JP2016121723A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力の遮断時におけるピストンとクラッチとの接触を防止することが可能な、ボールねじ装置を提供する。
【解決手段】
ナット16の外周側にナット16と同軸に配置したピストン18と、ねじ軸10の軸方向でナット16とピストン18との間に配置したスラスト軸受22と、ナット16とスラスト軸受22とのねじ軸10の軸方向への相対移動を規制するナット側レース凸部38c及びナット側凹部16dと、ピストン18とスラスト軸受22とのねじ軸10の軸方向への相対移動を規制するピストン側レース凸部40c及びピストン側凹部18dを備え、スラスト軸受22は、ピストン18がクラッチ6から離間する方向へのナット16の移動時にも、スラスト軸受22の構成部品の一体化を保持する軸受構成保持機構を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両等に適用するボールねじ装置に関する。
車両が備え、クラッチにピストンを押し付けるためのボールねじ機構を備える動力伝達装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、皿ばねが有する復元力を用いて、クラッチを切断した動力の遮断時に、ピストンをクラッチから離す構成のものがある。
特開2013−113316号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、動力の遮断時にピストンをクラッチから離す構成として皿ばねを用いるため、クラッチからピストンを離す距離を、皿ばねの変形量を超える距離に設定することができない。このため、動力の遮断時に、ピストンがクラッチと接触して共に回転すると、軸受やブッシュ等の耐久性が低下するという問題点があった。
本発明の課題は、動力の遮断時におけるピストンとクラッチとの接触を防止することが可能な、ボールねじ装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ナットと同軸に配置したピストンと、ナットのピストン押圧面との間に配置したスラスト軸受を備え、スラスト軸受は、ピストン押圧面がクラッチを押圧する方向と反対方向へのナットの移動時にも、スラスト軸受の構成部品の一体化を保持する軸受構成保持機構を備える。これに加え、ナットとスラスト軸受とのねじ軸の軸方向への相対移動を規制するナット側移動規制部材と、ピストンとスラスト軸受とのねじ軸の軸方向への相対移動を規制するピストン側移動規制部材を備える。
ここで、ピストンは、ねじ軸とナットとの相対移動によりねじ軸の軸方向へ変位して、クラッチを押圧またはクラッチから離れる。また、クラッチは、ピストンと離間すると入力軸と出力軸との間の動力を遮断し、ナットのピストン押圧面により押圧されることで、入力軸と出力軸との間で動力を伝達する。
本発明の一態様によれば、ナット側移動規制部材と、ピストン側移動規制部材と、スラスト軸受により、ピストンとナットを、ねじ軸の軸方向へ共に移動するように一体化させて、ナットとピストンとのねじ軸の軸方向への相対移動を規制することが可能となる。
これにより、動力の遮断時に、ナットとピストンとの相対移動を規制した状態で、ピストンを変位させてクラッチから離すことが可能となるため、動力の遮断時におけるピストンとクラッチとの接触を防止することが可能となる。
本発明の第一実施形態における、動力伝達装置の構成を示す図である。 図1中に円IIで囲んだ範囲の拡大図である。 ナット・ピストン間スラスト軸受の構成を示す図である。 本発明の第一実施形態における、動力伝達装置の構成を示す図である。 本発明の第一実施形態の変形例における、動力伝達装置の構成を示す図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態について、完全な理解を提供するように、特定の細部について記載する。しかしながら、かかる特定の細部が無くとも、一つ以上の実施形態が実施可能であることは明確である。また、図面を簡潔なものとするために、周知の構造及び装置を、略図で示す場合がある。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から図3を参照して、動力伝達装置1の構成について説明する。
動力伝達装置1は、例えば、車両が備える装置である。
図1中に示すように、動力伝達装置1は、入力軸2と、出力軸4と、クラッチ6と、ボールねじ装置8を備える。
入力軸2は、図外の軸受により、入力軸2の軸方向への変位を規制した状態で回転可能に支持されている。
また、入力軸2には、エンジンや電動モータ等の駆動源(入力軸駆動源:図示せず)が発生させた駆動力が、トランスミッションやプロペラシャフト等を介して入力される。
また、入力軸2は、入力軸側円板部2aと、入力軸側クラッチ取付け部2bを備える。
入力軸側円板部2aは、入力軸2のうち出力軸4側の端部に設けられており、入力軸2の軸方向から見て円板状に形成されている。
入力軸側クラッチ取付け部2bは、入力軸側円板部2aのうち駆動源側の面と反対側の面に設けられており、入力軸2の軸方向から見て円筒状に形成されている。また、入力軸側クラッチ取付け部2bの内周面には、複数の入力軸側スプライン2cが形成される。
出力軸4は、入力軸2と同様、図外の軸受により、出力軸4の軸方向への変位を規制した状態で回転可能に支持されている。
また、出力軸4は、入力軸2と相対回転可能に配置されている。
また、出力軸4は、出力軸側円板部4aと、出力軸側クラッチ取付け部4bを備える。
出力軸側円板部4aは、出力軸4のうち駆動源側の端部に設けられており、出力軸4の軸方向から見て円環状に形成されている。
出力軸側クラッチ取付け部4bは、出力軸側円板部4aのうち駆動源側の面と反対側の面に設けられており、出力軸4の軸方向から見て円筒状に形成されている。また、出力軸側クラッチ取付け部4bの外周面には、複数の出力軸側スプライン4cが形成される。
また、出力軸側クラッチ取付け部4bの外周面は、入力軸側クラッチ取付け部2bの内周面と対向している。
クラッチ6は、多板クラッチであり、複数の外側クラッチ板6aと、複数の内側クラッチ板6bを備える。
各外側クラッチ板6aは、外径側に、入力軸側スプライン2cと嵌合するスプライン(図示せず)が形成されている。
また、各外側クラッチ板6aは、入力軸側クラッチ取付け部2bの内周面に、相対回転不能且つ軸方向への移動が自由な状態で取付けられており、入力軸側クラッチ取付け部2bの内周面から、出力軸側クラッチ取付け部4bの外周面へ向けて突出している。
各内側クラッチ板6bは、内径側に、出力軸側スプライン4cと嵌合するスプライン(図示せず)が形成されている。
また、各内側クラッチ板6bは、出力軸側クラッチ取付け部4bの外周面に、相対回転不能且つ軸方向への移動が自由な状態で取付けられており、出力軸側クラッチ取付け部4bの外周面から、入力軸側クラッチ取付け部2bの内周面へ向けて突出している。
各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bは、ボールねじ装置8が発生させる押圧力に応じて、入力軸2及び出力軸4の軸方向へ変位可能に形成されている。なお、第一実施形態では、一例として、各外側クラッチ板6aのみが、入力軸2及び出力軸4の軸方向へ変位可能に形成されている場合を説明する。
各外側クラッチ板6aの位置と、ボールねじ装置8が発生させる押圧力との関係は、以下に示す関係に設定する。
ボールねじ装置8が押圧力を発生させておらず、各外側クラッチ板6aに押圧力が加わっていない状態(無負荷の状態)では、各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bとの間に、摩擦力は発生しない。この状態では、入力軸2の回転が出力軸4へ伝達されないため、入力軸2と出力軸4との間で、動力が遮断される。
一方、ボールねじ装置8が押圧力を発生させ、各外側クラッチ板6aに押圧力が加わっている状態では、各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bとの間に摩擦力が発生する。この状態では、入力軸2の回転が出力軸4へ伝達されるため、入力軸2と出力軸4との間で、押圧力に応じた動力が伝達される。
ボールねじ装置8は、ねじ軸10と、ねじ軸側ラジアル軸受12と、ねじ軸側スラスト軸受14と、ナット16と、ピストン18と、複数のボールねじ側転動体20を備える。これに加え、ボールねじ装置8は、ナット・ピストン間スラスト軸受22と、ナット側ラジアル軸受24を備える。
ねじ軸10は、螺旋状のねじ軸側螺旋溝10aが外周面に形成されており、転がり軸受30を介して、ハウジング32へ取り付けられている。
転がり軸受30の外輪30aは、ハウジング32に固定されており、転がり軸受30の内輪30bは、ねじ軸10の外周面に固定されている。さらに、転がり軸受30は、外輪30aと内輪30bとの間に装填されたねじ軸側転動体30cの転動を介して、外輪30aと内輪30bが相対回転する。なお、ねじ軸側転動体30cは、例えば、鋼球やセラミック球等の球体や、円筒ころ等の筒体で形成する。
したがって、ねじ軸10は、転がり軸受30を介して、ハウジング32へ回転可能に取り付けられている。
また、ねじ軸10には、電動モータ等の駆動源(ねじ軸駆動源:図示せず)が発生させたトルクが、図示しないギヤやベルトを介して入力される。なお、ねじ軸駆動源が発生させたトルクを受けるギヤ等は、ねじ軸10と一体に形成してもよい。
ねじ軸側ラジアル軸受12は、例えば、円筒状の滑り軸受で形成されており、ラジアル荷重の方向をねじ軸10の径方向へ向けた状態で、ねじ軸10の内周面と出力軸4の外周面との間に配置されて、出力軸4の外周面を包囲している。
ねじ軸側スラスト軸受14は、例えば、円環状の滑り軸受(スラストワッシャ)で形成されており、スラスト荷重の方向をねじ軸10の軸方向へ向けた状態で、ねじ軸10の駆動源に近い側の端部と出力軸側円板部4aとの間に配置する。
ナット16は、ねじ軸側螺旋溝10aと対向するナット軸側螺旋溝16aが内周面に形成されており、ねじ軸10の外周側に配置する。
また、ナット16は、図示しないストッパ部材により、周方向への回転を規制されている。
また、ナット16は、ナット側フランジ16bと、ボール戻し路16cと、ナット側凹部16dを備える。
ナット側フランジ16bは、ナット16の外周面のうち駆動源から最も離れた位置において、ナット16の外周面から突出させて形成する。したがって、ナット側フランジ16bは、ナット16の外周面を包囲する環状(円環状)部材となる。
ボール戻し路16cは、負荷転動路34から一方の端部に移動したボールねじ側転動体20を、他方の端部から負荷転動路34内へ戻す通路である。負荷転動路34は、ねじ軸側螺旋溝10aとナット軸側螺旋溝16aとの間に形成される空間であり、ボールねじ側転動体20が回転しながら移動する通路(転動体転動路)を形成する。
また、ボール戻し路16cは、鍛造加工、切削加工、放電加工のうちいずれか一つの加工により、ナット16へ一体に形成されている。
第一実施形態では、一例として、ナット16のうち、ボール戻し路16cを形成する位置を、ナット側フランジ16bよりもねじ軸10の駆動源に近い側の位置とした場合について説明する。
ナット側凹部16dは、ナット16の外周面のうち、ナット側フランジ16bを形成していない部分に設けた凹部である。
第一実施形態では、一例として、ナット側凹部16dの構成を、ナット16の外周面において、ナット16の周方向に連続する一条の溝とした場合について説明する。
各ボールねじ側転動体20は、例えば、鋼球やセラミック球で形成する。また、各ボールねじ側転動体20は、負荷転動路34内、すなわち、ねじ軸10とナット16との間に配置する。
したがって、ナット16は、負荷転動路34内におけるボールねじ側転動体20の転動を介して、ねじ軸10の軸方向に沿ってねじ軸10と相対移動可能である。
ピストン18は、ピストン側円板部18aと、クラッチ押圧部18bと、軸受保持部18cと、ピストン側凹部18dを備える。
ピストン側円板部18aは、ねじ軸10の軸方向から見て円環状に形成されており、ナット16の外周側に配置されて、ナット16のうちナット側フランジ16bが形成されていない部分の一部を包囲している。
クラッチ押圧部18bは、ねじ軸10の軸方向から見て円筒状に形成されており、ピストン側円板部18aのうち駆動源側の面に設けられて、クラッチ6とねじ軸10の軸方向で対向する。
軸受保持部18cは、ねじ軸10の軸方向から見て円筒状に形成されており、ピストン側円板部18aのうちクラッチ押圧部18bを設けた面の反対の面に設ける。
また、軸受保持部18cの内周面は、ナット16の外周面と対向する。
ピストン側凹部18dは、軸受保持部18cの内周面に設けた凹部である。
第一実施形態では、一例として、ピストン側凹部18dの構成を、軸受保持部18cの内周面において、軸受保持部18cの周方向に連続する一条の溝とした場合について説明する。すなわち、第一実施形態では、一例として、ピストン側凹部18dの構成を、ピストン18の内周面において、ピストン18の周方向に連続する一条の溝とした場合について説明する。
以上により、ピストン18は、ナット16の外周側に、ナット16と同軸に配置されているとともに、クラッチ6とねじ軸10の軸方向で対向する。
また、ピストン18は、ナット16のピストン押圧面であるナット側フランジ16bのピストン18と対向する面により押圧されることで、入力軸2と出力軸4との間で動力を伝達するクラッチ6を、締結状態とする。
ナット・ピストン間スラスト軸受22は、図2中に示すように、ナット側スラストレース38と、ピストン側スラストレース40と、複数のスラストねじ軸側転動体42と、保持器44を備える。
また、ナット・ピストン間スラスト軸受22は、スラスト荷重の方向をねじ軸10の軸方向へ向けた状態で、ナット側フランジ16bとピストン18との間に配置する。
ナット側スラストレース38は、ナット側レース部38aと、ナット側案内部38bと、ナット側レース凸部38cと、ナット側保持器押え部38dを備える。
ナット側レース部38aは、円環状に形成されている。
ナット側レース部38aの一方の面は、スラストねじ軸側転動体42の軌道面を有する。
ナット側レース部38aの他方の面は、ナット側フランジ16bと対向する。
ナット側案内部38bは、円筒状に形成されており、ナット側レース部38aの一方の面から突出する。
ナット側案内部38bの内周面は、ナット16の外周面のうち、ナット側フランジ16bを形成していない部分と対向する。
ナット側レース凸部38cは、ナット側スラストレース38の内周面からナット16の外周面へ向けて突出する突起であり、ナット側スラストレース38と一体に形成する。
ナット側レース凸部38cの形状は、ねじ軸10の軸方向から見て、ナット側レース凸部38cの少なくとも一部がナット側凹部16d内に配置されて、ナット側レース凸部38cの少なくとも一部がナット側凹部16dと重なる形状である。
なお、第一実施形態では、一例として、図3中に示すように、ナット側スラストレース38に三ヶ所のナット側レース凸部38cを形成した場合について説明する。また、第一実施形態では、一例として、三ヶ所のナット側レース凸部38cを、ナット側スラストレース38の内周面上に等間隔で配置した場合について説明する。
ナット側保持器押え部38dは、ナット側案内部38bの外周面から突出しており、円環状に形成されている。
ナット側保持器押え部38dの突出量は、ねじ軸10の軸方向から見て、ナット側保持器押え部38dの一部と保持器44の一部が重なる突出量である。
すなわち、ナット側保持器押え部38dは、ナット側スラストレース38に設けられ、且つ保持器44のナット側スラストレース38とねじ軸10の軸方向で対向する面と反対側の面と、ねじ軸10の軸方向で対向する。
ピストン側スラストレース40は、ピストン側レース部40aと、ピストン側案内部40bと、ピストン側レース凸部40cと、ピストン側保持器押え部40dを備える。
ピストン側レース部40aは、円環状に形成されている。
ピストン側レース部40aの一方の面は、スラストねじ軸側転動体42の軌道面を有する。
ピストン側レース部40aの他方の面は、ピストン側円板部18aと対向する。
ピストン側案内部40bは、円筒状に形成されており、ピストン側レース部40aの一方の面から突出する。
ピストン側案内部40bの外周面は、軸受保持部18cの内周面と対向する。
ピストン側レース凸部40cは、ピストン側スラストレース40の外周面からピストン18の内周面へ向けて突出する突起であり、ピストン側スラストレース40と一体に形成する。
ピストン側レース凸部40cの形状は、ねじ軸10の軸方向から見て、ピストン側レース凸部40cの少なくとも一部がピストン側凹部18d内に配置されて、ピストン側レース凸部40cの少なくとも一部がピストン側凹部18dと重なる形状である。
なお、第一実施形態では、一例として、図3中に示すように、ピストン側スラストレース40に三ヶ所のピストン側レース凸部40cを形成した場合について説明する。また、第一実施形態では、一例として、三ヶ所のピストン側レース凸部40cを、ピストン側スラストレース40の外周面上に等間隔で配置した場合について説明する。
ピストン側保持器押え部40dは、ピストン側案内部40bの内周面から突出しており、円環状に形成されている。
ピストン側保持器押え部40dの突出量は、ねじ軸10の軸方向から見て、ピストン側保持器押え部40dの一部と保持器44の一部が重なる突出量である。
すなわち、ピストン側保持器押え部40dは、ピストン側スラストレース40に設けられ、且つ保持器44のピストン側スラストレース40とねじ軸10の軸方向で対向する面と反対側の面と、ねじ軸10の軸方向で対向する。
各スラストねじ軸側転動体42は、ナット側レース部38aが有する軌道面とピストン側レース部40aが有する軌道面との間に配置する。
第一実施形態では、一例として、スラストねじ軸側転動体42を、針状のころで形成した場合について説明する。すなわち、第一実施形態のボールねじ装置8が備えるナット・ピストン間スラスト軸受22は、転動体として針状ころを用いたスラスト軸受(スラストニードル軸受)である。
保持器44は、円環状に形成されており、スラストねじ軸側転動体42の数と同数の開口部44aを有している。保持器44が有する各開口部44aは、保持器44を厚さ方向に貫通して形成する。また、保持器44が有する各開口部44aの開口形状は、一つのスラストねじ軸側転動体42を回転可能に収容する形状である。
すなわち、保持器44は、各開口部44a内に一つのスラストねじ軸側転動体42を収容して、隣り合うスラストねじ軸側転動体42同士の間隔を保持する。
また、各開口部44a内に一つのスラストねじ軸側転動体42を収容した保持器44は、ナット側スラストレース38とピストン側スラストレース40との間に配置する。
以上により、ナット16がねじ軸10と相対移動して、ピストン18がクラッチ6から離間する方向へ移動すると、ナット側保持器押え部38dが保持器44をピストン18の移動方向と同じ方向へ押圧して移動させる。これにより、保持器44がピストン側保持器押え部40dをピストン18の移動方向と同じ方向へ押圧して移動させる。
したがって、ピストン側スラストレース40とナット側スラストレース38は、相対回転可能に一体化している。
ナット側ラジアル軸受24は、例えば、円筒状の滑り軸受で形成されており、ラジアル荷重の方向をねじ軸10の径方向へ向けた状態で、ピストン18の内周面とナット16の外周面との間に配置されて、ナット16の外周面を包囲している。これにより、ピストン18は、ナット16と相対回転可能に、ナット16へ支持されている。
(動作)
次に、図1から図3を参照しつつ、図4を用いて、第一実施形態の動力伝達装置1を用いて行なう動作を説明する。
動力伝達装置1を備える車両の駐車時等には、図1中に示すように、ピストン18をクラッチ6から離間させた状態とし、各外側クラッチ板6aに押圧力が加わっていない状態とする。これにより、各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bとの間で摩擦力が発生せず、入力軸2と出力軸4との間で、動力が遮断された状態とする。
そして、駐車していた車両の発進時等には、図外のねじ軸駆動源が発生させたトルクにより、クラッチ6から離間しているピストン18を、クラッチ6側へ移動させる方向へ、ねじ軸10を回転させる。
ここで、ナット16は、ストッパ部材により周方向への回転が規制されている。これに加え、ナット側フランジ16bは、ねじ軸10の軸方向から見てピストン18と対向している。
このため、クラッチ6側へピストン18を移動させる方向へねじ軸10を回転させると、負荷転動路34内におけるボールねじ側転動体20の転動を介して、ナット16が、ねじ軸10の軸方向に沿ってねじ軸10と相対移動し、クラッチ6側へ移動する。これにより、クラッチ6側へ移動するナット側フランジ16bが、ピストン18を押圧してクラッチ6側へ移動させる。
すなわち、クラッチ6側へピストン18を移動させる方向へねじ軸10を回転させる場合、ねじ軸駆動源が発生させてねじ軸10へ伝達したトルクは、ボールねじ装置8により、ピストン18をクラッチ6側へ移動させるための推力に変換される。
ナット16とねじ軸10との相対移動によってピストン18がクラッチ6側へ移動し、クラッチ押圧部18bが外側クラッチ板6aに接触すると、ピストン18は、クラッチ6から、ナット側フランジ16b側への反力を受けながら、ナット16と相対回転する。
このとき、ナット側フランジ16bとピストン18との間には、スラスト荷重の方向をねじ軸10の軸方向へ向けた状態で、ナット・ピストン間スラスト軸受22が配置されているため、ピストン18とナット16との間で発生する摩擦抵抗は、ナット・ピストン間スラスト軸受22により低減される。このため、ピストン18がクラッチ6から反力を受けている状態であっても、ピストン18とナット16は、円滑に相対回転することが可能である。
外側クラッチ板6aと接触したクラッチ押圧部18bが、さらに、ナット16とねじ軸10との相対移動によって外側クラッチ板6aを押圧し、図4中に示すように、各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bとの間に、摩擦力を発生させる。この状態では、入力軸駆動源が発生させた駆動力が、入力軸2から出力軸4へ動力を伝達されるため、車両が走行可能となる。
そして、走行状態から停車した車両が駐車状態へ移行する場合等には、図外のねじ軸駆動源が発生させたトルクにより、クラッチ6を押圧しているピストン18を、クラッチ6から離間させる方向へ、ねじ軸10を回転させる。
ここで、第一実施形態では、ピストン側スラストレース40とナット側スラストレース38が、相対回転可能に一体化している。これに加え、ねじ軸10の軸方向から見て、ナット側レース凸部38cの少なくとも一部がナット側凹部16dと重なっているとともに、ピストン側レース凸部40cの少なくとも一部がピストン側凹部18dと重なっている。
これにより、ナット・ピストン間スラスト軸受22は、ピストン18とナット16をねじ軸10の軸方向へ共に移動するように一体化させているため、ナット16とピストン18との、ねじ軸10の軸方向への相対移動を規制している。
したがって、ねじ軸10を回転させて、クラッチ6を押圧しているピストン18を、クラッチ6から離間させる方向へ移動させると、ナット側保持器押え部38dが保持器44をピストン18の移動方向と同じ方向へ押圧して移動させる。これにより、保持器44がピストン側保持器押え部40dをピストン18の移動方向と同じ方向へ押圧して移動させる。
ここで、第一実施形態では、ナット側スラストレース38に三ヶ所のみのナット側レース凸部38cを形成し、ピストン側スラストレース40に三ヶ所のみのピストン側レース凸部40cを形成している。しかしながら、ピストン18をクラッチ6から離間させる際にナット側レース凸部38c及びピストン側レース凸部40cへ加わる荷重は、ピストン18でクラッチ6を押圧する際にナット側フランジ16bがナット16を押圧する荷重よりも小さい。このため、ナット側レース凸部38cの形状は、ナット側スラストレース38の内周面をナット側スラストレース38の径方向に連続する形状に設定しなくとも、ピストン18が移動可能な形状及び個数に設定可能である。同様に、ピストン側スラストレース40の形状は、ピストン側スラストレース40の外周面をピストン側スラストレース40の径方向に連続する形状に設定しなくとも、ピストン18が移動可能な形状及び個数に設定可能である。
ピストン18をクラッチ6から離間させる方向へ移動させ、図1中に示すように、各外側クラッチ板6aと各内側クラッチ板6bとの間の押圧力をゼロとする。この状態では、入力軸駆動源が発生させた駆動力が、入力軸2から出力軸4へ動力を伝達されないため、不測の事態により入力軸駆動源が駆動力を発生させても、車両の停止状態を保持することが可能となる。
なお、上述したナット・ピストン間スラスト軸受22は、ピストン押圧面(ナット側フランジ16bのピストン18と対向する面)とピストン18との間に配置したスラスト軸受に対応する。
また、上述したナット側レース凸部38cとナット側凹部16dは、ナット側移動規制部材に対応する。
また、上述したピストン側レース凸部40cとピストン側凹部18dは、ピストン側移動規制部材に対応する。
また、上述したナット側保持器押え部38dとピストン側保持器押え部40dは、軸受構成保持機構に対応する。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第一実施形態の効果)
第一実施形態のボールねじ装置8であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)ナット・ピストン間スラスト軸受22と、ナット側レース凸部38c及びナット側凹部16dからなるナット側移動規制部材と、ピストン側レース凸部40c及びピストン側凹部18dからなるピストン側移動規制部材を備える。
このため、ナット側移動規制部材と、ピストン側移動規制部材と、ナット・ピストン間スラスト軸受22により、ピストン18とナット16を、ねじ軸10の軸方向へ共に移動するように一体化させて、ナット16とピストン18とのねじ軸10の軸方向への相対移動を規制することが可能となる。
その結果、入力軸2から出力軸4への動力の遮断時に、ナット16とピストン18との相対移動を規制した状態で、ピストン18を変位させてクラッチ6から離すことが可能となるため、動力の遮断時におけるピストン18とクラッチ6との接触を防止することが可能となる。
これにより、入力軸2から出力軸4への動力の遮断時における、ピストン18がクラッチ6と接触して共に回転すること防止して、ナット側ラジアル軸受24や転がり軸受30等、ボールねじ装置8の周辺部品や、ナット16やボールねじ側転動体20等、ボールねじ装置8の構成部品の耐久性が低下することを抑制することが可能となる。
また、例えば、皿ばね等の弾性部材が有する復元力を用いて、ピストン18をクラッチ6から離す構成のボールねじ装置と比較して、弾性部材によってピストン18によるクラッチ6の押圧力が低減されることを抑制することが可能となる。
さらに、ピストン18をクラッチ6から離すための構成を追加することなく、ボールねじ装置8を形成することが可能となるため、ボールねじ装置8の構造が複雑化することを抑制可能となる。また、ボールねじ装置8の製造コストが増加することを抑制可能となる。
(2)ナット側移動規制部材が、ナット側スラストレース38の内周面からナット16の外周面へ向けて突出したナット側レース凸部38cと、ナット16の外周面に形成し、且つねじ軸10の軸方向から見てナット側レース凸部38cの少なくとも一部が重なるナット側凹部16dを備える。
このため、ナット側スラストレース38に設けたナット側レース凸部38cを、ナット16の外周面に形成したナット側凹部16d内に配置することにより、ナット・ピストン間スラスト軸受22とナット16を、ねじ軸10の軸方向へ共に移動するように一体化させることが可能となる。
その結果、ナット・ピストン間スラスト軸受22及びナット16に、ナット・ピストン間スラスト軸受22とナット16を一体化させる構成を追加することなく、入力軸2から出力軸4への動力の遮断時に、ナット16とピストン18との相対移動を規制することが可能となる。
(3)ナット側凹部16dを、ナット16の外周面をナット16の周方向に連続する溝で形成する。
その結果、ナット側凹部16dの構成を簡略化することが可能となるとともに、ナット側凹部16d内にナット側レース凸部38cを配置する作業を簡略化することが可能となる。
(4)ピストン側移動規制部材が、ピストン側スラストレース40の外周面からピストン18の内周面へ向けて突出したピストン側レース凸部40cと、ピストン18の内周面に形成し、且つねじ軸10の軸方向から見てピストン側レース凸部40cの少なくとも一部が重なるピストン側凹部18dを備える。
このため、ピストン側スラストレース40に設けたピストン側レース凸部40cを、ピストン18の内周面に形成したピストン側凹部18d内に配置することにより、ナット・ピストン間スラスト軸受22とピストン18を、ねじ軸10の軸方向へ共に移動するように一体化させることが可能となる。
その結果、ナット・ピストン間スラスト軸受22及びピストン18に、ナット・ピストン間スラスト軸受22とピストン18を一体化させる構成を追加することなく、入力軸2から出力軸4への動力の遮断時に、ナット16とピストン18との相対移動を規制することが可能となる。
(5)ピストン側凹部18dを、ピストン18の内周面をピストン18の周方向に連続する溝で形成する。
その結果、ピストン側凹部18dの構成を簡略化することが可能となるとともに、ピストン側凹部18d内にピストン側レース凸部40cを配置する作業を簡略化することが可能となる。
(6)軸受構成保持機構が、ナット側スラストレース38に設けたナット側保持器押え部38dと、ピストン側スラストレース40に設けたピストン側保持器押え部40dを備える。ここで、軸受構成保持機構は、ナット側フランジ16bのピストン18と対向する面がクラッチ6を押圧する方向と反対方向へのナット16の移動時にも、ナット・ピストン間スラスト軸受22の構成部品の一体化を保持する機構である。
その結果、ナット・ピストン間スラスト軸受22に本来の機能を付与するための構成以外の部材を追加することなく、ナット・ピストン間スラスト軸受22の構成部品の一体化を保持することが可能となる。
(7)ボール戻し路16cを、鍛造加工、切削加工、放電加工のうちいずれか一つの加工によりナット16へ一体に形成する。
このため、ボール戻し路16cのうち、ねじ軸10の軸方向に沿って延在する部分を、ナット16と一体化させて重複させた構造とすることが可能となり、ナット16の構成をコンパクト化することが可能となる。
その結果、ボール戻し路16cをナット16と別部材で構成した場合と比較して、ナット16の軽量化及び小型化が可能となり、ナット16の作動性を向上させることが可能となるとともに、ナット16の構成を簡略化することが可能となる。
また、ボール戻し路16cをナット16と別部材で構成した場合と比較して、ボールねじ装置8の作動性を向上させることが可能となるとともに、ボールねじ装置8の構成を簡略化することが可能となる。
(8)動力伝達装置1が、上述したボールねじ装置8と、入力軸2と、出力軸4と、クラッチ6を備える。
このため、動力伝達装置1の構成を、入力軸2から出力軸4への動力の遮断時における、周辺部品や構成部品の耐久性が低下することを抑制することが可能なボールねじ装置8を備えた構成とすることが可能となる。
その結果、動力伝達装置1の耐久性が低下することを抑制することが可能となる。
(変形例)
(1)第一実施形態では、ボール戻し路16cを、ナット16へ一体に形成したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、図5中に示すように、ボール戻し路16cを、循環コマ36に形成し、ナット16に循環コマ36が嵌合可能なナット側嵌合部16eを形成して、ナット側嵌合部16eへ循環コマ36を嵌合させることにより、ボール戻し路16cをナット16に形成してもよい。
(2)第一実施形態では、ナット側レース凸部38cを、ナット側スラストレース38と一体に形成したが、これに限定するものではない。すなわち、ナット側レース凸部38cを、ナット側スラストレース38とは別部材で形成し、接着等により、ナット側スラストレース38に固定してもよい。
(3)第一実施形態では、ピストン側レース凸部40cを、ピストン側スラストレース40と一体に形成したが、これに限定するものではない。すなわち、ピストン側レース凸部40cを、ピストン側スラストレース40とは別部材で形成し、接着等により、ピストン側スラストレース40に固定してもよい。
(4)第一実施形態では、ナット側凹部16dを、ナット16の外周面をナット16の周方向に連続する溝で形成したが、これに限定するものではない。すなわち、ナット側凹部16dを、例えば、ナット側レース凸部38cに対応した形状であるとともに、三ヶ所のナット側レース凸部38cに対応した位置に配置した、三ヶ所の凹部で形成してもよい。
(5)第一実施形態では、ピストン側凹部18dを、ピストン18の内周面をピストン18の周方向に連続する溝で形成したが、これに限定するものではない。すなわち、ピストン側凹部18dを、例えば、ピストン側レース凸部40cに対応した形状であるとともに、三ヶ所のピストン側レース凸部40cに対応した位置に配置した、三ヶ所の凹部で形成してもよい。
(6)第一実施形態では、ナット側レース凸部38cの構成を、ナット側スラストレース38に形成した三ヶ所の突起としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一実施形態のように、ナット側凹部16dを、ナット16の外周面をナット16の周方向に連続する溝で形成した場合、ナット側レース凸部38cの構成を、ナット側スラストレース38の内周面をナット側スラストレース38の周方向に連続するフランジとして形成してもよい。
(7)第一実施形態では、ピストン側レース凸部40cの構成を、ピストン側スラストレース40に形成した三ヶ所の突起としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一実施形態のように、ピストン側凹部18dを、ピストン側凹部18dを、ピストン18の内周面をピストン18の周方向に連続する溝で形成した場合、ピストン側レース凸部40cの構成を、ピストン側スラストレース40の外周面をピストン側スラストレース40の周方向に連続するフランジとして形成してもよい。
(8)第一実施形態では、ボールねじ装置8の構成を、ナット側ラジアル軸受24を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ボールねじ装置8の構成を、ナット側ラジアル軸受24を備えていない構成としてもよい。この場合、ボールねじ装置8の構成を、ナット側ラジアル軸受24を備える構成とした場合と比較して、ボールねじ装置8の構成を簡略化することが可能となる。
(9)第一実施形態では、軸受構成保持機構の構成を、ナット側スラストレース38に設けたナット側保持器押え部38dと、ピストン側スラストレース40に設けたピストン側保持器押え部40dを備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、既存のスラスト軸受であり、軸受構成保持機構と同様の構成を備えるスラスト軸受を、ナット・ピストン間スラスト軸受22として用いてもよい。
1…動力伝達装置、2…入力軸、2a…入力軸側円板部、2b…入力軸側クラッチ取付け部、2c…入力軸側スプライン、4…出力軸、4a…出力軸側円板部、4b…出力軸側クラッチ取付け部、4c…出力軸側スプライン、6…クラッチ、6a…外側クラッチ板、6b…内側クラッチ板、8…ボールねじ装置、10…ねじ軸、10a…ねじ軸側螺旋溝、12…ねじ軸側ラジアル軸受、14…ねじ軸側スラスト軸受、16…ナット、16a…ナット軸側螺旋溝、16b…ナット側フランジ、16c…ボール戻し路、16d…ナット側凹部、16e…ナット側嵌合部、18…ピストン、18a…ピストン側円板部、18b…クラッチ押圧部、18c…軸受保持部、18d…ピストン側凹部、20…ボールねじ側転動体、22…ナット・ピストン間スラスト軸受、24…ナット側ラジアル軸受、30…転がり軸受、30a…転がり軸受の外輪、30b…転がり軸受の内輪、30c…ねじ軸側転動体、32…ハウジング、34…負荷転動路、36…循環コマ、38…ナット側スラストレース、38a…ナット側レース部、38b…ナット側案内部、38c…ナット側レース凸部、38d…ナット側保持器押え部、40…ピストン側スラストレース、40a…ピストン側レース部、40b…ピストン側案内部、40c…ピストン側レース凸部、40d…ピストン側保持器押え部、42…スラストねじ軸側転動体、44…保持器、44a…開口部

Claims (7)

  1. ねじ軸、前記ねじ軸に沿って移動可能なナット、及び前記ねじ軸と前記ナットとの間に配置した複数の転動体を備えるボールねじと、
    前記ナットと同軸に配置し、且つ前記ナットのピストン押圧面により押圧されることで、入力軸と出力軸との間で動力を伝達するクラッチを締結状態とするピストンと、
    前記ピストン押圧面と、前記ピストンと、の間に配置したスラスト軸受と、
    前記ナットと前記スラスト軸受との前記ねじ軸の軸方向への相対移動を規制するナット側移動規制部材と、
    前記ピストンと前記スラスト軸受との前記ねじ軸の軸方向への相対移動を規制するピストン側移動規制部材と、を備え、
    前記スラスト軸受は、前記ピストン押圧面が前記クラッチを押圧する方向と反対方向への前記ナットの移動時にも、前記スラスト軸受の構成部品の一体化を保持する軸受構成保持機構を備えることを特徴とするボールねじ装置。
  2. 前記スラスト軸受は、複数の転動体と、前記各転動体を保持する保持器と、前記保持器と前記ピストン押圧面との間に配置するナット側スラストレースと、前記保持器と前記ピストンとの間に配置し、且つ前記ナット側スラストレースと相対回転可能に一体化したピストン側スラストレースと、を備え、
    前記ナット側移動規制部材は、前記ナット側スラストレースの内周面から前記ナットの外周面へ向けて突出したナット側レース凸部と、前記ナットの外周面に形成し、且つ前記ねじ軸の軸方向から見て前記ナット側レース凸部の少なくとも一部と重なるナット側凹部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載したボールねじ装置。
  3. 前記ナット側凹部は、前記ナットの周方向に連続する溝で形成されていることを特徴とする請求項2に記載したボールねじ装置。
  4. 前記スラスト軸受は、複数の転動体と、前記各転動体を保持する保持器と、前記保持器と前記ピストン押圧面との間に配置するナット側スラストレースと、前記保持器と前記ピストンとの間に配置し、且つ前記ナット側スラストレースと相対回転可能に一体化したピストン側スラストレースと、を備え、
    前記ピストン側移動規制部材は、前記ピストン側スラストレースの外周面から前記ピストンの内周面へ向けて突出したピストン側レース凸部と、前記ピストンの内周面に形成し、且つ前記ねじ軸の軸方向から見て前記ピストン側レース凸部の少なくとも一部と重なるピストン側凹部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載したボールねじ装置。
  5. 前記ピストン側凹部は、前記ピストンの周方向に連続する溝で形成されていることを特徴とする請求項4に記載したボールねじ装置。
  6. 前記保持器は、前記保持器を前記ねじ軸の軸方向に貫通し、且つ前記各転動体をそれぞれ保持する複数の開口部を備え、
    前記軸受構成保持機構は、前記ナット側スラストレースに設け、且つ前記保持器の前記ナット側スラストレースと前記ねじ軸の軸方向で対向する面と反対側の面と、前記ねじ軸の軸方向で対向するナット側保持器押え部と、前記ピストン側スラストレースに設け、且つ前記保持器の前記ピストン側スラストレースと前記ねじ軸の軸方向で対向する面と反対側の面と、前記ねじ軸の軸方向で対向するピストン側保持器押え部と、を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のうちいずれか1項に記載したボールねじ装置。
  7. 前記ねじ軸は、螺旋状のねじ軸側螺旋溝が外周面に形成され、
    前記ナットは、ねじ軸側螺旋溝と対向するナット軸側螺旋溝が内周面に形成され、
    前記ナットは、前記ねじ軸側螺旋溝と前記ナット軸側螺旋溝との間に形成された負荷転動路から一方の端部に移動した前記ボールねじが備える転動体を他方の端部から前記負荷転動路内へ戻すボール戻し路を備え、
    前記ボール戻し路は、鍛造加工、切削加工、放電加工のうちいずれか一つの加工により前記ナットへ一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載したボールねじ装置。
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