JP2016123366A - 細胞評価装置、インキュベータ、細胞評価方法、プログラム、及び細胞の培養方法 - Google Patents

細胞評価装置、インキュベータ、細胞評価方法、プログラム、及び細胞の培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞を染色マーカーで染色せずに、細胞の状態を適切に評価する。【解決手段】細胞評価装置は、培養中の時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出部と、特徴量算出部によって算出された特徴量に基づいて、画像に含まれる集合体を、集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理部と、分類処理部によって分類されるグループの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する評価処理部とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、細胞評価装置、インキュベータ、細胞評価方法、プログラム、及び細胞の培養方法に関する。
一般的に、細胞の培養状態を評価する技術は、再生医療などの先端医療分野や医薬品のスクリーニングを含む幅広い分野での基盤技術となっている。例えば、再生医療分野では、インビトロで細胞を増殖、分化させるプロセスが存在する。そして、上記のプロセスでは、細胞の分化の成否、細胞の癌化や感染の有無を管理するために、細胞の培養状態を的確に評価することが不可欠である。一例として、マーカーとして転写因子を用いたがん細胞の評価方法が開示されている(非特許文献1参照)。
一方、ES(Embryonic Stem、胚性幹)細胞又はiPS(induced Pluripotent Stem、誘導多能性幹)細胞などの万能細胞は、理論上すべての組織に分化する分化多能性を保ちつつ、ほぼ無限に増殖させる事ができるため、医薬開発、及び再生医療への応用に注目が集まっている。
ところで、例えば、iPS細胞を再生医療に応用する際には、状態が良いiPS細胞だけ抽出する必要があるため、培養しているiPS細胞の状態を評価することが必要となる。しかしながら、従来の技術では、iPS細胞を染色マーカーで染色せずに、iPS細胞の状態を評価できないという問題があった。また、例えば、iPS細胞を染色マーカーで染色せずに、iPS細胞の状態を評価しようとした場合には、例えば、iPS細胞の集合体であるコロニーの形状などから、研究者が感覚的に評価しており、適切にiPS細胞の状態を評価できない場合があった。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、細胞を染色マーカーで染色せずに、細胞の状態を適切に評価することができる細胞評価装置、インキュベータ、細胞評価方法、プログラム、及び細胞の培養方法を提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、培養中の時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量算出部によって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理部と、前記分類処理部によって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理部とを備えることを特徴とする細胞評価装置である。
また、本発明の一態様は、細胞を培養する培養容器を収納するとともに、所定の環境条件に内部を維持可能な恒温室と、前記恒温室内で前記培養容器に含まれる前記細胞の画像を撮像する撮像装置と、上記に記載の細胞評価装置と、を備えることを特徴とするインキュベータである。
また、本発明の一態様は、特徴量算出部が、時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出手順と、分類処理部が、前記特徴量算出手順によって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理手順と、評価処理部が、前記分類処理手順によって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理手順とを含むことを特徴とする細胞評価方法である。
また、本発明の一態様は、コンピュータに、特徴量算出部が、培養中の時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出ステップと、分類処理部が、前記特徴量算出ステップによって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理ステップと、前記分類処理ステップによって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理手順とを実行させるためのプログラムである。
また、本発明の一態様は、上記に記載の細胞評価装置によって評価された前記細胞の状態に基づいて、前記細胞の使用時期、前記細胞の使用方法、又は前記細胞の使用基準を判定することを特徴とする細胞の培養方法である。
本発明によれば、細胞を染色マーカーで染色せずに、細胞の状態を適切に評価することができる。
本発明の実施形態であるインキュベータの正面図である。 本発明の実施形態であるインキュベータの平面図である。 本発明の第1の実施形態におけるインキュベータのブロック構成図である。 特徴量の一例を説明するための図である。 コロニーの特徴量に基づくカルテ情報の一例を示す図である。 クラスタリングによるコロニーの分類の一例を示す図である。 コロニーの良否とクラスごとにおけるコロニーの数の経時変化との関係の一例を示す図である。 インキュベータにおける観察処理の一例を示すフローチャートである。 本実施形態によるインキュベータが、分類モデルを生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。 本実施形態によるクラスタリングにより分類モデルを生成する処理の一例を示すイメージ図である。 本実施形態によるインキュベータが、評価基準情報を生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態における制御装置が、細胞の状態を評価する処理の一例を示すフローチャートである。 クラスごとにおけるコロニーの数の経時変化の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態におけるインキュベータのブロック構成図である。 第2の実施形態におけるコロニーごとのクラスの経時変化の一例を示す図である。 本実施形態によるインキュベータが、iPS細胞のコロニーごとのクラスの経時変化に基づく評価基準情報を生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態における制御装置が、細胞の状態を評価する処理の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるコロニーの成長過程の種類を判定する処理の一例を示す図である。 コロニーの成長過程によるクラスの経時変化の一例を示す図である。 コロニーの成長過程によるクラスの経時変化の一例を示す第2の図である。 本実施形態における細胞の培養方法を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態による細胞評価装置、及びインキュベータについて、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態では、一例として、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)を培養する場合について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態であるインキュベータ11の正面図である。
また、図2は、本発明の実施形態であるインキュベータ11の平面図である。
恒温室15の前面には、大扉16、中扉17、小扉18が配置されている。大扉16は、上部ケーシング12及び下部ケーシング13の前面を覆っている。中扉17は、上部ケーシング12の前面を覆っており、大扉16の開放時に恒温室15と外部との環境を隔離する。小扉18は、細胞を培養する培養容器19を搬出入するための扉であって、中扉17に取り付けられている。この小扉18から培養容器19を搬出入することで、恒温室15の環境変化を抑制することが可能となる。なお、大扉16、中扉17、小扉18は、パッキンP1,P2,P3によりそれぞれ気密性が維持されている。
また、恒温室15には、ストッカー21、観察ユニット22、容器搬送装置23、搬送台24が配置されている。ここで、搬送台24は、小扉18の手前に配置されており、培養容器19を小扉18から搬出入する。
ストッカー21は、上部ケーシング12の前面(図2の下側)からみて恒温室15の左側に配置される。ストッカー21は複数の棚を有しており、ストッカー21の各々の棚には培養容器19を複数収納することができる。なお、各々の培養容器19には、培養の対象となる細胞が培地とともに収容されている。
ここで、観察ユニット22は、上部ケーシング12のベースプレート14の開口部に嵌め込まれて配置される。観察ユニット22は、試料台31と、試料台31の上方に張り出したスタンドアーム32と、位相差観察用の顕微光学系及び撮像装置(34)を内蔵した本体部分33と、を有している。そして、試料台31及びスタンドアーム32は恒温室15に配置される一方で、本体部分33は下部ケーシング13内に収納される。
観察ユニット22は、上部ケーシング12の前面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット22は、培養容器19内の細胞のタイムラプス観察を実行することができる。
ここで、観察ユニット22は、上部ケーシング12のベースプレート14の開口部に嵌め込まれて配置される。観察ユニット22は、試料台31と、試料台31の上方に張り出したスタンドアーム32と、位相差観察用の顕微光学系及び撮像装置34(図3)とを内蔵した本体部分33と、を有している。そして、試料台31及びスタンドアーム32は恒温室15に配置される一方で、本体部分33は下部ケーシング13内に収納される。
試料台31は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器19を載置することができる。この試料台31は水平方向に移動可能に構成されており、上面に載置した培養容器19の位置を調整できる。また、スタンドアーム32にはLED光源39が内蔵されている。そして、撮像装置34は、スタンドアーム32によって試料台31の上側から透過照明された培養容器19の細胞を、顕微鏡の光学系を介して撮像することで細胞の顕微鏡画像を取得する。なお、この顕微鏡画像は、例えば、光の位相のズレをコントラストとして検出した位相差画像であり、染色されていない細胞の画像である。
容器搬送装置23は、上部ケーシング12の前面からみて恒温室15の中央に配置される。この容器搬送装置23は、ストッカー21、観察ユニット22の試料台31及び搬送台24との間で培養容器19の受け渡しを行う。
図2に示すように、容器搬送装置23は、多関節アームを有する垂直ロボット38と、回転ステージ35と、ミニステージ36と、アーム部37とを有している。回転ステージ35は、垂直ロボット38の先端部に回転軸35aを介して水平方向に180°回転可能に取り付けられている。そのため、回転ステージ35は、ストッカー21、試料台31及び搬送台24に対して、アーム部37をそれぞれ対向させることができる。
また、ミニステージ36は、回転ステージ35に対して水平方向に摺動可能に取り付けられている。ミニステージ36には培養容器19を把持するアーム部37が取り付けられている。
図3は、本発明の第1の実施形態によるインキュベータ11のブロック構成図である。
図3において、インキュベータ11は、上部ケーシング12と下部ケーシング13とを有している。インキュベータ11の組立状態において、上部ケーシング12は、下部ケーシング13の上に載置される。なお、上部ケーシング12と下部ケーシング13との内部空間は、ベースプレート14によって上下に仕切られている。
上部ケーシング12は、温度調整装置15aと、湿度調整装置15bと、容器搬送装置23と、LED光源39とを有している。
まず、上部ケーシング12の構成の概要を説明する。上部ケーシング12の内部には、細胞の培養を行う恒温室15が形成されている。この恒温室15は温度調整装置15a及び湿度調整装置15bを有している。
温度調整装置15a及び湿度調整装置15bは、恒温室15内を細胞の培養に適した環境(例えば温度37℃、湿度90%)に維持する(なお、図1、図2での温度調整装置15a、湿度調整装置15bの図示は省略する)。
LED光源39は、培養容器19を照明する。
次に、下部ケーシング13の構成の概要を説明する。下部ケーシング13の内部には、観察ユニット22の撮像装置34や、インキュベータ11の制御装置(細胞評価装置)1が収納されている。
撮像装置34は、上側から透過照明された培養容器19の細胞を、顕微鏡の光学系を介して撮像することで細胞の顕微鏡画像を取得する。撮像装置34は、その細胞の顕微鏡画像を制御部50に供給する。
制御装置(細胞評価装置)1は、温度調整装置15aと、湿度調整装置15bと、観察ユニット22と、容器搬送装置23とそれぞれ接続されている。この制御装置1は、所定のプログラムに従ってインキュベータ11の各部を統括的に制御する。
一例として、制御装置1は、温度調整装置15a及び湿度調整装置15bをそれぞれ制御して恒温室15内を所定の環境条件に維持する。また、制御装置1は、所定の観察スケジュールに基づいて、観察ユニット22及び容器搬送装置23を制御して、培養容器19の観察シーケンスを自動的に実行する。さらに、制御装置1は、観察シーケンスで取得した画像に基づいて、細胞の状態の評価を行う培養状態評価処理を実行する。
ここで、「細胞の状態」には、(1)容器内の細胞の集合体(コロニー)全てを含む総合的な状態、(2)容器内の細胞の集合体一個一個の状態(コロニー個々の状態)、(3)細胞の集合体を構成する細胞群の状態などが含まれる。なお、「細胞の集合体を構成する細胞群」とは、細胞1個1個の判別が無理であっても、輪郭の部分や中心部分などというような領域区分ができるレベルの細胞群を示している。また、細胞群を構成する個々の集合体がより小さな集合体で構成される、複合的な構成であってもよい。また、集合体(コロニー)には、細胞の集合の他に、1個の細胞(1個の集合)である場合も含まれる。
図3において、制御装置1は、記憶部40と、制御部50とを備えている。
記憶部40は、ハードディスクや、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体などを有している。記憶部40は、ストッカー21に収納されている各培養容器19に関する管理データと、撮像装置34で撮像された顕微鏡画像のデータと、細胞の状態を評価するために用いられる各種データとを記憶する。さらに、記憶部40は、制御部50によって実行されるプログラムを記憶している。
なお、上記の管理データには、(a)個々の培養容器19を示すインデックスデータ、(b)ストッカー21での培養容器19の収納位置、(c)培養容器19の種類及び形状(ウェルプレート、ディッシュ、フラスコなど)、(d)培養容器19で培養されている細胞の種類、(e)培養容器19の観察スケジュール、(f)タイムラプス観察時の撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点等)、などが含まれている。また、ウェルプレートのように複数の小容器で同時に細胞を培養できる培養容器19については、各々の小容器ごとにそれぞれ管理データが生成される。
また、記憶部40は、例えば、分類モデル記憶部41と、評価基準記憶部42とを備えている。
分類モデル記憶部41は、iPS細胞の集合体であるコロニーの画像の分類を示す複数のクラスを分類するための分類モデルを記憶する。ここで、クラスとは、群又はグループの一例である。この分類モデルは、決定木のほか、様々なクラスタリング手法(k−meansクラスタリング、階層的クラスタリング等が含まれる)、又は、主成分分析などを用いて構築されている。この分類モデルは、例えば、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類するためのモデルである。この分類モデルは、分類モデル構築部52によって生成される。分類モデルの生成については、後述する。
評価基準記憶部42は、コロニーの状態を評価するための評価基準を示す評価基準情報を記憶する。評価基準記憶部42は、例えば、クラスごとに予め取得されているクラスごとのコロニーの数の変化情報(例えば、後述する図7に示すような情報)と、細胞の評価情報(評価結果)とを関連付けて記憶する。ここで、細胞の評価情報は、例えば、「細胞の状態が良い」、「細胞の状態が悪い」、「細胞の状態が判定できない(判定保留)」などの情報である。この評価基準は、クラス解析処理部54によって生成される。評価基準の生成については、後述する。
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、制御装置1の各種の演算処理を実行する。制御部50は、培養容器19内で培養される複数のiPS細胞(コロニー)が時間の経過に伴って時系列に撮像されている複数の対象画像を記憶部40から読み込む。また、制御部50は、記憶部40から画像を読込む場合、この画像に撮像されている細胞についての情報も読込む(又は、入力される)。この細胞についての情報とは、例えば、各画像に対応する細胞について評価属性を示す情報であり、その細胞の種類、及び、その細胞の状態を示す情報のことである。また、制御部50は、iPS細胞の状態を評価した評価結果を示す情報を、例えば、図示されていないモニタなどの表示部に出力する。
また、制御部50は、特徴量算出部51と、分類モデル構築部52と、クラス分類処理部53と、クラス解析処理部54と、評価処理部55とを備えている。なお、制御部50は、記憶部40に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、特徴量算出部51と、分類モデル構築部52と、クラス分類処理部53と、クラス解析処理部54と、評価処理部55との各部の機能を実現してもよい。
特徴量算出部51は、時間の経過に伴って撮像された細胞のコロニーを含む複数の対象画像において、コロニーの画像の特徴を示す特徴量を算出する。すなわち、特徴量算出部51は、対象画像に含まれる各々のiPS細胞のコロニーについて、複数の異なる特徴量を対象画像からそれぞれ求める。なお、特徴量算出部51は、対象コロニーの複数種類の特徴量を、時系列に取得した対象画像ごとに算出する。
特徴量算出部51は、対象画像に含まれる全てのコロニーに対して、コロニーの画像内の位置情報と、特徴量を算出する。
図4は、特徴量の一例を説明するための図である。具体的に、細胞又はコロニーの特徴量は、例えば、以下の通りである。
「Total area(面積)」(図4の(a)参照)は、注目する細胞又はコロニーの面積を示す値である。例えば、特徴量算出部51は、注目する細胞又はコロニーの領域の画素数に基づいて「Total area」の値を求めることができる。
「Hole area」(図4の(b)参照)は、注目する細胞又はコロニー内のHoleの面積を示す値である。ここで、Holeは、コントラストによって、細胞又はコロニー内における画像の明るさが閾値以上となる部分(位相差観察では白に近い状態となる箇所)を指す。例えば、細胞内小器官の染色されたリソソームなどがHoleとして検出される。
また、画像によっては、細胞核や、他の細胞小器官がHoleとして検出されうる。なお、特徴量算出部51は、細胞内における輝度値が閾値以上となる画素のまとまりをHoleとして検出し、このHoleの画素数に基づいて「Hole area」の値を求めればよい。
「relative hole area」(図4の(c)参照)は、「Hole area」の値を「Total area」の値で除した値である(relative hole area=Hole area/Total area)。この「relative hole area」は、細胞の大きさにおける細胞内小器官の割合を示すパラメータであって、例えば細胞内小器官の肥大化や核の形の悪化などに応じてその値が変動する。
「Perimeter(周囲長)」(図4の(d)参照)は、注目する細胞又はコロニーの外周の長さを示す値である。例えば、特徴量算出部51は、細胞又はコロニーを抽出するときの輪郭追跡処理により「Perimeter」の値を取得することができる。
「Width」(図4の(e)参照)は、注目する細胞又はコロニーの画像横方向(X方向)での長さを示す値である。
「Height」(図4の(f)参照)は、注目する細胞又はコロニーの画像縦方向(Y方向)での長さを示す値である。
「Length」(図4の(g)参照)は、注目する細胞又はコロニーを横切る線のうちの最大値(細胞又はコロニーの全長)を示す値である。
「Breadth」(図4の(h)参照)は、「Length」に直交する線のうちの最大値(細胞又はコロニーの横幅)を示す値である。
「Fiber Length」(図4の(i)参照)は、注目する細胞又はコロニーを擬似的に線状と仮定した場合の長さを示す値である。特徴量算出部51は、下記の式(1)により「Fiber Length」の値を求める。
但し、本明細書の式において「P」はPerimeterの値を示す。同様に「A」はTotal Areaの値を示す。
「Fiber Breadth」(図4の(j)参照)は、注目する細胞又はコロニーを擬似的に線状と仮定した場合の幅(Fiber Lengthと直交する方向の長さ)を示す値である。特徴量算出部51は、下記の式(2)により「Fiber Breadth」の値を求める。
「Shape Factor」(図4の(k)参照)は、注目する細胞又はコロニーの円形度(細胞又はコロニーの丸さ)を示す値である。特徴量算出部51は、下記の式(3)により「Shape Factor」の値を求める。
「Elliptical form Factor」(図4の(l)参照)は、「Length」の値を「Breadth」の値で除した値(Elliptical form
Factor=Length/Breadth)であって、注目する細胞又はコロニーの細長さの度合いを示すパラメータとなる。
「Inner radius」(図4の(m)参照)は、注目する細胞又はコロニーの内接円の半径を示す値である。
「Outer radius」(図4の(n)参照)は、注目する細胞又はコロニーの外接円の半径を示す値である。
「Mean radius」(図4の(o)参照)は、注目する細胞又はコロニーの輪郭を構成する全点とその重心点との平均距離を示す値である。
「Equivalent radius」(図4の(p)参照)は、注目する細胞又はコロニーと同面積の円の半径を示す値である。この「Equivalent radius」のパラメータは、注目する細胞又はコロニーを仮想的に円に近似した場合の大きさを示している。
また、図4に示した特徴量の他の特徴量は、例えば、以下の通りである。
「Compactness(稠密度)」は、細胞又はコロニーの稠密度の計測である。この「Compactness」は、「Perimeter」(周囲長)の二乗を「Total area」(面積)で除した値である。
「Texture(質感)」は、細胞又はコロニーの表面の質感を示すパラメータであり、輝度値の空間的な分布を示している。
「High intensity(高輝度)」は、細胞又はコロニー内で計測したサンプル(画素の輝度値)の95%に相当する値である。なお、ここでの輝度値は、グレースケール画像において計測された画素値を示している。
「Low intensity(低輝度)」は、細胞又はコロニー内で計測したサンプル(画素の輝度値)の5%に相当する値である。
「Max intensity(最大輝度)」は、細胞又はコロニーの領域内で計測される最大の輝度値である。
「Mean intensity(平均輝度)」は、細胞又はコロニーの領域内で計測される平均輝度値である。平均輝度値は、後述する「Total intensity(輝度合計)」の値を細胞又はコロニーの領域の画素数で除した値である。
「Median intensity(中央輝度)」は、細胞又はコロニーの領域内で計測されるサンプル(画素の輝度値)を上半分と下半分とに分ける中央値である。
「Min intensity(最小輝度)」は、細胞又はコロニーの領域内で計測される最小の輝度値である。
「Standerd deviation of intensity(輝度の標準偏差)」は、細胞又はコロニーの輝度の広がりを示すパラメータである。
「Total intensity(輝度合計)」は、細胞又はコロニーの輝度値の合計である。
特徴量算出部51は、例えば、算出した各観察時間における各コロニーの特徴量と、各コロニーを識別する識別情報及び対象画像内の位置情報とを対応付けて記憶部40に記憶させる。
分類モデル構築部52は、特徴量算出部51により算出された特徴量に基づいて、対象画像に含まれるコロニーを、コロニーの画像の分類を示すクラスに分類するための分類モデルを構築する。分類モデル構築部52は、一例としては、分類モデルを、クラスタリング技術により構築する。なお、本実施形態におけるクラスタリング技術による分類モデルの構築については、後述する。
また、分類モデル構築部52は、例えば、教師なし学習により分類モデルを求めてもよいし、教師付き学習により分類モデルを求めてもよい。この分類モデルは、コロニーを、画像の性質が類似したクラスに分類し、そのクラスに分類した結果を出力する分類モデルである。なお、分類モデル構築部52は、分類モデルを生成する特徴量に互いの相関係数が所定の閾値以下である複数の特徴量を選択する。例えば、分類モデルに用いられる特徴量には、互いの相関係数を算出し、相関係数が“0.9”以上のものをまとめて同じものと考え、このうちの1つを選択される。
また、分類モデル構築部52は、構築した分類モデルを記憶部40の分類モデル記憶部41に記憶させる。
クラス分類処理部53は、特徴量算出部51によって算出された特徴量に基づいて、対象画像に含まれるコロニーを、コロニーの画像の分類を示す複数のクラスであって、統計的に選抜された複数のクラスのうちのいずれかに分類する。ここで、統計的に選抜された複数のクラスとは、例えば、100個以上のコロニーサンプルに基づいて、コロニーの画像の分類を示すグループのうちから統計的に特異値を排除して選抜された複数のグループのことである。例えば、クラス分類処理部53は、分類モデル構築部52によって構築された分類モデルを分類モデル記憶部41から読み出す。また、クラス分類処理部53は、記憶部40から各コロニーに対応付けられている複数の特徴量を読み出し、分類モデル記憶部41から読み出した分類モデルに基づいて、対象画像に含まれる全コロニーをクラスに分類する。クラス分類処理部53は、分類したクラスと、コロニーの識別情報とを対応付けて記憶部40に記憶させる。
評価処理部55は、クラス分類処理部53によって分類されるクラスの経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する。ここで、クラスの経時変化とは、例えば、クラスごとのコロニーの数の経時変化のことである。評価処理部55は、クラスごとに培養の経過時間に対するコロニーの数を算出し、算出したクラスごとのコロニーの数の経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する。すなわち、評価処理部55は、算出したクラスごとの培養の経過時間に対するコロニーの数から、クラスごとのコロニーの数の経時変化を示す情報(例えば、後述する図13に示すような情報)を算出(生成)する。評価処理部55は、算出したクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と、評価基準記憶部42に記憶されているクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と、コロニーの数の経時変化情報に関連付けられている細胞の評価情報とに基づいて、iPS細胞の状態を評価する。
具体的に、評価処理部55は、例えば、クラスごとにおけるコロニーのiPS細胞の状態や、複数のコロニーを含んだiPS細胞の集団(グループ)におけるiPS細胞の状態が良い状態か否か、又は悪い状態か否かを推定する。
なお、ここで「良い状態」とは、目的とする状態(目的の基準値を満たす状態)のことであり、用途によっても変わる状態である。「良い状態」には、目的に応じて、例えば、「よく増える状態」、「よく分化する状態」、「未分化細胞が多い状態」、「分化がおきにくい状態」、「細胞を選抜しやすい状態(クローニングしやすい)」、「細胞の増殖がその後一番高い直前の状態」などが含まれる。また、「悪い状態」とは、目的とする状態から逸脱した状態のことである。
クラス解析処理部54は、例えば、細胞の状態が既知である細胞の集団(グループ)を時系列に撮像したサンプル画像に基づいて、評価基準を示す評価基準情報を生成する。クラス解析処理部54は、生成した評価基準情報を評価基準記憶部42に記憶する。
ここで、評価基準記憶部42が記憶する評価基準情報の生成について説明する。
この評価基準情報は、以下のような手順により、予め生成されている。
図5は、コロニーの特徴量に基づくカルテ情報の一例を示す図である。
図5(a)は、iPS細胞の状態の良い集団を撮像した対象画像を示し、図5(b)は、iPS細胞の状態の悪い集団を撮像した対象画像を示している。
また、図5(c)は、図5(a)に示すiPS細胞の状態の良い集団の対象画像から抽出された全コロニーを示している。また、図5(d)は、図5(b)に示すiPS細胞の状態の悪い集団の対象画像から抽出された全コロニーを示している。
クラス解析処理部54は、このように対象画像から抽出したコロニーの特徴量を特徴量算出部51に抽出させ、図5(e)に示すような各コロニーのカルテ情報を生成する。なお、図5(e)において、カルテ情報に用いる特徴量は、例えば、「Total area」、「Perimeter」、「Length」、「Width」、及び「Texture」である。
ここで、図5(e)における各特徴量は、図5(f)に示すように、特徴量の値が最小の場合に「白色」で表記し、特徴量の値が最大の場合に「黒色」で表記し、その中間の値を値に応じた「網掛け」で表記している。また、図5(e)において、iPS細胞の状態が良いコロニーは領域G1に対応し、iPS細胞の状態が悪いコロニーは領域B1に対応する。
クラス解析処理部54は、クラス分類処理部53に図5(e)に示すような複数の特徴量(カルテ情報)に基づいて、図6に示すように、各コロニーをクラスに分類させる。
図6は、本実施形態におけるクラスタリングによるコロニーのクラス分類の一例を示す図である。この図において、横軸はクラスの種類(例えば、17種類のクラス)を示し、縦軸は各クラスにおけるコロニーの数を示している。なお、ここでの各クラスにおけるコロニーの数は、ある時刻における対象画像に基づく数であり経時変化を含んでいない。また、各クラスにおいて、左側の棒グラフはiPS細胞の状態が良い集団を示し、右側の棒グラフはiPS細胞の状態が悪い集団を示している。
クラス解析処理部54は、統計的な手法を用いてクラスごとのコロニーの数とiPS細胞の状態とを解析し、クラス単位の評価基準を生成する。
ここで、クラス単位の評価基準には、評価実験などにより得られた既知の評価結果に基づく「外的な評価基準」と、統計的な手法を用いてクラスごとのコロニーの数とiPS細胞の状態とを解析することによって得られる「分析結果に基づく評価基準」とを含んでいる。「外的な評価基準」は、例えば、クラスごとに遺伝子変化を測定し、この遺伝子情報(未分化マーカー等)が悪かったなどの実験結果に基づく評価基準であり、既知のサンプルによる実験結果に基づいて生成され、予め評価基準記憶部42に記憶されている。そのため、ここで、クラス解析処理部54が生成するクラス単位の評価基準は、「分析結果に基づく評価基準」のことである。
なお、「外的な評価基準」は、例えば、培養の熟練者によるヒアリングにおいて常に培養中に除去されるクラスに関しての評価値や、例えば、その後の移植後発がんの成績、その他の分化傾向の有無、遺伝子発現状態の有無に関しての状態などを基にクラスに関して生成された評価値である。「外的な評価基準」は、予め評価基準記憶部42に記憶させている。
また、クラス解析処理部54は、例えば、図6のクラスごとの棒グラフD1〜D4に示すようなiPS細胞の状態が良い集団と悪い集団との間に、有意差のあるクラスを抽出し、クラス単位の評価基準として、評価基準記憶部42に記憶させてもよい。なお、ここでの良い集団と悪い集団との判定は、上述した「外的な評価基準」に基づいて行ってもよい。
また、クラス解析処理部54は、クラスごとに培養の経過時間に対するコロニーの数を算出し、算出したクラスごとの培養の経過時間に対するコロニーの数から、図7に示すようなクラスごとのコロニーの数の経時変化を示す情報を生成する。
図7は、コロニーの良否とクラスごとにおけるコロニーの数の経時変化との関係の一例を示す図である。この図において、横軸はクラスの種類(例えば、クラスC1〜クラスC5)を示し、縦軸は各クラスにおけるコロニーの数を示し、奥行き方向軸は、iPS細胞の成長時間を示している。また、この図において、各クラスにおける左側の経時変化のグラフG11〜G15は、iPS細胞の状態が良い集団を示し、右側の経時変化のグラフB11〜B15は、iPS細胞の状態が悪い集団を示している。
クラス解析処理部54は、統計的な手法を用いて、上述した「外的な評価基準」より評価されるクラスとの類似性を抽出するとともに、図7に示すようなクラスごとにおけるコロニーの数の経時変化を解析し、例えば、iPS細胞の状態が良い集団又は悪い集団の条件であるクラスごとのコロニーの数の経時変化情報を抽出する。クラス解析処理部54は、抽出したクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と細胞の評価情報である状態が良い集団又は悪い集団などの評価情報(上述した「外的な評価基準」に対応)とを関連付けて評価基準記憶部42に記憶させる。
例えば、クラス解析処理部54は、統計的な手法により、クラスC4のコロニーにおいて、「状態の悪い集団は、36時間(h)以降減少傾向になり、状態の良い集団は、増加傾向になる」などの経時変化のパターン情報を抽出する。クラス解析処理部54は、このような経時変化のパターン情報と評価情報とを関連付けて評価基準として評価基準記憶部42に記憶させる。
次に、本実施形態におけるインキュベータ11の動作について説明する。
まず、インキュベータ11のiPS細胞の観察する処理の手順について説明する。
<iPS細胞の観察の例>
図8は、インキュベータ11における観察処理の一例を示すフローチャートである。この図8は、恒温室15内に搬入された培養容器19を、登録された観察スケジュールに従ってタイムラプス観察する動作例を示している。
図8において、まず、インキュベータ11の制御部50は、記憶部40の管理データの観察スケジュールと現在日時とを比較して、培養容器19の観察開始時間が到来したか否かを判定する(ステップS101)。制御部50は、観察開始時間となった場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。一方、制御部50は、培養容器19の観察時間ではない場合(ステップS101:NO)に、次の観察スケジュールの時刻まで待機する。
次に、ステップS102において、制御部50は、観察スケジュールに対応する培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19をストッカー21から搬出して観察ユニット22の試料台31に載置する。
なお、培養容器19が試料台31に載置された段階で、スタンドアーム32に内蔵されたバードビューカメラ(不図示)によって培養容器19の全体観察画像が撮像される。
次に、インキュベータ11は、撮像装置34に顕微鏡画像を撮像させる(ステップS103)。すなわち、制御部50は、観察ユニット22に対して細胞の顕微鏡画像の撮像を指示する。観察ユニット22は、LED光源39を点灯させて培養容器19を照明するとともに、撮像装置34を駆動させて培養容器19内の細胞の顕微鏡画像を撮像する。
このとき、撮像装置34は、記憶部40に記憶されている管理データに基づいて、ユーザの指定した撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点)により顕微鏡画像を撮像する。例えば、培養容器19内の複数のポイントを観察する場合、観察ユニット22は、試料台31の駆動によって培養容器19の位置を逐次調整し、各々のポイントでそれぞれ顕微鏡画像を撮像する。なお、ステップS103において取得された顕微鏡画像のデータは、制御装置1に読み込まれるとともに、制御部50の制御によって記憶部40に記録される。
次に、インキュベータ11は、ストッカー21に培養容器19を搬送する(ステップS104)。すなわち、制御部50は、観察スケジュールの終了後に培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19を観察ユニット22の試料台31からストッカー21の所定の収納位置に搬送する。その後、制御部50は、観察シーケンスを終了して、ステップS101に処理を戻す。
この図8に示す手順により、インキュベータ11により観察された時系列の画像データが、記憶部40に記憶される。
次に、本実施形態における制御装置1が、コロニーを分類する分類モデルを構築する一例について説明する。
<クラス分類モデルの構築処理>
図9は、本実施形態によるインキュベータ11の制御装置1が、分類モデルを生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、培養容器19を観察して取得した複数の顕微鏡画像を用いて、制御装置1が、培養容器19のiPS細胞のコロニーをクラスに分類する分類モデルを構築する場合について説明する。
制御装置1の制御部50は、予め用意されたサンプルの顕微鏡画像のデータを記憶部40から読み込む(ステップS201)。
次に、制御部50は、上記のサンプルの顕微鏡画像のうちから、処理対象となる画像を指定する(ステップS202)。ここで、制御部50は、予め用意されているサンプルの顕微鏡画像のすべてを処理対象として順次指定してゆくものとする。
次に、制御部50の特徴量算出部51は、処理対象の顕微鏡画像について、画像内に含まれるiPS細胞のコロニーを抽出する(ステップS203)。特徴量算出部51は、例えば、公知のエッジ抽出手法でコロニーのエッジを抽出するとともに、輪郭追跡処理によってエッジで囲まれた閉空間をコロニーと推定する。これにより特徴量算出部51は、上記の顕微鏡画像から個々の全コロニーを抽出することができる。
次に、特徴量算出部51は、抽出した各々のコロニーについて、特徴量を画像からそれぞれ求める(ステップS204)。なお、特徴量算出部51は、上述した種類の異なる複数の特徴量をコロニーごとに算出する。
次に、ステップS205において、特徴量算出部51は、処理対象の顕微鏡画像について、算出した各コロニーの特徴量を記憶部40に記録する(記憶させる)。
次に、制御部50は、全ての顕微鏡画像が処理済み(全てのサンプルの顕微鏡画像で各コロニーの特徴量が取得済みの状態)であるか否かを判定する(ステップS206)。制御部50は、全ての顕微鏡画像が処理済みである場合(ステップS206:YES)に、処理をステップS207に進める。また、制御部50は、全ての顕微鏡画像が処理済みでない場合(ステップS206:NO)に、処理をステップS202に戻し、未処理の他の顕微鏡画像を処理対象として上記動作を繰り返す。
次に、ステップS207において、制御部50の分類モデル構築部52は、特徴量算出部51により求められた特徴量に基づいて、コロニーをクラスに分類するための分類モデルを生成する。分類モデル構築部52は、例えば、この分類モデルを、クラスタリング技術により生成する。すなわち、分類モデル構築部52は、特徴量に基づく階層的クラスタリング処理により分類モデルを構築する。ここで、分類モデル構築部52による分類モデルの生成処理について、図10を参照して詳細に説明する。
図10は、本実施形態によるクラスタリングにより分類モデルを生成する処理の一例を示すイメージ図である。
図10(a)に示すように、分類モデル構築部52は、[第1の処理]と[第2の処理]との2つの処理を実行し、分類モデルを生成する。
[第1の処理]は、複数のコロニーを特徴量に基づいてクラスタリングを行い、図10(a)に示すようなクラスタリングの履歴を生成する処理である。ここで、クラスタリングの履歴は、例えば、クラスタ間の距離や類似性を示す履歴である。分類モデル構築部52は、特徴量に基づいて2つのクラスタ(コロニー)間の統計的な距離を算出し、最も近い(類似する)クラスタを合わせて新しいクラスタとする。分類モデル構築部52は、[第1の処理]として、この新しいクラスタを生成する処理を全てのクラスタ(コロニー)が1つのクラスタになるまで繰り返す。これにより、クラスタリングの履歴が生成される。なお、この[第1の処理]により、クラスタを統合する処理を内的統合という。
次に、[第2の処理]は、[第1の処理]により生成したクラスタリングの履歴に基づいてクラスタを分割し、クラスタ間の相関係数と、分割によって生成されたクラスタが含むコロニーの数を示す新生コロニー数(新生集合体数)とに応じて、クラスタの分割を終了する処理である。なお、クラスタ間の相関係数は、クラス間の関係を示す指標(第1の指標)の一例であり、新生コロニー数は、クラス内の関係を示す指標(第2の指標)の一例である。分類モデル構築部52は、図10(a)に示すように、履歴の順番にしたがって、クラスタを分割する。分類モデル構築部52は、[第2の処理]において、まず、分割したクラスタ間の相関係数が、下記の式(4)に示す相関係数の閾値になるまで分割する。なお、この[第2の処理]により、クラスタを分割する処理を外的分離という。
ここで、(指標数)は、特徴量の数(種類数)を示しており、例えば、特徴量が11指標の場合に、相関係数の閾値は、約0.60となる。この相関係数の閾値は、統計的に有意な相関係数を示しており、分類モデル構築部52は、適切な分割の終了の目安として、分割したクラスタ間の相関係数が相関係数の閾値(例えば、0.6)になるまで分割する(図10(b)の点D15を参照)。
図10(b)は、上述した[第2の処理]を示すグラフである。
このグラフにおいて、左側の縦軸は、クラスタ間の相関係数を示し、右側の縦軸は、分割後に生まれたクラスタのコロニー数(新生コロニー数)を示している。また、横軸は、クラスタリングの履歴の順番に従って分割したクラスタの分割回数を示している。
また、波形W1は、クラスタ間の相関係数の変化を示し、波形W2は、分割後に生まれたクラスタのコロニー数の変化を示している。なお、波形W2において、点D15は、15回目の分割によって発生した新生コロニー数を示し、点D16は、16回目の分割によって発生した新生コロニー数を示し、点D17は、16回目の分割によって発生した新生コロニー数を示している。
次に、分類モデル構築部52は、[第2の処理]において、クラスタ間の相関係数が所定の閾値に達した(点D15)後に、新生コロニー数が、急に上昇する(例えば、点D17)直前の分割(点D16)により、クラスタの分割を終了する。すなわち、分類モデル構築部52は、コロニーの全体数における所定の割合(例えば、5%)以上になる直前の分割により、クラスタの分割を終了する。ここで、コロニーの全体数における5%未満のコロニー数のクラスタは、ノイズとして分類モデルから除外してもよい。
分類モデル構築部52は、[第2の処理]により生成した、クラスタを分類クラスとして分類モデルを構築する。
このように、分類モデル構築部52は、分類対象のサンプル集合において、各サンプル間の類似度(又は距離)を網羅的に計算し、各サンプルをコロニーとして区別した際に、内的結合(Internal Cohesion)と外的分離(External Isolation)とが達成されるような部分集合条件を求める。分類モデル構築部52は、この部分集合をクラスとして定義する。すなわち、分類モデル構築部52は、上述した[第1の処理]及び[第2の処理]を実行することにより、適切な分類モデルを生成することができる。
なお、上述した例では、クラスタ間の関係を示す指標の一例として、相関係数を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。クラスタ間の関係を示す指標は、例えば、ユークリッド距離、マハラノビス距離、エントロピーなどであってもよい。また、クラス内の関係を示す指標(第2の指標)の一例として、新生コロニー数を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではく、クラスタ内のエントロピーなどの他の指標を用いてもよい。
また、上述した例では、画像の特徴量に基づいてクラスタリングする場合について説明したが、細胞(コロニー)の画像の経時変化量などを組み合わせて用いてもよい。
次に、ステップS208において、分類モデル構築部52は、生成した分類モデルの情報を記憶部40に記録し(記憶させ)、処理を終了する。
次に、本実施形態による制御装置1が、コロニーを評価するための評価基準情報を生成する一例について説明する。
<評価基準情報の生成処理>
図11は、本実施形態によるインキュベータ11の制御装置1が、評価基準情報を生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、図5(a)及び図5(b)のように、iPS細胞の状態(評価結果情報)が既知である集団を時系列に観察して取得した複数の顕微鏡画像(対象画像)を用いて、制御装置1が、iPS細胞のコロニーを評価する評価基準情報を生成する場合について説明する。
図11において、制御装置1の制御部50は、予め時系列に撮像されたサンプル顕微鏡画像のデータを記憶部40から読み込む(ステップS301)。
次に、制御部50の特徴量算出部51は、取得したサンプル顕微鏡画像(対象画像)からコロニーごとの特徴量を、全コロニーについて算出する(ステップS302)。なお、このステップS302の処理は、上述した図9のステップS202〜ステップS206までの処理と同様の処理である。
次に、制御部50のクラス分類処理部53は、各コロニーをクラス分類する(ステップS303)。すなわち、クラス分類処理部53は、特徴量算出部51によって算出された特徴量と、分類モデル記憶部41から読み出した分類モデルとに基づいて、対象画像に含まれる全コロニーについて、複数のクラスのうちのいずれかに分類する。すなわち、クラス分類処理部53は、分類モデルに含まれるクラスの特徴量と各コロニーの特徴量とが統計的に一致(類似)しているかによって、対象画像に含まれる全コロニーをクラスに分類する。
次に、制御部50のクラス解析処理部54は、クラスごとに、培養の経過時間に対するコロニーの数を算出する(ステップS304)。すなわち、クラス解析処理部54は、各対象画像に対して、クラスごとのコロニーの数を算出し、算出したコロニーの数と、コロニーのクラス及び評価結果情報とを関連付けて記憶部40に記憶させる。
次に、クラス解析処理部54は、クラスごとのコロニーの数の経時変化を解析して、評価基準を生成する(ステップS305)。ここでは、クラス解析処理部54は、図6及び図7を用いて説明したような処理を実行し、評価基準情報を生成する。例えば、クラス解析処理部54は、図6のクラスごとの棒グラフD1〜D4に示すようなiPS細胞の状態が良い集団と悪い集団との間に、有意差のあるクラスを抽出し、クラス単位の評価基準を生成する。また、例えば、クラス解析処理部54は、統計的な手法を用いて、図7に示すようなクラスごとにおけるコロニーの数の経時変化を解析し、iPS細胞の状態が良い集団又は悪い集団の条件であるクラスごとのコロニーの数の経時変化情報を評価基準として抽出する。
次に、クラス解析処理部54は、生成した評価基準を記憶部40の評価基準記憶部42に記録する(ステップS306)。クラス解析処理部54は、生成したクラス単位の評価基準を評価基準記憶部42に記憶させる。また、クラス解析処理部54は、抽出したクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と細胞の評価情報とを関連付けて評価基準記憶部42に記憶させ、評価基準情報の生成処理を終了する。
次に、本実施形態による制御装置1が、iPS細胞のコロニーを評価する評価処理の一例について説明する。
<コロニーの評価処理>
図12は、本実施形態による制御装置1が、iPS細胞のコロニーを評価する場合の処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、iPS細胞の状態を時系列に観察して取得した複数の顕微鏡画像(対象画像)を用いて、制御装置1が、iPS細胞のコロニーを評価する場合について説明する。
図12において、制御装置1の制御部50は、培養中に時系列に撮像された対象画像のデータを記憶部40から読み込む(ステップS401)。なお、ここでは、上述した図8のステップS103において、撮像装置34が顕微鏡画像を撮像するごとに、制御部50は、対象画像のデータを記憶部40から読み込み、以下のiPS細胞のコロニーを評価するものとする。
次に、制御部50の特徴量算出部51は、取得した対象画像からコロニーごとの特徴量を、全コロニーについて算出する(ステップS402)。特徴量算出部51は、対象画像に含まれる各々のiPS細胞のコロニーについて、複数の異なる特徴量を対象画像からそれぞれ求める。なお、特徴量算出部51は、対象コロニーの複数種類の特徴量を、時系列に取得した対象画像ごとに算出する。なお、特徴量算出部51は、対象画像に含まれる全てのコロニーに対して、コロニーの画像内の位置情報と、特徴量を算出する。特徴量算出部51は、例えば、算出した各観察時間における各コロニーの特徴量と、各コロニーを識別する識別情報及び対象画像内の位置情報とを対応付けて記憶部40に記憶させる。
次に、制御部50のクラス分類処理部53は、各コロニーをクラス分類する(ステップS403)。例えば、クラス分類処理部53は、分類モデルを分類モデル記憶部41から読み出す。また、クラス分類処理部53は、記憶部40から各コロニーに対応付けられている複数の特徴量を読み出し、分類モデル記憶部41から読み出した分類モデルに基づいて、対象画像に含まれる全コロニーをクラスに分類する。すなわち、クラス分類処理部53は、分類モデルに含まれるクラスの特徴量と各コロニーの特徴量とが統計的に一致(類似)しているかによって、対象画像に含まれる全コロニーをクラスに分類する。クラス分類処理部53は、分類したクラスと、コロニーの識別情報とを対応付けて記憶部40に記憶させる。
次に、制御部50の評価処理部55は、クラスごとに、培養の経過時間に対するコロニーの数を算出する(ステップS404)。
次に、評価処理部55は、クラスごとのコロニーの数の経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する(ステップS405)。評価処理部55は、例えば、算出したクラスごとに培養の経過時間に対するコロニーの数に基づいて、図13に示すような、クラスごとのコロニーの数の経時変化を示す情報(経時変化情報)を生成する。評価処理部55は、生成したクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と、評価基準記憶部42に記憶されている評価基準情報であるクラスごとのコロニーの数の経時変化情報及び評価情報に基づいて、コロニーのクラス単位又は集団単位においてiPS細胞の状態を評価する。
ここで、図13は、クラスごとにおけるコロニーの数の経時変化の一例を示す図である。この図において、横軸はクラスの種類(例えば、13種類のクラス)を示し、縦軸は各クラスにおけるコロニーの数を示し、奥行き方向軸は、iPS細胞の培養時間(培養の経過時間)を示している。評価処理部55は、図13に示すようなクラスごとの経時変化情報を生成し、この経時変化情報を解析することにより、例えば、クラスごとのコロニーの増減などの傾向を把握することができる。評価処理部55は、例えば、経時変化情報を解析結果と、評価基準記憶部42に記憶されている評価基準情報とを比較することにより、コロニーのクラス単位又は集団単位においてiPS細胞の状態を評価する。なお、このiPS細胞の状態を評価には、現在の状態だけでなく、将来(未来)の状態や最適な培養時間を推定することも含まれる。つまり、評価処理部55は、例えば、経時変化情報を解析結果と、評価基準情報とを比較することにより、将来の状態や最適な培養時間(例えば、何時間後に最適な状態になるなど)を推定してもよい。
このように、評価処理部55は、経時変化情報を解析することにより得られたクラスごとの経時変化のパターンが、評価基準情報として評価基準記憶部42に記憶されている経時変化のパターンとどの程度類似しているかを比較し、この比較結果に基づいて、iPS細胞の状態を評価する。ここで、iPS細胞の状態には、上述したように、容器内のコロニー全てを含む総合的な状態(ディッシュ全体の状態)、容器内のコロニー一個一個の状態(コロニー個々の状態)、コロニーを構成する細胞群の状態などが含まれる。また、評価結果の「良い状態」には、目的に応じて、例えば、「よく増える状態」、「よく分化する状態」、「未分化細胞が多い状態」、「分化がおきにくい状態」、「細胞を選抜しやすい状態(クローニングしやすい)」、「細胞の増殖がその後一番高い直前の状態」などが含まれる。また、評価結果の「悪い状態」とは、目的とする状態から逸脱した状態のことである。
なお、上述した図12に示すフローにおいて、撮像装置34が顕微鏡画像を撮像するごとに、制御部50は、対象画像のデータを記憶部40から読み込み、iPS細胞のコロニーを評価する一例を説明したが、培養中に時系列に予め撮像された複数の対象画像のデータを記憶部40から読み込み、iPS細胞のコロニーの評価を実行してもよい。
また、評価処理部55は、教師値を用いて、クラスごとの経時変化に基づいて、iPS細胞のコロニーを評価してもよいし、教師値を用いずに、iPS細胞のコロニーを評価してもよい。
また、評価処理部55は、iPS細胞の状態の評価において、例えば、コロニーが、過去に蓄積したどのコロニーに似ているかの距離計算をして、距離が近いもの(=形や経時変化が似ているもの)をランキングしてもよい。また、評価処理部55は、距離が近いもののクラスの情報を基に、例えば、評価するコロニーが、コロニーAとコロニーBとコロニーCとに近いから、コロニーAとコロニーCとが属するクラスである可能性が90%であり、コロニーDが属するクラスである可能性20%であるというように、確率結果を返す評価(定量評価)を行ってもよい。そして、評価処理部55は、その「近いコロニー」のランキング1位が、どこのクラスにあたるのか、そして、そのクラスが「主流」として持つ過去のデータの成績を、そのコロニーの品質として提示する評価(定性評価)を行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態における制御装置1(細胞評価装置)は、特徴量算出部51と、クラス分類処理部53(分類処理部)と、評価処理部55とを備えている。特徴量算出部51は、時間の経過に伴って撮像された細胞(例えば、iPS細胞)のコロニーを含む複数の対象画像において、コロニーの画像の特徴を示す特徴量を算出する。クラス分類処理部53は、特徴量算出部51によって算出された特徴量に基づいて、対象画像に含まれるコロニーを、コロニーの画像の分類を示す複数のクラス(グループ)であって、統計的に選抜された複数のクラスのうちのいずれかに分類する。そして、評価処理部55は、クラス分類処理部53によって分類されるクラスの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する。
これにより、本実施形態における制御装置1は、細胞のコロニーを画像の特徴を示す特徴量に基づいて、統計的に選抜された複数のクラスに分類し、分類したクラスの経時変化に基づいて、客観的に細胞の状態を非破壊で評価することができる。そのため、本実施形態における制御装置1は、研究者が感覚的(主観的)に評価する場合に比べて、適切に細胞の状態を評価することができる。したがって、本実施形態における制御装置1は、細胞の状態を評価する精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、クラスの経時変化には、クラスごとのコロニーの数の経時変化が含まれ、評価処理部55は、クラスごとに培養の経過時間に対するコロニーの数を算出し、算出したクラスごとのコロニーの数の経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する。
これにより、クラスごとにおけるコロニーの数の連続的な変化を網羅して評価を行うので、本実施形態における制御装置1は、研究者が感覚的(主観的)に評価する場合に比べて、適切に細胞の状態を評価することができる。
また、コロニーの数の経時変化に基づいて細胞の状態を評価するので、本実施形態における制御装置1は、例えば、現在の状態の評価だけでなく、将来(未来)の状態の評価(事前評価)や最適な培養時間の評価を行うことができる。
また、本実施形態における制御装置1は、クラスごとに予め取得されているクラスごとのコロニーの数の変化情報と細胞の評価情報とを関連付けて記憶する評価基準記憶部42を備えている。そして、評価処理部55は、算出したクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と、評価基準記憶部42に記憶されているクラスごとのコロニーの数の経時変化情報と、細胞の評価情報とに基づいて、細胞の状態を評価する。
これにより、予め取得されている評価基準情報(クラスごとのコロニーの数の変化情報及び細胞の評価情報)に基づいて細胞の状態を評価するので、本実施形態における制御装置1は、評価する際に随時評価基準を生成する場合に比べて、細胞の状態を評価する処理時間を短縮することができる。
なお、評価基準記憶部42が記憶する評価基準情報は、評価の際に算出したクラスごとのコロニーの数の変化情報と、制御装置1で判定した細胞の評価情報とに基づいて、追加及び更新されてもよい。これにより、本実施形態における制御装置1は、細胞の状態を評価する精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、特徴量には、互いの相関係数が所定の閾値以下(例えば、「0.9」以下)である複数の特徴量が含まれる。そして、クラス分類処理部53は、複数の特徴量に基づいて、対象画像に含まれるコロニーを、複数のクラスのうちのいずれかに分類する。
これにより、互いに相関の低い特徴量に基づいて、コロニーのクラスを分類するので、本実施形態における制御装置1は、同じ傾向の特徴量によりクラスが分類されることにより適切にクラス分類されないことを低減することができる。
また、本実施形態では、クラス分類処理部53は、特徴量に基づく階層的クラスタリング処理により構築された分類モデルに基づいて、コロニーを分類する。ここで、階層的クラスタリング処理には、[第1の処理]と[第2の処理]とが含まれる。[第1の処理]は、複数のコロニーを特徴量に基づいてクラスタリングを行い、クラスタリングの履歴を生成する処理である。また、[第2の処理]は、クラスタリングの履歴に基づいてクラスタを分割し、クラスタ間の関係を示す第1の指標(例えば、クラスタ間の相関係数)と、分割によって生成されたクラスタ内の関係を示す第2の指標(例えば、新生集合体数)とに応じて、クラスタの分割を終了する処理である。
これにより、本実施形態における制御装置1は、適切な分類モデルを得ることができる。よって、本実施形態における制御装置1は、適切な分類モデルを用いて分類したクラス分類に基づいて、コロニーが適切にクラス分類されるため、細胞の状態を評価する精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、上述の第2の指標には、分割によって生成されたクラスタが含むコロニーの数を示す新生コロニー数(新生集合体数)が含まれる。そして、上述の[第2の処理]は、クラスタ間の相関係数が所定の閾値に達した後に、新生コロニー数が、コロニーの全体数における所定の割合(例えば、5%)以上になる直前の分割により、クラスタの分割を終了する。
これにより、本実施形態における制御装置1は、人手を介さずに、統計的に意味のある有効な分類モデルを適切に得ることができる。すなわち、本実施形態における制御装置1は、統計的な数値情報を根拠として一義的に分類モデルを得ることができる。
また、本実施形態によれば、制御装置1は、例えば、以下のような効果を奏する。
(1)例えば、従来の評価方法では、染色や遺伝子導入など、かならず細胞に何かしらの影響を与えてしまう問題がある。すなわち、不安定である幹細胞などの評価は、少しでも手を加えた場合に、本来の現象を見失ってしまうリスクがある。さらに、従来の破壊的な評価である遺伝子抽出やタンパク質マーカー染色による方法は、リアルタイムに評価が不可能である。つまり、従来の評価方法では、評価したものをその後評価することもできず、染色する以前に細胞に問題があるか否かを事前察知することもできない。これに対して、本実施形態における制御装置1は、画像を解析による評価方法であるので、非破壊により評価することができる。また、これにより、本実施形態における制御装置1は、染色する以前に細胞に問題があるか否かを事前察知することができる。
(2)また、幹細胞などの細胞は、例えば、タンパク質マーカーが定義できないことが多い。つまり、ある性質を定義するためのタンパク質が未知であったり、研究途上であったりすることが多いため、幹細胞などの細胞は、従来の破壊的な評価方法では、その評価結果を単純に信頼することができない。また、多くの場合には、一つの性質を定義するには、複数のタンパク質や遺伝子をマーカーとして陽性、陰性の組合せを評価する必要がある。これに対して、本実施形態における制御装置1は、画像を解析による評価方法であるので、タンパク質マーカーを定義する必要がなく、且つ、複数のタンパク質や遺伝子をマーカーとして陽性、陰性の組合せを評価する必要がなく、細胞の状態を適切に評価することができる。
(3)また、従来の評価方法は、例えば、培養している全細胞を評価することが不可能であるという問題があるが、本実施形態における制御装置1は、画像内の細胞(コロニー)の画像を解析により評価するので、全部の細胞を、一個一個、そのまま評価することができる。
(4)また、従来の評価方法は、例えば、経験的であって定量的ではない熟練者の判断に基づいて評価されている。これに対して、本実施形態における制御装置1は、客観的な評価基準に基づいて細胞の状態を評価するため、恣意的なポイントが無いという効果を奏する。
(5)また、従来の評価方法では、例えば、通常、細胞の評価は、限られた時間及びタイミング(培養技術者の勝手なスケジュールに合わせて、また、研究者の都合によって)のサンプルでしか評価できないことが多い。つまり、従来の評価方法では、例えば、免疫染色などの評価であっても、そのタイミングが評価として良いのか否かは保証されない。これに対して、本実施形態における制御装置1は、インキュベータ11の制御部50により、管理データの観察スケジュールに基づいて撮像された画像により評価するため、従来の評価方法に比べて、サンプル数を多くすることができ、統計的に正確、且つ、客観的に細胞の状態を評価することができる。
また、本実施形態におけるインキュベータ11は、恒温室15と、撮像装置34と、制御装置1とを備えている。恒温室15は、細胞を培養する培養容器19を収納するとともに、所定の環境条件に内部を維持可能な構成である。撮像装置34は、恒温室15内で培養容器19に含まれる細胞の画像を撮像する。
本実施形態におけるインキュベータ11は、上述した制御装置1を備えているので、制御装置1と同様に、適切に細胞の状態を評価することができるという効果を奏する。
次に、本発明の第2の実施形態による制御装置1a、及びインキュベータ11aについて、図面を参照して説明する。
[第2の実施形態]
図14は、本発明の第2の実施形態によるインキュベータ11aのブロック構成図である。
なお、本実施形態におけるインキュベータ11aの正面図及び平面図は、図1及び図2と同様であるので、ここではその説明を省略する。
図14において、インキュベータ11aは、上部ケーシング12と下部ケーシング13とを有している。なお、図14において、図3と同一の構成は同一の符号を付して、その説明を省略する。
下部ケーシング13の内部には、観察ユニット22の撮像装置34や、インキュベータ11aの制御装置(細胞評価装置)1aが収納されている。
制御装置1aは、温度調整装置15aと、湿度調整装置15bと、観察ユニット22と、容器搬送装置23とそれぞれ接続されている。この制御装置1aは、所定のプログラムに従ってインキュベータ11aの各部を統括的に制御する。
図3において、制御装置1aは、記憶部40aと、制御部50aとを備えている。
本実施形態では、iPS細胞のコロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する処理が追加されている点が第1の実施形態と異なる。
記憶部40aは、ハードディスクや、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体などを有している。記憶部40aは、ストッカー21に収納されている各培養容器19に関する管理データと、撮像装置34で撮像された顕微鏡画像のデータと、細胞の状態を評価するために用いられる各種データとを記憶する。さらに、記憶部40aは、制御部50aによって実行されるプログラムを記憶している。
また、記憶部40aは、例えば、分類モデル記憶部41と、評価基準記憶部42aと、履歴記憶部43とを備えている。
履歴記憶部43は、予め取得されている複数のコロニーの成長過程の履歴情報と、成長過程ごとの細胞の評価情報とを関連付けて記憶する。ここで、コロニーの成長過程の履歴情報とは、後述する図14に示すような、コロニーを分類するクラスが、成長時間(経過時間)に応じて、どのように変化しながら成長するかの履歴(経路)である。また、成長過程ごとの細胞の評価情報は、例えば、「細胞の状態が良い」、「細胞の状態が悪い」、「細胞の状態が判定できない(判定保留)」などの情報である。なお、履歴記憶部43が記憶するこのコロニーの履歴情報は、クラス解析処理部54aによって生成される。コロニーの履歴情報の生成については、後述する。
評価基準記憶部42aは、コロニーの状態を評価するための評価基準を示す評価基準情報を記憶する。本実施形態では、第1の実施形態における評価基準記憶部42が記憶する評価基準情報の他に、上述の履歴記憶部43が記憶するコロニーの履歴情報に基づいて、生成されたコロニーごとの成長過程を考慮した評価基準を記憶する。なお、この評価基準は、クラス解析処理部54aによって生成される。評価基準の生成については、後述する。
制御部50aは、例えば、CPUなどのプロセッサであり、制御装置1aの各種の演算処理を実行する。制御部50aは、第1の実施形態における制御部50と同様の処理を行うとともに、コロニーごとの成長過程を考慮した評価基準及び細胞の状態の評価を実行する。
また、制御部50aは、特徴量算出部51と、分類モデル構築部52と、クラス分類処理部53と、クラス解析処理部54aと、評価処理部55aとを備えている。なお、制御部50aは、記憶部40に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、特徴量算出部51と、分類モデル構築部52と、クラス分類処理部53と、クラス解析処理部54aと、評価処理部55aとの各部の機能を実現してもよい。
評価処理部55aは、クラス分類処理部53によって分類されるクラスの経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する。ここで、クラスの経時変化には、例えば、複数の対象画像において対応付けられている各コロニーの成長過程を示すコロニーごとのクラスの経時変化が含まれる。評価処理部55aは、第1の実施形態における評価処理部55と同様の評価処理の他に、このコロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する。この場合、評価処理部55aは、分類結果に基づいてコロニーごとのクラスの経時変化を抽出し、抽出したコロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、コロニーの成長過程の種類を判定する。ここで、コロニーの成長過程の種類とは、後述する図15及び図16に示されるような、成長過程の分類クラスTC1〜TC3のことである。評価処理部55aは、判定した当該判定結果に基づいて、コロニーごとに細胞の状態を評価する。つまり、評価処理部55aは、対象画像内の各コロニー単位で細胞の状態を評価する。
なお、本実施形態では、このコロニーの成長過程の種類に基づく、評価基準情報が、評価基準記憶部42aに記憶されており、評価処理部55aは、判定したコロニーの成長過程の種類と、評価基準記憶部42aに記憶されている評価基準情報に基づいて、コロニーごとに細胞の状態を評価する。
また、評価処理部55aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、現在の細胞の状態を判定する。また、評価処理部55aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、将来(未来)の細胞の状態を推定し、推定した将来(未来)の細胞の状態に基づいて、細胞の状態を評価する。すなわち、評価処理部55aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、例えば、現在の細胞の状態及び将来の細胞の状態が、「良い状態」であるか、「悪い状態」であるかを評価する。
クラス解析処理部54aは、第1の実施形態におけるクラス解析処理部54と同様の処理を行うとともに、例えば、細胞の状態が既知である細胞の集団(グループ)を時系列に撮像したサンプル画像に基づいて、コロニーごとの成長過程を考慮した評価基準情報を生成する。クラス解析処理部54aは、生成した評価基準情報を評価基準記憶部42aに記憶させる。
ここで、評価基準記憶部42aが記憶するコロニーごとの成長過程を考慮した評価基準情報の生成について説明する。
この評価基準情報は、以下のような手順により、予め生成されている。
図15は、本実施形態におけるコロニーごとのクラスの経時変化の一例を示す図である。この図において、図15(a)〜図15(h)は、コロニーごとのクラスの経時変化(各コロニーの成長過程を示す履歴情報)をそれぞれ示し、横軸は、コロニー(iPS細胞)の成長時間を示している。また、コロニーの成長過程の範囲G1及びG2は、iPS細胞の状態が良い世代のコロニーを示している。また、コロニーの成長過程の範囲B1〜B4は、iPS細胞の状態が悪い世代のコロニーを示している。
クラス解析処理部54aは、時系列に撮像したサンプル画像に基づいて、コロニーの特徴量を特徴量算出部51に抽出させ、さらに、抽出した特徴量に基づいて、各コロニーをクラスに分類する。なお、ここでのサンプル画像は、細胞の状態が既知である細胞の集団(グループ)を含む対象画像である。
クラス解析処理部54aは、図15(a)〜図15(h)に示すような、各コロニーのクラスの経時変化(各コロニーの成長過程を示す履歴情報)を全コロニーに対して生成する。クラス解析処理部54aは、各コロニーの成長過程を示す履歴情報を成長過程の分類クラスに分類する(図15の成長過程の分類クラスTC1〜TC4を参照)。クラス解析処理部54aは、生成したコロニーの成長過程の履歴情報と、成長過程ごとの細胞の評価情報とを関連付けて履歴記憶部43に記憶させる。
次に、クラス解析処理部54aは、統計的な手法を用いて、コロニーの成長過程の履歴情報を解析する。
例えば、成長過程の分類クラスTC1は、範囲G1において状態の良い世代が、成長過程の分類クラスTC2に比べて短期間であり、この短期間により状態の悪い世代(範囲B1)に変化してしまうことを示している。また、成長過程の分類クラスTC2は、状態の良い世代(範囲G2)が成長過程の分類クラスTC1に比べて長期間であり、状態の悪い世代(範囲B2)が短いことを示している。また、成長過程の分類クラスTC3は、長期間、状態の悪い世代(範囲B3)を維持し、成長過程の分類クラスTC4は、短期間に劣化(範囲B4)して消滅してしまうことを示している。
クラス解析処理部54aは、このような成長過程の分類クラスを解析することにより、成長過程の分類クラスに基づくクラスの経時変化のパターンを評価基準情報として抽出する。クラス解析処理部54aは、例えば、図15における成長過程の分類クラスTC3又はTC4となるクラスの経時変化のパターンである場合には、現在、及び将来において「細胞の状態が悪い」と評価する評価基準情報を抽出する。また、クラス解析処理部54aは、例えば、図15における成長過程の分類クラスTC1となるクラスの経時変化のパターンである場合には、成長時間に応じて、「細胞の状態が悪い」又は「細胞の状態が良い」と評価する評価基準情報を抽出する。クラス解析処理部54aは、例えば、図15における成長過程の分類クラスTC2となるクラスの経時変化のパターンである場合には、「細胞の状態が良い」と評価する評価基準情報を抽出する。クラス解析処理部54aは、このように抽出した評価基準情報を評価基準記憶部42aに記憶させる。
次に、本実施形態におけるインキュベータ11aの動作について説明する。
本実施形態における「iPS細胞の観察処理」及び「クラス分類モデルの構築処理」は、図8及び図9に示される第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
また、本実施形態における「評価基準情報の生成処理」は、図10に示す生成処理の他に、iPS細胞のコロニーごとのクラスの経時変化に基づく評価基準情報を生成する場合の処理が追加されており、ここでは、この処理について説明する。
<クラスの経時変化に基づく評価基準情報の生成処理>
図16は、本実施形態によるインキュベータ11aの制御装置1aが、iPS細胞のコロニーごとのクラスの経時変化に基づく評価基準情報を生成する場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図16において、ステップS501〜ステップS503までの処理は、図10に示す第1の実施形態におけるステップS301〜ステップS303の処理と同様であるので、その説明を省略する。
ステップS504において、制御部50aのクラス解析処理部54aは、コロニーごとに培養の経過時間に対するクラスの経時変化を算出する。すなわち、クラス解析処理部54aは、図15に示すような、コロニーごとにクラスの変化を示すコロニーの成長過程の履歴を生成する。クラス解析処理部54aは、生成したコロニーの成長過程の履歴と、クラスの成長過程ごとの細胞の評価情報とを関連付けて記憶部40aの履歴記憶部43に記憶させる。
次に、クラス解析処理部54aは、コロニーごとのクラスの経時変化を解析して、評価基準を生成する(ステップS505)。例えば、クラス解析処理部54aは、統計的な手法を用いて、図15に示すようなコロニーごとにおけるクラスの経時変化を解析し、iPS細胞の状態が良いコロニー又は悪いコロニーの条件(コロニーごとにおけるクラスの経時変化のパターン)である評価基準情報を抽出する。
次に、クラス解析処理部54aは、抽出した評価基準情報を記憶部40aの評価基準記憶部42aに記録する(ステップS506)。クラス解析処理部54aは、生成したクラス単位の評価基準を評価基準記憶部42aに記憶させる。また、クラス解析処理部54aは、抽出した評価基準情報を評価基準記憶部42aに記憶させ、評価基準情報の生成処理を終了する。
次に、本実施形態による制御装置1aが、iPS細胞のコロニーを評価する評価処理の一例について説明する。
<コロニーの評価処理>
図17は、本実施形態による制御装置1aが、iPS細胞のコロニーを評価する場合の処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、一例として、iPS細胞の状態を時系列に観察して取得した複数の顕微鏡画像(対象画像)を用いて、制御装置1aが、iPS細胞のコロニーを評価する場合について説明する。
図17において、ステップS601〜ステップS603までの処理は、図10に示す第1の実施形態におけるステップS401〜ステップS403の処理と同様であるので、その説明を省略する。
次に、ステップS604において、制御部50aの評価処理部55aは、コロニーごとの経過時間に対するクラスの経時変化を抽出する。
次に、評価処理部55aは、コロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価する(ステップS605)。評価処理部55aは、例えば、図18に示すような、抽出したコロニーごとの経過時間に対するクラスの経時変化に基づいて、コロニーの成長過程の種類(経時変化のパターン)を判定する。
図18は、本実施形態におけるコロニーの成長過程の種類を判定する処理の一例を示す図である。この図において、分類クラスTC1〜TC4は、成長過程の分類クラスを示しており、横軸は、iPS細胞の成長時間を示している。
図18に示すように、コロニーのクラスC10〜C12は、コロニーが小さいために、評価処理部55aが成長過程の分類クラスを判定できない状態を示している。評価処理部55aは、コロニーのクラスC13又はC14に至る成長過程のパターンと、評価基準記憶部42aが記憶する評価基準情報における成長過程のパターンとを比較して、成長過程の分類クラス(TC1〜TC4)を判定する。例えば、コロニーがクラスC10→クラスC11→クラスC14と経時変化した場合に、評価処理部55aは、評価基準記憶部42aが記憶する評価基準情報に基づいて、当該コロニーを成長過程の分類クラスを分類クラスTC2と判定する。また、例えば、コロニーがクラスC10→クラスC13と経時変化した場合に、評価処理部55aは、評価基準記憶部42aが記憶する評価基準情報に基づいて、当該コロニーを成長過程の分類クラスを分類クラスTC4と判定する。
そして、評価処理部55aは、例えば、成長過程の分類クラスの判定結果と、評価基準記憶部42aが記憶する評価基準情報に基づいて、コロニー単位で、iPS細胞の状態を評価する。すなわち、評価処理部55aは、評価基準情報から成長過程の分類クラスに対応する評価情報を読み出す。例えば、評価処理部55aは、成長過程の分類クラスが分類クラスTC2と判定され、分類クラスTC2に対応する評価が「細胞の状態が良い」であった場合に、「細胞の状態が良い」と評価する。
また、評価処理部55aは、成長過程の分類クラスの判定結果によって、判定したコロニーが将来どのように変化するのか推定することが可能である。そのため、評価処理部55aは、現在のiPS細胞の状態を評価するだけでなく、将来のiPS細胞の状態を評価してもよい。この場合、評価処理部55aは、評価に必要な期間を短縮することが可能となる。
このように、評価処理部55aは、コロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、iPS細胞の状態を評価し、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態における制御装置1aは、特徴量算出部51と、クラス分類処理部53と、評価処理部55aとを備えている。評価処理部55aは、クラス分類処理部53によって分類されるクラスの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する。ここで、クラスの経時変化には、複数の対象画像において対応づけられている各コロニーの成長過程を示すコロニーごとのクラスの経時変化が含まれる。評価処理部55aは、クラス分類処理部53によって分類された分類結果に基づいて得られるコロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価する。
これにより、本実施形態における制御装置1aは、第1の実施形態と同様に、研究者が感覚的(主観的)に評価する場合に比べて、適切に細胞の状態を評価することができる。したがって、本実施形態における制御装置1aは、細胞の状態を評価する精度を向上させることができる。
また、本実施形態における制御装置1aは、コロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、細胞の状態を評価するので、例えば、現在の状態の評価だけでなく、将来(未来)の状態の評価(事前評価)や最適な培養時間の評価を行うことができる。
また、本実施形態では、評価処理部55aは、分類結果に基づいてコロニーごとのクラスの経時変化を抽出し、抽出したコロニーごとのクラスの経時変化に基づいて、コロニーの成長過程の種類を判定する。評価処理部55aは、判定した当該判定結果に基づいて、コロニーごとに細胞の状態を評価する。
これにより、本実施形態における制御装置1aは、コロニーの経時変化を考慮した上で、正確に細胞の状態を評価することができる。また、クラスの経時変化に基づいて、本実施形態における制御装置1aは、コロニーの成長過程の種類を判定するので、一点でコロニーを分類する場合に比べて、分類の偶発性を低減することができる。
なお、iPS細胞の培養において、図19に示すように、培養の途中からコロニーが成長する場合がある。このような場合に、ある時点で同一のコロニーのクラスに分類されたとしても、成長過程の種類が異なる場合がある。
例えば、図19において、成長過程の分類クラスTC11は、培養時間0hから84hまでの期間で成長したコロニーを示し、成長過程の分類クラスTC12は、培養時間60hから84hまでの期間で成長したコロニーを示している。また、成長過程の分類クラスTC13は、培養時間42hから84hまでの期間で成長したコロニーを示し、成長過程の分類クラスTC14は、培養時間24hから84hまでの期間で成長したコロニーを示している。ここで、成長過程の分類クラスTC11は、クラスCS7→クラスCS11→クラスCS4→クラスCS5の成長過程をたどり、成長過程の分類クラスTC12は、クラスCS13→クラスCS13の成長過程をたどる。また、成長過程の分類クラスTC13は、クラスCS13→クラスCS11→クラスCS4→クラスCS11→クラスCS4の成長過程をたどり、成長過程の分類クラスTC14は、クラスCS13→クラスCS2→クラスCS13→クラスCS3→クラスCS10→クラスCS5の成長過程をたどる。
このような場合、培養時間84hにおいて、成長過程の分類クラスTC11のコロニーと、成長過程の分類クラスTC14のコロニーとは、同一のクラスCS5に分類されるが、実際には異なる成長過程の分類クラスである。そのため、培養時間84hの一点において、iPS細胞の状態を評価した場合に、正確に評価できない場合がある。
これに対して、本実施形態における制御装置1aは、コロニーの成長過程の種類を判定し、判定した当該判定結果に基づいて、コロニーごとに細胞の状態を評価するので、例えば、上述の成長過程の分類クラスTC11のコロニーと、成長過程の分類クラスTC14のコロニーとを同一の状態であると評価することがない。そのため、本実施形態における制御装置1aは、正確に細胞の状態を評価することができる。
また、本実施形態では、評価処理部55aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、現在の細胞の状態を判定する。
これにより、過去の成長過程を考慮して、現在の細胞の状態を判定するので、本実施形態における制御装置1aは、正確に細胞の状態を評価することができる。
また、本実施形態では、評価処理部55aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、将来の細胞の状態を推定し、推定した将来の細胞の状態に基づいて、細胞の状態を評価する。
これにより、本実施形態における制御装置1aは、評価に必要な期間を短縮することができる。
なお、図20は、コロニーの成長過程によるクラスの経時変化の一例を示す第2の図である。
図20(a)は、コロニーを含む対象画像の経時変化を示し、図20(b)〜図20(d)は、対象画像に含まれるコロニーの経時変化をそれぞれ示している。また、図20において、横軸はiPS細胞の培養時間を示している。また、時刻T1〜T4のそれぞれは、対象画像の撮像した時刻を示している。なお、本実施形態における制御装置1aは、同一のコロニーについて、成長過程の履歴情報を生成する。
例えば、時刻T1及びT2において、コロニーが小さいため、本実施形態における制御装置1aは、各コロニーの状態の評価を保留する。
また、時刻T3において、図20(b)の示すコロニーは、「悪い状態」を示し、図20(c)及び(d)の示すコロニーは、「良い状態」を示している。
また、時刻T4において、各コロニーは、「悪い状態」を示している。
このような場合に、本実施形態における制御装置1aは、コロニーの成長過程の種類の判定結果に基づいて、将来の細胞の状態を推定し、推定した将来の細胞の状態に基づいて、細胞の状態を評価する。そのため、時刻T3においても、本実施形態における制御装置1aは、予め「悪い状態」になることが判明している各コロニーを「悪い状態」と判定することが可能である。このように、本実施形態における制御装置1aは、正確に細胞の状態を評価することができる。
また、本実施形態における制御装置1aは、予め取得されている複数のコロニーの成長過程の履歴情報と成長過程ごとの細胞の評価情報とを関連付けて記憶する履歴記憶部43を備えている。そして、評価処理部55aは、コロニーごとのクラスの経時変化と、履歴記憶部43が記憶するコロニーの成長過程の履歴情報及び細胞の評価情報とに基づいて、細胞の状態を評価する。
予め取得されているコロニーの成長過程の履歴情報及び細胞の評価情報に基づいて細胞の状態を評価するので、本実施形態における制御装置1aは、評価する際に随時評価基準を生成する場合に比べて、細胞の状態を評価する処理時間を短縮することができる。
なお、履歴記憶部43及び評価基準記憶部42aが記憶する評価基準情報は、評価の際に算出したコロニーごとの成長過程の履歴情報と、制御装置1aで判定した細胞の評価情報とに基づいて、追加及び更新されてもよい。これにより、本実施形態における制御装置1aは、細胞の状態を評価する精度を向上させることができる。
図21は、本実施形態の制御装置1(1a)を用いた細胞の培養方法を説明するためのフローチャートである。本フローチャートでは、増殖させたい所望の細胞が培養されている培養容器19が、インキュベータ11のストッカー21が有する複数の棚のうちのいずれかに、収納されているものとして説明する。
まず、ステップS701において、制御部50(50a)は、予め決められた培養条件(例えば所定の温度、湿度等)で細胞を培養するよう温度調整装置15aと湿度調整装置15bとを制御する。
所定期間経過後、ステップS702において、制御部50(50a)は、記憶部40から読み出した本発明の実施形態の細胞評価プログラムを実行し、細胞の状態を評価する。
次に、ステップS703において、制御部50(50a)は、細胞の状態の評価結果に基づき、細胞の状態が良好であるか否かを判定する。制御部50(50a)は、細胞の状態が良好である場合(ステップS703:YES)に、処理をステップS704に進める。また、制御部50(50a)は、細胞の状態が良好でない場合(ステップS703:NO)に、処理をステップS705に進める。
次に、ステップS704において、制御部50(50a)は、細胞の状態の評価結果に基づいて、細胞が所定の使用時期に到達したか否かを判定する。ここで所定の使用時期とは、例えば、「よく増える状態」、「よく分化する状態」、「未分化細胞が多い状態」など培養の目的に応じて定められる使用時期のことである。制御部50(50a)は、細胞が所定の使用時期に到達したと判定した場合(ステップS704:YES)に、処理を終了する。また、制御部50(50a)は、細胞が所定の使用時期に到達していないと判定した場合(ステップS704:NO)に、処理をステップS702に戻す。
次に、ステップS705において、制御部50(50a)は、状態の悪い細胞の数が所定の閾値以上、又は増加傾向であるか否かを判定する。制御部50(50a)は、状態の悪い細胞の数が所定の閾値以上、又は増加傾向であると判定した場合(ステップS705:YES)に、処理をステップS707に進める。また、制御部50(50a)は、状態の悪い細胞の数が所定の閾値未満、且つ増加傾向でないと判定した場合(ステップS705:NO)に、処理をステップS706に進める。
次に、ステップS706において、制御部50(50a)は、状態の良い細胞の数が減少傾向であるか否かを判定する。制御部50(50a)は、状態の良い細胞の数が減少傾向である場合(ステップS706:YES)に、処理をステップS707に進める。また、制御部50(50a)は、状態の良い細胞の数が減少傾向でない場合(ステップS706:NO)に、処理をステップS702に戻す。
次に、ステップS707において、制御部50(50a)は、細胞の培養に問題が生じている旨を示す警告を出力する(例えば、不図示のモニタ等に表示させる)。
次に、ステップS708において、制御部50(50a)は、培養を中止するか、培養条件を変更するか、又は現在の培養条件で培養を続行するか判定する。
次に、ステップS709において、制御部50(50a)が培養を中止すると判定した場合(ステップS709:YES)、制御部50(50a)は培養の中止を示す情報を不図示のモニタ等に表示させ、処理を終了する。
一方、制御部50(50a)は培養を中止すると判定しなかった場合(ステップS709:NO)、処理をステップS710に進める。
次に、ステップS710において、制御部50(50a)が培養条件を変更すると判定した場合(ステップS710:YES)、制御部50(50a)は、細胞の状態の評価結果と関係付けられた培養条件(例えば所定の温度、湿度等)に変更するよう温度調整装置15aと湿度調整装置15bとを制御する(ステップS711)。その後、制御部50(50a)は、ステップS702に処理を戻す。
一方、制御部50(50a)が現在の培養条件で培養を続行すると判定した場合(ステップS710:NO)、制御部50(50a)は処理をステップS702に進める。
なお、図21の処理において、制御部50(50a)は、判定した結果を表示部などに表示してもよい。そして、ユーザは、この表示部に表示された結果に応じて、培養条件などを変更する情報を、入力部を介して制御部50(50a)に入力する。このようにして、制御部50(50a)は、ユーザにより入力された情報に基づいて、培養条件などを変更してもよい。また、培養条件などの変更や培養を中止する代わりに、ユーザは、状態の悪い細胞(例えば、状態の悪いiPS細胞のコロニー)をレーザーなどで培養を停止させてもよい。
また、図21に示すフローチャートでは、ステップS704において、制御部50(50a)は、細胞の状態の評価結果に基づいて、細胞が所定の使用時期に到達したか否かを判定する場合について説明したが、所定の使用時期の代わりに、所定の使用基準に到達したか否かを判定してもよい。また、制御部50(50a)は、所定の使用時期や所定の使用基準の代わりに、細胞の状態の評価結果に基づいて、細胞の使用方法を判定してもよい。
以上説明したように、本実施形態における細胞の培養方法を用いれば、細胞の評価に基づいて動的に培養条件を変更することができるので、所望の細胞を容易に培養させることができる。
また、本実施形態における細胞の培養方法は、制御装置1(1a)によって評価された細胞の状態に基づいて、細胞の使用時期、細胞の使用方法、又は細胞の使用基準を判定する。
これにより、本実施形態における細胞の培養方法は、目的に応じて、所望の細胞を容易に培養させることができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、細胞の一例としてiPS細胞を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、細胞は、MUSE(Multilineage-differentiating stress-enduring)細胞、ES細胞、3次元培養のがん細胞などでもよい。特に、上記の各実施形態は、細胞の増殖時に集合体(コロニー)を形成する細胞に適用するのに好適であり、例えば、皮膚の角化細胞、網膜細胞等に適用できる。
また、上記の第2の実施形態は、単独で実施されてもよいし、第1の実施形態と組み合わせて実施されてもよい。
また、クラスを分類するための特徴量は、上記のものに限定されるものではなく、他の特徴量を用いてもよい。
また、上記の各実施形態において、制御装置1(1a)が評価基準情報を生成する場合を説明したが、制御装置1(1a)が評価基準情報を生成せずに、外部で生成された評価基準情報を記憶部40に予め記憶させる形態でもよい。
なお、制御装置1(1a)が備える各構成は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この制御装置1(1a)が備える各構成はメモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、制御装置1(1a)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、制御装置1(1a)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御装置1(1a)が備える各構成による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1,1a…制御装置、11,11a…インキュベータ、15…恒温室、19…培養容器、34…撮像装置、40,40a…記憶部、41…分類モデル記憶部、42,42a…評価基準記憶部、43…履歴記憶部、50,50a…制御部、51…特徴量算出部、52…分類モデル構築部、53…クラス分類処理部、54…クラス解析処理部、55,55a…評価処理部

Claims (16)

  1. 培養中の時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出部と、
    前記特徴量算出部によって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理部と、
    前記分類処理部によって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理部と
    を備えることを特徴とする細胞評価装置。
  2. 前記グループの経時変化には、前記グループごとの前記集合体の数の経時変化が含まれ、
    前記評価処理部は、
    前記グループごとに培養の経過時間に対する前記集合体の数を算出し、算出した前記グループごとの前記集合体の数の経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項1に記載の細胞評価装置。
  3. 前記グループごとに予め取得されている前記グループごとの前記集合体の数の変化情報と前記細胞の評価情報とを関連付けて記憶する評価基準記憶部を備え、
    前記評価処理部は、
    算出した前記グループごとの前記集合体の数の経時変化情報と、前記評価基準記憶部に記憶されている前記グループごとの前記集合体の数の経時変化情報と、前記集合体の数の経時変化情報に関連付けられている前記細胞の評価情報とに基づいて、前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項2に記載の細胞評価装置。
  4. 前記グループの経時変化には、前記複数の画像において対応づけられている各集合体の成長過程を示す前記集合体ごとの前記グループの経時変化が含まれ、
    前記評価処理部は、
    前記分類処理部によって分類された分類結果に基づいて得られる前記集合体ごとの前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の細胞評価装置。
  5. 前記評価処理部は、
    前記分類結果に基づいて前記集合体ごとの前記グループの経時変化を抽出し、抽出した前記集合体ごとの前記グループの経時変化に基づいて、前記集合体の成長過程の種類を判定し、当該判定結果に基づいて、前記集合体ごとに前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項4に記載の細胞評価装置。
  6. 前記評価処理部は、
    前記集合体の成長過程の種類の判定結果に基づいて、現在の細胞の状態を判定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の細胞評価装置。
  7. 前記評価処理部は、
    前記集合体の成長過程の種類の判定結果に基づいて、将来の細胞の状態を推定し、推定した前記将来の細胞の状態に基づいて、前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の細胞評価装置。
  8. 予め取得されている複数の前記集合体の成長過程の履歴情報と前記成長過程ごとの前記細胞の評価情報とを関連付けて記憶する履歴記憶部を備え、
    前記評価処理部は、
    前記集合体ごとの前記グループの経時変化と、前記履歴記憶部が記憶する前記集合体の成長過程の履歴情報及び前記細胞の評価情報とに基づいて、前記細胞の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の細胞評価装置。
  9. 前記分類処理部は、
    前記特徴量に基づくクラスタリング処理により構築された分類モデルに基づいて、前記集合体を分類し、
    前記クラスタリング処理には、
    複数の前記集合体を前記特徴量に基づいてクラスタリングを行い、クラスタリングの履歴を生成する第1の処理と、
    前記クラスタリングの履歴に基づいてクラスタを分割し、前記クラスタ間の関係を示す第1の指標と、分割によって生成されたクラスタ内の関係を示す第2の指標とに応じて、前記クラスタの分割を終了する第2の処理と
    が含まれることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の細胞評価装置。
  10. 前記第2の指標には、分割によって生成されたクラスタが含む前記集合体の数を示す新生集合体数が含まれ、
    前記第2の処理は、
    前記第1の指標が所定の閾値に達した後に、前記新生集合体数が、前記集合体の全体数における所定の割合以上になる直前の分割により、前記クラスタの分割を終了する
    ことを特徴とする請求項9に記載の細胞評価装置。
  11. 前記画像が、光の位相のズレをコントラストとして検出した位相差画像である
    ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の細胞評価装置。
  12. 前記特徴量には、互いの相関係数が所定の閾値以下である複数の特徴量が含まれ、
    前記分類処理部は、前記複数の特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記複数のグループのうちのいずれかに分類する
    ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の細胞評価装置。
  13. 細胞を培養する培養容器を収納するとともに、所定の環境条件に内部を維持可能な恒温室と、
    前記恒温室内で前記培養容器に含まれる前記細胞の画像を撮像する撮像装置と、
    請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の細胞評価装置と、
    を備えることを特徴とするインキュベータ。
  14. 特徴量算出部が、時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出手順と、
    分類処理部が、前記特徴量算出手順によって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理手順と、
    評価処理部が、前記分類処理手順によって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理手順と
    を含むことを特徴とする細胞評価方法。
  15. コンピュータに、
    特徴量算出部が、培養中の時間の経過に伴って撮像された細胞の集合体を含む複数の画像において、前記集合体の画像の特徴を示す特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
    分類処理部が、前記特徴量算出ステップによって算出された前記特徴量に基づいて、前記画像に含まれる前記集合体を、前記集合体の画像の分類を示す複数のグループであって、統計的に選抜された複数のグループのうちのいずれかに分類する分類処理ステップと、
    前記分類処理ステップによって分類される前記グループの経時変化に基づいて、前記細胞の状態を評価する評価処理手順と
    を実行させるためのプログラム。
  16. 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の細胞評価装置によって評価された前記細胞の状態に基づいて、前記細胞の使用時期、前記細胞の使用方法、又は前記細胞の使用基準を判定することを特徴とする細胞の培養方法。
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