JP2016116469A - 生体関連物質精製カートリッジ - Google Patents

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    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids

Abstract

【課題】意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる生体関連物質精製カートリッジを提供する。【解決手段】本発明に係る生体関連物質精製カートリッジ1では、第1部分505の内周面及び筒状部131の外周面604の一方には、第1突起部510が設けられ、第1部分505の内周面及び筒状部131の外周面604の他方には、溝部610が設けられ、溝部610内を第1突起部510が移動することにより、プランジャー部130は、シリンジ部120に対して挿入方向Aに移動可能であり、溝部610は、第1突起部510と接してプランジャー部130の挿入方向Aへの移動を制限する段部616を有し、段部616におけるプランジャー部130の挿入方向Aへの移動の制限は、プランジャー部130をシリンジ部120に対して回転させることにより、解除される。【選択図】図20

Description

本発明は、生体関連物質精製カートリッジに関する。
生化学の分野において、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)の技術が確立されている。最近、PCR法における増幅の精度や検出感度は向上してきており、極微量の検体(DNA等)を増幅し、検出・解析することができるようになってきた。PCRは、増幅の対象とする核酸(標的核酸)及び試薬を含む溶液(反応液)に熱サイクルを施すことで、標的核酸を増幅させる手法である。PCRの熱サイクルとしては、2段階又は3段階の温度で熱サイクルを施す手法が一般的である。
一方、医療の現場におけるインフルエンザ等の感染症の診断は、現状ではイムノクロマト等の簡易検査キットを用いることが主流である。しかし、このような簡易検査では、精度が不十分となる場合があり、より高い検査精度を期待できるPCRを感染症の診断に適用することが望まれている。
近年、PCR法等に用いるデバイスとして、カートリッジ中に、水系液体層とオイル層とを交互に積層し、核酸を付着させた磁性体粒子を通過させることにより、核酸の精製を行うデバイスが提案されている。例えば特許文献1には、チューブ内の所定量の液体をチューブの末端からPCR容器へ押し出すためのプランジャーを備えたカートリッジが記載されている。
特開2014−176302号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたカートリッジでは、例えばプランジャー部の開口端部を蓋等で塞ぐ場合などに、ユーザー(作業者)が誤ってプランジャー部を押してしまい、熱サイクル等を行う準備が整っていないにも関わらず、反応液がPCR容器へ押し出されてしまうことがある。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる生体関連物質精製カートリッジを提供することにある。
[適用例1]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジは、
第1部分、及び前記第1部分よりも内径の小さい第2部分を有するシリンジ部と、
前記第1部分の内周面に篏合可能な筒状部、及び前記筒状部の端部に支持された前記第2部分の内周面に篏合可能な棒状部を有し、前記シリンジ部の前記第1部分側から挿入可能なプランジャー部と、
を含み、
前記第1部分の内周面及び前記筒状部の外周面の一方には、第1突起部が設けられ、
前記第1部分の内周面及び前記筒状部の外周面の他方には、溝部が設けられ、
前記溝部内を前記第1突起部が移動することにより、前記プランジャー部は、前記シリンジ部に対して挿入方向に移動可能であり、
前記溝部は、前記第1突起部と接して前記プランジャー部の前記挿入方向への移動を制限する段部を有し、
前記段部における前記プランジャー部の前記挿入方向への移動の制限は、前記プランジャー部を前記シリンジ部に対して回転させることにより、解除される。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、例えば、ユーザーが誤ってプランジャー部を押し込んでプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。したがって、本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジでは、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。
[適用例2]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記溝部は、
前記挿入方向に延在している第1部分と、
前記溝部の前記第1部分と連続して前記挿入方向に延在し、前記溝部の前記第1部分と異なる幅を有する第2部分と、
を有し、
前記段部は、前記溝部の前記第1部分の幅と前記溝部の前記第2部分の幅との差によって形成されていてもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。
[適用例3]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記第1突起部は、前記シリンジ部の前記第1部分の内周面に設けられ、
前記溝部は、前記筒状部の外周面に設けられ、
前記溝部の前記第2部分は、前記溝部の前記第1部分よりも前記挿入方向の奥側に位置し、
前記溝部の前記第2部分の幅は、前記溝部の前記第1部分の幅よりも大きくてもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。
[適用例4]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記溝部の前記第1部分は、前記挿入方向に延在していてもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。
[適用例5]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記プランジャー部の開口端部を塞ぐキャップを含み、
前記筒状部の内周面には、開口部が設けられ、
前記キャップの外周面には、第2突起部が設けられ、
前記キャップを、前記プランジャー部の開口端部に挿入させて前記プランジャー部に対
して回転させることにより、前記第2突起部は、前記開口部に係合されてもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、キャップをプランジャー部に固定することができ、プランジャー部内の内容物が外部に漏れることを抑制することができる。
[適用例6]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記第2突起部が前記開口部に係合された状態で、前記キャップを前記シリンジ部に対して回転させることにより、前記プランジャー部は前記シリンジ部に対して回転されて、前記段部における前記挿入方向への移動の制限が解除されてもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、キャップのプランジャー部への固定と、プランジャー部の挿入方向への移動制限の解除と、を一連の動作で行うことができ、操作方法を簡素化することができる。
[適用例7]
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジにおいて、
前記第1突起部は、前記挿入方向に延在する板状部材であってもよい。
本適用例に係る生体関連物質精製カートリッジによれば、意図せずにプランジャー部がシリンジ部に対して移動することを抑制することができる。
実施形態に係る容器組立体1の正面図である。 実施形態に係る容器組立体1の側面図である。 実施形態に係る容器組立体1の平面図である。 実施形態に係る容器組立体1の斜視図である。 実施形態に係る容器組立体1の図3におけるA−A断面図である。 実施形態に係る容器組立体1の図3におけるC−C断面図である。 実施形態に係る容器組立体1の操作を説明する模式図である。 実施形態に係る容器組立体1の操作を説明する模式図である。 PCR装置50の概略構成図である。 PCR装置50のブロック図である。 実施形態に係るシリンジ部120の平面図である。 実施形態に係るシリンジ部120の断面図である。 実施形態に係るシリンジ部120の断面図である。 実施形態に係るプランジャー部130の側面図である。 実施形態に係るプランジャー部130の断面図である。 実施形態に係るキャップ110の正面図である。 実施形態に係るキャップ110の側面図である。 実施形態に係るキャップ110、シリンジ部120、及びプランジャー部130の操作を説明するための図である。 実施形態に係るキャップ110、シリンジ部120、及びプランジャー部130の操作を説明するための図である。 実施形態に係るキャップ110、シリンジ部120、及びプランジャー部130の操作を説明するための図である。 実施形態の第1変形例に係るシリンジ部120の断面図である。 実施形態の第1変形例に係るプランジャー部130の側面図である。 実施形態の第2変形例に係るシリンジ部120の断面図である。 実施形態の第2変形例に係るプランジャー部130の正面図である。 実施形態の第2変形例に係るプランジャー部130の側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジ(容器組立体)は、PCRを行うためのカートリッジであり、生体関連物質を精製する。ここで、生体関連物質としては、生体に関連した物質であって、核酸(DNA、RNA)、ポリペプチド、タンパク質、多糖類などの生体高分子、タンパク質、酵素、ペプチド、ヌクレオチド、アミノ酸、ビタミンなどの生体由来の低分子有機化合物、及び無機化合物などを含む。以下の実施形態では、生体関連物質として核酸を用いて説明する。
本発明に係る生体関連物質精製カートリッジは、生体関連物質が吸着される物質結合性固相担体を含んでもよい。ここで、物質結合性固相担体は、生体関連物質を吸着すなわち可逆的な物理的結合により保持することが可能な物質である。物質結合性固相担体の形状は微粒子であることが好ましいが、これに限らず微細な繊維や網状体であってもよく、特に限定されない。物質結合性固相担体は、生体関連物質を吸着したまま容器組立体内を所望の方向へ移動させるため、磁性を有することが好ましい。以下の実施形態では、物質結合性固相担体として核酸を吸着する磁気ビーズ30(後述の図7、図8を参照)を用いて説明する。
1.容器組立体の概要
まず、図1〜図4を用いて、本実施形態に係る容器組立体1の概要について説明する。図1は、実施形態に係る容器組立体1(以下、カートリッジということがある)の正面図である。図2は、実施形態に係る容器組立体1の側面図である。図3は、実施形態に係る容器組立体1の平面図である。図4は、実施形態に係る容器組立体1の斜視図である。なお、図1〜図3における容器組立体1の状態を正立状態として説明する。
容器組立体1は、吸着容器100と、洗浄容器200と、溶出容器300と、反応容器400と、を含む。容器組立体1は、吸着容器100から反応容器400まで連通する図示しない流路を形成する容器である。容器組立体1の流路は、一方の端部はキャップ110によって、他方の端部は底部402によって閉じられている。
容器組立体1は、吸着容器100内で図示しない磁気ビーズに核酸を結合させ、磁気ビーズが洗浄容器200内を移動する間に精製し、溶出容器300内で図示しない溶出液液滴中に核酸を溶出させる前処理と、反応容器400内で核酸を含む溶出液の液滴に対しポリメラーゼ反応の熱サイクル処理と、を行う容器である。
容器組立体1の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、高分子、金属などとすることができる。容器組立体1の材質にガラスや高分子などの可視光において透明性を有する材質を選択すると、容器組立体1の外部から内部(空洞内)を観察することができるのでより好ましい。また、容器組立体1の材質に、磁力を透過する物質や非磁性体を選択すると、容器組立体1に図示しない磁気ビーズを通過させる場合などに、容器組立体1の外部から磁力を与えることによってこれを行うことが容易化されるため好ましい。容器組立体1の材質は、例えば、ポリプロピレン樹脂であることができる。
吸着容器100は、内部に図示しない吸着液を収容する円筒状のシリンジ部120と、シリンジ部120の内部に挿入された可動式の押子であるプランジャー部130と、プランジャー部130の一方の端部に固定されるキャップ110と、を有する。吸着容器100は、キャップ110をシリンジ部120に対して移動することでプランジャー部130をシリンジ部120の内面に摺動させ、シリンジ部120内に収容した図示しない吸着液を洗浄容器200へ押し出すことができる。なお、吸着液については、後述する。
洗浄容器200は、第1〜第3洗浄容器210,220,230を接合して組み立てることで得られる。第1〜第3洗浄容器210,220,230は、それぞれ内部に図示しないオイル層で仕切られた1つ以上の洗浄液層を有する。そして、第1〜第3洗浄容器210,220,230を接合することで、洗浄容器200は内部に図示しない複数のオイル層によって区切られた複数の洗浄液層を有する。本実施形態の洗浄容器200では第1〜第3洗浄容器210,220,230からなる3つの洗浄容器を用いた例について説明したが、これに限らず、洗浄液層の数に応じて適宜増減することができる。なお、洗浄液については、後述する。
溶出容器300は、洗浄容器200の第3洗浄容器230に接合され、内部に溶出液をプラグの形状を維持可能に収容する。ここで、「プラグ」とは、流路内において、特定の液体が一区画を占める場合の液体を意味する。より具体的には、特定の液体のプラグは、流路の長手方向において、実質的に当該特定の液体のみが内部を占める柱状のものを指し、液体のプラグによって流路の内部の一定の空間が区画されている状態を示す。ここでの実質的にとの表現は、プラグの周囲、すなわち流路の内壁に少量(例えば薄膜状)の他の物質(液体等)が存在していてもよいことを指す。なお、溶出液については、後述する。
核酸精製デバイス5は、吸着容器100と、洗浄容器200と、溶出容器300と、を含む。
反応容器400は、溶出容器300に接合され、溶出容器300から押し出された液体を受け入れる容器であると共に、熱サイクル処理時に検体を含む溶出液の液滴を収容する容器である。また、反応容器400は、図示しない試薬を収容する。なお、試薬については、後述する。
2.容器組立体の詳細構造
次に、容器組立体1の詳細構造について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施形態に係る容器組立体1の図3におけるA−A断面図である。図6は、実施形態に係る容器組立体1の図3におけるC−C断面図である。なお、実際には、容器組立体1は、洗浄液などの内容物が充填された状態で組み立てられるものであるが、図5及び図6では容器組立体1の構造を説明するため内容物の記載を省略する。
2−1.吸着容器
吸着容器100は、シリンジ部120の一方の開口端部からプランジャー部130が挿入され、プランジャー部130の開口端部にはキャップ110が挿入されている。キャップ110は、その中央に通気部112を有し、プランジャー部130を操作したときに通気部112によってプランジャー部130の内圧の変化を抑えることができる。
プランジャー部130は、シリンジ部120の内周面を摺動する略円筒状の押子であり、キャップ110が挿入された開口端部と、該開口端部に対向する底部からシリンジ部120の長手方向に延びる棒状部132と、棒状部132の先端の先端部134と、を有する。棒状部132はプランジャー部130の底部の中央から突出しており、棒状部132の周囲には貫通孔が形成されてプランジャー部130内とシリンジ部120内とは連通す
る。
シリンジ部120は、容器組立体1の流路2の一部を構成し、プランジャー部130を収容する大径部と、該大径部より内径が小さい小径部と、大径部から小径部へ内径を縮径する縮径部と、該小径部の先端に吸着挿入部122と、吸着挿入部122の周囲を覆う円筒状の吸着カバー部126と、を有する。容器組立体1の流路2の一部となる大径部、小径部及び吸着挿入部122は、略円筒状である。
プランジャー部130の先端部134は、作業者への提供時において、シリンジ部120の小径部を封止して大径部及び縮径部と小径部とを仕切り、2つの区画を形成する。
シリンジ部120の吸着挿入部122は、洗浄容器200における第1洗浄容器210の一方の開口端部である第1受入部214内に挿入して嵌合することでシリンジ部120と第1洗浄容器210とを接合する。吸着挿入部122の外周面と第1受入部214の内周面とは密着して内容物である液体が外部へ漏れることを防止する。
2−2.洗浄容器
洗浄容器200は、容器組立体1の流路2の一部を構成し、第1〜第3洗浄容器210,220,230からなる組立体である。第1〜第3洗浄容器210,220,230は、基本的な構造は同じであるので、第1洗浄容器210の構造について説明し、第2、第3洗浄容器220,230についての説明は省略する。
第1洗浄容器210は、容器組立体1の長手方向に延びる略円筒状であって、一方の開口端部に形成された第1挿入部212と、他方の開口端部に形成された第1受入部214と、第1挿入部212の周囲を覆う円筒状の第1カバー部216と、を有する。
第1挿入部212の外径は第2受入部224の内径と略同じである。また、第1受入部214の内径は吸着挿入部122の外径と略同じである。
第1洗浄容器210の第1挿入部212を第2洗浄容器220の第2受入部224に挿入して嵌合することで、第1挿入部212の外周が第2受入部224の内周と密着してシールすると共に、第1洗浄容器210と第2洗浄容器220とを接合する。同様にして、第1〜第3洗浄容器210,220,230が連結されて洗浄容器200を形成する。ここで「シールする」とは、少なくとも容器等に収容された液体または気体が外部に漏れないように封ずることであり、外部から内部へ液体または気体が侵入することを封ずることを含んでもよい。
2−3.溶出容器
溶出容器300は、容器組立体1の長手方向に延びる略円筒状であって、容器組立体1の流路2の一部を構成する。溶出容器300は、一方の開口端部に形成された溶出挿入部302と、他方の開口端部に形成された溶出受入部304と、を有する。
溶出受入部304の内径は第3洗浄容器230の第3挿入部232の外径と略同じである。第3挿入部232を溶出受入部304に挿入して嵌合することで、第3挿入部232の外周が溶出受入部304の内周と密着してシールすると共に、第3洗浄容器230と溶出容器300とを接合する。
2−4.反応容器
反応容器400は、容器組立体1の長手方向に延びる略円筒状であって、容器組立体1の流路2の一部を構成する。反応容器400は、開口端部に形成された反応受入部404
と、他方の閉じた端部に形成された底部402と、反応受入部404を覆うリザーバー部406と、を有する。
反応受入部404の内径は、溶出容器300の溶出挿入部302の外径と略同じである。溶出挿入部302を反応受入部404に挿入して嵌合することで、溶出容器300と反応容器400は接合する。
反応受入部404の周囲には所定の空間を有するリザーバー部406が設けられる。リザーバー部406は、プランジャー部130の移動によって反応容器400から溢れ出る液体を受容できる容積を有する。
3.容器組立体の内容物及び容器組立体の操作
次に、容器組立体1の内容物について図7の(a)を用いて説明し、容器組立体1の操作について図7及び図8を用いて説明する。図7は、実施形態に係る容器組立体1の操作を説明する模式図である。図8は、実施形態に係る容器組立体1の操作を説明する模式図である。なお、図7及び図8では内容物の状態を説明するため、各容器を流路2で表現し、外形状や接合構造については省略している。
3−1.内容物
図7の(a)は、図1の状態における流路2内の内容物の状態を示す。流路2内の内容物は、キャップ110側から反応容器400へ向かって順に、吸着液10、第1オイル20、第1洗浄液12、第2オイル22、第2洗浄液14、第3オイル24、磁気ビーズ30、第3オイル24、第3洗浄液16、第4オイル26、溶出液32、第4オイル26、試薬34である。
流路2は、容器組立体1の長手方向に直交する面の断面積が大きい部分(流路2の太い部分)と小さい部分(流路2の細い部分)とが交互に配置される。第1〜第4オイル20,22,24,26及び溶出液32は、その各液の一部または全部が流路2の細い部分に収容されている。流路2の細い部分の断面積は、隣接する互いに混和しない液体(流体であってもよい。以下同じ)の界面が流路2の細い部分に配置された場合に、その界面を安定に維持可能な面積を有する。したがって、流路2の細い部分に配置された液体によって、その液体とその液体の上下に配置された他の液体との配置関係を安定に維持することができる。また、流路2の細い部分に配置された液体と流路2の太い部分に配置された他の液体との界面が流路2の太い部分に形成される場合であっても、強い衝撃によってその界面が乱れても、静止した状態に置くことで、界面は所定の位置で安定に形成される。
流路2の細い部分は、吸着挿入部122、第1挿入部212、第2挿入部222、第3挿入部232、溶出挿入部302の内側に形成され、溶出容器300においては溶出挿入部302を超えて上方へ延在する。なお、流路2の細い部分に収容された液体は、容器を組み立てる前であっても安定に維持される。
3−1−1.オイル
第1〜第4オイル20,22,24,26は、いずれもオイルからなり、図7の状態において各オイルの前後の液体の間でプラグとして存在する。第1〜第4オイル20,22,24,26がプラグとして存在するために、各オイルの前後で隣接する液体は、互いに相分離する液体、すなわち混和しない液体が選択される。また、第1〜第4オイル20,22,24,26を構成するオイルは、互いに異なる種類のオイルであってもよい。これらに用いることができるオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーン系オイル、パラフィン系オイル及びミネラルオイル並びにそれらの混合物から選択される一種を挙げることができる。
3−1−2.吸着液
吸着液10とは、磁気ビーズ30に核酸を吸着させる場となる液体のことを指し、例えば、カオトロピック物質を含む水溶液である。吸着液10としては、例えば、5Mグアニジンチオシアン酸塩、2%Triton X−100、50mM Tris−HCl(pH7.2)を用いることができる。吸着液10はカオトロピック物質を含有すれば特に限定されないが、吸着液10には細胞膜の破壊あるいは細胞中に含まれるタンパク質を変性させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。この界面活性剤としては、一般に細胞等からの核酸抽出に使用されるものであれば特に限定されないが、具体的には、Triton−Xなどのトリトン系界面活性剤やTween20などのツイーン系界面活性剤のような非イオン性界面活性剤、N−ウラロイルサルコシンナトリウム(SDS)等の陰イオン性界面活性剤が挙げられるが、特に非イオン性界面活性剤を、0.1%〜2%の範囲となるように使用するのが好ましい。さらには、2−メルカプトエタノールあるいはジチオスレイトール等の還元剤を含有させることが好ましい。溶解液は、緩衝液であってもよいが、pH6〜8の中性であることが好ましい。これらのことを考慮し、具体的には、3M〜7Mのグアニジン塩、0%〜5%の非イオン性界面活性剤、0mM〜0.2mMのEDTA、0M〜0.2Mの還元剤等を含有することが好ましい。
ここで、カオトロピック物質とは、水溶液中でカオトロピックイオン(イオン半径の大きな1価の陰イオン)を生じ、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しており、核酸の固相担体への吸着に寄与するものであれば、特に限定されない。具体的には、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム等が挙げられるが、これらのうち、タンパク質変成作用の強いグアニジンチオシアン酸塩またはグアニジン塩酸塩が好ましい。これらのカオトロピック物質の仕様濃度は、各物質によって異なり、例えば、グアニジンチオシアン酸塩を使用する場合には、3M〜5.5Mの範囲で、グアニジン塩酸塩を使用する場合は、5M以上で使用するのが好ましい。
水溶液中にカオトロピック物質が存在することによって、水溶液中の核酸は、水子に囲まれて存在するよりも、固体に吸着して存在するほうが熱力学的に有利となるため、磁気ビーズ30の表面に吸着することとなる。
3−1−3.洗浄液
第1〜第3洗浄液12,14,16は、核酸の結合した磁気ビーズ30を洗浄するものである。
第1洗浄液12は、第1オイル20及び第2オイル22のいずれとも相分離する液体である。第1洗浄液12は、水または低塩濃度水溶液であることが好ましく、低塩濃度水溶液の場合、緩衝液であることが好ましい。低塩濃度水溶液の塩濃度は、100mM以下が好ましく、50mM以下がより好ましく、10mM以下が最も好ましい。また、第1洗浄液12は、上述したような界面活性剤を含有してもよく、pHは特に限定されない。第1洗浄液12を緩衝液とするための塩は特に限定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましい。さらに、第1洗浄液12は、アルコールを核酸の担体への吸着、逆転写反応、PCR反応などを阻害しない量だけ含むことが好ましい。この場合、アルコール濃度は特に限定されない。
なお、第1洗浄液12にカオトロピック物質を含有させてもよい。例えば、第1洗浄液12にグアニジン塩酸塩を含有させると、磁気ビーズ30等に吸着した核酸の吸着を維持または強化しつつ磁気ビーズ30等を洗浄することができる。
第2洗浄液14は、第2オイル22及び第3オイル24のいずれとも相分離する液体で
ある。第2洗浄液14は、基本的に、第1洗浄液12と同じでも異なる組成であってもよいが、カオトロピック物質を事実上含まない溶液であるほうが好ましい。後の溶液に、カオトロピック物質の持ち込みを無くすためである。第2洗浄液14としては、例えば5mMトリス塩酸緩衝液からなってもよい。第2洗浄液14は、上述したように、アルコールを含むことが好ましい。
第3洗浄液16は、第3オイル24及び第4オイル26のいずれとも相分離する液体である。第3洗浄液16は、基本的に、第2洗浄液14と同じでも異なる組成であってもよいが、アルコールを含まない。また、第3洗浄液16は、アルコールを反応容器400に持ち込むことを防止するためにクエン酸を含むことができる。
3−1−4.磁気ビーズ
磁気ビーズ30は、核酸を吸着するビーズであり、容器組立体1の外にある磁石3によって移動させることができるように比較的強い磁性を有することが好ましい。磁気ビーズ30は、例えば、シリカビーズまたはシリカコーティングされたビーズであってもよい。磁気ビーズ30は、好ましくはシリカコーティングされたビーズであってもよい。
3−1−5.溶出液
溶出液32は、第4オイル26と相分離する液体であり、溶出容器300中の流路2内で第4オイル26,26に挟まれたプラグとして存在する。溶出液32は、磁気ビーズ30に吸着した核酸を、磁気ビーズ30から溶出液32中に溶出させる液体である。また、溶出液32は、加熱によって第4オイル26中で液滴となる。溶出液32は、例えば、純水を用いることができる。ここで、「液滴」とは、自由表面で囲まれた液体である。
3−1−6.試薬
試薬34は、反応に必要な成分を含む。試薬34は、反応容器400における反応がPCRである場合には、溶出液の液滴36(図8を参照)の中に溶出させた標的核酸(DNA)を増幅するためDNAポリメラーゼなどの酵素及びプライマー(核酸)と、増幅産物を検出するための蛍光プローブのうち少なくとも一つが含まれていることができ、ここでは、プライマー、酵素及び蛍光プローブの全てが含まれている。試薬34は、第4オイル26とは相溶せず、核酸を含む溶出液32の液滴36に接すると溶けて反応するものであり、反応容器400内の流路2の重力方向における最下部の領域に固体状態で存在する。例えば、試薬34は、凍結乾燥(フリーズドライ)したものを用いることができる。
3−2.容器組立体の操作
容器組立体1の操作の一例として、図7及び図8を用いて説明する。
容器組立体1の操作は、
(A)吸着容器100、洗浄容器200、溶出容器300及び反応容器400を接合して容器組立体1を組み立てる工程と、
(B)吸着液10が収容された吸着容器100に、核酸を含有する検体を導入する工程と、
(C)第2洗浄容器220から吸着容器100へ磁気ビーズ30を移動する工程と、
(D)吸着容器100を揺動して核酸を磁気ビーズ30に吸着させる工程と、
(E)吸着容器100から、第1オイル20、第1洗浄液12、第2オイル22、第2洗浄液14、第3オイル24、第3洗浄液16及び第4オイル26の順に通過して、溶出容器300へ、核酸が吸着した磁気ビーズ30を移動する工程と、
(F)溶出容器300内で、溶出液32に対して磁気ビーズ30から核酸を溶出させる工程と、
(G)核酸を含む液滴を反応容器400内の試薬34に接触させる工程と、
を含む。
以下、各工程について順番に説明する。
(A)容器組立体1を組み立てる工程
図7の(a)に示すように、組み立てる工程は、吸着容器100から反応容器400までを接合して、吸着容器100から反応容器400まで連続する流路2を形成するように容器組立体1を組み立てる。なお、図7の(a)では、吸着容器100はキャップ110が装着されているが、キャップ110をプランジャー部130に装着するのは(B)工程の後である。
より具体的には、反応容器400の反応受入部404に溶出容器300の溶出挿入部302を挿入し、溶出容器300の溶出受入部304に第3洗浄容器230の第3挿入部232を挿入し、第3洗浄容器230の第3受入部234に第2洗浄容器220の第2挿入部222を挿入し、第2洗浄容器220の第2受入部224に第1洗浄容器210の第1挿入部212を挿入し、第1洗浄容器210の第1受入部214に吸着容器100の吸着挿入部122を挿入する。
(B)検体を導入する工程
導入する工程は、例えば検体が付着した綿棒を、吸着容器100のキャップ110が装着される開口から吸着液10の中に差し入れ、吸着液10にこれを浸漬して行う。より具体的には、吸着容器100のシリンジ部120に挿入された状態のプランジャー部130の一方の端部にある開口から綿棒を差し入れる。次に、綿棒を吸着容器100から取り出し、キャップ110を装着する。これが図7の(a)の状態である。また、検体は、ピペット等によって吸着容器100へ導入してもよい。また、検体がペースト状や固体状であれば、例えば、吸着容器100へ匙やピンセット等によりプランジャー部130の内壁に付着させたり投入したりしてもよい。図7の(a)に示すように、シリンジ部120及びプランジャー部130の中は途中まで吸着液10が充填されているが、キャップ110の装着される開口側には空間が残されている。
検体には標的となる核酸が含まれている。以下、これを単に標的核酸ということがある。標的核酸は、例えば、DNAやRNA(DNA:Deoxyribonucleic Acid、及び/又はRNA:Ribonucleic Asid)である。標的核酸は、検体から抽出され、後述する溶出液32に溶出された後、例えばPCRの鋳型として利用される。検体としては、血液、鼻腔粘液、口腔粘膜、その他各種の生体試料などが挙げられる。
(C)磁気ビーズを移動する工程
磁気ビーズ30を移動する工程は、図7の(a)に示すように第2洗浄容器220の第3オイル24,24に挟まれてプラグ状に存在する磁気ビーズ30を、容器外部に配置した磁石3の磁力を印加した状態で、磁石3を吸着容器100へ向かって移動させることによって行う。
この磁気ビーズ30の移動に合わせて、あるいはこれより先にキャップ110及びプランジャー部130をシリンジ部120から抜き出す方向へ移動して、吸着液10内の検体をプランジャー部130内からシリンジ部120内へ移動させる。このプランジャー部130の移動によって、先端部134によって塞がれていた流路2は吸着液10へ連通する。
磁気ビーズ30は、磁石3の移動に伴って流路2内を上昇し、図7の(b)に示すよう
に、検体のある吸着液10内へ到達する。
(D)核酸を磁気ビーズに吸着させる工程
核酸を吸着させる工程は、吸着容器100を揺動させて行われる。この工程は、吸着容器100の開口がキャップ110によって吸着液10が漏れ出さないように封止されているので、効率的に行うことができる。この工程により、標的核酸は、カオトロピック剤の作用により、磁気ビーズ30の表面に吸着される。この工程では、磁気ビーズ30の表面に標的核酸以外の核酸や蛋白質が吸着してもよい。
吸着容器100を揺動させる方法としては、公知のボルテックスシェイカーなどの装置を用いてもよいし、作業者の手で振り混ぜてもよい。また、磁気ビーズ30の磁性を利用して、外部から磁場を与えながら吸着容器100を揺動してもよい。
(E)核酸が吸着した磁気ビーズを移動する工程
核酸が吸着した磁気ビーズ30を移動する工程は、吸着容器100、洗浄容器200及び溶出容器300の外部から磁石3の磁力を印加しながら移動することによって磁気ビーズ30を吸着液10、第1〜第4オイル20,22,24,26及び第1〜第3洗浄液12,14,16の中を移動させる。
磁石3は、例えば、永久磁石、電磁石等を用いることができる。また、磁石3は、作業者の手で動かして行ってもよいし、機械装置等を利用して行ってもよい。磁気ビーズ30は、磁力によって引き寄せられる性質を有しているため、この性質を利用して、吸着容器100、洗浄容器200、そして溶出容器300へと、磁石3の相対的な配置を変化させて、流路2内を移動させる。磁気ビーズ30が各洗浄液を通過するときの速度は特に限定されないし、同一洗浄液内で流路2の長手方向に沿って往復するようにして移動させてもよい。なお、磁気ビーズ30以外の粒子等をチューブ内で移動させる場合は、例えば、重力や電位差を利用してこれを行うことができる。
(F)核酸を溶出させる工程
核酸を溶出させる工程は、溶出容器300内で、溶出液の液滴36に対して磁気ビーズ30から核酸を溶出させる。図7における溶出液32は、溶出容器300の流路の細い部分にプラグとして存在していたが、上記のように磁気ビーズ30を移動させる間に、反応容器400を加熱することで内容液が膨張し、図8に示すように液滴36として溶出容器300内を上方へ移動している。そして、図8の(a)に示すように、磁気ビーズ30が溶出容器300の溶出液の液滴36に到達すると、溶出液の作用により、磁気ビーズ30に吸着された標的核酸が、溶出液の液滴36内に溶出する。
(G)試薬34に接触させる工程
試薬34に接触させる工程は、核酸を含む液滴36を反応容器400内の最下部にある試薬34に接触させる。具体的には、図8の(b)に示すように、キャップ110を押し、プランジャー部130の先端部134によって第1オイル20を押し下げることで、磁石3の磁力が印加された磁気ビーズ30を所定位置に維持したまま、標的核酸が溶出した溶出液の液滴36が反応容器400へ移動し、反応容器400の最下部にある試薬34に接触する。液滴36が接触した試薬34は溶けて溶出液中の標的核酸と混ざり合い、例えば熱サイクルを用いたPCRを実施することができる。
4.PCR装置
図9及び図10を用いて、容器組立体1を用いて核酸溶出処理及びPCRを行うPCR装置50について説明する。図9は、PCR装置50の概略構成図である。図10は、PCR装置50のブロック図である。
PCR装置50は、回転機構60と、磁石移動機構70と、押圧機構80と、蛍光測定器55と、コントローラー90と、を有する。
4−1.回転機構
回転機構60は、回転用モーター66とヒーター65とを含み、回転用モーター66を駆動することにより容器組立体1及びヒーター65を回転する。回転機構60が容器組立体1及びヒーター65を回転して上下反転させることによって、反応容器400の流路内において標的核酸を含む液滴が移動し、熱サイクル処理が行われる。
ヒーター65は、図示しない複数のヒーターを含み、例えば、溶出用、高温用及び低温用のヒーターを含むことができる。溶出用ヒーターは、容器組立体1のプラグ状の溶出液を加熱し、標的核酸の磁気ビーズから溶出液への溶出を促進する。高温用ヒーターは、反応容器400の流路の上流側の液体を低温用ヒーターよりも高い温度に加熱する。低温用ヒーターは、反応容器の流路の底部402を加熱する。高温用ヒーターと低温用ヒーターによって、反応容器400の流路内の液体に温度勾配を形成することができる。ヒーター65には、温度制御装置が設けられ、コントローラー90からの指令に従って、容器組立体1内の液体を処理に適した温度に設定できる。
ヒーター65は、反応容器400の底部402の外壁が露出する開口を有する。蛍光測定器55は、その開口から溶出液の液滴の輝度を測定する。
4−2.磁石移動機構
磁石移動機構70は、磁石3を移動させる機構である。磁石移動機構70は、容器組立体1内の磁気ビーズを磁石3に引き寄せるとともに、磁石3を移動させることによって磁気ビーズを容器組立体1内で移動させる。磁石移動機構70は、一対の磁石3と、昇降機構と、揺動機構と、を有する。
揺動機構は、一対の磁石3を図9の左右方向(図9の前後方向であってもよい)に揺動させる機構である。一対の磁石3は、PCR装置50に装着された容器組立体1を左右方向から挟みこむように配置(図7、図8を参照)され、容器組立体1の流路と直交する方向(ここでは図9の左右方向)で磁気ビーズと磁石3との距離を近接させることができる。したがって、一対の磁石3を左右方向に矢印のように揺動させると、その動きに合わせて容器組立体1内の磁気ビーズが左右方向に移動する。昇降機構は、磁石3を上下方向に移動させ、磁石3の移動に合わせて磁気ビーズを図9の上下方向に移動させることができる。
4−3.押圧機構
押圧機構80は、容器組立体1のプランジャー部を押す機構であり、プランジャー部が押圧機構80によって押されることによって、溶出容器300内の液滴が反応容器400内に押し出され、反応容器400内でPCRを実施することができるようになる。
図9では、押圧機構80を正立した容器組立体1の上方に配置して示しているが、押圧機構80がプランジャー部を押す方向は、図9における上下方向ではなく、例えば、上下方向に対して45度傾いていてもよい。このようにすることで、磁石移動機構70と干渉しない位置に押圧機構80を配置することが容易になる。
4−4.蛍光測定器
蛍光測定器55は、反応容器400の液滴の輝度を測定する測定器である。蛍光測定器55は、反応容器400の底部402に対向する位置に配置される。なお、蛍光測定器5
5は、マルチプレックスPCRに対応できるように、複数の波長域の輝度検出が可能であると望ましい。
4−5.コントローラー
コントローラー90は、PCR装置50の制御を行う制御部である。コントローラー90は、例えばCPUなどのプロセッサーと、ROMやRAMなどの記憶装置とを有する。記憶装置には各種プログラム及びデータが記憶されている。また、記憶装置は、プログラムを展開する領域を提供する。プロセッサーが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、各種の処理が実現される。
例えば、コントローラー90は、回転用モーター66を制御して、容器組立体1を所定の回転位置まで回転させる。回転機構60には図示しない回転位置センサが設けられており、コントローラー90は、回転位置センサの検出結果に応じて回転用モーター66を駆動・停止させる。
また、コントローラー90は、ヒーター65を制御して、ヒーターをオン・オフ制御して発熱させ、容器組立体1内の液体を所定の温度まで加熱する。
また、コントローラー90は、磁石移動機構70を制御して、磁石3を上下方向に移動させ、図示しない位置センサの検出結果に応じて磁石3を図9の左右方向に揺動させる。
また、コントローラー90は、蛍光測定器55を制御して、反応容器400内の液滴の輝度を測定する。この測定結果は、コントローラー90の図示しない記憶装置に保存される。
このPCR装置50に容器組立体1を装着し、上記3−2の(C)〜(G)の工程を実施することができ、さらにPCRを実施することができる。
5.シリンジ部、プランジャー部、及びキャップの詳細な説明
本実施形態に係る生体関連物質精製カートリッジ(容器組立体)1の、シリンジ部120、プランジャー部130、及びキャップ110について、図面を参照しながら詳細に説明する。
5−1.シリンジ部
図11は、実施形態に係るシリンジ部120を模式的に示す平面図である。図12は、実施形態に係るシリンジ部120を模式的に示す図11のA−A線断面図である。図13は、実施形態に係るシリンジ部120を模式的に示す図11のB−B線断面図である。なお、図11に示すA−A線の断面は、上述した図3に示すA−A線の断面に相当する。また、便宜上、図12及び図13では、カートリッジ1内の内容物の図示を省略している。
シリンジ部120は、図11〜図13に示すように、プランジャー部130が挿入される開口端部502を有している。
シリンジ部120の内周面504には、第1突起部510が設けられている。第1突起部510は、内周面504から内側に向けて突出している。図示の例では、シリンジ部120は、プランジャー部130を収容する第1部分(大径部)505と、第1部分505よりも内径の小さい第2部分(小径部)506と、第1部分505から第2部分506へ内径を縮径する第3部分(縮径部)507と、を有している。第1突起部510は、例えば、第1部分505及び第3部分507の内周面504に設けられている。第1突起部510は、開口端部502までは延在しておらず、例えば、第1部分505と第3部分50
7との境近傍から、第1部分505の長さ(流路2の延在方向における第1部分505の長さ)の1/4〜1/2程度まで延在している。
第1突起部510の数は、特に限定されないが、図示の例では、第1突起部510は2つ設けられ、2つの第1突起部510は、互いに対向する位置に設けられている。第1突起部510の形状は、特に限定されないが、図13に示す例では、第1突起部510は、幅Wを有して、流路2の延在方向(シリンジ部120の長手方向)に沿って延在する略棒状の形状を有している。第1突起部510は、例えば、プランジャー部130のシリンジ部120に対する挿入方向A(後述する図14及び図15参照)に延在する板状部材である。
5−2.プランジャー部
図14は、実施形態に係るプランジャー部130を模式的に示す側面図である。図15は、実施形態に係るプランジャー部130を模式的に示す断面図であって、図13に示す断面に相当している。なお、便宜上、図15では、カートリッジ1内の内容物の図示を省略している。
プランジャー部130は、シリンジ部120の第1部分505側から挿入可能である。図示の例では、プランジャー部130は、シリンジ部120の開口端部502に挿入されている。プランジャー部130は、図14及び図15に示すように、キャップ110が挿入される開口端部602を有している。
プランジャー部130の外周面604には、図14に示すように、溝部610が設けられている。プランジャー部130は、第1部分505の内周面504に篏合可能な筒状部131、及び筒状部131の端部(底部)606に支持された第2部分506の内周面504に篏合可能な棒状部132を有している。図示の例では、溝部610は、筒状部131の外周面604に設けられた環状のフランジ部608から、開口端部602に対向する底部606まで、延在している。フランジ部608は、シリンジ部120の第1部分505の内周面504とシールし、シリンジ部120内の液体が外部に漏れることを抑制することができる。
溝部610は、プランジャー部130のシリンジ部120に対する挿入方向(開口端部602から底部606に向かう方向)Aに延在している第1部分612と、第1部分612と連続して挿入方向Aに延在し、第1部分612と異なる幅を有する第2部分614と、を有している。
溝部610の第1部分612は、溝部610の第2部分614よりも挿入方向Aの手前側(開口端部602側)に設けられている。第2部分614は、第1部分612よりも挿入方向Aの奥側(底部606側)に設けられている。図示の例では、第2部分614の幅W2は、第1部分612の幅W1よりも大きい。第1部分612の幅W1は、第1突起部510の幅Wと同じであってもよいし、幅Wよりもやや大きくてもよい。第2部分614の幅W2は、第1突起部510の幅Wよりも大きい。
溝部610は、第1部分612の幅W1と第2部分614の幅W2との差によって形成されている段部616を有している。段部616は、例えば、挿入方向Aと直交する方向に延在する溝部610の内面によって形成されている。図示の例では、溝部610の一方側の(図14において右側の)第1内側面61aにおいて段部616が設けられ、溝部610の他方側の側面(図14において左側の)第2内側面61bは平坦な面である。なお、内面側面61a,61bは、挿入方向Aに沿って延在し、互いに対向する面である。例えば、第1部分612は、フランジ部608から段部616まで延在し、第2部分614
は、段部616から底部606まで延在している。
溝部610の数は、第1突起部510の数と同じである。例えば第1突起部510が2つ設けられている場合、溝部610も2つ設けられている。2つの溝部610は、互いに対向する位置に設けられている。そのため、生体関連物質精製カートリッジ1は、シリンジ部120にプランジャー部130を挿入する際に、シリンジ部120に対するプランジャー部130の挿入可能な向き(シリンジ部120に対するプランジャー部130の、挿入方向Aと平行な軸まわりの角度)を2種類有することができる。したがって、生体関連物質精製カートリッジ1では、例えば第1突起部及び溝部が1つずつ設けられている場合に比べて、シリンジ部120に対するプランジャー部130の向きを容易に設定することができる。
プランジャー部130の筒状部131の内周面622には、図15に示すように、開口部624が設けられている。図示の例では、開口部624は、プランジャー部130の外壁を貫通して設けられている。開口部624は、フランジ部608よりも挿入方向Aの手前側に設けられている。開口部624の数は、後述するキャップ110の第2突起部710の数と同じである。例えば第2突起部710が2つ設けられている場合、開口部624も2つ設けられている。2つの開口部624は、互いに対向する位置に設けられている。
プランジャー部130の筒状部131の内周面622には、凹部626が設けられている。凹部626は、開口端部602から開口部624まで設けられている。開口部624は、凹部626の側方に位置している。
5−3.キャップ
図16は、実施形態に係るキャップ110を模式的に示す正面図である。図17は、実施形態に係るキャップ110を模式的に示す側面図である。
キャップ110は、プランジャー部130の開口端部602を塞ぐ。キャップ110の外周面702には、図16及び図17に示すように、第2突起部710が設けられている。第2突起部710の数は、特に限定されないが、図示の例では、第2突起部710は2つ設けられ、2つの第2突起部710は、互いに対向する位置に設けられている。第2突起部710の形状は、特に限定されないが、図示の例では、直方体の形状を有している。
5−4.操作
図18〜図20は、実施例に係るキャップ110、シリンジ部120、及びプランジャー部130の操作を説明するための図である。なお、便宜上、図18〜図20では、シリンジ部120の第1突起部510を破線で示し、シリンジ部120の第1突起部510以外の部分を省略している。
図18に示すように、シリンジ部120の第1突起部510とプランジャー部130の段部616とが接した状態で、開口端部602から、プランジャー部130内に検体を導入する。
次に、開口端部602にキャップ110を挿入させて、開口端部602を塞ぐ。キャップ110は、プランジャー部130の内周面622に設けられた凹部626に従って(凹部626にガイドされて)、プランジャー部130に対して挿入方向Aに移動する。キャップ110の挿入によってプランジャー部130には、挿入方向Aの力が生じるが、段部616が第1突起部510に接しているため、プランジャー部130の挿入方向Aへの移動は制限される。すなわち、第1突起部510は、ストッパーとしての機能を有しているといえる。
図19に示すように、キャップ110が開口端部602に挿入された状態で、キャップ110をプランジャー部130に対して回転させる。図示の例では、キャップ110を、プランジャー部130の中心軸Cまわりに矢印R1方向に回転させる。これにより、第2突起部710は開口部624に係合され、キャップ110はプランジャー部130に固定される。なお、開口部624は、第2突起部710と係合されてキャップ110をプランジャー部130に固定することができれば、プランジャー部130の外壁を貫通している必要はなく、内周面622に設けられた有底の凹部であってもよい。
図20に示すように、第2突起部710が開口部624に係合された状態で、キャップ110をシリンジ部120に対して回転させる。図示の例では、キャップ110を、プランジャー部130の中心軸Cまわりに矢印R2方向に回転させる。矢印R2方向は、図19に示す矢印R1方向と同じである。これにより、プランジャー部130はシリンジ部120に対して回転されて、第1突起部510は、段部616から離れて第2内側面61bと接する。プランジャー部130のシリンジ部120に対する回転は、第1突起部510が第2内側面61bに接して停止される。その結果、第1突起部510は、第1部分612の挿入方向Aの奥側に位置し、段部616における挿入方向Aへの移動(プランジャー部130の移動)の制限は、解除される。そして、溝部610内を第1突起部510が移動することにより、プランジャー部130は、シリンジ部120に対して挿入方向Aに移動可能となる。第2内側面61bは、平坦な面であるため、プランジャー部130は、スムーズに挿入方向Aに移動することができる。
その後、例えばカートリッジ1を、図9に示すPCR装置50にセットし、プランジャー部130をシリンジ部120に対して挿入方向Aに移動させて、液滴36を反応容器400に移動させる。
カートリッジ1は、例えば、以下の特徴を有する。
カートリッジ1では、溝部610内を第1突起部510が移動することにより、プランジャー部130は、シリンジ部120に対して挿入方向Aに移動可能であり、溝部610は、第1突起部510と接してプランジャー部130の挿入方向Aへの移動を制限する段部616を有し、段部616におけるプランジャー部130の挿入方向Aへの移動の制限は、プランジャー部130をシリンジ部120に対して回転させることにより、解除される。そのため、カートリッジ1では、例えばプランジャー部130の開口端部602にキャップ110を挿入する際に、プランジャー部130に挿入方向Aの力が生じたとしても、該力によってプランジャー部130がシリンジ部120に対して挿入方向Aに移動して液滴36が反応容器400に移動されることを抑制することができる。このように、カートリッジ1では、ユーザーが誤ってプランジャー部130を押し込んでプランジャー部130がシリンジ部120に対して移動することを抑制することができる。したがって、カートリッジ1では、意図せずにプランジャー部130がシリンジ部120に対して移動することを抑制することができる。
カートリッジ1では、キャップ110を、プランジャー部130の開口端部602に挿入させてプランジャー部130に対して回転させることにより、第2突起部710は、開口部624に係合される。これにより、カートリッジ1では、キャップ110をプランジャー部130に固定することができ、プランジャー部130内の内容物(例えば吸着液10)が外部に漏れることを抑制することができる。
カートリッジ1では、第2突起部710が開口部624に係合された状態で、キャップ110をシリンジ部120に対して回転させることにより、プランジャー部130はシリ
ンジ部120に対して回転されて、段部616における挿入方向Aへの移動の制限が解除される。そのため、カートリッジ1では、キャップ110のプランジャー部130への固定と、プランジャー部130の挿入方向Aへの移動制限の解除と、を一連の動作で行うことができる。したがって、カートリッジ1では、操作方法を簡素化することができる。
6.変形例
6−1.第1変形例
本実施形態の第1変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ7について、図面を参照しながら説明する。図21は、第1変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ7のシリンジ部120を模式的に示す断面図であって、図13に示す断面に相当している。図22は、第1変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ7のプランジャー部130を模式的に示す側面図である。なお、便宜上、図21では、カートリッジ7内の内容物の図示を省略している。
以下、本実施形態の第1変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ7において、本実施形態に係る生体関連物質精製カートリッジ1の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2変形例に係る生体関連物質精製カートリッジについても同様である。
カートリッジ7では、第1突起部510及び溝部610の形状が、上述したカートリッジ1と異なる。カートリッジ1では、図13に示すように、第1突起部510は、略棒状の形状を有していた。さらに、カートリッジ1では、図14に示すように、溝部610は、第1部分612と、第1部分612よりも幅が大きい第2部分614と、を有していた。
これに対し、カートリッジ7では、図21に示すように、第1突起部510は、図13に示す第1突起部510よりも長さLが短く、図示の例では、略立方体の形状を有している。カートリッジ7では、第1突起部510は、第3部分507の内周面504には設けられておらず、第1部分505の内周面504にのみ設けられている。
カートリッジ7では、図22に示すように、溝部610は、クランク状の形状を有している。すなわち、溝部610は、フランジ部608から挿入方向Aに延在する第1延在部617と、第1延在部617から挿入方向Aと直交する方向に延在する第2延在部618と、第2延在部618から底部606まで挿入方向Aに延在する第3延在部619と、を有している。第1延在部617の幅W7、第2延在部618の幅W8、及び第3延在部619の幅W9は、第1突起部510の幅Wよりも小さい。さらに、幅W7,W8,W9は、第1突起部510の長さLよりも小さい。段部616は、第2延在部618と第3延在部619との接続部によって形成されている。
カートリッジ7では、カートリッジ1と同様に、段部616におけるプランジャー部130の挿入方向Aへの移動の制限は、プランジャー部130をシリンジ部120に対して回転させることにより、解除される。カートリッジ7では、プランジャー部130の回転によって挿入方向Aへの移動の制限が解除された後、第1延在部617と第2延在部618との接続部によって、プランジャー部130の挿入方向Aと反対方向の移動(シリンジ部120に対する移動)は、制限される。したがって、カートリッジ7では、例えば誤ってプランジャー部130がシリンジ部120から引き抜かれることを抑制することができる。
これに対し、上述したカートリッジ1では、プランジャー部130の回転によって挿入方向Aへの移動の制限が解除された後、さらにプランジャー部130をシリンジ部120
に対して回転させることなく、挿入方向Aと反対方向にもプランジャー部130を移動させることができる。したがって、上述したカートリッジ1では、プランジャー部130の移動の自由度を向上させることができる。
6−2.第2変形例
本実施形態の第2変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ8について、図面を参照しながら説明する。図23は、第2変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ8のシリンジ部120を模式的に示す断面図であって、図13に示す断面に相当している。図24は、第2変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ8のプランジャー部130を模式的に示す正面図である。図25は、第2変形例に係る生体関連物質精製カートリッジ8のプランジャー部130を模式的に示す側面図である。なお、便宜上、図23では、カートリッジ8内の内容物の図示を省略している。
上述したカートリッジ1では、図13に示すように、第1突起部510は、シリンジ部120の第1部分505の内周面504に設けられ、図14に示すように、溝部610は、プランジャー部130の筒状部131の外周面604に設けられていた。
これに対し、カートリッジ8では、図23に示すように、溝部610は、第1部分505の内周面504に設けられ、図24及び図25に示すように、第1突起部510は、筒状部131の外周面604に設けられている。
カートリッジ8では、溝部610の第2部分614は、溝部610の第1部分612よりも小さい幅を有している。第1突起部510は、図24及び図25に示すように、底部606から、挿入方向Aと反対方向に延出している。図示の例では、第1突起部510は、フランジ部608までは延在していない。
カートリッジ8では、カートリッジ1と同様に、段部606におけるプランジャー部130の挿入方向Aへの移動の制限は、プランジャー部130をシリンジ部120に対して回転させることにより、解除される。
以上のように、本発明に係る生体関連物質精製カートリッジでは、第1突起部510は、第1部分505の内周面504及び筒状部131の外周面604の一方に設けられ、溝部610は、第1部分505の内周面504及び筒状部131の外周面604の他方に設けられている。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…カートリッジ、2…流路、3…磁石、5…核酸精製デバイス、7,8…カートリッジ、10…吸着液、11…空気、12…第1洗浄液、14…第2洗浄液、16…第3洗浄液、20…第1オイル、22…第2オイル、24…第3オイル、26…第4オイル、30…
磁気ビーズ、32…溶出液、34…試薬、36…液滴、50…PCR装置、55…蛍光測定器、60…回転機構、61a…第1内側面、61b…第2内側面、65…ヒーター、66…回転用モーター、70…磁石移動機構、80…押圧機構、90…コントローラー、100…吸着容器、110…キャップ、112…通気部、120…シリンジ部、122…吸着挿入部、126…吸着カバー部、130…プランジャー部、131…筒状部、132…棒状部、134…先端部、200…洗浄容器、210…第1洗浄容器、212…第1挿入部、214…第1受入部、216…第1カバー部、220…第2洗浄容器、222…第2挿入部、224…第2受入部、226…第2カバー部、230…第3洗浄容器、232…第3挿入部、234…第3受入部、236…第3カバー部、300…溶出容器、302…溶出挿入部、304…溶出受入部、400…反応容器、402…底部、404…反応受入部、406…リザーバー部、502…開口端部、504…内周面、505…第1部分、506…第2部分、507…第3部分、510…第1突起部、602…開口端部、604…外周面、606…底部、608…フランジ部、610…溝部、612…第1部分、614…第2部分、616…段部、617…第1延在部、618…第2延在部、619…第3延在部、622…内周面、624…開口部、626…凹部、702…外周面、710…第2突起部

Claims (7)

  1. 第1部分、及び前記第1部分よりも内径の小さい第2部分を有するシリンジ部と、
    前記第1部分の内周面に篏合可能な筒状部、及び前記筒状部の端部に支持された前記第2部分の内周面に篏合可能な棒状部を有し、前記シリンジ部の前記第1部分側から挿入可能なプランジャー部と、
    を含み、
    前記第1部分の内周面及び前記筒状部の外周面の一方には、第1突起部が設けられ、
    前記第1部分の内周面及び前記筒状部の外周面の他方には、溝部が設けられ、
    前記溝部内を前記第1突起部が移動することにより、前記プランジャー部は、前記シリンジ部に対して挿入方向に移動可能であり、
    前記溝部は、前記第1突起部と接して前記プランジャー部の前記挿入方向への移動を制限する段部を有し、
    前記段部における前記プランジャー部の前記挿入方向への移動の制限は、前記プランジャー部を前記シリンジ部に対して回転させることにより、解除される、生体関連物質精製カートリッジ。
  2. 請求項1において、
    前記溝部は、
    前記挿入方向に延在している第1部分と、
    前記溝部の前記第1部分と連続して前記挿入方向に延在し、前記溝部の前記第1部分と異なる幅を有する第2部分と、
    を有し、
    前記段部は、前記溝部の前記第1部分の幅と前記溝部の前記第2部分の幅との差によって形成されている、生体関連物質精製カートリッジ。
  3. 請求項2において、
    前記第1突起部は、前記シリンジ部の前記第1部分の内周面に設けられ、
    前記溝部は、前記筒状部の外周面に設けられ、
    前記溝部の前記第2部分は、前記溝部の前記第1部分よりも前記挿入方向の奥側に位置し、
    前記溝部の前記第2部分の幅は、前記溝部の前記第1部分の幅よりも大きい、生体関連物質精製カートリッジ。
  4. 請求項3において、
    前記溝部の前記第1部分は、前記挿入方向に延在している、生体関連物質精製カートリッジ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記プランジャー部の開口端部を塞ぐキャップを含み、
    前記筒状部の内周面には、開口部が設けられ、
    前記キャップの外周面には、第2突起部が設けられ、
    前記キャップを、前記プランジャー部の開口端部に挿入させて前記プランジャー部に対して回転させることにより、前記第2突起部は、前記開口部に係合される、生体関連物質精製カートリッジ。
  6. 請求項5において、
    前記第2突起部が前記開口部に係合された状態で、前記キャップを前記シリンジ部に対して回転させることにより、前記プランジャー部は前記シリンジ部に対して回転されて、前記段部における前記挿入方向への移動の制限が解除される、生体関連物質精製カートリ
    ッジ。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記第1突起部は、前記挿入方向に延在する板状部材である、生体関連物質精製カートリッジ。
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