JP2016120952A - ヒンジキャップおよびヒンジキャップの製造方法 - Google Patents

ヒンジキャップおよびヒンジキャップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヒンジキャップのヒンジ部位が使用に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまうという問題を解決する
【解決手段】 加飾層(33)が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップ(1)において、当該加飾層には、厚み方向に貫通する貫通エリアが少なくとも1か所設けられ、
当該貫通エリアは、当該貫通エリア(37)が設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジ(5)が繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により当該加飾層の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアが含まれるように形成されている。そもそも剥離や割れが生じるであろう部位が取り除かれていることにより、加飾層の剥離や割れが生じなくなるので外観を損ねることがない。
【選択図】 図2

Description

発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジ(蝶番)を介して設けられた開閉蓋を含む合成樹脂一体型のヒンジキャップとヒンジキャップの製造方法に関する。
化粧品、歯磨きペースト、食品、化学製品等を収納する容器に、合成樹脂一体型のヒンジキャップが用いられることが多い。「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいう。なお、以下の説明では、この合成樹脂一体型のヒンジキャップのことを、特に断らない限り、単にキャップと称する。
キャップが合成樹脂一体型である理由は、使用面と製造面から見ることができる。使用面では、ワンタッチで開閉蓋の開閉ができて使い勝手のよい点が挙げられる。製造面では、一体成形により製造され組立不要であるから製造容易でありコストが安い点を指摘できる。
ところで、昨今は容器だけでなくキャップにも物言わぬセールスマンとしての機能が求められるようになってきている。このため、キャップの外周面には、塗装、フィルムコーティング、金属蒸着形成その他の方法により加飾層が形成されるようになってきた。ヒンジを持たないキャップであれば問題なかったが、ヒンジキャップとなると開閉に伴うヒンジとヒンジ周辺の曲げに対する伸び縮みが問題となる。つまり、ヒンジとヒンジ周辺(両者を、適宜「ヒンジ等」という)は合成樹脂製であるから、その容器の用途や保存環境等を考慮した上である程度の伸び縮みに耐え得るように設計しておけばよい。
特開2001-171711号公報 特開2002-337904号公報 特開2002-326650号公報 特開2004-067185号公報 特開2005-239268号公報
しかし、キャップ外周面に形成される加飾層は、ヒンジ等と異なる率で伸び縮みするためヒンジ等の伸び縮みに追従できず、開閉回数がある程度を超えると、伸び縮みする部位が割れたりはがれたりすることがよく起こる。これは、使用に伴いキャップひいては容器を含めた全体の外観を著しく損なうことになる。場合によっては、キャップの加飾層の剥離が、本来は全く関係がないのにも関わらず、容器内容物(たとえば、化粧品)の消費者イメージを害してしまうおそれもある。本発明は、キャップのヒンジ部位が使用に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまうという問題を解決することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は、当初、加飾層の伸縮率をヒンジ等のそれと近似させることにより課題を解決しようと考えた。しかしながら、伸縮率を追求することにより、加飾層の本来の目的である加飾性に制限が生じることが判明した。たとえば、昨今の化粧容器になくてはならないとされる金属蒸着層による加飾ができなくなる、また、できたとしても大変高価なものになる、という事態が生じた。そこで発明者は、発想を転換し、割れや剥離が生ずるエリアの加飾層がもともと存在しなければ、上記課題自体が解消するという発想に至った。本発明は、その発想に基づくものである。その詳しい内容は項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たり行う用語の定義等は、発明カテゴリーの違いや記載の順番等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
(定義)
本明細書における「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、前掲の背景技術の欄で述べたとおり、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいい、上記三者以外の部位もしくは部材(たとえば、開閉蓋に設けられる摘まみ)を併せて一体成形したものを含む。一方、一体成形後に、合成樹脂や金属その他の素材により構成される部材(たとえば、金属製の装飾具)を固定もしくは付着等した場合のヒンジキャップも、依然として上記の合成樹脂一体型のヒンジキャップであることに変わりはない。ここで「屈伸ヒンジ」とは、開閉蓋の繰り返し開閉に伴い屈曲と伸展を繰り返すように構成されたヒンジのことをいい、合成樹脂の可撓性がこの屈伸を可能とする。屈伸ヒンジには、たとえば上述した特許文献1〜5に開示された形態のヒンジが含まれるが、これらに限られるものではなく、一体成形されたあらゆる形態のものが含まれる。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップに関するものである。当該加飾層には、厚み方向に貫通する貫通エリアが少なくとも1か所設けられ、当該貫通エリアは、当該貫通エリアが設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により当該加飾層の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアが含まれるように形成されていることを特徴とする。貫通エリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
請求項1の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止される。すなわち、貫通エリアが設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。なお、ヒンジキャップの上に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の上に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップに関するものである。当該加飾層には、厚み方向に貫通する貫通エリアが少なくとも1か所設けられ、当該貫通エリアは、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力を逃がすことにより、当該加飾層の剥離もしくは割れを防止可能もしくは抑制可能に形成されていることを特徴とする。なお、ヒンジキャップの上に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の上に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
請求項2の発明によれば、屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、貫通エリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。貫通エリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、前記貫通エリアを囲む前記加飾層の端面には、前記貫通エリアを形成するために前記加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、加飾層を形成した後にレーザー光を照射して加飾層を事後的に部分剥離することにより加飾層なしのエリア、すなわち貫通エリアを形成することができる。貫通エリアの形成は、加飾層形成時において事前に形成することも可能であるが、上記した事後形成も可能である。レーザー光照射による剥離以外の方法を妨げるものではないが、レーザー光照射による剥離は微細加工ができるのでたいへん便利である。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3いずれか記載の発明であって、前記加飾層は、金属蒸着層のみ、もしくは、金属蒸着層を含む複数の層から構成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、加飾層に金属蒸着層を用いることにより、光沢のある加飾を施すことができる。金属蒸着層は合成樹脂層などに比べ伸縮しづらいので、剥離もしくは割れをより生じやすい。このため、剥離や割れを防ぐ上で貫通エリアの存在がより効果的なものとなる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明であって、前記加飾層と前記ヒンジキャップの外周面との間に、少なくとも1層のアンダーコート層が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、アンダーコート層の形成により、ヒンジキャップに対する加飾層の付着性を高めるので、加飾層の剥離もしくは割れをより効果的に防止もしくは抑制することができる。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層が形成されていることを特徴とする。保護層が単層であるばあいのそれをトップコート層と、また、複層の場合の一番外側の保護層をトップコート層とそしてトップコート層以外の1層または2層以上の中間保護層をミドルコート層と呼ぶこともある。
請求項6の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制を図ることができる。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明であって、前記単層の保護層、もしくは、前記複層の保護層の少なくとも一部(たとえば、一番外側の保護層以外の一部もしくは全部の中間保護層)には、前記加飾層の貫通エリアと同じ形状であり厚み方向に貫通する貫通エリアが形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、貫通エリアが設けられた保護層は、加飾層の貫通エリアと同じ形状の貫通エリアの収縮拡張作用により、加飾層の伸び縮みにより追従しやすくなる。このため、加飾層への負担が軽減され、その結果、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止もしくは抑制される。加飾層の貫通エリアと保護層の貫通エリアを同じ形状としたのは、上述の追従が行われやすくするためと、加飾層と保護層の貫通エリアをレーザー光照射などにより一括形成できるようにして手間を少なくするためである。
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、当該加飾層に、厚み方向に貫通する貫通エリアを少なくとも1か所設ける貫通エリア形成工程と、を含み、当該貫通エリアは、当該貫通エリアが設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力の作用により剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成されていることを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。貫通エリアの形成は、たとえば、レーザー光照射やエッチングなどにより行うことができる。
請求項8の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止されたヒンジキャップを製造することができる。すなわち、貫通エリアが設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、当該加飾層に、厚み方向に貫通する貫通エリアを少なくとも1か所設ける貫通エリア形成工程と、を含めて構成されている。ここで、当該貫通エリアは、当該貫通エリアが設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力の作用により剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成されていることを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。貫通エリアの形成は、たとえば、レーザー光照射やエッチングなどにより行うことができる。
請求項9の発明によれば、貫通エリアを有することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを効率よく製造することができる。屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、貫通エリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。貫通エリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明は、請求項8または9の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層を形成する保護層形成工程を含むことを特徴とする。
請求項10の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを製造することができる
本発明によれば、キャップのヒンジ等の部位が開閉蓋の繰り返し開閉に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまう事態を有効に防止もしくは抑制することができる。したがって、キャップを備える容器全体の外観印象を害することがない。
第1実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図1に示すヒンジキャップの背面図である。 図1に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態を示す平面図である。 第1実施形態に係るヒンジキャップの製造工程を示すフロー図である。 図2に示すヒンジキャップのX−X断面の部分拡大図である。 第2実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図6に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態の側面図である。 実施例における比較結果を示す図表である。
(第1の実施形態の構成)
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1および2において、1はヒンジ(ヒンジキャップ)であって、図1に二点鎖線で示す容器の上部に取付けられる円筒状のキャップ本体3と、キャップ本体3とほぼ同径円板状の開閉蓋7とを備え、両者はヒンジ5とともに一体成形されている。ヒンジキャップ1全体の樹脂材料として、たとえばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などを好適に用いることができる。
(キャップ本体の構成)
図3に示すように、キャップ本体3は、円柱側壁11と、円柱側壁11より僅かに小径で上部(図3の紙面手前方向)に突出する扁平凸部13とを有している。扁平凸部13のほぼ中央には、容器101に収容された収容物(たとえば、化粧品)を放出する放出孔15が厚み方向(図3の紙面厚み方向)に貫通され、放出口15の周りは放出筒17に囲まれている。なお、キャップ本体3は、後述する開閉蓋7とともに、容器101の形状や容器101内に収容される収容物の性状などに応じて様々な形態を採用することができる。本実施形態では上から見た形状を円形としたが、これを、たとえば楕円形としたり矩形としたりすることもできる。放出孔15の形成位置も、デザイン性などを考慮して自由に選択してよい。
(開閉蓋の構成)
開閉蓋7は、キャップ本体3の円柱側壁11と同じ外径の円柱頂壁21と、円柱側壁21のキャップ本体3から遠いほうの端面を閉鎖する天板23とを有している。天板23のキャップ本体3に対する対向面には、放出孔15を塞ぐ栓突起25が放出孔15に向かって突き出している。円柱側壁21のヒンジ5の反対側には、開閉蓋7を開閉する際に使用者が指で摘まむための摘み27が設けられている。円柱頂壁21の内径は、キャップ本体3の扁平凹部13の外径より極僅か大きい内径に設定され、閉鎖時に円柱頂壁21が扁平プ部13の周りにきっちりと嵌って閉鎖状態を保ち、この閉鎖状態は、使用者が摘まみ27を開放方向に押すことによって開閉蓋7を開放させることができるようになっている。
(屈伸ヒンジの構成)
次に、キャップ本体3と開閉蓋7にまたがって設けられた屈伸ヒンジ5について説明する。図3に示す屈伸ヒンジ5は、キャップ本体3の円柱側壁11と開閉蓋7の円柱側壁21の屈伸自在に連結する肉薄の屈伸板部5aと、屈伸板部5aの両端それぞれには、屈伸板部5aの端部を1つの頂点とし他の2つの頂点がそれぞれキャップ本体3と開閉蓋7に一体連結された三角形状の可撓連結部5b,5bと、を備えている。屈伸板部5aは、キャップ本体3に対し開閉蓋7を開閉させる際に弾性的に屈伸するようになっている。可撓連結部5b各々は、開閉蓋7の開閉に即して弾性変形して開閉に追従するように構成されている。屈伸板部5aと両可撓連結部5b,5bは、それらの屈伸により伸び縮み(膨張、収縮等)する場合がある。
(ヒンジキャップの製造方法)
図4および5に基づき、キャップ1の製造方法を説明する。まず、PPなどの合成樹脂材を成形してキャップ1(キャップ本体3、開閉蓋7および両者を連結する屈伸ヒンジ5)全体を、図外の射出成型機を用いて一体成形する(ステップ1)。キャップ1(キャップ本体3および開閉蓋7)の外周面には、まず、好ましくはアンダーコート層31が形成され(ステップ3)、その上に加飾層33を形成する(ステップ7)。加飾層33を外部から保護することを必要と考えるときはミドルコート層(中間の保護層)35を形成するとよい(ステップ7)。次にレーザー照射装置(図示を省略)を用いて後述する貫通エリア37を形成する。好ましい態様として、加飾層35をさらに保護するため、上述のミドルコート35の上に、もしくは、ミドルコート35を形成せずに、トップコート層(保護層)39を形成する(ステップ11)。
アンダーコート層31は、加飾層33をキャップ1の表面に確実に付着させることにより加飾層33の剥離防止を主目的とし、ミドルコート層35やトップコート層37は、加飾層35を外部から保護することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制することを主目的とする。本実施形態における貫通エリア37の形成は、ミドルコート層35を形成した後に、ミドルコート層35の上からレーザー光を照射して加飾層33に対して行っているが、ミドルコート層35を形成する前に行ってもよい。この場合は、ミドルコート層35にも貫通エリアが形成される。また、トップコート層39を形成した後に、トップコート層39の上からレーザー光を照射し加飾層33に貫通エリア37を形成することを妨げない。この場合、加飾層35とともにトップコート層39にも貫通エリアが形成されることになる。なお、レーザー光照射により、貫通エリア37を囲む加飾層33の端面33aには、貫通エリア37を形成するため加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕(図示を省略)が形成されている。
第1実施形態における加飾層33は、たとえば、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ステンレス鋼(SUS)のような金属を蒸発させてキャップ1もしくはアンダーコート層31の表面に付着させてなる金属蒸着層により構成されている。金属蒸着層以外の加飾手段の採用を妨げないが、金属蒸着層は、たとえば、化粧品の容器のキャップに高級感ある金属光沢を持たせるために最適な方法の一つだからである。
上記した貫通エリア37を形成する理由は、その形状と大きさの関係から二つある。一つは、キャップ1の収縮率と異なる収縮率の加飾層33内に生じる内部応力を、加飾層33の伸び縮みに追従する貫通エリア37の拡大と縮小により吸収し、これによって、加飾層33の剥離や割れなどを有効に防止もしくは抑制するためである。この防止もしくは抑制という目的を達成するため本実施形態では、図2に示す斜線部分のように、閉鎖時の屈伸ヒンジ5のほぼ全体に渡って貫通エリア37を形成してある。貫通エリア37の形状は、上記目的が達成できる範囲であれば、上記のように屈伸ヒンジ5と同形状以外の形状も採用しうる。屈伸ヒンジ5の大きさより大きくしてもよいし、また、小さくしてもよい。また、屈伸ヒンジ5と同形にこだわる必要はなく、デザイン性を重視した適宜の形状を採用することができる。1か所だけでなく複数個所に分散して形成してもよい。さらに、デザイン性を保つために、屈伸ヒンジ5の部位回りだけでなく、屈伸ヒンジ5とは無関係の部位に飛び石のように貫通エリアを形成することを妨げない(図示省略)。
もう一つは、「そもそも存在しなければ加飾層が剥がれることはない」という理由である。この理由に基づく場合は、貫通エリア37は、当該貫通エリア37が設けられていないとしたとき、屈伸ヒンジ5が繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により加飾層33の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成することになる。この場合の貫通エリア37は、屈伸ヒンジ5の形状より貫通エリアを含めこれより僅かに大きな形状にすることが一般的である。
(第2の実施形態の構成)
図6および7を参照しながら、第2の実施形態に係るキャップについて説明する。キャップ51は、第1の実施形態に係るキャップ本体3と同じ基本構造を有し、構成素材、製造方法、加飾層や貫通エリアの作成手順等も共通である。両者間で異なるのは屈伸ヒンジの形態であるから、以下の説明はキャップ51の屈伸ヒンジおよび貫通エリアを主対象として行う。
(屈伸ヒンジの構成)
キャップ本体53と開閉蓋57は、短冊状の中央ヒンジ55と中央ヒンジ55の両側に設けられた側方ヒンジ56,56により開閉自在に連結されている。中央ヒンジ55は、その両脇に設けられた2本のスリット55s,55sによってキャップ本体53および開閉蓋57の双方から切り分けられ、図6に示す閉鎖状態から図7に示す開放状態になるようにL字状を保ったままキャップ本体53および開閉蓋57に対し出没可能に構成されている。中央ヒンジ55は、図6に示す閉鎖時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれ中に部分的に没入し、図7に示す開放時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれから全体的に突出するようになっている。出没を可能にするのは、中央ヒンジ55の長さ方向両端とほぼ中央部の3か所にある屈伸エリア55a,55b、55cの弾性屈伸作用によるものである。なお、L字状以外の形状の中央ヒンジを採用する場合は、屈伸箇所が増えた分だけ屈伸エリアも増加する(図示を省略)。
両側方ヒンジ56が有する弾性屈伸可能な屈伸エリアは、図6において符号56a,56aで示してある。両側方ヒンジ56が有する屈伸エリアは、屈伸エリア56aの1個だけであるが、上記と異なるヒンジ形態(図示を省略)を採用すればその形態に応じて数が増える場合があることは言うまでもない。また、側方ヒンジ自体が省略される場合もありえるが、その場合は屈曲エリアの数を論ずる意味がない。ここで第2の実施形態の説明に戻ると、上述した中央ヒンジ55の弾性屈伸作用と両側方ヒンジ56,56の弾性屈伸作用が相まってキャップ本体53に対する開閉蓋57の開閉が可能になっている。
(加飾層なしエリアの構成)
キャップ51はその表面が加飾層に被覆される一方、中央ヒンジ55の屈伸エリア55a,55b、55cと、両側方ヒンジ56の屈伸エリア56では、そのエリアに該当するエリアの加飾層は剥離され、それぞれ図6に斜線で示す貫通エリア59a,59b、59cと貫通エリア61a,61aになっている。これらの貫通エリアは、いずれも細長いエリアであって狭く形成してあるが、広くしたり特定の形状に形成したり、屈伸度合いが低いため加飾層を剥離しなかったり(たとえば、貫通エリア59bを形成しない)することもできる。
以上、第1および第2の実施形態では、それぞれ異なる形態の屈伸ヒンジについて説明したが、上記の屈伸ヒンジ以外の形態の屈伸ヒンジの採用を妨げない。たとえば、前掲の先行技術文献として示した特許文献1〜5に示されている各々のヒンジキャップの屈伸ヒンジの形態は少なくとも含まれる。いずれの場合であっても加飾層なしエリアを適宜の箇所に設けることにより、加飾層の剥離、これに伴う割れ等を有効に防止もしくは抑制することができる。
上述したキャップ51と同じ構造の貫通エリアを有するキャップ(実施キャップ)を次の仕様で製造し、実施キャップと同仕様で貫通エリアを形成しないキャップ(比較キャップ)との間で比較実験を行った。
(実施キャップの仕様)
実施キャップは、黒色のPP(ポリプロピレン)を基材とし、外径寸法は直径40ミリメートル・全高23ミリメートル(キャップ本体16ミリメートル+開閉蓋7ミリメートル)とした。キャップ本体と開閉蓋の基材の厚みは1.5ミリメートル、ヒンジ部分の厚みは1.2ミリメートル(もっとも薄い屈曲部位の厚みは0.3ミリメートル)とした。また、基材の上にアンダーコート層(11マイクロメートル)、加飾層(アルミニウムの蒸着層(80ナノメートル))、そしてトップコート層(10マイクロメートル)の順に各層を形成した。トップコート層を形成した後、レーザー光を照射して貫通エリアを形成した。この貫通エリアは、上述のキャップ51における側方ヒンジ57に対応して形成された貫通エリア61aに該当する。二つある側方ヒンジ57の一方を下記の比較対象とした。中央ヒンジ55を選択せずに一方の側方ヒンジ57を選択した理由は、側方ヒンジ57の可動角度(最大150〜180度)のほうが中央ヒンジ55よりも可動角度(最大90度、図7参照)よりも大きいのでより大きな応力が発生すること、応力が大きい分だけ加飾層の剥離や割れが生じやすいこと、からである。なお、実施キャップにおける側方ヒンジ57の部位の寸法は、縦8ミリメートル、横3ミリメートル、キャップ本体表面から見た最大高さ1.5ミリメートルとした。貫通エリア61aの部位の寸法は、横寸法は側方ヒンジ57の幅一杯となる3ミリメートル、縦寸法は1.5ミリメートルとした。
(比較方法)
上述の実施キャップと貫通エリアを有しない比較キャップとを、各々500回まで開閉(屈伸)作動試験を実施した。500回を選択した理由は、実施キャップは化粧用クリームの容器の場合を想定しており、その場合の通常の開閉回数は化粧用クリームの内容量と1回における平均使用量との関係から使い切るまで200回の開閉が想定され安全率を2.5としたからである(200×2.5=500回)。
(比較結果)
実施キャップの貫通エリアと、当該貫通エリアに該当する比較キャップの部位について、目視観察と顕微観察を行った。その結果、実施キャップでは500回の屈伸後であっても屈伸回数0(ゼロ)回の場合に比べ、意匠性(化粧容器としての目視美感)が損なわれることがなかった。その一方で、比較キャップでは、屈伸1回目で該当部位に加飾層のシワ
が目視観察され、顕微観察ではクラックとして確認された。この比較キャップのシワやクラックは、屈伸回数を100回、300回、500回と回数を重ねるに従いより意匠性を害する程度が累積的に高まり、最終的には加飾層の剥離が確認された。
(考察)
以上の比較実験により、貫通エリアが設けられていない比較キャップでは使用開始直後(1回の屈伸)から意匠性を著しく害するが、貫通エリアが設けられた実施キャップであれば意匠性を十分に保つことができるため、意匠性がもっとも重視される容器の一つである化粧品用容器はもとより、様々な容器のキャップとして好適適用することができる。その場合にあって、容器内容物を使い切るまで、キャップを購入時の美しい状態のまま保つことができるので容器内容物の消費者イメージを害するおそれが少ない。このことは、比較的伸縮率の小さい金属蒸着層により加飾層が形成されている場合に顕著である。
1 ヒンジキャップ
3 キャップ本体
5 屈伸ヒンジ
5a 屈伸板部
5b 可撓連結部
7 開閉蓋
11 円柱側壁
13 扁平凸部
15 放出孔
17 放出筒
21 円柱側壁
23 天板
25 栓突起
31 アンダーコート層
33 加飾層(金属蒸着層)
33a (加飾層の)端面
35 ミドルコート層(保護層)
37 貫通エリア
39 トップコート層(保護層)
51 ヒンジキャップ(キャップ)
53 キャップ本体
55 中央ヒンジ
56 側方ヒンジ
57 開閉蓋
59a,59b,59c 貫通エリア
61a 貫通エリア
101 容器
発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジ(蝶番)を介して設けられた開閉蓋を含む合成樹脂一体型のヒンジキャップとヒンジキャップの製造方法に関する。
化粧品、歯磨きペースト、食品、化学製品等を収納する容器に、合成樹脂一体型のヒンジキャップが用いられることが多い。「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいう。なお、以下の説明では、この合成樹脂一体型のヒンジキャップのことを、特に断らない限り、単にキャップと称する。
キャップが合成樹脂一体型である理由は、使用面と製造面から見ることができる。使用面では、ワンタッチで開閉蓋の開閉ができて使い勝手のよい点が挙げられる。製造面では、一体成形により製造され組立不要であるから製造容易でありコストが安い点を指摘できる。
ところで、昨今は容器だけでなくキャップにも物言わぬセールスマンとしての機能が求められるようになってきている。このため、キャップの外周面には、塗装、フィルムコーティング、金属蒸着形成その他の方法により加飾層が形成されるようになってきた。ヒンジを持たないキャップであれば問題なかったが、ヒンジキャップとなると開閉に伴うヒンジとヒンジ周辺の曲げに対する伸び縮みが問題となる。つまり、ヒンジとヒンジ周辺(両者を、適宜「ヒンジ等」という)は合成樹脂製であるから、その容器の用途や保存環境等を考慮した上である程度の伸び縮みに耐え得るように設計しておけばよい。
特開2001-171711号公報 特開2002-337904号公報 特開2002-326650号公報 特開2004-067185号公報 特開2005-239268号公報
しかし、キャップ外周面に形成される加飾層は、ヒンジ等と異なる率で伸び縮みするためヒンジ等の伸び縮みに追従できず、開閉回数がある程度を超えると、伸び縮みする部位が割れたりはがれたりすることがよく起こる。これは、使用に伴いキャップひいては容器を含めた全体の外観を著しく損なうことになる。場合によっては、キャップの加飾層の剥離が、本来は全く関係がないのにも関わらず、容器内容物(たとえば、化粧品)の消費者イメージを害してしまうおそれもある。本発明は、キャップのヒンジ部位が使用に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまうという問題を解決することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は、当初、加飾層の伸縮率をヒンジ等のそれと近似させることにより課題を解決しようと考えた。しかしながら、伸縮率を追求することにより、加飾層の本来の目的である加飾性に制限が生じることが判明した。たとえば、昨今の化粧容器になくてはならないとされる金属蒸着層による加飾ができなくなる、また、できたとしても大変高価なものになる、という事態が生じた。そこで発明者は、発想を転換し、割れや剥離が生ずるエリアの加飾層がもともと存在しなければ、上記課題自体が解消するという発想に至った。本発明は、その発想に基づくものである。その詳しい内容は項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たり行う用語の定義等は、発明カテゴリーの違いや記載の順番等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
(定義)
本明細書における「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、前掲の背景技術の欄で述べたとおり、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいい、上記三者以外の部位もしくは部材(たとえば、開閉蓋に設けられる摘まみ)を併せて一体成形したものを含む。一方、一体成形後に、合成樹脂や金属その他の素材により構成される部材(たとえば、金属製の装飾具)を固定もしくは付着等した場合のヒンジキャップも、依然として上記の合成樹脂一体型のヒンジキャップであることに変わりはない。ここで「屈伸ヒンジ」とは、開閉蓋の繰り返し開閉に伴い屈曲と伸展を繰り返すように構成されたヒンジのことをいい、合成樹脂の可撓性がこの屈伸を可能とする。屈伸ヒンジには、たとえば上述した特許文献1〜5に開示された形態のヒンジが含まれるが、これらに限られるものではなく、一体成形されたあらゆる形態のものが含まれる。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップに関するものである。当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸エリアに対応していることを特徴とする。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
請求項1の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止される。すなわち、加飾層なしエリアが設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。なお、ヒンジキャップの上に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の上に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップに関するものである。当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸ヒンジに対応しており、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きくもしくは小さく形成されていることを特徴とする。なお、ヒンジキャップの上に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の上に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
請求項2の発明によれば、屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、前記加飾層なしエリアを囲む前記加飾層の端面には、前記加飾層なしエリアを形成するためのレーザー光照射によレーザー光照射痕が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、加飾層を形成した後にレーザー光を照射して加飾層を事後的に部分剥離することにより加飾層なしのエリア、すなわち貫通エリアを形成することができる。加飾層なしエリアの形成は、加飾層形成時において事前に形成することも可能であるが、上記した事後形成も可能である。レーザー光照射による剥離以外の方法を妨げるものではないが、レーザー光照射による剥離は微細加工ができるのでたいへん便利である。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3いずれか記載の発明であって、前記加飾層は、金属蒸着層のみ、もしくは、金属蒸着層を含む複数の層から構成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、加飾層に金属蒸着層を用いることにより、光沢のある加飾を施すことができる。金属蒸着層は合成樹脂層などに比べ伸縮しづらいので、剥離もしくは割れをより生じやすい。このため、剥離や割れを防ぐ上で貫通エリアの存在がより効果的なものとなる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明であって、前記加飾層と前記ヒンジキャップの外周面との間に、少なくとも1層のアンダーコート層が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、アンダーコート層の形成により、ヒンジキャップに対する加飾層の付着性を高めるので、加飾層の剥離もしくは割れをより効果的に防止もしくは抑制することができる。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層が形成されていることを特徴とする。保護層が単層であるばあいのそれをトップコート層と、また、複層の場合の一番外側の保護層をトップコート層とそしてトップコート層以外の1層または2層以上の中間保護層をミドルコート層と呼ぶこともある。
請求項6の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制を図ることができる。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明であって、前記単層の保護層、もしくは、前記複層の保護層の少なくとも一部には、前記加飾層なしエリアと同じ形状であり厚み方向に貫通する貫通エリアが形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、貫通エリアが設けられた保護層は、加飾層の加飾層なしエリアと同じ形状の貫通エリアの収縮拡張作用により、加飾層の伸び縮みにより追従しやすくなる。このため、加飾層への負担が軽減され、その結果、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止もしくは抑制される。加飾層の加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアを同じ形状としたのは、上述の追従が行われやすくするためと、加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアをレーザー光照射などにより一括形成できるようにして手間を少なくするためである。
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、 当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、当当該屈伸エリアに対応する当該加飾層にレーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含ことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項8の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止されたヒンジキャップを製造することができる。すなわち、加飾層なしエリアが屈伸エリアの上に設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、当該屈伸ヒンジに対応する当該加飾層に、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きいもしくは小さい形状の加飾層なしエリアを、レーザー光照射により形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含むことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項9の発明によれば、加飾層なしエリアを有することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを効率よく製造することができる。屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明は、請求項8または9の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層を形成する保護層形成工程を含むことを特徴とする。
請求項10の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを製造することができる
本発明によれば、キャップのヒンジ等の部位が開閉蓋の繰り返し開閉に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまう事態を有効に防止もしくは抑制することができる。したがって、キャップを備える容器全体の外観印象を害することがない。
第1実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図1に示すヒンジキャップの背面図である。 図1に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態を示す平面図である。 第1実施形態に係るヒンジキャップの製造工程を示すフロー図である。 図2に示すヒンジキャップのX−X断面の部分拡大図である。 第2実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図6に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態の側面図である。 実施例における比較結果を示す図表である。
(第1の実施形態の構成)
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1および2において、1はヒンジ(ヒンジキャップ)であって、図1に二点鎖線で示す容器の上部に取付けられる円筒状のキャップ本体3と、キャップ本体3とほぼ同径円板状の開閉蓋7とを備え、両者はヒンジ5とともに一体成形されている。ヒンジキャップ1全体の樹脂材料として、たとえばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などを好適に用いることができる。
(キャップ本体の構成)
図3に示すように、キャップ本体3は、円柱側壁11と、円柱側壁11より僅かに小径で上部(図3の紙面手前方向)に突出する扁平凸部13とを有している。扁平凸部13のほぼ中央には、容器101に収容された収容物(たとえば、化粧品)を放出する放出孔15が厚み方向(図3の紙面厚み方向)に貫通され、放出口15の周りは放出筒17に囲まれている。なお、キャップ本体3は、後述する開閉蓋7とともに、容器101の形状や容器101内に収容される収容物の性状などに応じて様々な形態を採用することができる。本実施形態では上から見た形状を円形としたが、これを、たとえば楕円形としたり矩形としたりすることもできる。放出孔15の形成位置も、デザイン性などを考慮して自由に選択してよい。
(開閉蓋の構成)
開閉蓋7は、キャップ本体3の円柱側壁11と同じ外径の円柱頂壁21と、円柱側壁21のキャップ本体3から遠いほうの端面を閉鎖する天板23とを有している。天板23のキャップ本体3に対する対向面には、放出孔15を塞ぐ栓突起25が放出孔15に向かって突き出している。円柱側壁21のヒンジ5の反対側には、開閉蓋7を開閉する際に使用者が指で摘まむための摘み27が設けられている。円柱頂壁21の内径は、キャップ本体3の扁平凹部13の外径より極僅か大きい内径に設定され、閉鎖時に円柱頂壁21が扁平プ部13の周りにきっちりと嵌って閉鎖状態を保ち、この閉鎖状態は、使用者が摘まみ27を開放方向に押すことによって開閉蓋7を開放させることができるようになっている。
(屈伸ヒンジの構成)
次に、キャップ本体3と開閉蓋7にまたがって設けられた屈伸ヒンジ5について説明する。図3に示す屈伸ヒンジ5は、キャップ本体3の円柱側壁11と開閉蓋7の円柱側壁21の屈伸自在に連結する肉薄の屈伸板部5aと、屈伸板部5aの両端それぞれには、屈伸板部5aの端部を1つの頂点とし他の2つの頂点がそれぞれキャップ本体3と開閉蓋7に一体連結された三角形状の可撓連結部5b,5bと、を備えている。屈伸板部5aは、キャップ本体3に対し開閉蓋7を開閉させる際に弾性的に屈伸するようになっている。可撓連結部5b各々は、開閉蓋7の開閉に即して弾性変形して開閉に追従するように構成されている。屈伸板部5aと両可撓連結部5b,5bは、それらの屈伸により伸び縮み(膨張、収縮等)する場合がある。
(ヒンジキャップの製造方法)
図4および5に基づき、キャップ1の製造方法を説明する。まず、PPなどの合成樹脂材を成形してキャップ1(キャップ本体3、開閉蓋7および両者を連結する屈伸ヒンジ5)全体を、図外の射出成型機を用いて一体成形する(ステップ1)。キャップ1(キャップ本体3および開閉蓋7)の外周面には、まず、好ましくはアンダーコート層31が形成され(ステップ3)、その上に加飾層33を形成する(ステップ)。加飾層33を外部から保護することを必要と考えるときはミドルコート層(中間の保護層)35を形成するとよい(ステップ7)。次にレーザー照射装置(図示を省略)を用いて後述する貫通エリア37を形成する(ステップ9)。好ましい態様として、加飾層35をさらに保護するため、上述のミドルコート35の上に、もしくは、ミドルコート35を形成せずに、トップコート層(保護層)39を形成する(ステップ11)。
アンダーコート層31は、加飾層33をキャップ1の表面に確実に付着させることにより加飾層33の剥離防止を主目的とし、ミドルコート層35やトップコート層37は、加飾層35を外部から保護することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制することを主目的とする。本実施形態における加飾層なしエリア37の形成は、ミドルコート層35を形成した後に、ミドルコート層35の上からレーザー光を照射して加飾層33に対して行っているが、ミドルコート層35を形成する前に行ってもよい。この場合は、ミドルコート層35には、その厚み方向に貫通する貫通エリア(部材番号省略)が形成される。すなわち、貫通エリアは、図5において加飾層33に形成された加飾層なしエリアの右側に位置し、ミドルコート層35に形成されたエリアである。また、トップコート層39を形成した後に、トップコート層39の上からレーザー光を照射し加飾層33に加飾層なしエリア37を形成することを妨げない。この場合、加飾層33およびミドルコート層35とともにトップコート層39にも厚み方向に貫通する貫通エリア(図示を省略する)が形成されることになる。なお、レーザー光照射により、加飾層なしエリア37を囲む加飾層33の端面33aには、加飾層なしエリア37を形成するため加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕(図示を省略)が形成されている。
第1実施形態における加飾層33は、たとえば、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ステンレス鋼(SUS)のような金属を蒸発させてキャップ1もしくはアンダーコート層31の表面に付着させてなる金属蒸着層により構成されている。金属蒸着層以外の加飾手段の採用を妨げないが、金属蒸着層は、たとえば、化粧品の容器のキャップに高級感ある金属光沢を持たせるために最適な方法の一つだからである。
上記した加飾層なしエリア37を形成する理由は、その形状と大きさの関係から二つある。一つは、キャップ1の収縮率と異なる収縮率の加飾層33内に生じる内部応力を、加飾層33の伸び縮みに追従する加飾層なしエリア37の拡大と縮小により吸収し、これによって、加飾層33の剥離や割れなどを有効に防止もしくは抑制するためである。この防止もしくは抑制という目的を達成するため本実施形態では、図2に示す斜線部分のように、閉鎖時の屈伸ヒンジ5に対応する加飾層37のほぼ全体に渡って加飾層なしエリア37を形成してある。加飾層なしエリア37の形状は、上記目的が達成できる範囲であれば、上記のように屈伸ヒンジ5と同形状以外の形状も採用しうる。屈伸ヒンジ5の大きさより大きくしてもよいし、また、小さくしてもよい。また、屈伸ヒンジ5と同形にこだわる必要はなく、デザイン性を重視した適宜の形状を採用することができる。1か所だけでなく複数個所に分散して形成してもよい。さらに、デザイン性を保つために、屈伸ヒンジ5の部位回りだけでなく、屈伸ヒンジ5とは無関係の部位に飛び石のように加飾層なしエリア(図示を省略)を形成することを妨げない(図示省略)。
もう一つは、「そもそも存在しなければ加飾層が剥がれることはない」という理由である。この理由に基づく場合は、加飾層なしエリア37は、当該加飾層なしエリア37が設けられていないとしたとき、屈伸ヒンジ5が繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により加飾層33の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成することになる。この場合の加飾層なしエリア37は、屈伸ヒンジ5の形状より加飾層なしエリアを含めこれより僅かに大きな形状にすることが一般的である。
(第2の実施形態の構成)
図6および7を参照しながら、第2の実施形態に係るキャップについて説明する。キャップ51は、第1の実施形態に係るキャップ本体3と同じ基本構造を有し、構成素材、製造方法、加飾層や加飾層なしエリアの作成手順等も共通である。両者間で異なるのは屈伸ヒンジの形態であるから、以下の説明はキャップ51の屈伸ヒンジおよび加飾層なしエリアを主対象として行う。
(屈伸ヒンジの構成)
キャップ本体53と開閉蓋57は、短冊状の中央ヒンジ55と中央ヒンジ55の両側に設けられた側方ヒンジ56,56により開閉自在に連結されている。中央ヒンジ55は、その両脇に設けられた2本のスリット55s,55sによってキャップ本体53および開閉蓋57の双方から切り分けられ、図6に示す閉鎖状態から図7に示す開放状態になるようにL字状を保ったままキャップ本体53および開閉蓋57に対し出没可能に構成されている。中央ヒンジ55は、図6に示す閉鎖時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれ中に部分的に没入し、図7に示す開放時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれから全体的に突出するようになっている。出没を可能にするのは、中央ヒンジ55の長さ方向両端とほぼ中央部の3か所にある屈伸エリア55a,55b、55cの弾性屈伸作用によるものである。なお、L字状以外の形状の中央ヒンジを採用する場合は、屈伸箇所が増えた分だけ屈伸エリアも増加する(図示を省略)。
両側方ヒンジ56が有する弾性屈伸可能な屈伸エリアは、図6において符号56a,56aで示してある。両側方ヒンジ56が有する屈伸エリアは、屈伸エリア56aの1個だけであるが、上記と異なるヒンジ形態(図示を省略)を採用すればその形態に応じて数が増える場合があることは言うまでもない。また、側方ヒンジ自体が省略される場合もありえるが、その場合は屈曲エリアの数を論ずる意味がない。ここで第2の実施形態の説明に戻ると、上述した中央ヒンジ55の弾性屈伸作用と両側方ヒンジ56,56の弾性屈伸作用が相まってキャップ本体53に対する開閉蓋57の開閉が可能になっている。
(加飾層なしエリアの構成)
キャップ51はその表面が加飾層に被覆される一方、中央ヒンジ55の屈伸エリア55a,55b、55cと、両側方ヒンジ56の屈伸エリア56では、そのエリアに該当するエリアの加飾層は部分剥離され、それぞれ図6に斜線で示す加飾層なしエリア59a,59b、59cと加飾層なしエリア61a,61aになっている。これらの加飾層なしエリアは、いずれも細長いエリアであって狭く形成してあるが、広くしたり特定の形状に形成したり、屈伸度合いが低いため加飾層を部分剥離しなかったり(たとえば、加飾層なしエリア59bを形成しない)することもできる。
以上、第1および第2の実施形態では、それぞれ異なる形態の屈伸ヒンジについて説明したが、上記の屈伸ヒンジ以外の形態の屈伸ヒンジの採用を妨げない。たとえば、前掲の先行技術文献として示した特許文献1〜5に示されている各々のヒンジキャップの屈伸ヒンジの形態は少なくとも含まれる。いずれの場合であっても加飾層なしエリアを適宜の箇所に設けることにより、加飾層の剥離、これに伴う割れ等を有効に防止もしくは抑制することができる。
上述したキャップ51と同じ構造の加飾層なしエリアを有するキャップ(実施キャップ)を次の仕様で製造し、実施キャップと同仕様で加飾層なしエリアを形成しないキャップ(比較キャップ)との間で比較実験を行った。
(実施キャップの仕様)
実施キャップは、黒色のPP(ポリプロピレン)を基材とし、外径寸法は直径40ミリメートル・全高23ミリメートル(キャップ本体16ミリメートル+開閉蓋7ミリメートル)とした。キャップ本体と開閉蓋の基材の厚みは1.5ミリメートル、ヒンジ部分の厚みは1.2ミリメートル(もっとも薄い屈曲部位の厚みは0.3ミリメートル)とした。また、基材の上にアンダーコート層(11マイクロメートル)、加飾層(アルミニウムの蒸着層(80ナノメートル))、そしてトップコート層(10マイクロメートル)の順に各層を形成した。トップコート層を形成した後、レーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成した。この加飾層なしエリアは、上述のキャップ51における側方ヒンジ57に対応して形成された加飾層なしエリア61aに該当する。二つある側方ヒンジ57の一方を下記の比較対象とした。中央ヒンジ55を選択せずに一方の側方ヒンジ57を選択した理由は、側方ヒンジ57の可動角度(最大150〜180度)のほうが中央ヒンジ55よりも可動角度(最大90度、図7参照)よりも大きいのでより大きな応力が発生すること、応力が大きい分だけ加飾層の剥離や割れが生じやすいこと、からである。なお、実施キャップにおける側方ヒンジ57の部位の寸法は、縦8ミリメートル、横3ミリメートル、キャップ本体表面から見た最大高さ1.5ミリメートルとした。加飾層なしエリア61aの部位の寸法は、横寸法は側方ヒンジ57の幅一杯となる3ミリメートル、縦寸法は1.5ミリメートルとした。
(比較方法)
上述の実施キャップと加飾層なしエリアを有しない比較キャップとを、各々500回まで開閉(屈伸)作動試験を実施した。500回を選択した理由は、実施キャップは化粧用クリームの容器の場合を想定しており、その場合の通常の開閉回数は化粧用クリームの内容量と1回における平均使用量との関係から使い切るまで200回の開閉が想定され安全率を2.5としたからである(200×2.5=500回)。
(比較結果)
実施キャップの加飾層なしエリアと、当該加飾層なしエリアに該当する比較キャップの部位について、目視観察と顕微観察を行った。その結果、実施キャップでは500回の屈伸後であっても屈伸回数0(ゼロ)回の場合に比べ、意匠性(化粧容器としての目視美感)が損なわれることがなかった。その一方で、比較キャップでは、屈伸1回目で該当部位に加飾層のシワ
が目視観察され、顕微観察ではクラックとして確認された。この比較キャップのシワやクラックは、屈伸回数を100回、300回、500回と回数を重ねるに従いより意匠性を害する程度が累積的に高まり、最終的には加飾層の剥離が確認された。
(考察)
以上の比較実験により、加飾層なしエリアが設けられていない比較キャップでは使用開始直後(1回の屈伸)から意匠性を著しく害するが、加飾層なしエリアが設けられた実施キャップであれば意匠性を十分に保つことができるため、意匠性がもっとも重視される容器の一つである化粧品用容器はもとより、様々な容器のキャップとして好適適用することができる。その場合にあって、容器内容物を使い切るまで、キャップを購入時の美しい状態のまま保つことができるので容器内容物の消費者イメージを害するおそれが少ない。このことは、比較的伸縮率の小さい金属蒸着層により加飾層が形成されている場合に顕著である。
1 ヒンジキャップ
3 キャップ本体
5 屈伸ヒンジ
5a 屈伸板部
5b 可撓連結部
7 開閉蓋
11 円柱側壁
13 扁平凸部
15 放出孔
17 放出筒
21 円柱側壁
23 天板
25 栓突起
31 アンダーコート層
33 加飾層(金属蒸着層)
33a (加飾層の)端面
35 ミドルコート層(保護層)
37 加飾層なしエリア
39 トップコート層(保護層)
51 ヒンジキャップ(キャップ)
53 キャップ本体
55 中央ヒンジ
56 側方ヒンジ
57 開閉蓋
59a,59b,59c 加飾層なしエリア
61a 加飾層なしエリア
101 容器
発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジ(蝶番)を介して設けられた開閉蓋を含む合成樹脂一体型のヒンジキャップとヒンジキャップの製造方法に関する。
化粧品、歯磨きペースト、食品、化学製品等を収納する容器に、合成樹脂一体型のヒンジキャップが用いられることが多い。「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいう。なお、以下の説明では、この合成樹脂一体型のヒンジキャップのことを、特に断らない限り、単にキャップと称する。
キャップが合成樹脂一体型である理由は、使用面と製造面から見ることができる。使用面では、ワンタッチで開閉蓋の開閉ができて使い勝手のよい点が挙げられる。製造面では、一体成形により製造され組立不要であるから製造容易でありコストが安い点を指摘できる。
ところで、昨今は容器だけでなくキャップにも物言わぬセールスマンとしての機能が求められるようになってきている。このため、キャップの外周面には、塗装、フィルムコーティング、金属蒸着形成その他の方法により加飾層が形成されるようになってきた。ヒンジを持たないキャップであれば問題なかったが、ヒンジキャップとなると開閉に伴うヒンジとヒンジ周辺の曲げに対する伸び縮みが問題となる。つまり、ヒンジとヒンジ周辺(両者を、適宜「ヒンジ等」という)は合成樹脂製であるから、その容器の用途や保存環境等を考慮した上である程度の伸び縮みに耐え得るように設計しておけばよい。
特開2001-171711号公報 特開2002-337904号公報 特開2002-326650号公報 特開2004-067185号公報 特開2005-239268号公報
しかし、キャップ外周面に形成される加飾層は、ヒンジ等と異なる率で伸び縮みするためヒンジ等の伸び縮みに追従できず、開閉回数がある程度を超えると、伸び縮みする部位が割れたりはがれたりすることがよく起こる。これは、使用に伴いキャップひいては容器を含めた全体の外観を著しく損なうことになる。場合によっては、キャップの加飾層の剥離が、本来は全く関係がないのにも関わらず、容器内容物(たとえば、化粧品)の消費者イメージを害してしまうおそれもある。本発明は、キャップのヒンジ部位が使用に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまうという問題を解決することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は、当初、加飾層の伸縮率をヒンジ等のそれと近似させることにより課題を解決しようと考えた。しかしながら、伸縮率を追求することにより、加飾層の本来の目的である加飾性に制限が生じることが判明した。たとえば、昨今の化粧容器になくてはならないとされる金属蒸着層による加飾ができなくなる、また、できたとしても大変高価なものになる、という事態が生じた。そこで発明者は、発想を転換し、割れや剥離が生ずるエリアの加飾層がもともと存在しなければ、上記課題自体が解消するという発想に至った。本発明は、その発想に基づくものである。その詳しい内容は項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たり行う用語の定義等は、発明カテゴリーの違いや記載の順番等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
(定義)
本明細書における「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、前掲の背景技術の欄で述べたとおり、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいい、上記三者以外の部位もしくは部材(たとえば、開閉蓋に設けられる摘まみ)を併せて一体成形したものを含む。一方、一体成形後に、合成樹脂や金属その他の素材により構成される部材(たとえば、金属製の装飾具)を固定もしくは付着等した場合のヒンジキャップも、依然として上記の合成樹脂一体型のヒンジキャップであることに変わりはない。ここで「屈伸ヒンジ」とは、開閉蓋の繰り返し開閉に伴い屈曲と伸展を繰り返すように構成されたヒンジのことをいい、合成樹脂の可撓性がこの屈伸を可能とする。屈伸ヒンジには、たとえば上述した特許文献1〜5に開示された形態のヒンジが含まれるが、これらに限られるものではなく、一体成形されたあらゆる形態のものが含まれる。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面の外側全体に直接もしくは間接に加飾層が形成されている単一合成樹脂材を一体成形してなるヒンジキャップに関するものである。当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸エリアに対応していることを特徴とする。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
請求項1の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止される。すなわち、加飾層なしエリアが設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。なお、ヒンジキャップの外側全体に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の外側全体に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面の外側全体に直接もしくは間接に加飾層が形成されている単一合成樹脂材を一体成形してなるヒンジキャップに関するものである。当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸ヒンジに対応しており、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きくもしくは小さく形成されていることを特徴とする。なお、ヒンジキャップの外側全体に加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の外側全体に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層の外側全体に、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
請求項2の発明によれば、屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、前記加飾層なしエリアを囲む前記加飾層の端面には、前記加飾層なしエリアを形成するためのレーザー光照射によるレーザー光照射痕が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、加飾層を形成した後にレーザー光を照射して加飾層を事後的に部分剥離することにより加飾層なしのエリア、すなわち貫通エリアを形成することができる。加飾層なしエリアの形成は、加飾層形成時において事前に形成することも可能であるが、上記した事後形成も可能である。レーザー光照射による剥離以外の方法を妨げるものではないが、レーザー光照射による剥離は微細加工ができるのでたいへん便利である。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3いずれか記載の発明であって、前記加飾層は、金属蒸着層のみ、もしくは、金属蒸着層を含む複数の層から構成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、加飾層に金属蒸着層を用いることにより、光沢のある加飾を施すことができる。金属蒸着層は合成樹脂層などに比べ伸縮しづらいので、剥離もしくは割れをより生じやすい。このため、剥離や割れを防ぐ上で貫通エリアの存在がより効果的なものとなる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明であって、前記加飾層と前記キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋との間に、少なくとも1層のアンダーコート層が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、アンダーコート層の形成により、ヒンジキャップに対する加飾層の付着性を高めるので、加飾層の剥離もしくは割れをより効果的に防止もしくは抑制することができる。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層が形成されていることを特徴とする。保護層が単層であるばあいのそれをトップコート層と、また、複層の場合の一番外側の保護層をトップコート層とそしてトップコート層以外の1層または2層以上の中間保護層をミドルコート層と呼ぶこともある。
請求項6の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制を図ることができる。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明であって、前記単層の保護層、もしくは、前記複層の保護層の少なくとも一部には、前記加飾層なしエリアと同じ形状であり厚み方向に貫通する貫通エリアが形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、貫通エリアが設けられた保護層は、加飾層の加飾層なしエリアと同じ形状の貫通エリアの収縮拡張作用により、加飾層の伸び縮みにより追従しやすくなる。このため、加飾層への負担が軽減され、その結果、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止もしくは抑制される。加飾層の加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアを同じ形状としたのは、上述の追従が行われやすくするためと、加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアをレーザー光照射などにより一括形成できるようにして手間を少なくするためである。



(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、 当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、 当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面の外側全体に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。単一合成樹脂材を一体成形して当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋を製造する成形工程と、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面の外側全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、当該アンダーコート層の外周面の外側全体に加飾層を形成する加飾工程と、当当該屈伸エリアに対応する当該加飾層にレーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含むことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項8の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止されたヒンジキャップを製造することができる。すなわち、加飾層なしエリアが屈伸エリアの上に設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の外側全体に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。単一合成樹脂材を一体成形して当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋を製造する成形工程と、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面の外側全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、当該アンダーコート層の外周面の外側全体に加飾層を形成する加飾工程と、当該屈伸ヒンジに対応する当該加飾層に、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きいもしくは小さい形状の加飾層なしエリアを、レーザー光照射により形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含むことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項9の発明によれば、加飾層なしエリアを有することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを効率よく製造することができる。屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明は、請求項8または9の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層を形成する保護層形成工程を含むことを特徴とする。
請求項10の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを製造することができる
本発明によれば、キャップのヒンジ等の部位が開閉蓋の繰り返し開閉に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまう事態を有効に防止もしくは抑制することができる。したがって、キャップを備える容器全体の外観印象を害することがない。
第1実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図1に示すヒンジキャップの背面図である。 図1に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態を示す平面図である。 第1実施形態に係るヒンジキャップの製造工程を示すフロー図である。 図2に示すヒンジキャップのX−X断面の部分拡大図である。 第2実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図6に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態の側面図である。 実施例における比較結果を示す図表である。
(第1の実施形態の構成)
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1および2において、1はヒンジ(ヒンジキャップ)であって、図1に二点鎖線で示す容器の上部に取付けられる円筒状のキャップ本体3と、キャップ本体3とほぼ同径円板状の開閉蓋7とを備え、両者はヒンジ5とともに一体成形されている。ヒンジキャップ1全体の樹脂材料として、たとえばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などを好適に用いることができる。
(キャップ本体の構成)
図3に示すように、キャップ本体3は、円柱側壁11と、円柱側壁11より僅かに小径で上部(図3の紙面手前方向)に突出する扁平凸部13とを有している。扁平凸部13のほぼ中央には、容器101に収容された収容物(たとえば、化粧品)を放出する放出孔15が厚み方向(図3の紙面厚み方向)に貫通され、放出口15の周りは放出筒17に囲まれている。なお、キャップ本体3は、後述する開閉蓋7とともに、容器101の形状や容器101内に収容される収容物の性状などに応じて様々な形態を採用することができる。本実施形態では上から見た形状を円形としたが、これを、たとえば楕円形としたり矩形としたりすることもできる。放出孔15の形成位置も、デザイン性などを考慮して自由に選択してよい。
(開閉蓋の構成)
開閉蓋7は、キャップ本体3の円柱側壁11と同じ外径の円柱頂壁21と、円柱側壁21のキャップ本体3から遠いほうの端面を閉鎖する天板23とを有している。天板23のキャップ本体3に対する対向面には、放出孔15を塞ぐ栓突起25が放出孔15に向かって突き出している。円柱側壁21のヒンジ5の反対側には、開閉蓋7を開閉する際に使用者が指で摘まむための摘み27が設けられている。円柱頂壁21の内径は、キャップ本体3の扁平凹部13の外径より極僅か大きい内径に設定され、閉鎖時に円柱頂壁21が扁平プ部13の周りにきっちりと嵌って閉鎖状態を保ち、この閉鎖状態は、使用者が摘まみ27を開放方向に押すことによって開閉蓋7を開放させることができるようになっている。
(屈伸ヒンジの構成)
次に、キャップ本体3と開閉蓋7にまたがって設けられた屈伸ヒンジ5について説明する。図3に示す屈伸ヒンジ5は、キャップ本体3の円柱側壁11と開閉蓋7の円柱側壁21の屈伸自在に連結する肉薄の屈伸板部5aと、屈伸板部5aの両端それぞれには、屈伸板部5aの端部を1つの頂点とし他の2つの頂点がそれぞれキャップ本体3と開閉蓋7に一体連結された三角形状の可撓連結部5b,5bと、を備えている。屈伸板部5aは、キャップ本体3に対し開閉蓋7を開閉させる際に弾性的に屈伸するようになっている。可撓連結部5b各々は、開閉蓋7の開閉に即して弾性変形して開閉に追従するように構成されている。屈伸板部5aと両可撓連結部5b,5bは、それらの屈伸により伸び縮み(膨張、収縮等)する場合がある。
(ヒンジキャップの製造方法)
図4および5に基づき、キャップ1の製造方法を説明する。まず、PPなどの単一合成樹脂材を一体成形してキャップ1(キャップ本体3、開閉蓋7および両者を連結する屈伸ヒンジ5)全体を、図外の射出成型機を用いて一体成形する(ステップ1)。キャップ1(キャップ本体3、屈伸ヒンジ5および開閉蓋7)の外周面外側全体には、まず、好ましくはアンダーコート層31が形成され(ステップ3)、その上に加飾層33を形成する(ステップ5)。加飾層33を外部から保護することを必要と考えるときはミドルコート層(中間の保護層)35を形成するとよい(ステップ7)。次にレーザー照射装置(図示を省略)を用いて後述する貫通エリア37を形成する(ステップ9)。好ましい態様として、加飾層35をさらに保護するため、上述のミドルコート35の上に、もしくは、ミドルコート35を形成せずに、トップコート層(保護層)39を形成する(ステップ11)。なお、図5における符号3aは、キャップ本体3と開閉蓋7を構成する基材を示す。
アンダーコート層31は、加飾層33をキャップ1の表面に確実に付着させることにより加飾層33の剥離防止を主目的とし、ミドルコート層35やトップコート層3は、加飾層3を外部から保護することにより加飾層33の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制することを主目的とする。本実施形態における加飾層なしエリア37の形成は、ミドルコート層35を形成した後に、ミドルコート層35の上からレーザー光を照射して加飾層33に対して行っているが、ミドルコート層35を形成する前に行ってもよい。この場合は、ミドルコート層35には、その厚み方向に貫通する貫通エリア(部材番号省略)が形成される。すなわち、貫通エリアは、図5において加飾層33に形成された加飾層なしエリアの右側に位置し、ミドルコート層35に形成されたエリアである。また、トップコート層39を形成した後に、トップコート層39の上からレーザー光を照射し加飾層33に加飾層なしエリア37を形成することを妨げない。この場合、加飾層33およびミドルコート層35とともにトップコート層39にも厚み方向に貫通する貫通エリア(図示を省略する)が形成されることになる。なお、レーザー光照射により、加飾層なしエリア37を囲む加飾層33の端面33aには、加飾層なしエリア37を形成するため加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕(図示を省略)が形成されている。
第1実施形態における加飾層33は、たとえば、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ステンレス鋼(SUS)のような金属を蒸発させてキャップ1もしくはアンダーコート層31の表面に付着させてなる金属蒸着層により構成されている。金属蒸着層以外の加飾手段の採用を妨げないが、金属蒸着層は、たとえば、化粧品の容器のキャップに高級感ある金属光沢を持たせるために最適な方法の一つだからである。
上記した加飾層なしエリア37を形成する理由は、その形状と大きさの関係から二つある。一つは、キャップ1の収縮率と異なる収縮率の加飾層33内に生じる内部応力を、加飾層33の伸び縮みに追従する加飾層なしエリア37の拡大と縮小により吸収し、これによって、加飾層33の剥離や割れなどを有効に防止もしくは抑制するためである。この防止もしくは抑制という目的を達成するため本実施形態では、図2に示す斜線部分のように、閉鎖時の屈伸ヒンジ5に対応する加飾層37のほぼ全体に渡って加飾層なしエリア37を形成してある。加飾層なしエリア37の形状は、上記目的が達成できる範囲であれば、上記のように屈伸ヒンジ5と同形状以外の形状も採用しうる。屈伸ヒンジ5の大きさより大きくしてもよいし、また、小さくしてもよい。また、屈伸ヒンジ5と同形にこだわる必要はなく、デザイン性を重視した適宜の形状を採用することができる。1か所だけでなく複数個所に分散して形成してもよい。さらに、デザイン性を保つために、屈伸ヒンジ5の部位回りだけでなく、屈伸ヒンジ5とは無関係の部位に飛び石のように加飾層なしエリア(図示を省略)を形成することを妨げない(図示省略)。
もう一つは、「そもそも存在しなければ加飾層が剥がれることはない」という理由である。この理由に基づく場合は、加飾層なしエリア37は、当該加飾層なしエリア37が設けられていないとしたとき、屈伸ヒンジ5が繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により加飾層33の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成することになる。この場合の加飾層なしエリア37は、屈伸ヒンジ5の形状より加飾層なしエリアを含めこれより僅かに大きな形状にすることが一般的である。
(第2の実施形態の構成)
図6および7を参照しながら、第2の実施形態に係るキャップについて説明する。キャップ51は、第1の実施形態に係るキャップ本体3と同じ基本構造を有し、構成素材、製造方法、加飾層や加飾層なしエリアの作成手順等も共通である。両者間で異なるのは屈伸ヒンジの形態であるから、以下の説明はキャップ51の屈伸ヒンジおよび加飾層なしエリアを主対象として行う。
(屈伸ヒンジの構成)
キャップ本体53と開閉蓋57は、短冊状の中央ヒンジ55と中央ヒンジ55の両側に設けられた側方ヒンジ56,56により開閉自在に連結されている。中央ヒンジ55は、その両脇に設けられた2本のスリット55s,55sによってキャップ本体53および開閉蓋57の双方から切り分けられ、図6に示す閉鎖状態から図7に示す開放状態になるようにL字状を保ったままキャップ本体53および開閉蓋57に対し出没可能に構成されている。中央ヒンジ55は、図6に示す閉鎖時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれ中に部分的に没入し、図7に示す開放時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれから全体的に突出するようになっている。出没を可能にするのは、中央ヒンジ55の長さ方向両端とほぼ中央部の3か所にある屈伸エリア55a,55b、55cの弾性屈伸作用によるものである。なお、L字状以外の形状の中央ヒンジを採用する場合は、屈伸箇所が増えた分だけ屈伸エリアも増加する(図示を省略)。
両側方ヒンジ56が有する弾性屈伸可能な屈伸エリアは、図6において符号56a,56aで示してある。両側方ヒンジ56が有する屈伸エリアは、屈伸エリア56aの1個だけであるが、上記と異なるヒンジ形態(図示を省略)を採用すればその形態に応じて数が増える場合があることは言うまでもない。また、側方ヒンジ自体が省略される場合もありえるが、その場合は屈曲エリアの数を論ずる意味がない。ここで第2の実施形態の説明に戻ると、上述した中央ヒンジ55の弾性屈伸作用と両側方ヒンジ56,56の弾性屈伸作用が相まってキャップ本体53に対する開閉蓋57の開閉が可能になっている。
(加飾層なしエリアの構成)
キャップ51はその表面が加飾層に被覆される一方、中央ヒンジ55の屈伸エリア55a,55b、55cと、両側方ヒンジ56の屈伸エリア56では、そのエリアに該当するエリアの加飾層は部分剥離され、それぞれ図6に斜線で示す加飾層なしエリア59a,59b、59cと加飾層なしエリア61a,61aになっている。これらの加飾層なしエリアは、いずれも細長いエリアであって狭く形成してあるが、広くしたり特定の形状に形成したり、屈伸度合いが低いため加飾層を部分剥離しなかったり(たとえば、加飾層なしエリア59bを形成しない)することもできる。
以上、第1および第2の実施形態では、それぞれ異なる形態の屈伸ヒンジについて説明したが、上記の屈伸ヒンジ以外の形態の屈伸ヒンジの採用を妨げない。たとえば、前掲の先行技術文献として示した特許文献1〜5に示されている各々のヒンジキャップの屈伸ヒンジの形態は少なくとも含まれる。いずれの場合であっても加飾層なしエリアを適宜の箇所に設けることにより、加飾層の剥離、これに伴う割れ等を有効に防止もしくは抑制することができる。
上述したキャップ51と同じ構造の加飾層なしエリアを有するキャップ(実施キャップ)を次の仕様で製造し、実施キャップと同仕様で加飾層なしエリアを形成しないキャップ(比較キャップ)との間で比較実験を行った。
(実施キャップの仕様)
実施キャップは、黒色のPP(ポリプロピレン)を基材とし、外径寸法は直径40ミリメートル・全高23ミリメートル(キャップ本体16ミリメートル+開閉蓋7ミリメートル)とした。キャップ本体と開閉蓋の基材の厚みは1.5ミリメートル、ヒンジ部分の厚みは1.2ミリメートル(もっとも薄い屈曲部位の厚みは0.3ミリメートル)とした。また、基材の上にアンダーコート層(11マイクロメートル)、加飾層(アルミニウムの蒸着層(80ナノメートル))、そしてトップコート層(10マイクロメートル)の順に各層を形成した。トップコート層を形成した後、レーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成した。この加飾層なしエリアは、上述のキャップ51における側方ヒンジ57に対応して形成された加飾層なしエリア61aに該当する。二つある側方ヒンジ57の一方を下記の比較対象とした。中央ヒンジ55を選択せずに一方の側方ヒンジ57を選択した理由は、側方ヒンジ57の可動角度(最大150〜180度)のほうが中央ヒンジ55よりも可動角度(最大90度、図7参照)よりも大きいのでより大きな応力が発生すること、応力が大きい分だけ加飾層の剥離や割れが生じやすいこと、からである。なお、実施キャップにおける側方ヒンジ57の部位の寸法は、縦8ミリメートル、横3ミリメートル、キャップ本体表面から見た最大高さ1.5ミリメートルとした。加飾層なしエリア61aの部位の寸法は、横寸法は側方ヒンジ57の幅一杯となる3ミリメートル、縦寸法は1.5ミリメートルとした。
(比較方法)
上述の実施キャップと加飾層なしエリアを有しない比較キャップとを、各々500回まで開閉(屈伸)作動試験を実施した。500回を選択した理由は、実施キャップは化粧用クリームの容器の場合を想定しており、その場合の通常の開閉回数は化粧用クリームの内容量と1回における平均使用量との関係から使い切るまで200回の開閉が想定され安全率を2.5としたからである(200×2.5=500回)。
(比較結果)
実施キャップの加飾層なしエリアと、当該加飾層なしエリアに該当する比較キャップの部位について、目視観察と顕微観察を行った。その結果、実施キャップでは500回の屈伸後であっても屈伸回数0(ゼロ)回の場合に比べ、意匠性(化粧容器としての目視美感)が損なわれることがなかった。その一方で、比較キャップでは、屈伸1回目で該当部位に加飾層のシワ
が目視観察され、顕微観察ではクラックとして確認された。この比較キャップのシワやクラックは、屈伸回数を100回、300回、500回と回数を重ねるに従いより意匠性を害する程度が累積的に高まり、最終的には加飾層の剥離が確認された。
(考察)
以上の比較実験により、加飾層なしエリアが設けられていない比較キャップでは使用開始直後(1回の屈伸)から意匠性を著しく害するが、加飾層なしエリアが設けられた実施キャップであれば意匠性を十分に保つことができるため、意匠性がもっとも重視される容器の一つである化粧品用容器はもとより、様々な容器のキャップとして好適適用することができる。その場合にあって、容器内容物を使い切るまで、キャップを購入時の美しい状態のまま保つことができるので容器内容物の消費者イメージを害するおそれが少ない。このことは、比較的伸縮率の小さい金属蒸着層により加飾層が形成されている場合に顕著である。
1 ヒンジキャップ
3 キャップ本体
3a 基材
5 屈伸ヒンジ
5a 屈伸板部
5b 可撓連結部
7 開閉蓋
11 円柱側壁
13 扁平凸部
15 放出孔
17 放出筒
21 円柱側壁
23 天板
25 栓突起
31 アンダーコート層
33 加飾層(金属蒸着層)
33a (加飾層の)端面
35 ミドルコート層(保護層)
37 加飾層なしエリア
39 トップコート層(保護層)
51 ヒンジキャップ(キャップ)
53 キャップ本体
55 中央ヒンジ
56 側方ヒンジ
57 開閉蓋
59a,59b,59c 加飾層なしエリア
61a 加飾層なしエリア
101 容器
発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジ(蝶番)を介して設けられた開閉蓋を含む合成樹脂一体型のヒンジキャップとヒンジキャップの製造方法に関する。
化粧品、歯磨きペースト、食品、化学製品等を収納する容器に、合成樹脂一体型のヒンジキャップが用いられることが多い。「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいう。なお、以下の説明では、この合成樹脂一体型のヒンジキャップのことを、特に断らない限り、単にキャップと称する。
キャップが合成樹脂一体型である理由は、使用面と製造面から見ることができる。使用面では、ワンタッチで開閉蓋の開閉ができて使い勝手のよい点が挙げられる。製造面では、一体成形により製造され組立不要であるから製造容易でありコストが安い点を指摘できる。
ところで、昨今は容器だけでなくキャップにも物言わぬセールスマンとしての機能が求められるようになってきている。このため、キャップの外周面には、塗装、フィルムコーティング、金属蒸着形成その他の方法により加飾層が形成されるようになってきた。ヒンジを持たないキャップであれば問題なかったが、ヒンジキャップとなると開閉に伴うヒンジとヒンジ周辺の曲げに対する伸び縮みが問題となる。つまり、ヒンジとヒンジ周辺(両者を、適宜「ヒンジ等」という)は合成樹脂製であるから、その容器の用途や保存環境等を考慮した上である程度の伸び縮みに耐え得るように設計しておけばよい。
特開2001-171711号公報 特開2002-337904号公報 特開2002-326650号公報 特開2004-067185号公報 特開2005-239268号公報
しかし、キャップ外周面に形成される加飾層は、ヒンジ等と異なる率で伸び縮みするためヒンジ等の伸び縮みに追従できず、開閉回数がある程度を超えると、伸び縮みする部位が割れたりはがれたりすることがよく起こる。これは、使用に伴いキャップひいては容器を含めた全体の外観を著しく損なうことになる。場合によっては、キャップの加飾層の剥離が、本来は全く関係がないのにも関わらず、容器内容物(たとえば、化粧品)の消費者イメージを害してしまうおそれもある。本発明は、キャップのヒンジ部位が使用に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまうという問題を解決することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は、当初、加飾層の伸縮率をヒンジ等のそれと近似させることにより課題を解決しようと考えた。しかしながら、伸縮率を追求することにより、加飾層の本来の目的である加飾性に制限が生じることが判明した。たとえば、昨今の化粧容器になくてはならないとされる金属蒸着層による加飾ができなくなる、また、できたとしても大変高価なものになる、という事態が生じた。そこで発明者は、発想を転換し、割れや剥離が生ずるエリアの加飾層がもともと存在しなければ、上記課題自体が解消するという発想に至った。本発明は、その発想に基づくものである。その詳しい内容は項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たり行う用語の定義等は、発明カテゴリーの違いや記載の順番等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
(定義)
本明細書における「合成樹脂一体型のヒンジキャップ」とは、前掲の背景技術の欄で述べたとおり、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋の少なくとも三者が合成樹脂材を一体成形してなるものをいい、上記三者以外の部位もしくは部材(たとえば、開閉蓋に設けられる摘まみ)を併せて一体成形したものを含む。一方、一体成形後に、合成樹脂や金属その他の素材により構成される部材(たとえば、金属製の装飾具)を固定もしくは付着等した場合のヒンジキャップも、依然として上記の合成樹脂一体型のヒンジキャップであることに変わりはない。ここで「屈伸ヒンジ」とは、開閉蓋の繰り返し開閉に伴い屈曲と伸展を繰り返すように構成されたヒンジのことをいい、合成樹脂の可撓性がこの屈伸を可能とする。屈伸ヒンジには、たとえば上述した特許文献1〜5に開示された形態のヒンジが含まれるが、これらに限られるものではなく、一体成形されたあらゆる形態のものが含まれる。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面のに直接もしくは間接に加飾層が形成されている単一合成樹脂材を一体成形してなるヒンジキャップに関するものである。当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸エリアに対応していることを特徴とする。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
請求項1の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止される。すなわち、加飾層なしエリアが設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。なお、ヒンジキャップのに加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等の上に加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層のに、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面のに直接もしくは間接に加飾層が形成されている単一合成樹脂材を一体成形してなるヒンジキャップに関するものである。当該加飾層には、当該加飾層を部分剥離してなる加飾層なしエリアが設けられ、当該加飾層なしエリアは、当該屈伸ヒンジに対応しており、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きくもしくは小さく形成されていることを特徴とする。なお、ヒンジキャップのに加飾層を直接形成する場合もあれば、単層もしくは複層のアンダーコート層等のに加飾層を間接形成する場合もある。また、加飾層のに、さらに単層もしくは複層の保護層を設けることを妨げない。さらに、アンダーコート層や保護層を設けた場合に、これらにも厚み方向に貫通する貫通エリアを設けることも妨げない。
請求項2の発明によれば、屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、前記加飾層なしエリアを囲む前記加飾層の端面には、前記加飾層なしエリアを形成するためのレーザー光照射によるレーザー光照射痕が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、加飾層を形成した後にレーザー光を照射して加飾層を事後的に部分剥離することにより加飾層なしのエリア、すなわち貫通エリアを形成することができる。加飾層なしエリアの形成は、加飾層形成時において事前に形成することも可能であるが、上記した事後形成も可能である。レーザー光照射による剥離以外の方法を妨げるものではないが、レーザー光照射による剥離は微細加工ができるのでたいへん便利である。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3いずれか記載の発明であって、前記加飾層は、金属蒸着層のみ、もしくは、金属蒸着層を含む複数の層から構成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、加飾層に金属蒸着層を用いることにより、光沢のある加飾を施すことができる。金属蒸着層は合成樹脂層などに比べ伸縮しづらいので、剥離もしくは割れをより生じやすい。このため、剥離や割れを防ぐ上で貫通エリアの存在がより効果的なものとなる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明であって、前記加飾層と前記キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋との間に、少なくとも1層のアンダーコート層が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、アンダーコート層の形成により、ヒンジキャップに対する加飾層の付着性を高めるので、加飾層の剥離もしくは割れをより効果的に防止もしくは抑制することができる。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層が形成されていることを特徴とする。保護層が単層であるばあいのそれをトップコート層と、また、複層の場合の一番外側の保護層をトップコート層とそしてトップコート層以外の1層または2層以上の中間保護層をミドルコート層と呼ぶこともある。
請求項6の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制を図ることができる。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明であって、前記単層の保護層、もしくは、前記複層の保護層の少なくとも一部には、前記加飾層なしエリアと同じ形状であり厚み方向に貫通する貫通エリアが形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、貫通エリアが設けられた保護層は、加飾層の加飾層なしエリアと同じ形状の貫通エリアの収縮拡張作用により、加飾層の伸び縮みにより追従しやすくなる。このため、加飾層への負担が軽減され、その結果、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止もしくは抑制される。加飾層の加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアを同じ形状としたのは、上述の追従が行われやすくするためと、加飾層なしエリアと保護層の貫通エリアをレーザー光照射などにより一括形成できるようにして手間を少なくするためである。
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、 当該屈伸ヒンジは、当該開閉蓋の開閉の際に弾性的に屈伸する1又は2以上の屈伸エリアを含み、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面のに加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。単一合成樹脂材を一体成形して当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋を製造する成形工程と、

当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、当該アンダーコート層の全体に加飾層を形成する加飾工程と、当当該屈伸エリアに対応する当該加飾層にレーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含むことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項8の発明によれば、加飾層の剥離もしくは割れが有効に防止されたヒンジキャップを製造することができる。すなわち、加飾層なしエリアが屈伸エリアの上に設けられていない従来の加飾層では、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化が剥離もしくは割れの原因となる。そこで、従来の加飾層であればその剥離もしくは割れが生じたであろう部位の加飾層を、予め取り除きもしくは形成しないことにより、上述した剥離もしくは割れを防止したものである。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明は、キャップ本体と、当該キャップ本体にヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面のに加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法である。単一合成樹脂材を一体成形して当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋を製造する成形工程と、当該キャップ本体と当該屈伸ヒンジと当該開閉蓋の外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、当該アンダーコート層の外周面の全体に加飾層を形成する加飾工程と、当該屈伸ヒンジに対応する当該加飾層に、当該屈伸ヒンジと同形状の、または当該屈伸ヒンジの大きさより大きいもしくは小さい形状の加飾層なしエリアを、レーザー光照射により形成する加飾層なしエリア形成工程と、を含むことを特徴とする。上記以外の工程を含めること、たとえば加飾層の上に単層または複層の保護層を形成することを妨げない。
請求項9の発明によれば、加飾層なしエリアを有することにより加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを効率よく製造することができる。屈伸ヒンジの屈伸に伴うに内部応力が加飾層内に発生することになるが、加飾層なしエリアは、この応力の作用による加飾層の伸び縮みに追従してこの応力を吸収する。この吸収により応力が緩和される結果、加飾層の応力剥離が防止もしくは抑制される。加飾層なしエリアの形状や箇所数は、主としてヒンジの形態に応じて設定することができる。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明は、請求項8または9の発明であって、前記加飾層の上に単層または複層の保護層を形成する保護層形成工程を含むことを特徴とする。
請求項10の発明によれば、保護層が加飾層を外部環境から保護するので、加飾層の劣化防止を通した加飾層の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制されたヒンジキャップを製造することができる
本発明によれば、キャップのヒンジ等の部位が開閉蓋の繰り返し開閉に伴い剥離等することにより外観を損ねてしまう事態を有効に防止もしくは抑制することができる。したがって、キャップを備える容器全体の外観印象を害することがない。
第1実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図1に示すヒンジキャップの背面図である。 図1に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態を示す平面図である。 第1実施形態に係るヒンジキャップの製造工程を示すフロー図である。 図2に示すヒンジキャップのX−X断面の部分拡大図である。 第2実施形態に係るヒンジキャップの斜視図である。 図6に示すヒンジキャップの開閉蓋を開放した状態の側面図である。 実施例における比較結果を示す図表である。
(第1の実施形態の構成)
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1および2において、1はヒンジ(ヒンジキャップ)であって、図1に二点鎖線で示す容器の上部に取付けられる円筒状のキャップ本体3と、キャップ本体3とほぼ同径円板状の開閉蓋7とを備え、両者はヒンジ5とともに一体成形されている。ヒンジキャップ1全体の樹脂材料として、たとえばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などを好適に用いることができる。
(キャップ本体の構成)
図3に示すように、キャップ本体3は、円柱側壁11と、円柱側壁11より僅かに小径で上部(図3の紙面手前方向)に突出する扁平凸部13とを有している。扁平凸部13のほぼ中央には、容器101に収容された収容物(たとえば、化粧品)を放出する放出孔15が厚み方向(図3の紙面厚み方向)に貫通され、放出口15の周りは放出筒17に囲まれている。なお、キャップ本体3は、後述する開閉蓋7とともに、容器101の形状や容器101内に収容される収容物の性状などに応じて様々な形態を採用することができる。本実施形態では上から見た形状を円形としたが、これを、たとえば楕円形としたり矩形としたりすることもできる。放出孔15の形成位置も、デザイン性などを考慮して自由に選択してよい。
(開閉蓋の構成)
開閉蓋7は、キャップ本体3の円柱側壁11と同じ外径の円柱頂壁21と、円柱側壁21のキャップ本体3から遠いほうの端面を閉鎖する天板23とを有している。天板23のキャップ本体3に対する対向面には、放出孔15を塞ぐ栓突起25が放出孔15に向かって突き出している。円柱側壁21のヒンジ5の反対側には、開閉蓋7を開閉する際に使用者が指で摘まむための摘み27が設けられている。円柱頂壁21の内径は、キャップ本体3の扁平凹部13の外径より極僅か大きい内径に設定され、閉鎖時に円柱頂壁21が扁平プ部13の周りにきっちりと嵌って閉鎖状態を保ち、この閉鎖状態は、使用者が摘まみ27を開放方向に押すことによって開閉蓋7を開放させることができるようになっている。
(屈伸ヒンジの構成)
次に、キャップ本体3と開閉蓋7にまたがって設けられた屈伸ヒンジ5について説明する。図3に示す屈伸ヒンジ5は、キャップ本体3の円柱側壁11と開閉蓋7の円柱側壁21の屈伸自在に連結する肉薄の屈伸板部5aと、屈伸板部5aの両端それぞれには、屈伸板部5aの端部を1つの頂点とし他の2つの頂点がそれぞれキャップ本体3と開閉蓋7に一体連結された三角形状の可撓連結部5b,5bと、を備えている。屈伸板部5aは、キャップ本体3に対し開閉蓋7を開閉させる際に弾性的に屈伸するようになっている。可撓連結部5b各々は、開閉蓋7の開閉に即して弾性変形して開閉に追従するように構成されている。屈伸板部5aと両可撓連結部5b,5bは、それらの屈伸により伸び縮み(膨張、収縮等)する場合がある。
(ヒンジキャップの製造方法)
図4および5に基づき、キャップ1の製造方法を説明する。まず、PPなどの単一合成樹脂材を一体成形してキャップ1(キャップ本体3、開閉蓋7および両者を連結する屈伸ヒンジ5)全体を、図外の射出成型機を用いて一体成形する(ステップ1)。キャップ1(キャップ本体3、屈伸ヒンジ5および開閉蓋7)の外周面外側全体には、まず、好ましくはアンダーコート層31が形成され(ステップ3)、その上に加飾層33を形成する(ステップ5)。加飾層33を外部から保護することを必要と考えるときはミドルコート層(中間の保護層)35を形成するとよい(ステップ7)。次にレーザー照射装置(図示を省略)を用いて後述する貫通エリア37を形成する(ステップ9)。好ましい態様として、加飾層35をさらに保護するため、上述のミドルコート35の上に、もしくは、ミドルコート35を形成せずに、トップコート層(保護層)39を形成する(ステップ11)。なお、図5における符号3aは、キャップ本体3と開閉蓋7を構成する基材を示す。
アンダーコート層31は、加飾層33をキャップ1の表面に確実に付着させることにより加飾層33の剥離防止を主目的とし、ミドルコート層35やトップコート層39は、加飾層33を外部から保護することにより加飾層33の剥離もしくは割れを有効に防止もしくは抑制することを主目的とする。本実施形態における加飾層なしエリア37の形成は、ミドルコート層35を形成した後に、ミドルコート層35の上からレーザー光を照射して加飾層33に対して行っているが、ミドルコート層35を形成する前に行ってもよい。この場合は、ミドルコート層35には、その厚み方向に貫通する貫通エリア(部材番号省略)が形成される。すなわち、貫通エリアは、図5において加飾層33に形成された加飾層なしエリアの右側に位置し、ミドルコート層35に形成されたエリアである。また、トップコート層39を形成した後に、トップコート層39の上からレーザー光を照射し加飾層33に加飾層なしエリア37を形成することを妨げない。この場合、加飾層33およびミドルコート層35とともにトップコート層39にも厚み方向に貫通する貫通エリア(図示を省略する)が形成されることになる。なお、レーザー光照射により、加飾層なしエリア37を囲む加飾層33の端面33aには、加飾層なしエリア37を形成するため加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕(図示を省略)が形成されている。
第1実施形態における加飾層33は、たとえば、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ステンレス鋼(SUS)のような金属を蒸発させてキャップ1もしくはアンダーコート層31の表面に付着させてなる金属蒸着層により構成されている。金属蒸着層以外の加飾手段の採用を妨げないが、金属蒸着層は、たとえば、化粧品の容器のキャップに高級感ある金属光沢を持たせるために最適な方法の一つだからである。
上記した加飾層なしエリア37を形成する理由は、その形状と大きさの関係から二つある。一つは、キャップ1の収縮率と異なる収縮率の加飾層33内に生じる内部応力を、加飾層33の伸び縮みに追従する加飾層なしエリア37の拡大と縮小により吸収し、これによって、加飾層33の剥離や割れなどを有効に防止もしくは抑制するためである。この防止もしくは抑制という目的を達成するため本実施形態では、図2に示す斜線部分のように、閉鎖時の屈伸ヒンジ5に対応する加飾層37のほぼ全体に渡って加飾層なしエリア37を形成してある。加飾層なしエリア37の形状は、上記目的が達成できる範囲であれば、上記のように屈伸ヒンジ5と同形状以外の形状も採用しうる。屈伸ヒンジ5の大きさより大きくしてもよいし、また、小さくしてもよい。また、屈伸ヒンジ5と同形にこだわる必要はなく、デザイン性を重視した適宜の形状を採用することができる。1か所だけでなく複数個所に分散して形成してもよい。さらに、デザイン性を保つために、屈伸ヒンジ5の部位回りだけでなく、屈伸ヒンジ5とは無関係の部位に飛び石のように加飾層なしエリア(図示を省略)を形成することを妨げない(図示省略)。
もう一つは、「そもそも存在しなければ加飾層が剥がれることはない」という理由である。この理由に基づく場合は、加飾層なしエリア37は、当該加飾層なしエリア37が設けられていないとしたとき、屈伸ヒンジ5が繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により加飾層33の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成することになる。この場合の加飾層なしエリア37は、屈伸ヒンジ5の形状より加飾層なしエリアを含めこれより僅かに大きな形状にすることが一般的である。
(第2の実施形態の構成)
図6および7を参照しながら、第2の実施形態に係るキャップについて説明する。キャップ51は、第1の実施形態に係るキャップ本体3と同じ基本構造を有し、構成素材、製造方法、加飾層や加飾層なしエリアの作成手順等も共通である。両者間で異なるのは屈伸ヒンジの形態であるから、以下の説明はキャップ51の屈伸ヒンジおよび加飾層なしエリアを主対象として行う。
(屈伸ヒンジの構成)
キャップ本体53と開閉蓋57は、短冊状の中央ヒンジ55と中央ヒンジ55の両側に設けられた側方ヒンジ56,56により開閉自在に連結されている。中央ヒンジ55は、その両脇に設けられた2本のスリット55s,55sによってキャップ本体53および開閉蓋57の双方から切り分けられ、図6に示す閉鎖状態から図7に示す開放状態になるようにL字状を保ったままキャップ本体53および開閉蓋57に対し出没可能に構成されている。中央ヒンジ55は、図6に示す閉鎖時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれ中に部分的に没入し、図7に示す開放時にキャップ本体53および開閉蓋57のそれぞれから全体的に突出するようになっている。出没を可能にするのは、中央ヒンジ55の長さ方向両端とほぼ中央部の3か所にある屈伸エリア55a,55b、55cの弾性屈伸作用によるものである。なお、L字状以外の形状の中央ヒンジを採用する場合は、屈伸箇所が増えた分だけ屈伸エリアも増加する(図示を省略)。
両側方ヒンジ56が有する弾性屈伸可能な屈伸エリアは、図6において符号56a,56aで示してある。両側方ヒンジ56が有する屈伸エリアは、屈伸エリア56aの1個だけであるが、上記と異なるヒンジ形態(図示を省略)を採用すればその形態に応じて数が増える場合があることは言うまでもない。また、側方ヒンジ自体が省略される場合もありえるが、その場合は屈曲エリアの数を論ずる意味がない。ここで第2の実施形態の説明に戻ると、上述した中央ヒンジ55の弾性屈伸作用と両側方ヒンジ56,56の弾性屈伸作用が相まってキャップ本体53に対する開閉蓋57の開閉が可能になっている。
(加飾層なしエリアの構成)
キャップ51はその表面が加飾層に被覆される一方、中央ヒンジ55の屈伸エリア55a,55b、55cと、両側方ヒンジ56の屈伸エリア56では、そのエリアに該当するエリアの加飾層は部分剥離され、それぞれ図6に斜線で示す加飾層なしエリア59a,59b、59cと加飾層なしエリア61a,61aになっている。これらの加飾層なしエリアは、いずれも細長いエリアであって狭く形成してあるが、広くしたり特定の形状に形成したり、屈伸度合いが低いため加飾層を部分剥離しなかったり(たとえば、加飾層なしエリア59bを形成しない)することもできる。
以上、第1および第2の実施形態では、それぞれ異なる形態の屈伸ヒンジについて説明したが、上記の屈伸ヒンジ以外の形態の屈伸ヒンジの採用を妨げない。たとえば、前掲の先行技術文献として示した特許文献1〜5に示されている各々のヒンジキャップの屈伸ヒンジの形態は少なくとも含まれる。いずれの場合であっても加飾層なしエリアを適宜の箇所に設けることにより、加飾層の剥離、これに伴う割れ等を有効に防止もしくは抑制することができる。
上述したキャップ51と同じ構造の加飾層なしエリアを有するキャップ(実施キャップ)を次の仕様で製造し、実施キャップと同仕様で加飾層なしエリアを形成しないキャップ(比較キャップ)との間で比較実験を行った。
(実施キャップの仕様)
実施キャップは、黒色のPP(ポリプロピレン)を基材とし、外径寸法は直径40ミリメートル・全高23ミリメートル(キャップ本体16ミリメートル+開閉蓋7ミリメートル)とした。キャップ本体と開閉蓋の基材の厚みは1.5ミリメートル、ヒンジ部分の厚みは1.2ミリメートル(もっとも薄い屈曲部位の厚みは0.3ミリメートル)とした。また、基材の上にアンダーコート層(11マイクロメートル)、加飾層(アルミニウムの蒸着層(80ナノメートル))、そしてトップコート層(10マイクロメートル)の順に各層を形成した。トップコート層を形成した後、レーザー光を照射して加飾層なしエリアを形成した。この加飾層なしエリアは、上述のキャップ51における側方ヒンジ57に対応して形成された加飾層なしエリア61aに該当する。二つある側方ヒンジ57の一方を下記の比較対象とした。中央ヒンジ55を選択せずに一方の側方ヒンジ57を選択した理由は、側方ヒンジ57の可動角度(最大150〜180度)のほうが中央ヒンジ55よりも可動角度(最大90度、図7参照)よりも大きいのでより大きな応力が発生すること、応力が大きい分だけ加飾層の剥離や割れが生じやすいこと、からである。なお、実施キャップにおける側方ヒンジ57の部位の寸法は、縦8ミリメートル、横3ミリメートル、キャップ本体表面から見た最大高さ1.5ミリメートルとした。加飾層なしエリア61aの部位の寸法は、横寸法は側方ヒンジ57の幅一杯となる3ミリメートル、縦寸法は1.5ミリメートルとした。
(比較方法)
上述の実施キャップと加飾層なしエリアを有しない比較キャップとを、各々500回まで開閉(屈伸)作動試験を実施した。500回を選択した理由は、実施キャップは化粧用クリームの容器の場合を想定しており、その場合の通常の開閉回数は化粧用クリームの内容量と1回における平均使用量との関係から使い切るまで200回の開閉が想定され安全率を2.5としたからである(200×2.5=500回)。
(比較結果)
実施キャップの加飾層なしエリアと、当該加飾層なしエリアに該当する比較キャップの部位について、目視観察と顕微観察を行った。その結果、実施キャップでは500回の屈伸後であっても屈伸回数0(ゼロ)回の場合に比べ、意匠性(化粧容器としての目視美感)が損なわれることがなかった。その一方で、比較キャップでは、屈伸1回目で該当部位に加飾層のシワ
が目視観察され、顕微観察ではクラックとして確認された。この比較キャップのシワやクラックは、屈伸回数を100回、300回、500回と回数を重ねるに従いより意匠性を害する程度が累積的に高まり、最終的には加飾層の剥離が確認された。
(考察)
以上の比較実験により、加飾層なしエリアが設けられていない比較キャップでは使用開始直後(1回の屈伸)から意匠性を著しく害するが、加飾層なしエリアが設けられた実施キャップであれば意匠性を十分に保つことができるため、意匠性がもっとも重視される容器の一つである化粧品用容器はもとより、様々な容器のキャップとして好適適用することができる。その場合にあって、容器内容物を使い切るまで、キャップを購入時の美しい状態のまま保つことができるので容器内容物の消費者イメージを害するおそれが少ない。このことは、比較的伸縮率の小さい金属蒸着層により加飾層が形成されている場合に顕著である。
1 ヒンジキャップ
3 キャップ本体
3a 基材
5 屈伸ヒンジ
5a 屈伸板部
5b 可撓連結部
7 開閉蓋
11 円柱側壁
13 扁平凸部
15 放出孔
17 放出筒
21 円柱側壁
23 天板
25 栓突起
31 アンダーコート層
33 加飾層(金属蒸着層)
33a (加飾層の)端面
35 ミドルコート層(保護層)
37 加飾層なしエリア
39 トップコート層(保護層)
51 ヒンジキャップ(キャップ)
53 キャップ本体
55 中央ヒンジ
56 側方ヒンジ
57 開閉蓋
59a,59b,59c 加飾層なしエリア
61a 加飾層なしエリア
101 容器

Claims (10)

  1. キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップにおいて、
    当該加飾層には、厚み方向に貫通する貫通エリアが少なくとも1か所設けられ、
    当該貫通エリアは、当該貫通エリアが設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジが繰り返し屈伸されたことに伴う劣化により当該加飾層の剥離もしくは割れが生じたであろうエリアが含まれるように形成されている
    ことを特徴とするヒンジキャップ。
  2. キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に直接もしくは間接に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップにおいて、
    当該加飾層には、厚み方向に貫通する貫通エリアが少なくとも1か所設けられ、
    当該貫通エリアは、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力を逃がすことにより、当該加飾層の剥離もしくは割れを防止可能もしくは抑制可能に形成されている
    ことを特徴とするヒンジキャップ。
  3. 前記貫通エリアを囲む前記加飾層の端面には、前記貫通エリアを形成するために前記加飾層を剥離した際のレーザー光照射により形成されたレーザー光照射痕が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載のヒンジキャップ。
  4. 前記加飾層は、金属蒸着層のみ、もしくは、金属蒸着層を含む複数の層から構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のヒンジキャップ。
  5. 前記加飾層と前記ヒンジキャップの外周面との間に、少なくとも1層のアンダーコート層が形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のヒンジキャップ。
  6. 前記加飾層の上に単層または複層の保護層が形成されている
    ことを特徴とする請求項5記載のヒンジキャップ。
  7. 前記単層の保護層、もしくは、前記複層の保護層の少なくとも一部には、前記加飾層の貫通エリアと同じ形状であり厚み方向に貫通する貫通エリアが形成されている
    ことを特徴とする請求項6記載のヒンジキャップ
  8. キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法において、
    合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、
    当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
    当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、
    当該加飾層に、厚み方向に貫通する貫通エリアを少なくとも1か所設ける貫通エリア形成工程と、を含み、
    当該貫通エリアは、当該貫通エリアが設けられていないとしたとき、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力の作用により剥離もしくは割れが生じたであろうエリアを含めて形成されている
    ことを特徴とするヒンジキャップ製造方法。
  9. キャップ本体と、当該キャップ本体に屈伸ヒンジを介して設けられた開閉蓋とを含み、外周面の上に加飾層が形成されている合成樹脂一体型のヒンジキャップの製造方法において、
    合成樹脂材を成形してヒンジキャップを製造する成形工程と、
    当該ヒンジキャップの外周面全体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
    当該アンダーコート層の上に加飾層を形成する加飾工程と、
    当該加飾層に、厚み方向に貫通する貫通エリアを少なくとも1か所設ける貫通エリア形成工程と、を含み、
    当該貫通エリアは、当該屈伸ヒンジの屈伸に伴う当該加飾層内の応力を逃がすことにより、当該加飾層の剥離もしくは割れを防止可能もしくは抑制可能に形成されている
    ことを特徴とするヒンジキャップ製造方法。
  10. 前記加飾層の上に単層または複層の保護層を形成する保護層形成工程を含む
    ことを特徴とする請求項8または9記載のヒンジキャップ製造方法。
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