JP2016114623A - 感光性樹脂組成物、フィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、及び半導体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、フィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、及び半導体装置 Download PDF

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華子 頼
Hanako Rai
華子 頼
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Abstract

【課題】 導電性バンプを封止するアンダーフィル材にフィルムを形成して使用した場合のパターン形成性を維持して、かつ高い絶縁信頼性を持つ感光性樹脂組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供する。【解決手段】(A)成分:アルカリ可溶性基として側鎖、又は末端にフェノール性水酸基を有する、アルカリ可溶性の閉環ポリイミド、(B)成分:放射線重合性化合物、(C)成分:光開始剤、及び(D)成分:イオン交換反応可能な粒子を含有する感光性樹脂組成物【選択図】 図6

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ及び半導体装置に関する。
近年、電子部品の高性能化及び高機能化に伴い、種々の形態を有する半導体パッケージが提案されている。半導体パッケージの製造には、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接着するために接着剤が用いられる。この接着剤には、通常、接着性、熱圧着性、耐熱性及び耐湿性等の特性が要求され、フィルム状にして使用する場合には更に貼付性が必要となる。
半導体パッケージの機能、形態及び組み立てプロセスの簡略化の手法によっては、上述の特性に加えてパターン形成が可能な感光性を兼ね備える接着剤が必要とされる場合がある。感光性とは光を照射した部分が化学的に変化し、水溶液や有機溶剤に不溶化又は可溶化する機能である。この感光性を有する感光性接着剤を用いると、フォトマスクを介して露光、現像処理を行うことにより、高精細な接着剤パターンを形成することが可能となり、形成された接着剤パターンが被着体に対する熱圧着性を有することとなる。
感光性の接着剤組成物としては、従来、フォトレジストや、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)をベースとしたもの(例えば、特許文献1〜3参照)、及び低Tgポリイミド樹脂をベースとしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。また、作業環境及び排水処理等の観点から、アルカリ現像液によるパターン形成が可能なものが主流である。
また、近年、半導体実装分野において、半導体素子同士の接続及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが複数の導電性バンプを介して接続されるフリップチップ実装方式が注目されている。フリップチップ実装方式では、それぞれの接続部材の熱膨張係数差に基づくストレスにより、導電性バンプを介する基板と半導体チップとの接続異常が生じる場合がある。このため、当該ストレスを緩和することを目的に、接続部材間において、樹脂を充填することにより導電性バンプを封止する方式が知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開2000−290501号公報 特開2001−329233号公報 特開平11−24257号公報 国際公開第07/004569号 特許第3999840号公報
近年の各種携帯機器の小型化、高機能化によって半導体チップのサイズの小型化、及び接続ピン数の増加が進行しており、それに伴い接続部材間の距離も急速に狭くなっていっている。このような狭ピッチ化の進展に伴って配線腐食や短絡といった絶縁不良の発生が懸念されている。
すなわち、接続部材間に充填され、導電性バンプを封止するアンダーフィル材に対して、優れるパターン形成性を有するだけではなく、更に優れる絶縁信頼性が要求される。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性バンプを封止するアンダーフィル材にフィルムを形成して使用した場合のパターン形成性を維持して、かつ高い絶縁信頼性を持つ感光性樹脂組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、アンダーフィル材に含まれる各種成分の合成過程で、反応活性種、対イオンとしてのハロゲン等のイオン成分が、アンダーフィル材の絶縁性を低下させ得る大きな要因となることを見出した。また、従来のポリイミドを含有するネガ型の感光性樹脂組成物では、現像液に対する溶解性や被着体へのラミネート性の発現のためにある程度極性の強い官能基を持つことが多く、水に対して高い親和性を持つために、高温、高湿環境における信頼性を低下させ得る一因となることを見出した。本開示の実施形態は、上述した知見を基になされたものである。
本開示は以下に関するものである。
[1] (A)成分:アルカリ可溶性基として側鎖、又は末端にフェノール性水酸基を有する、アルカリ可溶性の閉環ポリイミド、(B)成分:放射線重合性化合物、(C)成分:光開始剤、及び(D)成分:イオン交換反応可能な粒子を含有する感光性樹脂組成物。
[2] 前記イオン交換反応可能な粒子の平均粒径が0.5μm以上、10μm以下である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] 前記(A)成分のアルカリ可溶性の閉環ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンを反応させて得られる末端基又は側鎖基としてフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] 前記(A)成分のアルカリ可溶性の閉環ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物と、フェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10〜80モル%含有するジアミンと、フェノール性水酸基含有アミンと、を反応させて得られるポリイミド樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[5] 前記フェノール性水酸基含有ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンを含む、[4]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2016114623
[一般式(A−1)中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。]
[6] 前記ジアミンが、下記一般式(A-2)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10〜80モル%含有する、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2016114623
[一般式(A-2)中、R〜Rは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。]
[7] 前記(A)成分の重量平均分子量が、5000〜100000である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[8] 前記(A)成分のガラス転移温度が、40〜150℃である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[9] 前記(B)成分の放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[10] (E)成分:熱硬化性樹脂を更に含有する、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[11] 前記(E)成分の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有する、[10]に記載の感光性樹脂組成物。
[12] 前記(E)成分の熱硬化性樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有する、[10]又は[11]に記載の感光性樹脂組成物。
[13] (F)成分:硬化促進剤を更に含有する、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[14] 半導体素子同士の接続及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接続に使用される接着剤として用いる、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって得られる、フィルム状接着剤。
[16] 基材と、該基材上に[15]に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層と、を備える、接着シート。
[17] 被着体上に[15]に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
[18] 半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に[15]に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層と、を備える接着剤層付半導体ウェハ。
[19] 請求項[1]〜[14]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
本開示によれば、アルカリ現像液による膨潤を最小限に抑制しつつ、良好なパターン形成性を有し、かつ絶縁信頼性に更に優れる感光性樹脂組成物を提供できる。
本実施形態のフィルム状接着剤の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の接着シートの一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の接着シートの一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図である。 図4のIV−IV線に沿った断面図である。 本実施形態の半導体装置の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において、感光性樹脂組成物の「貼付性」とは、感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤とした場合の貼付性を意味する。感光性樹脂組成物の「高温接着性」とは、感光性樹脂組成物を硬化物にした場合の、加熱下での接着性を意味する。感光性樹脂組成物の「パターン形成性」とは、被着体上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層を、フォトマスクを介して露光しアルカリ現像液によって現像したときに得られる接着剤パターンの精度を意味する。感光性樹脂組成物の「熱圧着性」とは、上記接着剤パターンを加熱下で支持部材等に圧着(熱圧着)したときの接着具合を意味する。感光性樹脂組成物の「耐熱性」とは、上記接着剤パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温下においたときの耐剥離性を意味する。「耐リフロー性」とは、上記感光性接着剤の額縁状パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温高湿条件下で所定の時間静置し、リフロー加熱を行った後の耐剥離性を意味する。
本明細書において、「フィルム状」は、支持基板を必要とするか否かに関わらず、成型後にそれ単体で薄膜状の構造を成り立たせているものを指す。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分:アルカリ可溶性基として側鎖、又は末端にフェノール性水酸基を有する、アルカリ可溶性の閉環ポリイミド、(B)成分:放射線重合性化合物、(C)成分:光開始剤、及び(D)成分:イオン交換反応可能な粒子を含有する。(A)成分〜(D)成分を組み合わせる感光性樹脂組成物を用いることで、イオン交換反応可能な粒子中から、イオン交換性物質や官能基が水環境中に溶出することを防ぐことが可能となり、パターン形成性及び絶縁信頼性に更に優れるものとなる。また、その他の側面として、本実施形態の感光性樹脂組成物は、フィルム安定性、基板表面の配線段差(凹凸)に対する埋め込み性に優れるものとなる。なお、本明細書において、これらの成分は、単に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分等と称することがある。
<(A)成分:アルカリ可溶性基として側鎖、又は末端にフェノール性水酸基を有する、アルカリ可溶性の閉環ポリイミド>
(A)成分のTgは150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。このTgが150℃以下である場合、感光性樹脂組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際に比較的低温とすることができるため、半導体ウェハに反りが発生しにくくなる傾向がある。また、パターン形成後の上記接着剤の溶融粘度が高くなることを抑制でき、熱圧着性が向上する傾向がある。また、耐リフロー性等の接続信頼性をさらに向上させる観点から、40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜100℃が特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂のTgを上記範囲とすることで、感光性樹脂組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際の充分な熱圧着性を確保でき、接続信頼性をさらに向上させることができる。
また、フィルム状接着剤のウェハ裏面への貼り付け温度は、20〜150℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。上記範囲内では、半導体ウェハの反りが抑えられる傾向にある。上記温度での貼り付けを可能にするためには、フィルム状接着剤のTgを150℃以下にすることが好ましい。また、上記Tgの下限は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。上記Tgが40℃以上である場合、露光、及び加熱硬化後の弾性率を向上させるために、他の硬化成分を多量に配合しなくてもよく、取り扱い性、保存安定性、パターン形成性、熱圧着性、耐熱性及び低応力性を向上する傾向がある。
ここで、(A)成分の「Tg」とは、(A)成分をフィルム化したものについて、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50〜300℃の条件で測定したときのtanδピーク温度である。
(A)成分の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内にあると、感光性樹脂組成物をシート状、又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が良好となる。また、熱時流動性が良好となるため、基板表面の配線段差(凹凸)に対する良好な埋め込み性を確保することが可能となる。上記重量平均分子量が5,000以上であると、フィルム形成性が向上する傾向がある。一方、上記重量平均分子量が100,000以下であると、熱時流動性、及び上記埋め込み性が向上する傾向、パターン形成する際に感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が向上する傾向がある。ここで、「重量平均分子量」とは、高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、商品名:RI−8020)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
(A)成分のTg、及び重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、ウェハへの貼り付け温度を低く抑えることができる。更に、半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に接着固定する際の加熱温度(熱圧着温度)も低くすることができ、半導体素子の反りの増大を抑制しながら、高温接着性を付与することができる。また、貼付性、熱圧着性及び現像性を有効に付与することができる。
高温接着性及びパターン形成性に更に優れる観点から、(A)成分は、アルカリ可溶性基を末端又は側鎖に有する。アルカリ可溶性基としては、エチレングリコール基、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。アルカリ可溶性基を有するポリマーは、上述の官能基の1種を単独で有するものであってもよく、又は2種以上を有するものであってもよい。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基が好ましい。さらに(A)成分におけるアルカリ可溶性基がフェノール性水酸基のみであることがより好ましい。
(A)成分は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとフェノール性水酸基含有(単官能)アミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。
中でも、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び吸湿信頼性に更に優れる観点から、(A)成分は、テトラカルボン酸二無水物と、フェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10〜80モル%含有するジアミンと、フェノール性水酸基含有アミンと、を反応させて得られるポリイミドであることが好ましい。
上記縮合反応における、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比は、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が0.5〜2.0molであることが好ましく、0.8〜1.0molであることがより好ましい。上記範囲であることで、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び吸湿信頼性により優れる傾向がある。
上記縮合反応における、テトラカルボン酸二無水物とフェノール性水酸基含有アミンとの混合モル比は、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、フェノール性水酸基含有アミンの合計が0.04〜1.0molであることが好ましく、0.1〜0.8molであることがより好ましい。なお、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及びフェノール性水酸基含有アミンの添加順序は任意でよい。
また、上記縮合反応における、反応温度は80℃以下が好ましく、0〜60℃がより好ましい。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、樹脂組成物の諸特性の低下を抑えるため、上述のテトラカルボン酸二無水物は、無水酢酸で再結晶精製処理したものであることが好ましい。
本実施形態でのポリイミド樹脂とは、イミド基を有する樹脂を意味する。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
ポリイミド樹脂は、上記縮合反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法、及び脱水剤を使用する化学閉環法等で行うことができる。
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限はなく、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2´,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2´,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、及び下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。下記一般式(1)中、aは2〜20の整数を示す。
Figure 2016114623
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、無水トリメリット酸モノクロライド、及び対応するジオールから合成することができ、具体的には1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、及び1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物としては、溶剤への良好な溶解性及び耐湿性、並びに波長が365nmである光に対する透明性を付与する観点から、下記式(2)、又は(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
Figure 2016114623
以上のようなテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるジアミンとしては、カルボキシル基を持たず、フェノール性水酸基を有するジアミンを少なくとも1種用いることが好ましい。カルボキシル基を持たず、フェノール性水酸基を有するジアミンを用いることにより、ポリイミド樹脂の側鎖基としてフェノール性水酸基を導入することができる。カルボキシル基を持たず、フェノール性水酸基を有するジアミンとしては、例えば、下記式(5)、(7)、(A−1)で表される芳香族ジアミンが挙げられ、Tgが高いポリイミド樹脂としたときに良好なパターン形成性、及び熱圧着性を得る観点から、下記一般式(A−1)で表されるジアミンがより好ましい。
Figure 2016114623
一般式(A-1)中R21は、単結合、又は、2価の有機基を示す。2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、又は、ハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、−SO−、−O−、−S−、−NH−(C=O)−、−(C=O)−O−、下記一般式(B−1)で表される基、及び下記一般式(B−2)で表される基が挙げられる。一般式(B−1)、(B−2)中、nは1〜20の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。
Figure 2016114623
上記一般式(A−1)中のR21は、ポリイミド樹脂のTgを上昇させたときのパターン形成性の観点から、−C(CF−、及び−C(CH−が好ましい。このような基を有する上記ジアミンを用いることにより、パターン形成時にポリイミドのイミド基同士の凝集を抑制でき、アルカリ現像液が浸透しやすくなることでパターン形成性を向上させることができる。これにより、ポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となり、耐湿信頼性が更に向上した感光性樹脂組成物の実現が可能となる。
一般式(A−1)で表されるジアミンは、全ジアミンの10〜80mol%とすることが好ましく、20〜80mol%とすることがより好ましく、30〜70mol%とすることが更に好ましい。ポリイミド樹脂としてカルボキシル基含有樹脂を用いると、加熱乾燥時に配合しているエポキシ樹脂と反応して熱可塑性樹脂の酸価が大きく低下する傾向にある。これに対して、ポリイミド樹脂の側鎖をフェノール性水酸基とすることで、カルボキシル基の場合に比べてエポキシ樹脂との反応が進行しにくくなる。その結果、パターン形成性、熱圧着性及び高温接着性に加え、当該組成物をワニスあるいはフィルム形態とした際の安定性が向上することが考えられる。
本実施形態においては、上記フェノール性水酸基を有するジアミンが、下記一般式(A−3)で表される、フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンを含むことが好ましい。ポリイミド鎖にフルオロアルキル基が導入されることによって、ポリイミド同士の分子鎖凝集力が低下し、現像液が浸透しやすくなる。その結果、上記感光性樹脂組成物のパターン形成性(溶解現像性、細線化)が更に向上する。また、ポリイミドの凝集力の低下によって、熱圧着性を向上させることができ、更にはポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となる。これにより、耐湿信頼性及び耐リフロー性が更に向上した感光性樹脂組成物の実現が可能となる。
Figure 2016114623
フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンは、全ジアミンの5〜100mol%とすることが好ましく、10〜90mol%とすることがより好ましく、10〜80mol%とすることが更に好ましく、20〜80mol%とすることが特に好ましく、30〜70mol%とすることが極めて好ましい。
上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるその他のジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、3,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4´−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、3,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´−ジアミノジフェニルケトン、3,4´−ジアミノジフェニルケトン、4,4´−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4´−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4´−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4´−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3´−ジヒドロキシ−4,4´−ジアミノビフェニル、及び3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、下記一般式(A−2)で表される脂肪族エーテルジアミン、並びに、下記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが挙げられる。下記一般式(A−2)中、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。下記一般式(9)中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、又はフェニレン基を示し、R、R、R、及びRは各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又はフェノキシ基を示し、dは1〜5の整数を示す。なお、上記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。
Figure 2016114623
上記ジアミンの中でも、他成分との相溶性、有機溶剤可溶性、及びアルカリ可溶性を付与する点で、上記一般式(A−2)で表される脂肪族エーテルジアミンが好ましく、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系ジアミンがより好ましい。
このような脂肪族エーテルジアミンとして具体的には、三井化学ファイン株式会社製、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2000、EDR−148(商品名(「ジェファーミン」は登録商標))、BASF社製、ポリエーテルアミンD−230、D−400、及びD−2000等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、全ジアミンの1〜80mol%であることが好ましく、10〜80mol%であることがより好ましく、10〜60mol%であることが更に好ましい。この量が1mol%以上であると、高温接着性及び熱時流動性を付与できる傾向にあり、一方、80mol%以下であると、ポリイミド樹脂のTgが低くなることを抑制し、フィルムの自己支持性が向上する傾向にある。
更に、上記脂肪族エーテルジアミンは、パターン形成性の観点から、下記一般式(A−4)で表わされるプロピレンエーテル骨格を有し、且つ分子量が300〜600であることが好ましい。このようなジアミンを用いる場合、フィルムの自己支持性、高温接着性、耐リフロー性、及び耐湿信頼性の観点から、その量は全ジアミンの80mol%以下であることが好ましく、60mol%以下であることがより好ましい。また、貼付性、熱圧着性、及び高温接着性の観点から、全ジアミンの10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましい。この量が上記範囲にあることで、ポリイミドのTgを上記範囲に調整することができ、貼付性、熱圧着性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を付与することが可能となる。一般式(A−4)中、mは3〜7の整数を示す。
Figure 2016114623
また、室温(25℃)での密着性、及び接着性を向上させる観点から、上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが好ましい。
上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとして具体的には、一般式(9)中のdが1のものとして、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、及び1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられ、dが2のものとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等が挙げられる。
上記ジアミンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上述のジアミンの量は、全ジアミンの1〜80mol%とすることが好ましく、2〜50mol%とすることがより好ましく、5〜30mol%とすることが更に好ましい。1mol%以上であるとシロキサンジアミンを添加した効果が高くなり、80mol%以下であると他成分との相溶性、高温接着性、及び現像性が向上する傾向がある。
また、ポリイミド樹脂の組成を決定する際には、そのTgが、上述のように150℃以下となるように設計することが好ましく、ポリイミド樹脂の原料であるジアミンとして、上記一般式(A−2)で表される脂肪族エーテルジアミンを用いることが好ましい。
上記ポリイミド樹脂の合成時に、フェノール性水酸基含有アミンを用いると、テトラカルボン酸由来の残基とフェノール性水酸基含有アミンのアミノ基とが反応することにより、末端基としてフェノール性水酸基を導入することができる。これによって、ポリマーの重量平均分子量を低くし、パターン形成時の現像性、及び熱圧着性を向上させることができる。
フェノール性水酸基含有アミンとしては、アミノフェノール誘導体が好ましい。アミノフェノール誘導体としては、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2−アミノ−m−クレゾール等のアミノクレゾール類、2−アミノ−4−メトキシベンゼン等のアミノメトキシベンゼン類、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルアニリン等のヒドロキシジメチルアニリン類などが挙げられるが、下記一般式(10)で表される化合物が好ましい。中でもアルカリ現像液への溶解性とワニス時の安定性の観点からアミノ基のメタ位に水酸基を持つものがあることがより好ましく、これらの中でもm−アミノフェノールがポリイミド合成時の導入が容易であり、更に好ましい。
Figure 2016114623
末端基としてフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂は、パターン形成性、熱圧着性及び高温接着性に加え、当該組成物をワニスあるいはフィルム形態とした際の安定性、接続端子のように突起や段差がある基板への塗布やラミネートによる埋め込み性(平坦性)が向上するので好ましい。
上述したポリイミド樹脂は、1種を単独で、又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
上記ポリイミド樹脂は、光硬化性の観点から、30μmのフィルム状に成形したときの波長365nmの光に対する透過率が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。このようなポリイミド樹脂は、例えば、上記式(2)で表される酸無水物と、上記一般式(A−2)で表される脂肪族エーテルジアミン及び/又は上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとを反応させることで合成することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましく、30〜60質量%であることが特に好ましい。この含有量が10質量%以上であると、パターン形成時の現像性が向上する傾向、タック性等の取り扱い性が向上する傾向があり、90質量%以下であると、パターン形成時の現像性、及び接着性が向上する傾向がある。
(A)成分のアルカリ溶解性が乏しい場合、溶解助剤として、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する樹脂、並びに/或いは、親水性基を有する樹脂を添加してもよい。親水性基を有する樹脂としては、アルカリ可溶性の樹脂であれば特に限定はされないが、エチレングリコール、及びプロピレングリコール基のようなグリコール基を有する樹脂等が挙げられる。
<(B)成分:放射線重合性化合物>
(B)成分の放射線重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられる。反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましく、放射線重合性化合物は2官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。このようなアクリレートとしては、特に制限されないが、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(11)で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、及び尿素アクリレート等が挙げられる。下記一般式(11)中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、又はメチル基を示し、g及びhは各々独立に、1〜20の整数を示す
Figure 2016114623
上述の放射線重合性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、上記一般式(11)で表されるグリコール骨格を有する放射線重合性化合物は、アルカリ可溶性、及び硬化後の耐溶剤性を充分に付与できる点で好ましく、イソシアヌル酸EO変性ジ/トリアクリレート、及びイソシアヌル酸EO変性ジ/トリメタクリレートは、パターン形成性、硬化後の高接着性、耐熱性、及び耐湿信頼性を充分に付与できる点で好ましい。「EO変性」とは、エチレンオキサイド基を有する化合物であることを表す(以下同様)。
また、(B)成分は、3官能以上のアクリレート化合物を含有するものであることが好ましい。この場合、硬化後の接着性を、より向上させることができるとともに、加熱時のアウトガスを抑制することができる。また、硬化後の貯蔵弾性率を上昇させることができ、良好な耐湿信頼性を得ることができる。
また、官能基当量の高い放射線重合性化合物を併用することで、低応力化、及び低反り化することが可能となる。官能基当量の高い放射線重合性化合物は、重合官能基当量が80g/eq以上であることが好ましく、100g/eq以上であることがより好ましく、150g/eq以上であることが更に好ましい。特に、重合官能基当量が150g/eq以上の、グリコール骨格と、ウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることによって、感光性樹脂組成物の現像性、及び接着性を向上させ、且つ低応力化、及び低反り化が可能となる。
また、(B)成分として、重合官能基当量が150g/eq以上の放射線重合性化合物と、重合官能基当量が150g/eq未満の放射線重合性化合物とを併用してもよい。この場合、(B)成分としてウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることが好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、20〜250質量部であることがより好ましく、30〜150質量部であることが更に好ましく、40〜100質量部であることが特に好ましい。この含有量が500質量部以下であると、重合により熱溶融時の流動性が向上し、熱圧着時の接着性が向上する傾向にある。一方、10質量部以上であると、露光による光硬化後の耐溶剤性が低下しにくく、パターンを形成しやすくなる。つまり、現像前後の膜厚変化が小さくなり、残渣が少なくなる傾向にある。また、熱圧着時に溶融しにくく、パターンが変形しくにい傾向にある。
<(C)成分:光開始剤>
(C)成分としては、感度向上の点から、波長が365nmである光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上であるものが好ましく、2000ml/g・cm以上であるものがより好ましい。なお、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:U−3310)を用いて吸光度を測定することによって求められる。
感光性樹脂組成物を膜厚30μm以上の接着剤層とする場合、(C)成分は、高感度の観点で、オキシムエステル骨格を有するものが好ましい。このような(C)成分としては、例えば、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)やエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
あるいは内部硬化性向上の観点から、光照射によってブリーチングするものも好ましいものとして挙げることができる。このような(C)成分としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9´−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイドの中からUV照射によって光退色する化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(C)成分は、放射線の照射によって、(E)成分(熱硬化性樹脂)の重合及び/又は付加反応等の硬化反応を促進する機能を発現する光開始剤を含有していてもよい。このような光開始剤としては、例えば、放射線照射によって塩基を発生する光塩基発生剤、及び放射線照射によって酸を発生する光酸発生剤が挙げられ、光塩基発生剤が特に好ましい。
放射線としては、例えば、電離性放射線及び非電離性放射線が挙げられ、具体的にはArF、及びKrF等のエキシマレーザー光、電子線極端紫外線、真空紫外光、X線、並びに、イオンビーム、i線、及びg線等の紫外光が挙げられる。
光塩基発生剤を用いることで、生成した塩基が(E)成分の硬化触媒として効率よく作用する。その結果、感光性樹脂組成物の架橋密度がより一層高まり、上記感光性樹脂組成物の被着体への高温接着性、及び耐湿性が向上する。また、上記感光性樹脂組成物に光塩基発生剤を含有させることによって、高温放置時のアウトガスをより低減させることができる。更に、硬化プロセス温度を低温化、及び短時間化させることができる。
また、上記塩基が、(A)成分と(E)成分との反応後に残存する(A)成分中の水酸基を低減させることができる。そのため、耐湿性、接着性、及びパターン形成性が向上する。
光塩基発生剤は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けず用いることができる。発生する塩基としては、反応性、及び硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。
このような放射線照射時に発生する塩基としては、例えば、イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、及び1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、及び2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、及び1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基又はアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、及びn−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、トリエチレンジアミン、及び1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、並びに、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、及びベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体が挙げられる。
上述のような塩基を放射線照射によって発生する光塩基発生剤としては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 1999年、12巻、313〜314頁、及びChemistry of Materials 1999年、11巻、170〜176頁等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、放射線照射によって高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
また、Journal of American Chemical Society 1996年、118巻 12925頁、及びPolymer Journal 1996年、28巻 795頁等に記載されているカルバミン酸誘導体も用いることができる。
更に、放射線照射によって1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名:イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製、商品名:イルガキュア369)、2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン(BASF社製、商品名:イルガキュア379)、3,6−ビス−(2−メチル−2−モルホリノ−プロピオニル)−9−N−オクチルカルバゾール(株式会社ADEKA製、商品名:オプトマーN−1414)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、及びベンゾイソオキサゾロン誘導体等を用いることができる。
上記光塩基発生剤としては、高分子の主鎖及び/又は側鎖に塩基を発生する基を導入した化合物を用いても良い。この場合の分子量としては、接着剤としての接着性、流動性、及び耐熱性の観点から重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。
上記光塩基発生剤は、室温で放射線を照射しない状態では、後述する(E)成分と反応性を示さないため、室温での貯蔵安定性が非常に優れる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.01〜15質量部とすることがより好ましく、0.5〜10質量部とすることが更に好ましい。
<(D)成分:イオン交換反応可能な粒子>
(D)成分のイオン交換反応可能な粒子は、感光性樹脂組成物中に分散されていることが好ましい。光の低散乱強度を更に向上させる観点から、平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。更に、感光性樹脂組成物の耐水性、機械特性を更に向上させる観点から、平均粒子径は0.5μm以上であることが好ましい。なお、平均粒子径は、感光性樹脂組成物中に分散した状態での無機フィラーの平均粒子径であり、以下のように測定して得られる値とする。まず、感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンで1000倍に希釈(又は溶解)させた後、サブミクロン粒子アナライザ(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5)を用いて、国際標準規格ISO13321に準拠して、屈折率1.38で、溶剤中に分散した粒子を測定し、粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を平均粒子径とする。また、上記粒度分布における積算値99.9%(体積基準)での粒子径を最大粒子径とする。また、支持体上に設けられる感光層又は感光性樹脂組成物の硬化膜であっても、上述のように溶剤を用いて1000倍(体積比)に希釈(又は溶解)をした後、上記サブミクロン粒子アナライザを用いて測定できる。
(D)成分は、陰陽両イオン、陽イオン、陰イオンに対して交換可能なものに大別できる。さらに、陰陽両イオン又は陰イオンに対する無機イオン交換体を含むことが好ましい。陰イオンに対する無機イオン交換体を含有することで、半導体の信頼性に大きく影響を及ぼす塩素イオンを代表とする陰イオンを補足することができる。本開示の一実施形態にかかる樹脂組成物は、アルカリ可溶性を有するともいえる。本開示の一実施形態にかかる樹脂組成物においては、陰イオンに起因する反応が進行しやすく、陰イオンを補足することで、良好な信頼性を得ることができるものと推定している。なお、「イオン交換反応可能」とは、静電気的作用によって、イオンを補足できる機能を有することを意味する。
陰陽両イオンに対する無機イオン交換体としては、例えば、酸化ベリリウム水和物、酸化ガリウム水和物、酸化ランタン水和物、酸化鉄水和物、酸化アルミニウム水和物、酸化チタン水和物、酸化鉄水和物、酸化ジルコニウム水和物、酸化錫水和物、酸化ゲルマニウム水和物、酸化トリウム水和物等の金属の含水酸化物を挙げることができる。
陽イオンに対する無機イオン交換体としては、例えば、五酸化アンチモン水和物、酸化マンガン水和物、酸化ケイ素水和物、酸化ニオブ水和物、酸化タンタル水和物、酸化モリブデン水和物、酸化タングステン水和物等の金属含水酸化物、リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、リンモリブデン酸アンモン、リンアンチモン酸、モリブデン酸ジルコニウム、モリブデン酸チタン、タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸チタン、モリブデン酸錫、タングステン酸錫、アンチモン酸ジルコニウム、アンチモン酸チタン、セレン酸ジルコニウム、テルル酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、リンケイ酸ジルコニウム、ポリリン酸ジルコニウム、トリポリリン酸クロム、アンチモン三リン酸などを挙げることができる。
陰イオンに対する無機イオン交換体としては、例えば、三酸化アンチモン水和物、酸化ビスマス水和物、ハイドロタルサイト類等を挙げることができる。これらイオン交換反応可能な微粒子の量や種類は用途や目的とする捕捉イオンにより異なり、2種以上の併用なども可能であり使用方法は制限されるものではない。
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜100質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。上記範囲の中でも、10質量部以下であると、パターン形成性が更に良好になる傾向がある。一方、上記含有量が0.5質量部以上であると、絶縁信頼性が良好になる傾向がある。
<(E)成分:熱硬化性樹脂>
更に本実施形態の感光性樹脂組成物には、(E)成分の熱硬化性樹脂を含有させることができる。熱硬化性樹脂としては、熱で硬化する樹脂であれば特に制限はないが、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン、エポキシ樹脂等が挙げられる。その中でも、より好ましくは、エポキシ樹脂を含有させることもできる。エポキシ樹脂を含有することで、熱硬化性が向上し、吸湿信頼性をさらに向上することができる。エポキシ樹脂としては、高温接着性、及び耐リフロー性の観点から、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を含むものが好ましく、パターン形成性、及び熱圧着性の点から、室温(25℃)で液状、又は半固形、具体的には軟化温度が50℃以下であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。このような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、AD型、S型、又はF型のグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、3官能型、又は4官能型のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、並びに3官能型、又は4官能型のグリシジルアミンが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、高温接着性、パターン形成性、耐湿信頼性に更に優れる観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有することが好ましい。
(E)成分としては、5%質量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、260℃以上であることが特に好ましい。5%質量減少温度が150℃以上であることで、低アウトガス性、高温接着性、及び耐リフロー性が向上する。
上記5%質量減少温度とは、サンプルを示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で測定したときの5%質量減少温度である。
上記(E)成分として、下記構造式で表されるエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることで5%質量減少温度、パターン形成性、高温接着性、耐リフロー性、及び耐湿信頼性を充分に付与できる。
Figure 2016114623
また、(E)成分としては、不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン、特に塩素イオン、及び加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。エレクトロマイグレーション防止及び金属導体回路の腐食防止が可能となる。
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5〜300質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。この含有量が300質量部以下であると、アルカリ水溶液への溶解性が向上し、パターン形成性が向上する傾向がある。一方、上記含有量が5質量部以上であると、充分な熱圧着性、及び高温接着性が得やすくなる傾向がある。
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して20質量部以上であることが更に好ましく、30質量部以上であることが特に好ましい。また、(A)成分のTgが70℃以上の場合は、30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが更に好ましい。(E)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成後の溶融粘度を低下させることができ、パターン形成性、熱圧着性、高温接着性、及び耐湿信頼性を向上させることができる。
エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂の中では、フェノール系化合物が好ましく、分子中に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物がより好ましい。フェノール系化合物を用いることでパターン形成性が向上する。このような化合物としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、キシリレン変性フェノールノボラック、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、テトラキスフェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ポリ−p−ビニルフェノール、及びフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。
上記フェノール系化合物の中でも、数平均分子量が400〜4,000の範囲内のものが好ましい。これによって、半導体装置組立加熱時に、半導体素子、又は装置等の汚染の原因となる加熱時のアウトガスを抑制できる。上記フェノール系化合物の含有量は、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、2〜50質量部であることがより好ましく、2〜30質量部であることが更に好ましい。この含有量が100質量部以下であると、露光時の(B)成分の放射線重合性化合物の反応性が向上する傾向がある。更に、樹脂の酸価が上昇した場合であっても現像後に膜厚が減少したり、膨潤したりする傾向を抑制できる。また、現像液の樹脂パターンへの浸透が小さくすることで、その後の加熱硬化時や組立熱履歴でのアウトガスが少なくなり、耐熱信頼性及び耐湿信頼性が向上する傾向がある。一方、上記含有量が1質量部以上であると、充分な高温接着性が得られやすくなる傾向がある。
上記フェノール化合物として、5%質量減少温度が高く、パターン形成性を充分に付与できる点で、下記構造式で表されるフェノール化合物を用いることが好ましい。また、上記フェノール化合物は、樹脂組成物中のポリマー側鎖のカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基とフェノール性化合物のフェノール性水酸基のモル当量と、(E)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基のモル当量との比[エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)]が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.4であることがより好ましく、0.9〜1.2であることが最も好ましい。上記エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)の比が0.5以上であると高温接着性、耐リフロー性、及び耐湿信頼性が向上する傾向があり、1.5以下であるとパターン形成性、高温接着性、及び耐湿信頼性が向上する傾向がある。
Figure 2016114623
<(F)成分:硬化促進剤>
更に本実施形態の感光性樹脂組成物には、(F)成分として硬化促進剤を含有させることもできる。本実施形態の感光性樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、更に(F)成分を含有することで、高温接着性が向上することができる。(F)成分としては、加熱によって(E)成分の硬化及び/又は重合を促進するものであれば特に制限はない。例えば、芳香族含窒素化合物、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレートが挙げられる。中でもイミダゾール化合物やそれらの塩が促進効果と安定性が両立できる点で、好ましいものとして挙げられる。特に効果が高く、好ましいものとして、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート等を挙げることができる。(F)成分の含有量は、高温接着性が向上する観点で、(E)成分100質量部に対して0.01〜50質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましい。
(カップリング剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物には、各種カップリング剤を添加することもできる。上記カップリング剤を用いることで、異種材料間の界面結合性が向上する。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、及びアルミニウム系が挙げられ、中でも効果が高い点で、シラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基等の熱硬化性基、並びに、メタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有する化合物がより好ましい。また、上記シラン系カップリング剤の沸点及び/又は分解温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。つまり、200℃以上の沸点及び/又は分解温度で、且つエポキシ基等の熱硬化性基やメタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有するシラン系カップリング剤が最も好ましく用いられる。上記カップリング剤の使用量は、その効果、耐熱性、及びコストの面から、使用する(A)成分100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましい。
(増感剤)
本実施形態では、必要に応じて増感剤を併用することができる。この増感剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4´−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、及びアジド基を含む化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(熱ラジカル発生剤)
本実施形態では、必要に応じて熱ラジカル発生剤を用いることができる。熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物としては、1分間半減期温度が120℃以上であるものが好ましく、150℃以上であるものがより好ましい。有機過酸化物は、感光性樹脂組成物の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合せ)条件、その他プロセス条件、及び貯蔵安定性等を考慮して選択される。
使用可能な有機過酸化物としては、特に限定はしないが、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記熱ラジカル発生剤の添加量は、エチレン性不飽和基を有する化合物の全量に対し、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。0.01質量%以上であると硬化性が向上し、添加効果が大きくなる傾向がある。また、20質量%以下であるとアウトガス量の増加を抑制でき、保存安定性が向上する傾向にある。
上記熱ラジカル発生剤としては、半減期温度が120℃以上の化合物であれば特に限定はしないが、例えば、パーヘキサ25B(日油株式会社製、商品名(「パーヘキサ」は登録商標)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)(1分間半減期温度:180℃))、及びパークミルD(日油株式会社製、商品名(「パークミル」は登録商標)、ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175℃))が挙げられる。
(重合禁止剤、酸化防止剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物には、キノン類、多価フェノール類、フェノール類、ホスファイト類、及びイオウ類等の重合禁止剤、又は酸化防止剤を、硬化性を損なわない範囲で更に添加してもよい。保存安定性、プロセス適応性、又は酸化防止性が付与される。
(貯蔵弾性率)
本実施形態の感光性樹脂組成物において、耐湿信頼性及び取り扱い性の向上、並びに加熱硬化後の反り抑制の観点から、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が1GPa以下であることが好ましい。このような条件を満たす感光性樹脂組成物としては、例えば、Tgが40〜150℃の(A)成分100質量部に対し、放射線重合性基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(B)成分を20〜500質量部、好ましくは40〜200質量部、(C)成分を0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部、エポキシ基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(E)成分として、エポキシ樹脂を5〜300質量部、好ましくは10〜100質量部を配合したものが挙げられる。これに対して、上記貯蔵弾性率が1GPaを超える感光性樹脂組成物、例えば、(A)成分のTgが150℃を超えるもの、又は、Tgが150℃以下の(A)成分100質量部に対し、官能基当量が80g/eq以下の2官能以上の(B)成分及び/又は官能基当量が200g/eq以下の(E)成分(例えば、エポキシ樹脂)を300〜400質量部配合することで得られるものは、フィルム状に形成したときの取り扱い性が充分でなくなる傾向にあり、また硬化後の反りが大きくなる傾向にある。
(フィルム状接着剤)
上記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状接着剤を得ることができる。図1は、本実施形態のフィルム状接着剤の一実施形態を示す断面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形したものである。
フィルム状接着剤1は、例えば、図2に示す基材3上に上記感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることによってフィルム状に成形される。このようにして、基材3と、基材3上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層1とを備える接着シート100が得られる。図2は、本実施形態の接着シート100の一実施形態を示す断面図である。図2に示す接着シート100は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とから構成される。
図3は、本実施形態の接着シートの他の一実施形態を示す断面図である。図3に示す接着シート110は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とカバーフィルム2とから構成される。
フィルム状接着剤1は、例えば、以下の方法で得ることができる。まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び必要に応じて添加される他の成分を、有機溶媒中で混合し、混合液を混練してワニスを調製する。次に、基材3上にこのワニスを塗布してワニスの層を形成し、加熱によってワニス層を乾燥した後に基材3を除去する。このとき、基材3を除去せずに、接着シート100の状態で保存、又は使用することもできる。また、接着剤層1の基材3が設けられている面とは反対の面にカバーフィルム2を積層した上で、接着シート110の状態で保存、又は使用することもできる。
ワニスの調製に用いる有機溶媒、すなわちワニス溶剤は、材料を均一に溶解、又は分散できるものであれば、特に制限はない。例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、及びN−メチル−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。
上記混合、及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱による乾燥は、(B)成分が充分には反応しない温度で、且つ、溶媒が充分に揮散する条件で行う。上記「(B)成分が充分には反応しない温度」とは、具体的には、DSC(示差走査熱量分析装置、例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。具体的には、通常60〜180℃で、0.1〜90分間加熱することによってワニス層を乾燥させる。乾燥前のワニス層の厚みは、1〜200μmが好ましい。この厚みが1μm未満であると、接着固定機能が充分でなくなる傾向があり、200μmを超えると、後述する残存揮発分が多くなる傾向がある。
得られたワニス層の残存揮発分は10質量%以下が、好ましい。この残存揮発分が10質量%以下であると、組立加熱時の溶媒揮発による発泡が原因で、接着剤層内部にボイドが残存しにくくなり、耐湿性が向上する傾向がある。また、加熱時に発生する揮発成分によって、周辺材料、又は部材が汚染される可能性も低くなる傾向がある。なお、上記の残存揮発成分の測定条件は次の通りである。すなわち、縦50mm、横50mmサイズに切断したフィルム状接着剤1について、初期の質量をM1とし、このフィルム状接着剤1を160℃のオーブン中で3時間加熱した後の質量をM2とし、以下の式により残存揮発分(%)を求める。
残存揮発分(%)=[(M1−M2)/M1]×100
基材3は、上述の乾燥条件に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルムを基材3として用いることができる。基材3としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、及びシリカ系等の離型剤等で処理されたものであってもよい。
(接着剤層付半導体ウェハ)
図4は、本実施形態の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図5は図4のIV−IV線に沿った断面図である。図4及び図5に示す接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤(接着剤層)1と、を備える。
接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8上に、フィルム状接着剤1を加熱しながらラミネートすることによって得られる。フィルム状接着剤1は、例えば、室温(25℃)〜150℃程度の低温で半導体ウェハ8に貼付けることが可能である。
(半導体装置)
図6は、本実施形態の半導体装置の一実施形態を示す断面図である。図6に示す半導体装置230は、接続電極部(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用端子(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)14と、絶縁材からなる接着剤層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ14と対向する回路面18を有しており、半導体チップ14と所定の間隔をおいて配置されている。接着剤層1は、支持部材13、及び半導体チップ14の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ14の間における、接着剤層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ14の接続用端子は、導電層9を介して支持部材13の接続電極部と電気的に接続されている。
以下、図7〜図12を用いて、図6に示す半導体装置230の製造方法について詳述する。図7〜12は、本実施形態の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の(第1工程)〜(第5工程)を備える。
(第1工程)接続用電極部を有する半導体チップ14から構成される半導体ウェハ12上に接着剤層1を設ける工程(図7及び図8)。
(第2工程)接着剤層1を露光、及び現像によって、接続端子が露出する開口11が形成されるようにパターニングする工程(図9及び図10)。
(第3工程)開口11に導電材を充填して導電層9を形成する工程(図11)。
(第4工程)半導体ウェハ12と接着剤層1及び導電層9との積層体を半導体チップ14ごとに切り分ける(ダイシング)工程(図12)。
(第5工程)接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する工程(図6)。
以下、(第1工程)〜(第5工程)について詳しく説明する。
(第1工程)
図7に示す接続用電極部を有する半導体チップ14から構成される半導体ウェハ12の回路面上に、接着剤層1を積層する(図8)。積層方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを半導体ウェハに貼り付ける方法が簡便であるが、スピンコート法等を用いて、感光性樹脂組成物を含有する液状のワニスを半導体ウェハ上に塗布し、加熱乾燥する方法によって積層してもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能な感光性樹脂組成物である。より詳細には、感光性樹脂組成物を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターンが、半導体チップ、及び基板等の被着体に対する接着性を有している。例えばレジストパターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、レジストパターンと被着体とを接着することが可能である。
(第2工程)
半導体ウェハ上に設けられた接着剤層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図9)。これにより接着剤層1が所定のパターンで露光される。
露光後、接着剤層1のうち露光されなかった部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、半導体ウェハの接続端子が露出する開口11が形成されるように接着剤層1がパターニングされる(図10)。なお、ネガ型の感光性樹脂組成物の代わりに、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いることも可能であり、その場合は接着剤層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
(第3工程)
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図11)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、及び減圧充填等の各種の方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、又はパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物等からなる電極材料、あるいは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、及びパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物、並びに、有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、及びその硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
(第4工程)
半導体ウェハ12と接着剤層1及び導電層9との積層体をダイシングにより半導体チップ14ごとに切り分ける(図12)。
(第5工程)
接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する。なお、半導体チップ14における接着剤層1と反対側の回路面上に、パターン化された接着剤層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
半導体チップ14の接着は、例えば、接着剤層1(感光性樹脂組成物)が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱して更に硬化反応を進行させてもよい。
半導体チップ14における接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
以上の方法によって、図6に示す半導体装置230が得られる。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上記製造方法は、第4の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に半導体ウェハと接着剤層1との積層体を、半導体ウェハと接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハを構成する半導体チップ14の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続し、第5の工程において、半導体ウェハと接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ14ごとに切り分けてもよい。
上記製造方法では、半導体ウェハと支持部材13との接続までの工程(第4の工程)をウェハサイズでできるので作業効率の点において好ましい。なお、半導体ウェハにおける接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
また、支持部材13が半導体チップや半導体ウェハであっても良く、この場合は半導体ウェハ同士、半導体チップ14と半導体ウェハ(支持部材13)又は半導体チップ同士を接着することによって半導体装置(半導体積層体)を構成することができる。この積層体には、貫通電極を形成することも可能である。
また、上記製造方法は、第1工程において、接続用電極部に既に導電層9が形成されている半導体ウェハを使用することもできる。この場合は、第2工程において開口11を導電層9が露出するように行い、第3工程を省略して第4工程へ進むことができる。
以下、実施例を挙げて本開示の目的及び利点について、より具体的に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
<(A)成分:アルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性の閉環ポリイミド)>
(PI−A)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mlフラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366)(以下、「BIS−AP−AF」と称する)を14.64g(0.04mol)、ポリオキシプロピレンジアミン(BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)(以下、「D−400」と称する)を17.32g(0.04mol)、及び3,3´−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスプロピルアミン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)(以下、「BY16−871EG」と称する)を2.485g(0.01mol)、m−アミノフェノール2.183g(0.02mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と称する)80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4´−オキシジフタル酸二無水物(以下、「ODPA」と称する、分子量:310.2)を31g(0.1mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−Aを得た。得られたポリイミド樹脂PI−Aを、下記条件にて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定をした。その結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)が25,000であった。なお、後述するGPCの条件は、ポリイミド樹脂PI−Aの測定条件と同一の条件とした。また、PI−AのTgは75℃であった。H−NMRにより残存するカルボキシル基がないことを確認した。
(GPC測定条件)
装置名:東ソー株式会社製 RI−8020
カラム:A150S+A160S
検出器:RI検出器
カラム温度:25℃
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1ml/min
標準物質:ポリスチレン
(PI−B)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンである5,5´−メチレンビス(アントラニル酸)(5,5´−メチレンビス(2−アミノ安息香酸)、和歌山精化工業株式会社製、商品名:MBAA、分子量:286)を5.72g(0.02mol)、D−400を25.98g(0.06mol)、及びBY16−871EGを2.48g(0.01mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−Bを得た。PI−BのGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMwが30,000であった。また、PI−BのTgは45℃であった。
<感光性樹脂組成物の調製>
上記で得られた樹脂及び他の化合物を用いて、下記表1に示した組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、実施例1〜2及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物(接着剤層形成用ワニス)を得た。
表1において、各記号は下記のものを意味する。
<(B)成分:放射線重合性化合物>
M−313:東亞合成株式会社製、商品名、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(放射線重合性基当量:約160g/eq、5%質量減少温度:>400℃)。
<(C)成分:光開始剤>
I−819:BASF社製、商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(5%質量減少温度:210℃、365nmでの分子吸光係数:2300ml/g・cm)。
<(D)成分:イオン交換反応可能な粒子>
IXE−500:東亜合成株式会社、商品名、ビスマス系無機粉末(平均粒径:約1.5μm)。
<(D)成分:イオン交換反応可能な粒子の比較>
R−972:日本アエロジル株式会社製、商品名、疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm)。
<(E)成分:熱硬化性樹脂>
YDF−870GS:新日化エポキシ製造株式会社製、商品名、ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(エポキシ当量:165g/eq、5%質量減少温度:270℃)。
<(F)成分:硬化促進剤>
F−1:四国化成工業株式会社製、商品名、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール。
なお、5%質量減少温度は以下の条件で測定した。すなわち、サンプルを、示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で5%質量減少温度を測定した。また、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:U−3310)を用いて吸光度を測定して求めた。
また、後述する評価試験に記載の方法により、実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物を評価した。その結果を、表2に示した。
Figure 2016114623
Figure 2016114623
<接着シート>
得られた感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)上に塗布し、オーブン中にて120℃で20分間加熱して、基材上に感光性樹脂組成物からなる接着剤層を形成した。このようにして、基材、及び基材上に形成された接着剤層を有する接着シートを得た。
<評価試験>
(フィルム形成性)
上記接着シートのフィルム形成性を評価するため感光性樹脂組成物を基材(剥離剤処理PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)上に塗布し、オーブン中にて120℃で20分間加熱してはじき等が無く、フィルムとしての形態を維持しているかを確認した。維持しているものを「A」、しないものを「B」として評価した。結果を表2に示した。
(パターン形成性)
支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの裏面(支持台と反対側の面)と接するように、ロール加圧(温度80℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層して、サンプルを得た。
シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物を積層したサンプルを、接着剤層側から、ネガ型の円形パターンマスクを介して、露光した。次いで、ホットプレート上で放置後、基材を除去し、現像、水洗、及び乾燥を行った。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物の接着剤パターンを形成した。また、円形パターンマスクは、開口直径/ピッチがX/2X(Xは、20μmから100μmまでの10μm刻みの整数)となる円形パターンが格子状に配列するブロックを、それぞれの開口直径/ピッチごとに有するマスクを用いた。なお、「開口直径」とは、円形パターンの直径を意味し、「ピッチ」とは、隣り合う2つの円形パターンの、中心間の距離を意味する。
形成された接着剤パターンを目視にて観察し、開口直径/ピッチが30μm/60μm以下のパターンが形成されていた場合を「A」、30μm/60μmを超え60μm/120μm以下のパターンが形成されていた場合を「B」、60μm/120μmを超え100μm/200μmのパターンが形成されていた場合を「C」、パターンが形成されていなかった場合を「D」として、パターン形成性を評価した。評価結果を表2に示した。
(フィルム安定性試験)
パターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層した。この状態で室温下(25℃)、2週間放置してからパターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物の接着剤パターンの形成を試みた。このとき形成された接着剤パターンを目視にて観察し、パターン形成性の評価試験と同様に開口直径/ピッチが30μm/60μm以下のパターンが形成されていた場合を「A」、30μm/60μmを超え60μm/120μm以下のパターンが形成されていた場合を「B」、60μm/120μmを超え100μm/200μmのパターンが形成されていた場合を「C」、パターンが形成されていなかった場合を「D」として、パターン形成性を評価した。評価結果を表2に示した。
(高温接着性)
パターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層して、サンプルを得た。シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物を積層したサンプルを、接着剤層側から、高精度平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cmの露光量で露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。基材を備える場合には基材を剥離除去した後、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件でスプレー現像した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で6分間水洗し、120℃で1分間乾燥させた。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層を形成した。
得られたシリコンウェハ、及び硬化物層からなる積層体を、縦3mm、横3mmの大きさに個片化した。個片化した積層体をホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、ガラス基板(縦10mm、横10mm、厚さ0.55mm)上に、硬化物層がガラス基板と接するようにして積層し、2kgfで加圧しながら、150℃で10秒間圧着した。このようにして、シリコンウェハ、硬化物層、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
得られたサンプルを、オーブン中で175℃、3時間の条件で加熱し、さらに、260℃の熱盤上で30秒間加熱した後、せん断接着力試験機(デイジ・ジャパン株式会社製、商品名:Dage−4000)を用いてせん断接着力を測定した。測定結果を表2に示した。接着力が4.0MPa以上の場合を「A」、4.0MPa未満2.0MPa以上の場合を「B」、2.0MPa未満の場合を「C」として、評価を行った。評価結果を表2に示した。
<耐HAST評価(絶縁信頼性の評価)>
作製した接着シートを所定のサイズ(縦10mm、横10mm)に切り出し、くし型電極が形成されている基板(配線ピッチ:0.05mm)に積層した。得られた積層体を、接着シート側から、高精度平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって300mJ/cmで露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。さらに、オーブン中、175℃で3時間加熱により硬化してサンプルを作製した。硬化後、加速寿命試験装置(株式会社平山製作所製、商品名「PL−422R8」、条件:130℃、相対湿度85%、200時間、5V印加)に設置し、絶縁抵抗を測定した。200時間を通して、絶縁抵抗が10Ω以上である場合を「A」、10Ω未満である場合を「B」として評価した。
(耐リフロー性)
上記高温接着性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ、及び硬化物層からなる積層体を、縦5mm、横5mmの大きさに個片化した。ガラス基板の代わりにプリント基板(ガラスエポキシ基板 縦15mm、横15mm、厚さ0.15mm)を用いて、個片化したシリコンチップ、接着剤パターン、及びプリント基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。得られたサンプルを、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱した。加熱後のサンプルを、温度85℃、湿度60%RHの条件下で168時間処理した後、温度25℃、湿度50%RHの環境下に置いた後、250℃、10秒のIRリフローを行い、剥離の有無を外観観察及び超音波探査装置(SAT)で観察した。全く剥離が見られなかったものを「A」、剥離が見られたものを「B」として、耐リフロー性の評価を行った。評価結果を表2に示した。
側鎖にカルボキシル基を有するポリイミド(PI-B)を用いた比較例1は、加熱時にエポキシ樹脂と反応開始しはじめており、フィルム安定性に非常に劣り、また、パターン成形性、高温接着性、耐HAST性、耐リフロー性で劣った。また、(D)成分のイオン交換反応可能な粒子を含まず、シリカ粒子を含む比較例2は、フィルム安定性、耐HAST性で劣り、(D)成分を含まない比較例4は、フィルム形成性に劣り、他の評価ができなかった。また、(C)成分の光開始剤を含まない比較例3は、架橋が不足し、パターン成形性、フィルム安定性に著しく劣った。
これに対し本実施形態の(A)〜(D)成分を含む感光性樹脂組成物は、いずれも優れた特性を示した。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、充分な絶縁信頼性を持ち、かつ良好にパターンを形成できるため、高精細な半導体パッケージの製造に用いる接着剤として好適に用いられる。また、本実施形態のフィルム状接着剤及び接着シートは、基板、ガラス、及びシリコンウェハ等の被着体、又は支持部材上に適用したときに、液状の樹脂組成物を用いる場合よりも位置合わせ精度に優れる上に、露光によるパターン化の解像度を向上させることができ、更に、パターン形成後の基板、ガラス、及び半導体素子等の被着体との低温熱圧着性を有すると共に、熱硬化後の優れた耐熱性を有するため、半導体素子、光学素子、及び固体撮像素子等の保護の用途、微細な接着領域が求められる接着剤、並びに、バッファーコート用途に好適に使用できる。
1…フィルム状接着剤(接着剤層)、2…カバーフィルム、3…基材、4…マスク、8…半導体ウェハ、9…導電層、11…開口、12…半導体ウェハ、13…支持部材、14…半導体チップ、18…回路面、20…接着剤層付半導体ウェハ、100,110…接着シート、230…半導体装置。

Claims (19)

  1. (A)成分:アルカリ可溶性基として側鎖、又は末端にフェノール性水酸基を有する、アルカリ可溶性の閉環ポリイミド、(B)成分:放射線重合性化合物、(C)成分:光開始剤、及び(D)成分:イオン交換反応可能な粒子を含有する感光性樹脂組成物。
  2. 前記イオン交換反応可能な粒子の平均粒径が0.5μm以上、10μm以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分のアルカリ可溶性の閉環ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンを反応させて得られる末端基又は側鎖基としてフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分のアルカリ可溶性の閉環ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物と、フェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10〜80モル%含有するジアミンと、フェノール性水酸基含有アミンと、を反応させて得られるポリイミド樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記フェノール性水酸基含有ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンを含む、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2016114623
    [一般式(A−1)中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。]
  6. 前記ジアミンが、下記一般式(A-2)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10〜80モル%含有する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2016114623
    [一般式(A-2)中、R〜Rは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。]
  7. 前記(A)成分の重量平均分子量が、5000〜100000である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(A)成分のガラス転移温度が、40〜150℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(B)成分の放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. (E)成分:熱硬化性樹脂を更に含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記(E)成分の熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含有する、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記(E)成分の熱硬化性樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有する、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
  13. (F)成分:硬化促進剤を更に含有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  14. 半導体素子同士の接続及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接続に使用される接着剤として用いる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって得られる、フィルム状接着剤。
  16. 基材と、該基材上に請求項15に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層と、を備える、接着シート。
  17. 被着体上に請求項15に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
  18. 半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に請求項15に記載のフィルム状接着剤を用いて形成される接着剤層と、を備える接着剤層付半導体ウェハ。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
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