JP2016109257A - 制振装置および制振方法 - Google Patents

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和 渡邉
亮 伊東
Ryo Ito
亮 伊東
泰明 徳永
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泰明 徳永
片山 洋
Hiroshi Katayama
洋 片山
正彦 藁科
Masahiko Warashina
正彦 藁科
俊司 大熊
Shunji Okuma
俊司 大熊
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Makiko Kurihara
麻貴子 栗原
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Abstract

【課題】振動の特性が変化する場合や複数の異なる共振振動数を有する振動の場合であっても共振応答を抑制することができる制振装置を提供すること。【解決手段】実施形態の制振装置は、第1の構造体に接続される直線運動部と、第2の構造体に接続される支持部材と、前記支持部材に支持される回転運動部と、前記直線運動部の直線運動を前記回転運動部の回転運動に変換する変換部と、前記回転運動部の外周部に設けられ、前期回転運動部の回転により発生する慣性モーメントを前記第1の構造体と前記第2の構造体の間の相対運動に応じて変化させる慣性モーメント可変機構と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、制振対象物の振動を抑制する制振装置および制振方法に関する。
構造物や配管の振動、地震時の振動を抑える制振装置として、慣性質量ダンパーがある。慣性質量ダンパーを、制振対象物である機器構造物と支持構造物の間に組み込む場合、機器構造物の層剛性(すなわち水平方向の剛性)と並列となるように慣性質量ダンパーの一端を機器構造物に、他端を支持構造物に連結する方法がある。このように慣性質量ダンパーを組み込むと、慣性質量ダンパーには、機器構造物と支持構造物の間の水平方向(機器構造物の層剛性と並列な方向)の相対加速度に比例した反力が生じる。
従来の慣性質量ダンパーには、ボールねじ機構を利用して機器構造物と支持構造物の間の相対加速度に比例する反力により錘を回転させることで生じる慣性質量効果により得られる、錘の質量よりも大きな慣性質量を制振対象物に加えることで制振対象物の固有振動数を低下させ、共振応答を低減させて制振対象物である機器構造物を制振するものがある。従来は一定の慣性質量を制振対象物に付加し固有振動数を低下させており、低下後の固有振動数は可変ではなく一定であった。
特開平11−201224
しかしながら、振動の特性が変化する場合や複数の異なる共振振動数を有する振動の場合、慣性質量ダンパーによって制振対象物である機器構造物の固有振動数を低下させても、低下後の固有振動数に対して共振応答が発生する可能性があり制振効果が期待できない場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、振動の特性が変化する場合や複数の異なる共振振動数を有する振動の場合であっても共振応答を抑制することができる制振装置を提供することである。
実施形態の制振装置は、第1の構造体に接続される直線運動部と、第2の構造体に接続される支持部材と、前記支持部材に支持される回転運動部と、前記直線運動部の直線運動を前記回転運動部の回転運動に変換する変換部と、前記回転運動部の外周部に設けられ、前期回転運動部の回転により発生する慣性モーメントを前記第1の構造体と前記第2の構造体の間の相対運動に応じて変化させる慣性モーメント可変機構と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、制振対象物の共振応答を抑制することができる。
第1の実施形態にかかる制振装置の構成図。 図1のA−A断面矢視図であり、(a)は内盤と外輪が同方向に同時に回転する状態を示し、(b)は内盤のみが回転する状態を示す矢視図。 第1の実施形態にかかる制振装置の変位方向と制振装置による慣性モーメントの関係を示す説明図 第2の実施形態にかかる制振装置の構成図。 図4のA−A断面矢視図であり、(a)は軸の回転速度が所定の速度よりも大きい時の状態を示し、(b)は軸の回転速度が所定の速度以下の時の状態を示す矢視図。 第2の実施形態にかかる制振装置の速度変化と制振装置による慣性モーメントの関係を示す説明図。 第3の実施形態にかかる制振装置の説明図。 第3の実施形態にかかる制振装置の構成図。
以下、本発明の実施形態の制振装置および制振方法について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態にかかる制振装置の構成図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる制振装置100は、制振対象物であり第1の構造体を構成する機器構造物1と、サポートをとる固定壁などの第2の構造体を構成する支持構造物2との間を、機器構造物1の層剛性(水平方向)と並列に接続するように、たとえば水平に配置される。制振装置100は、一端が機器構造物1に水平に接続され中空部を有し他端に開口部を備える円筒部材のコラム3と、一端がコラム3の中空部に開口部から挿入され配置される円柱状のボールねじ4と、多数の玉5を介してボールねじ4に螺合するとともにコラム3の中空部の内周面に固定されるボールナット6と、ボールねじ4の他端にボールねじ4と同軸に設けられる軸4aと、軸4aの外周に係合し軸4aと同軸に設けられる円筒状の内盤7と、内盤7の外側にボールねじ4および内盤7と同軸に配置される外輪11と、ボールベアリング12とボールベアリング13を介して外輪11と軸4aと軸4とコラム3を取り囲み、一端が支持構造物2に水平に接続されるハウジング14から構成される。
機器構造物1は制振対象物であり、振動を発する機械や構造物、地震により揺れる建物などが挙げられる。制振装置100はコラム3の一端に設けられる接続部を介して、ボルトやナットなどにより機器構造物1に接続される。また同様に制振装置100はハウジング14の一端に設けられる接続部を介して、ボルトやナットなどにより固定壁などの支持構造物2と接続される。このようにして、制振装置100は機器構造物1と支持構造物2の間に水平に、機器構造物1の層剛性と並列に組み入れられる。
コラム3は中空の円筒部材で一端に上述の接続部を、他端に開口部を備え直線運動部を構成する。コラム3の他端側の中空部の内周には、ボールナット6の外周部が固定されるように設けられる。
ボールナット6は円筒形状の部材で、上述の通り外周部がコラム3の中空部の内周に固定される。ボールナット6の内周面には、略半円形状の断面を有する溝が螺旋状に形成されている。ボールナット6の内周面に螺旋状に設けられる溝は、溝内に玉5が回転自在となるように設けられる。
ボールねじ4は、外周面に断面が略半円状のねじ溝が螺旋状に形成される。ボールねじ4の外周面に螺旋状に設けられるねじ溝は、溝内に玉5が回転自在となるように設けられる。ボールねじ4の外周面に設けられるねじ溝と、ボールナット6の内周面に設けられる溝は、それぞれその螺旋のピッチが同一に形成される。
このようにして、ボールナット6の内周の螺旋状の溝とボールねじ4の外周の螺旋状のねじ溝とを複数の玉5を介して係合させることで、ボールねじ4はボールナット6の内周に回転自在に螺合する。ボールねじ4、玉5およびボールナット6から構成されるボールねじ機構は、ボールねじ4とボールナット6の間の軸方向の相対的直線運動をボールねじ4の回転運動に変換する片管部を構成する。ボールねじ4の一端はボールナット6を介してコラム3の中空部内に挿入され、他端には軸4aがボールねじ4と同軸に延設される。軸4aは、その両端部をハウジング14内において2つのボールベアリング12にそれぞれ支持されており、ボールねじ4とともに回転する。2つのボールベアリング12の間において、軸4aの外周部に内盤7が軸4aと同軸に配置されており、軸4a、内盤7により回転運動部が構成される。
内盤7は内周部に軸4aが挿入されて嵌合する円筒状の部材であり、内盤7の外周部に同様に円筒状の部材である外輪11が回転可能に配置される。
ハウジング14は回転する軸4a、内盤7、外輪11、および回転しないコラム3の他端側、すなわちボールナット6が設けられる端部側を収容し保護する筐体部品である。ハウジング14の内周には前述の2つのボールベアリング12のほか、外輪11を回転可能に支承するボールベアリング13が設けられている。ハウジング14は、軸4a、内盤7、および外輪11を回転可能に支持する支持部材を構成する。ハウジング14のうち、コラム3と反対側の端部には、ボルトやナットなどにより固定壁などの支持構造物2と接続するための接続部が設けられる。
内盤7の外周に設けられる外輪11は、その内周側が、図2を用いて以下に説明するように内盤7の外周部に係合する。
図2は図1におけるA−A断面の矢視図であり(a)は内盤と外輪が同方向に同時に回転する状態を、(b)は内盤のみが回転する状態をそれぞれ模式的に表す図である。なお、図2において、図1にて示した構成要件に対応する構成要件については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、内盤7の外周部には複数のV字形の溝であるV字溝8が設けられている。V字溝8の中心部は、内盤7の径方向に対して角度を有しながら径方向内側に向かうばね溝が形成されており、このばね溝を中心に、V字溝8は短辺部8aと長辺部8bから構成される。V字溝8のばね溝に第1のばね部材であるばね9が挿入される。ばね溝に挿入されたばね9の外周側の短辺部8aと長辺部8bで画成される空間には、球状のローラー10がばね9の端部に接続されて配置される。外輪11は内周側が内盤7の外周部のローラー10に接触するように配置される。本実施形態においては、内盤7の外周に配置される外輪11、内盤7の外周に設けられたV字溝8、ばね9およびローラー10により慣性モーメント可変機構が構成される。
このような構成からなる本実施形態にかかる制振装置100の作用について以下に説明する。
制振装置100において、機器構造物1が地震や機器構造物1自体から発せられる振動によりある方向に変位すると、コラム3はその振動を受けて機器構造物1の振動方向と同方向に直線運動する。この直線運動はボールナット6と玉5を介し、ボールねじ4の回転運動に変換されてボールねじ4に伝達される。ボールねじ4の回転運動に伴い軸4aも回転し、その回転運動は内盤7に伝達し、内盤7もボールねじ4と同方向に回転する。
図2に示した通り、内盤7が回転すると、内盤7のV字溝8にばね9を介して繋がれたローラー10は外輪11の内周に接触しているため内盤7とローラー10の間に摩擦力が働き、ローラー10は内盤7の回転方向と逆方向へ摩擦力を受ける。
内盤7が図2(a)に示すように反時計回りに回転するときは、ローラー10は外輪11の内周から時計回りに摩擦力を受ける。摩擦力に応じてばね9は伸張し、ローラー10はV字溝8の短辺部8aと外輪11の内周の間に留まるため、外輪11の内周とローラー10との接触面圧は高くなり、摩擦力は大きくなる。そのため内盤7から外輪11にトルクが伝達され、外輪11は内盤7と同じ方向へ回転し、慣性モーメントは大きくなる。
図2(b)に示すように内盤7が時計回りに回転するときは、ローラー10は外輪11の内周から反時計回りに摩擦力を受ける。摩擦力に応じてばね9は伸張し、ローラー10はV字溝8の長辺部8bと外輪11の内周の間に留まるが、外輪11の内周とローラー10との接触面圧は低くなるため、摩擦力は小さくなる。そのため内盤7から外輪11にトルクが伝達されず、外輪11は回転しないため、慣性モーメントは小さくなる。
機器構造物1が振動する場合、機器構造物1と支持構造物2の間の水平方向の相対運動の方向が振動の1周期の間に変化し、これにより軸部および内盤7の回転方向も変化する。本実施形態においては、内盤7の回転方向が一方向の場合のみ外輪11が回転するように構成されているため、機器構造物1と支持構造物2の間の水平方向の相対運動の方向に伴い軸部の回転により生じる慣性モーメントの大きさが変動する。そのため機器構造物1と支持構造物2の相対加速度に比例した反力により生じる制振装置100の慣性質量効果も変動する。
図3は制振対象物の変位方向と制振装置による慣性モーメントの関係を示す説明図である。図3においても、図1および図2を用いて説明した各構成要件に対応する構成要件については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図3に示すように、制振対象物である機器構造物1が振動し、図1に示したコラム3が所定の方向へ変位した場合には、慣性モーメント可変機構を構成する内盤7と外輪11が同方向に回転し大きな慣性モーメントを発生する。そして、コラム3が所定の方向と逆方向に変位した場合には内盤7のみの回転となり発生する慣性モーメントが小さくなる。このように、機器構造物1が振動する1周期の間に、機器構造物1が変位する方向によって慣性モーメントが変化し、慣性質量効果が変化する。
このように機器構造物1と支持構造物2の間の水平方向の相対運動の方向により機器構造物1の固有振動数が変動し、機器構造物1の固有振動数が変動することにより、共振応答を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、機器・構造物1が振動する1周期の間に、機器・構造物1が変位する方向によって慣性モーメントが変化し、生じる慣性質量効果が変化するため、機器・構造物1の固有振動数が変動することとなり、共振応答を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態にかかる制振装置の構成図である。この第2の実施形態の各部について、図1から図3の第1の実施形態の各部と同一部分は同一の符号で示し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように本実施形態にかかる制振装置100においては、軸4aの外周に係合し軸4aと同軸に設けられ、軸方向に離間した2枚の円盤の間に径方向と周方向に亘る空間部を有する円盤状部材16と、円盤状部材16の空間部の内部で径方向に移動可能な複数の錘17と、錘17の移動を補助するガイド機構18と、錘17と円盤状部材16を接続し、錘17を回転中心方向へ付勢する第2のばね部材を構成するばね19と、錘17の初期位置を設定するストッパー20を備える。
円盤状部材16は、軸4aの外周に軸4aと同軸に係合する円筒部と、当該円筒部の両端部にそれぞれ設けられた2枚の円盤から構成され、円筒部の外周の2枚の円盤に挟まれた空間が径方向と周方向に亘る空間部となっている。円盤状部材16の円筒部の内周には軸4aが挿入され、円盤状部材16は軸4aと嵌合する。本実施形態においては、軸4aおよび円盤状部材16が回転運動部を構成する。本実施形態において、慣性モーメント可変機構は円盤状部材16、錘17、ガイド機構18、ばね19およびストッパー20から構成される。図5を用いて、慣性モーメント可変機構を構成する円盤状部材16、錘17、ガイド機構18、ばね19およびストッパー20の詳細構成については以下に説明する。
図5は図4におけるA−A断面の矢視図であり(a)は軸の回転速度が所定の速度よりも大きい時の状態を、(b)は軸の回転速度が所定の速度以下の時の状態をそれぞれ表す模式的に表す説明図である。なお図5において、図4にて示した構成要件に対応する構成要件については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、錘17は円盤状部材16の空間部に配置され、円環体の中央部分の空間の軸を中心に4等分した形状の部材である。ばね19の一端は軸4aに接続され、他端は錘17に接続される。なお本実施形態においては、錘17は円環体を4等分した形状としたが、形状や分割数はこれに限らず、他の好適なものを適宜用いても良い。
ガイド機構18は錘17と円盤状部材16の2枚の円盤の間に回転自在に配置され、円盤状部材16の空間部での錘17の径方向への移動を補助する部材である。本実施形態では、ガイド機構18としては錘17に設けられたボールベアリングを用いており、錘17の円盤状部材16内の移動を補助する。
その他にも例えばガイド機構18としては、円盤状部材16の円盤のボールベアリングと当接する表面に、ボールベアリングと係合する径方向の溝を設け錘17の周方向への移動を制限しながら径方向への移動を補助する構造としても良い。
ストッパー20は円盤状部材16の円筒部の外周に隣り合う空間部に配置された円環体を4等分した形状の部材であり、ばね19により中心方向に付勢される錘17の初期位置を定めている。図4、5に示すように本実施形態においては円盤状部材16の円筒部の両端の円盤にそれぞれ隣接する2箇所にストッパー20を設けている。2つのストッパー20は、それぞれ径方向の高さが同じとなるように設定されており、この高さはばね19の自然長よりも大きな値に設定されている。なお、ストッパー20の数や形状については適宜好適なものを用いることができる。
このような構成からなる本実施形態にかかる制振装置100の作用について以下に説明する。なお、第1の実施形態の制振装置100と同様な部分については説明を省略し、相違点のみ述べる。
制振装置100において、機器構造物1が振動しその振動を受けコラム3が直線運動をする。コラム3の直線運動はボールナット6、玉5を介しボールねじ4に伝わりボールねじ4の回転運動に変換されて、ボールねじ4に伝達される。ボールねじ4の回転運動に伴い、軸4a、円盤状部材16もボールねじ4と同方向に回転する。
図5(a)に示したとおり、円盤状部材16の回転速度が所定の速度よりも大きい場合には、錘17に働く遠心力が錘17を回転中心へ付勢するばね19の復元力よりも大きくなり、錘17は円盤状部材16の径方向の外側に遠心力により移動し、慣性モーメントが大きくなる。
また図5(b)に示したとおり、円盤状部材16の回転速度が所定の速度以下となる場合は、錘17に働く遠心力が錘17を回転中心へ引くばね19の復元力よりも小さくなり、錘17はばね19によって円盤状部材16の回転中心へ戻され、慣性モーメントは小さくなる。
すなわち、本実施形態においては、ストッパー20の径方向の高さをばね19の自然長よりも大きく設定したため、錘17がその初期位置においてもばね19により回転中心へ付勢されており、円盤状部材16の回転速度が上昇して錘17に働く遠心力が錘17の初期位置におけるばね19による復元力を越えた時点で、錘17が円盤状部材16の空間部において径方向外側に移動して慣性モーメントが大きくなる。
図6は制振対象物の速度変化と制振装置による慣性モーメントの関係を示す説明図である。図6においても、図4および図5を用いて説明した各構成要件に対応する構成要件については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6に示すように、機器構造物1が振動する場合、機器構造物1と支持構造物2の間の水平方向の相対速度が振動の1周期の間に変化し、これにより軸部4aおよび円盤状部材16の回転速度も変化する。本実施形態においては、円盤状部材16の回転速度が所定の値よりも大きくなる場合のみ、錘17が遠心力により円盤状部材16の径方向に移動するように構成されているため、機器構造物1と支持構造物2の間の水平方向の相対速度の変化に伴い円盤状部材16の回転により生じる慣性モーメントの大きさが変動する。
制振対象物である機器構造物1の振動によりコラム3が所定の速度に達した場合には、遠心力により慣性モーメント可変機構を構成する錘17が径方向の外側へ移動して慣性モーメント可変機構の慣性モーメントが大きくなる。また、所定の速度に達しない場合には錘17がばね19により付勢されて回転中心へ移動することから慣性モーメント可変機構の慣性モーメントは小さくなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、機器構造物1が振動する1周期の間に、円盤状部材16の回転速度に応じて慣性モーメントが変化し、機器構造物1と支持構造物2の相対加速度に比例した反力により生じる制振装置100の慣性質量効果も変動する。このように振動の1周期の間に機器構造物1の固有振動数が変動することで共振応答を抑制することができる。
(第3の実施形態)
図7は第3の実施形態にかかる制振装置の説明図、図8は制振装置の構成図である。この第3の実施形態の各部について、図1から図6の第1、第2の実施形態の各部と同一部分は同一の符号で示し、その詳細な説明は省略する。
第1の実施形態、第2の実施形態においては、振動による機器構造物1と支持構造物2との間の相対的な直線運動を変換部であるボールねじ機構を用いて慣性モーメント可変機構の回転運動に変換していたが、本実施形態では、変換部としてボールねじ機構の代わりにラックアンドピニオン機構を用いて振動による機器構造物1と支持構造物2との間の相対的な直線運動を慣性モーメント可変機構の回転運動に変換する。
すなわち本実施形態においては、第1の実施形態および第2の実施形態において示したコラム3、ボールねじ4、軸4aおよびボールナット6の代わりに図7、図8に示すラック21とピニオン22を用いて制振装置100を構成している。この実施形態では、制振装置100は、機器構造物1に対して水平に接続されるラック21と、ラック21に設けられる歯に嵌合し設置されるピニオン22と、ピニオン22の回転中心部に嵌合する軸25と、軸25と同軸に設けられる慣性モーメント可変機構23と、軸25の両端を支持する支持柱24により構成される。本実施形態において、ラック21により直線運転部が、支持柱24により支持部材が、ラック21の歯とピニオン22により変換部が、軸25により回転運動部がそれぞれ構成される。
ラック21は等間隔に形成された歯を有する平板状部材であり、機器構造物1に対して水平に接続されることで機器構造物の振動に応じて直線運動する。ピニオン22はラック21の歯に係合する歯車であり、ラック21の直線運動を回転運動に変換する変換部を構成する。
支持柱24は支持構造物2に固定されて軸25の両端を回転自在に支持する柱状部材であり、支持部材を構成する。回転運動部である軸25は、支持柱24にその両端を回転自在に支持されてラック21の直線運動の方向と直交する方向に配置され、ラック21と係合するピニオン22および慣性モーメント可変機構23をその外周部に備える。
このような構成からなる本実施形態にかかる制振装置100の作用について以下に説明する。なお、第1、第2の実施形態の制振装置100と同様な部分については説明を省略し、相違点のみ述べる。
地震等による機器構造物1の振動による変位によりラック21は直線運動し、この直線運動はラックアンドピニオン機構によりピニオン22の回転運動に変換されて軸25に伝達される。慣性モーメント可変機構23は軸25とともに回転し、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、制振対象物である機器構造物1の振動を抑制する。
以上説明したように、本実施形態によれば、制振対象物である機器構造物1が振動を受け、その直線運動をラック21が受け、ピニオン22が直線運動を回転運動に変換し、軸25を介して回転運動を慣性モーメント可変機構23に伝達することで、第1、第2の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1・・・機器構造物
2・・・支持構造物
3・・・コラム
4・・・ボールねじ
4a・・・軸
5・・・玉
6・・・ボールナット
7・・・内盤
8・・・V字溝
8a・・・短辺部
8b・・・長辺部
9・・・ばね
10・・・ローラー
11・・・外輪
12・・・ボールベアリング
13・・・ボールベアリング
14・・・ハウジング
16・・・円盤状部材
17・・・錘
18・・・ガイド機構
19・・・ばね
20・・・ストッパー
21・・・ラック
22・・・ピニオン
23・・・慣性モーメント可変機構
24・・・支持柱
25・・・軸
100・・・制振装置

Claims (6)

  1. 第1の構造体に接続される直線運動部と、
    第2の構造体に接続される支持部材と、
    前記支持部材に支持される回転運動部と、
    前記直線運動部の直線運動を前記回転運動部の回転運動に変換する変換部と、
    前記回転運動部の外周部に設けられ、前期回転運動部の回転により発生する慣性モーメントを前記第1の構造体と前記第2の構造体の間の相対運動に応じて変化させる慣性モーメント可変機構と、
    を有することを特徴とする制振装置。
  2. 前記変換部は、ボールねじ機構により構成されることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記変換部はラックアンドピニオン機構で構成されることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  4. 前記慣性モーメント可変機構は、
    前記回転運動部の外周に係合し前記回転運動部と同軸に設けられる円筒状の内盤と、
    前記内盤に一端を固定される第1のばね部材と、
    前記第1のばね部材の他端に接続されるローラーと、
    前記内盤の外周部に前記ローラーと接触するように配置される円筒状の外輪と、
    を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制振装置。
  5. 前記慣性モーメント可変機構は、
    前記回転運動部の外周に係合し、前記回転運動部に備えられる2枚の円盤の間に径方向と周方向に亘って空間部を有する円盤状部材と、
    前記回転運動部または前記円盤状部材の軸の中心の少なくともいずれかに一端を固定される第2のばね部材と、
    前記第2のばね部材の他端に固定され前記円盤の径方向に移動可能な錘と、
    前記錘の径方向の初期位置を設定するストッパーと、
    を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制振装置。
  6. 第1の構造体と第2の構造体の間に接続される制振装置を用いた制振方法において、
    前記第1の構造体の振動により生じる直線運動を回転運動に変換し、
    前記回転運動により生じる慣性モーメントを前記第1の構造体と前記第2の構造体の間の相対運動に応じて変化させることを特徴とする制振方法。
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