JP2016115406A - 厚み計及びそれを備えるロールプレス機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロールあるいはシートからの熱の影響を抑制し高精度なシートの厚み測定を可能とする厚み計及びそれを備えるロールプレス機を提供する。【解決手段】金属箔からなる基材11bの片面又は両面に活物質が塗工されたシート11を、一対の加圧ロール2にて圧縮加工するロールプレス機1に用いられ、圧縮加工後のシート11の厚みを計測する厚み計3は、シート11を挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部31と、各計測センサー部31を支持するフレームと、フレーム33に支持され側面形状が略L字状の熱遮蔽体35を備え、シート11の搬送方向に対向する熱遮蔽体35の前面は、各計測センサー部31及びフレーム33を覆うよう配される。【選択図】 図4
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用電極材料等の圧縮加工に用いられるロールプレス機に係り、特に、圧縮加工後のシートの厚みを測定する厚み計及びそれを用いたロールプレス機に関する。
ロールプレス機における、例えば、二次電池用電極材などシートの圧縮加工精度は±1.0〜2.0μmと、厳しい加工精度が要求される。これに伴い、金属箔からなる基材の片面または両面に活物質が塗工されたシートの厚み測定精度は、その1/10、すなわち、±0.1〜0.2μmの許容計測誤差の範囲内に収める必要がある。
ロールプレス機において、シートの厚みを高精度に計測するものとして、特許文献1が知られている。特許文献1では、基材の片面または両面に活物質が塗工された塗工部と、基材の巾方向の両端部に存在する非塗工部を有するシートを、一対の加圧ロールにて圧縮加工する際、シートの長手方向にたるみが生じ、また、このたるみがしわの要因となり、しわによりシートの厚み計測の高精度化を阻害する点に着目している。そのため、シートを挟み、その上下に対向配置される一対の厚み計測センサーの上流及び/又は下流に弾性ガイドロールを設置する構成としている。この弾性ガイドロールがシートと接触したときに変形することで、塗工部に弾性ガイドロールのロール面が当接し、塗工部に張力を付与することで、しわの無い状態のシートの厚みを計測可能としている。
特許文献1に開示される構成では、たるみ又はしわの無い状態でシートの厚みを計測できることから高精度の厚み測定が可能となる点が期待される。しかしながら、ロールプレス機においては、一対の加圧ロール(主ロール)を例えば150度程度に加熱して使用する場合があり、さらに一対の加圧ロールの上流側には予熱ロールが設置されおり、予熱ロール又は加圧ロールからの対流及び輻射熱、シートからの対流及び輻射熱が、一対の厚み計測センサーの計測精度に影響を及ぼす点については考慮されておらず、改善の余地がある。
一対の厚み計測センサーは、シートを挟みその上下に対向配置されるようフレームにて支持されている。上記対流熱あるいは輻射熱の影響により、フレームに熱変形が生じた場合、対向配置される厚み計測センサー間に位置ずれが発生し、高精度の厚み計測を実現することが困難となり得る。
そこで本発明は、ロールあるいはシートからの熱の影響を抑制し高精度なシートの厚み測定を可能とする厚み計及びそれを備えるロールプレス機を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明の厚み計は、金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを、一対の加圧ロールにて圧縮加工するロールプレス機に用いられ、圧縮加工後のシートの厚みを計測する厚み計であって、前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状が略L字状の熱遮蔽体を備え、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配されることを特徴とする。
また、本発明のロールプレス機は、金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを捲回し、当該シートを巻き出す巻出機と、転がり軸受に支持され回転する加圧ロール軸を有し、前記シートを連続して圧縮加工する一対の加圧ロールと、圧縮加工されたシートを巻き取り、巻取コイルを生成する巻取機と、前記一対の加圧ロールと前記巻取機の間に配され、前記圧縮加工されたシートの厚みを計測する厚み計と、前記厚み計による前記シートの厚み計測値に基づき、前記加圧ロールに付加する荷重を制御する制御盤と、を備え、前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状が略L字状の熱遮蔽体を有し、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配され、前記一対の加圧ロールより発する対流及び輻射熱及び/又は、前記シートより発する対流及び輻射熱を遮蔽することを特徴とする。
本発明によれば、予熱ロールあるいは加熱された加圧ロール等のロールからの熱、また、圧縮加工されたシートからの熱の影響を抑制し、高精度なシートの厚み測定が可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の一実施形態に係る厚み計を備えるロールプレス機の全体概略構成図である。ロールプレス機1は、例えば、リチウムイオン二次電池用電極材料として、図3に示すように、アルミ箔あるいは銅箔等の導電性の金属箔からなる基材11bの両面に活物質が塗工された塗工部11aと非塗工部11cを有するシート11を、活物質の密度を上げ、且つ均一の厚みとなるよう連続して圧縮加工する設備である。
図1に示すように、ロールプレス機1は、上流側より、例えば、500m程の長さのシート11の巻出しコイルを捲回する巻出機4、巻出機4より送り出されるシート11を搬送する上流側搬送機構6、シート11を予熱するための予熱ロール10、シート11を加熱しながら圧縮加工する一対の加圧ロール2(上加圧ロール、下加圧ロール)、圧縮加工されたシート11を搬送する下流側搬送機構7、及び圧縮加工されたシート11を巻き取り、巻取コイルを生成する巻取機5を備える。
上流側搬送機構6は、複数のガイドロール8及びダンサーロール9を備え、ダンサーロール9の回転軸は支持点を中心に円弧状の軌道を上下に変位可能に構成される。ダンサーロール9が円弧状の軌道を上下に変位することで、シート11に所定の張力(適度な張力)を付与すると共に、ガイドロール8と協働し、シート11を予熱ロール10へ搬送する。
また、下流側搬送機構7は、同様に、複数のガイドロール8、ダンサーロール9及び厚み計3を備える。ダンサーロール9が円弧状の軌道を上下に変位することで、シート11に所定の張力を付与する。2つのガイドロール間に設置された厚み計3は、ダンサーロール9により所定の張力が付与され、厚み計3を通過する際のシート11の厚みを測定する。ここで、厚み計3を構成する計測センサー部として、例えば、三角測距レーザ変位センサー、あるいは同軸共焦点型レーザ変位センサー等が用いられる。これら厚み計3を構成する計測センサー部は、搬送されるシート11を挟み、その上下に対をなすよう対向配置され、各計測センサー部により測定される距離に基づきシート11の厚みが得られる。例えば、対をなす計測センサー部をシート11の巾方向に沿って複数配置すること、又は、対をなす計測センサー部がシート11の巾方向に走行することにより、シート11の巾方向の厚み分布を測定することが可能であり、厚み測定結果に基づき、制御盤12により、後述する加圧機構により加圧ロール2に付加する荷重を制御することで、長手方向及び巾方向に均一な厚さを有するシート11が得られる。
なお、詳細は後述するが、シート11を挟み対向配置される対をなす計測センサー部を有する厚み計3は、搬送されてくるシート11の流れに対向する側、すなわち、計測センサー部の直近であって、その上流側に熱遮蔽体を有する。また、厚み計3は、更に、一対の対向配置される計測センサー部のシート11の表面又は裏面に対向する面側に熱遮蔽体を備え、当該熱遮蔽体は、それぞれ計測センサー部より出射されるレーザ光の集光直径よりも大きな直径を有する開口を有する。このように熱遮蔽体は、シート11の巾方向から見た側面形状が、略L字状をなす。これにより、厚み計3の上流側に配される一対の加圧ロール2及び/又は予熱ロール10より発生し、厚み計3へと向かい対流する熱及び輻射熱は遮蔽される。また、一対の対向配置される計測センサー部間を通過するシート11からの対流及び輻射熱も、同様に熱遮蔽体により遮蔽される。よって、上記対流熱及び輻射熱の厚み計3への影響が抑制される。
ここで、制御盤12は、例えば図示しない、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータ及び/又は演算に用いるデータを格納する読み出し及び書き込み可能なRAM、HDD等の外部記憶装置等からなる記憶装置と、ROMに格納されるプログラムを読み出し実行するCPU等のプロセッサと、各種センサーからの計測値を取り込む入力インターフェース部、プロセッサによる演算結果あるいは演算結果に基づく制御指令(制御量)を制御対象へ出力する出力インターフェース部から構成される。
なお、図1では、ガイドロール8の本数を説明の便宜上少なく記載しているが、例えば、本図に示す本数に限らず、上流側搬送機構6及び下流側搬送機構7内、それぞれに、10本から30本のガイドロール8を設ける構成としても良い。また、図1では、ダンサーロール9及び予熱ロール10を、ガイドロール8と区別して示しているが、これらダンサーロール9及び予熱ロール10を含めガイドロール8と呼ぶ場合もある。
図2に、一対の加圧ロール2の正面図を示す。上下に対向配置された一対の加圧ロール2(上加圧ロール、下加圧ロール)は、それぞれの加圧ロール軸20をその両端部で支持する転がり軸受22、転がり軸受22を保持する軸受箱23及び軸受箱23を保持するハウジング21により回転可能とされている。また、下加圧ロールの加圧ロール軸20の両端部を支持する転がり軸受22を保持する軸受箱23と、ハウジング21の下部との間に、例えば、油圧シリンダー等で構成される加圧機構24が配されている。制御盤12は、厚み計3により計測されたシート11の厚みを信号線37を介して取り込み、計測された厚みと目標値(目標厚み)間に偏差がある場合、当該偏差を打ち消し得る一対の加圧ロール2間の間隙及び加圧ロール2に付加する荷重を求め荷重調整指令値として、加圧機構24へ信号線38を介し出力する。加圧機構24は、受信される荷重調整指令値に応じて、例えば、油圧シリンダーが荷重調整指令値に対応するストロークにて上下動する。
また、本実施形態における加圧ロール2は、例えば、金属製のロールであり、ロール径が300〜800mmφ、代表的な例として、ロール径500mmφのものが用いられる。図1及び図2において、シート11は、例えば、約50〜100m/minの搬送速度で搬送されつつ、一対の加圧ロール2により連続して圧縮加工される。このとき、例えば、一対の加圧ロール2は、約80℃から180℃で発熱する加熱ロールを使用する場合がある。この加圧ロール2により発生された熱は下流側に配置された厚み計3へと対流及び輻射する。しかし、本実施形態の厚み計3によれば、上述のとおりこの対流及び輻射熱は、厚み計3に設けられた熱遮蔽体により遮蔽されるため、厚み計3による計測精度の低下を招くことはない。
図3に示す金属箔よりなる基材11bの厚みTbは、例えば、約15μm程度であり、この基材11bの両面に活物質が塗工された塗工部11aを含む厚み、すなわちシート11の厚みTaは、圧縮加工前で約150μmである。約150μmの厚みを有するシート11は、一対の加圧ロール2による圧縮加工により、約100μm程度まで圧縮される。これにより、両面の塗工部11aすなわち、活物質の密度が向上する。一方、上述のとおりシート11の圧縮加工精度は±1.0〜2.0μmと、厳しい加工精度が要求される。これに伴い、金属箔からなる基材11bの片面または両面に活物質が塗工されたシート11の厚み測定精度は、その1/10、すなわち、±0.1〜0.2μmの許容計測誤差の範囲内に収める必要がある。このことからも、上述の対流及び輻射熱及び/又は、シート11からの対流及び輻射熱による厚み計3への影響を抑制することがいかに重要であるか分かる。
なお、図3に示すように、シート11は、巾方向両端部に活物質が塗工されず基材11bが露出する非塗工部11cを有する。図3では、基材11bの両面に塗工部11aを有するシート11を例に示すが、シート11はこれに限らず、基材11bの片面のみに塗工部11aを有するものも含まれる。
また、本実施形態による厚み計3は、上述の熱遮蔽体を備える構成に加え、詳細後述する、厚み計3を構成する一対の計測センサー部を支持し、対向配置するよう位置付けるフレームを予熱する構成を備える。フレームを予熱し昇温後安定化することで、フレームの温度変化をなくしフレームの熱変形が防止される。これにより、一対の対向配置される計測センサー部31間の位置ずれの発生を防止でき、更に、シート11の厚み測定の精度を向上することが可能となる。
以下、図面を用いて、熱遮蔽体を備える厚み計3及びフレームを予熱する本発明の実施例について詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施例に係る実施例1の厚み計の概略構成図であり、図1に示す領域Aの拡大図である。図4に示すように、厚み計3は、図示しないレーザ光源及び集光レンズを有する計測センサー部31、ヒーター34、計測センサー部31がシート11を挟みその上下に対向配置されるよう支持するフレーム33、熱遮蔽体35、及び熱遮蔽体35をフレーム33に固定する支持部材36を備える。ヒーター34は、フレーム33を所望の温度に加熱するために用いられる。
熱遮蔽体35は、シート11の巾方向より見た側面形状が略L字状をなす。熱遮蔽体35のうち、シート11が流れる方向(搬送方向)に対向する面(前面)は、計測センサー部31及びフレーム33並びにヒーター34を覆う大きさを有する平板状であり、樹脂製の支持部材36によりフレーム33に固定される。また、熱遮蔽体35のうち、シート11の表面または裏面と対向する面(底面:シート対向面)は、同様に平板状であり、計測センサー部31より出射されるレーザ光32を通過可能とするレーザ光32の集光直径よりも大きい直径を有する開口が形成されている。
計測センサー部31は、少なくともレーザ発振器を有するレーザ光源(図示せず)及び、レーザ光源より出射されるレーザ光32を集光する集光レンズ(図示せず)を備え、例えば、三角測距レーザ変位センサー又は同軸共焦点型レーザ変位センサー等が用いられる。
熱遮蔽体35は、樹脂製が望ましく、金属を含み低熱伝導性の部材で形成することが好ましい。但し、高熱伝導性の金属材料で形成しても良い。これは、熱遮蔽体35とフレーム33とは、樹脂製の支持部材36で固定されるため、仮に、熱遮蔽体35を高熱伝導性の金属材料で形成したとしても、支持部材36を介してフレーム33への伝熱を影響のない程度に小さく抑え、対流及び輻射熱の遮蔽効果及び/又はシート11からの対流及び輻射熱の遮蔽効果を奏することができる。また、フレーム33は、計測センサー部31を支持するため、剛性を有する金属材料にて形成される。
図5に、図4に示す厚み計を、矢印で示すB方向から見た正面図である。図5に示すように、対をなす計測センサー部31及びヒーター34を三対、シート11の巾方向に所定の間隔にて離間し、略コ字状の形状を有するフレーム33にて支持する。また、各ヒーター34は信号線37を介して制御盤12に電気的に接続され、制御盤12からの指令に対応して、フレーム33を所望の温度に加熱可能に構成されている。また、信号線37を介して対をなす計測センサー部31は、制御盤12に電気的に接続されており、各対をなす計測センサー部31対よりシート11の厚み測定値が制御盤12へ送信可能とされている。
また、側面略L字状の形状を有する熱遮蔽体35は、その前面、すなわち、シート11が搬送される方向に対向する面は、支持部材36にて固定される。支持部材36は熱伝導率の低い樹脂製が望ましい。なお、支持部材36の取り付けは、できるだけ支持点を少なくし伝熱による影響を最小限にすることが望ましい。また、図5では、上部に1箇所、下部に1箇所のヒーター34をフレーム33に取り付ける構成を示すが、これに限られない。例えば、フレーム33が高熱伝導率を有するアルミニウムで形成され、ヒーター34による加熱時、フレーム33の昇温安定化が可能であれば、1つのヒーター34をフレーム33に取り付ける構成としても良い。また、面状のヒーターや、紐状のヒーターを使用しても良い。すなわち、適宜所望の個数のヒーター34をフレーム33に取り付ければ良い。
また、図5に示すように、熱遮蔽体35の前面は、シート11の巾よりも長い幅を有し、且つ、その高さは、フレーム33上に設置されるヒーター34の高さを越える大きさを有する。これにより、加圧ロール2あるいは予熱ロール10の発熱による対流及び輻射熱が、計測センサー部31及びフレーム33に侵入することを防止できる。熱遮蔽体35の底面、すなわち、シート11の塗工部11aと対向する面は、シート11の巾よりも長い幅を有する。また、図4に示すように、熱遮蔽体35の底面は、シート11の搬送方向に沿って、フレーム33が位置する領域よりも下流側へと、シート11に対し平行に延在する。すなわち、遮蔽体35の底面のシート11の搬送方向に沿う長さは、フレーム33の設置位置より下流側へ十分長い。これにより、対をなす熱遮蔽体35の底面間を搬送されるシート11からの対流及び輻射熱が、計測センサー部31及びフレーム33へ侵入することを防止できる。
図5では、対をなす計測センサー部31を、シート11の巾方向に三対配置する例を示すが、これに限らず、一対の計測センサー部31を配する構成としても良い。また、逆に、シート11の巾方向に更に多くの対をなす計測センサー部31を配する構成としても良い。この場合、シート11の巾方向の厚み分布をより高精度に測定することが可能となる。
なお、本実施例では、図4及び図5に示すように、側面略L字状の熱遮蔽体35を有する厚み計3について説明したが、これに限られない。例えば、側面略L字状の熱遮蔽体35の両側面を更に遮蔽する構成としても良い。この場合、シート11からの輻射熱が、仮にシート11の巾方向両端部より回り込むような対流が生じた場合であっても、その熱が計測センサー部31及びフレーム33へ侵入することを確実に防止できる。
また、更にシート11の搬送方向下流側、すなわち背面を遮蔽する構成、あるいは、更に上面を遮蔽する、すなわち、4つの側面、上面及び底面にて形成される筐体状に熱遮蔽体35を形成しても良い。これにより、対流熱及びシート11からの輻射熱の侵入を防止する効果を向上することができる。但し、この場合、遮蔽面を増やすことに応じて、遮蔽面をフレーム33に固定するための支持部材36が増加することになる。
さらに、図8に示すように、コの字フレームの縦繋ぎ部にも同様に、遮蔽体39を設置することで、フレーム33の変形をさらに確実に防止できる。このとき、遮蔽体35と遮蔽体39との隙間を最小限にすることが望ましい。遮蔽体39の本箇所への設置の要否は、予熱ロール10あるいは加熱された加圧ロール2や、圧縮加工されたシート11と、フレーム33の形状や位置関係により、本箇所への影響を考慮し決定すれば良い。
本実施例によれば、予熱ロール10あるいは加圧ロール2等のロールからの対流及び輻射熱、また、圧縮加工されたシート11からの対流及び輻射熱が、計測センサー部31及びフレーム33へ侵入することを防止できる。これにより、上記対流熱又は輻射熱の侵入によるフレーム33の熱変形を防止でき、シート11の厚み測定を高精度に行うことが可能となる。
図6は、本発明の他の実施例に係る実施例2の厚み計3におけるフレーム予熱時間とフレーム温度との関係を示すグラフであり、図7に、本実施例の厚み計3を備えるロールプレス機1の動作タイミングチャートを示す。本実施例における厚み計3の構成自体は実施例1と同様であり、またロールプレス機1の構成も、図1及び図2に示す構成と同様である。本実施例では、図4及び図5に示すヒーター34によりフレーム33を所定の温度まで予熱する点が実施例1と異なる。
まず、図5に示す厚み計3を構成する対をなす計測センサー部31は、レーザ光32照射から実際に測定可能となるまでに、約30分程度の時間を要する。以下では、このレーザ光32照射から測定可能となるまでの時間を、計測センサー部安定化時間Δtと称する。
本実施例の厚み計3を備えるロールプレス機1は、一対の加圧ロール2によるシート11に対する連続圧縮加工開始前に、制御盤12からの指令により、厚み計3を構成するフレーム33をヒーター34により所定の温度に予熱し、フレーム33を昇温安定化する。これにより、計測センサー部31を支持するフレーム33の温度変化により生ずる熱変形による対をなす計測センサー部31間の位置ずれ、更には、計測誤差の発生を抑制する。
対をなす計測センサー部31を支持するフレーム33を昇温安定化するための予熱温度は、予めある材料、例えば、高熱伝導率のアルミニウムによりフレーム33を形成する場合、ロールプレス機1の稼働時における雰囲気温度下にて、厚み計3を構成する計測センサー部31を作動し、レーザ光32を継続して出射する。そして、レーザ光32出射開始から計測センサー部安定化時間Δt経過以降に、ヒーター34による加熱温度を変えて、対をなす計測センサー部31により、厚みが既知のサンプルの厚みを測定する。また、対をなす計測センサー部31より出射され、厚みが既知のサンプルの表面及び裏面で集束するレーザ光32の位置を計測し、これらレーザ光32の位置ずれの有無及びサンプルの厚さ計測値に基づき、フレーム昇温安定化温度Tsを求める。フレーム昇温安定化温度Tsは、フレーム33が昇温後温度が安定化する温度であり、フレーム33に温度変化がなく、対をなす計測センサー部31から出射されるレーザ光32に位置ずれが生じない温度である。
求めたフレーム昇温安定化温度Tsは、図6に示すフレーム予熱時間とフレーム温度との関係を示すグラフを、フレーム予熱パターンとして、制御盤12内の図示しない記憶装置に予め格納される。図6に示すように、ヒーター34によりフレーム33を加熱してから、フレーム温度がフレーム昇温安定化温度Tsに到達するまでに時間tAを要する。従って、フレーム昇温安定化温度Tsに到達するまでの時間tAが、計測センサー部31の制約条件である、測定センサー部安定化時間Δt以内となるフレーム予熱パターンを、予め制御盤12の図示しない記憶装置内に格納する。
次に、本実施例のロールプレス機1の動作について説明する。図7に示すように、制御盤12は、記憶装置(図示せず)に格納されるフレーム予熱パターンを読み出し、信号線37を介し、ヒーター34を起動する。また、制御盤12は、ヒーター34の起動と同期し信号線37を介し、厚み計3を構成する計測センサー部31を起動し、レーザ光32の出射を開始する。その後、制御盤12は、測定センサー部安定化時間Δt(tA≦Δt)経過した時点で、巻出機4、上流側搬送機構6、予熱ロール10、一対の加圧ロール2(上加圧ロール、下加圧ロール)、下流側搬送機構7、及び巻取機5を駆動するよう制御する。一対の加圧ロール2による連続圧縮加工が開始されてから時間tB経過後に、厚み計3によりシート11の厚み計測が開始され、厚み測定値は信号線37を介し制御盤12へ送信される。ここで、時間tBは、一対の加圧ロール2により圧縮加工されたシート11が厚み計3に到達するまでの時間である。
制御盤12は、厚み計3より送信される厚み測定値と目標値(目標厚み)間に偏差がある場合、当該偏差を打ち消し得る一対の加圧ロール2間の間隙及び加圧ロール2に付加する荷重を求め、荷重調整指令値として信号線37を介し加圧機構24へ出力する。すなわち、制御盤12は、厚み計3によるシート11の厚み測定値に基づき、シート11が目標厚みとなるよう油圧シリンダーにより加圧ロール2へ付加する荷重を求め、荷重調整指令値として加圧機構24へ信号線37を介し出力する。加圧機構24は、受信される荷重調整指令値に応じて、油圧シリンダーが荷重調整指令値に対応するストロークにて上下動する。このように厚み計測開始時点からフィードバック制御が行われる。なお、ここで、厚み測定値と目標値(目標厚み)間に偏差(測定値と目標値との差分)と荷重調整指令値との対応関係は、制御盤12内の図示しない記憶装置に格納されている。
なお、計測センサー部31を支持するフレーム33のフレーム昇温安定化温度Tsは、ロールプレス機1の稼働雰囲気温度である24℃あるいは25℃を上回る、例えば、30℃程度に設定される。なお、フレーム昇温安定化温度Tsは、上述のように予め厚みが既知のサンプルを用いて求めるものであり、フレーム33の構成材料及びロールプレス機1の稼働雰囲気温度に依存し、それぞれ最適なフレーム昇温安定化温度Ts及びフレーム予熱パターンが予め得られるものである。
本実施例によれば、実施例1の効果、すなわち、ロールからの対流及び輻射熱及び/又は、シート11からの対流及び輻射熱が計測センサー部31及びフレーム33へ侵入することを防止できることに加え、対をなす計測センサー部31を支持するフレーム33を予め昇温安定化できることから、フレーム33の熱変形による計測センサー部31より出射されるレーザ光32の位置ずれも防止でき、更なる厚み測定の高精度化が可能となる。
なお、本発明は、加圧ロールと厚み計との間に設置する場合がある徐冷ロールからの熱の影響を同様に抑止できることは言うまでもない。
本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1・・・ロールプレス機
2・・・加圧ロール
3・・・厚み計
4・・・巻出機
5・・・巻取機
6・・・上流側搬送機構
7・・・下流側搬送機構
8・・・ガイドロール
9・・・ダンサーロール
10・・・予熱ロール
11・・・シート
11a・・・塗工部
11b・・・基材
11c・・・非塗工部
12・・・制御盤
20・・・加圧ロール軸
21・・・ハウジング
22・・・転がり軸受
23・・・軸受箱
24・・・加圧機構
31・・・計測センサー部
32・・・レーザ光
33・・・フレーム
34・・・ヒーター
35,39・・・熱遮蔽体
36・・・支持部材
37,38・・・信号線
2・・・加圧ロール
3・・・厚み計
4・・・巻出機
5・・・巻取機
6・・・上流側搬送機構
7・・・下流側搬送機構
8・・・ガイドロール
9・・・ダンサーロール
10・・・予熱ロール
11・・・シート
11a・・・塗工部
11b・・・基材
11c・・・非塗工部
12・・・制御盤
20・・・加圧ロール軸
21・・・ハウジング
22・・・転がり軸受
23・・・軸受箱
24・・・加圧機構
31・・・計測センサー部
32・・・レーザ光
33・・・フレーム
34・・・ヒーター
35,39・・・熱遮蔽体
36・・・支持部材
37,38・・・信号線
上記課題を解決するため本発明の厚み計は、金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを、一対の加圧ロールにて圧縮加工するロールプレス機に用いられ、圧縮加工後のシートの厚みを計測する厚み計であって、前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状がL字状の熱遮蔽体を備え、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面及び前記シートと対向する底面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配されることを特徴とする。
また、本発明のロールプレス機は、金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを捲回し、当該シートを巻き出す巻出機と、転がり軸受に支持され回転する加圧ロール軸を有し、前記シートを連続して圧縮加工する一対の加圧ロールと、圧縮加工されたシートを巻き取り、巻取コイルを生成する巻取機と、前記一対の加圧ロールと前記巻取機の間に配され、前記圧縮加工されたシートの厚みを計測する厚み計と、前記厚み計による前記シートの厚み計測値に基づき、前記加圧ロールに付加する荷重を制御する制御盤と、を備え、前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状がL字状の熱遮蔽体を有し、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面及び前記シートと対向する底面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配され、前記一対の加圧ロールより発する対流及び輻射熱及び/又は、前記シートより発する対流及び輻射熱を遮蔽することを特徴とする。
Claims (13)
- 金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを、一対の加圧ロールにて圧縮加工するロールプレス機に用いられ、圧縮加工後のシートの厚みを計測する厚み計であって、
前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状が略L字状の熱遮蔽体を備え、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配されることを特徴とする厚み計。 - 請求項1に記載の厚み計において、
前記シートの表面及び裏面にそれぞれ対向する前記熱遮蔽体の底面は、前記各計測センサー部より出射されるレーザ光を通過可能な開口を有することを特徴とする厚み計。 - 請求項2に記載の厚み計において、
前記熱遮蔽体の前面は、それぞれ前記各計測センサー部を支持するフレームに樹脂製の支持部材により固定され、
前記フレームは、前記シートの搬送方向に向かい略コ字状をなすことを特徴とする厚み計。 - 請求項3に記載の厚み計において、
前記熱遮蔽体の底面の幅は前記シートを構成する基材の巾よりも長く、且つ、前記熱遮蔽体の底面は前記シートの搬送方向に沿って前記各計測センサー部及び前記フレームが位置する領域よりも下流側へと延在することを特徴とする厚み計。 - 請求項4に記載の厚み計において、
前記側面形状が略L字状の熱遮蔽体は、前記底面の幅方向両端部より立設し前記前面の端部へ延在する2つの側面を更に備え、前記2つの側面は前記樹脂製の支持部材にて前記フレームに固定されることを特徴とする厚み計。 - 請求項5に記載の厚み計において、
前記熱遮蔽体は樹脂製材料にて形成され、且つ、前記フレームは金属材料にて形成されることを特徴とする厚み計。 - 金属箔からなる基材の片面又は両面に活物質が塗工されたシートを捲回し、当該シートを巻き出す巻出機と、
転がり軸受に支持され回転する加圧ロール軸を有し、前記シートを連続して圧縮加工する一対の加圧ロールと、
圧縮加工されたシートを巻き取り、巻取コイルを生成する巻取機と、
前記一対の加圧ロールと前記巻取機の間に配され、前記圧縮加工されたシートの厚みを計測する厚み計と、
前記厚み計による前記シートの厚み計測値に基づき、前記加圧ロールに付加する荷重を制御する制御盤と、を備え、
前記厚み計は、前記シートを挟みその上下に対をなすよう配される計測センサー部と、前記各計測センサー部を支持するフレームと、前記フレームに支持され側面形状が略L字状の熱遮蔽体を有し、前記シートの搬送方向に対向する前記熱遮蔽体の前面は、前記各計測センサー部及びフレームを覆うよう配され、前記一対の加圧ロールより発する対流及び輻射熱及び/又は、前記シートより発する対流及び輻射熱を遮蔽することを特徴とするロールプレス機。 - 請求項7に記載のロールプレス機において、
前記シートの表面及び裏面にそれぞれ対向する前記熱遮蔽体の底面は、前記各計測センサー部より出射されるレーザ光を通過可能な開口を有することを特徴とするロールプレス機。 - 請求項8に記載のロールプレス機において、
前記熱遮蔽体の前面は、それぞれ前記各計測センサー部を支持するフレームに樹脂製の支持部材により固定され、
前記フレームは、前記シートの搬送方向に向かい略コ字状をなすことを特徴とするロールプレス機。 - 請求項9に記載のロールプレス機において、
前記熱遮蔽体の底面の幅は前記シートを構成する基材の巾よりも長く、且つ、前記熱遮蔽体の底面は前記シートの搬送方向に沿って前記各計測センサー部及び前記フレームが位置する領域よりも下流側へと延在することを特徴とするロールプレス機。 - 請求項10に記載のロールプレス機において、
前記厚み計は、前記フレームを加熱するヒーターを有し、
前記フレーム内温度が昇温後安定化するフレーム昇温安定化温度及び前記ヒーターを起動してから前記フレーム内温度が前記フレーム昇温安定化温度に達するまでの時間との関係で示されるフレーム予熱パターンを、前記制御盤の記憶装置に予め格納すると共に、
前記制御盤は、前記フレーム予熱パターンを前記記憶装置より読み出し、前記ヒーターを起動し前記フレームを予熱することを特徴とするロールプレス機。 - 請求項11に記載のロールプレス機において、
前記制御盤は、前記フレーム予熱パターンに基づく前記ヒーターの起動と同期し、前記対をなす計測センサー部よりレーザ光の出射を開始するよう制御することを特徴とするロールプレス機。 - 請求項12に記載のロールプレス機において、
前記制御盤は、前記ヒーターの起動開始及び前記レーザ光の出射開始から所定時間経過後に前記一対の加圧ロールを起動し、前記シートの連続圧縮加工を開始することを特徴とするロールプレス機。
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