JP2016117089A - 扁平状多穴管成形用押出しダイス - Google Patents
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Description
例えば、各種の電気機器や自動車等の機械部品を製造するに際しては、アルミニウム等各種金属による押出し加工が用いられている。
このうち、特にカーエアコン用エバポレーター、コンデンサー、ラジエーター等の熱交換器に用いられるアルミニウム製熱交換器用の扁平状多穴管を製造するにあたっては、素材であるアルミニウムの熱伝導性が高く、且つ加工が容易であることから、上記押出し加工が広く利用されている。
この特許文献1に開示された押出し加工用ダイスは、オスダイスとメスダイスとを備えて構成され、オスダイスの先端に形成された櫛歯状突起部を、メスダイスに形成されている貫通穴に挿入し、押出素材であるビレットを送り込んで、図18に示すような、偏平多穴チューブ3(扁平状多穴管)を成形するような構成となっている。
そして、この偏平多穴チューブ3は、並列状態で複数の中空部3Cが形成された形状となっている。
ところで、前記特許文献1に開示されたような扁平状多穴管を発熱する部品等の所定の位置に設置するには、いわゆるロウ付けで行うことが多い。しかし、このロウ付けの技術はある程度の熟練が必要であり、特に、扁平状多穴管がアルミニウム製の場合、扁平状多穴管の外周壁や仕切り壁が薄いため細心の注意が必要となる。そのため、取付けに多くの時間も掛かることになり、取付け作業の効率が悪いという問題が生じている。
ところが、特許文献1に開示された扁平状多穴管では、薄板で仕切られた中空部が並列状に並んでいるため、ビスで発熱する部品等の所定位置に止めた場合、扁平状多穴管の外周壁をビスが突き破ってしまい、そこから冷媒等が入り込み、発熱する部品等に滲みこんでしまう、という大きな問題が生じる。そのため、扁平状多穴管をビス止めで取付けることができない。
すなわち、押出しダイス110を構成するオス型120とメス型130とのうち、オス型120には、メタルを導入するメタル中央導入開口部121Bおよびメタル外側導入開口部121Cからなるメタル導入開口部121Aを有する本体部121と、この本体部121に設けられた2個のブリッジ部122,122と、この2個のブリッジ部122,122の対向する相互間に設けられ、図18に示す扁平状多穴管101の複数の中空部101Cの内側形状を形成する幅方向両端側の中空部成形用ベアリング部123,123と、これらのベアリング部123,123の間に配設されると共に前記扁平状多穴管101の中空部101Cを形成する中空部成形用ベアリング部123A,123Aと、扁平状多穴管101の厚肉部101Eを形成する厚肉部成形用ベアリング部124とが設けられている。
中空部成形用ベアリング部123と中空部成形用ベアリング部123Aの間には、仕切り壁成形用メタル導入溝122Aが設けられている。また、メタル導入用ガイド部材125と中空部成形用ベアリング部123との間に外周壁成形用メタル導入溝122Bが設けられている。
この場合、冷媒の流れが、他の中空部101Cとの間でバランスが悪くなると共に、外部からヒケ101Fの部分が見えるため、見た目も悪く、商品として不良品扱いされる。
ここで、図17の構造において、厚肉部成形用ベアリング部124を切除してメタル導入用の空間を形成することも考えられるが、そうすると、その空間に多くのメタルが流入するため、ダイス全体としてはメタルの流れが不均一になる、すなわち、他の部分にメタルが充分に行きわたらなくなり、その結果、扁平状多穴管が安定して製造できなくなる、という恐れがある。
前記ダイス上流側から送られてくるメタルを下流側に押出して前記複数の中空部の内側形状および厚肉部を成形するオス型と、このオス型を保持すると共に前記扁平状多穴管の外側形状を成形するメス型とを備え、
前記オス型は、前記メタルを導入するメタル導入開口部を有する本体部と、前記メタル導入開口部を分割するブリッジ部とを備え、
前記ブリッジ部の対向する相互間に前記各中空部を成形する中空部成形用ベアリング部および当該中空部成形用ベアリング部相互間に設けられ前記仕切り壁を成形する仕切り壁成形用メタル導入溝を備えると共に、
前記厚肉部を成形する厚肉部成形用ベアリング部が、前記仕切り壁成形用メタル導入溝を介して前記中空部成形用ベアリング部と隣接して備えられていることを特徴とする。
この仕切り壁成形用メタル導入溝が、仕切り壁成形用メタル導入溝を介して中空部成形用ベアリング部と隣接して設けられており、導入されたメタルが、厚肉部成形用ベアリング部において厚肉部を形成する空間部に直接流れ込めるので、厚肉部成形用として、充分な量のメタルを確保することができ、また、仕切り壁成形用メタル導入溝にも充分な量のメタルが流れるので、メタルの均一な流れを維持できる。
その結果、扁平状多穴管を、その厚肉部にヒケなど生じることなく、また、メタルの均一な流れを維持できることから、安定した形状に成形することができる。さらに、扁平状多穴管を発熱する部品等に取付ける際、厚肉部を利用することができるので、取付けが容易となり、取付け性の向上を図れるようになる。
扁平状多穴管1はアルミ合金製とされ、図8に示すように、長方形の枠状の外周壁1Aを仕切り壁1Bで仕切って形成された複数の中空部1Cと、何れの仕切り壁1Bよりも厚くしてなる厚肉部1Eと、を備えて形成されている。
扁平状多穴管1は、幅寸法W、高さ寸法H、厚肉部1Eの幅寸法W1、外周壁1Aおよび仕切り壁1Bの厚さ寸法がlに、それぞれ設定されている。
そして、この扁平状多穴管1は、前述のように、ラジエーター等の熱交換機用として用いられている。
メタルは、オス型20の上流側に配置されたチャンバー等からなるメタル押出し装置50内に収容され、且つそのメタル押出し装置50により押出されるようになっている。そして、メタルは、メタル押出し装置50内で、例えば、粘土程度の柔らかさにされ、かつその状態が維持されるようになっている。
すなわち、オス型20とメス型30とが、図略のノックピンや位置決めピン等で位置決めされた後、図略の連結ボルトで連結、固定されている。
また、オス型20、メス型30およびバックダイ40は、図1に示すように円柱状に形成されている。
そして、この2本のブリッジ部22,22によって前記メタル導入開口部21Aが3つに分割されている。
すなわち、メタル導入開口部21Aは、各ブリッジ部22,22の対向面内に形成されたメタル中央導入開口部21Bと、各ブリッジ部22,22の外側に形成されたメタル外側導入開口部21Cとで構成されている。
そして、下部開口21bの内底面の断面形状が半円形状に形成されている。
すなわち、図3,7等に示すように、傾斜ガイド面22Cは、各ブリッジ部22,22の外側下端部でメス型本体部31のメタル溜り部31Bに近い位置から、中空部成形用ベアリング部23の、前記仕切り壁成形用メタル導入溝22Aに沿った方向の両端部に向けて傾斜している。そのため、メタル外側導入開口部21Cから導入されたメタルは、矢印で示すように、傾斜ガイド面22Cにガイドされて、前記メス型30に形成されている外側成形用開口部31Aに向かって押出されるので、メタルの流れがスムーズとなる。
また、扁平状多穴管1の外周壁1Aおよび仕切り壁1Bの厚さ寸法lと、仕切り壁成形用メタル導入溝22A、外周壁成形用メタル導入溝22Bの間隔Sは等しいものとなっている。
また、各中空部成形用ベアリング部23,23の下端面は、前述のように、外側成形用開口部31Aの下端面と同じ高さ位置となるように設定されている。
このメタル導入ガイド部25は、厚肉部成形用ベアリング部24の側面形状と略同一形状となって、本体部21の下端面から中空部成形用ベアリング部23側にわずかに突出している。そして、このメタル導入ガイド部25の突出部の厚さ寸法は、厚肉部成形用ベアリング部24の先端の厚さ寸法と略同じ寸法に設定されている。
ただし、この外周壁成形用メタル導入溝22Bは、扁平状多穴管1の仕切り壁1Bに沿った短辺の外周壁用であり、長辺の外周壁は、メス型本体31に形成されている外側成形用開口部31Aと、各中空部成形用ベアリング部23および厚肉部成形用ベアリング部24の幅方向両端との隙間から押出されるメタルにより成形されるようになっている。
この厚肉部成形用ベアリング部24の半円形状の先端部の下端面は、本体部21の下端面と同一面上に配設されている。また、厚肉部成形用ベアリング部24の内底面における中央領域の断面での厚さ寸法tは、前述したように、中空部成形用ベアリング部23,23の厚さ寸法t1より薄く形成されている。
そして、前記メス型30の表面には、凹部状に形成されたメタル溜まり部31Bが形成されていることから、このメタル溜まり部31Bと厚肉部成形用ベアリング部24の下端面との間の隙間からメタルが流れ込むようになっている。
言い換えれば、厚肉部1Eは、前記一つの仕切り壁1Dを構成しているものであり、他の仕切り壁1Bよりその幅寸法が大きい寸法となっている。
そして、このメタル溜り部31Bの略中央部に、前記外側成形用開口部31Aが形成されており、この外側成形用開口部31Aは、本実施形態では、図8に示す扁平状多穴管1の外形を形成するために、平面形状が、略長方形形状に形成されている。
そのため、外側成形用開口部31Aから押し出されるメタルが周囲のどこにも接触することなく押し出されることになる。
メタルの押出し方向上流側に配設されたメタル押出し装置50からオス型20にメタルが押出されると、そのメタルは、まず、メタル中央導入開口部21B、およびその両側のメタル外側導入開口部21C,21Cに押し出される。
同時に、メタル外側導入開口部21Cから押し出されたメタルは、上部から下部に向かって流れ込むと共に、一部がブリッジ部22の下部に形成されている傾斜ガイド面22Cを経て、また、一部はメタル溜まり部31Cに到達し、そこから、メス型本体部31の外側成形用開口部31Aと、中空部成形用ベアリング部23,23および厚肉部成形用ベアリング部24の端部から押出され、これにより、扁平状多穴管1が成形される。
すなわち、扁平状多穴管1は、前述のように、外周壁1Aと、2本の仕切り壁部1B,1Bと、これらの仕切り壁部1B,1Bで仕切られて形成された4個の中空部1C,1C,1C,1Cとを有する扁平形状となっている。そして、幅方向の中央部には、他の仕切り壁、つまり、上記2本の仕切り壁部1B,1Bの厚さ寸法lよりも厚い寸法W1に形成された一つの仕切り壁1D、言い換えれば、厚肉部1Dが形成されている。
(1)本体部21のメタル導入開口部21Aに導入されたメタルは、仕切り壁成形用メタル導入溝22A、外周壁成形用メタル導入溝22Bおよびメス型30の外側成形用開口部31Aから押出される。厚肉部成形用ベアリング部24の両側に仕切り壁成形用メタル導入溝22Aが設けられており、導入されたメタルが、仕切り壁成形用メタル導入溝22Aと、厚肉部成形用ベアリング部24において厚肉部を形成する空間部24Aとに直接流れ込むので、メタルの均一な流れを維持でき、厚肉部成形用として、また、仕切り壁成形用として充分な量のメタルを確保することができる。
その結果、扁平状多穴管1の厚肉部1Eにヒケなど生じることなく、均一な安定した形状に成形することができる。
本第2実施形態の押出しダイス10Aは、前記第1実施形態の厚肉部成形用ベアリング部24と略同様の構成の厚肉部成形用ベアリング部240に、前記仕切り壁成形用メタル導入溝22Aのうち、中央部側の導入溝22Aに換えて、長穴22Aa,22Aaを形成したものである。
なお、この第2実施形態においては、上記仕切り壁成形用メタル導入溝22Aと長穴22Aaとが異なるのみで、他の構成はまったく同じなので、同一構造および同一部材には同一符号を付し、異なる部分のみを説明する。
なお、長穴22Aa,22Aaは、図15〜17に図示されている既存(従来技術)のダイスに機械加工を施すことで設けることができる。
(7)長穴22Aa,22Aaの長さは、第1実施形態の仕切り壁成形用メタル導入溝22Aに比べて短く形成されているが、中空部成形用ベアリング部230,230から、わずかに内側に入り込んだ位置に形成されており、厚肉部成形用の空間部240aの内側と外側とに充分にメタルが行きわたるようになっているので、扁平状多穴管1の厚肉部1Eにヒケなど生じることなく、均一な安定した形状に成形することができる。
このようにした場合、仕切り壁成形用ベアリング部23との間での仕切り壁成形用メタル導入溝22Aを同じような形状に形成できるので、メタルの流れを均一にすることができ、扁平状多穴管1の厚肉部1Eにヒケなど生じることなく、均一な安定した形状に成形することができる。
また、突片24Aaにより、隣接するベアリング23との間に設けられた仕切り壁成形用メタル導入溝22Aを通過するメタルの流れが下方向(下流方向)に安定する。このことにより、厚肉部1Eの形状をより安定させることができる。
この場合、中空部2Cが多いので、中空部成形用のベアリングを多く設けると共に、全体の幅寸法が大きいので、幅方向の両側のそれぞれに厚肉部2Eを設けることができる。このようにした場合、左右の厚肉部2Eを、ビス止め用の取付け部として利用することができるので、扁平状多穴管2をバランスよく取付けることができる。
また、長穴でなく、ブリッジ部22,22と平行に所定間隔で配置された、例えば、メタルが流れ込み可能な2個の丸穴を形成してもよい。要するに、厚肉部成形用ベアリング部240の下端面の厚肉部を形成する空間部にメタルが充分に流れ込めるような構成であればよい。
8 扁平状多穴管
10 扁平状多穴管成形用押出しダイス(第1実施形態)
10A 扁平状多穴管成形用押出しダイス(第2実施形態)
20 オス型
21 本体部
21A メタル導入開口部
21B メタル中央導入開口部
21C メタル外側導入開口部
21a 上部開口
21b 下部開口
22 ブリッジ部
22A 仕切り壁成形用メタル導入溝
22B 外周壁成形用メタル導入溝
23 中空部成形用ベアリング部
24 厚肉部成形用ベアリング部
25 メタル導入ガイド部
30 メス型
30A 外側成形用開口部
Claims (6)
- 断面幅方向に形成された複数の中空部と当該中空部同士を区画する複数の仕切り壁と、前記複数の仕切り壁の何れより厚く形成してなる厚肉部とを備えて形成される扁平状多穴管成形用押出しダイスであって、
前記ダイス上流側から送られてくるメタルを下流側に押出して前記複数の中空部の内側形状および厚肉部を成形するオス型と、このオス型を保持すると共に前記扁平状多穴管の外側形状を成形するメス型とを備え、
前記オス型は、前記メタルを導入するメタル導入開口部を有する本体部と、前記メタル導入開口部を分割するブリッジ部とを備え、
前記ブリッジ部の対向する相互間に前記各中空部を成形する中空部成形用ベアリング部および当該中空部成形用ベアリング部相互間に設けられ前記仕切り壁を成形する仕切り壁成形用メタル導入溝を備えると共に、
前記厚肉部を成形する厚肉部成形用ベアリング部が、前記仕切り壁成形用メタル導入溝を介して前記中空部成形用ベアリング部と隣接して備えられていることを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。 - 請求項1に記載の扁平状多穴管成形用押出しダイスにおいて、
前記厚肉部成形用ベアリング部の前記ブリッジ部相互間の中央領域の厚さを、当該厚肉部成形用ベアリング部の下流側を削除して前記中空部成形用ベアリング部の厚さより薄くしたことを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。 - 請求項1または請求項2に記載の扁平状多穴管成形用押出しダイスにおいて、
前記厚肉部成形用ベアリング部の下端面を、前記オス型の本体部の下端面と同一面上に配設したことを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の扁平状多穴管成形用押出しダイスにおいて、
前記メタル導入開口部を、前記各ブリッジ部の対向面内に形成されたメタル中央導入開口部と、前記各ブリッジ部の外側に形成されたメタル外側導入開口部とで、構成したことを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。 - 請求項4に記載の扁平状多穴管成形用押出しダイスにおいて、
前記メタル中央導入開口部を、前記各ブリッジ間の幅方向で上流側の上部開口に対して下流側の下部開口の間隔を狭い形状としたことを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。 - 請求項4または請求項5に記載の扁平状多穴管成形用押出しダイスにおいて、
前記各ブリッジ部の外側下端部に当該各ブリッジ部の外側から内側に向かって傾斜する傾斜ガイド面を設けたことを特徴とする扁平状多穴管成形用押出しダイス。
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