JP2016111852A - ステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータの製造において、ステータコアに取り付けられたコイルに樹脂コーティングを行う際に、樹脂コーティング品質を確保しつつ、製造工程を簡略化すること。【解決手段】本発明は、ステータコア1のリング部2に立設されたティース3に、インシュレータ5を介して挿入される成形済みのコイル8を樹脂コーティングしてなるステータ10の製造方法であって、コイル8を挿入後、樹脂コーティングを行う前にコイル8に通電させて、コイル8とステータコア1との協働により発生した磁力によって、リング部2にコイル8を引き寄せる。ステータの製造方法によると、樹脂コーティングを行う前に、コイル8に通電することにより成形済みコイル8に生じた隙間を無くす方向にコイル8を縮ませ、樹脂コーティング層Pの肉厚を確保することができる。この際、コイル8には通電によって熱が生じ、樹脂コーティング層Pを形成する前の予備加熱も行うことができる。【選択図】図2
Description
本発明は、モータに利用され、ステータコアに取り付けられた状態でコイルを樹脂コーティングしてなるステータの製造方法に関する。
特許文献1には、ステータコアに形成されたティースにコイルを嵌め込んだ後、樹脂コーティングするステータの製造方法が記載されている。このステータの製造方法によると、ステータコアのティース側に環状の固形樹脂を嵌め込んで、固形樹脂を加熱圧縮してインシュレータを形成し、インシュレータに成形済みのコイルを圧縮しながら嵌め込む。そして、金型のキャビティ内にステータコアとインシュレータとコイルとを配置する。その後、金型を加熱し、コイルを圧縮した状態でキャビティ内に樹脂を注入してコイルに樹脂コーティング層を形成している。特許文献1に記載されたステータの製造方法によると、コイルに薄い樹脂コーティング層を形成することができる。
特許文献1に記載されたステータの製造方法によると、コイルは、ティースの形状に合わせて成形された状態でティースに挿入される。この際、コイルはコイル間に隙間がある状態で伸びている。コイルに樹脂コーティングを行う工程では、この隙間が無くなるように、コイルを圧縮した状態で維持する必要がある。そのため、特許文献1に記載されたステータの製造方法では、コイルの圧縮状態を維持するために金型をコイルに接触させる必要があり、樹脂コーティングにコイルが露出した部分や樹脂の肉厚が薄い部分が生じる場合がある。また、特許文献1に記載されたステータの製造方法では、コイルに樹脂コーティングを行う前に部品を予備加熱しなければならず、工程が煩雑化する。
本発明は、ステータコアに取り付けられたコイルに樹脂コーティングを行う際に、樹脂コーティング品質を確保しつつ、製造工程を簡略化することができるステータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ステータコアに取り付けられたコイルに樹脂コーティングを行う際に、樹脂コーティング品質を確保しつつ、製造工程を簡略化することができるステータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ステータコアのリング部に立設されたティースに、インシュレータを介して挿入される成形済みのコイルを樹脂コーティングしてなるステータの製造方法であって、
前記コイルを挿入後、前記樹脂コーティングを行う前に前記コイルに通電させて、前記コイルと前記ステータコアとの協働により発生した磁力によって、前記リング部に前記コイルを引き寄せる。
前記コイルを挿入後、前記樹脂コーティングを行う前に前記コイルに通電させて、前記コイルと前記ステータコアとの協働により発生した磁力によって、前記リング部に前記コイルを引き寄せる。
本発明のステータの製造方法によると、インシュレータが嵌め込まれたステータコアのティースに、成形済みのコイルを嵌め込んで樹脂コーティングを行う前に、コイルに通電することにより磁界を発生させ、ステータコアのリング部にコイルを引き寄せる。これにより、成形済みコイルに生じた隙間を無くす方向にコイルを縮ませることができ、樹脂コーティングの肉厚を確保することができる。また、コイルには通電によって熱が生じ、樹脂コーティングを行う前の予備加熱を行うことができる。
本発明にかかるステータの製造方法によると、ステータコアに取り付けられたコイルに樹脂コーティングを行う際に、樹脂コーティング品質を確保しつつ、製造工程を簡略化することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明にかかるステータの製造方法にかかる実施形態について説明する。
図1に示されるように、ステータ10において、リング部2の内壁側には断面台形状のティース3が複数立設されている。ティース3は、インシュレータ5で覆われている。インシュレータ5は、ティース3の形状に合わせて樹脂で成形されている。それぞれのインシュレータ5には、インシュレータ5の形状に合わせて成形された複数のコイル8がそれぞれ嵌め込まれている。ステータ10には、コイル8の表面を覆うように樹脂コーティング層Pが形成されている。
ステータコア1は、プレスで打ち抜かれた金属板を積層して形成されている。コイル8は、ティース3の形状に嵌るように予め成形されている。コイル8は、例えば、矩形枠状にプレスで打ち抜かれた金属板(不図示)の一辺の一部に切込みを入れ、これらを複数段にわたって螺旋状に順次接合して形成される。各金属板の形状は、積層した状態でインシュレータ5の形状に嵌るように調整されている。コイル8は、その他、銅線を巻いて形成してもよい。
次に、ステータ10の製造装置30について説明する。
図2に示されるように、ステータ10の製造装置30は、樹脂コーティング層Pが形成される前のステータ10が可動金型20および固定金型21によってセットされた状態で、コイル8に樹脂コーティング層Pを形成する装置である。可動金型20の上部にはコイル8に通電するための電源装置11が設けられている。
電源装置11には、端子12が突出するように設けられている。コイル8には、端子12に接続するための端子コネクタ部8bが取り付けられている。可動金型20と固定金型21とが型締めされた状態で、固定金型21に設けられたスプリング体23と端子12とで端子コネクタ部8bが挟み込まれる。これにより、端子12と端子コネクタ部8bが接触し、電源装置11とコイル8とが電気的に接続される。そして、電源装置11からコイル8に通電可能となる。
可動金型20の中央には、ステータコア1の中央開口S(図1参照)内に挿入させるための中子20aが突出している。型締された状態では、中子20aの頂部は、固定金型21に設けられた樹脂注入口24に対向して配置される。可動金型20と固定金型21とによってコイル8の周囲に樹脂が充填される空間となるキャビティ22が形成されている。キャビティ22は、可動金型20と固定金型21とがコイル8の周囲に接触していない形状のため、コイル8に樹脂コーティング層Pを形成した際に樹脂の肉厚が確保される。
次に、ステータ10の製造方法について説明する。
図3に示されるように、可動金型20に樹脂コーティング層Pが形成される前のステータ10がセットされる。可動金型20に、ステータ10がセットされると、固定金型21と可動金型20とが型締めされる(図2参照)。
図4に示されるように、樹脂コーティング層Pが形成される前のステータ10のコイル8には隙間があり、ティース3の先端方向に伸びた状態となっている。図5に示されるように、コイル8において、1周分の各コイル8a間に隙間が生じている。コイル8には、各コイル8aがモータ動作中にずれないように樹脂コーティング層Pが形成される。樹脂コーティング層Pを形成する工程の前に、各コイル8a間の隙間を無くすためにコイル8を縮める必要がある。
図6に示されるように、コイル8に通電するために電源装置11を接続する。その後、コイル8に通電すると、コイル8は、ティース3をコアとした電磁石となる。このとき、コイル8に発生した磁界によりティース3は磁化されて矢印G方向に磁力が発生し、コイル8がステータコア1のリング部2の方向に引き寄せられる。このように、複数のコイル8のそれぞれに通電すると、コイル8は、コイル8とステータコア1との協働により発生した磁力によってそれぞれリング部2に引き寄せられ、隙間が無くなるように縮む。
図7に示されるように、この原理を用いた製造装置30は、コイル8を縮ませた状態を維持し、コイル8に樹脂コーティング層Pを形成する。樹脂コーティング層Pを行う前に、樹脂の流動性を高めてコイル8の隙間に浸透させやすくするために、コイル8を予備的に加熱する必要がある。コイル8への通電状態を維持していると、コイル8の電気抵抗によりコイル8は発熱する。従って、通電によりコイル8が縮むと共に、コイル8は加熱され、樹脂コーティング層Pを形成する工程前の予備加熱も行われる。
この予備加熱のためのコイル8への通電電流値は、コイル8の電気的な抵抗と発熱量の関係を示した計算式に従って求められる。通電時の発熱量(Q1)は、電流値(I)とコイルの抵抗値(R)との間に以下の様な関係がある。
Q1=I2×R…式(1)
また、温度上昇に必要な発熱量(Q2)はコイル重量(W)とコイル比熱(C)と温度上昇値(ΔT)との間に以下の様な関係がある。
Q2=W×C×ΔT…式(2)
ここで、ΔTは目標温度(T)−初期温度(T0)である。
式(1)および式(2)より、Q1=Q2とすると、コイル8に流す電流値(I)が求められる。電流を流す時間(t)は、樹脂が硬化する時間に応じて適宜調整される。
Q1=I2×R…式(1)
また、温度上昇に必要な発熱量(Q2)はコイル重量(W)とコイル比熱(C)と温度上昇値(ΔT)との間に以下の様な関係がある。
Q2=W×C×ΔT…式(2)
ここで、ΔTは目標温度(T)−初期温度(T0)である。
式(1)および式(2)より、Q1=Q2とすると、コイル8に流す電流値(I)が求められる。電流を流す時間(t)は、樹脂が硬化する時間に応じて適宜調整される。
電源装置11からコイル8に電流を流すと、コイル8とステータコア1との協働により発生した磁力によって、コイル8は隙間が無くなるようにステータコア1のリング部2(図1参照)に引き寄せられて縮む。そして、樹脂コーティング層Pを形成する前の予備加熱のために、コイル8に必要な電流値(I)を流す。コイル8が目標温度(T)まで加熱されると、固定金型21の樹脂注入口24から樹脂を注入する。樹脂がキャビティ22内に充填されると、コイル8に樹脂コーティング層Pが形成される。コイル8は加熱されているので、樹脂が隙間なく浸透する。コイル8への通電は、樹脂が硬化するまで所定の時間(t)行われる。樹脂が硬化すると、コイル8への通電を停止して、型割りが行われる。これにより、コイル8に樹脂コーティング層Pが形成されたステータ10が得られる。
上述したステータ10の製造方法によると、コイル8に樹脂コーティング層Pを形成する前に、コイル8に通電し、コイル8とステータコア1との協働により発生した磁力によってコイル8を隙間が無くなるように縮めることができる。これにより、コイル8を縮める工程を簡略化することができる。そして、ステータ10の製造方法は、簡素な形状のインシュレータ5を用いることができる。さらに、ステータ10の製造方法は、可動金型20と固定金型21とがコイル8に接触しないため、樹脂コーティング層Pの肉厚を確保することができる。また、ステータ10の製造方法は、コイル8に通電することにより発生した熱によりコイル8が加熱され、樹脂コーティング層Pを形成する前の予備加熱も行うことができ、予備加熱の工程を短縮することができる。
1…ステータコア 2…リング部 3…ティース 5…インシュレータ 8…コイル 8a…各コイル 8b…端子コネクタ部 10…ステータ 11…電源装置 12…端子 20…可動金型 20a…中子 21…固定金型 22…キャビティ 23…スプリング体 24…樹脂注入口 30…製造装置 G…矢印 P…樹脂コーティング層 S…中央開口
Claims (1)
- ステータコアのリング部に立設されたティースに、インシュレータを介して挿入される成形済みのコイルを樹脂コーティングしてなるステータの製造方法であって、
前記コイルを挿入後、前記樹脂コーティングを行う前に前記コイルに通電させて、前記コイルと前記ステータコアとの協働により発生した磁力によって、前記リング部に前記コイルを引き寄せる、
ステータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014248345A JP2016111852A (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | ステータの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016111852A true JP2016111852A (ja) | 2016-06-20 |
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JP2014248345A Pending JP2016111852A (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | ステータの製造方法 |
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JP (1) | JP2016111852A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018042375A (ja) * | 2016-09-07 | 2018-03-15 | トヨタ自動車株式会社 | ステータの樹脂モールド方法 |
-
2014
- 2014-12-08 JP JP2014248345A patent/JP2016111852A/ja active Pending
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