチュエータ75は、アーム72の揺動に伴う支軸72b2の変位によってその全体がさらに下方に変位しながら図中時計回りに揺動する。アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2(図6(b)参照)から所定量A3(図7(b)参照)まで減少する間、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した状態(非干渉状態)のままである。つまり、センサ77は「OFF状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満所定量A3以上の場合、アクチュエータ74は、センサ76が「ON状態」となる揺動姿勢(以下では「第2姿勢B2」という)をアーム72に対して取るように構成されている。一方、このときアクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2以上の場合と同じく、センサ77が「OFF状態」となる第1姿勢C1のままである。
そして、さらに用紙12の残量が減少すると、アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体がさらに下方に変位しながら図中反時計回りに揺動する。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3(図7(b)参照)から用紙残量1枚に相当する所定量A4(図8(b)参照)(アクチュエータ74の第2所定量)まで減少する間、その干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態(干渉状態)のままである。つまり、センサ76は「ON状態」に維持される。一方、アクチュエータ75は、用紙12の減少に伴って図中時計回りにさらに揺動する。アクチュエータ75は、図7(b)に示される給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3の状態から1枚の用紙12が減った状態(図8(a)参照)で、その干渉部75a1がセンサ77の光路に進入した状態(干渉状態)となる。つまり、センサ77は「ON状態」に切り替えられる。そして、アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A4(図8(b)参照)(アクチュエータ75の第2所定量)まで減少する間、干渉部75a1がセンサ77の光路に進入した状態(干渉状態)のままである。つまり、センサ77は「ON状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3未満所定量A4以上の場合、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満所定量A3以上の場合と同じく、センサ76が「ON状態」となる第2姿勢B2のままである。一方、アクチュエータ75は、センサ77が「ON状態」となる揺動姿勢(以下では「第2姿勢C2」という)をアーム72に対して取るように構成されている。
給紙トレイ21の用紙12がなくなると、図9に示すように、アーム72は、図中反時計回りにさらに揺動し、給紙ローラ71が給紙トレイ21の底面21aに接触する。アクチュエータ74は、その全体が下方に変位しながら図中反時計回りにさらに揺動し、接触箇所74eが底面21aに形成された穴21bに落ち込む。このとき、アクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から上方に退避した状態(非干渉状態)となる。つまり、センサ76は「OFF状態」に切り替えられる。一方、アクチュエータ75は、その全体が下方に変位しながら図中時計回りにさらに揺動し、接触箇所75eが底面21aに接触する。このとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路に進入した状態(干渉状態)のままである。つまり、センサ77は「ON状態」に維持される。このように給紙トレイ21に用紙12がない場合は、アクチュエータ74は、センサ76が「ON状態」となる揺動姿勢(以下では「第3姿勢B3」という)をアーム72に対して取るように構成されている。上述したように、第1姿勢B1と第3姿勢B3とでは、センサ76に対する干渉部74a1の位置は逆である。一方、このときアクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3未満所定量A4以上の場合と同じく、センサ77が「ON状態」となる第2姿勢C2のままである。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙21が1枚から0枚になると、揺動姿勢が第2姿勢B2から第3姿勢B3に切り替わり、センサ76だけが「ON状態」から「OFF状態」へと切り替わる。このため、給紙トレイ21における用紙12が0枚である状態を確実に検知することができる。
なお、本実施形態における第1姿勢B1,C1が、本発明の「第1姿勢」に相当する。また、本実施形態における第2姿勢B2,C2が、本発明の「第2姿勢」に相当する。
このように実施形態において、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2(第1所定量)から所定量A4(第2所定量)まで変化する間において、給紙トレイ21に積載された用紙と接触しつつ反時計回りに揺動する。そして、この間において用紙積載量が所定量A2から用紙1枚減少する際に、センサ76の状態が切り替えられる。すなわち、アクチュエータ74に関して、本発明に係る、積載部における媒体の積載量が第1所定量から第2所定量まで変化する間において、揺動姿勢が第1姿勢B1と第2姿勢B2との間で切り替えられるという構成が成り立っている。一方、アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1(第1所定量)から所定量A4(第2所定量)まで変化する間において、給紙トレイ21に積載された用紙と接触しつつ時計回りに揺動する。そして、この間において用紙積載量が所定量A3から用紙1枚減少する際に、センサ77の状態が切り替えられる。すなわち、アクチュエータ75に関しても、本発明に係る、積載部における媒体の積載量が第1所定量から第2所定量まで変化する間において、揺動姿勢が第1姿勢C1と第2姿勢C2との間で切り替えられるという構成が成り立っている。
[搬送路35]
図2に示すように、給紙トレイ21の後端部から搬送路35が延出されている。搬送路35は、湾曲搬送路33と直線搬送路34とを含む。湾曲搬送路33は、プリンタ部11の後方側を湾曲外側とし且つ前方側を湾曲内側として湾曲しつつ延びている。直線搬送路34は、前後方向D2に延びている。給紙トレイ21に支持された用紙12は、湾曲搬送路33を下方から上方へUターンするように搬送された後、直線搬送路34を前方に搬送されて記録部40に導かれる。記録部40により画像記録が行われた用紙12は、直線搬送路34をさらに前方に搬送されて排出トレイ22に排出される。
湾曲搬送路33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって形成されている。これら外側ガイド部材18と内側ガイド部材19は、筐体11aに支持されている。なお、内側ガイド部材19は、搬送ローラ対50の下方に配置されたフレーム11a1に固定されている。外側ガイド部材18は、湾曲搬送路33の湾曲外側を形成するガイド面18aを有する。内側ガイド部材19は、湾曲搬送路33の湾曲内側を形成するガイド面19aを有する。直線搬送路34は、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部40とプラテン42とによって形成されている。
[搬送ローラ対50]
搬送ローラ対50は、図2に示すように、一対のローラ52,53により構成されており、記録部40よりも搬送向き15の上流側に配置されている。ローラ52は、ローラ53よりも下側に配置されており、湾曲搬送路33から直線搬送路34に導かれた用紙12の下面に当接する。ローラ52は、搬送モータ50M(図10参照)からの駆動力が付与されて回転する駆動ローラである。ローラ53は、ローラ52に対向して配置されており、用紙12の上面に当接する。ローラ53は、ローラ52の回転に伴って連れ回る。ローラ52とローラ53とは、協働して用紙12を上下方向D1から挟持し、搬送向き15に搬送する。
[排出ローラ対60]
排出ローラ対60は、図2に示すように、一対のローラ62,63により構成されており、記録部40よりも搬送向き15の下流側に配置されている。ローラ62は、ローラ63よりも下側に配置されており、直線搬送路34を搬送される用紙12の下面に当接する。ローラ62は、搬送モータ50Mから駆動力が付与されて回転する駆動ローラである。ローラ63は、ローラ62に対向して配置されており、用紙12の上面に当接する。ローラ63は、ローラ62の回転に伴って連れ回る拍車ローラである。ローラ62とローラ63とは、協働して用紙12を上下方向D1から挟持し、搬送向き15に搬送する。その結果、用紙12は、排出ローラ対60より搬送向き15の下流側に位置する開口13に向けて搬送され、排出トレイ21に排出される。
[プラテン42]
プラテン42は、図2に示すように、直線搬送路34の下側で且つ搬送ローラ対50及び排出ローラ対60の間に設けられている。プラテン42は、上下方向D1において記録部40に対向して配置され、直線搬送路34を搬送される用紙12を下側から支持する板状部材である。
[記録部40]
図2に示すように、記録部40は、直線搬送路34の上側で且つ上下方向D1においてプラテン42と対向する位置に配置されている。記録部40は、キャリッジ41と、記録ヘッド38と、駆動機構40a(図10参照)とを有している。キャリッジ41は、2つのガイドレール45,46によって支持されている。2つのガイドレール45,46は、前後方向D2に互いに離隔して配置され、各々が左右方向D3に延設されている。キャリッジ41は、2つのガイドレール45,46を跨ぐようにして配置されている。また、駆動機構40aは、キャリッジ駆動モータ40Mを有し、制御部180の制御により、キャリッジ41を2つのガイドレール45,46に沿って主走査方向である左右方向D3に往復移動させる。記録ヘッド38は、キャリッジ41に搭載されている。記録ヘッド38は、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを、下面に設けられたノズル39から吐出する。すなわち、キャリッジ41が左右方向D3に移動している過程において、記録ヘッド38のノズル39からインク滴がプラテン42に向けて吐出されることにより、プラテン42に支持された用紙12の上面に画像が記録される。
[制御部180]
制御部180は、図10に示すように、CPU(Central Processing Unit)181、ROM(Read Only Memory)182、RAM(Random Access Memory)183、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)184などを含み、これらが協働して、キャリッジ駆動モータ40M、記録ヘッド38、給紙モータ71M、搬送モータ50M、表示部150等の動作を制御する。例えば、制御部180は、PC等の外部装置から送信された記録指令に基づいて、記録ヘッド38、キャリッジ駆動モータ40M、給紙モータ71M、搬送モータ50M等を制御して、用紙12に画像等を記録させる。
また、ROM182は、2つのセンサ76,77の状態の4種類の組み合わせを記憶している。これら4種類の組み合わせは、4段階の用紙残量状態に対応する。具体的には、図11に示すように、センサ76がOFF状態及びセンサ77がON状態のときは、用紙なしに対応し、センサ76がON状態及びセンサ77がON状態のときは、ニアエンプティに対応し、センサ76がON状態及びセンサ77がOFF状態のときは、用紙中積載に対応し、センサ76がOFF状態及びセンサ77がOFF状態のときは、用紙大積載に対応する。そして、制御部180は、センサ76,77からの信号に基づいて用紙残量を表示部150に表示させる。
なお、図10では、CPU181及びASIC184を1つずつ図示しているが、制御部180は、CPU181を1つだけ含み、この1つのCPU181が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、CPU181を複数含み、これら複数のCPU181が必要な処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部180は、ASIC184を1つだけ含み、この1つのASIC184が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASIC184を複数含み、これら複数のASIC184が必要な処理を分担して行うものであってもよい。
続いて、用紙残量検知について以下に説明する。図6(a)及び図6(b)に示すように、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2以上の場合、アクチュエータ74は当接部74a2がフレーム11a1に当接するため、アクチュエータ74が非干渉状態をとる。このとき、アクチュエータ75も非干渉状態をとる。2つのセンサ76,77はともにOFF状態となり、制御部180にOFF状態を示す信号をそれぞれ出力する。これにより、制御部180は、2つのセンサ76,77からの信号に基づいて給紙トレイ21の用紙12の残量状態が十分であることを示す大積載状態であると判定する。そして、制御部180は、用紙の積載量が大積載であることを表示部150に表示させる。
本実施形態においては、表示部150に用紙12の残量状態を表示させているが、外部装置(例えば、PC)に用紙12の残量状態を表示させてもよい。
次に、用紙12に対する記録などが行われるに連れて、用紙12が減少し、図7(a)及び図7(b)に示すように、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満所定量A3以上の場合、アクチュエータ74が非干渉状態から干渉状態となり、アクチュエータ75は引き続き非干渉状態をとる。このとき、センサ76はON状態となり、制御部180にON状態を示す信号を出力し、センサ77は引き続き制御部180にOFF状態を示す信号を出力する。これにより、制御部180は、2つのセンサ76,77からの信号に基づいて給紙トレイ21の用紙12の残量状態がやや少なくなってきていることを示す中積載状態であると判定する。そして、制御部180は、用紙12の積載量が中積載であることを表示部150に表示させる。
さらに、用紙12に対する記録などが行われるに連れて、用紙12が減少し、図8(a)及び図8(b)に示すように、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3未満所定量A4以上の場合、アクチュエータ74は引き続き干渉状態をとり、アクチュエータ75が非干渉状態から干渉状態となる。このとき、センサ76は引き続き制御部180にON状態を示す信号を出力し、センサ77はON状態となり、制御部180にON状態を示す信号を出力する。これにより、制御部180は、2つのセンサ76,77からの信号に基づいて給紙トレイ21の用紙12の残量状態がかなり少なくなってきていることを示すニアエンプティ状態であると判定する。そして、制御部180は、用紙12の積載量がニアエンプティであることを表示部150に表示させる。
そして、給紙トレイ21の用紙12がなくなると、図9に示すように、アクチュエータ74が干渉状態から非干渉状態となり、アクチュエータ75は引き続き干渉状態をとる。このとき、センサ76はOFF状態となり、制御部180にOFF状態を示す信号を出力し、センサ77は引き続き制御部180にON状態を示す信号を出力する。これにより、制御部180は、2つのセンサ76,77からの信号に基づいて給紙トレイ21の用紙12がないことを示すエンプティ状態であると判定する。そして、制御部180は、用紙12の積載量がエンプティであることを表示部150に表示させる。このように制御部180は、2つのセンサ76,77からの信号に基づいて、給紙トレイ21の用紙残量を判定し、表示部150のその残量状態を表示させることができる。
以上に述べたように、本実施形態による給紙装置20によると、給紙トレイ21に積載された用紙12の残量変化に伴ったアーム72の揺動により、アクチュエータ74,75の揺動支点となる支軸72b1,72b2が下方に移動する。このとき、アクチュエータ74,75は支軸72b1,72b2を中心として揺動する。このため、比較的短い小型のアクチュエータ74,75を用いても、用紙12の残量変化に追従してアクチュエータ74,75が用紙12に接触することが可能な給紙トレイ21における用紙12の積載量の範囲を広くすることが可能となる。つまり、アクチュエータ74は、所定量A2から所定量A4までの積載量の範囲において、用紙12の残量変化に追従して用紙12に接触することが可能となる。アクチュエータ75は、所定量A1から所定量A4までの積載量の範囲において、用紙12の残量変化に追従して用紙12に接触することが可能となる。そして、各アクチュエータ74,75において、揺動姿勢が第1姿勢B1,C1と第2姿勢B2,C2との間で切り替わるときの用紙12の残量を、アクチュエータ74,75の形状やセンサ76,77の位置などを調整することによって、広い積載量の範囲から適宜選択することができる。したがって、アクチュエータ74,75の小型化による給紙装置20の小型化と、用紙12の残量検知可能範囲の拡大による利便性向上とを両立させることができる。
また、本実施形態では、2つのアクチュエータ74,75と2つのセンサ76,77とを用いて用紙12の残量を検出しており、且つ、用紙12の最大積載枚数から0枚までの間において、センサ76においてはON状態及びOFF状態が2回切り替わり、センサ77においてはON状態及びOFF状態が1回切り替わる。そして、各センサ76,77の状態の切替タイミングがともに異なる。すなわち、用紙12の1つの積載量では2つのセンサ76,77の状態の切替が片方だけ行われる。このため、給紙トレイ21における用紙12の残量を3段階又は4段階で判別することができる。
特に、本実施形態では、給紙トレイ21の用紙12の積載量が所定量A1から0枚まで変化する間において、センサ76はその状態を2回切り替え、センサ77はその状態を1回切り替える。そして、センサ77では、用紙12の積載量がセンサ76の2回の状態の切り替えに対応した2つの積載量の間であるときに、その1回の状態の切り替えが行われる。このため、用紙12の残量検知を4段階で判別することができる。
また、各アクチュエータ74,75として、対応する1つのセンサ76,77と干渉する、比較的短い小型のアクチュエータを用いることができる。
また、2つのアクチュエータ74,75が同じ用紙12に接触することが可能な用紙12の積載量の範囲が存在している。より詳細には、2つのアクチュエータ74,75は、用紙枚数が第1所定枚数(本実施形態では150枚)以下1枚以上の範囲において、同じ用紙12に接触する。このため、上下方向D1への2つのアクチュエータ74,75の位置が大きく異なることがない。仮に2つのアクチュエータが同じ用紙12に接触することが可能な用紙12の積載量の範囲が存在していない場合、これらアクチュエータの位置が上下方向D1に大きく異なる。本実施形態においては、上下方向D1において、2つのアクチュエータ74,75の位置がほぼ同じ位置である。したがって、4段階の多段階残量検知を実現しつつ、給紙装置20の上下方向D1に関するサイズを小さくすることができる。
アクチュエータ74は、コイルバネ74dによって矢印F1方向に付勢されている。このため、用紙12の残量減少に伴うアクチュエータ74の揺動動作が確実に行われるようになる。また、アクチュエータ75は、自重によって矢印F2方向に付勢されている。これにおいても、用紙12の残量減少に伴うアクチュエータ74の揺動動作が行われる。
変形例として、アクチュエータ75が付勢部材により、矢印F2方向に付勢されていてもよい。別の変形例として、アクチュエータ74がコイルバネ74dによって付勢されず、自重によって矢印F1方向に付勢されていてもよい。なお、付勢部材としては、コイルバネ以外の弾性部材から構成されていてもよい。この場合、矢印F1方向に回転するアクチュエータ74にかかる力X1は、X1=N×μ×sinσ(N:アクチュエータ74の垂直方向の荷重、μ:用紙12の種類に依存するアクチュエータ74の接触箇所74eと用紙12の間の摩擦係数、σ:アクチュエータ74の用紙12に対する接触角度、具体的には、アクチュエータ74の接触箇所74eと支軸72b1を結ぶ仮想線と用紙12との間に形成される角度)である。一方、矢印F1方向と反対方向に回転するアクチュエータ74にかかる力X2は、X2=N×tanσ×sinσ(N:アクチュエータ74の垂直方向の荷重、σ:アクチュエータ74の用紙12に対する接触角度、具体的には、アクチュエータ74の接触箇所74eと支軸72b1を結ぶ仮想線と用紙12との間に形成される角度)である。そして、アクチュエータ74を回転させるためには、X2>X1を満たすことが必要であるため、かかる条件を満たすように、支軸72b1の位置を決定することが望まれる。
また、別の変形例として、図12に示すように、給紙部270は、アクチュエータ274,275の接触箇所274e,275eが給紙ローラ71の左右方向D3(軸方向)の幅内に位置するアーム272を有していてもよい。上述の実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
図12に示すように、アクチュエータ274,275は、支持フレーム272bに支軸272b1,272b2を介して揺動可能に支持されている。アクチュエータ274の用紙12との接触箇所274eは、後方端に配置されている。アクチュエータ275の用紙12との接触箇所275eは、前後方向D2の略中央に配置されている。これらアクチュエータ274,275は、上述の実施形態と同様に、用紙12の残量の減少に伴って互いに反対方向に揺動するように構成されている。これら接触箇所274e,275eが、給紙ローラ71の左右方向D3の幅内に配置されると、接触箇所274e,275eと用紙12との接触に伴って用紙12に与えられる回転モーメントが減少する。例えば、アクチュエータの用紙との接触箇所が給紙ローラ71の幅内に位置していない場合、給紙ローラ71によって給送される用紙12には、アクチュエータとの接触によって回転モーメントが生じる。この回転モーメントが大きいと、用紙12の給送の際に、用紙12が斜行し搬送不良が生じる。しかしながら、本変形例においては、接触箇所274e,275eが給紙ローラ71の幅内に位置しているため、当該回転モーメントが抑制される。このため、用紙12の給送の際に斜行が生じにくくなる。
参考例として、アクチュエータの揺動支点がアーム72よりも上方(例えば筐体11aのフレーム11a1)に固定されている給送装置について考察する。この場合、アクチュエータが用紙12に接触することが可能な給紙トレイ21における用紙12の積載量の範囲はアクチュエータの長さに依存し、アクチュエータが短ければ比較的狭いものとなる。したがって、この範囲を広げるには、アクチュエータを長くしなければならない。これに対して、本実施形態では、上述したようにアーム72の揺動に伴ってアクチュエータ74,75の揺動支点が下方へと移動しつつ、アクチュエータ74,75自体が揺動するため、比較的短いアクチュエータ74,75であっても、アクチュエータ74,75が用紙12に接触することが可能な給紙トレイ21における用紙12の積載量の範囲が広くなる。
別の参考例として、アーム72の揺動に伴って、当該アーム72の揺動支点を中心として揺動するアクチュエータを設けた場合について考察する。この場合、アーム長の小型化の観点より、アーム72の揺動支点は給紙トレイ21に最大積載枚数の用紙12が収容された状態において最も上方にある用紙よりもやや上方の位置に配置され、当該アクチュエータはアーム72の揺動支点以上の高さ位置に配置される。これより、アクチュエータのセンサと干渉する部分の揺動範囲は、揺動支点よりも上方の位置に設けられることとなる。このため、アームの揺動支点よりも上方に、アクチュエータの揺動範囲を確保するための空間が必要となり、給紙装置自体が大型化する。しかしながら本実施形態におけるアクチュエータは、アーム72の揺動支点と先端部との間に設けられた揺動支点を中心として揺動可能にアーム72に支持されているため、給紙装置20を小型化することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述したように本発明は、給送装置が備えるアクチュエータの数によらずに成り立つ。すなわち、本発明において、給送装置はアクチュエータを1つだけ有していてもよい。また、給送装置が3つ以上のアクチュエータを有していてもよい。この場合、アクチュエータの数に対応した数のセンサを設ければよい。
また、上述した実施形態ではアクチュエータ74の第1所定量が最大用紙積載量よりも少ない量であるが、アクチュエータ74の第1所定量が最大用紙積載量であってもよい。さらに、上述した実施形態ではアクチュエータ74、75の第2所定量が用紙1枚に相当する量であるが、それよりも多い量であってもよい。また、アクチュエータ74とアクチュエータ75とで第2所定量が互いに異なる量であってもよい。
また、上述した実施形態においてセンサとしてはアームに固定された透過型光センサが用いられているが、本発明においては、アクチュエータの揺動姿勢が第1姿勢のときと第2姿勢のときとを区別できるような信号を出力するセンサであれば、透過型光センサ以外のセンサを用いてもよく、センサの設置場所についても適宜選択可能である。例えば、センサ76,77は、アクチュエータ74,75の干渉部74a1,75bが接触することで、ON状態とOFF状態とを切り替えるメカセンサであってもよい。また、センサとしては、3つ以上の状態をとることが可能なセンサであってもよい。センサとして、例えば、アクチュエータ74,75の揺動によって抵抗値が変化するような可変抵抗器を支軸72b1,72b2に設けてもよい。こうすれば、より多段階の用紙残量検知が可能となる。なお、エンコーダセンサを用いても同様な効果を得ることができる。さらに、センサをアクチュエータの揺動方向に沿ってアームに2個以上配置して、多段階の用紙残量検知を可能とするようにしてもよい。また、透過型光センサをアクチュエータに配置し、アクチュエータの揺動方向に沿って並ぶ2個以上のスリットをアームに形成してもよい。このようなセンサについての変形例は、給送装置におけるアクチュエータの数に関係なく適用することが可能である。
さらに、1つのアクチュエータにおいて、積載部における媒体の積載量が第1所定量から第2所定量まで変化する間において、揺動姿勢が第1姿勢と第2姿勢との間で2回以上切り替えられてもよい。このような構成は、例えば上述した多段階の用紙残量検知が可能な構成を採用することで実現できるほか、上述した実施形態において、アクチュエータ74に係るセンサ76がONからOFFに変化した直後における給紙トレイ21の用紙残量が1枚以上の適当な枚数となるようにすることによっても実現可能である。すなわち、この場合、アクチュエータ74が用紙に接触している間に、センサ76の状態が2回切り替えられることになる。そして、本実施形態では、アクチュエータ74に当接部74a2を設け、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1以下所定量A2以上のときに当接部74a2がフレーム11a1に当接するようにしているので、上述したようにセンサ76の状態を所定量A2以上において確実に「OFF状態」に維持することができる。なお、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1以下所定量A2以上のときにアクチュエータ74の一部がフレーム11a1に当接しない構成を採用した場合においても、所定量A2以上においてセンサ76の状態を「OFF状態」とすること、つまりアクチュエータ74が用紙に接触している間にセンサ76の状態が2回切り替えられるようにすることが可能である。
また、アクチュエータ74,75、274,275の接触箇所74e,75e,274e,275eは、用紙12と接触することが可能であれば、アクチュエータ74,75、274,275のどこに設けられていてもよい。センサ76,77は、筐体11aに固定されていてもよい。
本発明は、複合機のみならず、ライン式・シリアル式のインクジェットプリンタや、レーザー式やサーマル式などの記録装置の給紙装置にも適用可能である。シートであれば、用紙12以外のものであってもよい。