JP2016121187A - 増粘性組成物および皮膚外用剤 - Google Patents

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英樹 中田
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Abstract

【課題】感触および品質安定性に優れた増粘性組成物およびそれを用いた皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】増粘性組成物は、ポリアミノ酸類架橋体と、電離度が0.01以上1.0以下である塩類化合物とを配合してなり、前記ポリアミノ酸類架橋体の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。この増粘性組成物を配合してなる皮膚用外用剤は、感触および品質安定性に優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、増粘性組成物、およびそれを配合してなる皮膚外用剤に関する。
化粧料などに用いられる増粘剤として、アクリル系ポリマー(合成高分子化合物)を添加した組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。この組成物からなる化粧料は、皮膚のはりおよびしわの改善効果や保湿効果に優れ、べたつかず肌へののびもよい。しかし、アクリル系ポリマーのような合成系の化合物は、生分解性が低く人体への悪影響も懸念されることから、合成系の増粘剤ではなく天然系の増粘剤が求められてきた。
天然系の増粘性多糖類としては、キサンタンガムやヒアルロン酸が知られている(例えば特許文献2、3参照)。キサンタンガムやヒアルロン酸は、保湿効果に優れるとともに廃棄時の生分解性を有するため、化粧料の素材として広く用いられている。
しかしながら、前記した従来の技術においては、必ずしも増粘効果が十分ではなく、例えば化粧料として使用した場合に、べたつかず肌へののびが優れ、さらに保湿性にも優れるといった各種の性質についてバランスよく優れた効果を発揮することはできなかった。
そこで、増粘剤としてポリアミノ酸架橋体が提案されている。ポリアミノ酸架橋体は優れた感触、増粘性、保湿効果、および美白等の機能性を有していることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
再公表WO2005/044216号公報 特開2000−143477号公報 特開2004−149463号公報 特開2006−193451号公報
上述したポリアミノ酸架橋体は、その効果を強く発揮させるために皮膚用外用剤(化粧品製剤等)に高配合することが望ましい。しかし、ポリアミノ酸架橋体は増粘性が強く、多量に配合すると最終製品の粘度が高くなりすぎるため配合量に制限があり、感触の向上が十分に望めない。また、品質の安定性にも問題があった。
本発明は、感触および品質安定性に優れた増粘性組成物およびそれを用いた皮膚外用剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明は以下のような増粘性組成物および皮膚外用剤を提供するものである。
(1)ポリアミノ酸類架橋体と、電離度が0.01以上1.0以下である塩類化合物とを配合してなり、前記ポリアミノ酸類架橋体の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする増粘性組成物。
(2)上述の(1)に記載の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体がポリ−γ−グルタミン酸またはその塩であることを特徴とする増粘性組成物。
(3)上述の(1)または(2)に記載の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体が放射線架橋体であることを特徴とする増粘性組成物。
(4)上述の(3)に記載の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体が、分子量10kDa以上3000kDa以下のポリアミノ酸類の放射線架橋体であることを特徴とする増粘性組成物。
(5)上述の(1)から(4)までのいずれか1つに記載の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体の乾燥状態における平均粒径が0.1μm以上300μm以下であることを特徴とする増粘性組成物。
(6)上述の(1)から(5)までのいずれか1つに記載の増粘性組成物において、前記塩類化合物を、組成物全量基準で0.01質量%以上20質量%以下配合してなることを特徴とする増粘性組成物。
(7)上述の(1)から(5)までのいずれか1つに記載の増粘性組成物において、前記塩類化合物がL−アスコルビン酸−2−無機酸エステル塩とからなることを特徴とする増粘性組成物。
(8)上述の(1)から(6)までのいずれか1つに記載の増粘性組成物において、さらに、パラオキシ安息香酸エステルおよびその塩の少なくともいずれかを配合してなることを特徴とする増粘性組成物。
(9)上述の(1)から(8)までのいずれか1つに記載の増粘性組成物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤。
本発明の増粘性組成物によれば、感触および品質安定性に優れており、これを配合することで、前記効果を十分に発揮することのできる皮膚用外用剤を提供することが可能となる。
本発明の増粘性組成物(以下、単に「本組成物」ともいう。)は、ポリアミノ酸類架橋体と、電離度が0.01〜1.0である塩類化合物とを配合してなることを特徴とする。
以下、前記のポリアミノ酸類架橋体と所定の塩類化合物、さらにこれらから構成される本組成物および皮膚用外用剤について詳細に説明する。
〔ポリアミノ酸類架橋体〕
本発明において、ポリアミノ酸類とは、遊離酸であるものに限られず、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩であってもよく、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの塩基性アミン塩であってもよい。従って、ポリアミノ酸類架橋体には、遊離のポリアミノ酸の架橋体だけでなく、ポリアミノ酸塩の架橋体も含まれる。塩としては、匂いの観点からナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。以下、特に必要がなければ、遊離の酸とその塩とを区別しないで、「ポリアミノ酸類」、「ポリアミノ酸類架橋体」のように表記する。
本発明におけるポリアミノ酸類架橋体は、以下のような各種のアミノ酸からなるポリアミノ酸を原料として製造できる。
例えば、非極性すなわち疎水性の原子団を持つアミノ酸として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、およびプロリンなどが挙げられる。極性であるが電荷のないアミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンなどが挙げられる。正電荷を持つ原子団を有するアミノ酸としては、リジン、ヒスチジン、およびアルギニンなどが挙げられる。負電荷を持つ原子団を有するアミノ酸としては、アスパラギン酸やグルタミン酸などが挙げられる。
アミノ酸の他の例としては、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN−置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸およびアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。またポリアミノ酸は他のモノマー成分を含むコポリマーであってもよい。
本発明で用いられるポリアミノ酸類架橋体は、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。コポリマーの場合、共重合形式は特に限定されるものでなく、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー等、任意の形式をとり得る。
ポリアミノ酸類架橋体がコポリマーである場合のコポリマー成分(アミノ酸以外のモノマー成分)の具体例としては、例えばアミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。
本発明ではホモポリマーが好ましく用いられる。中でも、優れた生分解性を発現させるためには、ポリアスパラギン酸、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、「γ−PGA」ともいう。)、あるいはポリリジンのホモポリマーを基本骨格とした架橋体が好ましい。吸水性の観点からは、これらの中でも、ポリアスパラギン酸架橋体やγ−PGA架橋体が好ましい。さらに、例えば化粧料としての用途であれば、べたつかず肌へののびがよいことからγ−PGA架橋体を用いることが好ましい。
ここで、ポリアミノ酸類架橋体は、放射線架橋により得ることが好ましい。放射線架橋によれば、過酸化物架橋に比べてポリアミノ酸類架橋体のゲル化率の特定が容易になるからである。放射線については、特に制限はなく、例えば、γ線、電子線等が挙げられる。中でも、操作性の良い電子線が好適である。γ線は電子線より透過力が高いが吸収線量が小さく、電子線の透過力はγ線より小さいが吸収線量を大きく設定できる。それ故、加速電圧に対応した試料厚みであれば、γ線よりも短時間の照射でよいので、電子線を用いることが好ましい。放射線として電子線を用いる場合には、吸収線量として10kGy以上300kGy以下の範囲が好ましく、より好ましくは20kGy以上200kGy以下である。また、一度に所定の吸収線量を加えるのではなく、分割して照射する事で均一に架橋させ、反応熱を抑えて分解物を減少させることができる。照射時間としては通算1秒以上が好ましい。照射時間が通算で1秒未満であると、架橋体の形成が不十分となるおそれがある。
また、本発明の増粘組成物を調製するために配合するポリアミノ酸類架橋体の形態は特に限定しない。例えば、ポリアミノ酸類架橋体の粉末を用いる場合は、乾燥状態(水分量が10質量%以下)における平均粒径が0.1μm以上300μm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは平均粒径の範囲が1μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは平均粒径の範囲が5μm以上30μm以下である。また、ポリアミノ酸類架橋体の水溶液を用いる場合は、乾燥状態の平均粒径が0.1μ以上であることが好ましい。
この範囲外の粒径であると、組成物を化粧料として用いる場合に粒感が残ってしまい、好ましい使用感および適切な粘度が得られないおそれがある。平均粒径は、フラウンホーファーの回折原理を応用した、レーザー式粒度分布測定器(セイシン企業株式会社製 LMS−30)を用いた乾式法により測定できる。
さらに、本発明で放射線架橋に用いるポリアミノ酸類の分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーによる測定で10kDa以上3000kDa以下の範囲であることが好ましく、吸保湿性の観点から50kDa以上1000kDa以下とすることがより好ましい。分子量は、試料を純水に溶解しそのままゲルろ過分析を行うことで測定できる。具体的には、分子量既知の標準プルラン(昭和電工製)を純水に溶解して標準溶液を調製し、ゲルろ過における溶出時間と標準溶液の分子量により校正曲線を作製した後、試料について同様に測定を行う。試料の分子量は、ゲルろ過曲線におけるピーク位置(溶出時間)から求められる。
〔塩類化合物〕
本発明の増粘性組成物を構成する塩類化合物としては、電離度が0.01以上1.0未満であるものが用いられる。本発明における電離度は、25℃で水溶液の濃度が0.1モル/Lのときの値である。ここで、電離度が0.01未満であると増粘性を制御できないため好ましくない。それ故、好ましい電離度の範囲は0.05以上1.0以下であり、より好ましくは0.2以上1.0以下である。
塩類化合物としては、電離度が上述の範囲であれば有機化合物の塩(有機塩)でもよく無機化合物の塩(無機塩)でもよい。この塩類化合物を配合することで、上述したポリアミノ酸類架橋体の増粘性を制御でき、組成物として好ましい粘度特性を発揮させることができるようになる。
有機塩としては、例えば、リン酸アスコルビン酸誘導体が挙げられる。リン酸アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸の無機酸エステルであるL−アスコルビル−2−リン酸ナトリウム、L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウム、L−アスコルビル−2−リン酸カリウム、L−アスコルビル−2−リン酸カルシウム,L−アスコルビル−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビル−2−硫酸マグネシウム、L−アスコルビル−2−硫酸カリウム、およびL−アスコルビル−2−硫酸カルシウム等を好ましく挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等があげられるがこれらに限定されるものではない。
〔本組成物および皮膚用外用剤〕
本発明の増粘性組成物は、ポリアミノ酸類架橋体と、電離度が0.01以上1.0以下である塩類化合物とを配合してなるものであるが、ポリアミノ酸類架橋体の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上10質量%以下である必要がある。
ポリアミノ酸類架橋体の配合量が0.5質量%未満であると本発明の効果を発揮することができない。また、ポリアミノ酸類架橋体の配合量が10質量%を超えるとベタツキを生じ感触が好ましくない。それ故、ポリアミノ酸類架橋体の好ましい配合量は1質量%以上5質量%以下である。
また、本組成物においては、上述の塩類化合物を組成物全量基準で0.01質量%以上20質量%以下配合してなることが好ましい。塩類化合物の配合量が0.01質量%未満であると、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがある。一方、塩類化合物の配合量が20質量%を超えると、化粧料等の皮膚外用剤として製造した時の物理的な安定性を損なうおそれがある。それ故、塩類化合物の好ましい配合量は0.05質量%以上10質量%以下である。
本組成物には、皮膚外用剤の防腐性の観点より、さらにパラオキシ安息香酸エステル、あるいは、そのアルカリ金属塩を配合してもよい。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩等が挙げられるが、ナトリウム塩が好ましい。また、パラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル等があげられるがこれらに限定されるものではない。パラオキシ安息香酸エステルや、そのアルカリ金属塩の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01質量%以上1質量%以下である。
本発明の皮膚用外用剤は本組成物を配合してなるものである。この皮膚用外用剤としては、医薬品、医薬部外品および化粧料等が挙げられる。具体的な用途としては、クリーム、化粧乳液、化粧水、油性化粧水、口紅、ファンデーション、皮膚洗浄剤などが挙げられる。
本発明の皮膚用外用剤中には、医薬品、医薬部外品および化粧料等に配合される成分を配合することができる。それらの成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール、流動パラフィン、スクワラン、高級アルコール、高級脂肪酸などの油分、クエン酸、乳酸などの有機酸類、苛性カリ、トリエタノールアミンなどのアルカリ類、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、高級アルキル四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性界面活性剤、高級アルキルジメチルアミンオキサイドなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール誘導体などの薬剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、保湿剤、香料、アルコールなどがあげられる。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
〔実施例1、比較例1〕
ポリ−γ−グルタミン酸架橋体(ナトリウム塩、製品名:ジェルプロテインA−8001−P 出光テクノファイン製)にL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム(電離度0.3)を配合して試料とした。表1に配合組成を示す。なお、比較例1−1は、ポリ−γ−グルタミン酸架橋体のみを配合した例であり、比較例1−2は、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウムの代わりに、水溶性の美白剤であるフェノール性配糖体(アルブチン)を配合した例であり、比較例1−3は、ポリ−γ−グルタミン酸架橋体のかわりにキサンタンガムを配合した例である。
次に、各試料について初期粘度、初期粘度低下率、保存安定性、感触(べたつきのなさ、伸びのよさ、皮膚への親和性のよさ)を評価した、評価方法は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
・初期粘度(mPa・s)
配合直後の溶液粘度を、BM型粘度計(東機産業製)を用いて測定した。
ローター:No4
回転数 :6rpm
測定温度:25℃
・初期粘度低下率(%)
以下の式で算出した。なお、以下に示す「ポリ−γ−グルタミン酸架橋体溶液」とは比較例1−1の溶液である。
初期粘度低下率(%)=100−(各試料の初期粘度/ポリ−γ−グルタミン酸架橋体溶液の初期粘度)×100
・保存安定性(%)
50℃で2ヶ月あるいは40℃で4ヶ月保存したときの初期粘度維持率を以下の式で求め、保存安定性(%)とした。
保存安定性(初期粘度維持率)=(保存処理後の溶液粘度/各試料の初期粘度)×100
・感触
各々の試料について、被験者10名について、各々の肌に使用してもらい、使用直後の感触(べたつきのなさ、伸びのよさ、皮膚への親和性のよさ)をアンケート方式により評価した。具体的には、下記の5段階で評価を行い平均点で比較した。
良い :5
やや良い:4
普通 :3
やや悪い:2
悪い :1
〔評価結果〕
表1の結果から明らかなように、ポリ−γ−グルタミン酸架橋体にL−アスコルビル−2−リン酸エステル塩を配合することにより、ポリアミノ酸架橋体が高濃度で高粘度であっても粘度を調整可能であることがわかる。一方、L−アスコルビル−2−リン酸エステル塩を配合せず、代わりにアルブチンを配合した比較例1−2では、初期粘度が全く低下せず、粘度の調整が全くできないことがわかる。また、L−アスコルビル−2−リン酸エステル塩を配合することにより、ポリ−γ−グルタミン酸架橋体の保存安定性が向上することも理解できる。
さらに、L−アスコルビル−2−リン酸エステル塩を配合することにより、ポリ−γ−グルタミン酸架橋体の特徴的な感触である「べたつきのなさ」を維持したまま、「伸びのよさ」および「皮膚への親和性のよさ」を向上させていることもわかる。
一方、比較例1−3は、キサンタンガムを実施例3の試料と同粘度になるように調整したものであるが、「伸びのよさ」はポリアミノ酸架橋体と同等もしくはそれ以上の点数であるものの、「べたつきのなさ」および「皮膚への親和性のよさ」は劣ることがわかる。
実施例1−1〜1−3における組成物は、その粘度より、例えばクリーム、美容液、乳液等に好適に用いることができる。実施例1−4の組成物は、その粘度より、例えば化粧水に好適に用いることができる。
従来、化粧品に配合される有機化合物の塩としてL−アスコルビン酸無機酸エステル塩自体は知られていた。L−アスコルビン酸およびその誘導体はメラニン生成の抑制、生成したメラニンの淡色漂白作用などの効果を有し、美白効果を有する物質として広く用いられてきた。L−アスコルビン酸は化粧料に配合した時の経時安定性の点から、実用的にはその誘導体である無機酸エステル塩、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸塩等として汎用されている。しかし、これら無機酸エステル塩を増粘剤と組み合わせ適切な粘度と感触で製剤化することは困難であった。本発明によれば、これら無機酸エステル塩をポリアミノ酸類架橋体と組み合わせることで適切な粘度と感触を容易に付与でき、皮膚用外用剤としての製剤化が可能となる。
〔実施例2、比較例2〕
ポリ−γ−グルタミン酸架橋体に無機塩として塩化ナトリウム(電離度1.0)を配合し、(実施例2−1)、初期粘度および保存安定性を塩化ナトリウム無配合(比較例2−1)のものと比較評価した。各々の試料は被験者10名で使用直後の感触をアンケートにより評価した。評価方法は実施例1と同様の方法で行った。
〔評価結果〕
表2の結果から明らかなように、ポリアミノ酸架橋体に塩化ナトリウムを配合することにより、ポリアミノ酸架橋体が高濃度で高粘度であっても粘度を調整可能であることがわかる。また、ポリアミノ酸架橋体の保存安定性が向上していることもわかる。
さらに、塩化ナトリウムを配合することにより、ポリアミノ酸架橋体の特徴的な感触である「べたつきのなさ」を維持したまま、「伸びのよさ」及び「皮膚への親和性のよさ」を向上させることも理解できる。

Claims (3)

  1. ポリ−γ−グルタミン酸またはその塩を原料とするポリアミノ酸類放射線架橋体であって、乾燥状態における平均粒径が5μm以上30μm以下であるポリアミノ酸類放射線架橋体と、塩化カルシウムとを配合してなり、
    前記ポリアミノ酸類放射線架橋体の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上10質量%以下であり、
    前記塩化カルシウムの配合量が組成物全量基準で0.01質量%以上20質量%以下であり、
    配合後温度50℃で2ヶ月間保存した時に配合時の初期粘度が66%以上維持されることを特徴とする増粘性組成物。
  2. さらに、パラオキシ安息香酸エステルおよびその塩の少なくともいずれかを配合してなることを特徴とする請求項1に記載の増粘性組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の増粘性組成物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤。
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