以下、実施の形態に係る半導体レーザ装置について説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
第1実施形態に係る半導体レーザ装置の縦断面図である。
この半導体レーザ装置は、化合物半導体からなる半導体レーザチップLDC及びこの半導体レーザチップLDCに光学的に結合した空間光変調器SLMを備えている。
半導体レーザチップLDCは、活性層4を含む発光層と、発光層を挟む一対のクラッド層2,7と、発光層に光学的に結合した回折格子層6とを備えている。なお、発光層は、活性層4と必要に応じて活性層を挟む光ガイド層3,5とからなる。半導体レーザチップLDCは、半導体基板1を備えている。半導体基板1の厚み方向をZ軸とし、これに垂直な2方向をX軸及びY軸とする。
製造時においては、半導体基板1の−Z軸方向の表面上に、順次、各半導体層がエピタキシャル成長されるものとする。この場合、−Z軸方向を上向きとした場合、半導体基板1上には、下部クラッド層2、発光層(光ガイド層3、活性層4、光ガイド層5)、回折格子層6、上部クラッド層7、及びコンタクト層8が順次形成される。半導体基板1の+Z軸側の表面上には電極E1が形成されており、コンタクト層8の−Z軸側の表面上には、電極E2が形成されている。これらの電極E1,E2は駆動電極であり、電極E1と半導体基板1との間には、半導体基板の全面に広がるストライプ或いはメッシュ状などの複数の開口を有する駆動電極E3が介在している。
第1電極E1(駆動電極E3)と第2電極E2との間に、駆動回路から電流を供給すると、発光層が発光する。すなわち、第1電極E1と第2電極E2との間に駆動電流が供給された場合、活性層4内において電子と正孔の再結合が生じ、活性層4が発光する。これらの発光に寄与するキャリア及び発生した光は、上下の光ガイド層3,5とクラッド層2,7によって、これらの間に効率的に閉じ込められる。
発光層において発生したレーザ光LBは、回折格子層6内を伝播して、回折格子層6は、レーザ光を厚み方向に垂直な方向、すなわちZ軸方向に出射する。回折格子層6から出射されたレーザ光は、+Z軸方向に進行し、クラッド層2、半導体基板1を介して、空間光変調器SLMに入射する。
空間光変調器SLMは、回折格子層6の厚み方向に沿って出力されたレーザ光LBが入力されるように、半導体レーザチップLDCに取り付けられている。レーザ光は、空間光変調器SLMの共通電極25及び画素電極21のうちの透明な方を介して、液晶層LCに入射する。空間光変調器SLMは、レーザ光LBの微小領域毎の位相を、その画素電極と共通電極との間に印加される駆動電圧により変調し、位相変調したレーザ光を反射させ、半導体レーザチップを介して、外部に出力する。
空間光変調器SLMから出力されたレーザ光LBは、微小領域毎の位相が調整された状態で重ね合わせられ、様々なレーザビームパターンを形成する。例えば、重ね合されたレーザビームLBの遠視野像が、特定の文字を構成することができる。
半導体レーザ装置は、半導体レーザチップLDC上に配置され、所望のアドレスに位置する画素電極と共通電極との間に、選択的に駆動電圧を与える選択回路(行選択回路DR1,列選択回路(図示せず))を更に備えている。この選択回路を半導体レーザチップ上に設けることにより、大規模な外部配線群を設置することなく、空間光変調器を制御することができる。
空間光変調器SLMは、透明な共通電極25と、透明な複数の画素電極21と、共通電極25と画素電極21との間に配置された液晶層LCとを備えている。液晶層LCは、ネマチック液晶、又は、強誘電性液晶などからなる。駆動回路からは、半導体レーザ素子を構成する半導体レーザチップに、駆動電極を介して、駆動電流が供給される。これにより、発光層からレーザ光LBが出力され、レーザ光LBは、空間光変調器の画素電極21を介して液晶層LCに至り、液晶層LCで位相変調された後、反射鏡或いは反射膜23によって反射され、共通電極25を介して、外部に出力される。共通電極25は、固定電位(グランド)に接続されており、画素電極21はスイッチ素子及び行ラインを介して行選択回路DR1に接続されている。列選択回路からは列ラインが延びており、スイッチ素子の制御端子に接続されている。このスイッチ素子は、電界効果トランジスタである。この場合、制御端子はトランジスタのゲートとなる。
空間光変調器において、特定のアドレス(x,y)を指定した場合、列選択回路から座標xの列ラインにON信号が出力され、行選択回路DR1から座標yの行ラインに所望の電位が与えられる。この場合、アドレス(x,y)の画素電極21と共通電極25との間には、駆動電圧が印加され、液晶層の屈折率が変化することとなり、光路長が変化して、レーザ光の位相が調整される。なお、空間光変調器において、行方向と列方向は主観によって決まるものであり、相互に置換可能な方向である。駆動電圧の大きさは行選択回路DR1からの出力電位と列選択回路の出力電位によって決定されるものであり、一定とすることができるが、更に精密な位相制御を行う場合には、例えば、上記スイッチ素子毎に可変抵抗を接続し、当該可変抵抗の値を同様の構成からなる選択回路によって制御すればよい。
なお、製造時に空間光変調器の位相が面内でばらつきを有した際でもデバイスが所望のパターンを出力するように、予め空間光変調器の位相分布を測定しておき、これを補正するための記憶装置と、記憶装置の記憶データに基づいて、各画素電極に選択回路を介して与えられる駆動電圧を生成する空間光変調器用の駆動回路とを設けても良い。すなわち、この半導体レーザ装置は、予め空間光変調器の位相分布を測定しておき、測定値に基づいて位相の面内ばらつきを補正するための初期位相の補正値を記憶し、空間光変調器の画素電極毎に異なる初期位相を与えるための記憶装置を備えることができる。換言すれば、この装置は、駆動電圧の初期補正値を画素電極毎に記憶する記憶装置(図示せず)を備えている。駆動電圧は、制御装置(図示せず)から行及び列選択回路に印加されるが、この駆動電圧及び初期補正値は、記憶装置に記憶される。基準の位相分布と、測定された位相分布とを比較し、各画素毎の位相の差分に対応する駆動電圧の値を初期補正値とすることができ、初期補正値の駆動電圧を画素電極に与えた場合には、基準の位相分布が実現される。所望の位相分布を得るため、初期補正値に対応する駆動電圧に、所望の駆動電圧を重畳することができる。
回折格子層6から厚み方向に出力されたレーザ光は、共通電極25(或いは画素電極と位置を入れ替えた場合には画素電極21)を介して液晶層LCに至る。液晶層LCの誘電率(屈折率)は、画素電極21への印加電圧によって変化し、したがって、レーザ光に対する液晶層LCの光路長が変化し、位相が変化する。液晶層LCを透過し往復したレーザ光LBの位相は画素電極21毎に変調される。したがって、微小領域毎の波面制御を行うことができ、波面の重ね合わせにより、変化可能な所望のレーザビームパターンを形成することができる。
なお、駆動電極E3上には、SiO2又はSiNxからなる透明絶縁膜9が形成されている。透明絶縁膜9上には、空間光変調器SLMの共通電極25が配置されている。共通電極25上には、液晶を保持するための枠状のスペーサ24が設けられ、スペーサ24内部の空間に液晶層LCが充填されている。スペーサ24及び液晶層LC上には、反射膜23が形成され、反射膜23上には、保護膜22を介して、複数の画素電極21が配置されている。画素電極21は、基板20と保護膜22との間に位置している。画素電極21等の形成時においては、好ましくは半導体からなる基板20上に、画素電極21を形成した後、その表面が平坦化するように保護膜22に画素電極21を被覆し、更に、保護膜22上に反射膜23を形成し、この中間体の基板を反転させて、枠状のスペーサ20上に配置する。なお、液晶層LCの上下面には適当な配向膜が設けられる。
液晶層LC上の反射膜23で反射されたレーザ光LBは、共通電極25及び半導体レーザチップLDCを介して、外部に出力される。また、回折格子層6(の厚み方向中央位置)と、コンタクト層8との間の距離t1は、半導体レーザチップにおけるコンタクト層8の露出表面で反射されたレーザ光LBと、回折格子層6から直接、空間光変調器SLMへと向かう光が強めあうように設定される。すなわち、距離t1は、以下の関係を満たすことができる。2×t1=λ×N、または、2×t1=λ×(N+1/2)。但し、λはレーザ光の波長、Nは整数を満たすように設定されている。
発光層は、活性層4及びこれを挟む光ガイド層3,5からなり、コンタクト層8は、必要に応じて設けられる。半導体レーザチップは、活性層4の形成されたレーザ光生成領域LDを備えており、回折格子層6は、レーザ光生成領域LDに位置しており、回折格子層6の厚み方向に向けてレーザ光LBを出射する。空間光変調器SLMは、レーザ光生成領域LD上に取り付けられている。この構造の場合、レーザ光生成領域LD上に空間光変調器SLMを配置することで、装置を小型化することができる。
なお、半導体基板1の+Z側の面には、駆動電極E3が配置されている。この半導体レーザ装置は、半導体レーザチップLDC及びこの半導体レーザチップLDCに光学的に結合した空間光変調器SLMを備え、半導体レーザチップLDCの厚み方向に沿って出力されたレーザ光LBを、空間光変調器SLMで変調して、外部に出力する半導体レーザ装置であって、半導体レーザチップLDCは、活性層4と、活性層4を挟む一対のクラッド層2,7と、活性層4に光学的に結合した回折格子層6と、空間光変調器SLM側のクラッド層2と空間光変調器SLMとの間に配置され、活性層4に電流を供給するための駆動電極E3と、を備えている。
なお、XYZ三次元直交座標系を設定されているが、半導体レーザチップLDCの厚み方向をZ軸方向とし、半導体レーザチップLDCと空間光変調器SLMとの界面に平行な平面をXY平面とした場合、駆動電極E3は、XY平面内に位置している。また、駆動電極E3は、Z軸方向から見て、複数の開口を有しており、駆動電極E3は、非周期構造を有している。
ここで、レーザ光中に含まれるノイズ光を抑制するため、駆動電極E3の構造を非周期構造とした。駆動電極E3における透過レーザ光の位相が重なる条件、又は、反射レーザ光の位相が重なる条件を満たしている場合には、ノイズ光が観察された。すなわち、駆動電極E3が複数の開口を有しており、これを透過させる構造の場合、透過時においては開口の配列パターンが周期性を有している場合には、レーザ光の干渉によりノイズ光が発生し、反射時においては駆動電極をE3構成する導電領域の配列パターンが周期性を有している場合には、レーザ光の干渉によりノイズ光が発生する。
そこで、本実施形態では、駆動電極E3を非周期構造とすることで、かかる干渉を抑制し、ノイズ光の発生を抑制している。
駆動電極E3を構成する導電領域の材料としては、AgやAuなどの金属を用いることができるが、半導体基板1内に、これよりも高濃度の不純物を拡散して、導電領域を形成することもできる。なお、駆動電極E3の材料として、ITO、ZnO、グラフェン、Agナノワイヤなどの透明電極を用いることも可能ではあるが、低抵抗の材料の方が好ましいため、透明電極よりも、ストライプやメッシュ状の開口を有する不透明金属材料を用いることが好ましい。
駆動電極E3上には透明絶縁膜9が形成され、電極E1は、駆動電極E3に電気的及び物理的に接続されており、大きな開口形状を有している。空間光変調器SLMは、電極E1の開口形状の内部に設けられる。この場合、行選択回路DR1及び列選択回路は、電極E1の外部に位置することになるため、これらから画素電極及び共通電極までは、適当な接続配線を施す。また、電極E2はレーザ光LBについて、一部または全部を透過するように構成されている。電極E2も駆動電極E3と同様の構造を採用することができる。
図2は、第2実施形態に係る半導体レーザ装置の縦断面図である。
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、1/4波長板26及び偏光板27を用いた点が異なり、その他の構成は同一である。
回折格子層6は、例えば三角形形状が正方格子状に並べられたような構造から構成されており、上下方向に直線偏光の光を回折する。このときの回折格子層6から出力される直線偏光の偏光透過軸を軸Aとすると、偏光板27の偏光透過軸は軸Aと直交する方向(軸Bとする)に設定されている。また、1/4波長板の速軸は、軸Aから45°回転した方向に設定されている。1/4波長板26を介して空間光変調器SLMに入射し、空間光変調器SLMを往復して、再度、1/4波長板26を逆方向へ通過したレーザ光は、偏光方位が90度回転する。すなわち、レーザ光LBが、第1の偏光方向(軸A)を有する直線偏光として、1/4波長板26に入射した場合には、これを2度通過した後には、第1の偏光方向に対して90度回転した第2の偏光方向(軸B)を有する直線偏光となる。
したがって、偏光板27における偏光方向を、第2の偏光方向(軸B)に一致させれば、空間光変調器SLMを往復したレーザ光のみが偏光板27を透過し、他の偏光方向の成分は偏光板27によって遮断される。したがって、液晶層LCによる変調を受けていないノイズ成分が、出力画像から除去され、コントラストが改善する。なお、共通電極25と1/4波長板26の位置は入れ替えることができる。
図22は、回折格子層の平面図である。
上述の回折格子層6は、例えば、基本層6Aと異屈折率領域6Bとからなる。異屈折率領域6Bは所定の深さで基本層6A内に埋め込まれており、これと屈折率が異なる。異屈折率領域6Bの平面形状は円形のものが示されているが、三角形や楕円形など他の形状とすることも可能である。例えば、特定の偏光方向の強度を上げるためには、80度の回転対称性をもたない形状とすることができる。直線偏光を得るためには、この形状は、例えば、二等辺三角形、直角三角形、直角二等辺三角形とすることができる。異屈折率領域6Bは、正方格子の格子点位置に配置されているが、これは三角格子の格子点位置に配置されていてもよい。回折格子層6は、異屈折率領域の埋め込みにより、二次元的に屈折率変化する周期構造を有しているため、回折格子として機能すると共に、フォトニック結晶層として機能する。同図では、真円形状孔を正方格子状に並べた周期構造を用いているが、三角形状孔を正方格子状に並べた周期構造を用いても良く、半導体レーザ素子は、面発光レーザとして機能する。
なお、上述のレーザ素子の材料について説明する。
レーザ光生成領域LDを構成する半導体レーザ素子の材料の一例として、半導体基板1はGaAsからなり、下部クラッド層2はAlGaAsからなり、下部光ガイド層3はAlGaAsからなり、活性層4は多重量子井戸構造MQW(障壁層:AlGaAs/井戸層:InGaAs)からなり、上部光ガイド層5は、下層AlGaAs/上層GaAsからなり、上部クラッド層7がAlGaAsからなり、コンタクト層8がGaAsからなる。回折格子層(位相変調層、屈折率変調層)6は基本層6AがGaAs、基本層6A内に埋め込まれた異屈折率領域(埋込層)6BがAlGaAsからなる。
なお、各層には、第1導電型(N型)の不純物又は、第2導電型(P型)の不純物が添加されており(不純物濃度は1×1017〜1×1021/cm3)、半導体基板1をN型、下部クラッド層2をN型、下部光ガイド層3をI型、活性層4をI型、上部光ガイド層5の下層をP又はI型、上層をI型、回折格子層6をI型、上部クラッド層7をP型、コンタクト層8をP型とすることができる。なお、意図的にはいずれの不純物も添加されていない領域は真性(I型)となっている。I型の不純物濃度は1×1016/cm3以下である。
また、例えば、半導体基板1の厚みを150μm(80μm〜350μm)、下部クラッド層2の厚みを2×103nm(1×103nm〜3×103nm)、下部光ガイド層3の厚みを150nm(0〜300nm)、活性層4の厚みを30nm(10nm〜100nm)、上部光ガイド層5の下層の厚みを50nm(10nm〜100nm)、上層の厚みを50nm(10nm〜200nm)、回折格子層6の厚みを100nm(50nm〜200nm)、上部クラッド層7の厚みを2×103nm(1×103nm〜3×103nm)、コンタクト層8の厚みを200nm(50nm〜500nm)とすることができる。なお、括弧内は好適値である。
また、クラッド層のエネルギーバンドギャップは、光ガイド層のエネルギーバンドギャップよりも大きく、光ガイド層のエネルギーバンドギャップは活性層4の井戸層のエネルギーバンドギャップよりも大きく設定されている。AlGaAsにおいては、Alの組成比を変更することで、容易にエネルギーバンドギャップと屈折率を変えることができる。AlXGa1−XAsにおいて、相対的に原子半径の小さなAlの組成比Xを減少(増加)させると、これと正の相関にあるエネルギーバンドギャップは小さく(大きく)なり、GaAsに原子半径の大きなInを混入させてInGaAsとすると、エネルギーバンドギャップは小さくなる。すなわち、クラッド層のAl組成比は、光ガイド層のAl組成比よりも大きく、光ガイド層のAl組成比は、活性層の障壁層(AlGaAs)と同等か大きい。クラッド層のAl組成比は0.2〜0.4に設定され、本例では0.3とする。光ガイド層及び活性層における障壁層のAl組成比は0.1〜0.15に設定され、本例では0.1とする。なお、ガイド層には電子の活性層からのリークを抑制するために、第2導電型(p型)クラッド層との間にクラッド層と同等のAl組成で10〜100nm程度の層を挿入しても良い。
なお、回折格子層6における柱状の異屈折率領域を空隙とし、空気、窒素又はアルゴン等の気体が封入されてもよい。また、回折格子層6においては、XY平面内における正方格子又は三角格子の格子点位置に異屈折率領域6Bが配置されている。この正方格子における縦及び横の格子線の間隔は、レーザ光の波長を等価屈折率で除算した程度であり、具体的には300nm程度に設定されることが好ましい。正方格子の格子点位置でなく、三角格子における格子点位置に異屈折率領域を配置することもできる。三角格子の場合の横及び斜めの格子線の間隔は、波長を等価屈折率で除算し、さらにSin60°で除算した程度であり、具体的には350nm程度に設定されることが好ましい。
なお、格子間隔aの正方格子の場合、直交座標の単位ベクトルをx、yとすると、基本並進ベクトルa1=ax、a2=ayであり、基本並進ベクトルa1、a2に対する基本逆格子ベクトルb1=(2π/a)y、b2=(2π/a)xである。フォトニック結晶のフォトニックバンドにおけるΓ点、すなわち、波数ベクトルk=nb1+mb2(n、mは任意の整数)の場合に、格子間隔aが波長λに等しい共振モード(XY平面内における定在波)が得られる。
また、上述の共通電極及び画素電極は、これらが透明である場合には、ITO、又は、ZnOからなる。このような材料は、レーザ光に対して透明であり、レーザ光が透過できる。
また、上述の反射膜23は、アルミニウムなど金属の単層膜或いは多層膜ミラーからなり、多層膜ミラーは、高屈折率材料層(=nHとする)と、これに対して相対的に低い屈折率を有する低屈折率材料層(=nLとする)とを交互に積層してなる。高屈折率材料層(nH)の材料は、Ta2O5,TiO2,Nb2O5及びHfO2等からなる酸化物群(絶縁体群)から選択される少なくとも1つの材料(例えばTa2O5)を含む。低屈折率材料層(nL)の材料は、SiO2及びMgF2等からなる絶縁体群から選択される少なくとも1つの材料(例えばSiO2)を含む。高屈折材料層(nH)及び低屈折率材料層(nL)のそれぞれの光学膜厚を、レーザ光の波長λの1/4に設定する。これらの誘電体層の積層構造としては、以下の種類が考えられる。
(1):第1の構造は、低屈折率材料層(nL)と高屈折材料層(nH)とからなる組(=A)を、m回、繰り返して積層した構造であり、この場合、全体の層数は2×A×mとなる。mは自然数である。なお、最も下側の層を低屈折率材料層(nL)とする。
(2):第2の構造は、前述の組(A)を、m回、繰り返して積層した後に、最表面に位置する高屈折材料層(nH)上に更に低屈折率材料層(nL)を積層した構造であり、この場合、全体の層数は2×A×m+1となる。
(3):上述の(1)又は(2)の構造において、高屈折率材料層(nH)と低屈折材料層(nL)の位置を入れ替えた構造も採用することができる。(3)の構造の場合、最も下側の層は高屈折率材料層(nH)となる。
最後に、上述の半導体レーザ素子について簡単に説明する。
半導体レーザ素子の製造においては、各化合物半導体層は、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いる。半導体基板1の(001)面上に結晶成長を行うが、これに限られるものではない。AlGaAsを用いたレーザ素子の製造においては、AlGaAsの成長温度は500℃〜850℃であって、実験では550〜700℃を採用し、成長時におけるAl原料としてTMA(トリメチルアルミニム)、ガリウム原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびTEG(トリエチルガリウム)、As原料としてはAsH3(アルシン)、N型不純物用の原料としてSi2H6(ジシラン)、P型不純物用の原料としてDEZn(ジエチル亜鉛)を用いる。AlGaAsの成長においては、TMA、TMG、アルシンを用い、GaAsの成長においては、TMGとアルシンを用いるが、TMAは用いない。InGaAsは、TMGとTMI(トリメチルインジウム)とアルシンを用いて製造する。絶縁膜の形成は、その構成物質を原料としてターゲットをスパッタして形成すればよい。
すなわち、半導体レーザ素子は、まず、N型の半導体基板(GaAs)1上に、N型のクラッド層(AlGaAs)2を形成した後、光ガイド層(AlGaAs)3、多重量子井戸構造(InGaAs/AlGaAs)4、光ガイド層(GaAs/AaGaAs)5を形成し、続いて、フォトニック結晶層となる基本層(GaAs)6Aを、MOCVD(有機金属気相成長)法を用いて順次、エピタキシャル成長させる。
次に、エピタキシャル成長後のアライメントをとるため、PCVD(プラズマCVD)法により、SiN層を基本層6A上に形成し、次に、レジストを、SiN層上に形成する。更に、レジストを露光・現像し、レジストをマスクとしてSiN層をエッチングし、SiN層を一部残留させて、アライメントマークを形成する。残ったレジストは除去する。
次に、基本層6Aに別のレジストを塗布し、アライメントマークを基準とし、レジスト上に電子ビーム描画装置で2次元微細パターンを描画し、現像することでレジスト上に2次元微細パターンを形成する。その後、レジストをマスクとして、ドライエッチングにより100nm程度の深さを持つ2次元微細パターンを基本層6A上に転写し、孔(穴)を形成し、レジストを除去する。孔の深さは、100nmである。この孔の中に、異屈折率領域6B(AlGaAs)となる化合物半導体を孔の深さ以上に再成長させる。次に、上部クラッド層(AlGaAs)7、コンタクト層(GaAs)8を順次MOCVDで形成し、適当な電極材料を蒸着法又はスパッタ法で基板の上下面に形成して第1及び第2電極を形成する。また、必要に応じて、基板の上下面に絶縁膜をスパッタ法等で形成することができる。
回折格子層6を活性層の下部に備える場合には、活性層及び下部光ガイド層の形成前に、下部クラッド層上に回折格子層を形成すればよい。
図2の構造の場合には、半導体基板1上に絶縁膜9を介して1/4波長板26を配置し、コンタクト層8の表面に偏光板27を配置する。なお、半導体基板1に駆動電極E3を形成する場合、フォトリソグラフィ―法を用いて、半導体基板1上にパターニングを行う。
以上、説明したように、上述の装置によれば、活性層で生じた光は回折格子層による変調を受け、2次元単一モード発振し、発振した光のうち一部は、回折格子層による2次の回折を受け、液晶層に平面波として入射している。液晶は屈折率異方性を有するため、その回転角に応じて光出力と平行な方向の等価的な屈折率が変化する。このとき、液晶層の物理的な長さは一定であるため、屈折率が変化することにより、光路長が変化する。従って、下部から液晶層に平面波を入射すると、画素毎にその光路長を変化させることが出来る。言い換えると、下部から液晶層に平面波を入射すると、画素毎にその位相を変化させることが出来るので、出射波面の形状を制御することが可能となる。このように、2次元単一モード発振するレーザ光は、平面波として液晶層に入射し、画素毎に位相変調された波面が下部から光出力として得られる。
次に、駆動電極E3について説明する。
図3は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3は、XY平面内において第1の方向に沿って直線的に延びた複数の導電領域(黒色の領域)を備え、導電領域のX軸方向の幅をXeとし、導電領域間のX軸方向の間隔をXsとし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する前記導電領域の幅XeをXe(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔XsをXs(N)とした場合、幅Xeには周期性がなく、Xe(N)とXe(N+1)は異なり、間隔Xsには周期性がなく、Xs(N)とXs(N+1)は異なる。
なお、同図では、N=1〜8とした場合の幅Xe(1)〜Xe(8)が示され、間隔Xs(1)〜Xs(7)が示されているが、便宜上、各導電領域は幅と同一符号で示すこととする。例えば、隣接する導電領域(Xe(1)とXe(2))の間には、隙間となる間隔Xs(1)(N=1,N+2=2)が位置している。
本例では、導電領域の幅Xeが周期性を有していないため、これにより反射されるレーザ光が干渉してノイズ光が発生することが抑制され、開口を規定する導電領域間の間隔Xsが周期性を有していないため、開口を透過したレーザ光が干渉してノイズ光が発生することが抑制される。
なお、各導電領域の長手方向は、Y軸方向であり、Y軸方向に沿って延びている。
同図では、直線的に導電領域が延びているので、作製が簡単であり、且つ開口率を大きく出来るという利点がある。
図4は、駆動電極E3の平面図である。
半導体レーザチップのXY平面内における形状は長方形であり、長方形の一辺に平行な方向をY軸とした場合、駆動電極の延びた方向(第1の方向R)とY軸との成す角度βは、図3の場合は0°であるが、図4の場合は、図3と同様に駆動電極は直線状のストライプ形状であるが、β≠n×90°(n:任意の整数)を満たしている。β=n×90°(n:任意の整数)の場合、作製が容易という効果があるが、基本的にβは任意の角度に設定出来る。
図5は、駆動電極E3の平面図である。
半導体レーザチップのXY平面内における形状は長方形であり、長方形の一辺に平行な方向をY軸とした場合、駆動電極の延びた方向(第1の方向R)とY軸との成す角度βは、図5の場合は、図3と同様に駆動電極は直線状のストライプ形状であるが、β≠n×90°(n:任意の整数)を満たしている。
上述の通り、βは基本的に任意の角度に設定可能である。
図6は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(本例ではY軸)に沿って延びた複数の第1導電領域(Xe1(1)〜Xe1(8))と、第1の方向とは異なる第2の方向(本例ではX軸)に沿って延びた複数の第2導電領域(Ye1(1)〜Ye1(8))とが重畳した形状を有している。
第1導電領域のX軸方向の幅をXe1とし、第1導電領域間のX軸方向の間隔をXs1とし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する第1導電領域の幅Xe1をXe1(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Xs1をXs1(N)とする。幅Xe1には周期性がなく、Xe1(N)とXe1(N+1)は異なり、間隔Xs1には周期性がなく、Xs1(N)とXs1(N+1)は異なる。
同様に、第2導電領域のY軸方向の幅をYe1とし、第2導電領域間のY軸方向の間隔をYs1とし、Nを整数として、Y軸方向に沿ってN番目に位置する第2導電領域の幅Ye1をYe1(N)とし、Y軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Ys1をYs1(N)とする。幅Ye1には周期性がなく、Ye1(N)とYe1(N+1)は異なり、間隔Ys1には周期性がなく、Ys1(N)とYs1(N+1)は異なる。
この場合も、上記と同様のノイズ光抑制効果があり、且つ、第2導電領域が存在するため、駆動電極の全体としての抵抗を低下させ、効率的に駆動電流を活性層に供給することができる。
なお、各導電領域は、直線的に延びることも、曲線的に延びることもできる。
図7は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(本例ではY軸)に沿って直線的に延びた複数の第1導電領域(Xe(N))と、第1の方向とは異なる第2の方向(Y軸と角度βを成す方向R)に沿って直線的に延びた複数の第2導電領域(Xe2(N))とが重畳した形状を有している。
第1導電領域のX軸方向の幅をXe1とし、第1導電領域間のX軸方向の間隔をXs1とし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する第1導電領域の幅Xe1をXe1(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Xs1をXs1(N)とする。幅Xe1には周期性がなく、Xe1(N)とXe1(N+1)は異なり、間隔Xs1には周期性がなく、Xs1(N)とXs1(N+1)は異なる。
同様に、第2導電領域のX軸方向の幅をXe2とし、第2導電領域間のX軸方向の間隔をXs2とし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する第2導電領域の幅Xe2をXe2(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Xs2をXs2(N)とする。幅Xe2には周期性がなく、Xe2(N)とXe2(N+1)は異なり、間隔Xs2には周期性がなく、Xs2(N)とXs2(N+1)は異なる。
この場合も、上記と同様のノイズ光抑制効果があり、且つ、第2導電領域が存在するため、駆動電極の全体としての抵抗を低下させ、効率的に駆動電流を活性層に供給することができる。
図8は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(本例ではY軸とβ1を成す方向R1)に沿って直線的に延びた複数の第1導電領域(Xe(N))と、第1の方向とは異なる第2の方向(Y軸と角度β2を成す方向R2)に沿って直線的に延びた複数の第2導電領域(Xe2(N))とが重畳した形状を有している。
第1導電領域のX軸方向の幅をXe1とし、第1導電領域間のX軸方向の間隔をXs1とし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する第1導電領域の幅Xe1をXe1(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Xs1をXs1(N)とする。幅Xe1には周期性がなく、Xe1(N)とXe1(N+1)は異なり、間隔Xs1には周期性がなく、Xs1(N)とXs1(N+1)は異なる。
同様に、第2導電領域のX軸方向の幅をXe2とし、第2導電領域間のX軸方向の間隔をXs2とし、Nを整数として、X軸方向に沿ってN番目に位置する第2導電領域の幅Xe2をXe2(N)とし、X軸方向に沿ってN番目に位置する間隔Xs2をXs2(N)とする。幅Xe2には周期性がなく、Xe2(N)とXe2(N+1)は異なり、間隔Xs2には周期性がなく、Xs2(N)とXs2(N+1)は異なる。
この場合も、上記と同様のノイズ光抑制効果があり、且つ、第2導電領域が存在するため、駆動電極の全体としての抵抗を低下させ、効率的に駆動電流を活性層に供給することができる。
図9は、駆動電極E3の平面図である。
本例では、図6に示した第1導電領域が弧状となり、隣接するもの同士の曲率半径も異なることとしたものであり、その他の点は、図6と同一である。すなわち、第1導電領域(Xe1(N))及び第2導電領域(Ye1(N))の一方が、弧を描くように延びている。これらは、双方が弧を描くように延びていてもよい。
この場合、導電領域が直線的に延びる場合に比較して、導電領域間の規則性が更に低下するため、駆動電極の構造の非周期性・ランダム性が向上してノイズ光が更に抑制され、また、その形状は、滑らかな連続的方向変化である弧状であるため、形状の急激な変化に起因する高調波ノイズ光も発生しにくいという利点がある。
図10は、駆動電極E3の平面図である。
本例は、図9に示したものと比較して、縦方向に延びていた第1導電領域が、Y軸に対して概ね斜め方向に延びたものであり、その他の点は、図9と同一である。この場合、図9に示したものと同様の作用効果があり、また、Y軸方向に沿った各第1導電領域の両端位置がX軸方向に沿ってずれている。
図11は、駆動電極E3の平面図である。
本例は、図8に示したものと比較して、直線的に延びていた各第1導電領域及び第2領域が、それぞれ曲率半径の異なる弧状としたものであり、隣接する導電領域の曲率半径及び幅及び間隔は、全て異なる。その他の点は、図8と同一である。この場合、図8に示したものと同様の作用効果があり、弧を描いているため、導電領域が直線的に延びる場合に比較して、導電領域間の規則性が更に低下するため、駆動電極の構造の非周期性・ランダム性が向上してノイズ光が更に抑制され、また、その形状は、滑らかな連続的方向変化である弧状であるため、形状の急激な変化に起因する高調波ノイズ光も発生しにくいという利点がある。
図12は、駆動電極E3の平面図である。
半導体レーザ装置において、駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(Y軸方向)に沿って延びた複数の第1導電領域と、第1の方向とは異なる第2の方向(本例ではY軸とβ1を成す方向R1)に沿って延びた複数の第2導電領域と、第1の方向及び第2の方向のいずれとも異なる第3の方向(本例ではY軸とβ2を成す方向R2)に沿って延びた複数の第3導電領域とが重畳した形状を有している。同図では、各導電領域は、直線的に延びている。
すなわち、幾つかの方向に延びた導電領域によって囲まれることで、上記開口が構成されるが、導電領域の延びる方向は、3つ以上であってもよい。より多くの方向に導電領域が延びた場合には、ランダム性が高くなるため、ノイズ光の発生が更に抑制されると考えられる。
図13は、駆動電極E3の平面図である。
半導体レーザ装置において、駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(Y軸方向)に沿って延びた複数の第1導電領域と、第1の方向とは異なる第2の方向(本例ではY軸とβ1を成す方向R1)に沿って延びた複数の第2導電領域と、第1の方向及び第2の方向のいずれとも異なる第3の方向(本例ではY軸とβ2を成す方向R2)に沿って延びた複数の第3導電領域とが重畳した形状を有している。同図では、第2の導電領域は、おおむね方向R2に沿っているものの、直線的ではなく、弧を描くように延びており、開口の規則性が低下し、ノイズ光の発生が更に抑制されると考えられる。
図14は、駆動電極E3の平面図である。
半導体レーザ装置において、駆動電極E3は、XY平面内において二次元的に位置する複数の開口を構成するように、第1の方向(本例ではX軸)に沿って延びた複数の第1導電領域と、第1の方向とは異なる第2の方向(本例ではX軸とα1を成す方向R1)に沿って延びた複数の第2導電領域と、第1の方向及び第2の方向のいずれとも異なる第3の方向(本例ではX軸とα2を成す方向R2)に沿って延びた複数の第3導電領域とが重畳した形状を有している。同図では、全ての導電領域は、直線的ではなく、弧を描くように延びており、開口の規則性が低下し、ノイズ光の発生が更に抑制されると考えられる。
図15は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3が設けられる領域は、第1の非周期性構造を有する導電領域が形成される第1領域A1と、第1の非周期性構造とは異なる第2の非周期性構造を有する導電領域が形成される第2領域A2とを備えている。第1領域A1と第2領域A2とはパターンが異なるので、これらの領域からのレーザ光が全体として干渉して、ノイズ光が発生することが抑制される。第1領域A1はY軸方向の値が所定値以上の領域であり、第2領域A2はY軸方向の値が所定値未満の領域であり、これらの領域は上下に位置している。所定値は、駆動電極形成領域のY軸方向の寸法の中央値から外れている方が、干渉抑制のための非対称性の面からは好ましいが、中央値であってもよい。
図16は、駆動電極E3の平面図である。図15の第1領域A1及び第2領域A2には、上述の様々なパターンを配置することができる。すなわち、本例は第1領域A1に図4のパターンを配置し、第2領域A2に図5の左右反転パターンを配置した例である。
図17は、駆動電極E3の平面図である。これは第1領域A1に図6のパターンを配置し、第2領域A2に図7のパターンを配置した例である。
図18は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3が設けられる領域は、第1の非周期性構造を有する導電領域が形成される第1領域A1と、第1の非周期性構造とは異なる第2の非周期性構造を有する導電領域が形成される第2領域A2とを備えている。第1領域A1と第2領域A2とはパターンが異なるので、これらの領域からのレーザ光が全体として干渉して、ノイズ光が発生することが抑制される。第1領域A1はX軸方向の値が所定値未満の領域であり、第2領域A2はX軸方向の値が所定値以上の領域であり、これらの領域は左右に位置している。所定値は、駆動電極形成領域のX軸方向の寸法の中央値に位置していても、外れていてもよい。
図19は、駆動電極E3の平面図である。図18の第1領域A1及び第2領域A2には、上述の様々なパターンを配置することができる。すなわち、本例は第1領域A1に図9のパターンを配置し、第2領域A2に図10のパターンを配置した例である。
図20は、駆動電極E3の平面図である。
駆動電極E3が設けられる領域は、第1の非周期性構造を有する導電領域が形成される第1領域A1と、第1の非周期性構造とは異なる第2の非周期性構造を有する導電領域が形成される第2領域A2と、第1及び第2の非周期性構造のいずれとも異なる第3の非周期性構造を有する導電領域が形成される第3領域A3とを備えている。第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3はパターンが異なるので、これらの領域からのレーザ光が全体として干渉して、ノイズ光が発生することが抑制される。第1領域A1はY軸方向の値が第1所定値以上の領域であり、第2領域A2はY軸方向の値が第2所定値以上第1所定値未満の領域であり、第3領域A3はY軸方向の値が第1所定値未満の領域である。これらの領域は上下に整列して位置している。
図21は、駆動電極E3の平面図である。図21の第1領域A1及び第2領域A2には、上述の様々なパターンを配置することができる。すなわち、本例は第1領域A1に図13のパターンを配置し、第2領域A2に図6のパターンを配置し、第3領域A3に図12のパターンを配置した例である。
以上、説明したように、いずれの半導体レーザ装置においても、駆動電極が非周期構造を有するため、ノイズ光を低減可能であり、また、空間光変調器に結合することで、変化可能な所望のレーザビームパターンを形成することができる。