JP2016121286A - 常温乾燥型塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】1回の塗装で所望の膜厚を有する塗膜を形成することが可能であり且つ該塗膜の基材に対する付着性も良好である常温乾燥型塗料組成物を提供する。【解決手段】(A)分子内に2つ以上の水酸基を有し、分子量が100〜500であり、20℃における蒸気圧が10Pa以下である化合物、(B)水酸基含有樹脂、(C)硬化剤、及び(D)JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある溶剤を少なくとも含む常温乾燥型塗料組成物であり、該塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%であることを特徴とする常温乾燥型塗料組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、常温乾燥型塗料組成物に関し、特には、1回の塗装で所望の膜厚を有する塗膜を形成することが可能であり且つ該塗膜の基材に対する付着性も良好である常温乾燥型塗料組成物に関するものである。
近年、地球環境保全に寄与する環境対応形塗料組成物への期待が高まっており、環境への負荷を軽減する弱溶剤系の塗料組成物が求められている。また、構造物管理団体からは、維持管理費用の削減に効果の高い省工程化材料や高耐久性材料への要望も高くなってきている。
一般に、橋梁等の大型構造物については、エポキシ樹脂系塗料組成物のような基材に対する付着性に優れた下塗り塗料組成物と、シリコーン系塗料組成物のような耐候性に優れた上塗り塗料組成物の塗装が行われているが、省工程や揮発性有機溶剤削減の目的で、弱溶剤系の下塗り・上塗り兼用塗料組成物を塗装する手法も提案されている。
このような弱溶剤系の下塗り・上塗り兼用塗料組成物は、例えば特開2009−96922号公報(特許文献1)に開示されている。なお、弱溶剤系の塗料組成物は、塗装すべき基材を既に覆っている塗膜(旧塗膜)が存在していても、該塗膜に対する影響が少ないため、実用性が高い。
特開2009−96922号公報
下塗り・上塗り兼用塗料組成物は、一般に、形成される塗膜に下塗り塗膜の性能と上塗り塗膜の性能の両立が求められるため、一回塗りで2層分の乾燥膜厚を確保する必要があり、塗料組成物中に含まれる塗膜形成成分(特に樹脂及び顔料)の含有量が多くなる傾向にある。しかしながら、弱溶剤系の塗料組成物に用いられる樹脂に関しては、主溶剤として用いられるミネラルスピリット等の弱溶剤の溶解力が低いため、塗膜形成成分の含有量を高くすることが一般的に困難であり、1回の塗装で厚みのある塗膜を形成することは困難であった。
また、特許文献1に記載されるような塗料組成物は、塗膜形成成分の含有量が高い弱溶剤系塗料組成物であると言えるが、かかる塗料組成物を塗装した場合、塗膜の内部応力は一般的に高くなり、基材に対する付着性についての課題もある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、特許文献1とは全く異なるタイプの塗料組成物であって、1回の塗装で所望の膜厚を有する塗膜を形成することが可能であり且つ該塗膜の基材に対する付着性も良好である常温乾燥型塗料組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、水酸基含有樹脂及び硬化剤を含む常温乾燥型塗料組成物において、分子内に水酸基を2つ以上有し且つ特定の分子量及び蒸気圧を有する化合物を配合することによって、弱溶剤系塗料組成物であるにもかかわらず塗膜形成成分の含有量を高くすることができ、更には塗膜の内部応力をも抑えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の常温乾燥型塗料組成物は、
(A)分子内に2つ以上の水酸基を有し、分子量が100〜500であり、20℃における蒸気圧が10Pa以下である化合物、
(B)水酸基含有樹脂、
(C)硬化剤、及び
(D)JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある溶剤を少なくとも含む常温乾燥型塗料組成物であり、該塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%であることを特徴とする。
本発明の常温乾燥型塗料組成物の好適例においては、塗料組成物中に占める成分(A)の割合が0.1〜10質量%である。
本発明の常温乾燥型塗料組成物の他の好適例においては、(B)水酸基含有樹脂が、水酸基含有アクリル樹脂及び水酸基含有アクリルシリコーン樹脂のいずれか一方を含む。
本発明の常温乾燥型塗料組成物の他の好適例において、(B)水酸基含有樹脂は、水酸基価が10〜200mgKOH/gである。
また、本発明の常温乾燥型塗料組成物は、2液型塗料組成物であることが好ましい。
本発明によれば、1回の塗装で所望の膜厚を有する塗膜を形成することが可能であり且つ該塗膜の基材に対する付着性も良好である常温乾燥型塗料組成物を提供することができる。
以下に、本発明の常温乾燥型塗料組成物(以下、単に本発明の塗料組成物とも称する)を詳細に説明する。本発明の常温乾燥型塗料組成物は、(A)分子内に2つ以上の水酸基を有し、分子量が100〜500であり、20℃における蒸気圧が10Pa以下である化合物、(B)水酸基含有樹脂、(C)硬化剤、及び(D)JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある溶剤を少なくとも含む常温乾燥型塗料組成物であり、該塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%であることを特徴とする。
本発明の塗料組成物は、常温乾燥型であり、基材への塗装後に常温にて乾燥させて塗膜を形成することが可能である。ここでいう「常温」とは5〜35℃であり、乾燥時間は、通常、24〜168時間である。
本発明の塗料組成物は、上記成分(A)を含むことで、弱溶剤系塗料組成物であるにもかかわらず塗膜形成成分の含有量を高くすることができるため、該塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%である。また、上記成分(A)を含むことで、塗膜の内部応力を低く抑えることができるため、基材との付着性も向上する。塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%であれば、1回の塗装で、基材との付着性に優れ、且つ厚みのある塗膜を形成することが可能であり、例えば、乾燥膜厚が60〜180μmの塗膜を1回の塗装で形成することができる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分とは、常温乾燥後に得られる塗膜を構成する成分である。なお、本発明において、塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量は、JIS−K−5601−1−2に準拠して求められ、具体的には、試験温度130℃、加熱時間80分、試料量2g±0.1gの条件で実測される。なお、このJIS−K−5601−1−2に準拠した試験方法により求められる塗膜形成成分は、常温乾燥後に得られる実際の塗膜形成成分とほぼ一致する。試料を試験温度130℃、加熱時間80分静置した場合、実際の塗装方法の場合に比べて成分(A)が揮発しやすくなるが、成分(A)と成分(C)の反応も速くなるため、実際、成分(A)の揮発はほとんど考慮する必要がない。
本発明の塗料組成物に用いる成分(A)は、分子内に2つ以上の水酸基を有し、分子量が100〜500であり、20℃における蒸気圧が10Pa以下である化合物である。上記成分(A)は、弱溶剤である成分(D)との相溶性が高く、また、樹脂成分(B)に対する溶解力も高いため、塗料組成物中では溶媒の一部として機能し、塗料組成物中に樹脂成分(B)を多く溶解させることができる。また、上記成分(A)は、20℃における蒸気圧が10Pa以下の化合物であるため、常温乾燥では蒸発を起こさず、塗膜の一部を構成することになるが、分子内に水酸基を有するため、樹脂成分(B)と共に硬化剤(C)と反応し、それ故に、塗膜の内部応力を抑えることができ、基材に対する塗膜の付着性を向上させることができる。更に、本発明の塗料組成物が顔料を有する場合には、塗膜形成成分に占める顔料の割合を低くすることができるため、塗膜の柔軟性を向上させることもできる。20℃における成分(A)の蒸気圧は、10Pa以下であれば特に制限されるものではないが、例えば、2Pa以下であることが好ましい。
上記成分(A)は、分子内に2つ以上の水酸基を有するが、基材に対する塗膜の付着性の向上効果(即ち、塗膜の内部応力の抑制)の観点から、分子内水酸基の数は2〜3個であることが好ましい。なお、分子内の水酸基が1つであると、塗膜中の架橋密度が低下するため、耐候性や防食性等において十分な性能を得ることが困難になる。
上記成分(A)は、分子量が100〜500であり、好ましくは100〜250である。成分(A)の分子量が100未満では、基材に対する塗膜の付着性の向上効果が低く、一方、500を超えると、塗料組成物の粘度が高くなるため、塗装作業性が低くなる。
上記成分(A)としては、エーテル結合やカルボニル基を有しない化合物であることが好ましく、水酸基以外の構成元素が炭素と水素とからなる化合物であることが更に好ましい。上記成分(A)の具体例としては、1,5−ペンタンジオール(分子量104.15、蒸気圧<1.3Pa(20℃))、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量146.22、蒸気圧<1.3Pa(20℃))、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(分子量118.17、蒸気圧2.6Pa(20℃))、1,2,6−ヘキサントリオール(分子量134.18、蒸気圧<1.3Pa(20℃))等が挙げられる。なお、これら成分(A)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、塗料組成物中に占める成分(A)の割合は、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。また、本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中に占める成分(A)の割合は、0.1〜15質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる成分(B)は、水酸基含有樹脂である。樹脂成分(B)は、水酸基を有するため、硬化剤(C)との反応により塗膜の一部を構成することになる。なお、本発明の塗料組成物を下塗り・上塗り兼用塗料組成物として利用する観点から、樹脂成分(B)は、水酸基含有アクリル樹脂または水酸基含有アクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。特に、該アクリルシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂が持つ耐候性と、アクリル樹脂が持つ基材との付着性とを発揮することができるため、より好ましい。また、水酸基含有アクリル樹脂と水酸基含有アクリルシリコーン樹脂を併用してもよい。
アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル、アミド及びニトリル等から選択されるアクリル成分の1種又は複数種を重合させて得られる重合体が挙げられる。上記アクリル成分の具体例としては、下記(a)〜(h)に示されるような化合物が挙げられる。また、上記アクリル樹脂には、アクリル成分と、例えば、スチレン、ビニル基含有エステル化合物(アクリル成分を除く)等の他のモノマーとを重合させて得られる重合体も含まれる。ここで、アクリル成分や該アクリル成分以外のモノマーに水酸基含有単量体を用いることによって、アクリル樹脂に水酸基を導入することができる。なお、本発明の塗料組成物に利用できる水酸基含有アクリル樹脂は、市販品を好適に使用できる。
(a):(メタ)アクリル酸と炭素数1〜24のアルコールとのエステル
例えば、メチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b):多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物
例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c):カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
(d):エポキシ基含有重合性不飽和モノマー
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(e):アミノアルキル(メタ)アクリレート
例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(f):(メタ)アクリルアミド又はその誘導体
例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル等が挙げられる。
(g):(メタ)アクリロニトリル又はその誘導体
例えば、(メタ)アクリロニトリル、3−アミノ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
(h):アルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル又はその誘導体
例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アクリルシリコーン樹脂は、通常、アクリル樹脂を構成するような繰り返し単位からなるブロックと、シリコーン樹脂を構成するような繰り返し単位からなるブロックとを有する樹脂であり、例えば、ジクロロジメチルシラン等のシラン化合物を常法により重合させて、主骨格にシロキサン結合を有するポリマー(シリコーン樹脂)を合成し、次いで、該ポリマーに、上述のアクリル成分を常法によりグラフト重合させたり又はアクリル樹脂を常法により結合させたりすることによって製造できる。なお、シリコーン樹脂には、特に限定されるものではないが、例えばアルキド変性シリコーン樹脂のように、分子構造中に不飽和二重結合を有するものを用いてもよいし、アクリル成分のグラフト重合には、該アクリル成分以外のモノマーを用いてもよい。
また、アクリル成分又はアクリル樹脂とシリコーン樹脂の反応を促進させるために触媒を添加してもよい。ここで触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、チタンやアルミニウム等からなる金属アルコキシド類(例えばチタンイソプロポキシド)、金属アシレート類および金属キレート類の他、スズ化合物や、塩酸、リン酸化合物、カルボキシル基含有化合物等の酸およびアンモニウム等の塩基やそれらの塩等が挙げられる。
ここで、水酸基含有シラン化合物を用いたり、アクリル成分や該アクリル成分以外のモノマーに水酸基含有単量体を用いたりすることによって、アクリルシリコーン樹脂に水酸基を導入することができる。なお、本発明の塗料組成物に利用できる水酸基含有アクリルシリコーン樹脂は、市販品を好適に使用できる。
上記成分(B)は、重量平均分子量が10000〜100000であることが好ましい。上記成分(B)の重量平均分子量が上記特定した範囲内にあれば、塗料組成物として塗装に適した粘度を保ち、且つ十分な塗膜硬度を有する塗膜を形成することができる。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用される。
上記成分(B)は、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。上記成分(B)の水酸基価が上記特定した範囲内にあれば、良好な塗膜性能を示すのに十分な硬化性を確保することができる。なお、水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定できる。成分(B)の水酸基価が10mgKOH/gより小さいと、十分な硬化性が得られない傾向がある。一方、成分(B)の水酸基価が200mgKOH/gより大きいと、架橋点が多くなり内部応力が増大するため、基材との付着性が悪くなる場合がある。また、耐水性も悪くなる傾向がある。
本発明の塗料組成物において、塗料組成物中に占める成分(B)の割合は、20〜60質量%であることが好ましい。また、本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中に占める成分(B)の割合は、20〜80質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる成分(C)は、硬化剤である。該硬化剤は、成分(A)及び成分(B)と反応し、塗膜の一部を構成することになる。また、成分(A)及び成分(B)が水酸基を有するため、硬化剤としては、イソシアネート化合物が好ましい。例えば、硬化剤がイソシアネート化合物である場合、イソシアネート化合物は、成分(A)及び成分(B)の水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.8当量であることが好ましい。このように(C)硬化剤の量は、通常、成分(A)及び成分(B)の水酸基の量に応じて決められるが、塗料組成物中に占める成分(C)の割合は、例えば5〜40質量%であり、また、塗膜形成成分中に占める成分(C)の割合は、例えば5〜57質量%である。
上記イソシアネート化合物としては、脂肪族系、脂環族系若しくは芳香族系のポリイソシアネートやその変性物等が挙げられる。ポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO基)を複数有する化合物であり、その具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のジイソシアネート等が挙げられる。また、ポリイソシアネートの変性物としては、アダクトタイプ(例えば、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加体)、イソシアヌレートタイプ(例えば、ジイソシアネートを環状に三量体化させたもの)、ビウレットタイプ(例えば、ジイソシアネートを鎖状に三量体化させたもの)、アロファネートタイプ(例えば、ウレタン結合にジイソシアネートを付加させたもの)やウレチジオンタイプ(例えば、ジイソシアネートの二量体)等が挙げられる。なお、ポリイソシアネートの変性物も分子内に複数のイソシアネート基(NCO基)を有する。
本発明の塗料組成物に用いる成分(D)は、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある溶剤である。上記成分(D)は、環境に対する負荷が比較的少ない有機溶剤であり、塗料業界においては一般的に弱溶剤として分類され、常温乾燥にて除去できる。アニリン点及び混合アニリン点は、溶剤の溶解力を表す指標の一種であり、アニリン点又は混合アニリン点が高いほど溶解力が弱くなる。アニリン点は、等容積の溶剤とアニリンとが均一な溶液として存在する最低温度であり、混合アニリン点は、溶剤1容積、ヘプタン1容積及びアニリン2容積が均一な溶液として存在する最低温度である。混合アニリン点又はアニリン点が12℃未満では、溶剤の溶解力が強すぎるため、塗料組成物を被覆基材に塗装する場合、基材を既に覆っている塗膜(旧塗膜)が溶剤に侵され(具体的には旧塗膜が溶解したり膨潤したりして)、リフティング等の不具合が発生する恐れがあるので好ましくない。また、混合アニリン点又はアニリン点が70℃を超えると、溶剤の溶解力が弱すぎるため、実用的な性能を有する水酸基含有樹脂を溶解し難くなり好ましくない。
上記成分(D)には、例えば、脂肪族系溶剤、ナフテン系溶剤、芳香族ナフサ等の炭化水素系有機溶剤が挙げられる。上記炭化水素系有機溶剤の具体例としては、メチルシクロヘキサン(アニリン点:40℃)、エチルシクロヘキサン(アニリン点:44℃)、ミネラルスピリット(アニリン点:56℃)、テレビン油(アニリン点:44℃)が挙げられる。また、上記炭化水素系有機溶剤には、石油系炭化水素として市販されるものがあり、例えば、HAWS(シェルケミカルズジャパン社製、アニリン点:17℃)、LAWS(シェルケミカルズジャパン社製、アニリン点:44℃)、エッソナフサNo.6(エクソンモービル社製、アニリン点:43℃)、ペガゾール3040(エクソンモービル社製、アニリン点:55℃)、ペガゾールAN45(エクソンモービル社製、アニリン点42℃)、Aソルベント(新日本石油社製、アニリン点:45℃)、クレンゾル(新日本石油社製、アニリン点:64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油社製、アニリン点:43℃)、ハイアロム2S(新日本石油社製、アニリン点:44℃)、エクソールD30(エクソンモービル社製、アニリン点:64℃)、エクソールD40(エクソンモービル社製、アニリン点:69℃)、ニューソルDXハイソフト(新日本石油社製、アニリン点:68℃)、ソルベッソ100(エクソンモービル社製、混合アニリン点:14℃)、ソルベッソ150(エクソンモービル社製、混合アニリン点:18.3℃)、スワゾール100(丸善石油化学社製、混合アニリン点:24.6℃)、スワゾール200(丸善石油化学社製、混合アニリン点:23.8℃)、スワゾール1000(丸善石油化学社製、混合アニリン点:12.7℃)、スワゾール1500(丸善石油化学社製、混合アニリン点:16.5℃)、スワゾール1800(丸善石油化学社製、混合アニリン点:15.7℃)、出光イプゾール100(出光興産社製、混合アニリン点:13.5℃)、出光イプゾール150(出光興産社製、混合アニリン点:15.2℃)、ペガゾールARO−80(エクソンモービル社製、混合アニリン点:25℃)、ペガゾールR−100(エクソンモービル社製、混合アニリン点:14℃)、昭石特ハイゾール(シェルケミカルズジャパン社製、混合アニリン点:12.6℃)、日石ハイゾール(新日本石油社製、混合アニリン点:17℃以下)等が挙げられる。なお、これら成分(D)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の塗料組成物中において、成分(D)の含有量は、5〜30質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等の顔料を更に含むことができる。顔料を含む塗料組成物は、鋼材や亜鉛めっき鋼材のような比較的強度の高い基材等への塗装に適する。一方で、顔料を含まない塗料組成物は、下地補強性に優れるため、比較的強度の低い基材(例えば木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・珪酸カルシウム板等)や劣化した旧塗膜を備える基材への塗装に適する。なお、顔料を含まない塗料組成物をクリヤー塗料組成物と称する。本発明の塗料組成物が顔料を含む場合、塗料組成物中に占める顔料の割合は、例えば15〜60質量%であるが、塗膜の柔軟性の観点から、20〜50質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物には、その他の成分として、粘性調整剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら添加剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、粘性調整剤としてはアマイド系の粘性調整剤が好ましく、塗装作業性を向上できる。本発明の塗料組成物がアマイド系の粘性調整剤を含む場合、塗料組成物中に占めるアマイド系の粘性調整剤の割合は、例えば0.5〜10質量%である。また、塗料組成物の調製の際に市販品を使用する場合、市販品には意図しない溶媒(つまり、成分(A)及び成分(D)以外の物質であり、例えば水やベンジルアルコール等の有機溶媒)が含まれ得る。本発明の塗料組成物には、本発明の目的を害しない範囲内で、このような意図しない溶媒が含まれていてもよく、該溶媒の含有量は、通常、塗料組成物中6質量%以下である。
本発明の塗料組成物は、2液型塗料組成物であることが好ましい。本発明の塗料組成物が2液型塗料組成物である場合、通常、成分(A)、(B)及び(D)を含む主剤と、成分(C)である硬化剤とからなる形態を取り、塗装直前に主剤と硬化剤とを混合させる。なお、成分(D)は、主剤に用いる他、成分(C)と併用してもよいし、粘度の調整を目的として、主剤と硬化剤の混合物に更に加えてもよい。なお、主剤は、適宜選択される各種配合成分を混合することにより調製できる。
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に制限されず、一般的な塗装手段、例えば、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗装、各種自動塗装機等による塗装等が利用できる。また、本発明の塗料組成物の塗布量は、基材による吸い込みや旧塗膜の劣化の程度により左右されるため、これを規定することは困難であるものの、通常0.05〜1.0kg/mであり、0.1〜0.5kg/mであることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、タンク、橋梁等の鋼構造物の鋼材面に塗装されるのが好適であるが、該鋼材面にふっ素樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料及びポリエステル樹脂塗料等の塗料から形成された旧塗膜が存在していても、該旧塗膜を除去せずに直接塗装することも可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
1.水酸基含有樹脂溶液の調製
下記調製例に従って、水酸基含有樹脂溶液及び分散液を調製した。なお、水酸基含有樹脂溶液及び分散液の加熱残分、並びに水酸基含有樹脂の水酸基価及び重量平均分子量を下記の方法で測定した。
<加熱残分>
1.0gの樹脂溶液、樹脂分散液又は樹脂組成物をアルミカップに精秤し、これを150℃オーブンで30分乾燥させた。乾燥後、残留物の質量を精秤し、元の質量に対する残留物の質量の割合を加熱残分(質量%)として求めた。
<水酸基価>
樹脂1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を定量した。
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)の測定は、TSKgelカラム(東ソー(株)社製)を用い、RIを装備したGPC(東ソー(株)社製;HLC−8220GPC)により求めた。GPCの条件として、展開溶媒にテトラヒドロフランを用い、流速0.35ml/分、温度40℃にて測定を行った。なお、TSK標準ポリスチレン(東ソー(株)社製)を標準物質として用いた。
1−1.水酸基含有アクリル樹脂溶液及び水酸基含有アクリル樹脂非水分散液の調製例
下記に示す調製例に従い、水酸基含有アクリル樹脂溶液(樹脂溶液A〜D)、及び水酸基含有アクリル樹脂非水分散液(樹脂分散液E)を調製した。
1−1−1.樹脂溶液A
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、ソルベッソ100 22.50質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、シクロヘキシルメタクリレート 15.18質量部、メチルメタクリレート 13.30質量部、イソブチルメタクリレート 12.90質量部、、2−エチルヘキシルアクリレート 13.40質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 1.32質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.60質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
(第2工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第1工程で得た第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.40質量部及びソルベッソ100 5.20質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらに100℃で2.5時間撹拌を続けた後、第2混合物を冷却した。第2混合物にソルベッソ100 15.20質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Aを得た。なお、樹脂溶液Aの加熱残分は、57.0質量%であり、樹脂溶液A中に含まれる水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基価が10.0mgKOH/gであり、重量平均分子量が49600であった。
1−1−2.樹脂溶液B〜D
表1に示す化合物及びその使用量に変更する以外は、樹脂溶液Aと同様の方法により、樹脂溶液B〜Dを調製した。なお、樹脂溶液の加熱残分、樹脂の水酸基価、重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2016121286
なお、表1中、各成分の使用量は、質量部で示される。
1−1−3.樹脂分散液E
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、ソルベッソ100 4.37質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、イソブチルメタクリレート 3.05質量部、2−エチルヘキシルアクリレート 3.05質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 0.47質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.06質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
(第2工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第1工程で得た第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.05質量部及びソルベッソ100 0.40質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、さらに100℃で2.5時間撹拌を続けた後、ソルベッソ100 13.55質量部を加えて攪拌し、第2混合物を得た。
(第3工程)
100℃を保持したまま、第2工程で得た第2混合物中に、シクロヘキシルメタクリレート 6.00質量部、スチレン 6.00質量部、メチルメタクリレート 12.00質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 25.70質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.50質量部を予め混合して得た混合物を4時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第3混合物を得た。
(第4工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第3工程で得た第3混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.20質量部及びソルベッソ100 2.30質量部を予め混合して得た混合物を1.5時間かけて滴下し、さらに100℃で2.5時間撹拌を続けた後、ソルベッソ100 22.30質量部を加えて攪拌し、樹脂分散液Eを得た。なお、樹脂分散液Eの加熱残分は、57.0質量%であり、樹脂分散液E中に含まれる水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基価が199.2mgKOH/gであり、重量平均分子量が50200であった。
Figure 2016121286
なお、表2中、各成分の使用量は、質量部で示される。
1−2.水酸基含有アクリルシリコーン樹脂溶液(樹脂溶液F〜J)の調製例
下記に示す調製例に従い、樹脂溶液F〜Jを合成した。
1−2−1.樹脂溶液F〜Iの調製
1−2−1−1.樹脂溶液F
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、ソルベッソ100 18.00質量部、東レダウコーニング株式会社製シリコーン樹脂 SH6018を4.10質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、スチレン 13.90質量部、メチルメタクリレート 12.20質量部、イソブチルメタクリレート 11.78質量部、2−エチルヘキシルアクリレート 12.30質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 1.32質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.60質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
(第2工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第1工程で得た第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.40質量部及びソルベッソ100 5.20質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらに100℃で2.5時間撹拌を続けた後、第2混合物を冷却した。第2混合物にソルベッソ100 19.70質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Fを得た。なお、樹脂溶液Fの加熱残分は、57.0質量%であり、樹脂溶液F中に含まれる水酸基含有アクリルシリコーン樹脂は、水酸基価が10.0mgKOH/gであり、重量平均分子量が49700であった。
1−2−1−2.樹脂溶液G
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、ソルベッソ100 18.00質量部、東レダウコーニング株式会社製シリコーン樹脂 SH6018を4.10質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、スチレン 13.90質量部、メチルメタクリレート 12.20質量部、イソブチルメタクリレート 11.78質量部、2−エチルヘキシルアクリレート 12.30質量部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 1.32質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.60質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
(第2工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第1工程で得た第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.40質量部及びソルベッソ100 5.20質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらにチタンイソプロポキシド 0.10質量部を加え、100℃で2.5時間撹拌を続けた後、第2混合物を冷却した。第2混合物にソルベッソ100 19.70質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Gを得た。なお、樹脂溶液Gの加熱残分は、57.0質量%であり、樹脂溶液G中に含まれる水酸基含有アクリルシリコーン樹脂は、水酸基価が10.0mgKOH/gであり、重量平均分子量が80400であった。
1−2−1−3.樹脂溶液H〜J
表3に示す化合物及びその使用量に変更する以外は、樹脂溶液Fと同様の方法により、樹脂溶液H〜Jを調製した。なお、樹脂溶液の加熱残分、樹脂の水酸基価、重量平均分子量を表3に示す。
Figure 2016121286
なお、表3中、各成分の使用量は、質量部で示される。
1−2−2.樹脂溶液Kの調製
1−2−2−1.アルキド変性シリコーン樹脂溶液の調製
攪拌装置、温度計、反応生成水除去装置および窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、日清製油(株)製大豆油 23.40質量部、ペンタエリスリトール 6.25質量部および塩化リチウム 0.004質量部を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で3時間かけて、250℃にまで昇温した。その後、90℃まで冷却後、トリメチロールプロパン 4.20質量部、イソフタル酸 6.70質量部、セバシン酸 4.00質量部及びシリコーン樹脂SH6018 16.40質量部を加え、220℃まで3時間で昇温した。酸価が9以下になるまで、同温度を保持したのち、加熱残分が60質量%となるように、ソルベッソ100で希釈することによって、加熱残分が60%質量で、水酸基価が150mgKOH/gとなるアルキド変性シリコーン樹脂溶液を得た。
Figure 2016121286
なお、表4中、各成分の使用量は、質量部で示される。
1−2−2−2.樹脂溶液Kの調製
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、ソルベッソ100 17.50質量部、及び「1−2−2−1.アルキド変性シリコーン樹脂溶液の調製」で得たアルキド変性シリコーン樹脂溶液 14.40質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、シクロヘキシルメタクリレート 6.00質量部、スチレン 6.25質量部、メチルメタクリレート 11.20質量部、イソブチルメタクリレート 10.60質量部、2−エチルヘキシルアクリレート 11.00質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.45質量部及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.06質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下しつつ加熱撹拌し、第1混合物を得た。
(第2工程)
滴下終了後、100℃を保持したまま、第1工程で得た第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.40質量部及びソルベッソ100 5.20質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらに100℃で2.5時間撹拌を続けた後、第2混合物を冷却した。第2混合物にソルベッソ100 14.40質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Kを得た。なお、樹脂溶液Kの加熱残分は、57.0質量%であり、樹脂溶液Kに含まれる水酸基含有アクリルシリコーン樹脂は、水酸基価が40.0mgKOH/gであり、重量平均分子量が79500であった。なお、樹脂溶液の加熱残分、樹脂の水酸基価、重量平均分子量を表5に示す。
Figure 2016121286
なお、表5中、各成分の使用量は、質量部で示される。
2.塗料組成物の調製
(実施例1)
水酸基含有化合物1 0.5質量部、樹脂溶液A 50質量部、ミネラルスピリット 4.5質量部、JR−806 27質量部、BARIACE B−30 9質量部、及びディスパロンD6820−20M 4質量部を混合した後、サンドグラインダーにて2時間分散処理し、主剤を調製した。そして、塗装直前に95質量部の主剤に対して、デュラネートTSS100を5質量部を添加し、これらを混合して実施例1の塗料組成物を得た。
(実施例2〜3、5〜7、9〜11、13〜24、比較例1〜4)
各種成分の種類及び配合量を表6に示されるように変更した以外は、実施例1の製造手順と同様にして、実施例2〜3、5〜7、9〜11、13〜24及び比較例1〜4の塗料組成物を調製した。
(実施例4)
水酸基含有化合物1 10質量部、及び樹脂溶液A 50質量部を混合し、主剤を調製した。そして、塗装直前に60質量部の主剤に対して、デュラネートTSS100を40質量部を添加し、これらを混合して実施例4の塗料組成物を得た。
(実施例8、12)
各種成分の種類及び配合量を表6に示されるように変更した以外は、実施例4の製造手順と同様にして、実施例8及び12の塗料組成物を調製した。
Figure 2016121286
塗料組成物の調製に使用された表6に示す原料の詳細を以下に示す。
水酸基含有化合物1:2−メチル−2,4−ペンタンジオール(分子量118.17、蒸気圧2.6Pa(20℃))
水酸基含有化合物2:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分子量146.22、蒸気圧<1.3Pa(20℃))
水酸基含有化合物3:1,5−ペンタンジオール(分子量104.15、蒸気圧<1.3Pa(20℃))
水酸基含有化合物4:1,3−ブタンジオール(分子量90.12、蒸気圧8.0Pa(20℃))
水酸基含有化合物5:エチレングリコールモノフェニルエーテル(水酸基1個、分子量138.16、蒸気圧<1.3Pa(20℃))
水酸基含有化合物6:1,2−エタンジオール(エチレングリコール)(分子量62.07、蒸気圧10.6Pa(20℃))
硬化剤:デュラネートTSS100(旭化成ケミカルズ(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート変性物)
着色顔料:JR−806(テイカ(株)製、酸化チタン)
体質顔料:BARIACE B−30(堺化学(株)製、沈降性硫酸バリウム)
粘性調整剤:ディスパロンD6820−20M(楠本化成(株)製、アマイド系粘性調整剤のミネラルスピリット/ベンジルアルコール混合溶液、固形分20質量%)
3.塗装板作製
厚み3.2mm及び大きさ70×150mmのサンドブラスト鋼板に表6に示す塗料組成物(実施例1〜24及び比較例1〜4)を、乾燥膜厚が80μmとなるようにエアスプレー塗装した後、該塗料組成物を常温(20℃)で1週間乾燥させ、実施例1〜24及び比較例1〜4の塗装板を作製した。作製した塗装板について、下記に示す試験によって塗膜性能を評価した。評価結果を表7に示す。
<塩水噴霧試験>
鋼板素地に到達するように塗装板にクロスカットを施した後、JIS K5400 9.1 耐塩水噴霧性の試験方法に準拠し、1000時間塩水噴霧した。試験後の塗膜外観を、以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
○:塗膜表面に、異常なし
△:クロスカット部周辺に、直径3mm未満のふくれが発生
×:クロスカット部周辺に、直径3mm以上のふくれが発生
<耐候性試験>
JIS K5400 9.8.1に準じてサンシャインカーボンアーク灯式試験機を用いて促進耐候性試験を500時間行った。試験後の塗膜光沢感を促進耐候性試験未実施の初期塗膜と比較し、以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
◎:塗膜外観に変化は無く、光沢保持率95%以上
○:塗膜外観の変化がわずかにあり、光沢保持率80%以上95%未満
×:塗膜外観の変化が著しく、光沢保持率80%未満
<冷熱サイクル試験>
下記に示す手順を1サイクルとして、500サイクル実施し、塗膜の状態を次の基準で目視判定した。
(手順)
1.−20℃の雰囲気下で2時間
2.1時間かけて温度を−20℃から50℃まで上げる
3.50℃の雰囲気下で2時間
4.1時間かけて温度を50℃から−20℃まで下げる
(判定基準)
○:塗膜に異変が見られない
△:塗膜の一部にワレやハガレが見られる
×:塗膜全面にワレやハガレが見られる
<付着性試験>
JIS K5600 付着性の試験方法に準拠し、脱イオン水に塗装板を500時間浸漬した後、カッターナイフを用いて塗膜に2mmの碁盤目を100個作製し、セロハンテープ剥離試験を行い、その後、以下の基準で付着性を目視判定した。
(判定基準)
○:100マスすべてにおいて剥離が見られない
△:100マス中95〜99マスが残存している
×:100マス中6マス以上の剥離が見られる
<表面乾燥性試験>
乾燥膜厚が80μmとなるように塗料組成物を厚み3.2mm及び大きさ70×150mmのサンドブラスト鋼板にエアスプレー塗装し、得られる塗膜がJIS K 5500『塗料用語』に規定される指触乾燥の状態に至るまでの時間を計り、下記の判定基準に基づいて表面乾燥性の評価を行った。
(判定基準)
〇:指触乾燥までの時間が90分以内
△:指触乾燥までの時間が90分を超えるが3時間以内
×:指触乾燥までの時間が3時間を超える
Figure 2016121286
上記の通り、本発明に対応する実施例1〜24の塗料組成物を使用すると、塩水噴霧性、耐候性、耐冷熱サイクル試験、付着性及び乾燥性評価において良好な塗膜が得られた。一方、成分(A)を使用しない比較例1では、付着性に劣る結果となった。比較例2では、水酸基含有化合物として成分(A)よりも分子量の低い成分を配合した結果、十分な付着性が得られていない。比較例3では、水酸基含有化合物として分子内に水酸基を1個含有する化合物を配合した結果、十分な塗膜性能が得られなかった。比較例4では、水酸基含有化合物として(A)成分よりも蒸気圧の高い成分を配合したために付着性に劣る結果となった。

Claims (5)

  1. (A)分子内に2つ以上の水酸基を有し、分子量が100〜500であり、20℃における蒸気圧が10Pa以下である化合物、
    (B)水酸基含有樹脂、
    (C)硬化剤、及び
    (D)JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある溶剤を少なくとも含む常温乾燥型塗料組成物であり、該塗料組成物中における塗膜形成成分の含有量が70〜95質量%であることを特徴とする常温乾燥型塗料組成物。
  2. 塗料組成物中に占める成分(A)の割合が0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載の常温乾燥型塗料組成物。
  3. (B)水酸基含有樹脂が、水酸基含有アクリル樹脂及び水酸基含有アクリルシリコーン樹脂のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の常温乾燥型塗料組成物。
  4. (B)水酸基含有樹脂は、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の常温乾燥型塗料組成物。
  5. 2液型塗料組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の常温乾燥型塗料組成物。
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