WO2015137334A1 - 変異キシラナーゼ - Google Patents

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Abstract

 変異キシラナーゼ触媒ドメインの製造方法であって、以下:親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換することを含み、該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、方法。

Description

変異キシラナーゼ
 本発明は、変異キシラナーゼに関する。
 バイオマスは、化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源である。その中でもセルロース系バイオマスが注目を浴びている。セルロースを分解することで糖を製造し、得られた糖から化学変換や微生物を用いた発酵技術により石油資源の代替物やバイオ燃料などの有用資源を製造する技術の開発が、世界中で行われている。
 セルロース系バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分として構成される。このようなバイオマスは、セルロースを分解するセルラーゼ、ヘミセルロースを分解するヘミセルラーゼなどが相乗的に作用することにより、複雑な形式で分解されることが知られている。セルロース系バイオマスの有効活用にあたっては、セルロースやヘミセルロースを高効率に分解可能な糖化酵素の開発が必要となる。
 セルロース系バイオマスの糖化には、セルラーゼを主成分とする糖化酵素カクテルが従来から使用されている。近年、セルラーゼを主成分とする糖化酵素カクテルに対して、キシラナーゼやアラビノフラノシダーゼなどのヘミセルラーゼを添加することによって、糖化率が向上することが報告され、セルロース系バイオマス糖化におけるヘミセルラーゼの重要性が示唆された(特許文献1)。
 セルロース系バイオマスの糖化においては、糖化酵素が基質であるセルロースやヘミセルロースに吸着し、それらを分解することによって糖が生産される。こうした糖の生産に関わるセルロースやヘミセルロース基質への該酵素の吸着は、生産的吸着と呼ばれる。対照的に、糖化酵素により分解されない成分、例えばリグニン、灰分、その他成分などへの該酵素の吸着は、非特異的吸着と呼ばれる。酵素の糖化効率は、酵素の比活性、耐熱性、非特異的吸着などの因子に左右されると考えられており、糖化酵素の開発にあたっては、これらの因子が着目される。
 セルロース系バイオマスを糖化酵素で糖化した後の残渣成分は、リグニンが主成分である。しかし、セルロース系バイオマス中のリグニンに糖化酵素が吸着することにより、糖化効率が低下することが知られている。セルロース系バイオマス糖化において、糖化酵素のリグニンへの非特異的吸着性は好ましくない性質である。これまでに、セロビオハイドロラーゼ(CBH)IIにおいて、負電荷のアミノ酸への置換、正電荷のアミノ酸の除去等の改変により、非セルロース素材への非特異的吸着が低減したことが報告されている(特許文献2)。
  (特許文献1)特表2011-515089号公報
  (特許文献2)特表2011-523854号公報
 一態様において本発明は、変異キシラナーゼ触媒ドメインの製造方法であって、以下:
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法を提供する。
 別の一態様において、本発明は、変異キシラナーゼの製造方法であって、以下:
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法を提供する。
 別の一態様において、本発明は、キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着性の低減方法であって、以下:
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法を提供する。
 別の一態様において、本発明は、キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、
以下:
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、変異キシラナーゼ触媒ドメインであって、N末端から順に、
 (a)配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
 (b)配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
 (c)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
    配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
ならびに
 (d)配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
からなる、変異キシラナーゼ触媒ドメインを提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼ触媒ドメインと糖質結合モジュールとを含む変異キシラナーゼを提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は上記変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチド又は上記ベクターを宿主に導入する形質転換体の製造方法を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチド又は上記ベクターを含む形質転換体を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は上記変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は上記変異キシラナーゼを用いるバイオマス糖化方法を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、バイオマス糖化のための上記変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は上記変異キシラナーゼの使用を提供する。
 さらなる態様において、本発明は、上記変異キシラナーゼ触媒ドメイン、上記変異キシラナーゼ、又は上記バイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法を提供する。
キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着率。 キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着率。 キシラナーゼ含有酵素組成物によるリグニン存在下でのキシランからの生成糖量。
発明の詳細な説明
 グリコシドヒドロラーゼファミリー(Glycoside Hydrolase family)11に属するキシラナーゼ(以下、GH11キシラナーゼということがある)は、セルロース系バイオマスの糖化に利用可能なヘミセルラーゼである。しかし、GH11キシラナーゼは、糖化残渣やリグニンへの吸着性が高いものが多く、バイオマス糖化に用いた場合、非特異的吸着による糖化率低下をもたらすという欠点がある。GH11キシラナーゼにおける糖化残渣やリグニンの吸着部位は未だ不明であり、酵素改変による吸着性低減の試みは従来行われていなかった。
 本発明者らは、GH11キシラナーゼの中で、Xylanimonas属細菌由来キシラナーゼが糖化残渣又はリグニンへの吸着性が低いことを見出した。また本発明者らは、GH11キシラナーゼにおける糖化残渣又はリグニンの吸着に関わる部位を特定した。さらに本発明者らは、GH11キシラナーゼの糖化残渣又はリグニンの吸着に関わる部位を、Xylanimonas属細菌由来キシラナーゼの対応部位に置き換えた変異(又は組換え)キシラナーゼが、糖化残渣又はリグニンの吸着性が低減することを見出した。
 本発明は、糖化残渣やリグニンへの吸着性が低減した変異キシラナーゼ触媒ドメインを提供する。該触媒ドメインを含む変異キシラナーゼを使用することにより、従来のキシラナーゼと比較して、リグニンを含むバイオマスをより効率的に糖化することができ、またより効率的かつ安価にバイオマスから糖を製造することができる。
(1.定義)
 本明細書において、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Winのホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
 本明細書において、アミノ酸配列上の「相当する位置」又は「相当する領域」は、目的アミノ酸配列を参照配列(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列)と比較し、各アミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えるように配列を整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のLipman-Pearson法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。
 本明細書において、「グリコシドヒドロラーゼファミリー(Glycoside Hydrolase family)11」(又はGH11ということがある)とは、CARBOHYDRATE-ACTIVE ENZYME CAZY-Home([www.cazy.org/])にて分類されるファミリーの第11族を意味する。本明細書において、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼ(又はGH11キシラナーゼ)とは、アミノ酸200個程度のタンパク質でβジェリーロール構造を有し、エンド-β-1,4-キシラナーゼ活性又はエンド-β-1,3-キシラナーゼ活性を有するヘミセルラーゼファミリーである(バイオマス分解酵素研究の最前線-セルラーゼ・へミセルラーゼを中心として-近藤昭彦、天野良彦、田丸浩 株式会社シーエムシー出版)。
 本明細書において、「キシラナーゼ」とは、キシラン中のキシロースβ-1,4-グリコシド結合を加水分解する活性を有する酵素をいう。より詳細には、「キシラナーゼ触媒ドメイン(Catalytic Domain;CD)」、又はリンカーを介して結合されたCDと「糖質結合モジュール(Carbohydrate binding module;CBM)」からなる酵素をいう。
 本明細書において、「キシラナーゼ活性」とは、キシラン中のキシロースβ-1,4-グリコシド結合を加水分解する活性をいう。タンパク質のキシラナーゼ活性は、キシランを基質として当該タンパク質と反応させ、キシラン分解産物の生成量を測定することによって決定することができる。例えば、タンパク質のキシラナーゼ活性は、3,5-ジニトロサリチル酸(DNS)法にて、キシランから生成した糖の還元末端を定量化することによって測定することができる。より詳細には、可溶キシラン、酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)、及び対象タンパク質を混合し、50℃で反応させた後、DNS溶液(水酸化ナトリウム、ジニトロサリチル酸、酒石酸ナトリウムカリウムを含む溶液)を添加して99.9℃で反応させ、次いで反応液の波長540nmでの吸光度を測定する。測定値を、キシロースを用いて作成した検量線により標準化することにより、生成糖の還元末端を定量化することができる。DNS法によるキシラナーゼ活性測定の具体的手順は、後述の実施例に詳述されている。
 本明細書において、「キシラナーゼ触媒ドメイン」又は単に「触媒ドメイン」(いずれもCDということがある)とは、キシラナーゼに含まれる、キシラナーゼ活性を保有するドメインをいう。天然に存在するCDの例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラニモナス・セルロシリティカ(Xylanimonas cellulosilytica)(DSM15894)由来のドメイン、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)YX由来のドメイン、及びそれらのドメインの領域に相当する他のGH11キシラナーゼのキシラナーゼ活性を保有する領域、が挙げられる。
 本明細書において、「糖質結合モジュール(CBM)」とは、CDにリンカーを介して共有結合されている、キシラナーゼの触媒反応の基質(例えば、キシラン)と結合するドメインをいう。天然に存在するCBMの例としては、配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるキシラニモナス・セルロシリティカ(DSM15894)由来のモジュール、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるサーモビフィダ・フスカXY由来のモジュール、及びそれらのモジュールの領域に相当する他のGH11キシラナーゼの基質結合性領域、が挙げられる。
 本明細書において、「バイオマス」とは、植物や藻類が生産するヘミセルロース成分を含むセルロース系及び/又はリグノセルロース系バイオマスをいう。バイオマスの具体例としては、カラマツやヌマスギ等の針葉樹や、アブラヤシ(幹部)、ヒノキ等の広葉樹などから得られる各種木材;ウッドチップなどの木材の加工物又は粉砕物;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎若しくは葉などの植物の茎、葉、果房など;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類;藻類などからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。このうち、入手容易性及び原料コストの観点から、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉、果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスがさらに好ましい。上記バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また上記バイオマスは乾燥されていてもよい。
 本明細書において、「糖化残渣」とは、バイオマス中のセルロース、ヘミセルロースを糖化酵素で糖化した後の残存固形分をいう。キシラナーゼの「糖化残渣吸着性」の高さは、例えば、糖化残渣とキシラナーゼとを反応させて、該糖化残渣にキシラナーゼを吸着させた後、反応液の上清に残存するキシラナーゼ活性を測定し、該糖化残渣と反応させなかった場合のキシラナーゼ活性に対する相対活性を求めることによって算出することができる。例えば、糖化残渣吸着率は以下の式で表すことができる。

  糖化残渣吸着率(%)=100-相対比活性(%)
  相対比活性(%)=(糖化残渣との反応後の酵素試料のキシラナーゼ活性/糖化残渣と未反応の酵素試料のキシラナーゼ活性)×100

 上記相対比活性がより低いキシラナーゼほど、より高い糖化残渣吸着性を有する。糖化残渣としては、例えば、リグニン、又は公知のセルラーゼ若しくはセルラーゼ製剤(例えば、ノボザイムズ社製Cellic(登録商標)CTec2)を用いてアルカリ混合粉砕バガスを24時間50℃で糖化した後の固形残渣を用いることができる。糖化残渣とキシラナーゼとの反応には、例えば、50℃で1時間の処理を採用することができる。キシラナーゼの糖化残渣吸着性の測定のための具体的手順は、後述の実施例に詳述されている。
 (2.変異キシラナーゼの製造方法)
 一実施形態において、本発明の変異キシラナーゼは、GH11キシラナーゼの触媒ドメイン中の糖化残渣吸着に関わる領域を、キシラニモナス・セルロシリティカ由来キシラナーゼ触媒ドメインの対応する領域で置換することによって製造された、組換えキシラナーゼである。本発明者らによる鋭意研究の結果、GH11キシラナーゼにおける糖化残渣吸着に関わる領域は、その触媒ドメイン中の特定の領域、例えば、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるサーモビフィダ・フスカ由来キシラナーゼ触媒ドメインにおいては、該アミノ酸配列の114位~167位までの領域であることが明らかにされた。また、当該領域を、糖化残渣吸着性の低いキシラニモナス・セルロシリティカ由来キシラナーゼ触媒ドメインの相当する領域、すなわち配列番号2で示されるアミノ酸配列の118位~172位領域で置換することにより、酵素の糖化残渣吸着性が低減されることが明らかにされた。さらに、当該領域を部分的に置換した場合でも、同様の糖化残渣吸着性低減効果が得られることも明らかにされた。したがって、GH11キシラナーゼにおいて糖化残渣吸着性に関与する領域は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の114位~167位領域(又は配列番号2で示されるアミノ酸配列の118位~172位領域)に相当する領域であり、この領域の一部又は全部をキシラニモナス・セルロシリティカ由来キシラナーゼ触媒ドメインの相当する領域(すなわち、配列番号2で示されるアミノ酸配列の118位~172位領域の対応する一部又は全部)で置換することにより、糖化残渣吸着性が改善された変異キシラナーゼを得ることができる。
 したがって、一態様において、本発明は、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片、又は該断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片により、GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、該配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部に相当する領域を置換することを含む、変異キシラナーゼ触媒ドメインの製造方法を提供する。
 別の態様において、本発明は、GH11キシラナーゼにおいて、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片、又は該断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片により、該キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、該配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部に相当する領域を置換することを含む、変異キシラナーゼの製造方法を提供する。
 上記変異キシラナーゼ又はその触媒ドメインは、変異前のキシラナーゼ又はその触媒ドメインと比べて、糖化残渣吸着性が低減されている。
 したがって、なお別の態様において、本発明は、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片、又は該断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片により、GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、該配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部に相当する領域を置換することを含む、キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着性の低減方法を提供する。
 なお別の態様において、本発明は、GH11キシラナーゼにおいて、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片、又は該断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片により、該キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、該配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部に相当する領域を置換することを含む、キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法を提供する。
 上記本発明の方法の一実施形態において、上記配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片としては、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列からなる断片、及び配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の部分配列であって、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、又は54アミノ酸残基長の断片が挙げられる。好ましくは、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列からなる断片、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列からなる断片、配列番号2の135~140位で示されるアミノ酸配列からなる断片、配列番号2の133~163位で示されるアミノ酸配列からなる断片、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列からなる断片、及び配列番号2の150~165位で示されるアミノ酸配列からなる断片、が挙げられる。
 上記本発明の方法の好ましい実施形態において、上記配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片の例としては、上記に列挙した配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部を含む断片と90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有する断片;配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部を含む断片と90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは96%以上の配列同一性を有する断片;配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部を含む断片と90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは96%以上の配列同一性を有する断片;配列番号2の133~163位で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは96%以上の配列同一性を有する断片;配列番号2の150~165位で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは93%以上の配列同一性を有する断片、などが挙げられる。
 好ましくは、上述した配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片と少なくとも90%の配列同一性を有する断片は、キシラナーゼ活性及び配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインと同等の糖化残渣吸着率を有するポリペプチドにおける、配列番号2で示されるアミノ酸配列の118~172位領域に相当する領域から得られた断片であり得る。ここで、同等の糖化残渣吸着率とは、後述の参考例4~6に従って測定された15mg/mL糖化残渣の吸着率が20%以下、好ましくは10%以下であること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣の吸着率に対して150%未満、好ましくは120%未満であることをいう。
 上記本発明の方法において、本発明の変異キシラナーゼの親キシラナーゼとなる、変異前のGH11キシラナーゼ(以下、親GH11キシラナーゼとも称する)としては、キシラニモナス属由来キシラナーゼ、サーモビフィダ属由来キシラナーゼ、トリコデルマ属(Trichoderma)由来キシラナーゼ、バチルス属由来キシラナーゼ、アスペルギルス属由来キシラナーゼ、クロストリジウム属由来キシラナーゼ、セルロモナス属由来キシラナーゼなどが挙げられる。好ましくは、上記方法において、親GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満であり、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインは、キシラニモナス・セルロシリティカ(DSM15894)由来キシラナーゼの触媒ドメインである。
 上記本発明の方法においては、好ましくは、さらに親GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位に相当する領域を、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%、例えば、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片で置換する。好ましくは、上記配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片とは、キシラナーゼ触媒ドメインのポリペプチドにおける、配列番号4で示されるアミノ酸配列の1~46位領域に相当する領域から得られた断片であり得る。
 上記本発明の方法のまた別の実施形態においては、親GH11キシラナーゼの触媒ドメインのC末端には、配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、例えば、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片が配置される。例えば、該断片で、上述した配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなる断片やそれらに相当する断片で置換した領域のC末端側領域を置換するか、又は該断片を該置換した領域のC末端側に付加する。
 したがって、上記本発明の方法の好ましい実施形態においては、変異前の親GH11キシラナーゼの触媒ドメインは、配列番号4で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、例えば、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる。配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼの触媒ドメインとしては、サーモビフィダ・フスカXY由来キシラナーゼの触媒ドメインが挙げられる。
 好ましくは、上記本発明の方法における変異前の親GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置(言い換えれば、配列番号2で示されるアミノ酸配列の89位に相当する位置及び/又は179位に相当する位置)に、それぞれグルタミン酸残基を有し得る。これらの位置に存在するグルタミン酸残基は、キシラナーゼ活性に関与すると考えられている(Acta Crystallographica Section D Biological Crystallography,2006,62:784-792)。
(3.変異キシラナーゼ)
 以上のように親GH11キシラナーゼの触媒ドメインを変異させることにより、糖化残渣吸着性が低減した変異キシラナーゼ触媒ドメインを製造することができる。
 本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインは、GH11キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部に相当する領域が、該配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列の一部又は全部からなるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる。かつ本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインは、キシラナーゼ活性を有し、変異前の親GH11キシラナーゼと比べて糖化残渣への吸着性が低減されている。
 さらに、本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインのアミノ酸配列においては、配列番号2の1~50位に相当する領域が、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなることが好ましい。
 したがって、好ましい一実施形態において、本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインは、N末端から順に、以下のアミノ酸配列からなる:
 (a)配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
 (b)配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列;
 (c)以下:
  (c1)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは
  (c2)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは
  (c3)配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
ならびに
 (d)配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列。
 好ましい実施形態において、上記(a)は、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又はそれと90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、より好ましい実施形態において、上記(a)は、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列である。
 好ましい実施形態において、上記(b)は、配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列、又はそれと60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、より好ましい実施形態において、上記(b)は、配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列である。好ましくは、上記(b)において、配列番号4で示されるアミノ酸配列の85位に相当する位置にはグルタミン酸残基を有し得る。
 好ましい実施形態において、上記(c1)における配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列と、好ましくは92%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有し、さらに好ましくは配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列である。また、上記(c1)における配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列と、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。
 好ましい実施形態において、上記(c2)における配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列と、好ましくは93%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有し、さらに好ましくは配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列である。また、上記(c2)における配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列と、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。
 また好ましい実施形態において、上記(c3)における配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列と、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%以上の配列同一性を有し、なお好ましくは配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列である。
 好ましい実施形態において、上記(d)は、配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列、又はそれと60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、より好ましい実施形態において、上記(d)は、配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列である。好ましくは、上記(d)において、配列番号4で示されるアミノ酸配列の174位に相当する位置にはグルタミン酸残基を有し得る。
 好ましい実施形態において、上記(a)は配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列であり、上記(b)は配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列であり、かつ上記(d)は配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。より好ましい実施形態において、上記(a)は配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列であり、上記(b)は配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列であり、かつ上記(d)は配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列である。
 一実施形態において、上記(a)~(d)からなる本発明の変異キシラナーゼの触媒ドメインは、そのC末端に、さらに(e)配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含んでいてもよい。
 別の好ましい一実施形態において、本発明の変異キシラナーゼの触媒ドメインは、配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又はそれらと少なくとも90%、例えば90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上、なおより好ましくは98%以上、なおさらに好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
 本発明はまた、上記本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインを含む変異キシラナーゼを提供する。本発明の変異キシラナーゼは、上記本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインと、糖質結合モジュールとを含み、キシラナーゼ活性を有し、かつ本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインを含まないキシラナーゼと比べて糖化残渣への吸着性が低減されている、キシラナーゼである。
 本発明の変異キシラナーゼ又はその触媒ドメインは、後述の参考例4~6に従って、ノボザイムズ社製セルラーゼ製剤Cellic(登録商標)CTec2を用いてアルカリ混合粉砕バガスを24時間50℃で糖化した後の固形残渣を糖化残渣とし、該糖化残渣15mg/mLと本発明の変異キシラナーゼ又はその触媒ドメインとを、50℃で1時間反応させて糖化残渣吸着率を算出した場合に、糖化残渣吸着率が、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、さらにより好ましくは40%以下、なお好ましくは30%以下、さらになお好ましくは20%以下である。あるいは、本発明の変異キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着率は、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着率に対して、150%未満、好ましくは120%未満である。
(4.ベクター及び形質転換体)
 本発明の変異キシラナーゼは、例えば、上記本発明の変異キシラナーゼ又はその触媒ドメイン(以下、本発明のCDともいう)をコードする遺伝子を導入された形質転換体により生産することができる。より詳細には、本発明の変異キシラナーゼ又はCDは、当該変異キシラナーゼ又はCDをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主に導入して形質転換体を得た後、当該形質転換体を培養することによって生産することができる。すなわち、当該形質転換体を適切な培地で培養すれば、形質転換体が含有する本発明の変異キシラナーゼ又はCDをコードする遺伝子が発現して、本発明の変異キシラナーゼ又はCDが生産される。生産された変異キシラナーゼ又はCDを該培養物から単離又は精製することにより、本発明の変異キシラナーゼ又はCDを取得することができる。
 したがって、本発明はさらに、本発明の変異キシラナーゼ又はCDをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。本発明はさらに、本発明の変異キシラナーゼ若しくはCDをコードするポリヌクレオチド、又はそれらを含むベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法を提供する。さらに本発明は、該ポリヌクレオチド又はベクターを含む形質転換体を提供する。さらに本発明は、当該形質転換体を培養することを含む、変異キシラナーゼ又はその触媒ドメインの製造方法を提供する。
 本発明のCDをコードするポリヌクレオチドは、当該CDのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的又は化学的に合成することができる。例えば、本発明のCDをコードするポリヌクレオチドは、下記手順にて調製することができる:親GH11キシラナーゼの触媒ドメイン、例えば、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなる触媒ドメインをコードするポリヌクレオチドを調製する。一方で、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと90%以上同一なアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメイン(以下、Xcel-CD-Xynということがある)をコードするポリヌクレオチドを調製する。次いで、両ポリヌクレオチドを定法に従って切断及び連結することにより、Xcel-CD-Xynをコードするポリヌクレオチド中の所定の領域で、親GH11キシラナーゼ触媒ドメインをコードするポリヌクレオチド中の相当する領域を置換すれば、本発明のCDをコードするポリヌクレオチドを調製することができる。ポリヌクレオチドの切断及び連結には、公知の試薬又はキット(例えば、In-Fusion(登録商標)HD Cloning Kit;タカラバイオ)を用いることができる。
 配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号1)は、キシラニモナス・セルロシリティカ(DSM15894)などから単離することができる。配列番号4で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号3)は、サーモビフィダ・フスカXYなどから単離することができる。当該菌からのポリヌクレオチドの単離は、当該分野で用いられる任意の方法を用いて行うことができる。例えば、当該菌の全ゲノムDNAを抽出した後、配列番号1又は3の配列を元に設計したプライマーを用いたPCRにより標的核酸を選択的に増幅し、増幅した核酸を精製することで、配列番号2又は4で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
 配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、上記手順で単離した配列番号1で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに対して、紫外線照射や部位特異的変異導入のような公知の突然変異導入法により突然変異を導入することによって作製することができる。例えば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに上記公知の方法で突然変異導入し、得られたポリヌクレオチドを発現させてタンパク質を得た後、当該タンパク質のキシラナーゼ活性及び糖化残渣吸着率を調べ、所望のキシラナーゼ活性及び糖化残渣吸着性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを選択することによって得ることができる。好ましくは、後述の参考例4~6に従って測定された15mg/mL糖化残渣の吸着率が20%以下、より好ましくは10%以下であるか、あるいは糖化残渣吸着率が配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインに対して150%未満、好ましくは120%未満であり、かつキシラナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを選択するとよい。
 本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、そのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的又は化学的に合成することができる。あるいは、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドは、上記本発明のCDをコードするポリヌクレオチドを、糖質結合モジュールをコードするポリヌクレオチドと連結することによって調製することができる。糖質結合モジュールをコードするポリヌクレオチドは、キシラナーゼを有する公知の微生物、例えば、キシラニモナス・セルロシリティカ(DSM15894)、サーモビフィダ・フスカXYなどから単離することができる。あるいは、触媒ドメイン及び糖質結合モジュールを含むGH11キシラナーゼの遺伝子をクローニングし、当該遺伝子上の触媒ドメインコード領域の一部を、Xcel-CD-Xynをコードするポリヌクレオチドの所定の領域で置換することによって、本発明の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチドを調製することができる。
 本発明の変異キシラナーゼ又はCDをコードするポリヌクレオチドを導入すべきベクターの種類としては、特に限定されず、タンパク質産生に通常用いられるベクター、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどが挙げられる。プラスミドベクターが好ましく、例えば、市販のタンパク質発現用プラスミドベクター、例えばシャトルベクターpHY300PLK、pUC19、pUC119、pBR322(いずれもタカラバイオ株式会社製)などを好適に用いることができる。
 上記ベクターは、DNAの複製開始領域を含むDNA断片又は複製起点を含むDNA領域を含み得る。あるいは、上記ベクターにおいては、上記本発明の変異キシラナーゼ又はCDをコードする遺伝子の上流に、当該遺伝子の転写を開始させるためのプロモーター領域、ターミネーター領域、又は発現されたタンパク質を細胞外へ分泌させるための分泌シグナル領域などの制御配列が作動可能に連結されていてもよい。あるいは、当該ベクターが適切に導入された宿主を選択するためのマーカー遺伝子、(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤の耐性遺伝子)がさらに組み込まれていてもよい。あるいは、本発明のベクターを導入する宿主に栄養要求性株を使用する場合、要求される栄養をコードする遺伝子を含むベクターを用いてもよい。
 キシラナーゼやその触媒ドメインをコードする配列と上記制御配列やマーカー遺伝子配列との連結は、SOE(splicing by overlap extension)-PCR法(Gene,1989,77:61-68)などの方法によって行うことができる。プラスミドベクターへの遺伝子配列の導入手順は、当該分野で周知である。上記プロモーター領域、ターミネーター、分泌シグナル領域等の制御配列の種類は、特に限定されず、導入する宿主に応じて、通常使用されるプロモーターや分泌シグナル配列を適宜選択して用いることができる。
 上記制御配列の例としては、S237eglプロモーター及びシグナル配列(Biosci,Biotechnol,Biochem,2000,64(11):2281-2289)、ならびにBacillus sp.KSM-S237株(FERM BP-7875)又はBacillus sp.KSM-64株(FERM BP-2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が挙げられる。あるいは、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、βグルコシダーゼ、キシラナーゼ、βキシロシダーゼなどの糖化酵素を発現するプロモーターを使用してもよい。あるいは、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼなどの代謝経路の酵素のプロモーターを使用してもよい。
 上記ベクターを導入する形質転換体の宿主としては、細菌、糸状菌などの微生物が挙げられる。細菌の例としては、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、リステリア属(Listeria)、バチルス属(Bacillus)に属する細菌などが挙げられ、このうち、バチルス属細菌、例えば、枯草菌又はその変異株(例えば、特開2006-174707号公報に記載のプロテアーゼ9重欠損株KA8AXなど)が好ましい。糸状菌の例としては、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rizhopus)などが挙げられ、このうち、酵素生産性の観点からはトリコデルマ属が好ましい。
 宿主へのベクターの導入の方法としては、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法などの当該分野で通常使用される方法を用いることができる。導入が適切に行われた株をマーカー遺伝子の発現、栄養要求性などを指標に選択することで、ベクターが導入された目的の形質転換体を得ることができる。
 斯くして得られた、本発明の変異キシラナーゼ又はCDをコードするポリヌクレオチドを含むベクターが導入された形質転換体を適切な培地で培養すれば、当該ベクター上の遺伝子が発現して、本発明の変異キシラナーゼ又はCDが生成される。当該形質転換体の培養に使用する培地は、当該形質転換体の種類にあわせて、当業者が適宜選択することができる。生成された本発明の変異キシラナーゼ又はCDは、該培養物から通常の方法により単離又は精製することができる。このとき、当該ベクター上で本発明の変異キシラナーゼ又はCDの遺伝子と分泌シグナル配列が作動可能に連結されている場合、生成された該キシラナーゼ又はCDは菌体外に分泌されるため、より容易に回収され得る。回収された該キシラナーゼ又はCDは、さらに公知の手段で精製されてもよい。
(5.バイオマス糖化方法又は糖の製造方法)
 上記本発明の変異キシラナーゼ又はCDは、従来公知のキシラナーゼやキシラナーゼ製剤と比較して、糖化残渣の吸着率が低く、バイオマスを糖化する活性が向上している。したがって、本発明の変異キシラナーゼ又はCDは、バイオマスの糖化のため、又はバイオマスからの糖の製造のために好適に使用することができる。
 したがって、本発明はさらに、上記本発明の変異キシラナーゼ又はその触媒ドメインを有効成分とするバイオマス糖化剤を提供する。
 さらに本発明は、上記本発明の変異キシラナーゼ若しくはその触媒ドメイン、又は上記本発明のバイオマス糖化剤を用いるバイオマス糖化方法を提供する。
 さらに本発明は、上記本発明の変異キシラナーゼ若しくはその触媒ドメイン、又は上記本発明のバイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法を提供する。
 本発明の変異キシラナーゼ又はCDを有効成分とするバイオマス糖化剤は、好ましくはバイオマス糖化用の酵素組成物(以下、本発明の酵素組成物ということもある)である。本発明の酵素組成物は、本発明の変異キシラナーゼ又はCDを含み、また糖化効率の向上の観点から、好ましくはさらにセルラーゼを含む。ここで、セルラーゼとは、セルロースのβ-1,4-グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を指し、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼ又はセロビオハイドロラーゼ、及びβ-グルコシダーゼなどと称される酵素の総称である。本発明の酵素組成物に使用されるセルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤や、動物、植物、微生物由来のセルラーゼが挙げられ得る。本発明の酵素組成物において、これらのセルラーゼは、単独で使用されても2種以上の組合せで使用されてもよい。糖化効率の向上の観点から、セルラーゼは、セロビオハイドロラーゼ及びエンドグルカナーゼからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
 本発明の変異キシラナーゼ又はCDと併用され得るセルラーゼ製剤の具体例としては、セルクラスト(登録商標)1.5L(ノボザイムズ社製)、TP-60(明治製菓株式会社製)、Cellic(登録商標)CTec2(ノボザイムズ社製)、AccelleraseTMDUET(ジェネンコア社製)、及びウルトラフロ(登録商標)L(ノボザイムズ社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
 本発明の酵素組成物の総タンパク質量中における、本発明の変異キシラナーゼ又はCDの含有量は、糖化効率向上の観点から、該CDの量に換算して、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~50質量%さらに好ましくは2~40質量%、さらにより好ましくは2~30質量%である。
 本発明の酵素組成物の総タンパク質量中における、上記セルラーゼの含有量は、糖化効率向上の観点から、好ましくは10~99質量%、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~95質量%である。また、当該本発明のバイオマス糖化剤の総タンパク質量中における、本発明の変異キシラナーゼ又はその触媒ドメイン以外のヘミセルラーゼの含有量は、糖化効率向上の観点から、好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%である。
 本発明の酵素組成物における、本発明の変異キシラナーゼ又はCDと上記セルラーゼとのタンパク質量比は、糖化効率向上の観点から、[CD/セルラーゼ]の質量比として、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.05~5、さらに好ましくは0.05~1、よりさらに好ましくは0.05~0.5である。
 本発明によるバイオマスからの糖の製造方法は、バイオマスを、上記本発明の変異キシラナーゼ、本発明のCD、又は上記本発明の酵素組成物で糖化する工程を含む。本発明の糖の製造方法では、糖化残渣吸着性の低い本発明の変異キシラナーゼやCDを用いることによって、キシラナーゼの非特異的吸着が低減することによりキシラン糖化率が向上する。さらに本発明の糖の製造方法では、セルロース糖化効率も向上する。このセルロース糖化効率向上の理由は明らかではないが、本発明の変異キシラナーゼやCDを用いることにより、バイオマス中のヘミセルロースが効率的に分解されて、糖化酵素がセルロースに接触しやすい状態となり、全体として糖化効率が向上するためであると推測される。
 本発明のバイオマス糖化剤が適用される、又は本発明の糖の製造方法で用いられるバイオマスとしては、(1.定義)の章で前述したとおりである。入手容易性、原料コスト、及び糖化効率向上の観点からは、当該バイオマスとしては、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉又は果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスがさらに好ましい。当該バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また当該バイオマスは乾燥されていてもよい。
 本発明のバイオマス糖化方法、及び糖の製造方法は、バイオマスの粉砕効率向上、及び糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)の観点から、バイオマスを本発明の変異キシラナーゼ、CD又は酵素組成物で糖化する工程の前に、当該バイオマスを前処理する工程をさらに含むことが好ましい。
 上記前処理としては、例えば、アルカリ処理、粉砕処理及び水熱処理からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。当該前処理としては、糖化効率向上の観点から、アルカリ処理が好ましく、糖化効率をさらに向上させる観点から、アルカリ処理と粉砕処理を行うことが好ましく、アルカリ処理と粉砕処理を同時に行うことがより好ましい。
 上記アルカリ処理とは、バイオマスを、後述する塩基性化合物と反応させることをいう。当該アルカリ処理の方法としては、バイオマスを、後述する塩基性化合物を含むアルカリ溶液に浸漬する方法(以下、「浸漬処理」ということがある)や、バイオマスと塩基性化合物とを混合して、後述する粉砕処理にかける方法(以下、「アルカリ混合粉砕処理」ということがある)などが挙げられる。
 上記粉砕処理とは、バイオマスを機械的に粉砕して小粒子化することをいう。バイオマスを小粒子化することにより、糖化効率がより向上する。また、当該粉砕処理により、バイオマスに含まれるセルロースの結晶構造が破壊されると、糖化効率がなお向上する。当該粉砕処理は公知の粉砕機を用いて行うことができる。用いられる粉砕機に特に制限はなく、バイオマスを小粒子化することができる装置であればよい。当該粉砕処理は、上述した塩基性化合物によるアルカリ処理と組み合わせてもよい。当該粉砕処理は、アルカリ処理の前又は後に行ってもよく、あるいは、粉砕処理と並行してアルカリ処理、例えば上述したアルカリ混合粉砕処理を行ってもよい。アルカリ混合粉砕処理では、例えば、アルカリ溶液に浸漬したバイオマスを粉砕処理にかけてもよく(湿式粉砕)、又は固体のアルカリとバイオマスとを一緒に粉砕処理にかけてもよいが(乾式粉砕)、このうち、乾式粉砕が好ましい。
 上記水熱処理とは、バイオマスを、水分の存在下で加熱処理することをいう。当該水熱処理は、公知の反応装置を用いて行うことができ、用いられる反応装置に特に制限はない。好ましくは、当該水熱処理では、バイオマスの粗粉砕物を、水に分散した水スラリーの状態とし、これを加熱処理する。水スラリー中のバイオマスの含有量は、スラリーの流動性向上の観点から、好ましくは1~500g/L、より好ましくは5~400g/L、さらに好ましくは8~300g/Lである。
 本発明のバイオマス糖化方法、及び糖の製造方法は、バイオマス、好ましくは上記前処理されたバイオマスを、本発明の変異キシラナーゼ、CD又は酵素組成物で糖化する工程(本明細書において「糖化処理」ということがある)を含む。
 上記糖化処理の条件は、本発明の変異キシラナーゼやCD、及び併用するその他酵素が失活しない条件であれば特に限定されない。適切な条件は、バイオマスの種類や前処理工程の手順、使用する酵素の種類により当業者が適宜決定することができる。
 上記糖化処理においては、バイオマスを含む懸濁液に、本発明の変異キシラナーゼやCD、又は酵素組成物を添加することが好ましい。懸濁液中のバイオマスの含有量は、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)の観点から、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。
 上記懸濁液に対する本発明の変異キシラナーゼやCD、又は酵素組成物の使用量は、上記前処理条件、ならびに併用する酵素の種類及び性質により適宜決定されるが、バイオマス質量に対して、該CDの量に換算して、好ましくは0.04~600質量%、より好ましくは0.1~100質量%、さらに好ましくは0.1~50質量%である。
 上記糖化処理の反応pHとしては、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、好ましくはpH4~9、より好ましくはpH5~8、さらに好ましくはpH5~7である。
 上記糖化処理の反応温度は、糖化効率の向上、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、20~90℃が好ましく、より好ましくは25~85℃、さらに好ましくは30~80℃、さらにより好ましくは40~75℃、なお好ましくは45~65℃、なおより好ましくは50~65℃、さらになお好ましくは50~60℃である。当該糖化処理の反応時間は、バイオマスの種類若しくは量、酵素量などに合わせて適宜設定することができるが、糖化効率又は糖生産効率向上(すなわち糖生産時間の短縮)、及び生産コスト低減の観点から、好ましくは1~5日間、より好ましくは1~4日間、さらに好ましくは1~3日間である。
 上述した本発明の別の例示的実施形態として、さらに以下を本明細書に開示する。
<1>変異キシラナーゼ触媒ドメインの製造方法であって、以下:
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法。
<2>変異キシラナーゼの製造方法であって、以下:
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法。
<3>キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着性の低減方法であって、以下:
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法。
<4>キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、以下:
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
 親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
ことを含み、
 該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
 該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
方法。
 <5>アルカリ混合粉砕バガスのセルラーゼ糖化処理後に生じた糖化残渣に対する、上記糖化残渣吸着性が低減されたキシラナーゼ触媒ドメイン又はキシラナーゼの吸着率が、
 好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、さらにより好ましくは40%以下、なお好ましくは30%以下、さらになお好ましくは20%以下であるか、あるいは
 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着率に対して、好ましくは、150%未満、より好ましくは120%未満である、
<3>又は<4>記載の方法。
<6>好ましくは、上記配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列が、以下:
  配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列、又は
  配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
であり、かつ
 好ましくは、上記配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列が、以下:
  配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列、又は
  配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは93%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
である、<1>~<5>のいずれか1に記載の方法。
 <7>好ましくは、上記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、以下のアミノ酸配列で置換される、<1>~<6>のいずれか1に記載の方法:
  配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列、又は
  配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<8>好ましくは、上記親キシラナーゼの触媒ドメインが以下である、<1>~<7>のいずれか1に記載の方法:
(1a)キシラニモナス属由来キシラナーゼ、サーモビフィダ属由来キシラナーゼ、トリコデルマ属(Trichoderma)由来キシラナーゼ、バチルス属由来キシラナーゼ、アスペルギルス属由来キシラナーゼ、クロストリジウム属由来キシラナーゼ、又はセルロモナス属由来キシラナーゼの触媒ドメインであるか;
(1b)配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が85%以下、好ましくは80%以下であるアミノ酸配列からなる触媒ドメインであるか;又は
(1c)配列番号4で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%、なお好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる触媒ドメインである。
<9>好ましくは、上記親キシラナーゼの触媒ドメインが、配列番号4の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、<1>~<8>のいずれか1に記載の方法。
<10>好ましくは、上記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、以下のアミノ酸配列で置換することをさらに含む、<1>~<9>のいずれか1に記載の方法:
 配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
 配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<11>好ましくは、上記変異キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における、配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、以下のアミノ酸配列からなる、<1>~<10>のいずれか1に記載の方法:
 配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
 配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<12>好ましくは、上記親キシラナーゼの触媒ドメインのC末端、より好ましくは、該触媒ドメインにおける配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域のC末端に、以下のアミノ酸配列からなる断片を付加することをさらに含む、<1>~<11>のいずれか1に記載の方法:
 配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<13>好ましくは、以下のアミノ酸配列からなるキシラナーゼ触媒ドメインが製造される、<1>~<12>のいずれか1に記載の方法:
 配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又は
 配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは92%以上、さらに好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上、なおより好ましくは98%以上、なおさらに好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<14>変異キシラナーゼ触媒ドメインであって、N末端から順に、
 (a)配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
 (b)配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
 (c)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
    配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
ならびに
 (d)配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
からなる、変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
<15>好ましくは、上記(a)~(d)が以下である<14>記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン:
 (a):配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
 (b):配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列、なおより好ましくは配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列で示されるアミノ酸配列;
 (c)は以下の(c1)~(c3)のいずれかである:
  (c1)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは
  (c2)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、好ましくは93%以上、より好ましくは96%以上の同一性を有するアミノ酸配列、あるいは
  (c3)配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列;
 (d):配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<16>好ましくは、C末端に、(e)配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む、<14>又は<15>記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
<17>好ましくは、上記(c)が(c3)である、<15>又は<16>記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
<18>配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又はそれらと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
<19>好ましくは以下のアミノ酸配列からなる、<18>記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン:
 配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列;又は
 配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは92%以上、さらに好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは96%以上、なお好ましくは97.5%以上、なおより好ましくは98%以上、なおさらに好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
<20>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメインと糖質結合モジュールとを含む変異キシラナーゼ。
<21>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は<20>記載の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド。
<22>上記<21>記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
<23>上記<21>記載のポリヌクレオチド又は上記<22>記載のベクターを宿主に導入する形質転換体の製造方法。
<24>上記<21>記載のポリヌクレオチド又は上記<22>記載のベクターを含む形質転換体。
<25>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は<20>記載の変異キシラナーゼを含む、バイオマス糖化剤。
<26>好ましくはセルラーゼをさらに含む、<25>記載のバイオマス糖化剤。
<27>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は<20>記載の変異キシラナーゼを用いるバイオマス糖化方法。
<28>好ましくはさらにセルラーゼを用いる、<27>記載の方法。
<29>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は<20>記載の変異キシラナーゼのバイオマス糖化のための使用。
<30>好ましくはセルラーゼと併用される、<29>記載の使用。
<31>上記<14>~<19>のいずれか1に記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン、上記<20>記載の変異キシラナーゼ、又は上記<25>又は<26>記載のバイオマス糖化剤を用いる、バイオマスからの糖の製造方法。
 以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
<参考例1 PCR反応>
 以下の実施例におけるDNA断片増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においては、Applied Biosystems 2720サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズ)を使用し、PrimeSTAR Max Premix(タカラバイオ)又はPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ)と付属の試薬類を用いてDNA増幅を行った。PCRの反応液組成は、適宜希釈した鋳型DNAを1μL、センスプライマーとアンチセンスプライマーを各々20pmol、及びPrimeSTAR Max Premixを10μL添加して、反応液総量を20μLとした。PCRの反応条件は、98℃で10秒間、55~60℃で10秒間及び72℃で10~90秒間(目的増幅産物に応じて調整。目安は1kbあたり10秒)の3段階の温度変化を30回繰り返すことにより行った。
<参考例2 タンパク質濃度測定 (Lowry法)>
 タンパク質の定量にはLowry法を用いた。酵素溶液は適切な濃度にイオン交換水で希釈した後、DCプロテインアッセイ(バイオラッド)を用いて定量した。Reagent A 1mLに対してReagent Sを20μLの割合で混合し、タンパク質5μL対してこの混合液を25μL添加した。さらにReagent B(発色液)を200μL添加し、15分間室温で静置した。マイクロプレートリーダー(Versa max、Molecular Devices)で750nmの吸光度を測定し、BSAの検量線からタンパク質の濃度を定量した。
<参考例3 キシラナーゼ活性の測定>
 キシラナーゼ活性の測定は3,5-ジニトロサリチル酸(DNS)法にて、生成糖の還元末端を定量化した。終濃度可溶キシラン1%(w/v)(2%(w/v)xylan from beechwood(Sigma Aldrich)を1分間煮沸し、室温に静置後、遠心分離により得られた上清を可溶キシランとした)、50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)、酵素10μLを混合し、50℃で10分間反応させた。反応終了後、100μLのDNS溶液(水酸化ナトリウム(和光純薬工業)1.6%(w/v)、ジニトロサリチル酸(和光純薬工業)0.5%(w/v)、酒石酸ナトリウムカリウム(和光純薬工業)30.0%(w/v))を添加し、99.9℃で10分間反応させた。マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイスジャパン)で波長540nmの吸光度を測定することにより、生成糖の還元末端を定量化した。検量線にはキシロースを用いた。
<参考例4 バイオマスの調製>
(1)バガス調製
 バガス(サトウキビの搾りかす、ホロセルロース含有量71.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%)を減圧乾燥機VO-320(アドバンテック東洋)中に入れ、窒素流通下の条件で2時間減圧乾燥し、ホロセルロース含有量71.3質量%、結晶化度29%、水分量2.0質量%の乾燥バガスを得た。
(2)混合粉砕処理
 得られた乾燥バガス100gと粒径0.7mmの粒状の水酸化ナトリウム「トーソーパール」(東ソー社製)8.8g(ホロセルロースを構成するAGU1モルに対し0.5モル相当量)を、バッチ式振動ミルMB-1(中央化工機:容器全容積3.5L、媒体としてφ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、ロッド充填率57%)に投入し、2時間粉砕処理することでバガス粉砕物(平均粒子径約16.6μm)を得た。
<参考例5 糖化残渣>
 参考例4で調製したアルカリ混合粉砕バガス5%(w/v)、セルラーゼ製剤Cellic(登録商標)CTec2(ノボザイムズ社)5mg/g-バイオマス、30μg/mLテトラサイクリン塩酸塩(wako)、0.6μg/mLエリスロマイシン(wako)を含む10mLの液を、25mLの自立型遠沈管中で50℃、150rpm(タイテック:BR-40F)にて24時間反応させ、バガスを糖化させた。反応終了後、遠心分離(11000rpm×10分)により上清を除去し、50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)で2回洗浄し、固形分を回収した。得られた糖化残渣を(以下、CTec2糖化残渣という)を、以下のキシラナーゼ吸着性解析に用いた。
<参考例6 糖化残渣に対する吸着性解析>
 基質(糖化残渣)としてCTec2糖化残渣を用い、キシラナーゼの吸着挙動を解析した。所定濃度の基質(糖化残渣懸濁液を分注し、遠心分離により含水状態の固形分のみとした。糖化残渣の質量は検量線より算出した。)、50mM酢酸ナトリウムバッファー、キシラナーゼ50~200μg/mLを含む0.5~1mLの反応液を2mLのエッペンドルフチューブ又は96穴ディープウェルプレート(Thermo SIENTIFIC)で、50℃、150rpmにて1時間振盪した。反応終了後、遠心分離(11000rpm、5分、4℃)にて上清を回収し、キシラナーゼ活性を前述のDNS法で測定した。下記式で示すように、基質濃度0mg/mLの場合の活性を100とし、基質と反応させた反応液の上清のキシラナーゼ相対比活性を算出した。得られた活性値を100から減算することでキシラナーゼの糖化残渣吸着率を算出した。
  糖化残渣吸着率(%)=100-相対比活性(%)
  相対比活性(%)=(糖化残渣を添加した反応液上清のキシラナーゼ活性/糖化残渣未添加の反応液上清のキシラナーゼ活性)×100
<参考例7 生成糖分析>
 キシランの糖化反応後の上清中の還元糖量分析では、キシロース、キシロビオース、キシロトリオース量をHPLCで定量した。HPLCには、Dionex社のDX500クロマトグラフィーシステム、CarboPacPA1カラム(4×250mm)、ED40パルスドアンペロメトリー検出器を使用し、溶離液には、A:100mM水酸化ナトリウム水溶液、B:1M酢酸ナトリウム/100mM水酸化ナトリウム水溶液、C:超純水を使用した。
<実施例1 変異キシラナーゼの調製>
(1)キシラナーゼ遺伝子含有ベクターの作製
 キシラニモナス・セルロシリティカ DSM15894株(Xcel)、及びサーモビフィダ・フスカ YX株(Tfu)を、それぞれTrypticase Soy Agar培地(3.0%Trypticase Soy、2.0%Agar)に植菌し、28℃にて1日間培養した。培養で得られた菌体から、UltraCleanTMMicrobial DNA Isolation Kit(Mo Bio Laboratories,Inc.)を用いてゲノムDNAを取得した。
 得られたゲノムDNAを鋳型として、表1に示したフォワードプライマーXcel-Xyn F(配列番号18)とリバースプライマーXcel-Xyn R(配列番号19)を用いて、Xcelキシラナーゼ(Xcel-Xyn)遺伝子領域(配列番号15)の約1.0kbp断片(A)を増幅した。同様に、Tfuキシラナーゼ(Tfu-Xyn)遺伝子領域(配列番号16)の約1.0kbp断片(B)を含むベクターを作製した。プライマーにはフォワードプライマーTfu-Xyn F(配列番号20)とリバースプライマーTfu-Xyn R(配列番号21)を用いた。
 シャトルベクターpHY300PLK(タカラバイオ)のBamHI制限酵素切断点に、バチルス属細菌KSM-S237株(FERM BP-7875)由来のS237アルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報参照)(配列番号17)をコードするDNA断片が挿入された組換えプラスミドpHY-S237を鋳型とし、表1に示したフォワードプライマーpHY-S237 F(配列番号22)とリバースプライマーpHY-S237 R(配列番号23)を用いてS237アルカリセルラーゼ構造遺伝子を除く領域の約5.6kbp断片(C)を増幅した。増幅した遺伝子断片をHigh Pure PCR Product Purification kit(Roche製)にて精製した。
 精製されたDNA断片(A)又は(B)1μLとDNA断片(C)1μL、In-Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(タカラバイオ)に含まれる5×In-Fusion(登録商標)HD Enzyme Premi×2μL、DNaseフリーの水6μLを混合し、50℃で15分反応させ、キシラナーゼ遺伝子の断片をベクターにクローニングした。その後、反応液2μLを用いて、コンピテントセルE.coli DH5α(タカラバイオ)20μLを形質転換した。形質転換体の再生培地には、50ppmアンピシリンナトリウム(和光純薬工業)、2.0%アガー(和光純薬工業)を含むLB寒天培地を用いた。アンピシリン耐性株として得られた形質転換体の中から、コロニーPCRにより目的の遺伝子が挿入されたプラスミドを保持する菌株を選別した。選別した形質転換体は同様のLB寒天培地を用いて培養後(37℃、1日間)、得られた菌体からプラスミドをHigh Pure Plasmid Isolation kit(Roche)を用いて回収、精製した。
(2)キシラナーゼ触媒ドメイン遺伝子の調製
 キシラナーゼ触媒ドメイン(CD)をコードする遺伝子の発現ベクターを作製するために、上述のXcel-Xyn遺伝子、又はTfu-Xyn遺伝子が挿入された組み換えプラスミドを鋳型とし、表1に示したフォワードプライマーXcel-CD-Xyn F(配列番号24)とリバースプライマーXcel-CD-Xyn R(配列番号25)、又はフォワードプライマーTfu-CD-Xyn F(配列番号26)とリバースプライマーTfu-CD-Xyn R(配列番号27)を用いたPCRにて、Xcel-Xyn又はTfu-XynのCDをコードする遺伝子を含む約5.6~6.0kbp断片を増幅した。プライマーの作製はPrimeSTAR(登録商標)Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ)のマニュアルに従った。遺伝子断片をHigh Pure PCR Product Purification kit(Roche製)にて精製した。精製したPCR断片2μLを用いてコンピテントセルE.coli DH5α(タカラバイオ)20μLを形質転換した。
 以下において、Xcel由来キシラナーゼCDをXcel-CD-Xynということがある。またTfu由来キシラナーゼ触媒CDをTfu-CD-Xynということがある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(3)変異キシラナーゼ遺伝子の調製
 Xcel-CD-XynとTfu-CD-Xynとのキメラキシラナーゼを作製した。上述のXcel-CD-Xynをコードする遺伝子の導入されたプラスミド及びTfu-CD-Xynをコードする遺伝子の導入されたプラスミドを鋳型に、表2~3記載のプライマーを用いてPCRを行い、各触媒ドメインの部分断片をコードするDNAを増幅した。上記(2)と同様の方法で、各部分断片をコードするDNAを所定の順序でプラスミドベクター上に連結し、得られたプラスミドを用いて大腸菌の形質転換、形質転換株の選抜、及びプラスミドの精製を行った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
(4)変異キシラナーゼ生産
 精製したプラスミドの宿主菌への導入は、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.,1979,168:111-115)に従って行った。宿主には、枯草菌168株から9つの菌体外プロテアーゼ、溶菌酵素を欠損させ、タンパク質のフォールディング効率を向上させたΔDpr9lyt↑prsA株、168株から9つの菌体外プロテアーゼ、菌体外セルラーゼを欠損させ、タンパク質のフォールディング効率を向上させた874・Dpr7・eglS↑prsA株を使用した。形質転換体の再生培地には、テトラサイクリン含有DM3再生寒天培地(バクトカザミノ酸(Difco)0.5%(w/v)、酵母エキス(Difco)0.5%(w/v)、コハク酸二ナトリウム六水和物(和光純薬工業)4.05%(w/v)、リン酸一水素二カリウム(和光純薬工業)0.35%(w/v)、リン酸二水素一カリウム(和光純薬工業)0.15%(w/v)、グルコース(和光純薬工業)0.1%(w/v)、塩化マグネシウム(和光純薬工業)20mM、牛血清アルブミン(和光純薬工業)0.01%(w/v)、トリパンブルー0.005%(w/v)(ACROS ORGANICS)、テトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業)0.005%(w/v)、カルボキシメチルセルロース1.0%(w/v)、寒天1.0%(w/v))を用いた。
 DM3再生寒天培地上に生育した形質転換体をLB(15μg/mLテトラサイクリン・大試験管)5mLに植菌し、30℃、120rpmで16時間振盪培養した。培養液600μLを2×L Mal培地30mL(バクトトリプトン2%(w/v)、酵母エキス1.0%(w/v)、塩化ナトリウム1.0%(w/v)、硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業)75ppm、マルトース一水和物(和光純薬工業)7.5%(w/v)、テトラサイクリン塩酸塩15ppm)に接種し、30℃、120rpmにて2~3日間振盪培養(PRECi:PRXYg-98-R型)した。得られた培養液は遠心分離(8000rpm、15分)により上清を回収した。得られた上清はEcono-Pac(登録商標)10DG Columns(BIO RAD)により脱塩、バッファー置換した。置換用のバッファーには50mM Tris-HCl(pH7.5)バッファーを用いた。
 得られたキメラキシラナーゼCDの構造を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
<実施例2 変異キシラナーゼの糖化残渣吸着性>
 参考例6の条件にて、実施例1で調製した各変異キシラナーゼCDについて、CTec2糖化残渣に対する吸着率を解析した。CTec2糖化残渣濃度は15又は58mg/mLとした。結果を図1に示す。(c1)~(c2)領域にXcel-CD-Xynの配列を有する本発明の変異キシラナーゼCD(TTXXX、TXXXX)は、Tfu-CD-Xynと比較して、糖化残渣吸着率が低減していた。これらの結果から、配列番号4で示されるTfu-CD-Xynのアミノ酸配列の114~167位領域に相当する領域がキシラナーゼの糖化残渣吸着に関与していること、当該領域をXcel-CD-Xyn由来の配列と置き換えることによって、キシラナーゼの糖化残渣吸着を低減できることが示された。
<実施例3 変異キシラナーゼの糖化残渣吸着性>
 配列の異なる(c1)~(c2)領域を有する変異キシラナーゼCDについて、実施例2と同じ条件で糖化残渣吸着率を解析した。結果を図2に示す。(c1)及び(c2)領域のいずれかにXcel-CD-Xynの配列を有するキシラナーゼCD(XXTXT、XXTXX、XXXTT、XXXXT)は、(c1)~(c2)領域にTfu-CD-Xynの配列を有するもの(XXTTT、XXTTX)と比較して、糖化残渣吸着率が低減していた。
<実施例4 リグニン存在下でのキシランの糖化>
(1)可溶キシランの調製
 2%(w/v)xylan from beechwood(Sigma Aldrich)を1分間煮沸し、室温に静置後、遠心分離(8000rpm、10分間)により得られた上清を可溶キシランとした。
(2)糖の製造
 50mM酢酸ナトリウムバッファー、可溶キシラン1%(w/v)、リグニン0~2mg/mL、セルラーゼ1mg/g-バイオマス、キシラナーゼ1mg/g-バイオマス、30μg/mLテトラサイクリン塩酸塩(wako)、0.6μg/mLエリスロマイシン(wako)を含む1mLの液を2mLのエッペンドルフチューブ中で50℃、150rpm(タイテック:BR-40F)にて反応させ、キシランの糖化を行った。上記キシラナーゼとしては、実施例1で調製した変異キシラナーゼCD(TTXXX、TXXXX、XXTTT)、Xcel-CD-Xyn(配列番号2)又はTfu-CD-Xyn(配列番号4)を用いた。上記セルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤(セルクラスト(登録商標);ノボザイムズ社)を用いた。
 反応終了後、反応液を11000rpm、5分間、4℃で遠心分離することで上清を回収した。上清中の還元糖量は、参考例7に記載した手法で定量した。結果を図3に示す。リグニン存在下におけるキシランからの生成糖量は、本発明の変異キシラナーゼCDを含む酵素組成物を使用した場合、Tfu-CD-Xynを含む酵素組成物と比較して最大3.5倍に増加した。このことから、本発明の変異キシラナーゼはリグニン等の糖化残渣を含むバイオマスの糖化に適していることが示された。

Claims (48)

  1.  変異キシラナーゼ触媒ドメインの製造方法であって、以下:
     親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
     親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
    ことを含み、
     該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
     該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
    方法。
  2.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、
     配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が85%以下であるアミノ酸配列からなる触媒ドメイン;又は
     配列番号4で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる触媒ドメイン、
    である、請求項1記載の方法。
  3.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、配列番号4の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、請求項1又は2記載の方法。
  4.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換することを含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、以下のアミノ酸配列で置換することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項記載の方法:
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列。
  6.  前記変異キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  7.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのC末端に、配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片を付加することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
  8.  配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又はそれらと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる変異キシラナーゼ触媒ドメインが製造される、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  9.  変異キシラナーゼの製造方法であって、以下:
     親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
     親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
    ことを含み、
     該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
     該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
    方法。
  10.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、
     配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が85%以下であるアミノ酸配列からなる触媒ドメイン;又は
     配列番号4で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる触媒ドメイン、
    である、請求項9記載の方法。
  11.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、配列番号4の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、請求項9又は10記載の方法。
  12.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換することを含む、請求項9~11のいずれか1項記載の方法。
  13.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、以下のアミノ酸配列で置換することをさらに含む、請求項9~12のいずれか1項記載の方法:
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列。
  14.  前記変異キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項9~12のいずれか1項記載の方法。
  15.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのC末端に、配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片を付加することをさらに含む、請求項9~14のいずれか1項記載の方法。
  16.  配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又はそれらと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる変異キシラナーゼ触媒ドメインが製造される、請求項9~12のいずれか1項記載の方法。
  17.  キシラナーゼ触媒ドメインの糖化残渣吸着性の低減方法であって、以下:
     親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
     親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列において、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
    ことを含み、
     該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
     該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
    方法。
  18.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、
     配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が85%以下であるアミノ酸配列からなる触媒ドメイン;又は
     配列番号4で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる触媒ドメイン、
    である、請求項17記載の方法。
  19.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、配列番号4の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、請求項17又は18記載の方法。
  20.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換することを含む、請求項17~19のいずれか1項記載の方法。
  21.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、以下のアミノ酸配列で置換することをさらに含む、請求項17~20のいずれか1項記載の方法:
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列。
  22.  前記変異キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項17~20のいずれか1項記載の方法。
  23.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのC末端に、配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片を付加することをさらに含む、請求項17~22のいずれか1項記載の方法。
  24.  アルカリ混合粉砕バガスのセルラーゼ糖化処理後に生じた糖化残渣に対する、前記糖化残渣吸着性が低減されたキシラナーゼ触媒ドメインの吸着率が80%以下である、請求項17~23のいずれか1項記載の方法。
  25.  キシラナーゼの糖化残渣吸着性の低減方法であって、以下:
     親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換するか、あるいは、
     親キシラナーゼのアミノ酸配列において、該親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換する
    ことを含み、
     該親キシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属するキシラナーゼであり、
     該親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列と、配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が90%未満である、
    方法。
  26.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、
     配列番号2で示されるアミノ酸配列との同一性が85%以下であるアミノ酸配列からなる触媒ドメイン;又は
     配列番号4で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる触媒ドメイン、
    である、請求項25記載の方法。
  27.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインが、配列番号4の85位に相当する位置及び/又は174位に相当する位置にグルタミン酸残基を有する、請求項25又は26記載の方法。
  28.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインにおける配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列で置換することを含む、請求項25~27のいずれか1項記載の方法。
  29.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域を、以下のアミノ酸配列で置換することをさらに含む、請求項25~28のいずれか1項記載の方法:
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列、又は
      配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列。
  30.  前記変異キシラナーゼの触媒ドメインのアミノ酸配列における配列番号2の1~50位で示されるアミノ酸配列に相当する領域が、配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項25~28のいずれか1項記載の方法。
  31.  前記親キシラナーゼの触媒ドメインのC末端に、配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列、又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列からなる断片を付加することをさらに含む、請求項25~30のいずれか1項記載の方法。
  32.  アルカリ混合粉砕バガスのセルラーゼ糖化処理後に生じた糖化残渣に対する、前記糖化残渣吸着性が低減されたキシラナーゼの吸着率が80%以下である、請求項25~31のいずれか1項記載の方法。
  33.  変異キシラナーゼ触媒ドメインであって、N末端から順に、
     (a)配列番号4の1~46位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
     (b)配列番号4の47~113位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
     (c)配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
        配列番号2の118~143位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列と、配列番号2の144~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は
        配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、
    ならびに
     (d)配列番号4の168~187位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列、
    からなる、変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
  34.  C末端に、(e)配列番号4の188~198位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む、請求項33記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
  35.  前記(c)が、配列番号2の118~172位で示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列である、請求項33又は34記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
  36.  配列番号7、8、11、12、13又は14で示されるアミノ酸配列、又はそれらと90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる変異キシラナーゼ触媒ドメイン。
  37.  請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメインと糖質結合モジュールとを含む変異キシラナーゼ。
  38.  請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は請求項37記載の変異キシラナーゼをコードするポリヌクレオチド。
  39.  請求項38記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  40.  請求項38記載のポリヌクレオチド又は請求項39記載のベクターを宿主に導入する形質転換体の製造方法。
  41.  請求項38記載のポリヌクレオチド又は請求項39記載のベクターを含む形質転換体。
  42.  請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は請求項37記載の変異キシラナーゼを含むバイオマス糖化剤。
  43.  セルラーゼをさらに含む、請求項42記載のバイオマス糖化剤。
  44.  請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は請求項37記載の変異キシラナーゼを用いるバイオマス糖化方法。
  45.  さらにセルラーゼを用いる、請求項44記載のバイオマス糖化方法。
  46.  バイオマス糖化のための請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン又は請求項37記載の変異キシラナーゼの使用。
  47.  セルラーゼと併用される、請求項46記載の使用。
  48.  請求項33~36のいずれか1項記載の変異キシラナーゼ触媒ドメイン、請求項37記載の変異キシラナーゼ、又は請求項42若しくは43記載のバイオマス糖化剤を用いるバイオマスからの糖の製造方法。
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