JP2016119877A - 変異キシラナーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】糖化残渣吸着性の低いキシラナーゼの提供。
【解決手段】特定の配列で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ただし、その配列の129位に相当する位置及び158位に相当する位置からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、変異キシラナーゼ。
【選択図】なし

Description

本発明は、変異キシラナーゼに関する。
バイオマスは、化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源である。その中でもセルロース系バイオマスが注目を浴びている。セルロースを分解することで糖を製造し、得られた糖から化学変換や微生物を用いた発酵技術により石油資源の代替物やバイオ燃料などの有用資源を製造する技術の開発が、世界中で行われている。
セルロース系バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分として構成される。このようなバイオマスは、セルロースを分解するセルラーゼ、ヘミセルロースを分解するヘミセルラーゼなどが相乗的に作用することにより、複雑なプロセスで分解されることが知られている。セルロース系バイオマスの有効活用にあたっては、セルロースやヘミセルロースを高効率に分解可能な糖化酵素の開発が必要となる。
セルロース系バイオマスの糖化においては、糖化酵素が基質であるセルロースやヘミセルロースに吸着し、それらを分解することによって糖が生産される。こうした糖の生産に関わるセルロースやヘミセルロース基質への該酵素の吸着は、生産的吸着と呼ばれる。対照的に、糖化酵素により分解されない成分、例えばリグニン、灰分、その他成分などへの該酵素の吸着は、非特異的吸着と呼ばれる。酵素の糖化効率は、酵素の比活性、耐熱性、非特異的吸着などの因子に左右されると考えられており、糖化酵素の開発にあたっては、これらの因子が着目される。
セルロース系バイオマスを糖化酵素で糖化した後の残渣成分は、リグニンが主成分である。しかし、セルロース系バイオマス中のリグニンに糖化酵素が吸着することにより、糖化効率が低下することが知られている。セルロース系バイオマス糖化において、糖化酵素のリグニンへの非特異的吸着性は好ましくない性質である。
リグニン存在下での酵素活性が向上した糖化酵素が報告されている。特許文献1には、Thermobifida fusca等のセロビオハイドロラーゼ(CBH)IIにおいて、負電荷のアミノ酸への置換、正電荷のアミノ酸の除去等の改変により、非セルロース素材への非特異的吸着が低減したことが開示されている。特許文献2には、リグニンによる不活性化が低減したTrichoderma reesei Family 6セルラーゼの変異体が開示されている。特許文献3には、リンカーペプチドを改変した、リグニン存在下での活性が向上及び/又はリグニンとの結合を抑えたセルラーゼ変異体が開示されている。特許文献4には、リグニン存在下での活性が向上及び/又はリグニンとの結合を抑えたTrichoderma reesei Cel6Aの糖質結合モジュール(CBM)の変異体が開示されている。また、特許文献5には、バイオマスの糖化効率の高い酵素として、Xylanimonas cellulosilytica由来のキシラナーゼが開示されている)。
特表2011−523854号公報 国際公開公報第2010/012102号 国際公開公報第2010/096931号 国際公開公報第2010/097713号 特表2013−243953号公報
グリコシドヒドロラーゼファミリー(Glycoside Hydrolase family)11に属するキシラナーゼ(以下、GH11キシラナーゼということがある)は、セルロース系バイオマスの糖化に利用可能なヘミセルラーゼである。しかし、GH11キシラナーゼは、糖化残渣やリグニンへの吸着性が高いものが多く、バイオマス糖化に用いた場合、非特異的吸着による糖化率低下をもたらすという欠点がある。GH11キシラナーゼが糖化残渣やリグニンに吸着するしくみの詳細は未だ不明である。
本発明者らは、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)由来のGH11キシラナーゼのアミノ酸配列において、特定部位の塩基性アミノ酸残基を非塩基性アミノ酸残基に置換することによって、当該酵素の糖化残渣又はリグニンへの吸着性を低減することができることを見出した。
したがって、一態様において本発明は、変異キシラナーゼであって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ただし、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、
変異キシラナーゼを提供する。
別の一態様において、本発明は、変異キシラナーゼの製造方法であって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法を提供する。
別の一態様において、本発明は、キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチド又はベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤を提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記バイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法を提供する。
本発明は、糖化残渣やリグニンへの吸着性が低減した変異キシラナーゼを提供する。本発明の変異キシラナーゼを使用することにより、従来のキシラナーゼと比較して、リグニンを含むバイオマスをより効率的に糖化することができ、またより効率的かつ安価にバイオマスから糖を製造することができる。
(1.定義)
本明細書において、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の同一性は、Lipman−Pearson法(Science,1985,227:1435−1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Winのホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列上の「相当する位置」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のLipman−Pearson法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome−j.html])のウェブサイト上で利用することができる。
さらに、当業者であれば、必要に応じて、上記で得られたアラインメントを、最適なアラインメントとなるようにさらに微調整することができる。そのような最適アラインメントは、アミノ酸配列の類似性や挿入されるギャップの頻度等を考慮して決定するのが好ましい。ここでアミノ酸配列の類似性とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントしたときにその両方の配列に同一又は類似のアミノ酸残基が存在する位置の数の全長アミノ酸残基数に対する割合(%)をいう。類似のアミノ酸残基とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち、極性や電荷の点で互いに類似した性質を有しており、いわゆる保存的置換を生じるようなアミノ酸残基を意味する。そのような類似のアミノ酸残基からなるグループは当業者にはよく知られており、例えば、アルギニンとリジン又はグルタミン;グルタミン酸とアスパラギン酸又はグルタミン;セリンとトレオニン又はアラニン;グルタミンとアスパラギン又はアルギニン;ロイシンとイソロイシン等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されない。
上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置に対応する位置にアラインされた目的配列のアミノ酸残基又はヌクレオチドの位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされ、当該アミノ酸残基又はヌクレオチドは「相当する位置のアミノ酸残基」又は「相当する位置のヌクレオチド」と称される。
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。本明細書において、「塩基性アミノ酸残基」とは、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択されるアミノ酸残基をいう。本明細書において、「非塩基性アミノ酸残基」とは、上記に挙げた20種のアミノ酸残基のうち、塩基性アミノ酸残基以外のアミノ酸残基をいう。
本明細書において、「グリコシドヒドロラーゼファミリー(Glycoside Hydrolase family)11」(又はGH11ということがある)とは、CARBOHYDRATE−ACTIVE ENZYME CAZY−Home([www.cazy.org/])にて分類されるファミリーの第11族を意味する。本明細書において、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼ(又はGH11キシラナーゼ)とは、アミノ酸200個程度のタンパク質でβジェリーロール構造を有し、エンド− β−1,4−キシラナーゼ活性又はエンド− β−1,3−キシラナーゼ活性を有するヘミセルラーゼファミリーである(バイオマス分解酵素研究の最前線−セルラーゼ・へミセルラーゼを中心として−近藤昭彦、天野良彦、田丸浩 株式会社シーエムシー出版)。
本明細書において、「キシラナーゼ活性」とは、キシラン中のキシロースβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する活性をいう。タンパク質のキシラナーゼ活性は、キシランを基質として当該タンパク質と反応させ、キシラン分解産物の生成量を測定することによって決定することができる。例えば、タンパク質のキシラナーゼ活性は、3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法にて、キシランから生成した糖の還元末端を定量化することによって測定することができる。より詳細には、可溶キシラン、酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)、及び対象タンパク質を混合し、50℃で反応させた後、DNS溶液(水酸化ナトリウム、ジニトロサリチル酸、酒石酸ナトリウムカリウムを含む溶液)を添加して99.9℃で反応させ、次いで反応液の波長540nmでの吸光度を測定する。測定値を、キシロースを用いて作成した検量線により標準化することにより、生成糖の還元末端を定量化することができる。DNS法によるキシラナーゼ活性測定の具体的手順は、後述の実施例に詳述されている。
本明細書において、「キシラナーゼ」とは、キシラン中のキシロースβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する活性を有する(すなわちキシラナーゼ活性を有する)ポリペプチドをいう。より詳細には、「キシラナーゼ触媒ドメイン(Catalytic Domain;CD)」、又はリンカーを介して結合されたCDと「糖質結合モジュール(Carbohydrate binding module;CBM)」からなる酵素をいう。
本明細書において、「キシラナーゼ触媒ドメイン」又は単に「触媒ドメイン」(いずれもCDということがある)とは、キシラナーゼに含まれる、キシラナーゼ活性を保有するドメインをいう。
本明細書において、「糖質結合モジュール(CBM)」とは、CDにリンカーを介して共有結合されている、キシラナーゼの触媒反応の基質(例えば、キシラン)と結合するドメインをいう。
本明細書において、「バイオマス」とは、植物や藻類が生産するヘミセルロース成分を含むセルロース系及び/又はリグノセルロース系バイオマスをいう。バイオマスの具体例としては、カラマツやヌマスギ等の針葉樹や、アブラヤシ(幹部)、ヒノキ等の広葉樹などから得られる各種木材;ウッドチップなどの木材の加工物又は粉砕物;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎若しくは葉などの植物の茎、葉、果房など;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類、藻類などからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。このうち、入手容易性及び原料コストの観点から、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉、果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスがさらに好ましい。上記バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また上記バイオマスは乾燥されていてもよい。
本明細書において、「糖化残渣」とは、バイオマス中のセルロース、ヘミセルロースを糖化酵素で糖化した後の残存固形分をいう。キシラナーゼの「糖化残渣吸着性」の高さは、例えば、糖化残渣とキシラナーゼとを反応させて、該糖化残渣にキシラナーゼを吸着させた後、反応液の上清に残存するキシラナーゼ活性を測定し、該糖化残渣と反応させなかった場合のキシラナーゼ活性に対する相対活性を求めることによって算出することができる。例えば、糖化残渣吸着率は以下の式で表すことができる。

糖化残渣吸着率(%)=100−相対比活性(%)
相対比活性(%)=(糖化残渣との反応後の酵素試料のキシラナーゼ活性/糖化残渣と未反応の酵素試料のキシラナーゼ活性)×100

上記相対比活性がより低いキシラナーゼほど、より高い糖化残渣吸着性を有する。糖化残渣としては、例えば、リグニン、又は公知のセルラーゼ若しくはセルラーゼ製剤(例えば、ノボザイムズ社製Cellic(登録商標)CTec2)を用いてアルカリ混合粉砕バガスを24時間50℃で糖化した後の固形残渣を用いることができる。糖化残渣とキシラナーゼとの反応には、例えば、50℃で1時間の処理を採用することができる。キシラナーゼの糖化残渣吸着性の測定のための具体的手順の例は、後述の実施例に詳述されている。
(2.変異キシラナーゼ及びその製造方法)
本発明は、糖化残渣吸着性が低減した変異キシラナーゼを提供する。本発明の変異キシラナーゼは、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するキシラナーゼを改変して、所定の位置の塩基性アミノ酸残基を非塩基性アミノ酸残基に置換することによって製造することができる。
したがって、一態様において、本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ただし、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、変異キシラナーゼを提供する。
別の態様において、本発明は、糖化残渣吸着性が低減した変異キシラナーゼの製造方法を提供する。当該方法は、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む。
好ましくは、本発明の変異キシラナーゼにおいては、配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置のアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換されている。
また好ましくは、本発明の変異キシラナーゼは、配列番号2の129位及び/又は158位に相当する位置のアミノ酸残基に加えて、配列番号2の10位、40位及び56位に相当する位置からなる群より選択される少なくとも1つの位置のアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換されている。より好ましくは、本発明の変異キシラナーゼは、配列番号2の129位及び158位に相当する位置のアミノ酸残基と、配列番号2の10位、40位及び56位に相当する位置からなる群より選択される少なくとも1つの位置のアミノ酸残基とが、非塩基性アミノ酸残基に置換されている。さらに好ましくは、本発明の変異キシラナーゼは、配列番号2の10位、40位、56位、129位及び158位に相当する位置のアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換されている。
好ましくは、本発明の変異キシラナーゼにおける配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置のアミノ酸残基と置換される非塩基性アミノ酸残基は、セリン及びアラニンより選択される。より好ましくは、当該配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置の各アミノ酸残基と置換される非塩基性アミノ酸残基は、それぞれ以下のとおりである。
配列番号2の10位に相当する位置;セリン
配列番号2の40位に相当する位置;セリン
配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
配列番号2の129位に相当する位置;セリン
配列番号2の158位に相当する位置;セリン
本明細書においては、上記アミノ酸置換を行う前の、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含みキシラナーゼ活性を有するポリペプチドを、本発明の変異キシラナーゼの親キシラナーゼ(又は単に親キシラナーゼ)ということがある。
本発明の変異キシラナーゼの親キシラナーゼの例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなる、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)YX由来キシラナーゼの触媒ドメインが挙げられる。
親キシラナーゼの別の例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、例えば、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の配列同一性を有し、かつキシラナーゼ活性を有するポリペプチドが挙げられる。当該ポリペプチドの例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる、GH11キシラナーゼの触媒ドメインが挙げられる。
親キシラナーゼのさらに別の例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつキシラナーゼ活性を有するポリペプチドが挙げられる。なお、本明細書において、1〜数個とは、1〜19個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個を意味する。
好ましくは、親キシラナーゼは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置に、それぞれグルタミン酸残基を有する。これらの位置に存在するグルタミン酸残基は、キシラナーゼ活性に関与すると考えられている(Acta Crystallographica Section D Biological Crystallography,2006,62:784−792)。
また好ましくは、親キシラナーゼは、配列番号2の129位及び/又は158位に相当する位置に、塩基性アミノ酸残基を有する。より好ましくは、配列番号2の40位、56位、129位、及び158位に相当する位置に、塩基性アミノ酸残基を有する。さらに好ましくは、配列番号2の10位、40位、56位、129位、及び158位に相当する位置に塩基性アミノ酸残基を有する。親キシラナーゼの配列番号2の10位、40位、56位、129位及び158位に相当する位置の塩基性アミノ酸残基は、好ましくはヒスチジン又はアルギニンであり、より好ましくはアルギニンである。
本発明の変異キシラナーゼは、実質的にキシラナーゼの触媒ドメインからなるものであってもよいが、キシラナーゼ触媒ドメインのC末端側にリンカーを介して連結されたCBM(糖質結合モジュール)をさらに含んでいてもよい。あるいは、本発明の変異キシラナーゼは、キシラナーゼ触媒ドメインのN末端側に連結されたシグナルペプチドをさらに含んでいてもよい。
本発明の変異キシラナーゼがCBM又はシグナルペプチドを含む場合は、該変異キシラナーゼは、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインにおいて、上述した所定の位置のアミノ酸残基を非塩基性アミノ酸残基へと置換し、次いで該変異した触媒ドメインをCBM又はシグナルペプチドと連結することによって製造することができる。あるいは、触媒ドメインとCBM又はシグナルペプチドとを含むキシラナーゼのポリペプチドにおいて、上述した所定の位置のアミノ酸残基を非塩基性アミノ酸残基へと置換することによって、CBM又はシグナルペプチドを含む本発明の変異キシラナーゼを製造することができる。
したがって、本発明の変異キシラナーゼの親キシラナーゼは、実質的にキシラナーゼ触媒ドメインからなるキシラナーゼであってもよいが、キシラナーゼ触媒ドメインとそのC末端側にリンカーを介して連結されたCBMとを含むキシラナーゼであってもよく、キシラナーゼ触媒ドメインとそのN末端側に連結されたシグナルペプチドとを含むキシラナーゼであってもよく、又はキシラナーゼ触媒ドメインと、そのC末端側及びN末端側にそれぞれ連結されたCBM及びシグナルペプチドを含むキシラナーゼであってもよい。
本発明の変異キシラナーゼのためのCBMの例としては、サーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼのCBM(配列番号5)、及びこれとアミノ酸配列において少なくとも90%、例えば、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性を有するCBMが挙げられる。また、本発明の変異キシラナーゼのためのシグナルペプチドの例としては、サーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼのシグナルペプチド(配列番号6)、及びこれとアミノ酸配列において少なくとも90%、例えば、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性を有するシグナルペプチドが挙げられる。
CBM又はシグナルペプチドを含む親キシラナーゼの例としては、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなる、サーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼ、配列番号4の1〜202位で示されるアミノ酸配列からなる、キシラナーゼ触媒ドメインとシグナルペプチドを含むポリペプチド、配列番号4の43〜338位で示されるアミノ酸配列からなる、キシラナーゼ触媒ドメインとCBMを含むポリペプチド、及び配列番号3で示されるヌクレオチド配列からなるサーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼ遺伝子にコードされたポリペプチドが挙げられる。
(3.キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法)
本発明においては、親キシラナーゼのアミノ酸配列の上記に挙げた位置における塩基性アミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換する。これによって、親キシラナーゼの糖化残渣吸着性を低減することができる。
したがって、別の態様において、本発明は、キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法を提供する。当該方法は、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む。上記アミノ酸置換に供されるべき親キシラナーゼ、上記置換すべき位置のうちの好ましい位置、上記置換すべき位置に加えて置換され得るさらなる位置、それらの位置における好ましい置換後のアミノ酸残基については、上述したとおりである。
本発明の変異キシラナーゼは、変異前のキシラナーゼ(すなわち親キシラナーゼ)と比べて、糖化残渣吸着性が低減されている。より詳細には、後述の参考例4〜6に従って、ノボザイムズ社製セルラーゼ製剤Cellic(登録商標)CTec2を用いてアルカリ混合粉砕バガスを24時間50℃で糖化した後の固形残渣を糖化残渣とし、該糖化残渣10mg/mLと本発明の変異キシラナーゼとを50℃で1時間反応させて糖化残渣吸着率を算出した場合、本発明の変異キシラナーゼの糖化残渣吸着率は、親キシラナーゼの糖化残渣吸着率を100%としたときの相対値として、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、なお好ましくは60%以下である。
(4.ベクター及び形質転換体)
本発明の変異キシラナーゼは、例えば、上記本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを発現させることにより生産することができる。好ましくは、本発明の変異キシラナーゼは、当該変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換体から生産することができる。すなわち、当該変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主に導入して形質転換体を得た後、当該形質転換体を適切な培地で培養すれば、形質転換体が含有する本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドが発現して、本発明の変異キシラナーゼが生産される。生産された変異キシラナーゼを該培養物から単離又は精製することにより、本発明の変異キシラナーゼを取得することができる。
したがって、本発明はさらに、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド、及びそれを含むベクターを提供する。本発明はさらに、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド又はそれを含むベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法を提供する。さらに本発明は、該ポリヌクレオチド又はベクターを含む形質転換体を提供する。さらに本発明は、当該形質転換体を培養することを含む、変異キシラナーゼの製造方法を提供する。
本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、キシラナーゼ触媒ドメインのみをコードするポリヌクレオチドであってもよいが、キシラナーゼ触媒ドメイン及びCBMをコードするポリヌクレオチドであってもよい。さらに該ポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードする領域や、非翻訳領域(UTR)などを含んでいてもよい。本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、一本鎖及び二本鎖DNA、RNA、又は人工核酸の形態であり得、あるいはcDNA、又はイントロンを含まない化学合成DNAであり得る。
本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、該変異キシラナーゼのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的又は化学的に合成することができる。例えば、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、親キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド(以下、親キシラナーゼ遺伝子ともいう)において、配列番号2の129位又は158位に対応する位置のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を、置換後の非塩基性アミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)へと変異させることによって、調製することができる。当該変異したポリヌクレオチドを発現させることにより、置換対象のアミノ酸残基が所望の非塩基性アミノ酸残基に置換された変異キシラナーゼを得ることができる。
親キシラナーゼ遺伝子への目的の変異の導入は、当業者には周知の様々な部位特異的変異導入法を用いて行うことができる。部位特異的変異導入法は、例えば、インバースPCR法やアニーリング法など(村松ら編、「改訂第4版 新遺伝子工学ハンドブック」、羊土社、p.82−88)の任意の手法により行うことができる。必要に応じてStratagene社のQuickChange II Site−Directed Mutagenesis Kitや、QuickChange Multi Site−Directed Mutagenesis Kit等の各種の市販の部位特異的変異導入用キットを使用することもできる。
あるいは、親キシラナーゼ遺伝子への部位特異的変異導入は、導入すべきヌクレオチド変異を含む変異プライマーを用いて行うことができる。そのような変異プライマーは、親キシラナーゼ遺伝子内の置換対象のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を含む領域にアニーリングし、かつその置換対象のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)に代えて置換後の非塩基性アミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を有するヌクレオチド配列を含むように設計すればよい。置換対象及び置換後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)は、当業者であれば通常の教科書等に基づいて適宜認識し、選択することができる。
例えば、親キシラナーゼ遺伝子への部位特異的変異導入は、導入すべきヌクレオチド変異を含む相補的な2つの変異プライマーを別々に用いて変異部位の上流側及び下流側をそれぞれ増幅したDNA断片を、SOE(splicing by overlap extension)−PCR(Horton R.M.et al.,Gene(1989)77(1),p.61−68)により1つに連結する方法を用いることもできる。このSOE−PCR法を用いた変異導入手順については、後述の実施例にも詳述している。
親キシラナーゼ遺伝子の例としては、配列番号2で示されるサーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼの触媒ドメインをコードするポリヌクレオチド(配列番号1)、ならびに配列番号4で示されるサーモビフィダ・フスカYX由来キシラナーゼの全長配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号3)が挙げられる。当該ポリヌクレオチドは、当該分野で用いられる任意の方法により取得することができる。例えば、サーモビフィダ・フスカYXの全ゲノムDNAを抽出した後、配列番号1の配列を元に設計したプライマーを用いたPCRにより標的核酸を選択的に増幅し、増幅した核酸を精製することで、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
あるいは、親キシラナーゼ遺伝子の例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。このようなポリヌクレオチドは、配列番号1で示されるポリヌクレオチドに対して、紫外線照射や部位特異的変異導入のような公知の突然変異導入法により突然変異を導入することによって調製することができる。例えば、配列番号1で示されるポリヌクレオチドに上記公知の方法で突然変異導入し、得られた変異ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのキシラナーゼ活性を調べ、所望のキシラナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする変異ポリヌクレオチドを選択することによって、親キシラナーゼ遺伝子を得ることができる。
本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを導入すべきベクターの種類としては、特に限定されず、タンパク質産生に通常用いられるベクター、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどが挙げられる。このうち、プラスミドベクターが好ましく、例えば、市販のタンパク質発現用プラスミドベクター、例えばシャトルベクターpHY300PLK、pUC19、pUC119、pBR322(いずれもタカラバイオ株式会社製)などを好適に用いることができる。
上記ベクターは、DNAの複製開始領域を含むDNA断片又は複製起点を含むDNA領域を含み得る。あるいは、上記ベクターにおいては、上記本発明の変異キシラナーゼをコードする遺伝子の上流に、当該遺伝子の転写を開始させるためのプロモーター領域、ターミネーター領域、又は発現されたタンパク質を細胞外へ分泌させるための分泌シグナル領域などの制御配列が作動可能に連結されていてもよい。あるいは、当該ベクターが適切に導入された宿主を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤の耐性遺伝子)がさらに組み込まれていてもよい。あるいは、本発明のベクターを導入する宿主に栄養要求性株を使用する場合、要求される栄養をコードする遺伝子を含むベクターを用いてもよい。本明細書において、遺伝子と制御配列が「作動可能に連結されている」とは、遺伝子と制御領域とが、当該遺伝子が当該制御領域による制御の下に発現し得るように配置されていることをいう。
キシラナーゼをコードする配列と上記制御配列やマーカー遺伝子配列との連結は、上述したSOE−PCR法などの方法によって行うことができる。プラスミドベクターへの遺伝子配列の導入手順は、当該分野で周知である。上記プロモーター領域、ターミネーター、分泌シグナル領域等の制御配列の種類は、特に限定されず、導入する宿主に応じて、通常使用されるプロモーターや分泌シグナル配列を適宜選択して用いることができる。
上記制御配列の例としては、S237eglプロモーター及びシグナル配列(Biosci,Biotechnol,Biochem,2000,64(11):2281−2289)、ならびにBacillus sp.KSM−S237株(FERM BP−7875)又はBacillus sp.KSM−64株(FERM BP−2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が挙げられる。あるいは、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、βグルコシダーゼ、キシラナーゼ、βキシロシダーゼなどの糖化酵素を発現するプロモーターを使用してもよい。あるいは、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼなどの代謝経路の酵素のプロモーターを使用してもよい。
上記ベクターを導入する形質転換体の宿主の例としては、細菌、糸状菌などの微生物が挙げられる。細菌の例としては、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、リステリア属(Listeria)、バチルス属(Bacillus)に属する細菌などが挙げられ、このうち、大腸菌及びバチルス属細菌(例えば、枯草菌又はその変異株)が好ましい。枯草菌変異株の例としては、J.Biosci.Bioeng.,2007,104(2):135−143に記載のプロテアーゼ9重欠損株KA8AX、ならびにBiotechnol.Lett.,2011,33(9):1847−1852に記載の、プロテアーゼ8重欠損株にタンパク質のフォールディング効率を向上させたD8PA株を挙げることができる。糸状菌の例としては、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rizhopus)などが挙げられ、このうち、酵素生産性の観点からはトリコデルマ属が好ましい。
宿主へのベクターの導入の方法としては、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法などの当該分野で通常使用される方法を用いることができる。導入が適切に行われた株をマーカー遺伝子の発現、栄養要求性などを指標に選択することで、ベクターが導入された目的の形質転換体を得ることができる。
斯くして得られた、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターが導入された形質転換体を適切な培地で培養すれば、当該ベクター上の遺伝子が発現して、本発明の変異キシラナーゼが生成される。当該形質転換体の培養に使用する培地は、当該形質転換体の微生物の種類にあわせて、当業者が適宜選択することができる。
あるいは、本発明の変異キシラナーゼは、無細胞翻訳系を使用して変異キシラナーゼ遺伝子又はその転写産物から発現させてもよい。「無細胞翻訳系」とは、宿主となる細胞を機械的に破壊して得た懸濁液にタンパク質の翻訳に必要なアミノ酸等の試薬を加えて、in vitro転写翻訳系又はin vitro翻訳系を構成したものである。
上記培養物又は無細胞翻訳系にて生成された本発明の変異キシラナーゼは、タンパク質精製に用いられる一般的な方法、例えば、遠心分離、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、単離又は精製することができる。このとき、形質転換体内のベクター上で変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドと分泌シグナル配列が作動可能に連結されている場合、生成されたキシラナーゼは菌体外に分泌されるため、より容易に培養物から回収され得る。培養物から回収されたキシラナーゼは、公知の手段でさらに精製されてもよい。
(5.バイオマス糖化方法又は糖の製造方法)
本発明の変異キシラナーゼは、糖化残渣の吸着率が低いため、バイオマスを効率よく糖化することができる。したがって、本発明の変異キシラナーゼは、バイオマスの糖化のため、又はバイオマスからの糖の製造のために好適に使用することができる。
したがって、本発明はさらに、上記本発明の変異キシラナーゼを有効成分とするバイオマス糖化剤を提供する。
さらに本発明は、上記本発明の変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤を提供する。
さらに本発明は、上記本発明の変異キシラナーゼ又は上記本発明のバイオマス糖化剤を用いるバイオマス糖化方法を提供する。
さらに本発明は、上記本発明の変異キシラナーゼ又は上記本発明のバイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法を提供する。
本発明の変異キシラナーゼを有効成分とするバイオマス糖化剤は、好ましくはバイオマス糖化用の酵素組成物(以下、本発明の酵素組成物ということもある)である。本発明の酵素組成物は、本発明の変異キシラナーゼを含み、また糖化効率の向上の観点から、好ましくはさらにセルラーゼを含む。ここで、セルラーゼとは、セルロースのβ−1,4−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を指し、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼ又はセロビオハイドロラーゼ、及びβ−グルコシダーゼなどと称される酵素の総称である。本発明の酵素組成物に使用されるセルラーゼの例としては、市販のセルラーゼ製剤や、動物、植物、微生物由来のセルラーゼが挙げられ得る。本発明の酵素組成物において、これらのセルラーゼは、単独で使用されても2種以上の組合せで使用されてもよい。糖化効率の向上の観点から、セルラーゼは、セロビオハイドロラーゼ及びエンドグルカナーゼからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
本発明の変異キシラナーゼと併用され得るセルラーゼ製剤の具体例としては、セルクラスト(登録商標)1.5L(ノボザイムズ社製)、TP−60(明治製菓株式会社製)、Cellic(登録商標)CTec2(ノボザイムズ社製)、AccelleraseTMDUET(ジェネンコア社製)、及びウルトラフロ(登録商標)L(ノボザイムズ社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の酵素組成物の総タンパク質量中における、本発明の変異キシラナーゼの含有量は、糖化効率向上の観点から、該変異キシラナーゼの触媒ドメインの質量に換算して、好ましくは0.5〜70質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは2〜40質量%、さらにより好ましくは2〜30質量%である。
本発明の酵素組成物の総タンパク質量中における、上記セルラーゼの含有量は、糖化効率向上の観点から、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜95質量%である。また、本発明の酵素組成物の総タンパク質量中における、本発明の変異キシラナーゼ以外のヘミセルラーゼの含有量は、糖化効率向上の観点から、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。
本発明の酵素組成物における、本発明の変異キシラナーゼと上記セルラーゼとのタンパク質量比は、糖化効率向上の観点から、[本発明のキシラナーゼの触媒ドメイン/セルラーゼ]の質量比として、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜5、さらに好ましくは0.05〜1、よりさらに好ましくは0.05〜0.5である。
本発明によるバイオマスからの糖の製造方法は、バイオマスを、上記本発明の変異キシラナーゼ又は上記本発明の酵素組成物で糖化する工程を含む。本発明の糖の製造方法では、糖化残渣吸着性の低い本発明の変異キシラナーゼを用いることによって、キシラナーゼの非特異的吸着が低減することによりキシラン糖化率が向上する。さらに本発明の糖の製造方法では、セルロース糖化効率も向上する。このセルロース糖化効率向上の理由は明らかではないが、本発明の変異キシラナーゼを用いることにより、バイオマス中のヘミセルロースが効率的に分解されて、糖化酵素がセルロースに接触しやすい状態となり、全体として糖化効率が向上するためであると推測される。
本発明の酵素組成物が適用される、又は本発明の糖の製造方法で用いられるバイオマスの例としては、(1.定義)の章で前述したとおりである。入手容易性、原料コスト、及び糖化効率向上の観点からは、当該バイオマスとしては、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉又は果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスがさらに好ましい。当該バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また当該バイオマスは乾燥されていてもよい。
本発明のバイオマス糖化方法、及び糖の製造方法は、バイオマスの粉砕効率向上、及び糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)の観点から、バイオマスを本発明の変異キシラナーゼ又は酵素組成物で糖化する工程の前に、当該バイオマスを前処理する工程をさらに含むことが好ましい。
上記前処理としては、例えば、アルカリ処理、粉砕処理及び水熱処理からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。当該前処理としては、糖化効率向上の観点から、アルカリ処理が好ましく、糖化効率をさらに向上させる観点から、アルカリ処理と粉砕処理を行うことが好ましく、アルカリ処理と粉砕処理を同時に行うことがより好ましい。
上記アルカリ処理とは、バイオマスを、後述する塩基性化合物と反応させることをいう。当該アルカリ処理の方法としては、バイオマスを、後述する塩基性化合物を含むアルカリ溶液に浸漬する方法(以下、「浸漬処理」ということがある)や、バイオマスと塩基性化合物とを混合して、後述する粉砕処理にかける方法(以下、「アルカリ混合粉砕処理」ということがある)などが挙げられる。
上記粉砕処理とは、バイオマスを機械的に粉砕して小粒子化することをいう。バイオマスを小粒子化することにより、糖化効率がより向上する。また、当該粉砕処理により、バイオマスに含まれるセルロースの結晶構造が破壊されると、糖化効率がなお向上する。当該粉砕処理は公知の粉砕機を用いて行うことができる。用いられる粉砕機に特に制限はなく、バイオマスを小粒子化することができる装置であればよい。当該粉砕処理は、上述した塩基性化合物によるアルカリ処理と組み合わせてもよい。当該粉砕処理は、アルカリ処理の前又は後に行ってもよく、あるいは、粉砕処理と並行してアルカリ処理、例えば上述したアルカリ混合粉砕処理を行ってもよい。アルカリ混合粉砕処理では、例えば、アルカリ溶液に浸漬したバイオマスを粉砕処理にかけてもよく(湿式粉砕)、又は固体のアルカリとバイオマスとを一緒に粉砕処理にかけてもよいが(乾式粉砕)、このうち、乾式粉砕が好ましい。
上記水熱処理とは、バイオマスを、水分の存在下で加熱処理することをいう。当該水熱処理は、公知の反応装置を用いて行うことができ、用いられる反応装置に特に制限はない。好ましくは、当該水熱処理では、バイオマスの粗粉砕物を、水に分散した水スラリーの状態とし、これを加熱処理する。水スラリー中のバイオマスの含有量は、スラリーの流動性向上の観点から、好ましくは1〜500g/L、より好ましくは5〜400g/L、さらに好ましくは8〜300g/Lである。
本発明のバイオマス糖化方法、及び糖の製造方法は、バイオマス、好ましくは上記前処理されたバイオマスを、本発明の変異キシラナーゼ又は酵素組成物で糖化する工程(本明細書において「糖化処理」ということがある)を含む。
上記糖化処理の条件は、本発明の変異キシラナーゼ及び併用するその他酵素が失活しない条件であれば特に限定されない。適切な条件は、バイオマスの種類や前処理工程の手順、使用する酵素の種類により当業者が適宜決定することができる。
上記糖化処理においては、バイオマスを含む懸濁液に、本発明の変異キシラナーゼ又は酵素組成物を添加することが好ましい。懸濁液中のバイオマスの含有量は、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)の観点から、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。
上記懸濁液に対する本発明の変異キシラナーゼ又は酵素組成物の使用量は、上記前処理条件、ならびに併用する酵素の種類及び性質により適宜決定されるが、バイオマス質量に対して、該変異キシラナーゼの触媒ドメインの質量に換算して、好ましくは0.04〜600質量%、より好ましくは0.1〜100質量%、さらに好ましくは0.1〜50質量%である。
上記糖化処理の反応pHとしては、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、好ましくはpH4〜9、より好ましくはpH5〜8、さらに好ましくはpH5〜7である。
上記糖化処理の反応温度は、糖化効率の向上、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、20〜90℃が好ましく、より好ましくは25〜85℃、さらに好ましくは30〜80℃、さらにより好ましくは40〜75℃、なお好ましくは45〜65℃、なおより好ましくは50〜65℃、さらになお好ましくは50〜60℃である。当該糖化処理の反応時間は、バイオマスの種類若しくは量、酵素量などに合わせて適宜設定することができるが、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、好ましくは1〜5日間、より好ましくは1〜4日間、さらに好ましくは1〜3日間である。
上述した本発明の別の例示的実施形態として、さらに以下を本明細書に開示する。
<1>変異キシラナーゼであって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ただし、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、
変異キシラナーゼ。
<2>好ましくは、上記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置に、非塩基性アミノ酸残基を有する、<1>記載の変異キシラナーゼ。
<3>好ましくは、さらに、以下:
配列番号2の10位に相当する位置;
配列番号2の40位に相当する位置;及び
配列番号2の56位に相当する位置;
からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、上記<1>又は<2>記載の変異キシラナーゼ。
<4>好ましくは、上記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、上記<1>〜<3>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ。
<5>好ましくは、上記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置の非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、上記<4>記載の変異キシラナーゼ。
配列番号2の10位に相当する位置;セリン
配列番号2の40位に相当する位置;セリン
配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
配列番号2の129位に相当する位置;セリン
配列番号2の158位に相当する位置;セリン
<6>好ましくは、さらに糖質結合モジュールを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ。
<7>好ましくは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、<1>〜<6>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ。
<8>変異キシラナーゼの製造方法であって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法。
<9>好ましくは、上記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置におけるアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換される、上記<8>記載の方法。
<10>好ましくは、さらに、以下:
配列番号2の10位に相当する位置;
配列番号2の40位に相当する位置;及び
配列番号2の56位に相当する位置;
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、上記<8>又は<9>記載の方法。
<11>好ましくは、上記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、上記<8>〜<10>のいずれか1項記載の方法。
<12>好ましくは、上記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置におけるアミノ酸残基を置換する非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、上記<11>記載の方法。
配列番号2の10位に相当する位置;セリン
配列番号2の40位に相当する位置;セリン
配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
配列番号2の129位に相当する位置;セリン
配列番号2の158位に相当する位置;セリン
<13>好ましくは、上記配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、<8>〜<12>のいずれか1項記載の方法。
<14>キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、
配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
配列番号2の129位に相当する位置;及び
配列番号2の158位に相当する位置、
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法。
<15>好ましくは、上記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置におけるアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換される、上記<14>記載の方法。
<16>好ましくは、さらに、以下:
配列番号2の10位に相当する位置;
配列番号2の40位に相当する位置;及び
配列番号2の56位に相当する位置;
からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、上記<14>又は<15>記載の方法。
<17>好ましくは、上記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、上記<14>〜<16>のいずれか1項記載の方法。
<18>好ましくは、上記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置におけるアミノ酸残基を置換する非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、上記<17>記載の方法。
配列番号2の10位に相当する位置;セリン
配列番号2の40位に相当する位置;セリン
配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
配列番号2の129位に相当する位置;セリン
配列番号2の158位に相当する位置;セリン
<19>好ましくは、上記配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、<14>〜<18>のいずれか1項記載の方法。
<20>上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド。
<21>上記<20>記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
<22>上記<20>記載のポリヌクレオチド又は上記<21>記載のベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法。
<23>上記<20>記載のポリヌクレオチド又は上記<21>記載のベクターを含む形質転換体。
<24>上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤。
<25>好ましくはセルラーゼをさらに含む、<24>記載のバイオマス糖化剤。
<26>上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼを用いる、バイオマス糖化方法。
<27>好ましくはさらにセルラーゼを用いる、<26>記載の方法。
<28>上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼのバイオマス糖化のための使用。
<29>好ましくはセルラーゼと併用される、<28>記載の使用。
<30>上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ、又は上記<24>若しくは<25>記載のバイオマス糖化剤を用いる、バイオマスからの糖の製造方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
<参考例1 PCR反応>
以下の実施例におけるDNA断片増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においては、Applied Biosystems 2720サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズ)を使用し、PrimeSTAR Max Premix(タカラバイオ)又はPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ)と付属の試薬類を用いてDNA増幅を行った。PCRの反応液組成は、適宜希釈した鋳型DNAを1μL、センスプライマーとアンチセンスプライマーを各々20pmol、及びPrimeSTAR Max Premixを10μL添加して、反応液総量を20μLとした。PCRの反応条件は、98℃で10秒間、55〜60℃で10秒間及び72℃で10〜90秒間(目的増幅産物に応じて調整。目安は1kbあたり10秒)の3段階の温度変化を30回繰り返すことにより行った。
<参考例2 タンパク質濃度測定 (Lowry法)>
タンパク質の定量にはLowry法を用いた。酵素溶液は適切な濃度にイオン交換水で希釈した後、DCプロテインアッセイ(バイオラッド)を用いて定量した。Reagent A 1mLに対してReagent Sを20μLの割合で混合し、タンパク質5μLに対してこの混合液を25μL添加した。さらにReagent B(発色液)を158μL添加し、15分間室温で静置した。マイクロプレートリーダー(Versa max、Molecular Devices)で750nmの吸光度を測定し、BSAの検量線からタンパク質の濃度を定量した。
<参考例3 キシラナーゼ活性の測定>
キシラナーゼ活性の測定は3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法にて、生成糖の還元末端を定量化した。終濃度可溶キシラン1%(w/v)(2%(w/v)xylan from beechwood(Sigma Aldrich)を1分間煮沸し、室温に静置後、遠心分離により得られた上清を可溶キシランとした)、50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)、酵素10μLを混合し、50℃で10分間反応させた。反応終了後、100μLのDNS溶液(水酸化ナトリウム(和光純薬工業)1.6%(w/v)、ジニトロサリチル酸(和光純薬工業)0.5%(w/v)、酒石酸ナトリウムカリウム(和光純薬工業)30.0%(w/v))を添加し、99.9℃で10分間反応させた。マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイスジャパン)で波長540nmの吸光度を測定することにより、生成糖の還元末端を定量化した。検量線にはキシロースを用いた。
<参考例4 バイオマスの調製>
(1)バガス調製
バガス(サトウキビの搾りかす、ホロセルロース含有量71.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)を減圧乾燥機VO−320(アドバンテック東洋)中に入れ、窒素流通下の条件で2時間減圧乾燥し、ホロセルロース含有量71.3質量%、結晶化度29%、水分量2.0質量%の乾燥バガスを得た。
(2)混合粉砕処理
得られた乾燥バガス100gと粒径0.7mmの粒状の水酸化ナトリウム「トーソーパール」(東ソー社製)8.8g(ホロセルロースを構成するAGU1モルに対し0.5モル相当量)を、バッチ式振動ミルMB−1(中央化工機:容器全容積3.5L、媒体としてφ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、ロッド充填率57%)に投入し、2時間粉砕処理することでバガス粉砕物(平均粒子径約16.6μm)を得た。
<参考例5 糖化残渣>
参考例4で調製したアルカリ混合粉砕バガス5%(w/v)、セルラーゼ製剤Cellic(登録商標)CTec2(ノボザイムズ社)5mg/g−バイオマス、30μg/mLテトラサイクリン塩酸塩(wako)、0.6μg/mLエリスロマイシン(wako)を含む10mLの液を、25mLの自立型遠沈管中で50℃、150rpm(タイテック:BR−40F)にて24時間反応させ、バガスを糖化させた。反応終了後、遠心分離(11000rpm×10分)により上清を除去し、50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)で2回洗浄し、固形分を回収した。得られた糖化残渣を(以下、CTec2糖化残渣という)を、以下のキシラナーゼ吸着性解析に用いた。
<参考例6 糖化残渣に対する吸着性解析>
参考例5で調製した糖化残渣を基質として用い、キシラナーゼの吸着挙動を解析した。参考例5で調製した糖化残渣の質量を検量線より算出し、所定濃度の糖化残渣(基質)、50mM酢酸ナトリウムバッファー、キシラナーゼ50〜158μg/mLを含む0.5〜1mLの反応液を、2mLのエッペンドルフチューブ又は96穴ディープウェルプレート(Thermo SIENTIFIC)で、50℃、150rpmにて1時間振盪した。反応終了後、遠心分離(11000rpm、5分、4℃)にて上清を回収し、キシラナーゼ活性を前述のDNS法で測定した。下記式で示すように、基質濃度0mg/mLの場合の活性を100とし、基質と反応させた反応液の上清のキシラナーゼ相対比活性を算出した。得られた活性値を100から減算することでキシラナーゼの糖化残渣吸着率を算出した。
糖化残渣吸着率(%)=100−相対比活性(%)
相対比活性(%)=(糖化残渣を添加した反応液上清のキシラナーゼ活性/糖化残渣未添加の反応液上清のキシラナーゼ活性)×100
<実施例1 変異キシラナーゼの調製>
(1)キシラナーゼ遺伝子含有ベクターの作製
サーモビフィダ・フスカ YX株(Tfu)をTrypticase Soy Agar培地(3.0%Trypticase Soy、2.0%Agar)に植菌し、28℃にて1日間培養した。培養で得られた菌体から、UltraCleanTMMicrobial DNA Isolation Kit(Mo Bio Laboratories,Inc.)を用いてゲノムDNAを取得した。
得られたゲノムDNAを鋳型として、表1に示したフォワードプライマーTfu−Xyn F(配列番号8)とリバースプライマーTfu−Xyn R(配列番号9)を用いて、Tfuキシラナーゼ(Tfu−Xyn)遺伝子領域(配列番号3)の約1.0kbp断片(A)を含むベクターを作製した。
シャトルベクターpHY300PLK(タカラバイオ)のBamHI制限酵素切断点に、バチルス属細菌KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のS237アルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000−210081号公報参照)(配列番号7)をコードするDNA断片が挿入された組換えプラスミドpHY−S237を鋳型とし、表1に示したフォワードプライマーpHY−S237 F(配列番号10)とリバースプライマーpHY−S237 R(配列番号11)を用いてS237アルカリセルラーゼ構造遺伝子を除く領域の約5.6kbp断片(B)を増幅した。増幅した遺伝子断片をHigh Pure PCR Product Purification kit(Roche製)にて精製した。
精製されたDNA断片(A)1μLとDNA断片(B)1μL、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(タカラバイオ)に含まれる5×In−Fusion(登録商標)HD Enzyme Premi×2μL、DNaseフリーの水6μLを混合し、50℃で15分反応させ、キシラナーゼ遺伝子の断片をベクターにクローニングした。その後、反応液2μLを用いて、コンピテントセルE.coli DH5α(タカラバイオ)20μLを形質転換した。形質転換体の再生培地には、50ppmアンピシリンナトリウム(和光純薬工業)、2.0%アガー(和光純薬工業)を含むLB寒天培地を用いた。アンピシリン耐性株として得られた形質転換体の中から、コロニーPCRにより目的の遺伝子が挿入されたプラスミドを保持する菌株を選別した。選別した形質転換体は同様のLB寒天培地を用いて培養後(37℃、1日間)、得られた菌体からプラスミドをHigh Pure Plasmid Isolation kit(Roche)を用いて回収、精製した。
(2)キシラナーゼ触媒ドメイン遺伝子の調製
キシラナーゼ触媒ドメイン(CD)をコードする遺伝子の発現ベクターを作製するために、上述のTfu−Xyn遺伝子が挿入された組み換えプラスミドを鋳型とし、表1に示したフォワードプライマーTfu−CD−Xyn F(配列番号12)とリバースプライマーTfu−CD−Xyn R(配列番号13)を用いたPCRにて、Tfu−XynのCDをコードする遺伝子を含む約5.6〜6.0kbp断片を増幅した。プライマーの作製はPrimeSTAR(登録商標)Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ)のマニュアルに従った。遺伝子断片をHigh Pure PCR Product Purification kit(Roche製)にて精製した。精製したPCR断片2μLを用いてコンピテンとセルE.coli DH5α(タカラバイオ)20μLを形質転換した。以下において、Tfu由来キシラナーゼ触媒ドメインをTfu−CD−Xynということがある。
Figure 2016119877
(3)変異キシラナーゼ遺伝子の調製
Tfu−CD−Xynの変異キシラナーゼを作製した。上記(2)のTfu−CD−Xynをコードする遺伝子の導入されたプラスミドを鋳型に、表2記載のプライマーを用いてPCRを行い、それぞれ、配列番号2の129位又は158位に相当する位置のアミノ酸の変異を含む変異キシラナーゼ(それぞれ、R129S及びR158Sと表記する)をコードするDNA断片を増幅した。すなわち、R129Sについては、配列番号3の511〜513番ヌクレオチドcgt(アルギニン;R)をtca(セリン;S)へ置換した。R158Sについては、配列番号3の598〜600番ヌクレオチドaga(アルギニン;R)をtca(セリン;S)へ置換した。
さらに、R129S及びR158Sの両変異を含む変異キシラナーゼ(R129S/R158S)をコードする遺伝子を含むDNA断片も作製した。
次いで、上記(2)と同様の方法で、各変異体をコードするDNAを所定の順序でプラスミドベクター上に連結し、得られたプラスミドを用いて大腸菌の形質転換、形質転換株の選抜、及びプラスミドの精製を行った。
(4)変異キシラナーゼ遺伝子の調製
表3記載のプライマーを用いて、上記(3)と同様の手順で、配列番号2の10位、40位、又は56位に相当する位置のアミノ酸の変異を含む変異キシラナーゼ(それぞれ、H10S、R40S、及びR56Aと表記する)をコードするDNA断片を増幅した。すなわち、H10Sについては、配列番号3の154〜156番ヌクレオチドcat(ヒスチジン;H)をtca(セリン;S)へ置換した。R40Sについては、配列番号3の244〜246番ヌクレオチドaga(アルギニン;R)をtca(セリン;S)へ置換した。R56Aについては、配列番号3の292〜294番ヌクレオチドcgg(アルギニン;R)をgca(アラニン;A)へ置換した。
次いで、上記(2)と同様の方法で、各変異体をコードするDNAを所定の順序でプラスミドベクター上に連結し、得られたプラスミドを用いて大腸菌の形質転換、形質転換株の選抜、及びプラスミドの精製を行った。
(5)変異キシラナーゼ遺伝子の調製
さらに、R129S/R158Sをコードする遺伝子の導入されたプラスミドを鋳型に、表3記載のプライマーを用いてPCRを行い、R129S及びR158Sとともに、H10S、R40S又はR56Aの変異を含む変異キシラナーゼ(それぞれ、R129S/R158S/H10S、R129S/R158S/R40S、及びR129S/R158S/R56Aと表記する)をコードする遺伝子を含むDNA断片を増幅した。
次いで、上記(2)と同様の方法で、各変異体をコードするDNAを所定の順序でプラスミドベクター上に連結し、得られたプラスミドを用いて大腸菌の形質転換、形質転換株の選抜、及びプラスミドの精製を行った。
Figure 2016119877
Figure 2016119877
(6)変異キシラナーゼ生産
上記(3)〜(5)で精製したプラスミドを、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.,1979,168:111−115)に従って、宿主菌に導入した。宿主には、枯草菌168株から9つの菌体外プロテアーゼを欠損させたKA8AX、又は168株から8つの菌体外プロテアーゼを欠損させ、タンパク質のフォールディング効率を向上させたD8PA株を使用した。形質転換体の再生培地には、テトラサイクリン含有DM3再生寒天培地(バクトカザミノ酸(Difco)0.5%(w/v)、酵母エキス(Difco)0.5%(w/v)、コハク酸二ナトリウム六水和物(和光純薬工業)4.05%(w/v)、リン酸一水素二カリウム(和光純薬工業)0.35%(w/v)、リン酸二水素一カリウム(和光純薬工業)0.15%(w/v)、グルコース(和光純薬工業)0.1%(w/v)、塩化マグネシウム(和光純薬工業)20mM、牛血清アルブミン(和光純薬工業)0.01%(w/v)、トリパンブルー0.005%(w/v)(ACROS ORGANICS)、テトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業)0.005%(w/v)、カルボキシメチルセルロース1.0%(w/v)、寒天1.0%(w/v))を用いた。
DM3再生寒天培地上に生育した形質転換体をLB(15μg/mLテトラサイクリン・大試験管)5mLに植菌し、30℃、120rpmで16時間振盪培養した。培養液600μLを2×L Mal培地30mL(バクトトリプトン2%(w/v)、酵母エキス1.0%(w/v)、塩化ナトリウム1.0%(w/v)、硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業)75ppm、マルトース一水和物(和光純薬工業)7.5%(w/v)、テトラサイクリン塩酸塩15ppm)に接種し、30℃、120rpmにて2〜3日間振盪培養(PRECi:PRXYg−56−R型)した。得られた培養液は遠心分離(8000rpm、15分)により上清を回収した。得られた上清はEcono−Pac(登録商標)10DG Columns(BIO RAD)により脱塩、バッファー置換した。置換用のバッファーには50mM Tris−HCl(pH7.5)バッファーを用いた。
<実施例2 変異キシラナーゼの糖化残渣吸着性>
実施例1で調製した変異キシラナーゼについて、参考例6記載の手順(糖化残渣濃度は10mg/mL)にて、糖化残渣に対する吸着率を解析した。結果を表4〜表6に示す。キシラナーゼ変異体R129S及びR158Sは、野生型(Tfu−CD−Xyn)と比較して、糖化残渣吸着率が大きく低減していた。また、両変異を組み合わせた二重変異体R129S/R158Sでは、糖化残渣吸着率はさらに低減した(表4)。キシラナーゼ変異体R40S及びR56Aも、野生型と比較して糖化残渣吸着率が低減していた(表5)。R40S又はR56Aと、R129S/R158Sとを組み合わせた多重変異体では、糖化残渣吸着率の低減がさらに顕著であった(表6)。一方、H10Sの単独変異体では、糖化残渣吸着率の低減は観察されなかった(表5)が、H10SとR129S/R158Sとを組み合わせた多重変異体では、糖化残渣吸着率が顕著に低減した(表6)。
Figure 2016119877
Figure 2016119877
Figure 2016119877

Claims (21)

  1. 変異キシラナーゼであって、
    配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ただし、以下:
    配列番号2の129位に相当する位置;及び
    配列番号2の158位に相当する位置、
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、
    変異キシラナーゼ。
  2. 前記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、請求項1記載の変異キシラナーゼ。
  3. さらに、以下:
    配列番号2の10位に相当する位置;
    配列番号2の40位に相当する位置;及び
    配列番号2の56位に相当する位置;
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置に非塩基性アミノ酸残基を有する、請求項1又は2記載の変異キシラナーゼ。
  4. 前記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ。
  5. 前記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置の非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、請求項4記載の変異キシラナーゼ。
    配列番号2の10位に相当する位置;セリン
    配列番号2の40位に相当する位置;セリン
    配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
    配列番号2の129位に相当する位置;セリン
    配列番号2の158位に相当する位置;セリン
  6. さらに糖質結合モジュールを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ。
  7. 変異キシラナーゼの製造方法であって、
    配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
    配列番号2の129位に相当する位置;及び
    配列番号2の158位に相当する位置、
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法。
  8. 前記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置におけるアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換される、請求項7記載の方法。
  9. さらに、以下:
    配列番号2の10位に相当する位置;
    配列番号2の40位に相当する位置;及び
    配列番号2の56位に相当する位置;
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、請求項7又は8記載の方法。
  10. 前記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置におけるアミノ酸残基を置換する非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、請求項10記載の方法。
    配列番号2の10位に相当する位置;セリン
    配列番号2の40位に相当する位置;セリン
    配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
    配列番号2の129位に相当する位置;セリン
    配列番号2の158位に相当する位置;セリン
  12. キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、
    配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドにおいて、以下:
    配列番号2の129位に相当する位置;及び
    配列番号2の158位に相当する位置、
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、方法。
  13. 前記配列番号2の129位に相当する位置及び158位に相当する位置におけるアミノ酸残基が、非塩基性アミノ酸残基に置換される、請求項12記載の方法。
  14. さらに、以下:
    配列番号2の10位に相当する位置;
    配列番号2の40位に相当する位置;及び
    配列番号2の56位に相当する位置;
    からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基を、非塩基性アミノ酸残基に置換することを含む、請求項12又は13記載の方法。
  15. 前記非塩基性アミノ酸残基がセリン及びアラニンより選択される、請求項12〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記配列番号2の10位、40位、56位、129位又は158位に相当する位置におけるアミノ酸残基を置換する非塩基性アミノ酸残基が、以下のアミノ酸残基である、請求項15記載の方法。
    配列番号2の10位に相当する位置;セリン
    配列番号2の40位に相当する位置;セリン
    配列番号2の56位に相当する位置;アラニン
    配列番号2の129位に相当する位置;セリン
    配列番号2の158位に相当する位置;セリン
  17. 請求項1〜6のいずれか1項記載の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド。
  18. 請求項17記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  19. 請求項17記載のポリヌクレオチド又は請求項18記載のベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法。
  20. 請求項1〜6のいずれか1項記載の変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤。
  21. 請求項20記載のバイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法。
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