JP2016180929A - 感光性樹脂組成物、感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ及び半導体装置。 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ及び半導体装置。 Download PDF

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一行 満倉
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亮太 税所
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Abstract

【課題】低熱膨張性、高温接着性及びフィルム形成性に優れる感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供することを目的とする。【解決手段】(A)フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、(B)エチレン性不飽和基を有する化合物と、(C)熱硬化性樹脂と、(D)光開始剤と、(E)有機基を有するシリカと、を含む感光性樹脂組成物であって、有機基を有するシリカの平均粒径が30〜400nmであり、有機基を有するシリカの含有量が、感光性樹脂組成物全質量基準で、25〜60質量%である感光性脂組成物。【選択図】図3

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ及び半導体装置に関する。
近年の半導体デバイスの高機能化、小型化に伴い、半導体素子をフェイスダウン構造で配線回路基板に搭載するフリップチップ実装が行われている。フリップチップ実装においては、半導体チップのシリコンと基板及び銅との熱膨張係数差に由来する応力が接続部分に集中しないようにするために、通常、半導体素子と配線回路基板の間隙に樹脂封止がなされる。樹脂封止の方式としては、チップと基板とを電気的に接続した後に、毛細管現象を利用して低粘度の液状樹脂を注入する後入れ方式や、基板上にアンダーフィル材を設けた後にチップを搭載する先供給方式がある。
後入れ方式は、チップ及び基板が狭ギャップ化、狭ピッチ化してくると、ボイドを発生させることなく液状樹脂を充填することが難しく、また大量生産に向かない。
先供給方式で液状樹脂を塗布する場合、ディスペンサーによる精密な塗布量コントロールが困難である。特に、近年の薄型化されたチップを実装する場合、塗布量が多すぎると、ボンディング時に滲み出した樹脂がチップの側面を這い上がり、ボンディングツールを汚染してしまう。そのため、本方式では、ツールの洗浄が必要となり、量産時の工程が煩雑化する。
他方、フィルム状樹脂を用いる場合、フィルムの厚みを調整することによって最適な樹脂量を与えることが容易にできる反面、仮圧着工程と呼ばれるフィルム状樹脂を基板に貼付ける工程を必要とする。通常、仮圧着工程は、対象となるチップ幅よりも大きめの幅にスリットされたリール状の樹脂テープを用意し、チップサイズに応じて基材上の樹脂テープをカットして樹脂が反応しない程度の温度で基板上に熱圧着する。ところが、チップ搭載位置にフィルムを精度よく供給することは難しく、また微小チップなどに対応した細幅のリール加工は困難であることから、一般的に、歩留まりの確保には、仮圧着で貼付けるフィルムをチップサイズより大きくすることで対応している。そのため、本方式では、隣接部品との距離に余裕を設ける必要があり、高密度化実装に対応しにくい。
最近、高密度化実装技術の一つとして、樹脂層付半導体ウェハを作製し、このウェハから得られる樹脂層付半導体素子を用いる方法が検討されている。例えば、下記特許文献1には、フィルム状の樹脂が貼付されたウェハを準備し、このウェハの裏面を研削した後、ウェハを樹脂と共に切断してチップ化することにより、チップにチップサイズと同サイズの樹脂が付着したフィルム状樹脂付チップを作製し、これを回路基板に実装して半導体装置を製造する方法が提案されている。また、下記特許文献2には、溶剤を含有する樹脂ペーストをスピンコートにより半導体ウェハ上に塗布し、塗布された樹脂ペーストを加熱乾燥によりBステージ化する方法が検討されている。
特開2006−049482号公報 特開2009−38349号公報
ところで、高密度化実装技術の一つとして、パターン形成可能な感光性樹脂組成物を用いる方法が検討されている。このような用途で用いられる感光性樹脂組成物は、低熱膨張性、高温接着性及びフィルム形成性に優れることが望ましい。そこで本開示は、低熱膨張性、高温接着性及びフィルム形成性に優れる感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有する化合物と、熱硬化性樹脂と、光開始剤と、有機基を有するシリカと、を含む感光性樹脂組成物であって、有機基を有するシリカの平均粒径が30〜400nmであり、有機基を有するシリカの含有量が、感光性樹脂組成物全質量基準で、25〜60質量%である感光性脂組成物を提供する。本開示の感光性樹脂組成物は、上記構成を備えることにより、低熱膨張性、高温接着性、フィルム形成性及びフィルムを形成して使用する場合のパターン形成性に優れる。本開示の感光性樹脂組成物は、低熱膨張性に優れるため、耐温度サイクル性、耐HAST性等の耐熱及び耐湿信頼性に優れる。また、本開示の感光性樹脂組成物がフィルム形成性に優れることにより、本開示の感光性樹脂組成物はフィルム製造時の歩留まりに優れる。
本開示の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得られる厚さ20μmの感光性フィルムの、400〜900nmの波長域における最大透過率が50%以上であることが好ましい。
本開示の感光性樹脂組成物は、フィルム形成性に更に優れ、フィルム製造時の歩留まりに更に優れる観点から、有機基が、エチレン性不飽和基又はフェニル基であることが好ましい。
別の側面において、本開示は、上記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得られる、感光性フィルムに関する。本開示の感光性フィルムは、上記感光性樹脂組成物を用いて形成されるため、高温接着性、パターン形成性、低熱膨張性に十分優れる。特に、本開示の感光性フィルムは、低熱膨張性に優れるため、優れた耐熱及び耐湿信頼性を有する。
また、本開示は、基材と、該基材上に形成された上記感光性フィルムからなる感光層と、を備える感光性シートに関する。
また、本開示は、被着体上に積層された上記感光性フィルムからなる感光層を、フォトマスクを介して露光し、露光後の感光層をアルカリ現像液により現像処理することにより得られる樹脂パターンに関する。また、本開示の樹脂パターンは、被着体上に積層された上記感光性フィルムからなる感光層を、直接描画露光技術を用いて直接パターンを描画露光し、露光後の感光層をアルカリ水溶液により現像処理することにより形成されるものでもよい。本開示の樹脂パターンは、上記感光性フィルムからなる感光層を用いて得られるため、熱圧着性に優れた高精細なパターンである。
また、本開示は、半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された上記感光性フィルムからなる感光層と、を備える樹脂層付半導体ウェハに関する。
さらに、本開示は、上記感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する半導体装置に関する。本開示の半導体装置は、上記感光性樹脂組成物を用いて半導体素子同士及び/又は半導体素子と半導体素子搭載用支持部材が接着されているため、製造プロセスの簡略化にも十分対応可能であり、且つ優れた信頼性を具備する。
本開示によれば、低熱膨張性、高温接着性、フィルム形成性及びフィルムを形成して使用する場合のパターン形成性に優れる感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供することができる。
また、本開示によれば、金属バンプが形成された回路面を有する半導体ウェハの回路面上に樹脂層を設ける場合に、バンプ上部の樹脂を現像によって除去することができ、耐温度サイクル性、耐HAST性等の耐熱及び耐湿信頼性に優れると共に、フィルム製造時の歩留まりに優れる感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた感光性フィルム、感光性シート、樹脂パターン、樹脂層付半導体ウェハ、及び半導体装置を提供することができる。
本開示の感光性フィルムの一実施形態を示す端面図である。 本開示の感光性シートの一実施形態を示す端面図である。 本開示の感光性シートの一実施形態を示す端面図である。 本開示の樹脂層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図である。 図4のIV−IV線に沿った端面図である。 本開示の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。 本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において、「高温接着性」とは、感光性樹脂組成物を硬化物にした場合の、加熱下での接着性を意味する。「フィルム形成性」とは、フィルム形成時にピンホール(例えば、500μm以上のピンホール)やフィッシュアイが少ないことを意味する。「パターン形成性」とは、被着体上に形成された感光性フィルムからなる感光層を、フォトマスクを介して露光し、次いで、アルカリ現像液により現像したときに得られる樹脂パターンの精度を意味する。樹脂パターンの精度は、開口部の径の大きさ、開口部の樹脂パターン側壁における凹凸の有無等により評価される。「フィルム製造時の歩留まり」とは、フィルム形成性に優れることやシリカ充填材の分散性が良好であることを意味する。感光性樹脂組成物の「貼付性」とは、感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって得られる感光性フィルムとした場合の貼付性を意味する。感光性樹脂組成物の「熱圧着性」とは、上記樹脂パターンを加熱下で支持部材等に圧着(熱圧着)したときの接着具合を意味する。感光性樹脂組成物の「耐熱性」とは、上記樹脂パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温下においたときの耐剥離性を意味する。
(感光性樹脂組成物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)エチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)熱硬化性樹脂(以下、「(C)成分」ともいう。)と、(D)光開始剤(以下、「(D)成分」ともいう。)と、(E)有機基を有するシリカ(以下、「(E)成分」ともいう。)と、を含む感光性樹脂組成物であって、有機基を有するシリカの平均粒径が30〜400nmであり、有機基を有するシリカの含有量が、感光性樹脂組成物全質量基準で、25〜60質量%である。
<(A)成分>
(A)成分のTgは150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが最も好ましい。このTgが150℃を超える場合、感光性フィルム(感光層)を被着体(半導体ウェハ)に貼り合わせる際に150℃以上の高温を要し、半導体ウェハに反りが発生しやすくなる傾向がある。感光性フィルムの半導体ウェハへの貼り付け温度は、半導体ウェハの反りを一層抑制するという観点から、20〜150℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。上記温度での貼り付けを可能にするためには、感光性フィルムのTgを150℃以下にすることが好ましい。一方、Tgが−20℃未満であると、Bステージ状態でのフィルム表面のタック性が強くなり過ぎて、取り扱い性が良好でなくなる傾向がある。
ここで、(A)成分の「Tg」とは、(A)成分をフィルム化したときの、主分散ピークを意味する。具体的には、レオメトリックス社製粘弾性アナライザー「RSA−2」(商品名)を用いて、フィルム厚100μm、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−150〜300℃の条件での、tanδピーク温度を、Tgとした。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、5000〜500000の範囲内で制御されていることが好ましい。(A)成分のMwは、良好な歩留まりと高温接着性とをより高度に両立できる点で、10000〜300000であることがより好ましく、さらに、パターン形成性をより向上できる点で、10000〜100000であることが更に好ましい。(A)成分のMwが上記範囲内にあると、感光性樹脂組成物をシート状又はフィルム状としたときの強度、可とう性及びタック性が良好となる。また、熱時流動性が良好となるため、基板表面の配線段差(凹凸)に対する良好な埋込性を確保することが可能となる。上記Mwが5000以上であると、フィルム形成性が一層良好となる傾向がある。一方、上記Mwが500000以下であると、高温接着性が一層良好となる傾向があり、且つ、パターンを形成する際に感光性樹脂組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が一層良好となる傾向がある。ここで、「重量平均分子量(Mw)」とは、島津製作所社製高速液体クロマトグラフィー「C−R4A」(商品名)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
(A)成分のTg及び重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、ウェハへの貼り付け温度を低く抑えることができる。さらに、半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に接着固定する際の加熱温度(熱圧着温度)も低くすることができ、半導体素子の反りの増大を抑制することができる。また、貼付性、熱圧着性や現像性を有効に付与することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合には、良好な現像性が得られる点で、(A)成分はアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(A)成分は、アルカリ可溶性基を末端又は側鎖に有するものがより好ましい。(A)成分は、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基以外のアルカリ可溶性基を更に有する樹脂であってよい。フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基以外のアルカリ可溶性基としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール基、水酸基、スルホニル基など等が挙げられる。(A)成分はこれらの官能基の1種を単独で有するポリマーであってよく、2種以上を有するポリマーであってよい。
(A)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂、並びに、これらの共重合体及びこれらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、及びフェノール樹脂が挙げられる。
これらの中でも、高温接着性、耐熱性及びフィルム形成性の観点から、(A)成分はイミド基を有する樹脂又は重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体であることが好ましい。
イミド基を有する樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。すなわち、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを混合し(各成分の添加順序は任意)、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、樹脂組成物の諸特性を一層向上させるため、上記のテトラカルボン酸二無水物は無水酢酸で再結晶精製処理したものであることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物とジアミンは、その組成比が、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が、好ましくは0.5〜2.0mol、より好ましくは0.8〜1.0molとなるように混合することができる。
上記縮合反応におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの組成比については、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が2.0mol以下であると、得られるポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂における、アミン末端のポリイミドオリゴマーの量が多くなりにくい傾向があり、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量が低くなりにくく、樹脂組成物の耐熱性を含む種々の特性に一層優れる傾向がある。一方、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対してジアミンの合計が0.5mol以上であると、酸末端のポリイミド樹脂オリゴマー又はポリアミドイミド樹脂オリゴマーの量が多くなりにくい傾向があり、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量が低くなりにくく、樹脂組成物の耐熱性を含む種々の特性に一層優れる傾向がある。
ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法、脱水剤を使用する化学閉環法等で行うことができる。
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限はなく、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、及び下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。下記一般式(1)中、aは2〜20の整数を示す。
Figure 2016180929
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、無水トリメリット酸モノクロライド、及び対応するジオールから合成することができ、具体的には1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、及び1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物としては、溶剤への良好な溶解性及び耐湿性、並びに波長が365nmである光に対する透明性を付与する観点から、下記式(2)、又は(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
Figure 2016180929
以上のようなテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂の原料として用いられるジアミンは、下記一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(A−1)で表される芳香族ジアミンを含むことが好ましい。これら下記一般式(4)〜(7)で表されるジアミンは、全ジアミンの1〜100モル%とすることが好ましく、3〜80モル%とすることが更に好ましく、5〜50モル%とすることが最も好ましい。
上記カルボキシル基及び/又は水酸基含有ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂の原料として用いられるジアミンは、下記一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(A−1)で表される芳香族ジアミンを含むことが好ましい。これら下記一般式(4)〜(7)又は(A−1)で表されるジアミンは、全ジアミンの1〜100モル%とすることが好ましく、3〜80モル%とすることが更に好ましく、5〜50モル%とすることが最も好ましい。
Figure 2016180929
式中R21は、単結合、又は、2価の有機基を示す。2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、又は、ハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、―SO−、−O−、−S−、―NH−(C=O)−、―(C=O)−O−、下記一般式(B−1)で表される基、及び下記一般式(B−2)で表される基が挙げられる。式中、nは1〜20の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。
Figure 2016180929
上記R21は、ポリイミド樹脂のTgを上昇させたときのパターン形成性を良好にする観点から、−C(CF−、及び−C(CH−が好ましい。このような基を有する上記ジアミンを用いることにより、パターン形成時にポリイミドのイミド基同士の凝集を抑制でき、アルカリ現像液が浸透しやすくなることでパターン形成性を向上させることができる。これにより、ポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となり、耐湿信頼性がさらに向上した感光性樹脂組成物の実現が可能となる。
本実施形態においては、上記ジアミンが、下記式(C)で表される、フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンを含むことが好ましい。ポリイミド鎖にフルオロアルキル基が導入されることによって、ポリイミド同士の分子鎖凝集力が低下し、現像液が浸透しやすくなる。その結果、上記感光性樹脂組成物のパターン形成性(溶解現像性、細線化)がさらに向上する。また、ポリイミドの凝集力の低下によって、熱圧着性を向上させることができ、さらにはポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となる。これにより、耐湿信頼性及び耐リフロー性がさらに向上した感光性樹脂組成物の実現が可能となる。
Figure 2016180929
フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンは、全ジアミンの5モル%〜100モル%とすることが好ましく、10モル%〜90モル%とすることがさらに好ましく、10モル%〜80モル%とすることが更により好ましく、20モル%〜80モル%とすることが特に好ましく、30モル%〜70モル%とすることが最も好ましい。
上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるその他のジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、及び3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン、並びに、下記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが挙げられる。下記一般式(8)中、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。下記一般式(9)中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、又はフェニレン基を示し、R、R、R、及びRは各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又はフェノキシ基を示し、dは1〜5の整数を示す。なお、上記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。
Figure 2016180929
このような脂肪族エーテルジアミンとして具体的には、例えば、サンテクノケミカル(株)製ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2000、EDR−148、BASF(製)ポリエーテルアミンD−230、D−400、及びD−2000等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、全ジアミンの1〜80モル%であることが好ましく、他配合成分との相溶性、また低温貼付性及び熱圧着性と高温接着性とを高度に両立できる点で5〜60モル%であることがより好ましい。この量が1モル%未満であると、高温接着性、熱時流動性の付与が困難になる傾向にあり、一方、80モル%以下であれば、ポリイミド樹脂のTgが低くなり過ぎず、フィルムの自己支持性が得られやすくなる傾向にある。
上記ジアミンの中でも、他成分との相溶性、有機溶剤可溶性、アルカリ可溶性を付与する点で、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンが好ましく、室温での密着性、接着性を付与する点で、上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが好ましい。
上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとして具体的には、式(9)中のdが1のものとして、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、及び1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられ、dが2のものとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等が挙げられる。上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンは、例えば、BY16−871EG(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)として入手可能である。
上述したジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのジアミンは、全ジアミンの0.5〜80モル%とすることが好ましく、低温貼付性及び熱圧着性と高温接着性とを高度に両立できる点で1〜50モル%とすることが更に好ましい。0.5モル%以上であれば、シロキサンジアミンを添加した効果が得られやすく、80モル%以下であれば、他成分との相溶性、高温接着性及び現像性が得られやすくなる傾向がある。
また、上記ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂は、1種を単独で又は必要に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。
また、ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂の組成を決定する際には、そのTgが150℃以下となるように設計することが好ましく、ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂の原料であるジアミンとして、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンを用いることが特に好ましい。
上記ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂の合成時に、下記一般式(10)、(11)又は(12)で表される化合物のような単官能酸無水物やm−アミノフェノールのような単官能アミンを縮合反応液に投入することにより、ポリマー末端に酸無水物又はジアミン以外の官能基を導入することができる。また、これにより、ポリマーの分子量を低くし、パターン形成時の現像性及び熱圧着性を一層向上させることができる。単官能酸無水物又は単官能アミンが有する官能基としては、特に限定されないが、パターン形成時のアルカリ可溶性を一層向上させる点で、カルボキシル基、フェノール性水酸基、グリコール基等のアルカリ可溶性基が好ましい。また、接着性を付与する点で、下記一般式(12)で表される化合物やアミノ基を有する(メタ)アクリレート等の放射線重合性基及び/又は熱硬化性基を有する化合物が好ましく用いられる。また、低吸湿性を付与する点で、シロキサン骨格等を有する化合物も好ましく用いられる。
Figure 2016180929
上記ポリイミド樹脂及び/又はポリアミドイミド樹脂は、光硬化性の観点から、30μmのフィルム状に成形した時の波長365nmの光に対する透過率が10%以上であることが10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。透過率が10%以上であれば、パターン形状が被着体に対して垂直となる。また、透過率が20%以上であればより低露光量でパターン形成できる。このようなポリイミド樹脂は、例えば、上記一般式(2)で表される酸無水物と、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン及び/又は上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとを反応させることで合成することができる。
アクリル樹脂は、下記式(13)で表される構造単位を有する樹脂であることが好ましい。式(13)で表される構造単位は、ヒドロキシフェニル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート化合物に基づく単位である。
Figure 2016180929

式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数1〜4のアルキル基を示し、xは0〜4の整数を示す。
(A)成分は、式(13)で表される構造単位を(A)成分の総量に対して、10〜80モル%有することが好ましく、20〜60モル%有することがより好ましい。
(A)成分は、式(13)で表される構造単位と共に、又は単独で、式(13)で表される構造単位以外の他の構造単位(以下、単に「他の構造単位」という)を有するものであってよい。
(A)成分が、式(13)で表される構造単位と共に、他の構造単位を有するものである場合、(A)成分を構成する他の構造単位は、式(13)で表される構造単位を有する重合性単量体と共重合可能な重合性単量体に由来する構造単位である。このような重合性単量体として、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸ジヒドロジシクロペンテニル、メタクリル酸ジヒドロジシクロペンテニル、イタコン酸ジヒドロジシクロペンテニル、マレイン酸ジヒドロジシクロペンテニル、フマル酸ジヒドロジシクロペンテニル、アクリル酸ジヒドロジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジヒドロジシクロペンテニルオキシエチル、イタコン酸ジヒドロジシクロペンテニルオキシエチル、マレイン酸ジヒドロジシクロペンテニルオキシエチル、フマル酸ジヒドロジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸1,1−ジメチルプロペニル、アクリル酸1,1−ジメチルプロペニル、メタクリル酸3,3−ジメチルブテニル、アクリル酸3,3−ジメチルブテニル、イタコン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フマル酸ジビニル、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,1−ジメチルプロペニルメタクリレート、1,1−ジメチルプロペニルアクリレート、3,3−ジメチルブテニルメタクリレート、3,3−ジメチルブテニルアクリレート、ビニル1,1−ジメチルプロペニルエーテル、ビニル3,3−ジメチルブテニルエーテル、1−アクリロイルオキシ−1−フェニルエテン、1−アクリロイルオキシ−2−フェニルエテン、1−メタクリロイルオキシ−1−フェニルエテン、1−メタクリロイルオキシ−2−フェニルエテン等が挙げられる。
(A)成分は、上記式(13)で表される構造単位に加え、下記式(14)で表される構造単位を有することが好ましい。すなわち、上述の重合性単量体の中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合成分として用いることがより好ましい。
Figure 2016180929

式中、R13は水素原子又はメチル基を示す。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として5〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。この含有量が5質量%以上であれば、パターン形成時の現像性が得られやすくなる傾向があり、90質量%以下であれば、パターン形成時の現像性及び接着性が得られやすくなる傾向がある。
(A)成分のアルカリ溶解性が乏しい場合、又は、(A)成分がアルカリ溶媒に溶解しない場合、溶解助剤として、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する樹脂、及び/又は親水性基を有する樹脂を更に添加してもよい。親水性基を有する樹脂とは、アルカリ可溶性の樹脂であれば特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール基のようなグリコール基を有する樹脂が挙げられる。
<(B)成分>
(B)成分は、エチレン性不飽和基を有する化合物である(ただし、(A)成分を除く。)。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましく、(B)成分は2官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。このようなアクリレートとしては、特に制限されないが、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(18)で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、及び尿素アクリレート等が挙げられる。下記一般式(18)中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、又はメチル基を示し、g及びhは各々独立に、1〜20の整数を示す。
Figure 2016180929
これらの(B)成分は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、上記一般式(18)で表されるグリコール骨格を有する(B)成分は、アルカリ可溶性、硬化後の耐溶剤性を十分に付与できる点で好ましく、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ/トリアクリレート、及び、イソシアヌル酸EO変性ジ/トリメタクリレートは、硬化後の高接着性を十分に付与できる点で好ましい。
また、(B)成分は、3官能以上のアクリレート化合物を含有するものであることが好ましい。この場合、硬化後の接着性をより向上させることができるとともに、加熱時のアウトガスを抑制することができる。
また、(B)成分は、硬化後の耐熱性を十分に付与できる点で、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ及びトリアクリレートを含有するものであることが最も好ましい。
また、官能基(エチレン性不飽和基)当量の高い(B)成分を用いることで、一層、低応力化、低反り化することが可能となる。(B)成分は、官能基当量が200eq/g以上であることが好ましく、300eq/g以上であることがより好ましく、400eq/g以上であることが最も好ましい。官能基当量が200eq/g以上のグリコール骨格と、ウレタン基及び/又はイソシアヌル基とを有する(B)成分を用いることにより、感光性樹脂組成物の現像性及び接着性を一層向上させ、かつ、一層、低応力化、低反り化することが可能となる。また、官能基当量が200eq/g以上の放射線重合性化合物と官能基当量が200eq/g以下の放射線重合性化合物を併用してもよい。この場合、(B)成分としてウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることが好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0〜300質量部であることが好ましく、10〜250質量部であることがより好ましい。この含有量が300質量部以下であれば、重合により熱溶融時の流動性が低下しにくく、熱圧着時の接着性が低下しにくい傾向にある。一方、10質量部以上であると、露光による光硬化後の耐溶剤性が低くなりにくく、パターンを形成するのが容易となる。つまり、現像前後の膜厚変化が大きくなりにくく、残渣が多くなりにくい傾向にある。また、熱圧着時に溶融しにくく、パターンが変形しにくい傾向にある。
<(C)成分>
(C)熱硬化性樹脂とは、熱により架橋反応を起こしうる反応性の樹脂をいう。このような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリイソシアネート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含有する樹脂、トリアリルトリメリタートを含有する樹脂、シクロペンタジエンから合成された熱硬化性樹脂、芳香族ジシアナミドの三量化による熱硬化性樹脂等が挙げられる。中でも、高温において優れた接着力を持たせることができる点で、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びビスマレイミド樹脂が好ましく、取り扱い性及び半導体装置の組立時の熱履歴に対する熱反応性の点からエポキシ樹脂が特に好ましい。これら熱硬化性樹脂は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂が好ましい。硬化性や硬化物特性の点からは、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が極めて好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、AD、S又はFのグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体のグリシジルエーテル、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加体のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型又は4官能型のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型又は4官能型のグリシジルアミン、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
シアネート樹脂としては、例えば、2,2’−ビス(4−シアネートフェニル)イソプロピリデン、1,1’−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス[4−シアネートフェニル−1−(1−メチルエチリデン)]ベンゼン、シアネーテッドフェノール−ジシクロペンタンジエンアダクト、シアネーテッドノボラック、ビス(4−シアナートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナートフェニル)エーテル、レゾルシノールジシアネート、1,1,1−トリス(4−シアネートフェニル)エタン、2−フェニル−2−(4−シアネートフェニル)イソプロピリデン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
ビスマレイミド樹脂としては、例えば、o−、m−又はp−ビスマレイミドベンゼン、4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼン、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂を用いる場合、これを硬化させるために、硬化剤、硬化促進剤、触媒等の添加剤を感光性樹脂組成物中に適宜加えることができる。触媒を添加する場合は、助触媒を、必要に応じて使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂の硬化剤又は硬化促進剤を使用することが好ましく、これらを併用することがより好ましい。硬化剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ現像液への溶解性に優れる点から、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が好ましい。
上記分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンクレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、トリスフェノールノボラック樹脂、テトラキスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化を促進するものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0〜200質量部が好ましく、硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0〜50質量部が好ましい。
熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂を使用する場合、触媒及び必要に応じて助触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えば、コバルト、亜鉛、銅等の金属塩や金属錯体などが挙げられ、助触媒としてはアルキルフェノール、ビスフェノール化合物、フェノールノボラック等のフェノール系化合物などが好ましい。
熱硬化性樹脂としてビスマレイミド樹脂を使用する場合、その硬化剤としてラジカル重合剤を使用することが好ましい。ラジカル重合剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。このとき、ラジカル重合剤の使用量は、ビスマレイミド樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部が好ましい。
(D)成分(光開始剤)としては、感度向上の点から、波長365nmの光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上であるものが好ましく、2000ml/g・cm以上であるものがより好ましい。なお、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−3310」(商品名))を用いて吸光度を測定することにより求められる。
感光性樹脂組成物を膜厚30μm以上の感光層とする場合には、感度向上、内部硬化性向上の観点から、(D)成分としては、光照射によってブリーチングするものがより好ましい。このような(D)成分としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイドの中からUV照射によって光退色する化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
<(E)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分として、平均粒径が30〜400nmである、有機基を有するシリカを含有することにより、低熱膨張性、高温接着性、フィルム形成性及びフィルムを形成して使用する場合のパターン形成性に優れる。なお、本明細書において「シリカ」とは、シリカを含む粒子を意味する。
平均粒径が30nm未満である場合、十分な低熱膨張性が得られにくい傾向及び(E)成分の十分な分散性が得られにくい傾向がある。平均粒径が400nmを超える場合、十分なフィルム形成性が得られにくい傾向及び(E)成分の十分な分散安定性が得られにくい傾向がある。(E)成分の平均粒径は、低熱膨張性をより向上する観点から50nm以上であることが好ましい。また、パターン形成性をより向上する観点から250nm以下であることが好ましく、視認性を向上する観点から100nm以下であることがより好ましい。上記特性を全て満たす点で、(E)成分の平均粒径は50〜100nmであることが最も好ましい。ここで、平均粒径とは、小粒径側からの重量累積粒度分布を描いた場合に、累積が50%となる粒子径を意味する。重量累積粒度分布は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製LS13)を用いることができる。測定用のフィラー分散液の調製は、フィラーが有機溶剤の分散液の場合は、同じ有機溶剤で、装置の感度上適切な光量となるよう希釈して行う。また、フィラーが粉体の場合は、粉体を0.1質量%のメタりん酸ナトリウム水溶液に投入し、超音波分散させ、装置の感度上適切な光量となる濃度で測定する。
(E)成分において、シリカは、有機基を有する。有機基とは、炭素を含有する置換基をいい、この置換基のその他の構造は特に限定されない。有機基としては、メタクリル基、ビニル基、フェニル基、エポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、フィルム製造時の歩留まりの観点から、エチレン性不飽和基又はフェニル基であることが好ましい。(E)成分は、上記有機基の1種を単独で、又は2種以上を表面に有するシリカであってよい。(E)成分は、例えば、有機基を有する化合物を用いて、シリカを表面修飾(表面処理)することで得られるが、その方法は、特に制限されるものではない。
(E)成分が均一に分散されたフィルムを得るために、あらかじめ溶媒中に(E)成分を分散しておくことが好ましい。(E)成分としては、均一な膜厚のフィルムを得ることができる観点から、20質量%以上の質量濃度で溶媒に分散可能であるものが好ましい。さらに、ピンホールを抑制できる観点から、30質量%以上の質量濃度で溶媒に分散可能であるものがより好ましい。さらに、フィルム形成時の樹脂ワニス粘度を高くすることができる観点から、40質量%以上の質量濃度で溶媒に分散可能であるものが最も好ましい。20質量%以上の質量濃度で溶媒に分散可能である場合、樹脂ワニス粘度が低くなりすぎず、フィルム形成時にピンホールやフィッシュアイの不具合が発生しにくい傾向があるため、20質量%以上で分散できる(E)成分を選定することが好ましい。
(E)成分の分散液は量産性に優れる観点から、分散処理後に24時間以上分散状態を保持できるものであることが好ましい。分散の安定性が良好である場合、分散処理後の樹脂ワニス作製、フィルム作製までの裕度を十分に確保することができるため量産性に優れる。分散性及び分散安定性に優れる(E)成分を用いることにより、均一に(E)成分が充填されたフィルムを得ることができ、良好なパターン形状を得ることができる。
(E)成分の含有量は、感光性組成物全質量基準で25〜60質量%である。(E)成分の含有量が25質量%未満である場合、優れた低熱膨張性が得られにくい傾向がある。(E)成分の含有量が60質量%を上回る場合、優れたパターン形成性及び高温接着性が得られにくい傾向がある。(E)成分の含有量は、低熱膨張性、パターン形成性及び高温接着性に一層優れる点で、30〜55質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
さらに、本開示の感光性樹脂組成物には、適宜(E)成分以外のフィラーを含有させることもできる。フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉等の金属フィラー、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機フィラー、カーボン系フィラー、ゴム系フィラー等の有機フィラーなどが挙げられ、種類、形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
上記フィラーは、所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、金属フィラーは、樹脂組成物に導電性、熱伝導性、チキソ性等を付与する目的で添加され、非金属無機フィラーは、感光層に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加され、有機フィラーは感光層に靭性等を付与する目的で添加される。
上記フィラーの中でも、半導体装置用接着材料に求められる、導電性、熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる点で、金属フィラー、無機フィラー及び絶縁性のフィラーが好ましく用いられる。無機フィラー及び絶縁性フィラーの中では、樹脂ワニスに対する分散性が良好であり、かつ、熱時の高い接着力を付与できる点で、シリカフィラーが好ましく用いられる。上記フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、保存安定性、プロセス適応性又は酸化防止性を付与するために、キノン類、多価フェノール類、フェノール類、ホスファイト類、イオウ類等の重合禁止剤又は酸化防止剤を、硬化性を損なわない範囲で更に添加してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系及びアルミニウム系が挙げられ、中でも効果が高い点で、シラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基等の熱硬化性基、並びに、メタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有する化合物がより好ましい。また、上記シラン系カップリング剤の沸点及び/又は分解温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。つまり、200℃以上の沸点及び/又は分解温度で、かつエポキシ基等の熱硬化性基、並びに、メタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有するシラン系カップリング剤が最も好ましく用いられる。上記カップリング剤の使用量は、その効果、耐熱性及びコストの面から、使用する(A)成分100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を良くするために、イオン捕捉剤を更に添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、トリアジンチオール化合物、及びフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系及びズズ系並びにこれらの混合系等の無機化合物等が挙げられる。
上記イオン捕捉剤の具体例としては、東亜合成(株)製の無機イオン捕捉剤、商品名、IXE−300(アンチモン系)、IXE−500(ビスマス系)、IXE−600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE−700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE−800(ジルコニウム系)及びIXE−1100(カルシウム系)がある。これらは1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果、耐熱性、コスト等の点から、(A)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
感光性樹脂組成物は、基板のアライメントマークを装置搭載カメラで視認するため、感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得られる厚さ20μmの感光性フィルムの、400〜900nmの波長域における最大透過率が50%以上であることが好ましく、アライメント認識エラーを一層防止できる点で、65%以上であることがより好ましい。
感光性樹脂組成物を硬化した後の線膨張係数は、80×10−6/℃以下であることが好ましく、60×10−6/℃以下であることがより好ましい。線膨張係数が80×10−6/℃以下であれば、基板の反りを抑制できる傾向があり、線膨張係数が60×10−6/℃以下であれば、温度サイクルなどの信頼性に優れる傾向がある。
(感光性フィルム)
上記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状の感光性樹脂組成物(感光性フィルム)を得ることができる。図1は、本開示の感光性フィルムの一実施形態を示す端面図である。図1に示す感光性フィルム1は、上記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形したものである。
感光性フィルム1は、例えば、図2に示す基材3上に上記感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることによってフィルム状に成形される。このようにして、基材3と、基材3上に形成された上記感光性フィルムからなる感光層1とを備える感光性シート100が得られる。図2は、本開示の感光性シート100の一実施形態を示す端面図である。図2に示す感光性シート100は、基材3と、これの一方面上に設けられた感光性フィルムからなる感光層1とから構成される。
図3は、本開示の感光性シートの他の一実施形態を示す端面図である。図3に示す感光性シート110は、基材3と、これの一方面上に設けられた感光性フィルムからなる感光層1とカバーフィルム2とから構成される。
感光性フィルム1は、例えば、以下の方法で得ることができる。まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び必要に応じて添加される他の成分を含む感光性樹脂組成物を、有機溶媒中で混合し、混合液を混練してワニスを調製する。次に、基材3上にこのワニスを塗布してワニスの層を形成し、加熱によってワニス層を乾燥した後に基材3を除去する。このとき、基材3を除去せずに、感光性シート100の状態で保存、又は使用することもできる。また、感光層1の基材3が設けられている面とは反対の面にカバーフィルム2を積層した上で、感光性シート110の状態で保存、又は使用することもできる。
ワニスの調製に用いる有機溶媒、すなわちワニス溶剤は、材料を均一に溶解、又は分散できるものであれば、特に制限はない。例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、及びN−メチル−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。
上記混合、及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱による乾燥は、(C)成分が充分には反応しない温度で、且つ、溶媒が充分に揮散する条件で行う。上記「(C)成分が充分には反応しない温度」とは、具体的には、DSC(例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。具体的には、通常60℃〜180℃で、0.1分〜90分間加熱することによってワニス層を乾燥させる。乾燥前のワニス層の厚みは、1μm〜200μmが好ましい。この厚みが1μm以上であると、接着固定機能が充分となる傾向があり、200μm以下であると、後述する残存揮発分が少なくなる傾向がある。
得られたワニス層の残存揮発分は10質量%以下が、好ましい。この残存揮発分が10質量%以下であると、組立加熱時の溶媒揮発による発泡が原因となる感光層内部にボイドが残存しにくくなり、耐湿性が向上する傾向がある。また、加熱時に発生する揮発成分によって、周辺材料、又は部材が汚染される可能性も低くなる傾向がある。なお、上記の残存揮発成分の測定条件は次の通りである。すなわち、50mm×50mmサイズに切断した感光性フィルム1について、初期の質量をM1とし、この感光性フィルム1を160℃のオーブン中で3時間加熱した後の質量をM2とし、以下の式により残存揮発分(%)を求める。残存揮発分(%)=[(M1−M2)/M1]×100
基材3は、上述の乾燥条件に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルムを基材3として用いることができる。基材3としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、及びシリカ系等の離型剤などで処理されたものであってもよい。
本実施形態の感光性フィルムによれば、上記構成を有することにより、回路面を有する半導体ウェハの回路面上に膜形成することができ、露光及び現像によるパターニングの後に、回路面を有する半導体チップ搭載用支持部材、半導体チップ又は半導体ウェハからなる被着体に対する熱圧着性を有することができる。
なお、「被着体に対する熱圧着性を有し」とは、具体的には、パターニングされた後の感光層に対して被着体を150℃〜180℃で0.2MPa〜1.0MPaで1分間熱圧着したサンプルを作製し、このサンプルの室温でのダイシェア強度が1MPa以上となることを意味する。ここで室温でのダイシェア強度とは、上記条件での熱圧着後のサンプルについて、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて、25℃の熱盤上で、測定速度:100μm/秒、測定高さ:50μmの条件で被着体にせん断方向の外力を加えたときの最大応力とすることができる。
(樹脂層付半導体ウェハ)
図4は、本開示の樹脂層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図5は図4のIV−IV線に沿った端面図である。図4及び図5に示す樹脂層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられた感光性フィルム(感光層)1と、を備える。
樹脂層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8上に、感光性フィルム1を加熱しながらラミネートすることによって得られる。感光性フィルム1は、例えば、室温(25℃)〜150℃程度の低温で半導体ウェハ8に貼付けることが可能である。
樹脂層1を積層する方法としては、上記の他に、スピンコート法等を用いて液状の感光性樹脂組成物のワニスを半導体ウェハ8に塗布し、加熱乾燥する方法によってもよい。
(半導体装置)
図6は、本開示の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図6に示す半導体装置230は、接続電極部(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用端子(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)14と、絶縁材からなる感光層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ14と対向する回路面18を有しており、半導体チップ14と所定の間隔をおいて配置されている。感光層1は、支持部材13、及び半導体チップ14の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ14の間における、感光層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ14の接続用端子は、導電層9を介して支持部材13の接続電極部と電気的に接続されている。
以下、図7〜図12を用いて、図6に示す半導体装置230の製造方法について詳述する。図7、8及び10〜12は、本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図9は、本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の(第1工程)〜(第5工程)を備える。
(第1工程)接続用電極部を有する半導体ウェハ12上に感光層1を設ける工程(図7及び図8)。
(第2工程)感光層1を露光、及び現像によって、接続端子が露出する開口11が形成されるようにパターニングする工程(図9及び図10)。
(第3工程)開口11に導電材を充填して導電層9を形成する工程(図11)。
(第4工程)半導体ウェハ12と感光層1及び導電層9との積層体を半導体チップ14ごとに切り分ける(ダイシング)工程(図12)。
(第5工程)接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と感光層1との積層体の感光層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する工程(図6)。
以下、(第1工程)〜(第5工程)について詳しく説明する。
(第1工程)
図7に示す接続用電極部を有する半導体ウェハ12から構成される半導体ウェハの回路面上に、感光層1を積層する(図8)。積層方法としては、予めフィルム状に成形された感光性フィルムを準備し、これを半導体ウェハ12に貼り付ける方法が簡便である。上記の他に、スピンコート法等を用いて、感光性樹脂組成物を含む液状のワニスを半導体ウェハ12に塗布し、加熱乾燥する方法によってもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有する感光性樹脂組成物である。より詳細には、感光性樹脂組成物を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターンが、半導体チップ、基板等の被着体に対する接着性を有している。例えばレジストパターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、レジストパターンと被着体とを接着することが可能である。
(第2工程)
半導体ウェハ12上に設けられた感光層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図9)。これにより感光層1が所定のパターンで露光される。感光性樹脂組成物がネガ型である場合、ネガ型のマスクを用いて活性光線(典型的には紫外線)を照射することにより、活性光線が照射された部分が硬化する。
露光後、感光層1のうち硬化されていない部分(ネガ型の感光性樹脂組成物の場合、露光されなかった部分)を、現像液を用いた現像によって除去することで、半導体ウェハ12の接続端子が露出する開口11が形成されるように感光層1がパターニングされる(図10)。なお、ネガ型の感光性樹脂組成物の代わりに、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いることも可能であり、その場合は感光層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
現像液としては、制限はないが、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。なお、アルカリ水溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。一般には、濃度が2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が現像に用いられる。
(第3工程)
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図11)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、及び減圧充填等の各種の方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、又はパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物等からなる電極材料、あるいは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、及びパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物、並びに、有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、及びその硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
(第4工程)
半導体ウェハ12と感光層1及び導電層9との積層体をダイシングにより半導体チップ14ごとに切り分ける(図12)。
(第5工程)
接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と感光層1との積層体の感光層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する。なお、半導体チップ14における感光層1と反対側の回路面上に、パターン化された感光層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
半導体チップ14の接着は、例えば、感光層1(感光性樹脂組成物)が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて感光層1を加熱してさらに硬化反応を進行させてもよい。
半導体チップ14における感光層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
以上の方法によって、図6に示す半導体装置230が得られる。本開示の半導体装置の製造方法は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上記製造方法は、第4の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に半導体ウェハ12と感光層1との積層体を、半導体ウェハ12と感光層1との積層体の感光層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続し、第5の工程において、半導体ウェハ12と感光層1と支持部材13との積層体を半導体チップ14ごとに切り分けてもよい。
上記製造方法では、半導体ウェハ12と支持部材13との接続までの工程(第4の工程)をウェハサイズでできるので作業効率の点において好ましい。なお、半導体ウェハ12における感光層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
また、支持部材13が半導体チップや半導体ウェハであっても良く、この場合は半導体ウェハ同士、半導体チップ14と半導体ウェハ(支持部材13)又は半導体チップ同士を接着することによって半導体装置(半導体積層体)を構成することができる。この積層体には、貫通電極を形成することも可能である。
また、上記製造方法は、第1工程において、接続用電極部に既に導電層9が形成されている半導体ウェハを使用することもできる。この場合は、第2工程において開口11を導電層9が露出するように行い、第3工程を省略して第4工程へ進むことができる。
以下、実施例を挙げて本開示についてより具体的に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
<(A)成分:フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂>
(A1)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、アミン成分である2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(商品名「BIS−AP−AF」、(セントラル硝子(株)製)14.64g(0.04mol)、ポリオキシプロピレンジアミン(商品名「D−400」)、BASF社製)17.32g(0.04mol)、3,3’−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスプロピルアミン(商品名「BY16−871EG」、東レ・ダウコーニング(株)製)2.485g(0.01mol)及びm−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)2.18g(0.02mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略す。)80gを仕込み、撹拌してアミン成分を溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下「ODPA」と略す。)31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂A1を得た。A1のTgは75℃であった。得られたA1のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=28,000であった。
(A2)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンである5,5’−メチレンビス(アントラニル酸)(和歌山精化製、商品名「MBAA」、分子量286)5.72g(0.02mol)、「D−400」25.98g(0.06mol)、及び「BY16−871EG」2.48g(0.01mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂A2を得た。A2のTgは45℃であった。得られたA2のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=30,000であった。
(A3)
フラスコに4−ヒドロキシフェニルメタクリレート35.6g、2−ヒドロキシメチルメタクリレート78.0g、メタクリル酸メチル20.0g、N,N−ジメチルアセトアミド300g及びアゾイソブチロニトリル6.43gを入れ、窒素雰囲気下にて80℃で6時間反応させた。得られた反応液にメタノール200gを添加した後、1000gのイオン交換水へゆっくり滴下して析出したアクリル樹脂A3をろ過、乾燥した。A3のTgは80℃であった。また、得られたA3のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=25,000であった。
(A)成分のMwは、溶離液をテトラヒドロフランとし、島津製作所社製高速液体クロマトグラフィー「C−R4A」を用いて測定を行い、標準ポリスチレン換算で測定した値である。
<感光性樹脂組成物>
上記で得られたフェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂A1、A2及びA3を用いて、下記表1に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、実施例1〜10及び比較例1〜7の感光性樹脂組成物の溶液(感光層形成用ワニス)を得た。
表1において、各記号は下記のものを意味する。なお、E’1、E’2、E’8、E’9及びE’10は、本開示の(E)成分に相当するものではないが、便宜上、本実施例においては「(E)成分」と呼ぶ。
BPE−100:新中村化学工業(株)製、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート
M−313:東亜合成(株)製、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート
YDF−8170C:東都化成(株)製、ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル
TrisP−PA:本州化学(株)製、トリスフェノール化合物(α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェノル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)
2P4MHZ−PW:四国化成(株)製、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
I−819:BASF社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
E’1:商品名「R−972」、日本アエロジル(株)製(表面官能基:ジメチル、平均粒径:約16nm)
E’2:商品名「YA010C−SM1」、(株)アドマテックス製(表面官能基:メタクリル、平均粒径:約10nm)
E3:商品名「YA100C−SM1」、(株)アドマテックス製(表面官能基:メタクリル、平均粒径:約100nm)
E4:商品名「YA050C−SV2」、(株)アドマテックス製(表面官能基:ビニル、平均粒径:約50nm)
E5:商品名「YA050C−SP3」、(株)アドマテックス製(表面官能基:フェニル、平均粒径:約50nm)
E6:商品名「SE1050−SVJ」、(株)アドマテックス製(表面官能基:ビニル、平均粒径:約250nm)
E7:商品名「SE1050−SEJ」、(株)アドマテックス製(表面官能基:エポキシ、平均粒径:約250nm)
E’8:商品名「SE2050−SVJ」、(株)アドマテックス製(表面官能基:ビニル、平均粒径:約500nm
E’9:商品名「SE6050−SVJ」、(株)アドマテックス製(表面官能基:ビニル、平均粒径:約2500nm)
E’10:水島合金鉄(株)製、窒化ホウ素(形状:扁平、平均粒径:約2000nm)
NMP:関東化学(株)製、N−メチル−2−ピロリドン
Figure 2016180929
<感光性シート>
得られた感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分間加熱し、続いて120℃で20分間加熱して、基材上に感光層を形成した。このようにして、基材及び基材上に形成された感光層を有する感光性シートを得た。
<評価試験>
(線膨張係数)
上記感光性シートを、感光層がテフロン(登録商標)シートと接するようにラミネートし、400mJ/cmの露光量で露光した後、PEB(Post Exposure Bake)を80℃で30秒間行った。基材及びテフロン(登録商標)シートを剥離除去した上で、硬化後の複数のフィルムを、膜厚200μmとなるように積層し、オーブン中で、180℃3時間の条件で加熱硬化させた。加熱硬化後のフィルムを4mm×35mmのサイズに切り出した。得られたサンプルを熱機械的分析装置(セイコーインスツル(株)製、TMA/SS6000)を用いて、荷重19.6mN、昇温速度5℃/min、測定温度範囲0〜280℃の条件で測定し、線膨張係数を算出した。線膨張係数が60×10−6/℃以下であったものをA、60×10−6/℃を上回ったものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(分散性)
φ1mmのジルコニアビーズ5g、(E)成分30g及びNMP45gを加え、攪拌脱泡機((株)シンキー製、AR−250)を用いて5分間攪拌し、(E)成分分散液を得た。得られた分散液を目視で観察し、均一に分散できたものをA、(E)成分が凝集して分散できなかったものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(分散安定性)
上記分散性の評価において得られた(E)成分分散液を、25℃で24時間静置した後、分散状態を確認した。分散状態を保持していたものをA、サンプル容器下部に凝集物が沈降したものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(フィルム形成性)
感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分間加熱し、続いて120℃で20分間加熱して、基材上に感光層を形成した。500μm以上のピンホールが見られなかったものをA、500μm以上のピンホールが見られたものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、上記分散性評価において分散できなかったものは、10質量%の濃度でNMPに分散させて使用し、感光性フィルムを形成した。
(400〜900nmの波長域における最大透過率)
上記感光性シートの基材を剥離除去し、得られた感光性フィルムの、400〜900nmの波長域における最大透過率を、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製:U−3310)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
(パターン形成性)
支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記感光性シートを、感光層がシリコンウェハの鏡面(支持台と反対側の面)と接するように、真空ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製)を用いて、ステージ温度60℃、ダイアフラム温度60℃、真空圧90Pa、荷重0.5MPaで60秒間の条件で積層した。得られた積層体を、感光性シート側から、ネガ型パターン用マスク(日立化成社製、「No.G−2」(商品名))を介して、高精度平行光露光機((株)オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)を用いて500mJ/cmで露光した。次いで、80℃のホットプレート上に30秒間放置後、基材を剥離除去し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を現像液とし、未露光部が溶解するまで、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件で90秒間スプレー現像した。その後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で60秒間水洗した。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂パターンを形成した。
形成された樹脂パターンを顕微鏡(倍率:50倍)で観察し、60μm以下の開口が形成できたものをA、60μmを超えて100μm以下の開口が形成できたものをB、100μm以下の開口が形成できなかったものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。
(高温接着性)
上記パターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に感光性シートを積層した。ネガ型パターン用ガラスマスクを用いなかったこと以外は、上記パターン形成性の評価試験と同様にして、得られた積層体を、感光性シート側から露光した。次いで、上記パターン形成性の評価試験と同様にして、80℃のホットプレート上で放置後、基材を除去し、現像、水洗を行った。水洗後、120℃で1分間乾燥させた。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層を形成した。
得られた積層体(シリコンウェハ及び硬化物層からなる積層体)を、3mm×3mmの大きさに個片化した。個片化した積層体を、ホットプレート上で、硬化物層がシリコン基板(10mm×10mm×0.55mm)と接するようにしてシリコン基板上に積層し、2kgfで加圧しながら、260℃で5秒間圧着した。このようにして、シリコンウェハ、硬化物層及びシリコン基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。得られたサンプルを、オーブン中で180℃、1時間の条件で加熱し、さらに、260℃の熱盤上で10秒間加熱した後、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて接着力を測定した。1MPa以上の接着強度が得られたものをA、1MPaを下回ったものをCとして評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2016180929
本開示の感光性樹脂組成物は、低線膨張性、視認性、高温接着性、パターン形成性、量産性(フィルム形成性)の全ての点で十分に優れるため、高精細な半導体パッケージの製造に用いる封止樹脂として好適に用いられる。また、本開示の感光性フィルム又は感光性シートは、基板、ガラス、シリコンウェハ等の被着体又は支持部材上に適用したときに、液状の樹脂組成物を用いる場合よりも位置合わせ精度に優れる上に、露光によるパターン化の解像度を向上させることができ、さらに、パターン形成後の基板、ガラス、半導体素子等の被着体との低温熱圧着性を有すると共に、熱硬化後の優れた耐熱性を有するため、半導体素子、光学素子、又は微細な接着領域が求められる封止樹脂又はバッファーコート用途に好適に使用できる。
1…感光性フィルム(感光層)、2…カバーフィルム、3…基材、4…マスク、8…半導体ウェハ、9…導電層、11…開口、12…半導体ウェハ、13…支持部材、14…半導体素子(半導体チップ)、18…回路面、20…樹脂層付半導体ウェハ、100,110…感光性シート、230…半導体装置。

Claims (8)

  1. フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有する化合物と、熱硬化性樹脂と、光開始剤と、有機基を有するシリカと、を含む感光性樹脂組成物であって、
    前記有機基を有するシリカの平均粒径が30〜400nmであり、
    前記有機基を有するシリカの含有量が、感光性樹脂組成物全質量基準で、25〜60質量%である感光性樹脂組成物。
  2. 前記感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得られる厚さ20μmの感光性フィルムの、400〜900nmの波長域における最大透過率が50%以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記有機基が、エチレン性不飽和基又はフェニル基である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得られる、感光性フィルム。
  5. 基材と、該基材上に形成された請求項4に記載の感光性フィルムからなる感光層と、を備える感光性シート。
  6. 被着体上に積層された請求項4に記載の感光性フィルムからなる感光層を露光し、露光後の前記感光層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる樹脂パターン。
  7. 半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された請求項4に記載の感光性フィルムからなる感光層と、を備える半導体ウェハ。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する半導体装置。


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