この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1は栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1と、該栽培室1に隣接する出荷室2とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は作業移動車(作業台車)3あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路4を設けており、このメイン通路4は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路4の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成している。尚、前記栽培ベッド5は培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっている。また、メイン通路4の両端には開閉扉を備える栽培室1への出入り口8を設け、一方の出入り口8を介して隣接する出荷室2へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、作業移動車をメイン通路4から各々の栽培ユニット(栽培ベッド5)の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培ユニット(栽培ベッド5)に沿って作業移動車3を移動させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路9は、各々の栽培ユニット(栽培ベッド5)の左右間で前後方向に形成される通路となる。尚、作業移動車3は、サブ通路9上に敷設された温室全体を暖房する左右の暖房用管37を走行用のレールとして走行する。
前記出荷室2内には、前述した養液供給装置7と、収穫されたトマト等の収穫物(果実)を重量や大きさあるいは等級別に選別する選別装置10とを備えている。尚、該選別装置10が、栽培された作物を出荷前に処理する前処理装置となる。選別装置10は、収穫物を搬送して選別する選別コンベア11と、該選別コンベア11の両側の側方に設けられた各階級毎の収穫物収容部12とを備えて構成され、選別コンベア11から各収穫物収容部12へ収穫物を供給して各階級に選別する構成となっている。尚、前記選別コンベア11は、平面視でL字状に屈曲した構成となっている。また、各々の収穫物収容部12には収穫物を収容する収容箱を設けて、この収容箱ごとに収穫物を出荷すればよい。
栽培ユニット(栽培ベッド5)の上側には、該栽培条に沿う誘引ワイヤ80を各栽培ユニットごとに左右に2本設けている。そして、栽培ユニットで栽培される植物の複数の栽培株は、左右の誘引ワイヤ80により交互に振り分けて誘引される構成となっており、誘引ワイヤ80から誘引フック93を介して垂れ下がる誘引紐81により誘引される。尚、誘引フック93は、誘引ワイヤ80に吊り下げられる構成であり、巻き付けた誘引紐81を適宜繰り出して下方に垂れ下がらせる周知の構成となっている。また、植物が所定の高さ(誘引フック80の近く)まで成長した以降は、誘引フック93から誘引紐81を繰り出しながら、順次誘引紐81を前記複数の栽培株の配列方向(栽培ベッド5の長手方向)にずらせて植物の高さを低下させ、植物を継続的に栽培する。従って、例えばトマトを栽培する場合、トマトの茎が栽培ベッド5から誘引紐81を伝って伸長することになる。よって、栽培ユニット(栽培ベッド5)において、2条の栽培条すなわち左右一対の栽培条が形成されることになる。尚、各栽培植物(栽培株)が効率良く受光するためには各栽培植物(栽培株)の間隔が栽培室1内全体にわたって略同等となるのが理想であり、そのために、誘引ワイヤ80はサブ通路9の上方に位置しており、栽培植物がサブ通路9上にはみ出るようにしている。
サブ通路9上において、作業移動車3は作業者が作業の進捗状況に応じて走行操作を行って適宜移動させる構成であるが、防除作業車は自動走行しながら自動的に防除する構成である。防除作業車は、サブ通路9を往復走行することになるが、防除する栽培条の防除の必要量に応じて、往復走行における片道走行時にのみ防除作業を行う片道防除状態と、往復走行で防除作業を行う往復防除状態と、同じサブ通路9を2回往復走行させてその2回の往復走行で防除作業を行う2往復防除状態とに切替できる構成となっている。これにより、必要以上の防除による栽培植物への悪影響を防止すると共に、病害虫の発生度合の高い栽培条において防除効果の向上を図ることができる。
作業移動車(作業台車)3は、前後左右計4個の走行車輪106と、作業者が搭乗する昇降可能な昇降台107と、走行車輪106及び昇降台107を駆動する駆動源となる電動モータを備え、作業者が昇降台107に搭乗し、走行車輪106により走行させて所望の位置に移動し、昇降台107を所望の高さに昇降させながら、栽培植物の葉欠き、芽欠き及び収穫等の作業を行う周知の構成となっている。走行車輪106は、機体の左右方向外側に配置される大径部と機体の左右方向内側に配置される小径部が一体に形成され、大径部と小径部との段差で走行用のレールとなる暖房用管37に案内される。昇降台107上の発進操作具となるフットスイッチ108を足で踏み込んで操作することにより、前記電動モータを駆動して発進し走行する構成となっている。そして、フットスイッチ108を操作した累計回数をカウントして作業移動車3に備える作業移動車制御部(制御コントローラ)109に記憶し、前記累計回数が設定回数を超えたら作業移動車制御部109からの出力により警告手段となる警告ランプ110を点灯させる。これにより、発進で走行車輪106への伝動系(特に走行車輪106の車軸)に強い負荷がかかった回数に基づいて伝動系(走行車輪106の車軸)の疲労に伴う点検を適切な時期に促すことができ、伝動部材(特に走行車輪106の車軸)について適切な時期に交換等のメンテナンスが行える。
また、作業移動車3又は防除作業車には、サブ通路9から栽培植物を撮影するカメラを設けることができる。カメラにより、作業移動車3又は防除作業車を走行させながら、各々の栽培株で成熟した果実を自動的に検出する。カメラが撮影した画像データが無線により制御部(コントローラ)26に送信され、制御部(コントローラ)26内の果実判別装置により成熟した果実を検出する。例えば、果実がトマトである場合、果実が成熟すれば赤くなるので、果実判別装置がカメラにより撮影した画像を処理して色彩判別することにより成熟した果実を検出する構成となっている。尚、色彩判別以外に、形状や大きさ等により成熟した果実を判別する構成としてもよい。また、画像データと共に作業移動車3又は防除作業車の位置情報が無線により制御部(コントローラ)26に送信され、栽培室1内のどの栽培株の画像であるかを認識する構成となっている。位置情報は、作業移動車3又は防除作業車に設けたGPS発信機により得ることができる。これにより、各々の栽培株ごとの成熟果実の個数をカウントする。そして、制御部26は、栽培株ごとの成熟果実の個数から各々の栽培条ごとの成熟果実の総数及び栽培室1内全体の成熟果実の総数を演算し、これらの成熟果実の総数から成熟果実を収穫する作業者を設定する。この作業者の設定について詳細に説明すると、複数の作業者の各々の作業能力(作業速度、作業能率:例えば単位時間当たりの成熟果実の収穫個数等)を予め制御部26に入力しておき、栽培室1内全体の成熟果実の総数から前記作業能力に応じて各作業者の仮収穫個数を演算する。そして、演算した仮収穫個数に基づいて、栽培室1の端の栽培条から順に作業者を割り振り、各作業者の作業領域を設定する。このとき、同一の栽培条に複数の作業者の作業領域がまたがらないよう、栽培条ごとに作業者を設定する。
また、作業移動車3に放射能測定器を設ければ、例えば無人で作業移動車3を走行させながら、栽培室1内の各所での放射能による汚染状態(放射線濃度)を検出することができる。また、通常の作業等で使用頻度の高い作業移動車3により、前記汚染状態を即座に認識することができ、作物の出荷停止や作業者による作業の中止等の処置を即座に行え、放射能による被害を抑えることができる。
尚、作業移動車3に、自動で葉欠き作業を行う自動葉欠き作業機や、自動で果実の収穫作業を行う自動収穫作業機等の作業機を装着して、葉欠き作業や収穫作業等の作業が行える構成としてもよい。尚、作業移動車3に搭乗する作業者が植物の葉や果実の位置を視認して前記作業機を操作して作業を行う構成とすることができるが、カメラにより植物の葉や果実を認識して、作業機が葉欠き作業や収穫作業を行う構成としてもよい。これにより、作業移動車3に装着する作業機を各種に切り替えることで、作業移動車3を共用して栽培に関する各種の作業を行うことが可能となる。また、作業能率を考慮して、作業機装着時(作業時)には作業移動車3の走行速度を通常の管理作業時よりも高速に設定できる構成とすればよい。
また、作業移動車3に、植物の成育状態を診断する植物診断装置と、植物へ光を照射する補光装置や植物へ向けて温風を供給する補助暖房装置等の栽培補助装置とを設けることもできる。そして、例えば、作業者による栽培管理作業を行わない夜間に、作業移動車3を自動的に走行させながら、植物診断装置の診断による植物の栽培むら(成育状態が悪い箇所)の発見に対応して、栽培補助装置を自動的に作動させて栽培の補助を行うことができる。このとき、夜間の長時間の運転に対応するべく、施設内の電源から作業移動車3へ電力を供給する電気配線を接続することが望ましい。以上により、作業移動車3を、昼間の栽培管理作業用と夜間の植物診断及び栽培補助作業用とで兼用できるので、栽培管理作業用とは格別に植物診断及び栽培補助作業用の作業移動車を準備するのと比較して、施設内での作業移動車3の台数を低減することができ、コストダウンが図れる。
植物診断装置の一例として、カメラにより、植物の側方から撮影される該植物の大小を計測する植物計測装置を構成している。この植物計測装置による植物の大小の計測方法としては、撮影画像の色の判別から撮影画像内における植物部分に基づき計測する方法がある。一例としては、クロロフィル蛍光画像により植物部分を計測する方法がある。尚、クロロフィル蛍光画像を取得するには、青色光が必要である。青色光を発光する照明装置は、作業移動車3に装着する方法の他、栽培室1内に補光用として設けた照明装置と兼用することができる。尚、栽培室1内の補光用の照明装置を使用する場合には、植物診断装置(作業移動車3)がいる所にのみ部分的に照明装置を発光させるようにすればよい。
また、GPS装置等により、栽培室1内の作業移動車3の位置を認識する位置認識装置を設けている。そして、夜間に作業移動車3を自動走行させながら、栽培室1内の予め設定した複数の撮影位置でカメラにより撮影して植物の大小の計測データを取得する。一晩に全ての撮影位置において撮影し、各撮影位置での計測データを毎日取得し記録することになる。尚、カメラによる撮影領域は、予め設定した一定の高さ領域であり、栽培株の配列方向(栽培ベッド5の長手方向)における幅を栽培株の株間と同一(又は略同一としてもよい。)に設定している。
そして、制御部26により、各撮影位置において、前日の計測データ値よりも当日の計測データ値が増加したとき又は同一であるときは、この計測データ値の増加量に基づいて植物の成長量を判定する。一方、前日の計測データ値よりも当日の計測データ値が減少したときは、減少した計測データ値の減少量に基づいて植物の成長量を判定せず、前記当日の計測データ値よりも翌日の計測データ値が増加したとき又は同一であるときは、この計測データ値の増加量に基づいて植物の成長量を判定する。従って、制御部26内には、植物の成長量を判定する制御を実行する成長量判定装置を設けている。
つまり、植物の成長に伴って誘引紐を引き下げて植物の位置を低下させることにより、計測領域内の植物の量が少なくなり、前日の計測データ値よりも当日の計測データ値が減少したときは、当日は植物の成長量を判定せずに前記計測データ値を基準値として更新し、この基準値に基づいて翌日以降に植物の成長量を判定する構成としている。また、誘引ワイヤ80近くまで複数の栽培株における各々の植物が生長するが、複数の植物の間隔が株間と同一になるようにし、採光性や通気性を所望に維持して良好な栽培を行うようにするべく、誘引紐を引き下げると共に栽培株の配列方向(栽培ベッド5の長手方向)に移動させることにより、配列される栽培株毎の複数の植物が同じ方向(栽培ベッド5の長手方向)に略同じ距離移動することになるので、計測領域内に少なくとも一つの植物が入り、一つの植物が部分的に計測領域内に入る状態でも、それに対応して隣接する植物が部分的に計測領域内に入り、結果的に計測領域内に一つ分の植物が入る。従って、誘引紐の引き下げに伴う植物の栽培株の配列方向(栽培ベッド5の長手方向)の移動に拘らず、一つの栽培株分の植物について計測することができる。
そして、例えば、制御部26により、植物の成長量が所望の成長量よりも高いときは、養液供給装置7により供給する養液量を少なくしたり、養液供給装置7により供給する養液の肥料濃度を高くしたり、栽培室1内の湿度を低くしたりして、水ストレスを与えることができる。また、温室全体を暖房する暖房用管37等の暖房装置により植物付近の温度や栽培室1全体の温度を低めにして、植物の成長を抑えることができる。このように、植物の徒長を抑えて所望の成長量に制御すると共に、栽培果実の糖度を高めることができる。一方、植物の成長量が所望の成長量よりも低いときは、養液供給装置7により供給する養液量を多くしたり、養液供給装置7により供給する養液の肥料濃度を高い設定濃度から低下させたりして、水ストレスを低減することができる。また、温室全体を暖房する暖房用管37等の暖房装置により植物付近の温度や栽培室1全体の温度を高めにして、植物の成長を促すことができる。このように、所望の成長量に制御すると共に、栽培果実の収穫量の増大を図ることができる。従って、判定した植物の成長量を、養液供給制御や環境制御(温度制御、湿度制御等)に適用することができる。尚、誘引紐を引き下げたときは植物の成長量を判定しないことになるが、誘引紐を引き下げる作業は一般的に1週間に1回程度であるので、栽培制御においてさほど大きな影響を与えないと考えられる。
カメラにより植物の葉の裏の気孔を撮影し、制御部26により気孔の大きさを判断する構成とすることができる。一方、栽培室1内へ二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段となる二酸化炭素供給装置を設け、制御部26により、カメラからの撮影画像が気孔が大きいと判断されるときは、栽培室1内の二酸化炭素の濃度に拘らず後述する二酸化炭素供給装置から二酸化炭素を吐出する。これにより、気孔が大きく開いて光合成が活発なときに、的確に二酸化炭素を供給でき、従来の二酸化炭素濃度に基づく二酸化炭素供給制御と比較して二酸化炭素の無駄な供給を低減できる。
また、植物診断装置による植物の茎の伸長量や太さ等の検出から植物の生育バランスを診断し、生育バランスのむらを解消するべく、栽培室1内の局所を暖房する構成とすることができる。具体的には、例えば植物の茎径が太いとき、花や実の生長に対して茎や葉の生長が旺盛となる栄養生長に偏りがちであると判断されるから、茎や葉の生長に対して花や実の生長が旺盛である生殖生長が活発となるよう、部分的に暖房用管37に温水を供給する局所暖房装置により当該植物付近の温度を局所的に高くする。逆に、例えば植物の茎径が細いとき、生殖生長に偏りがちであると判断されるから、栄養生長が活発となるよう、当該植物付近の温度を局所的に低くする。この局所暖房は、室温が低下する夜間に行えば、局所的な温度差が発生しやすくなるので、効果的である。
また、作業移動車3に温度センサ又は湿度センサ等の環境測定器を設け、栽培室1内の温度むら又は湿度むらを検出することができる。1台の作業移動車3により広い栽培室1内の各所の温度又は湿度を測定するには、作業移動車3が移動する時間を要するので、最初に測定した箇所と最後に測定した箇所とでは測定の時刻が大きく異なり、時刻変化による温度又は湿度の変化をも考慮する必要がある。そこで、栽培室1内の所定位置に固定して設けた室温センサ又は室内湿度センサにより、時刻変化に伴う室温又は室内湿度の変化を計測し、この計測値に基づき作業移動車3で測定した各所の温度又は湿度を補正し、補正により得られた同一時刻で想定される各所の温度又は湿度を比較して、栽培室1内の温度むら又は湿度むらを判断する制御装置を設ければ、各所の環境情報を適正に比較でき、例えば局所暖房制御や局所加湿制御や局所養液供給制御等の適正な栽培制御(環境制御)を行うことができる。
暖房装置としては、前述の暖房用管37の他、温風ダクトから温風を発生させる温風暖房装置を設けることもできる。温風ダクトは、布製等のフレキシブルな構造であり、栽培ベッド5の下方に該栽培ベッド5に沿って配置され、外周面に温風噴出口を備えている。栽培ベッド5の配列方向(左右方向)に延びる温風供給ダクトを設け、温風供給ダクトの適宜位置に設けた温風吹出口に温風ダクトを接続する構成となっている。また、温風吹出口と温風ダクトとの各々の接続端部には、該接続端部を保持するフックを設けている。従って、温風暖房をしない場合は、温風吹出口と温風ダクトとの連結を外し、温風吹出口の接続端部をフックにより栽培室1内の支柱等に保持し、温風ダクトの接続端部をフックにより栽培ベッド5を支持する架台等に保持し、各々の接続端部を離すことができる。これにより、温風吹出口及び温風ダクトを作業者の作業の邪魔にならないように収納できる。尚、温風吹出口と温風ダクトとは、螺子を備える接続継手やマグネット式の接続継手等により接続することができる。
暖房用管37は、経年劣化により水漏れが発生することが考えられるが、水漏れが発生すると配管内に空気が混入されるおそれがあり、配管内に錆が発生する等して配管が腐食する要因となる。特に、複数の配管を溶接により接続した構成では、経年劣化でこの接続部分に孔が開き水漏れが発生することが考えられる。そこで、暖房用管37において、ボイラ117からの温湯を吐出するポンプ118の下手側の位置に、栽培室1へ供給する温湯流量を検出する温湯供給流量センサ119を設けると共に、栽培室1からボイラ117への戻り経路に、栽培室1から戻る温湯流量を検出する温湯戻り流量センサ120を設ける。そして、温湯供給流量センサ119で検出される温湯流量と温湯戻り流量センサ120で検出される温湯流量とに所定以上の差があるとき、制御装置により暖房用管37に水漏れが発生していると判断し警報する。これにより、作業者が暖房用管37に水漏れが発生していることを認識でき、配管を交換する等の対応が行え、配管の腐食を未然に防止できる。
尚、温湯供給流量センサ119及び温湯戻り流量センサ120を設ける代わりに、暖房用管37の循環経路に温湯を一時的に貯留する温湯貯留タンクを設け、該温湯貯留タンク内の水位を検出する温湯水位センサにより、前記水位が低下したことにより暖房用管37に水漏れが発生していることを判断する構成としてもよい。また、前記循環経路に膨張タンク(減圧水槽、シスタンクともいう。)を設け、該膨張タンク内の体積膨張を吸収して暖房用管37中の空気を放出する構成としてもよい。また、警報は、通信手段を介して栽培施設外にいる作業者に伝達される構成としてもよい。
ところで、養液供給装置7は、養液を貯留する第一タンク41並びに第二タンク42、硝酸を貯留する酸タンク43及び原水を貯留する原水タンク44を備え、これらのタンク41,42,43,44内に貯留する液が各主開閉バルブ45,46,47,48を介して混合装置49に供給され、該混合装置49で混合される構成となっている。尚、前記第一タンク41と第二タンク42とは、互いに肥料成分の異なる養液を貯留している。第一タンク41、第二タンク42並びに酸タンク43から混合装置49への供給経路(供給パイプ50,51,52)において、前記各主開閉バルブ45,46,47の供給上手側には、各々混合前のフィルター53,54,55を設けている。更に、該混合前フィルター53,54,55の供給上手側には、各々副開閉バルブ56,57,58を設けている。混合装置49で混合された養液は、養液ポンプ59及び混合後のフィルター60を介して給液パイプ61により栽培室1内の各栽培ベッド5へ供給される。
そして、酸タンク43からの供給経路(供給パイプ52)において、副開閉バルブ58及び混合前フィルター55より供給下手側で主開閉バルブ47より供給上手側には、分岐パイプ62(分岐経路)を接続している。この分岐パイプ62(分岐経路)は、第一タンク41及び第二タンク42からの供給経路(供給パイプ50,51)における副開閉バルブ56,57及び混合前フィルター53,54より供給下手側で主開閉バルブ45,46より供給上手側の各々の位置に接続され、酸タンク43内の硝酸を第一タンク41及び第二タンク42からの供給経路(供給パイプ50,51)へ供給可能に構成している。尚、前記分岐パイプ62の中途部には、電磁式の分岐用の開閉バルブ63を設けている。第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において、分岐パイプ62の接続部より供給下手側で主開閉バルブ45,46より供給上手側には、供給パイプ50,51内の流量を検出する流量センサ64,65を各々設けている。また、養液ポンプ59及び混合後のフィルター60より供給下手側には栽培室1内の各栽培ベッド5すなわち給液パイプ61へ液を供給せずに排出するための排出パイプ66を接続しており、該排出パイプ66に設けた電磁式の排出用の開閉バルブ67により、養液ポンプ59から吐出する液を給液パイプ61へ供給する給液状態と排出パイプ66を介して外部に排出する排出状態に切替可能に構成している。
従って、栽培室1内の各栽培ベッド5へ養液を供給する通常状態では、分岐用開閉バルブ63及び排出用開閉バルブ67を閉じ、混合装置49で混合された養液を給液パイプ61へ供給する。この養液供給時に、各々の流量センサ64,65により第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51内の流量を逐次検出する。そして、養液供給時の供給パイプ50,51内の流量が所定値以下になった場合は、栽培室1内の各栽培ベッド5への養液供給を停止しているときに、制御装置により自動的に分岐用開閉バルブ63及び排出用開閉バルブ67を開いて養液ポンプ59を駆動し、酸タンク43内の硝酸を分岐パイプ62を介して第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51へ供給し、該硝酸を排出パイプ66を介して外部に排出する。このとき、第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において各々の副開閉バルブ56,57を自動的に閉じ、前記供給パイプ50,51に供給される硝酸が該供給パイプ50,51を逆流して第一タンク41及び第二タンク42へ供給されないようにしている。よって、第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において、養液中の不溶解物や不純物が詰まるおそれがあるが、流量センサ64,65により供給パイプ50,51内の詰まりを検出すると自動的に該供給パイプ50,51内へ洗浄液となる硝酸を注入して該供給パイプ50,51を自動洗浄することができ、従来のように供給パイプを分解して該パイプ内を洗浄するようなメンテナンスの手間が省けて作業能率が向上する。また、洗浄液(硝酸)は、排出パイプ66を介して外部に排出され、栽培ベッド5に直接供給されないので、上記の洗浄により植物の成育を阻害することがない。
また、養液ポンプ59の供給下手側で混合後のフィルター60の供給上手側には、養液ポンプ59から吐出される養液を分岐して養液ポンプ59の供給上手側で混合装置49の供給下手側に戻す循環経路(循環パイプ68)を接続している。この循環経路(循環パイプ68)には電磁式の戻り用の開閉バルブ69を設けており、混合後フィルター60の供給下手側に設けた圧力センサ70により給液パイプ61への養液供給における圧力変動が大きいことを検出すると、制御装置により自動的に前記戻り用の開閉バルブ69を開いて養液を循環経路(循環パイプ68)を介して循環させ、給液パイプ61内の圧力を安定させる構成となっている。これにより、養液ポンプ59起動時やエアがみ等によるウォーターハンマー現象を防止すると共に、養液ポンプ59供給下手側の配管(給液パイプ61)の破損を防止できる。また、前記循環経路(循環パイプ68)には循環される養液の温度を検出する温度センサ71を設けており、該温度センサ71により養液の温度が所定値以上に上昇したことを検出すると、制御装置により強制的に養液ポンプ59を停止させて循環パイプ68で養液を循環させないようにして養液の温度低下を促すように構成している。これにより、養液の熱で配管内のバルブやパッキン等の構造物が溶解して破損するようなことを防止できる。従来、給液パイプ内の養液の圧力調整のために、栽培室内の各栽培ベッドへ養液を供給する給液パイプを介する長い循環経路を設けて該循環経路の養液の戻り経路部分に圧力調整バルブを設けたものがあるが、循環により養液の温度が上昇すると、養液の熱で配管内のバルブやパッキン等の構造物が溶解して破損したり養液の熱で栽培作物に悪影響を与えたりするおそれがある。
また、原水タンク44内へ別の水源となる水道水を供給する水道水供給弁91を設けている。また、原水タンク44内には、該原水タンク44内の水位が所定の水位以下になったことを検出する原水水位センサ92を設けている。尚、原水水位センサ92が検出する前記所定の水位は、後述する雨水タンク112の雨水オーバーフロー配管95により雨水を樋96に排出する水位よりも低位に設定している。
単一の給液パイプ61から栽培室1内の栽培ベッド5へ給液するとき、各々の栽培ベッド5へ確実に給液されるように、栽培室1内を複数(2箇所)の栽培エリア97に区画し、給液パイプ61から複数の栽培エリア97に対応して分岐される給液経路の各々に、エリア別給液バルブ98を設け、複数のエリア別給液バルブ98を適宜開閉して各栽培エリア97ごとに給液する構成となっている。具体的には、複数のエリア別給液バルブ98を順次開くことにより、各栽培エリア97ごとに給液する。
また、各栽培エリア97からの排液は、各々の排液回収パイプ99を介して回収タンク100へ回収され、該回収タンク100内の排液が排液再利用バルブ101を介して混合装置49へ供給されて給液に再利用される。また、回収タンク100には、該回収タンク100内の排液を後述する樋96へ排出する排液排出バルブを設けている。
対応するエリア別給液バルブ98を開き任意の栽培エリア97への給液中に回収タンク100へ回収される排液は、養液供給装置7を介して再度当該栽培エリア97へ供給されて再利用される。任意の栽培エリア97への給液後(給液終了から所定時間後)に回収タンク100へ回収される排液は、制御装置により後述する排水弁102が排水状態に切り替えられていることを条件に排液排出バルブを開くことにより、樋96を介して外部に排出される構成となっている。従って、栽培エリア97への給液が終了した段階では、回収タンク100内は空の状態となる。これにより、任意の栽培エリア97への給液にあたり、別の栽培エリア97からの排液を供給することがない。
原水タンク44には、養液の肥料濃度を検出するECセンサ86と、養液のペーハー値を検出するPHセンサ87とを備えている。このPHセンサ87が、雨水と原水とを混合した養液の特性を検出する養液センサに相当する。そして、ECセンサ86及びPHセンサ87の検出値に基づき、混合装置49で混合される養液が所望の肥料濃度及びペーハー値となるよう、制御装置のメインの養液供給コントローラ88により各主開閉バルブ45,46,47,48を制御する構成となっている。しかしながら、メインの養液供給コントローラ88が故障すると、各主開閉バルブ45,46,47,48を作動させることができなくなり、養液を各栽培ベッド5へ供給できなくなり、栽培に悪影響を与えることになってしまう。そこで、制御装置には予備制御盤89を設けており、メインの養液供給コントローラ88が故障したときには、各主開閉バルブ45,46,47,48の制御を前記予備制御盤89により行える構成とし、該予備制御盤89の制御に切り替えると、各主開閉バルブ45,46,47,48を予め設定した時間のみ開いて養液を作成し、養液を各栽培ベッド5へ簡易的に供給できる。これにより、供給する養液の肥料濃度やペーハー値の制御精度は低下するが、栽培ベッド5へ養液が供給できなくなるのを一時的に回避でき、植物が枯れるような大きな被害を回避することができる。予備制御盤89により養液供給制御を行っている間にメインの養液供給コントローラ88を修理し、メインの養液供給コントローラ88が正常に復帰すれば、メインの養液供給コントローラ88による養液供給制御に切り替えればよい。尚、予備制御盤89により養液供給制御において、予め設定される各主開閉バルブ45,46,47,48の開時間のパターンを複数備え、ECセンサ及びPHセンサの検出値に応じて前記パターンを切り替える構成としてもよい。
また、栽培ベッド5からの排液の肥料成分(例えば、窒素成分、カリ成分、カルシウム成分、リン酸成分等)を分析する成分分析計を設け、制御装置により成分分析計で測定した排液の肥料成分と栽培用に予め設定した設定肥料成分を比較して、養液タンクである第一タンク41及び第二タンク42から排液で不足する肥料成分が多く供給され、排液で余剰する肥料成分が少なく供給されるべく、主開閉バルブ45,46の開く時間又は開度を制御し、排液に養液タンクから養液を混合した新たな養液を作成する。これにより、排液を使用するにも拘らず、所望の肥料成分で高精度に安定させた養液を栽培ベッド5へ供給できる。尚、排液で不足する肥料成分は植物が多く吸収していることから植物が多量に要求していると判断し、排液で余剰する肥料成分は植物の吸収量が少ないことから植物の要求度が低いと判断し、植物の要求に合わせて設定肥料成分を補正してもよい。これにより、更に栽培状況に応じた高精度な養液供給制御が行えると共に、肥料の無駄を防止でき、肥料濃度の高い排液を最終的に廃棄することによる環境負荷を低減できる。
次に、雨水を回収する雨水回収装置111について説明する。栽培室1の外壁の外側には、該外壁に沿って延びる樋96を設けている。この樋96が、栽培室1の屋根に降雨した雨水を受けて流す構成となっている。また、栽培室1内には、雨水を貯留する雨水タンク112を設けている。樋96の途中には、水の流路を切り替えて樋96内の水を外部へ排水する排水状態と樋96内の水を雨水タンク112へ供給する雨水回収状態とに切替可能な電磁式の排水弁102を設けている。尚、樋96内の水が排水弁102に供給されるべく、樋96に若干の傾斜を設けている。前記雨水回収状態では、排水弁102から雨水ポンプ113及び雨水回収配管114を介して雨水タンク112へ雨水が回収される構成となっている。雨水タンク112の上部には、該雨水タンク112の水位が所定以上に到達すると該雨水タンク112内の雨水を樋96に排出する雨水オーバーフロー配管95を設けている。また、雨水タンク112内と原水タンク44内とを連通する連通配管115を設けている。一方、栽培室1の屋根部には、降雨した雨水を検出して降雨を検知する降雨センサ116を設けている。尚、降雨センサ116として、日射量を検出する日射量センサにより代用してもよい。
また、制御装置には、原水タンク44への水の供給形態を切り替える水供給形態切替スイッチを設けている。水供給形態切替スイッチは、雨水不使用形態と雨水優先形態と雨水併用形態との4位置に切替可能なスイッチである。水供給形態切替スイッチを雨水不使用形態に設定すると、降雨センサ116の検知に拘らず、制御装置からの出力信号により、排水弁102を排水状態に切り替え、樋96に回収される雨水が常時外部へ排水される状態となる。
水供給形態切替スイッチを雨水優先形態に設定すると、降雨センサ116が降雨を検知していないときは、制御装置からの出力信号により、排水弁102を排水状態に切り替え、樋96内の水が外部へ排水される状態となる。このとき、原水タンク44の水位が所定の水位に達していないことを原水水位センサ92により検出すると、原水水位センサ92からの信号が制御装置に入力され、制御装置により、水道水供給弁91に出力して原水水位センサ92が前記所定の水位に達したことを検出するまで水道水供給弁91を開く。降雨センサ116が降雨を検知した信号が制御装置に入力されると、制御装置が降雨を検知してから所定時間後(例えば10分後)に排水弁102へ信号を出力し、排水弁102を雨水回収状態に切り替えると共に雨水ポンプ113を駆動する。これにより、樋96内の雨水が雨水タンク112内に回収され、雨水タンク112内から連通配管115を介して原水タンク44へ雨水が供給される。雨が止み降雨センサ116が降雨を検知しなくなると、降雨センサ116からの信号により、制御装置が排水弁102及び雨水ポンプ113へ信号を出力し、排水弁102を排水状態に切り替えると共に雨水ポンプ113の駆動を停止する。
水供給形態切替スイッチを雨水併用形態に設定すると、降雨センサ116が降雨を検知していないときは、上述の雨水優先状態と同様に、制御装置からの出力信号により、排水弁102を排水状態に切り替え、樋96内の水が外部へ排水される状態となり、原水タンク44の水位が所定の水位に達していないことを原水水位センサ92により検出すると、原水水位センサ92からの信号が制御装置に入力され、制御装置により、水道水供給弁91に出力して原水水位センサ92が前記所定の水位に達したことを検出するまで水道水供給弁91を開く。降雨センサ116が降雨を検知した信号が制御装置に入力されても、原水水位センサ92により前記所定の水位に達しているときは、制御装置により、水道水供給弁91を閉じると共に、排水弁102及び雨水ポンプ113へ信号を出力し、排水弁102を排水状態に切り替えると共に雨水ポンプ113の駆動を停止する。降雨センサ116が降雨を検知した信号が入力され、且つ原水水位センサ92による前記所定の水位に達していないことの信号が入力されると、制御装置により、降雨を検知してから所定時間後(例えば10分後)に、水道水供給弁91を開き、排水弁102を雨水回収状態に切り替えると共に雨水ポンプ113を駆動する。これにより、樋96内の雨水が雨水タンク112内に回収され、雨水タンク112内から連通配管115を介して原水タンク44へ雨水が供給されるので、雨水と水道水が共に原水タンク44内へ供給される。雨が止み降雨センサ116が降雨を検知しなくなると、降雨センサ116からの信号により、制御装置が、水道水供給弁91を閉じ、排水弁102を排水状態に切り替えると共に雨水ポンプ113の駆動を停止する。尚、雨水オーバーフロー配管95により雨水タンク112内の雨水を樋96に排出する水位に達したことを検出する雨水オーバーフロー水位センサを設け、該雨水オーバーフロー水位センサにより雨水を樋96に排出する水位に達したことを検出すれば、降雨センサ116が降雨の検知を継続しているときでも、水道水供給弁91を閉じるか、又は水道水供給弁91を閉じ排水弁102を排水状態に切り替え雨水ポンプ113の駆動を停止する構成とすれば、水道水もしくは水道水及び雨水ポンプ113の動力が無駄に使用されることを抑えられ、ランニングコストの低減が図れる。
尚、水供給形態切替スイッチを雨水優先形態又は雨水併用形態に設定しているとき、降雨センサ116の検知に基づき雨水タンク112へ雨水を回収する上述の条件下であっても、養液供給装置7から栽培エリア97へ給液中であれば、制御装置により、排水弁102を排水状態に切り替えると共に雨水ポンプ113の駆動を停止し、雨水を雨水タンク112へ回収せずに雨水を原水タンク44へ供給しない。尚、水道水供給弁91は、栽培エリア97へ給液中に拘らず、上述の如く制御される。
そして、原水タンク44から主開閉バルブ48への液(水)の供給経路である水供給パイプ121から分岐して前記液(水)を原水タンク44へ戻す戻り経路となる戻りパイプ122を設けており、戻りパイプ122には戻り経路開閉バルブ123を設けている。一方、水供給パイプ121における戻りパイプ122への分岐点124よりも供給下手側には、供給経路開閉バルブ125を設けている。
水供給形態切替スイッチを雨水併用形態に設定しているとき、PHセンサ87により検出されるペーハー値が目標値(例えば、ペーハー値5.5程度)よりも低いときは、制御装置からの出力により雨水ポンプ113の駆動速度を低下させると共に、開度が大きくなるよう水道水供給弁91を制御する。逆に、PHセンサ87により検出されるペーハー値が前記目標値よりも高いときは、制御装置からの出力により雨水ポンプ113の駆動速度を上昇させると共に、開度が小さくなるよう水道水供給弁91を制御する。つまり、酸性度が高い傾向にある雨水の混合割合を変更して、前記液(水)が所望のペーハー値となるよう制御するのである。
これにより、前記液(水)又は給液パイプ61で給液される養液のペーハー値を、植物が吸収し易い値(5.5程度)にすることができ、酸タンク43からの調整液となる硝酸によるペーハー値の調整を低減でき、硝酸の消費を抑えることができる。
尚、PHセンサ87により検出されるペーハー値が前記目標値に到達しないとき、原水タンク44内の水位が所定の水位に達していないことを原水水位センサ92が検出していれば、制御装置からの出力により供給経路開閉バルブ125を閉じて戻り経路開閉バルブ123を開き、前記液(水)を主開閉バルブ48へ供給せずに原水タンク44へ戻し、植物への養液供給を規制して制限する構成となっている。一方、PHセンサ87により検出されるペーハー値が前記目標値に到達しないときでも、原水タンク44内の水位が所定の水位に達していることを原水水位センサ92が検出していれば、制御装置からの出力により供給経路開閉バルブ125を小さい開度で開き、植物への養液供給を抑えて制限する構成となっている。従って、このときは、養液が最終的に所望のペーハー値になるよう副開閉バルブ58により酸タンク43からの調整液となる硝酸の供給でペーハー値の調整がなされることになる。
尚、上述では雨水併用形態で前記液(水)のペーハー値を制御する構成について説明したが、雨水優先形態でも前記液(水)のペーハー値を制御する構成としている。すなわち、水供給形態切替スイッチを雨水優先形態に設定しているとき、PHセンサ87により検出されるペーハー値が目標値(例えば、ペーハー値5.5程度)よりも低いときは、降雨センサ116が降雨を検知した状態であっても、制御装置からの出力により水道水供給弁91を開き、原水タンク44へ雨水と水道水を同時に供給する構成となっている。更には、雨水併用形態のときと同様に、雨水ポンプ113の駆動速度もしくは水道水供給弁91の開度又は前記駆動速度と開度の双方を制御する構成としてもよい。
尚、水道水供給弁91により供給される水道水は、井戸水であることが望ましい。なぜならば、井戸水は一般的にペーハー値が高く(例えば6.8程度)酸性度が低いので、雨水と混合した液のペーハー値の調整(制御)を効率良く行えるからである。
尚、上述では原水タンク44に雨水を供給して原水タンク内で原水(水道水)と雨水とを混合する構成について説明したが、水供給パイプ121により原水タンク44からの水道水と雨水タンク112からの雨水を混合する構成としてもよい。このときは、連通配管115を設けず、その代わりに雨水タンク112から水供給パイプ121へ雨水を供給する雨水供給パイプ126を設けることになる。雨水供給パイプ126と水供給パイプ121との接続部には、三方弁で構成される混合バルブ127を設ける。尚、混合バルブ127は、水供給パイプ121における戻りパイプ122への分岐点124よりも供給上手側に配置され、原水タンク44からの水道水と雨水タンク112からの雨水との混合割合を調節可能な構成となっている。水供給パイプ121における混合バルブ127よりも供給下手側で且つ前記分岐点124よりも供給上手側には、雨水が混合された液(水)のペーハー値を検出する雨水PHセンサ128を設ける。従って、雨水PHセンサ128の検出に基づき、混合バルブ127並びに戻り経路開閉バルブ123及び供給経路開閉バルブ125を制御する構成となっている。
ところで、日射光の角度に対応して、栽培ベッド5(栽培ユニット)を日陰を避けて日射の当たる位置に移動させるべく、スライドレール等により栽培ベッド5を該栽培ベッド5の短手方向へスライド移動可能に設けることができる。この場合、栽培ベッド5を移動させても、該栽培ベッド5へ養液を給液でき、該栽培ベッド5からの排液を回収できる構成としなければならない。そこで、複数列に配列された栽培ベッド5の長手方向の一端側に、栽培ベッド5の配列方向に延びる給液樋を栽培ベッド5とは別に設ける。一方、栽培ベッド5の長手方向の他端側に、栽培ベッド5の配列方向に沿う排液回収樋を栽培ベッド5とは別に設ける。そして、各栽培ベッド5の前記一端側には、給液樋から栽培ベッド5へ給液するベッド給液路を、給液樋に沿って各々栽培ベッド5と一体でスライド移動するように設ける。尚、各ベッド給液路には、養液を送るポンプを各々設ける。従って、栽培ベッド5の移動に拘らず、ベッド給液路を介して栽培ベッド5へ給液できる。また、栽培ベッド5の前記他端側に排液口を設け、排液口から落下する排液を排液回収樋が受ける構成となっている。従って、栽培ベッド5の移動に拘らず、排液口からの排液を排液回収樋が受けて回収することができる。尚、給液樋は、作業者の作業スペースを確保するべく、高位に配置することが望ましい。また、排液は排液回収樋から排液回収タンクへ回収される。これにより、栽培ベッド5を移動可能に構成したので、高栽植密度化が図れて栽培領域の省スペース化が図れる。
また、栽培室1内の天井部にはカーテン開閉用モータにより開閉可能な周知の保温カーテンを設けており、この保温カーテンにより、特に夜間等に栽培室1内の温度が極端に低下しないようにすると共に、栽培室1内の暖房運転によるランニングコストの低減を図っている。尚、栽培室1内には栽培室1内の温度(室温)を測定する室温センサを設けているが、栽培室1外には外気温を測定する外気温センサを設けている。そして、制御部26により、外気温センサが測定する外気温が所定の設定外気温(例えば摂氏10度)以下で、且つ室温センサが測定する室温が所定の設定室温(例えば摂氏17度)以下になると、保温カーテンを閉じる制御を実行する。また、前記外気温が前記設定外気温を超過し、且つ前記室温が前記設定室温を超過すると、保温カーテンを開く制御を実行する。従って、室温と外気温とに基づいて保温カーテンを開閉制御するので、例えば室温が高くても外気温が低いときに保温カーテンを開くことにより急激に室温が低下する事態を抑えることができ、室温の急激な変動を抑えて栽培に悪影響を与えることを防止すると共に、暖房コストの低減も図れる。また、上述の開閉制御に基づき保温カーテンを開く外気温及び室温の条件でなくても、日の出時刻から所定時間後(例えば1時間後)には自動的に保温カーテンを開く構成となっている。尚、保温カーテンを閉じた状態が長時間(例えば10時間以上)維持されているときには自動的に保温カーテンを開く構成としてもよい。従って、保温カーテンの開条件(室温と外気温とが共に設定値を超過していない状態)でなくても、時刻又は保温カーテンの閉時間に基づき、保温カーテンを強制的に開く制御を実行している。尚、保温カーテンを強制的に開く制御を、時刻又は保温カーテンの閉時間と室温又は外気温との関係から実行する構成としてもよい。例えば、設定時刻に室温が所定以上であれば外気温に拘らず保温カーテンを強制的に開いたり、保温カーテンの閉時間と室温又は外気温(室温及び外気温)との関係から演算式等で得られる判定値に基づき保温カーテンを強制的に開く構成とすることができる。これにより、例えば日の出後にも拘らず保温カーテンを閉じたままにしていることで、保温カーテンが太陽光を遮断してかえって太陽光による栽培室1内の室温の上昇を阻害することを抑えるので、太陽光による植物の光合成を促進する共に暖房コストの低減が図れる。尚、上述する保温カーテンの開閉制御を日没後の夜間にのみ行う構成とし、日の出から所定時間後(例えば1時間後)から日没までは常時保温カーテンを開く構成としてもよい。尚、上述において保温カーテンを強制的に開く制御について説明したが、保温カーテンを強制的に閉じる制御を構成してもよく、例えば、保温カーテンを閉じる外気温及び室温の条件でなくても、別途設定する判断条件に基づき保温カーテンを強制的に閉じる制御をしてもよい。
また、天候等により日射量が不足するとき、夜間等に栽培室1内に設けた照明装置を点灯させて植物へ補光することができる。一方、所望の収穫量を得るために、植物が光合成を行って所望の光合成産物量を得る必要がある。そこで、天気予報等の気象データから積算日射量を推定し、推定された積算日射量に基づいてその時点での積算日射量が不足すると判断するときは、照明装置により補光することができる。具体的には、収穫予定日までの日数から1日で必要な光合成産物量を演算し、この光合成産物量を得るのに必要な積算日射量に満たない日は、所望の積算日射量となるよう夜間に補光することができる。尚、日射量と光合成産物量との関係特性を予め把握し、この関係特性に基づいて前記必要な積算日射量を演算する。尚、前記気象データに代えて、日射量計により積算日射量を計測してもよい。
また、補光に際しては、青色光を補光することが望ましい。青色光により、植物の葉の気孔が開き易くなるので、光合成の促進効果を高めることができる。尚、補光中には灌水量を多く設定することにより、気孔が開くことにより植物の蒸散が高まっても植物の水分量を所望に維持することができる。
尚、植物の呼吸量が増加すると、植物の光合成産物量の消費が大きくなるので、この呼吸量により目標とする光合成量を補正する構成とすることができる。呼吸量は、温度の上昇により多くなるので、日射量や栽培室1内の室温により推定することができる。従って、日没後の室温が低下したときに補光を行えば、効率良く光合成産物量を得ることができる。尚、呼吸量は、1日における温度変化又は日射量変化に基づいて高精度で推定することが望ましい。
また、日射量、二酸化炭素濃度及び室温から、1日の日照時間帯の各々の時間における光合成速度と呼吸速度を推定し、光合成速度による光合成産物量の増加速度が呼吸速度による光合成産物量の消化速度を下回るとき、前記増加速度と前記減少速度との差から時間的に積分して減少した光合成産物量を演算することができる。この減少した光合成産物量を得るべく、日没後に補光する。尚、日没の判断は、時刻により行ったり、栽培室1外に設けた日射量センサ(日射量が0となったとき)により行うことができる。補光に必要な時間は、前記減少した光合成産物量を、補光の強度と植物の光利用効率(1molあたりの光で同化できる二酸化炭素の量(mol))とで除する演算により求めることができる。あるいは、補光する時間を予め設定し、前記減少した光合成産物量に基づいて補光の強度を演算し、照明の点灯数の変更等により補光の強度を調節してもよい。
尚、日の出前に補光することもできる。このとき、日の出時刻よりも補光に必要な時間前の時刻から、日の出時刻まで補光をすればよい。日没後よりも日の出前の方が室温が低下しているので、特に夏期においては、補光時の植物の呼吸量を抑えることができ、効率良く光合成産物量を得ることができる。尚、補光の開始時刻は、日の出時刻よりも一定時間前に設定してもよい。
栽培室1内の湿度の検出に基づいて所望の湿度となるよう栽培室1内の加湿機を制御する構成とすることができる。加湿機は、細霧を噴霧する構成とすることができ、細霧冷房装置で構成することもできる。そして、日射量センサの検出等に基づいて植物の蒸散量を推定し、加湿機により必要な蒸発量に相当する細霧を噴霧すれば、栽培室1内の湿度を高精度で制御できる。これにより、湿度過多による植物の病気の発生を防止できると共に、細霧の噴霧量を抑えることによりランニングコストを低減することができる。尚、細霧の噴霧量の調節にあたっては、栽培室1内に設けた複数の噴霧ノズルのうちの一部の噴霧ノズルのみ噴霧に使用する等して調節を行うことができる。
また、栽培室1の屋根には、天窓開閉モータの駆動により開閉する天窓を設けている。天窓が閉じた状態であることを検出する天窓閉センサを設け、通常は、天窓閉センサが天窓の閉状態を検出するまで天窓開閉モータを天窓が閉じる側へ駆動し、天窓を閉状態にする。栽培室1内の温度(室温)を測定する室温センサの検出に基づき、栽培室1内の室温が目標温度よりも高い場合には、制御装置により、室温と目標温度との差に基づいて天窓の目標開度を演算し、該目標開度に対応する必要な作動時間で天窓が開く側へ天窓開閉モータを駆動し、栽培室1内の温度を低下させるべく天窓を所望の開度で開く構成である。そして、天窓を開いた状態でも、室温と目標温度との差に基づいて天窓の目標開度を逐次演算して更新し、該目標開度に対応する必要な作動時間で天窓が開く側又は閉じる側へ天窓開閉モータを駆動し、天窓を作動させる構成となっている。但し、天窓を開いた状態から更に天窓を作動させる際、天窓の目標開度が所定開度以下(例えば、10%以下)のときは、天窓閉センサが天窓の閉状態を検出するまで天窓開閉モータを駆動して天窓を一旦閉じ、前記目標開度に対応する必要な作動時間で天窓が開く側へ天窓開閉モータを駆動し、天窓を目標開度で開く零点復帰制御を実行する構成である。これにより、天窓の開度を検出する高価なセンサが不要で、低コストで天窓の開度を高精度に制御でき、室温を良好に制御できる。特に、室温と目標温度との差が小さく、天窓の目標開度が所定開度以下のときに、天窓の開度を高精度に制御するので、天窓の開度が大きすぎることにより室温が急激に目標温度よりも低温にまで低下することを防止し、栽培植物に悪影響を与えることを防止できる。従来は、天窓の目標開度が変更される度に、現在の天窓の開度と目標開度との関係から該目標開度となる側に必要な作動時間で天窓を作動させているので、前記作動時間による実際の天窓の開度の誤差が累積し、天窓の開度が不適正になるおそれがある。尚、天窓の目標開度が所定開度以下のときに上述の零点復帰制御を実行する構成に代えて、外気温センサが検出する外気温が所定温度以下(例えば、摂氏10度以下)のときに上述の零点復帰制御を実行する構成としたり、天窓の目標開度が所定開度以下で且つ外気温センサが検出する外気温が所定温度以下のときに上述の零点復帰制御を実行する構成としたりしてもよい。また、栽培室1外の風向や風速に基づき、天窓の開口側に向かって風が吹き込むときや風速が大きいときには、上述の零点復帰制御を実行する構成としてもよい。あるいは、天窓の目標開度や外気温に基づく零点復帰制御において、風向又は風速もしくは風向と風速の両者に基づき、天窓の開口側に向かって風が吹き込むときや風速が大きいときには、天窓の目標開度の前記所定開度又は外気温の前記所定温度を大きい値に補正する構成としてもよい。風向又は風速の測定にあたっては、栽培室1外の屋根部に風向計や風速計を設ければよい。また、天窓を最大開度に開いた状態であることを検出する天窓最大開度センサを設け、天窓を最大開度にまで開くときは、天窓が最大開度に開いた状態であることを天窓最大開度センサが検出するまで天窓開閉モータを駆動する構成としてもよい。
また、栽培室1の妻部に、風力に応じて開閉する開閉窓を設けることができる。この開閉窓は、開閉窓用スプリングにより閉じる側に付勢され、通常は閉じた状態であるが、栽培室1内の風が強いと開閉窓用スプリングに抵抗して開き、栽培室1内の風を外部に逃がす構成となっている。これにより、栽培室1の隙間から栽培室1内に入り込んだ風により栽培室1が破損することを防止でき、特にビニールハウス等の軟弱な構造の栽培室1に有効である。
尚、図2では、架台により栽培ベッド5を地面から支持した構成を表しているが、吊下支持部材により栽培ベッド5を上方から吊り下げて支持する構成としてもよい。このとき、栽培ベッド5及び植物を囲む包囲フィルムを設けることにより、植物近傍のみを局所的に暖房又は冷房もしくは防除でき、暖房又は冷房もしくは防除のランニングコストを低減できる。栽培ベッド5の下方となる包囲フィルムの下部には、防除作業により包囲フィルムの内面に付着した薬液を排出する排出孔を設け、排出孔から落下する薬液を回収して再利用することもできる。尚、包囲フィルム内で植物近傍に局所的に炭酸ガスを供給することもできる。
尚、作業移動車(作業台車)3は、昇降台107に設けた左右の手すり129に沿って転倒防止ワイヤ130を設けてもよい。作業者が身を乗り出そうとすると、転倒防止ワイヤ130が引かれて危険感知スイッチがONになり、電動モータを駆動して昇降台107を自動的に最下降位置まで下降させる構成とする。これにより、作業移動車3の転倒を未然に防止できる。尚、前記電動モータに代えて油圧シリンダにより昇降台107を昇降させる構成とし、危険感知スイッチの検出に基づいて油圧電磁バルブを開くことにより、昇降台107が重力で自動的に最下降位置まで下降させる構成としてもよい。
以上により、この栽培施設は、降雨を検知する降雨センサ(116)と、雨水を回収する雨水回収装置(111)と、雨水回収装置で回収された雨水を栽培用の養液供給装置(7)の原水タンク(44)へ供給する雨水供給経路(114)とを設け、降雨センサ(116)が降雨を検知して所定時間後から降雨を検知しなくなるまでの間のみ、雨水回収装置(111)で回収された雨水を養液供給装置(7)の原水タンク(44)へ供給する制御装置を設けている。
よって、降雨が始まって第一の所定時間後、雨水がある程度貯留されてから該雨水を原水タンク(44)へ供給するので、簡単で且つ低コストな構成で、雨水内の不純物を原水タンク(44)へ極力供給しないようにでき、養液供給装置(7)から植物へ適正な養液を供給でき、良好な栽培が行える。
また、制御装置は、降雨センサ(116)の検知に拘らず雨水回収装置(111)で回収された雨水を原水タンク(44)へ供給せず、原水タンク(44)内の水位の所定以下の低下に伴って別の水源から原水タンク(44)へ水を供給する雨水不使用形態と、降雨センサ(116)の検知に拘らず雨水回収装置(111)で回収された雨水を原水タンク(44)へ供給し、原水タンク(44)内の水位が所定以下に低下したときには別の水源から原水タンク(44)へ水を供給する雨水優先形態と、原水タンク(44)内の水位が所定以下に低下したときに雨水回収装置(111)で回収された雨水と別の水源からの水を共に供給する雨水併用形態とに、切替可能な構成としている。
よって、雨水不使用状態に切り替えることにより、例えば雨量が少ないときや雨水に不純物が多いとき、雨水を原水タンク(44)へ供給しないようにできる。また、雨水優先状態に切り替えることにより、雨水を極力使用しながら、雨量が少なくても原水タンク(44)内に必要な水量を確保することができる。また、雨水併用状態に切り替えることにより、雨水の使用割合を抑えることができ、原水タンク(44)への不純物の混入を抑えることができる。
また、養液供給装置(7)からの養液が植物へ給液された後の排液を回収する構成とし、養液供給装置(7)から植物への給液を開始してから給液を終了するまでの間は、雨水回収装置(111)で回収された雨水を原水タンク(44)へ供給しない構成としている。
よって、養液供給装置(7)が植物へ給液している間に雨水が原水タンク(44)へ供給されることにより、植物へ供給される養液が不安定になることを防止でき、養液供給装置(7)から植物へ適正な養液を供給でき、良好な栽培が行える。
また、雨水回収装置(111)には、雨水を回収する樋(96)を備え、該樋(96)を、雨水を養液供給装置(7)へ供給しないときに、養液供給装置(7)からの養液が植物へ給液された後の排液の排出樋として兼用する構成としている。
よって、雨水を回収する樋(96)を排液の排出樋として兼用でき、簡単で且つ低コストな構造とすることができる。
また、複数に区画された栽培エリア(97)のうちの一部の栽培エリア(97)へのみ養液を供給可能に構成し、前記一部の栽培エリア(97)からの排液を、当該一部の栽培エリア(97)でのみ再利用し、他の栽培エリア(97)へは供給しない構成としている。
よって、仮に排液を回収する一部の栽培エリア(97)で病害が発生したとしても、回収した排液を他の栽培エリア(97)で再利用しないので、他の栽培エリア(97)への病害の蔓延を防止できる。
そして、雨水回収装置(111)で回収された雨水と該雨水とは別の原水とを栽培する植物へ供給する養液供給装置(7)とを設け、養液供給装置(7)には、雨水又は該雨水と原水とを混合した養液の特性を検出する養液センサ(87,128)を設け、養液センサ(87,128)の検出に基づき雨水と原水との混合割合を変更する構成としている。
よって、雨水と原水との混合割合を変更して養液を所望の特性にすることができるので、雨水を有効利用しながら良好に栽培することができる。
また、養液センサ(87,128)は、養液の酸性度を検出する構成とし、養液センサ(87,128)が検出する養液の酸性度が高いときには、雨水に対して原水の混合割合を高める構成としている。
よって、養液を所望の酸性度にすることができるので、植物の養液の吸収を円滑にでき、排液の発生を抑えて適正な栽培が行える。
また、養液センサ(87,128)は、養液の酸性度を検出する構成とし、養液センサ(87,128)が検出する養液の酸性度が高いときには、栽培する植物への養液供給を制限する構成としている。
よって、酸性度の高い養液が植物へ供給されることを制限するので、植物が養液をあまり吸収せずに多量の排液が発生することが抑えられて適正な栽培が行える。
尚、この実施の形態では、養液の特性を検出する養液センサとしてPHセンサ87又は雨水PHセンサ128について説明したが、検出する養液の特性としては肥料濃度や肥料成分でもよく、養液センサとしては養液の肥料濃度を検出するECセンサ86や、養液の肥料成分を検出する肥料成分センサであってもよい。