JP2016109273A - 雌ねじ体 - Google Patents

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裕 道脇
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Abstract

【課題】リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の雌ねじ構造を有する単一の雌ねじ体において、被締結体の締結力を高度に維持する。
【解決手段】雌ねじ体100は、筒状部材106形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造114と、筒状部材106に配置され、軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部168を有し、突出部168の突端によって、所定の周方向角度毎に第一雌ねじ螺旋構造114による回転を係止し得る逆回転防止部材160と、筒状部材106の端面に形成される変形可能なテーパ面182とを備える。突出部168は、雄ねじ体10と接触して弾性変形することで、雄ねじ体10と第一雌ねじ螺旋構造114の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止して逆回転を規制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、雄ねじ体と螺合する雌ねじ体に関する。
締結構造の一つとして、ボルト等の所謂雄ねじ体と、ナット等の所謂雌ねじ体を用いるものが存在する。このねじ体による締結構造に関して、一つの雄ねじ体に対して、リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の螺旋溝(例えば右雄ねじ部と左雄ねじ部)を形成し、この二種類の螺旋溝に対して、ダブルナットのごとく、二種類の雌ねじ体(例えば右雌ねじ体と左雌ねじ体)を別々に螺合させるものがある。何らかの係合手段により、二種類の雌ねじ体の相対回転を抑止すれば、リード角及び/又はリード方向が相異なることによる軸方向干渉作用又は軸方向離反作用により、雄ねじとの間で機械的な緩み止め効果を提供できる(特許文献1参照)。
更に応用として、単一の雌ねじ体に対して、リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の雌ねじ条を形成することも行われている(特許文献1の請求項15乃至請求項19、図41乃至図43等参照)。この場合、締結方向に限定した雌ねじ体と雄ねじ体の相対回転を許容するために、一方の雌ねじ条を板状部材で構成して弾性変形可能にしている。
特許5406168号公報
リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の雌ねじ条を有する単一の雌ねじ体を締結する際、他方の雌ねじ条を雄ねじ体に対して螺進させつつ、一方の雌ねじ条の板状部材を繰り返し弾性変形させて、雄ねじ体のねじ山を軸方向に順番に乗り越えさせて行く。しかし、一方の雌ねじ条が、新たな次のねじ山を乗り越えようとする直前に、雌ねじ体と雄ねじ体による被締結体の締結が完了して、雌ねじ体の回転が停止する場合がある。その場合は、直前に乗り越えたねじ山を利用した機械的な緩み止め効果が得られるが、その機械的な緩み止め効果が得られるまで、雌ねじ体の微小の逆回転が許容されてしまうという問題があった。
即ち、従来の雌ねじ体の場合、逆回転を防止するための雌ねじ体の一方の雌ねじ条が、直前にねじ山を乗り越えた状態から、次のねじ山を乗り越える直前までの間は、他方の雌ねじ条を利用した雄ねじ体との微小の逆回転を許容し得ることから、その微小の逆回転により、被締結体の締結力が弱まる可能性があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の雌ねじ構造を有する単一の雌ねじ体において、被締結体の締結力を高度に維持することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部[NI1]を有し、該突出部の突端によって、所定の周方向角度毎に、前記第一雌ねじ螺旋構造による回転を係止し得る逆回転防止部材と、前記筒状部材の他方の端面に形成される変形可能なテーパ面と、を備え、前記突出部は、雄ねじと接触して弾性変位することで、前記雄ねじ10と前記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止して逆回転を規制することを特徴とする、雌ねじ体である。なお、前記突出部は、前記筒状部材の少なくとも一端側に配置されることが好ましい。[s2]
また、前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記所定の周方向角度をθとした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧L1×(θ/360)を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成する本発明は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、上記孔部の軸方向における前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と相異なるリード方向に設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、を備え、前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のリードをL2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧(1/2)×{L1×L2/(L1+L2)}を満たすことを特徴とする、雌ねじ体である。
また、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧{L1×L2/(L1+L2)}を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成する本発明は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と同方向且つリード角が相異なるように設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、を備え、前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のリードをL2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧(1/2)×{L1×L2/(L1−L2)}を満たすことを特徴とする、雌ねじ体である。
また、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧{L1×L2/(L1−L2)}を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成する本発明は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と相異なるリード方向に設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、を備え、前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のピッチをP2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧(1/2)×{L1×P2/(L1+P2)}を満たすことを特徴とする、雌ねじ体である。
上記目的を達成する本発明は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と同方向且つリード角が相異なるように設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、を備え、前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のピッチをP2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、T≧(1/2)×{L1×P2/(L1−P2)}を満たすことを特徴とする、雌ねじ体である。
上記目的を達成する本発明は、雄ねじ体と、該雄ねじ体と螺合する雌ねじ体を備え、上記雄ねじ体は、頭部と、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雄ねじ螺旋構造を有する軸部と、を備え、上記雌ねじ体は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定されて上記第一雄ねじ螺旋構造と螺合する第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、所定の周方向角度毎に、前記第一雌ねじ螺旋構造による回転を係止し得る逆回転防止部材と、を備え、上記雄ねじ体の頭部の端面及び/又は上記雌ねじ体の上記筒状部材端面には、変形可能なテーパ面が形成され、上記雌ねじ体の上記係合縁は、前記雄ねじ体と接触して弾性変位することで、上記第一雄ねじ螺旋構造と上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止して逆回転を規制することを特徴とする、ねじ体の締結構造である。
上記目的を達成する本発明は、雄ねじ体と、該雄ねじ体と螺合する雌ねじ体を備え、上記雄ねじ体は、頭部と、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雄ねじ螺旋構造、及び上記第一雄ねじ螺旋構造とリード角及び/又はリード方向が相異なるリード角及び/又はリード方向に設定される第二雄ねじ螺旋構造を有する軸部と、を備え、上記雌ねじ体は、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、上記第一雄ねじ螺旋構造と螺合する第一雌ねじ螺旋構造と、前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第二雄ねじ螺旋構造と断続的又は連続的に螺合する第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、を備え、上記雄ねじ体の頭部の端面及び/又は上記雌ねじ体の上記筒状部材の端面には、変形可能なテーパ面が形成され、上記雌ねじ体の前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雄ねじ螺旋構造と上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止することを特徴とする、ねじ体の締結構造である。
なお、上記雌ねじ体は以下の通り構成することも可能である。
即ち、筒状部材の孔部の内周面に形成されて、筒状部材の孔部の内周面に形成される適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される雌ねじ螺旋構造と、上記孔部の軸方向における上記筒状部材の端面に形成される当接面を有する受部と、上記当接面に配設され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記リード角及び/又はリード方向と相異なるリード角及び/又はリード方向に設定される断続的又は連続的な螺旋状の係合縁を構成する逆回転防止部材と、を備え、前記係合縁は、基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止することを特徴とする、雌ねじ体とすることができる。
なお、この雌ねじ体の筒状部材の雌ねじ螺旋構造は、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一の螺旋溝と、該第一の螺旋溝と相異なるリード角及び/又はリード方向に設定される第二の螺旋溝とが同一領域上に重複形成されて成る多重ねじ構造部を有する雄ねじの一方の螺旋溝と螺合させ得る。また、この筒状部材を、雄ねじの一方の螺旋溝に沿って螺進させて行くと、雌ねじ体の係合縁は、上記雄ねじの第一の螺旋溝及び第二の螺旋溝の他方の螺旋溝のねじ山と接触し、更に、該係合縁の基端側を支点として突端側が前記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、当該弾性変形を繰り返しながら他方の螺旋溝のねじ山を乗り越えて行くことで、前記雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止することを特徴とすることができる。
また、上記当接面を、上記軸に対する垂直方向の断面によって視た場合、該当接面の断面像が上記軸の周方向複数箇所に得られること及び/又は該断面像が環状に得られることを特徴とすることができる。
また、前記受部には、第一周方向係合部が形成され、前記逆回転防止部材には、上記第一周方向係合部と周方向に係合可能な第二周方向係合部が形成され、上記第一周方向係合部と上記第二周方向係合部により、前記筒状部材と前記逆回転防止部材とが周方向に固定されることを特徴とすることができる。
また、前記受部には、第一軸方向係合部が形成され、前記逆回転防止部材には、上記第一軸方向係合部と前記軸方向に係合可能な第二軸方向係合部が形成され、上記第一軸方向係合部と上記第二軸方向係合部により、前記筒状部材と前記逆回転防止部材とが前記軸方向に固定されることを特徴とすることができる。
また、前記第一軸方向係合部は、組立時に屈曲させることで前記逆回転防止部材と軸方向に係合することを特徴とすることができる。
また、前記第一軸方向係合部は、前記逆回転防止部材の外周に沿って形成されることを特徴とすることができる。
また、前記逆回転防止部材は、前記受部の前記当接面に対して、少なくとも周方向に180°以上の角度範囲で当接する座面部を有することを特徴とし、及び/又は、前記突出部の前記係合縁は、周方向に360°以下の角度範囲で前記雄ねじと接触することを特徴とすることができる。
また、前記逆回転防止部材は、周方向に360°未満の範囲となる前記係合縁を、周方向に複数有することを特徴とすることができる。
また、前記逆回転防止部材は、前記受部の前記当接面に当接する座面部と、前記座面部から軸方向に延在し、周方向に沿って前記軸方向の延在距離が次第に長くなる立設部と、を有し、前記突出部は、前記立設部から半径方向内向きに延設するように形成されることを特徴とすることができる。
更に上記雌ねじ体は、突出部の延設長さ即ち突出長さの設定や、立設部の立設長さの設定、突出部と立設部の相対角度の設定等により、所定以上の緩め方向トルクを付与することで突出部が弾性変形し、比較的容易に、雄ねじから雌ねじ体を取り外すことを可能とすることも出来る。
本発明によれば、リード角及び/又はリード方向が相異なる二種類の雌ねじ構造を有する単一の雌ねじ体において、被締結体の締結力を高度に維持することが可能となる。
本発明の実施形態に係る雌ねじ体が適用される締結構造の(A)正面図であり、(B)平面図である。 同締結構造の(A)正面断面図であり、(B)側面断面図である。 同雌ねじ体の(A)平面図、(B)正面断面図、(C)正面図である。 同雌ねじ体の(A)平面図、(B)側面断面図、(C)側面図、(C)部分断面図である。 同締結構造の雄ねじ体の(A)正面図、(B)ねじ山のみの断面図、(C)平面図である。 同雄ねじ体の(A)側面図、(B)ねじ山のみの断面図、(C)平面図である。 同締結構造の締結作用を示す(A)初期状態の正面断面図、(B)雌ねじ体を90度回転させたときの正面断面図、(C)雌ねじ体を180度回転させたときの正面断面図である。 同締結構造において雌ねじ体を緩み方向に回転させる際の正面断面図である。 同締結構造の他の締結作用を示す(A)初期状態の正面断面図、(B)雌ねじ体を90度回転させたときの正面断面図、(C)雌ねじ体を180度回転させたときの正面断面図である。 (A)は同締結構造の雄ねじ体の雄ねじ部のねじ山の状態を示す展開図であり、(B)は、他の締結構造の雄ねじ体の雄ねじ部のねじ山の状態を示す展開図である。 他の締結構造の雄ねじ体の雄ねじ部のねじ山の状態を示す展開図である。 同雌ねじ体の他の構成を示す正面断面図である。 (A)及び(B)は他の締結構造の雄ねじ体の雄ねじ部のねじ山の状態を示す展開図である。 他の締結構造の雄ねじ体の雄ねじ部のねじ山の状態を示す展開図である。 (A)は同雌ねじ体の他の構成を示す正面断面図、(B)及び(C)は同雌ねじ体の他の構成を示す正面図である。 他の締結構造の構成を示す正面部分断面図である。 他の締結構造の雌ねじ体の構成を示す(A)平面図、(B)正面図、(C)正面断面図である。 他の締結構造の雌ねじ体の構成を示す(A)斜視図、(B)正面断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る雄ねじ体100が用いられる締結構造1の正面図である。また、図2(A)は、同締結構造1の正面断面図であり、図2(B)は側面断面図である。図3は、雌ねじ体100の正面断面図等であり、図4は側面断面図等である。図5は雄ねじ体10の正面の拡大図等であり、図6は側面の拡大図等である。これらの図に示すように、締結構造1は、雌ねじ体100を雄ねじ体10に締結することによって構成されるものである。雌ねじ体100は、筒状部材106と逆回転防止部材160によって、雄ねじ体10の緩み方向の相対回転を防止する。
図5及び図6に示すように、雄ねじ体10は、基部側から軸端に向かって、雄ねじ螺旋構造が形成された雄ねじ部13が設けられる。本実施形態では、この雄ねじ部13に、対応した右ねじとして成る雌ねじ状の螺旋条を螺合可能に構成される右ねじと成る第一雄ねじ螺旋構造14と、対応した左ねじとして成る雌ねじ状の螺旋条を螺合可能に構成される左ねじと成る第二雄ねじ螺旋構造15との二種類の雄ねじ螺旋構造が同一領域上に重複して形成される。
雄ねじ部13には、図5(C)に示すように、軸心(ねじ軸)Cに垂直となる面方向において周方向に延びる略三日月状のねじ山13aが、雄ねじ部13の一方側(図の左側)及び他方側(図の右側)に交互に設けられる。ねじ山13aをこのように構成することで、右回りに旋回する螺旋構造(図5(A)の矢印14参照)及び左回りに旋回する螺旋構造(図5(A)の矢印15参照)の二種類の螺旋溝を、ねじ山13aの間に形成することが出来る。
本実施形態では、このようにすることで、第一雄ねじ螺旋構造14及び第二雄ねじ螺旋構造15の二種類の雄ねじ螺旋構造を、雄ねじ部13に形成している。従って、雄ねじ部13は、右ねじ及び左ねじの何れの雌ねじ体とも螺合することが可能となる。なお、二種類の雄ねじ螺旋構造が形成された雄ねじ部13の詳細については、本願の発明者に係る特許第4663813号公報を参照されたい。
図3及び図4に示すように、雌ねじ体100は、筒状部材106と逆回転防止部材160を有する。筒状部材106は、所謂六角ナット状を成しており、中心に貫通孔部106aを有する。勿論、雌ねじ体100の概形は、六角ナット状に限らず、円筒状、周面にローレットを有する形状、四角形状、星型形状など任意に適宜設定可能である。貫通孔部106aには、右ねじとしての第一雌ねじ螺旋構造114が形成される。即ち、筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114は、雄ねじ体10の雄ねじ部13における第一雄ねじ螺旋構造14と螺合する。
筒状部材106は、軸方向端部近傍において半径方向外側に拡張可能に延設されるリム部180を有し、更に、このリム部180が形成される側の端面に、テーパ面182を有する。このテーパ面182は、半径方向内側が軸方向に凹むような円錐台形を成しており、締結力によって被締結部材側からの反力を受け止めると、当該テーパ面182が軸垂直平面に近づくように弾性変形する。ここではテーパ面182における軸方向の変位量をTと定義する。
筒状部材106は受部110を有する。受部110は、筒状部材106のテーパ面182と反対側の軸方向端面に形成されており、回転軸に対して略垂直(必ずしも垂直である必要は無い)となる当接面110aを有する。この当接面110aは、ここではリング状の平面となっており、逆回転防止部材160の座面部162と当接して、該逆回転防止部材160を軸方向に受け止める。なお、このリング状の当接面110aは、軸方向端面に凹ませるように形成しても良い。
更に、受部110は、第一周方向係合部120と第一軸方向係合部130を有する。図3(B)に示すように、第一周方向係合部120は、ここでは当接面110aに対して軸方向に突出する突起となっており、周方向に180°の位相間隔で二個形成される。勿論、この第一周方向係合部120は、必須ではないが、周方向に一カ所又は複数カ所分散して設けることも出来る。この第一周方向係合部120は、逆回転防止部材160の第二周方向係合部162aと嵌合して周方向に係合し、周方向の相対回転を規制する。なお、ここでは第一周方向係合部120を当接面110aに対して突出させるようにしたが、窪ませることもできる。また、第一周方向係合部120を軸方向に凸状又は凹状とすることもできる。例えばその事例として、当接面110a自体に、エンボス加工やローレット加工、放射状の溝等の凹凸を形成することも好ましい。
図4(B)に示すように、第一軸方向係合部130は、当接面110aに対して微小の隙間を有する状態で対向配置される部材である。この隙間には、逆回転防止部材160の板状の座面部162(第二軸方向係合部162b)が介在するように配設される。当接面110aと第一軸方向係合部130は、座面部162を挟持する構造となり、この第一軸方向係合部130が第二周方向係合部162bと軸方向に係合する。なお、第一軸方向係合部130は、図4(D)に示すように、組立前においては、受部110に対して略垂直に延びる周壁状部となる。この周壁状部は、逆回転防止部材160の座面部162の外周縁に沿うようにして周方向に立設される。組立時には、逆回転防止部材160を配設してから、点線で示すように、第一軸方向係合部130を半径方向内側に屈曲させて、カシメることで両者を軸方向に締結する。なお、第一軸方向係合部130は、ここでは周方向に90°程度の範囲となる周壁状部を、二箇所に設ける場合を例示しているが、例えば図18に示すように、全周(360°)に亘って設けることも好ましく、また、全周に亘って断続的な周壁状部を設けることも好ましい。
次に逆回転防止部材160について説明する。逆回転防止部材160は、座面部162と、立設部165と、突出部168を有する。
図4(A)に示すように、座面部162は、受部110の当接面110aに当接するリング状の板部であり、その一部及び/又は全部によって第二軸方向係合部162bを構成する。この第二軸方向係合部162bは、第一軸方向係合部130に挟持される(軸方向に重なる)ことで互いに軸方向に係合する。座面部162は、受部110の当接面110aに対して、好ましくは周方向に180°以上、例えば360°の角度範囲で当接させることで、姿勢を安定させると共に、第一軸方向係合部130との係合状態が保持されるように構成されている。
座面部162の外周縁には、第二周方向係合部162aが形成される。この第二周方向係合部162aは、座面部162の外周縁の半径方向内側に変位する凹状の切欠きを有し、受部110の第一周方向係合部120と周方向に係合する。なお、ここでは半径方向内側に凹となる切欠きを例示しているが、半径方向外側に凸となる突起でもよく、軸方向に凸状又は凹状であってもよく、また必須でもない。第二周方向係合部162aが軸方向に凸状又は凹状となる事例として、座面部162における当接面110aと対向する平面に、エンボス加工やローレット加工、放射状の溝等の凹凸を形成することも好ましい。
図4(B)に示すように、立設部165は、座面部162から軸方向に延在する略筒状部である。軸方向の延在距離Jは、周方向に沿って次第に長くなる(又は短くなる)。結果、立設部165における座面部162と反対側の端縁165aは、座面部162に対して傾斜しており、この傾斜角度αが、第二雄ねじ螺旋構造115のリード角と対応して設定される。即ち、端縁165aは、周方向に約360度の範囲で延設された螺旋となる。立設部165には、軸方向の切欠き165bを形成してもよく、形成した場合には、積極的に半径方向の剛性を低下させることで、立設部165が半径方向外側に弾性変形し易くなるように出来る。なお、この切欠き165bは、ここでは周方向の二か所に形成しているが、一か所でも良く、三か所以上に形成してもよく、また0カ所としてもよい。
突出部168は、立設部165の端縁165aから半径方向内側に突出する板部となっている。図3(A)に示すように、この突出部168は、立設部165の切欠き165bが延長されること、又は、突出部168の端部から半径方向外向きに切り欠かれて成る凹状のスリットによって、周方向の二か所で分断された、約180°以下の角度範囲となる部分円弧状の二つの板部で構成される。各突出部168の半径方向内側が突端となり、これにより複数の係合縁168aが構成される。結果として、各係合縁168aは、周方向に180°以下の角度範囲の部分円弧となり、雄ねじ体10の外周と接触する。このように、各係合縁168aの周方向距離を180°以下にすることで、半径方向外側に変位しやすくなる。なお、係合縁168aの直径は、雄ねじ体10の第二雄ねじ螺旋構造15の谷径とほぼ一致させている。
また突出部168は、半径方向に沿って、その内側が座面部162の成す仮想平面から離れる方向に傾斜している。この半径方向の傾斜角度βは、雄ねじ体10の第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山13aのフランク角とほぼ一致させており、ここでは約30°に設定している。また、係合縁168aは、立設部165の端縁165aの傾斜角αに伴って、リード角αとなる左ねじの第二雌ねじ螺旋構造115が形成される。この係合縁168aは、雄ねじ体10の雄ねじ部13における第二雄ねじ螺旋構造15と螺合する。
次に、この締結構造1によって被締結部材500を締結する際の作用について説明する。
図7(A)に示すように、雌ねじ体100の筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114を、雄ねじ体10の第一雄ねじ螺旋構造14に螺合させて行くと、逆回転防止部材160の係合縁168aが、雄ねじ体10の第二雄ねじ螺旋構造15と接触する。しかし、雌ねじ体100を、筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114を基準として螺合させているので、筒状部材106を螺進させて行くと、係合縁168aと第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山が干渉状態に遷移する。
この状態で、更に筒状部材106を90°回転させて、第一雌ねじ螺旋構造114を第一雄ねじ螺旋構造14に螺合させて行くと、図7(B)に示すように、筒状部材106は締結方向に1/4ピッチ進行し、逆回転防止部材160も、同方向に回転しながら、締結方向に強制的に進行する。このとき、係合縁168aは、座面部162から離れる方向に傾斜していることから、ねじ山13aのフランク面に沿って、当接面110aから離れる軸方向及び/又は半径方向外側に弾性変形して、第二雄ねじ螺旋構造15を乗り越えようとする。この際、好ましくは、立設部165が半径方向外側の剛性を高めておくことで、立設部165自体が外側に弾性変形する量は小さく又は略零に設定し、係合縁168aが立設部165に対して鈍角側へ弾性変形させることを優先させる。図7(A)の状態を基準として筒状部材106を180°(1/2ピッチ)回転させると、図7(C)に示すように、係合縁168aが、第二雄ねじ螺旋構造15の一つのねじ山13aを完全に乗り越えて、次の第二雄ねじ螺旋構造15に嵌合する。この動作を繰り返すことで、雌ねじ体10が180°回転する度に、係合部168aが第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山13aを乗り越えて行き、雌ねじ体100は雄ねじ体10に締結されて行く。図7(C)の段階で、雌ねじ体10のテーパ面182が被締結部材500に丁度よく当接すれば、最適な締結状態を維持できることになる。
一方、図8を参照して、雌ねじ体100の筒状部材106が、雄ねじ体10の第一雄ねじ螺旋構造14に対して緩み方向に回転しようとする場合を考える。突出部168は、当接面110aの成す仮想平面に対して先端側(係合縁168a側)が乖離するように傾斜した形状を成しており、この傾斜は、第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山13aのフランク面に対応するように設定され、好ましくは当接するように設定される。また、この突出部168の基端(立設部165の端縁165a)から先端(係合縁168a)までの長さは、ねじ山13aの頂部から谷底までの距離に対応して設定され、好ましくは当該距離とほぼ一致するように設定される。そのため、雌ねじ体100の筒状部材10に緩め方向の相対回転を与えると、突出部168の傾斜面が、立設部165に対して、当接面110aの成す仮想平面に接近する方向(即ち、係合縁168aが当接面110aに接近する方向)に力を受けて弾性変形する。立設部165の半径方向外側への剛性を高めておくことにより、当該弾性変形に伴って、突出部168の基端から先端の仮想平面方向の距離(図8における水平方向距離)が長くなることから、係合縁168aがねじ山13aの谷部を狭窄するように作用し、その結果、当該緩め方向の相対回転を機械構造的に強固に防止できる。換言すると、逆回転防止部材160の係合縁168aが、第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山13aの谷に食い込み、筒状部材106と逆回転防止部材160との進行のズレ若しくは相反によって相対回転を規制する。従って、雄ねじ体100は、緩み方向の相対回転ができない。逆回転防止部材160は、筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114による一方向(締結方向)の雄ねじ体10との相対回転は許容し、その逆回転は確実に係止される。なお、雌ねじ体100において、突出部168の延設長さ即ち突出長さの設定や、立設部165の立設長さの設定、突出部168と立設部165の相対角度の設定等により、所定以上の緩め方向トルクを付与することによって突出部168を弾性変形させて、比較的容易に、雄ねじ体10から雌ねじ体100を取り外すことを可能とすることも出来る。
図9を用いて図7と異なる締結事例を紹介する。図9(A)に示すように、雌ねじ体100の筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114を、雄ねじ体10の第一雄ねじ螺旋構造14に螺合させて行くと、逆回転防止部材160の係合縁168aが、雄ねじ体10の第二雄ねじ螺旋構造15と接触する。しかし、雌ねじ体100を、筒状部材106の第一雌ねじ螺旋構造114を基準として螺合させているので、筒状部材106を螺進させて行くと、係合縁168aと第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山が干渉状態に遷移する。
この状態で、更に筒状部材106を90°回転させて、第一雌ねじ螺旋構造114を第一雄ねじ螺旋構造14に螺合させて行くと、図9(B)に示すように、係合縁168aは、座面部162から離れる方向に傾斜していることから、ねじ山13aのフランク面に沿って、当接面110aから離れる軸方向及び/又は半径方向外側に弾性変形して、第二雄ねじ螺旋構造15を乗り越えようとする。しかしながら、本事例では、係合縁168aがねじ山13aを完全に乗り越える前に、筒状部材106のテーパ面182が被締結部材500と当接する。
この場合は、図9(C)に示すように、筒状部材106を更に増し締めすることで、被締結部材500からの反力によってテーパ面182を弾性変形させて、テーパ面182を平面に遷移させて行く。この間に、係合縁168aが、第二雄ねじ螺旋構造15の一つのねじ山13aを完全に乗り越えて、次の第二雄ねじ螺旋構造15に嵌合する。即ち、図9(B)のように、係合縁168aがねじ山13aを乗り越える直前に、筒状部材106のテーパ面182が被締結部材500と当接しても、テーパ面182の軸方向変位量Tを上限として当該テーパ面182を弾性変形させることにより、締結力を維持したまま、係合部168aをねじ山13aに対して確実に乗り越えさせることができる。しかも図9(C)のように、テーパ面182が変形した状態を、雌ねじ体10による最終的な締結状態にすることで、締結力を維持できることになる。
次に、筒状部材106のテーパ面182の軸方向変位量Tについて説明する。
図10(A)は、本実施形態の雄ねじ体10の雄ねじ部13の一部の外周面を、平面に展開した状態を示す。従って、雄ねじ部13には、第一雄ねじ螺旋構造14と第二雄ねじ螺旋構造15が重畳して形成される。なお図10では、第一雄ねじ螺旋構造14のねじ山の「谷」を実線で示し、第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山の「谷」を点線で示す。
また、雌ねじ体100の筒状部材106に形成される第一雌ねじ螺旋構造114の一部を仮想的に切り取った領域を第一雌ねじ螺旋部分領域114A、逆回転防止部材160の係合縁168aに形成される第二雌ねじ螺旋構造115の一部を仮想的に切り取った領域を第二雌ねじ螺旋部分領域115Aと定義する。この第一雌ねじ螺旋部分領域114AのリードをL1、リード角をα1、第二雌ねじ螺旋部分領域115AのリードをL2、リード角をα2とする。
第一雌ねじ螺旋部分領域114Aと第二雌ねじ螺旋部分領域115Aは、一つの雌ねじ体10に一体的に形成されているため、両者が相対移動することができない。筒状部材106を雄ねじ体10に対して螺合させて行くと、第一雌ねじ螺旋部分領域114Aは、第一雄ねじ螺旋構造14のねじ山の谷に沿って移動する。同時に、第二雌ねじ螺旋部分領域115Aは、第二雄ねじ螺旋構造15に沿って移動しようとするが、第一雌ねじ螺旋部分領域114Aと移動方向(リード方向)又は移動量(リード量)が相異なるので、矢印Xに示すように、第二雌ねじ螺旋部分領域115Aが弾性変位をして、第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山を強制的に乗り越えて、次の谷まで移動する。
このように、第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山の谷に当接している第二雌ねじ螺旋部分領域115Aが、ねじ山を強制的に乗り越えて次の谷まで強制的に移動するまでの、第一雌ねじ螺旋部分領域114A側の軸方向移動量をYと定義すると、このYは以下の通り定義される。
Y={L1×L2/(L1+L2)}
この式は次の通り導出される。まず、図10(A)で示すように、第一雄ねじ螺旋構造14と第二雄ねじ螺旋構造15が、互いに交差する2つの地点までの周方向長さをそれぞれS1、S2と定義すると、各リード角α1、α2から以下の(式1)が得られる。
(式1)S1×tan α1=S2×tan α2
雄ねじの周方向距離をπd(d:直径)と定義すると、以下の(式2)が得られる。
(式2)S2=πd−S1
(式1)に(式2)を代入して整理すると以下の(式3)が得られる。
tan α1×S1=tan α2×(πd−S1)
(tan α1+tan α2)×S1=tan α2×πd
S1=tan α2×πd/(tan α1+tan α2)
(式3)S1×tan α1=tan α1×tan α2×πd/(tan α1+tan α2)
上記(式3)の「S1×tanα1」は今回の軸方向移動量をYと一致するので、最終的に以下の式が得られる。
Y=tan α1×tan α2×(πd)/{(tan α1+tan α2)×πd}
Y=L1×L2/(L1+L2)
従って、テーパ面182の軸方向変位量TがY以上に設定されていれば、テーパ面182の弾性変形によって、第二雌ねじ螺旋部分領域115Aが、第二雄ねじ螺旋構造15の一つのねじ山を確実に乗り越えることができる。なお実際には、第二雄ねじ螺旋構造15の直前のねじ山の「谷」に位置する第二雌ねじ螺旋部分領域115Aが、次のねじ山の「頂」を乗り越えることが最低条件となるため、テーパ面182の軸方向変位量Tは、上記軸方向移動量Yの半分以上に設定されていれば良い。特に突出部168の延設長さが小さい場合、即ち突出部168と雄ねじ体のねじの係合量が小さい場合は、テーパ面182の軸方向変位量Tは小さくて済む。従って、テーパ面182の軸方向変位量Tは以下の通り設定される。
T≧(1/2)×{L1×L2/(L1+L2)}
好ましくはT≧{L1×L2/(L1+L2)}
本実施形態では、第一雌ねじ螺旋部分領域114Aと第二雌ねじ螺旋部分領域115Aのリード量は同じであることから、L1=L2となるので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=(1/2)×L1
T≧(1/4)×L1、好ましくはT≧(1/2)×L1
図10(B)は、本実施形態の変形例として、第一雌ねじ螺旋部分領域114AのリードL1に対して、第二雌ねじ螺旋部分領域115AのリードL2が、その半分に設定される場合を示す。この場合は、L2=(1/2)×L1となるので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=(1/3)×L1
T≧(1/6)×L1、好ましくはT≧(1/3)×L1
図11は、本実施形態の変形例として、第一雌ねじ螺旋部分領域114AのリードL1に対して、第二雌ねじ螺旋部分領域115AのリードL2が、その三分の一に設定される場合を示す。この場合は、L2=(1/3)×L1となるので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=(1/4)×L1
T≧(1/8)×L1、好ましくはT≧(1/4)×L1
なお、上記実施形態の雄ねじ体10及び雌ねじ体100では、第一雄ねじ及び雌ねじ螺旋構造14、114と、第二雄ねじ及び雌ねじ螺旋構造15、115が、互いに逆ねじの関係(リード角が同じでリード方向が反対)となっている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図12及び図13(A)に示すように、リード方向(L1、L2)が同じで、リード角が異なる第一雄ねじ及び雌ねじ螺旋構造14、114と、第二雄ねじ及び雌ねじ螺旋構造15、115を採用することもできる。この場合、第一雄ねじ螺旋構造14によって構成される螺旋状のねじ山13aに、さらに螺旋条を重畳形成することにより、リードがL1(リード角α1)の第一雄ねじ螺旋構造14及びリードがL2(リード角がα2)の第二雄ねじ螺旋構造15を、ねじ方向を揃えて形成する。勿論ここでは、L1>L2を満たすものとする。
この場合における軸方向移動量Yは、既に述べた関係式(2)S2=πd−S1を、S2−S1=πd として応用すればよく、以下の通り表式化される。
Y={L1×L2/(L1−L2)}
図13(A)において、第一雌ねじ螺旋部分領域114AのリードL1に対して、第二雌ねじ螺旋部分領域115AのリードL2が、その半分(L2=(1/2)×L1)に設定される場合を示しているので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=L1
T≧(1/2)×L1、好ましくはT≧L1
図13(B)は、図13(A)の変形例として、第一雌ねじ螺旋部分領域114AのリードL1に対して、第二雌ねじ螺旋部分領域115AのリードL2が、その三分の一に設定される場合を示す。この場合は、L2=(1/3)×L1となるので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=(1/2)×L1
T≧(1/4)×L1、好ましくはT≧(1/2)×L1
更に図13(B)の展開図には、図10(A)で示した実施形態の変形例として、第二雄ねじ螺旋構造15が多条ネジ(ここでは二条ネジ)となる場合を示している。この場合、第二雄ねじ螺旋構造15のピッチP2は、P2=(1/2)×L2と定義される。第二雄ねじ螺旋構造15が多条ねじの場合、その多条化されている分だけ、軸方向移動量Yを小さくすることができる。このYは以下の通り定義される。
Y={L1×P2/(L1+P2)}
従って、テーパ面182の軸方向変位量Tは以下の通り設定される。
T≧(1/2)×{L1×P2/(L1+P2)}
好ましくはT≧{L1×P2/(L1+P2)}
本変形例では、第一雌ねじ螺旋部分領域114Aと第二雌ねじ螺旋部分領域115Aのリード量は同じであることから、L1=L2となるので、L1を基準にテーパ面182の軸方向変位量Tの設定値を定義すると以下の通りとなる。
Y=(1/4)×L1
T≧(1/8)×L1、好ましくはT≧(1/4)×L1
なお、特に図示しないが、第一雄ねじ螺旋構造14が多条ネジの場合は、リードL1に代えて、第一雄ねじ螺旋構造14のピッチP1を適用すれば良く、この際のYは以下の通り定義される。
Y={P1×L2/(P1+L2)}
勿論、第一雄ねじ螺旋構造14及び第二雄ねじ螺旋構造15の双方が多条ネジの場合は、リードL1、L2に代えて、上記ピッチP1、P2を適用すれば良く、この際のYは以下の通り定義される。
Y={P1×P2/(P1+P2)}
更に、第一雄ねじ螺旋構造14及び第二雄ねじ螺旋構造15のリード双方が同じ場合の場合は以下の通り定義される。勿論ここでは、P1>P2を満たすものとする。
Y={P1×P2/(P1−P2)}
以上の通り、この種の雌ねじ体100によれば、筒状部材100が被締結部材500と初期接触するタイミングと、係合縁168aが第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山を乗り越えるタイミングが合わない場合がある。そこで本実施形態では、筒状部材106の軸方向端にテーパ面182を形成する。このテーパ面182は、半径方向内側が軸方向に凹むような円錐台形、或いは、湾曲状を成しており、締結力によって被締結部材側からの反力を受け止めて、当該テーパ面182が軸垂直平面に近づくように弾性変形する。テーパ面182の軸方向の変位量T分、即ちテーパ面182の弾性変形可能な量だけ、筒状部材106を更に相対回転させることができ、結果として、係合縁168aが第二雄ねじ螺旋構造15のねじ山を乗り越えることができる。従って、本雌ねじ体100によれば、逆回転の防止と、被締結体500の締結力を高度に維持することを両立させることが可能となる。
特に、第一及び第二雌ねじ螺旋構造114、115のリード方向が反対となる場合は、テーパ面182の軸方向変位量Tが、T≧(1/2)×{L1×L2/(L1+L2)}、好ましくはT≧{L1×L2/(L1+L2)}に設定され、第一及び第二雌ねじ螺旋構造114、115のテーパ方向が同じとなる場合は、T≧(1/2)×{L1×L2/(L1−L2)}、好ましくはT≧{L1×L2/(L1−L2)}に設定される。更に第二雌ねじ螺旋構造115と螺合する第二雄ねじ螺旋構造15が多条ねじの場合は、上記関係式のリードL2をピッチP2に置きかえれば良く、T≧(1/2)×{L1×P2/(L1+P2)}、好ましくはT≧{L1×P2/(L1+LP)}、或いはT≧(1/2)×{L1×P2/(L1−P2)}、好ましくはT≧{L1×P2/(L1−P2)}に設定される。このように設定すれば、テーパ面182の軸方向変位量Tが不足する事態を回避できる。
なお、本実施形態の雌ねじ体100によれば、受部110の当接面110aを含む範囲において、軸に対する垂直方向の断面によって視た場合、この当接面110aの断面像が、周方向複数箇所に得られる状態及び/又は断面像が環状に得られる状態になる。従って、当接面110aによる逆回転防止部材160の保持姿勢が安定するので、組立を易しく行うことができ、更に、組立精度も向上させることができる。なお、本実施形態では、当接面110aの断面像が環状(リング状)になるので、最も安定した状態になるといえる。
更に本実施形態のように、筒状部材106の端面において、当接面110aを回転軸に対して垂直な平面にすると、プレス、切削、転造、圧造、成型、造形等によって筒状部材106を形成する際に、所謂ナットと同様に簡潔に量産できる。なお、当接面110aを軸直角方向に対して傾斜させて、この当接面110aを利用して係合縁168aのリード角やリード方向を設定した周方向のスロープ状に形成しようとすると、筒状部材106の製造コストが増大する。更に、スロープ状の当接面110aを含む範囲で、軸に対する垂直方向の断面によって視た場合、その断面像は周方向に一箇所しか得られない。これは、当接面110aによる逆回転防止部材160の保持姿勢が不安定であり、スロープに沿って逆回転防止部材160が周方向にスライドするような力が生じ易い。結局、筒状部材106と逆回転防止部材160を組み立てる際に、高い位置決め精度が要求されてしまう。
因みに本実施形態では、周方向に沿って軸方向の延在距離Jが次第に長くなる立設部165によって、第二雌ねじ螺旋構造115のリード方向及びリード角を設定している。この構造を採用すれば、例えば、逆回転防止部材160を板状部材を用いたプレス成型等によって量産することが可能となり、製造コストを飛躍的に低減できる。
また本雌ねじ体100は、必須ではないが、筒状部材106側の第一周方向係合部120と、逆回転防止部材160側の第二周方向係合部162aによって、筒状部材106と逆回転防止部材160を周方向に固定可能としている。結果、逆回転防止部材160の係合縁168aを干渉させながら、強制的に締結させる際にも、筒状部材106と逆回転防止部材160の相対回転を規制できる。
同様に、筒状部材106側の第一軸方向係合部130と、逆回転防止部材160の第二軸方向係合部162bにより、筒状部材106と逆回転防止部材160が軸方向に固定されている。結果、筒状部材106を強制的にねじ込んで、逆回転防止部材160の係合縁168aを半径方向に変位させる際にも、筒状部材106と逆回転防止部材160が軸方向に離脱することを防止できる。本実施形態では、組立時に第一軸方向係合部130を屈曲させて互いにかしめるので、簡易な製造工程にもかかわらず、確実に両者を一体化できる。
とりわけ、本実施形態の逆回転防止部材160の座面部162は、少なくとも周方向に180°以上の角度範囲で、受部110の当接面110aに当接している。このように、座面部162を180°以上の角度範囲に設定すると、逆回転防止部材160に外力が作用しても、第一軸方向係合部130との係合状態が外れ難くなる。一方で、逆回転防止部材160の係合縁168aは、周方向に180°以下の角度範囲で雄ねじ10と接触させることで、軸方向及び/又は半径方向外側に柔軟に変位し易くすることが出来る。即ち、本実施形態の逆回転防止部材160によれば、筒状部材106と確実に一体化させつつも、係合縁168aを容易に変位できるようにしている。また、この際に係合縁168aを周方向に複数配置することで、雌ねじ体100が緩み方向に回転する際に、複数の係合縁168aが確実に雄ねじ体10と係合して、その回転を規制できる。また係合縁168と立設部165の角度関係を鈍角に設定しているので、係合縁168は、立設部165から離れる軸方向(両者の角度関係が180°に近づく方向)に弾性変形しやすいが、立設部165に近づく軸方向(両者の関係が90°に近づく方向)には弾性変形しにくいという利点がある。
更に上記実施形態の雌ねじ体100では、本実施形態の雌ねじ体100によれば、当接面110aを含む範囲の軸垂直断面の断面像が、当接面100aと一致する平面リング状になる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図15(A)に示す雌ねじ体100のように、当接面110aを、半径方向に傾斜するテーパ面とすることができる。この場合、軸垂直断面X−Xの断面像は、環状の線となる。更に例えば図15(B)に示す雌ねじ体100のように、当接面110aを、軸に対して一方向傾斜する傾斜面とすることができる。この場合、当接面110aの軸垂直断面X−Xの断面像は、二箇所の線分となる。また更に例えば図15(C)に示す雌ねじ体100のように、当接面110aを、軸に対して一方向と他方向に傾斜する一対の傾斜面とすることができる。この場合、当接面110aの軸垂直断面X−Xの断面像は、四箇所の線分となる。これらのいずれにしろ、当接面110aを、軸垂直方向の断面によって視ると、断面像が周方向の複数箇所に得られる機会が提供されるため、逆回転防止部材160の保持姿勢を安定させることができる。
また、上記実施形態では、雄ねじ体100に二種類の相異なる螺旋構造14、15を形成することで、雌ねじ体100の逆回転を防止する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。図16及び図17に他の締結構造を示す。この締結構造では、雄ねじ体10の雄ねじ部13が、単一の第一雄ねじ螺旋構造14と、半径方向内側に凹んで周方向に十二か所に等間隔で形成される雄ねじ側当接部16を有する。なお、この雄ねじ側当接部16は、第一雄ねじ螺旋構造14と重畳するように形成されているが、軸端部に重ならないようにして形成しても良く、第一雄ねじ螺旋構造14の中でも必要な領域に限って形成しても良い。
雌ねじ体100は、筒状部材106と一体的に形成される逆回転防止部材160において、軸方向から視て断面非正円形となる逆回転防止領域160Aが形成される。この逆回転防止領域160Aは、筒状部材106のテーパ面182の反対側に軸方向にリング状に飛び出して設けられているが、テーパ面182側に設けても良く、また雄ねじ部13と重畳するように形成しても良い。
逆回転防止領域160Aには、半径方向内側に凸状となる雌ねじ側突出部168が、周方向に十二か所で等間隔で形成される。結果、雌ねじ側突出部168は、雄ねじ体10の雄ねじ部13に凹んで形成される雄ねじ側当接部16と、30°間隔で周方向に係合させることができる。既に述べたように、逆回転防止領域160Aは、軸方向に肉薄に設けられており、半径方向外側に弾性変形できるようにしている。従って、雄ねじ体10と雌ねじ体100を所望の力で相対回転させることで、逆回転防止領域160Aが外側に弾性変形して、雄ねじ側当接部16との周方向の係合を解除することができる。従って、雄ねじ体10と雌ねじ体100を所望の力で締まる方向に付勢すれば、雄ねじ側当接部16と雌ねじ側突出部168が係合と解除を繰り返しながら、相対回転を許容できるので、雌ねじ体100を雄ねじ部13の途中の任意の場所で固定できる。より望ましくは、雄ねじ側当接部16と雌ねじ側突出部168の少なくとも一方の形状を鋸刃形状にすることで、締め付け方向の回転は許容し、緩み方向の回転は規制する所謂ラチェット機構として作用させる。
この締結構造において、ここでは30°に設定される周方向角度をθとし、第一雌ねじ螺旋構造14のリードをL1とした場合、テーパ面182の軸方向変位量Tは以下の通り設定される。
T≧L1×(θ/360)
このようにすると、締結時において、雄ねじ側当接部16と雌ねじ側突出部168の係合が解除されたタイミングで、テーパ面182が被締結部材500に当接したとしても、更に、軸方向変位量T分だけ雌ねじ体100を回転させることができ、雄ねじ側当接部16と雌ねじ側突出部168を係合させることができる。
なお、上記実施形態では、雌ねじ体100にテーパ面を形成する場合に限って示したが、雄ねじ体10の頭部側にテーパ面を形成することも可能である。また、雌ねじ体100と雄ねじ体10の双方にテーパ面を形成することもできる。この場合、上記で示した軸方向変位量Tは、雌ねじ体100と雄ねじ体10の双方のテーパ面の合計量とすることができる。
また、本発明の実施例は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 締結構造
10 雄ねじ体
13 雄ねじ部
14 第一雄ねじ螺旋構造
15 第二雄ねじ螺旋構造
100 雌ねじ体
106 筒状部材
110 受部
110a 当接面
114 第一雌ねじ螺旋構造
115 第二雌ねじ螺旋構造
120 第一周方向係合部
130 第一軸方向係合部
160 逆回転防止部
162 座面部
162a 第二周方向係合部
162b 第二軸方向係合部
165 立設部
168 突出部
168a 係合縁
180 リム
182 テーパ面

Claims (10)

  1. 筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、所定の周方向角度毎に、前記第一雌ねじ螺旋構造による回転を係止し得る逆回転防止部材と、
    前記筒状部材の他方の端面に形成される変形可能なテーパ面と、
    を備え、
    前記突出部は、雄ねじと接触して弾性変形することで、前記雄ねじ10と前記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止して逆回転を規制することを特徴とする、
    雌ねじ体。
  2. 前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記所定の周方向角度をθとした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧L1×(θ/360)を満たすことを特徴とする、
    請求項1に記載の雌ねじ体。
  3. 筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、
    上記孔部の軸方向における前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と相異なるリード方向に設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、
    前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、
    を備え、
    前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、
    前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のリードをL2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧(1/2)×{L1×L2/(L1+L2)}を満たすこと
    を特徴とする、雌ねじ体。
  4. 前記テーパ面における軸方向変位量Tが、
    T≧{L1×L2/(L1+L2)}を満たすこと
    を特徴とする、請求項3に記載の雌ねじ体。
  5. 筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と同方向且つリード角が相異なるように設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、
    前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、
    を備え、
    前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、
    前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のリードをL2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧(1/2)×{L1×L2/(L1−L2)}を満たすこと
    を特徴とする、雌ねじ体。
  6. 前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧{L1×L2/(L1−L2)}を満たすこと
    を特徴とする、請求項5に記載の雌ねじ体。
  7. 筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と相異なるリード方向に設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、
    前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、
    を備え、
    前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、
    前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のピッチをP2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧(1/2)×{L1×P2/(L1+P2)}を満たすこと
    を特徴とする、雌ねじ体。
  8. 筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第一雌ねじ螺旋構造のリード方向と同方向且つリード角が相異なるように設定される断続的又は連続的な第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、
    前記筒状部材の端面に形成される変形可能なテーパ面と、
    を備え、
    前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止し、
    前記第一雌ねじ螺旋構造のリードをL1、前記第二雌ねじ螺旋構造のピッチをP2とした場合に、前記テーパ面の変形による軸方向変位量Tが、
    T≧(1/2)×{L1×P2/(L1−P2)}を満たすこと
    を特徴とする、雌ねじ体。
  9. 雄ねじ体と、該雄ねじ体と螺合する雌ねじ体を備え、
    上記雄ねじ体は、
    頭部と、
    適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雄ねじ螺旋構造を有する軸部と、を備え、
    上記雌ねじ体は、
    筒状部材の孔部の内周面に形成されて、適宜のリード角及び/又はリード方向に設定されて上記第一雄ねじ螺旋構造と螺合する第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、所定の周方向角度毎に、前記第一雌ねじ螺旋構造による回転を係止し得る逆回転防止部材と、を備え、
    上記雄ねじ体の頭部の端面及び/又は上記雌ねじ体の上記筒状部材端面には、変形可能なテーパ面が形成され、
    上記雌ねじ体の上記係合縁は、前記雄ねじ体と接触して弾性変位することで、上記第一雄ねじ螺旋構造と上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止して逆回転を規制することを特徴とする、
    ねじ体の締結構造。
  10. 雄ねじ体と、該雄ねじ体と螺合する雌ねじ体を備え、
    上記雄ねじ体は、
    頭部と、
    適宜のリード角及び/又はリード方向に設定される第一雄ねじ螺旋構造、及び上記第一雄ねじ螺旋構造とリード角及び/又はリード方向が相異なるリード角及び/又はリード方向に設定される第二雄ねじ螺旋構造を有する軸部と、を備え、
    上記雌ねじ体は、
    筒状部材の孔部の内周面に形成されて、上記第一雄ねじ螺旋構造と螺合する第一雌ねじ螺旋構造と、
    前記筒状部材に配置され、上記軸に向かって半径方向内向きに延設される突出部を有し、該突出部の突端によって、上記第二雄ねじ螺旋構造と断続的又は連続的に螺合する第二雌ねじ螺旋構造の係合縁を構成する逆回転防止部材と、を備え、
    上記雄ねじ体の頭部の端面及び/又は上記雌ねじ体の上記筒状部材の端面には、変形可能なテーパ面が形成され、
    上記雌ねじ体の前記係合縁は、上記突出部の基端側を支点として上記突端側が上記当接面から乖離する向きに対して回動するように弾性変形し得、雄ねじを螺合する際に、当該弾性変形を繰り返しながら螺進し、上記第一雄ねじ螺旋構造と上記第一雌ねじ螺旋構造の一方向の相対回転を許容し且つ他方向の相対回転を係止することを特徴とする、
    ねじ体の締結構造。
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