JP2016114556A - 糖鎖固定方法、及び糖鎖固定化固相 - Google Patents

糖鎖固定方法、及び糖鎖固定化固相 Download PDF

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Abstract

【課題】糖鎖を効率よく固定化する方法を提供する。【解決手段】本発明の糖鎖固定方法は、糖鎖又は糖鎖修飾物質を固相に固定する方法であって、前記糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相に接触させる工程Aと、前記固相上の溶液を乾燥させる工程Bと、乾燥後の固相を加熱する工程Cと、を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖固定方法、及び糖鎖固定化固相に関する。
生化学分野において、核酸、タンパク質に続く第三のバイオポリマーとして、糖鎖が注目されている。糖鎖は、タンパク質や脂質の機能を高め、細胞の接着、移動、発生、分化、増殖、アポトーシス(細胞死)、感染、免疫といったさまざまな生命現象に関与している。
そのため、糖鎖に異常が生じると、がん、糖尿病、肺気腫等の様々な病気が引き起こされるほか、糖鎖に関連する遺伝子異常によって、脳や神経、筋肉等に重篤な先天性疾患が起きることが知られている。
このような知見から、糖鎖をターゲットとした新たな医薬や医薬材料を創製しようとする試みがなされている。係る試みにおいて、糖鎖を固定化するための基材の開発が行われている(特許文献1〜2参照)。
特許文献1には、三官能性スペーサーを用いて、第一の官能基に糖鎖を結合させ、第二の官能基に固相担体、第三の官能基に発色団を結合させる糖鎖アレイの作製方法が示されている。
特許文献2には、スペーサー基を介してチオアルキル化によって糖鎖を基材に固定させる方法が記載されている。
特開2004−115616号公報 特開2006−078418号公報
しかしながら、特許文献1〜2に記載の方法では、糖鎖を効率よく固定化する点において、未だ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、糖鎖を効率よく固定化する方法を提供することを目的とする。
[1]本発明の糖鎖固定方法は、糖鎖又は糖鎖修飾物質を固相に固定する方法であって、 前記糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相に接触させる工程Aと、前記固相上の溶液を乾燥させる工程Bと、乾燥後の固相を加熱する工程Cと、を有することを特徴とする。
[2]本発明の糖鎖固定方法は、前記工程Cにおいて、加熱温度は60℃以上であることが好ましい。
[3]本発明の糖鎖固定方法は、前記工程Cにおいて、加熱時間は1時間以上であることが好ましい。
[4]本発明の糖鎖固定方法は、前記工程Cにおいて、前記固相は、固相基板であることが好ましい。
[5] 本発明の糖鎖固定方法は、前記固定化物質が、一級アミノ基を含有することが好ましい。
[6]本発明の糖鎖固定方法は、前記固定化物質が、ヒドラジド基又はオキシルアミノ基を含有することが好ましい。
[7]本発明の糖鎖固定化固相は、前記[1]〜[6]のいずれかの糖鎖固定方法を、少なくとも一種類以上組み合わせて得られたことを特徴とする。
本発明によれば、糖鎖を効率よく固定化することができる。
また、本発明によれば、固定化の難しい糖鎖を含めた多種類の糖鎖又は糖鎖修飾物質のアレイを提供することができる。
<糖鎖固定方法>
本発明の糖鎖固定方法は、糖鎖又は糖鎖修飾物質を固相に固定する方法であって、前記糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相に接触させる工程Aと、前記固相上の溶液を乾燥させる工程Bと、乾燥後の固相を加熱する工程Cと、を有する。
以下、各工程について説明する。
[工程A]
工程Aは、糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相に接触させる工程である。
工程Aにおいて、糖鎖修飾物質としては、糖鎖修飾を受けた生体分子であれば、特に限定されず、糖鎖修飾ペプチド、糖鎖修飾タンパク質、糖鎖修飾核酸、糖鎖修飾脂質等が挙げられる。糖鎖としては、還元末端としてアルデヒド基を有するものであれば特に限定されず、単糖類が2つ以上、グリコシド結合により繋がりあった多糖が挙げられる。糖鎖は、1種類の単糖類から構成されるもの(ホモ糖鎖)であってもよく、2種類以上の単糖類から構成されるもの(ヘテロ糖鎖)であってもよい。糖鎖を構成する単糖類の種類、個数については特に制限はなく、また単糖類間のグリコシド結合はα結合、β結合のいずれであってもよい。糖鎖は天然由来のものであってもよく、天然由来のものに人工的に官能基の付加や置換等の修飾を加えたものであってもよく、化学的に合成されたものであってもよい。
単糖類としては、単糖やその誘導体を用いればよく、特に限定されない。例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸等の単糖及びこれらの誘導体等が挙げられる。
糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液としては、特に限定されないが、後述する固定化物質との反応効率の観点からpH3〜8の溶液が好ましく、pH4〜6の溶液がより好ましい。
固相としては、固相担体が挙げられ、固相粒子、固相基板が好ましく、固相基板がより好ましい。
固定化物質としては、糖鎖固定化能を有するものであれば特に限定されないが、一級アミノ基が効率的に糖鎖を固定化させることができる点から好ましく、その中でもヒドラジド基又はオキシルアミノ基を含有する物質がより好ましい。
[固相担体]
固相担体として用いることができる物質としては、例えば無機物質としてシリカ、アルミナ、ガラス、金属等が挙げられる。また、有機高分子物質としては、熱可塑性樹脂等が挙げられる。糖鎖を固定した固相担体を蛍光観察に用いる場合は、前記熱可塑性樹脂は、蛍光発生量の少ないものが好ましい。蛍光発生量の少ない樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;含フッ素樹脂等を用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィン樹脂を用いることがより好ましい。本発明において、飽和環状ポリオレフィン樹脂とは、環状オレフィン構造を有する単独重合体又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体に水素添加した飽和重合体を指す。
≪固相粒子≫
本願において、固相担体のうち粒子状のものを固相粒子と呼ぶ。固相粒子の形状は球であることが好ましく、平均粒径0.1μm以上500μm以下のポリマー粒子がより好ましい。このような範囲の粒径を有する担体の粒子は、遠心分離、フィルタ等による回収が容易であり、かつ、充分な表面積を有しているために糖鎖との反応効率も高いと考えられる。平均粒径が500μm以下の場合、表面積が小さ過ぎず、糖鎖との反応効率が高い。平均粒径0.1μm以上の場合、フィルタによる粒子の回収を効率よく行うことができ、粒子をカラムに充填して用いる場合に、通液の際の圧力損失が大きくなるおそれがない。
≪固相基板≫
本願において、固相担体のうちスライドガラス形状、マルチウェルプレート等の形状のものを、固相基板と呼ぶ。固相基板の材質としては、固相担体で説明した物質を使用することができる。
固相粒子、固相基板いずれにおいても、固定化物質として、ヒドラジド基あるいはオキシルアミノ基に代表される一級アミノ基を有する固定化物質を使用することが挙げられる。ヒドラジド基あるいはオキシルアミノ基を有するユニットは、特に構造を限定されるものではないが、例えば下記一般式(3)で表されるように、(メタ)アクリル残基とヒドラジド基あるいはオキシルアミノ基に代表される一級アミノ基がスペーサーYを介して結合した構造であることが好ましい。ここで、一例として、Yは−O−、−S−、−NH−、−CO−、又は−CONH−で中断されてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖を示す。また、オキシルアミノ基の場合、Zは酸素原子を、ヒドラジド基の場合、ZはNHを、セミカルバジド基の場合、ZはNH(C=O)NHを、チオセミカルバジド基の場合、NH(C=S)NHを示す。nは本来自然数であるが、各成分の組成割合として標記される場合がある。アルキレングリコール残基を含むスペーサーYの構造は、特に制限されるものではないが、下記一般式(4)または(5)であることが好ましい。固相粒子あるいは固相基板に一級アミノ基を導入する方法としては、前記ヒドラジド基またはオキシルアミノ基含有捕捉物質で基板を被覆する方法、前記ヒドラジド基またはオキシルアミノ基を保護基で保護した物質を被覆し、その後保護基を脱保護する方法等が挙げられる。
Figure 2016114556
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは、モノマーユニット数を表し、q及びrは、それぞれ独立に1〜10の整数を表す。]
前記ヒドラジド基あるいはオキシルアミノ基に代表される一級アミノ基を固定化物質に導入する場合、合成の容易さから、少なくとも一級アミノ基を予め保護基にて保護したモノマーをラジカル重合する工程、該工程により得られた高分子化合物から保護基を除去する工程、を含む製造方法により得ることができる。あるいは、少なくとも一級アミノ基を導入しうる官能基を有するモノマーをラジカル重合する工程、該工程により得られた高分子化合物に一級アミノ基を導入する工程、を含む製造方法により得ることができる。
一級アミノ基を予め保護基にて保護したモノマーは、特に構造を限定しないが、下記一般式(6)(式中、Rは水素原子またはメチル基、Yはアルキレングリコール残基を含むスペーサー、Zは酸素原子、NH、NH(C=O)NHまたはNH(C=S)NHを、Wは保護基を示す。)で表されるように、(メタ)アクリル基と、オキシルアミノ基、ヒドラジド基、セミカルバジド基またはチオセミカルバジド基が、アルキレングリコール残基を含むスペーサーYを介した構造であることが好ましい。
Figure 2016114556
保護基Wとしてはアミノ基を保護基できるものであれば何ら制限を受けるものではなく、任意に用いることができる。中でもt―ブトキシカルボニル基(Boc基)やベンジロキシカルボニル基(Z基、Cbz基)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)等が好適に用いられる。
具体的なモノマーの例としては、下記式(7)で表されるようなものである。
Figure 2016114556
脱保護化は、トリフルオロ酢酸や塩酸、無水フッ化水素を用いれば、一般的な条件で行うことができる。
また、ヒドラジド基またはオキシルアミノ基に代表される一級アミノ基含有固定化物質には、基板に良好に吸着するという観点から、疎水性基を有することが好ましい。
疎水性基を有するユニットとしては、例えば下記一般式(8)の構成単位で表されるような構造であり、この疎水性基を構成するモノマーとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ネオペンチル(メタ)アクリレート、iso−ネオペンチル(メタ)アクリレート、sec−ネオペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、iso−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、iso−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、iso−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、iso−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、iso−オクタデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、基板への密着性を高める場合の構造としては、下記式(9)で表されるシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
Figure 2016114556
[一般式(8)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、mはモノマーユニット数を示す。]
Figure 2016114556
[一般式(9)中、oはモノマーユニット数を示す。]
また、ヒドラジド基またはオキシルアミノ基に代表される一級アミノ基含有固定化物質においては、生体分子の非特異的吸着を抑制する観点から、親水性基を有することが好ましい。
親水性基を有するユニットは、特に構造を限定されるものではないが、例えば下記一般式(10)の構成単位で表されるような構造が好ましい。親水性基を構成するモノマーとして例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン等が挙げられ、下記式(11)で表される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンで構成されるものが挙げられる。
Figure 2016114556
[一般式(10)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は炭素数1〜20のアルコキシアルキル基を表し、lはモノマーユニット数を示し、sは1〜10の整数を表す。]
Figure 2016114556
[一般式(11)中、pはモノマーユニット数を示す。]
親水性基を有するユニットは、(メタ)アクリル残基とポリエチレングリコールが結合した構造であってもよい。これを構成するモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられるが、入手性からメトキシポリエチレングリコールメタクリレートが好ましい。
以上を考慮した上で、もっとも好ましい構成としては、下記式(7−1−2)で表されるポリマーである。
Figure 2016114556
[式中、m、o、pはモノマーユニット数を示す。]
工程Aにおいて、固相担体として固相粒子を用いる場合には、例えばマイクロチューブ内で糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液と、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相粒子を接触させる工程が挙げられる。固相担体として固相基板を用いる場合には、例えば糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相基板上に整列的に点着する工程が挙げられる。
[工程B]
工程Bは、固相上の前記糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を乾燥させる工程である。上記工程Aにおいて、糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、固定化物質を備えた固相に接触させることで、糖鎖又は糖鎖修飾物質固定化固相を得ることができる。そして、この固相に残留している液を工程Bにて乾燥させる。
乾燥条件としては、特に限定されず、20〜90℃の温度で、1〜16時間インキュベートしてもよく、室温で風乾させてもよい。
なお、この乾燥工程は前工程A、または次工程Cと同時に行っても良い。
[工程C]
工程Cは、乾燥後の固相を加熱する工程である。工程Aにおいて、固相として固相粒子を用いる場合、糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液中に投入後、取り出す処理を行う。固相として固相基板を用いる場合、接触させる糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液の液量は、好ましくは100μL以下、より好ましくは10μL以下、更に好ましくは1μL以下であり、工程Bの乾燥工程において、該溶液は、容易に乾燥する。
乾燥後の固相を加熱したところで、糖鎖と固定化物質の結合反応に影響を与えないと思われるところ、驚いたことに本発明者は、乾燥後の固相を加熱することにより、糖鎖固定化能が向上することを見出した。
加熱温度の下限値としては、60℃が好ましく、65℃がより好ましく、70℃が更に好ましい。上限値としては、固相の軟化点未満であれば特に限定されず、100℃が好ましく、95℃がより好ましく、90℃が特に好ましい。
加熱時間の下限値としては、1時間が好ましく、3時間がより好ましく、6時間が更に好ましく、12時間が特に好ましく、24時間が最も好ましい。加熱時間の上限値としては、特に限定されないが、操作効率の観点から、48時間が好ましく、36時間がより好ましい。
本発明の糖鎖固定方法は、糖鎖固定化能が向上した固定方法であるため、生体試料中の微量の糖鎖を固定化するのに適している。更に、固定化物質との結合能の観点から、固定化が難しかった糖鎖をアレイ化するのにも適している。
<糖鎖固定化固相>
本発明の糖鎖固定化固相は、上述した糖鎖固定方法を、少なくとも一種類以上組み合わせて得られた固相である。本発明の糖鎖固定化固相は、糖鎖固定化能が向上した固定方法を用いて製造されたものであるため、固定化の難しい糖鎖を含めた多種類の糖鎖又は糖鎖修飾物質のアレイを提供することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[アミノオキシ基を有する重合体で被覆された基板の作製]
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度:123℃)を用い、射出成形により、スライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作製した。得られた固相基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、N−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミン)エトキシ]エトキシ]エチル]−メタクリアミド(OA)の共重合体(共重合体において、各モノマーに由来する繰り返し構成単位のモル比は26:66:8である)の1.0重量%エタノール混合溶液に浸漬した後、室温で0.5時間乾燥することにより、表面がアミノオキシ基を有する重合体で被覆された基板(以下において、アミノオキシ基被覆基板とも記す。)を得た。
[ビオチン化SNA溶液の作製]
α2,6シアル酸を特異的に認識するタンパク質であるSNA(レクチンの一種)をビオチン化標識したビオチン化SNA(VECTOR LABORATORIES社製、「B−1085」)をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)に濃度が100μg/mLになるように溶解して、ビオチン化SNA溶液を得た。
前記アミノオキシ基被覆基板を2Nの塩酸に浸漬し、37℃で16時間処理することにより、アミノオキシ基を保護しているBoc基(t−ブトキシカルボニル基)の除去を行った。
[6’−シアリルラクトースの固定化能の検討]
6’−シアリルラクトース(以下、6SLともいう。)を酢酸ナトリウム緩衝液で溶解し、1mMの6SL溶液を作製した。自動スポッターを用いて、上記で得られたアミノオキシ基被覆基板上に、1mMの6SL溶液を3箇所スポットした。その後、基板を、80℃で、1、3、6、9、12、24時間加熱することでスポットの乾燥および加熱を行った。上記で得られたビオチン化SNA溶液を、糖鎖を固定した基板の表面を浸すようにして基板と接触させ、室温で2時間静置することにより、糖鎖(6SL)とビオチン化SNAとを反応させた。反応後、室温において、基板をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)で2分間洗浄した。
次いで、Cy3−ストレプトアビジン(GE Healthcare社製)をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)で2μg/mLになるように希釈した。この希釈溶液を25℃にて1時間、糖鎖を認識する分子と反応させた基板と接触させることによりビオチン化SNAとCy3−ストレプトアビジンを結合させて蛍光標識反応を実施した。反応後、室温において、基板をトリス緩衝液(pH7.5、0.05wt%のTween20を含む)で2分間洗浄した。その後、遠心分離機を用いて基板を遠心乾燥させた。
スポットの加熱時間を振った、蛍光標識反応後の基板について、蛍光量の測定を行い、スポットシグナル強度値を評価した。蛍光量の測定には、PerkinElmer社製のバイオチップスキャナー「ScanArray」を用いた。測定条件は、レーザー出力90%、PMT感度50%、励起波長633nm、測定波長670nm、解像度10μmであった。結果を表1に示した。
表1の結果から分かるように、スポット乾燥後、基板を80℃で加熱することにより、加熱時間依存的にシグナル強度の増加が観察された。特に24時間反応させた基板では、1時間反応させた基板と比較して7倍の強度のシグナルが得られた。
本発明の糖鎖固定方法によれば、所望の糖鎖を効率よく固相に固定できることが明らかである。
Figure 2016114556

Claims (7)

  1. 糖鎖又は糖鎖修飾物質を固相に固定する方法であって、
    前記糖鎖又は糖鎖修飾物質を含有する溶液を、糖鎖と特異的に結合する固定化物質を備えた固相に接触させる工程Aと、
    前記固相上の溶液を乾燥させる工程Bと、
    乾燥後の固相を加熱する工程Cと、
    を有することを特徴とする糖鎖固定方法。
  2. 前記工程Cにおいて、加熱温度は60℃以上である請求項1に記載の糖鎖固定方法。
  3. 前記工程Cにおいて、加熱時間は1時間以上である請求項1又は2に記載の糖鎖固定方法。
  4. 前記固相は、固相基板である請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖鎖固定方法。
  5. 前記固定化物質は、一級アミノ基を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の糖鎖固定方法。
  6. 前記固定化物質は、ヒドラジド基又はオキシルアミノ基を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の糖鎖固定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の糖鎖固定方法を、少なくとも一種類以上組み合わせて得られたことを特徴とする糖鎖固定化固相。
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