JP2016108945A - エンジン制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの燃圧を制御する制御装置に関し、筒内の燃焼状態を改善する。【解決手段】算出部2において、エンジン10の運転状態に基づいて設定される筒内圧の目標値PTGTから筒内圧の計測値PMEAを減じた偏差ΔPを算出する。また、制御部6において、算出部2で算出された偏差ΔPが大きいほど、エンジン10の燃圧を低めるレール圧制御を実施する。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの燃圧(燃料圧力)を制御する制御装置に関する。
従来、エンジンの運転状態に応じて、インジェクタから噴射される燃料の噴射圧を制御する技術が知られている。例えば、アクセルペダルが踏み込まれた加速運転状態において、燃料の噴射圧を低下させる制御が存在する。加速運転状態は、アクセル開度の今回値から前回値を減算して得られるアクセル開度変化量の大小に基づいて判別可能である。このような制御により、過給機の過給遅れが生じやすい加速運転への移行時に燃料噴射圧が低減され、燃料の霧化や燃焼速度が抑制される(特許文献1参照)。
特許第4510704号公報
しかしながら、筒内に導入される吸入空気量は、車両の走行状態や環境条件に応じて変化する。そのため、同じ加速運転状態であっても、その状態に適した燃料の噴射圧が一定であるとは限らない。例えば、外気温が高温である場合の噴射圧と低温である場合の噴射圧とを同一に設定した場合には、温度による霧化の進行度合いや燃焼速度の変化が考慮されないことになり、筒内の燃焼状態が不安定になりうる。なお、このような技術課題は、加速運転状態だけでなく減速運転状態においても生じうる。
また、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムを具備したエンジンでは、筒内に導入されるEGR量に応じて筒内酸素濃度が変化することから、燃料が噴射されてから着火するまでの時間が変化し、燃料噴霧の貫徹力(ペネトレーション)が変動する。この貫徹力を適切に制御しなければ、エンジンのシリンダ内壁やピストンに噴霧液滴が接近,付着しやすくなり、燃焼状態の適正化が困難となる。このような技術課題は、例えばデュアルループEGR(いわゆる高圧EGR通路と低圧EGR通路とを兼ね備えたEGRシステム)のように、EGRガスの経路長や経路容積が増大するほど顕著となる。
本件は上記のような課題に鑑み創案されたものであり、エンジン制御装置に関し、筒内の燃焼状態を改善することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するエンジン制御装置は、エンジンの運転状態に基づいて設定される筒内圧の目標値から前記筒内圧の計測値を減じた偏差を算出する算出部を備える。また、前記算出部で算出された前記偏差が大きいほど、前記エンジンの燃圧(燃料圧力)を低める制御部を備える。
なお、前記計測値は、前記筒内圧に相関するパラメータの実測値に基づいて取得される値であることが好ましい。例えば、前記筒内圧に相関するパラメータの実測値をそのまま前記計測値として使用してもよいし、前記実測値に基づく前記筒内圧の推定値を前記計測値として使用してもよい。
(2)前記制御部は、前記偏差が正の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を低下させ、前記偏差が負の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を上昇させることが好ましい。
つまり、前記計測値が前記目標値よりも大きければ前記燃圧を減少補正し、前記計測値が前記目標値よりも小さければ前記燃圧を増加補正することが好ましい。このとき、前記偏差の絶対値が大きいほど、前記燃圧の補正量を増加させることが好ましい。
(3)前記制御部は、前記エンジンに接続される変速機の減速比が小さいほど前記燃圧を大きく変化させることが好ましい。
例えば、前記偏差が正の範囲では、1速よりも2速における前記燃圧の低下量を大きくすることが好ましい。また、前記偏差が負の範囲では、1速よりも2速における前記燃圧の上昇量を大きくすることが好ましい。つまり、前記減速比が小さいほど前記燃圧の補正量を増加させることが好ましい。
(4)前記算出部が、筒内圧センサで計測された燃焼圧を前記計測値とすることが好ましい。
前記筒内圧センサは、前記筒内圧を直接的に検出するセンサであってもよいし、シリンダ内壁やウォータージャケットの側壁における内部応力を検出することで前記筒内圧を間接的に検出するセンサであってもよい。
(5)前記算出部が、インマニ圧センサ(インテークマニホールド圧センサ)で計測された吸気圧に基づいて前記計測値を推定することが好ましい。
ここで、前記筒内圧センサで計測された燃焼圧の値のことを「実測値」と呼び、前記インマニ圧センサで計測された吸気圧に基づいて推定された値のことを「推定値」と呼ぶ。前記算出部は、前記実測値及び前記推定値の何れか一方を前記目標値から減じて前記偏差を算出してもよいし、前記実測値と前記推定値との平均値を前記目標値から減じて前記偏差を算出してもよい。つまり、前記実測値及び前記推定値は、併用可能である。
(6)前記算出部が、前記エンジンの着火時刻における前記偏差を算出することが好ましい。なお、前記エンジンの着火時刻は、例えば筒内の圧力上昇率や熱発生率,燃焼率等を用いて規定することができる。
(7)前記制御部が、運転者の運転操作に基づき、車両を急加速させる急加速要求を検出したことを条件として、前記燃圧の制御を実施することが好ましい。例えば、アクセル開度の時間変化率が所定変化率以上であることを、前記条件としてもよい。
ここで開示するエンジン制御装置によれば、偏差が大きいほど燃圧を低下させることで、燃料噴霧の貫徹力を減少させることができる。これにより、吸気輸送遅れや過給遅れに伴う筒内圧の上昇遅れに合わせて燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
実施形態のエンジン及びエンジン制御装置の構成を例示する図である。 変速機のギア段,偏差ΔP,係数Kの関係を例示する係数マップである。 レール圧制御の手順を示すフローチャート例である。 レール圧制御の作用を説明するためのグラフであり、(A)はアクセル開度、(B)は筒内圧、(C)は係数Kの経時変動を示す。
図面を参照して、実施形態としてのエンジン制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.エンジン]
本実施形態のエンジン制御装置1は、図1に示すデュアルループEGRシステムを具備したエンジン10の電子制御装置である。図1中には、エンジン10に設けられる複数のシリンダのうちの一つを例示する。このエンジン10は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。シリンダの頂面には、吸気ポート,排気ポートが設けられ、それぞれのポート開口には吸気弁,排気弁が設けられる。また、筒内の上部には、筒内噴射弁11がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。筒内噴射弁11は、各々の筒内に燃料を噴射する直噴インジェクターであり、各々の筒内噴射弁11は共用の蓄圧室であるコモンレール27に接続される。また、コモンレール27には燃料ポンプ28が接続され、高圧の燃料が蓄えられる。コモンレール27内の燃料圧力(燃圧,レール圧F)は、燃料ポンプ28の出力に応じて変化する。
筒内噴射弁11から供給される燃料噴射量や噴射タイミングは、エンジン制御装置1で制御される。例えば、エンジン制御装置1から筒内噴射弁11に制御パルス信号が伝達されると、筒内噴射弁11の噴孔がその制御パルス信号の大きさに対応する期間だけ開放される。このとき燃料噴射量は、コモンレール27内のレール圧Fや制御パルス信号の大きさ(駆動パルス幅)に応じた量となり、燃料噴射時期(噴射タイミング)は制御パルス信号が伝達された時刻に対応したものとなる。
エンジン10の吸気通路12及び排気通路13には、排気圧を利用して吸気通路12上の空気を筒内へと強制的に送り込むことで過給するターボチャージャー14(過給機)が介装される。ターボチャージャー14は、タービン,コンプレッサの互いの回転軸が軸受を介して連結された構造を持つ。タービンは排気通路13上に配置され、コンプレッサは吸気通路12上に配置される。ターボチャージャー14の作動状態は、エンジン10の運転状態に応じてエンジン制御装置1で制御される。
吸気通路12には、上流側から順にエアクリーナー(フィルター)16,低圧スロットル弁17,ターボチャージャー14,インタークーラー18,高圧スロットル弁19が設けられる。一方、排気通路13には、ターボチャージャー14よりも下流側に排気浄化装置15が介装される。この排気浄化装置15には、DOC(ディーゼル酸化触媒)15AやDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)15B等が内蔵される。
また、このエンジン10には、排気の一部を吸気側に再循環させるための二系統のEGR通路、すなわち、高圧EGR通路20,低圧EGR通路23が設けられる。高圧EGR通路20は、吸気通路12及び排気通路13においてターボチャージャー14よりもシリンダに近い部分同士を連通するEGR通路であり、吸気通路12におけるターボチャージャー14(コンプレッサ)よりも下流側と、排気通路13におけるターボチャージャー14(タービン)よりも上流側とを接続する。本実施形態の高圧EGR通路20は、吸気通路12との接続箇所(出口箇所)が高圧スロットル弁19よりも下流側に設定される。また、高圧EGR通路20には、高圧EGRクーラー21及び高圧EGR弁22(EGR弁の一つ)が介装される。高圧EGR通路20を介して吸気系に導入されるEGRガスの量(高圧EGR量)は、EGRガスの圧力や高圧EGR弁22の開度に応じた量となる。
低圧EGR通路23は、吸気通路12及び排気通路13においてターボチャージャー14よりもシリンダから遠い部分同士を連通するEGR通路であり、吸気通路12におけるターボチャージャー14(コンプレッサ)よりも上流側と、排気通路13におけるターボチャージャー14(タービン)よりも下流側とを接続する。本実施形態の低圧EGR通路23は、排気通路13との接続箇所(入口箇所)が排気浄化装置15よりも下流側に設定されるとともに、吸気通路12との接続箇所(出口箇所)が低圧スロットル弁17よりも下流側に配置される。また、低圧EGR通路23には、低圧EGRフィルタ24,低圧EGRクーラー25,低圧EGR弁26(EGR弁の一つ)が介装される。低圧EGR通路23を介して吸気系に導入されるEGRガスの量(低圧EGR量)は、EGRガスの圧力や低圧EGR弁26の開度に応じた量となる。高圧EGR弁22及び低圧EGR弁26の弁開度は可変であり、エンジン制御装置1において、エンジン10の運転状態に応じて制御される。
高圧スロットル弁19は、吸気通路12における高圧EGR通路20との接続箇所よりも上流であって、低圧EGR通路23との接続箇所よりも下流に配置される。また、低圧スロットル弁17は、吸気通路12における低圧EGR通路23との接続箇所よりも上流であって、エアクリーナー16よりも下流側に配置される。なお、高圧EGR通路20を通過するEGR量は、高圧スロットル弁19の開度を増大させるほど減少する特性を持つ。同様に、低圧EGR通路23を通過するEGR量も、低圧スロットル弁17の開度を増大させるほど減少する特性を持つ。
エンジン10のクランクシャフトの近傍には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ31が設けられる。また、吸気通路12の高圧スロットル弁19よりも下流側には、筒内に導入される吸気の圧力(インマニ圧PIM)を検出するインマニ圧センサ32と、吸気中の酸素濃度(吸気酸素濃度D)を検出する酸素濃度センサ33とが設けられる。ここで検出される吸気酸素濃度Dは、低圧EGR量,高圧EGR量がゼロのときに大気中の酸素濃度と同一となり、低圧EGR量,高圧EGR量が増加するに連れて低下する。
車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度APS)を検出するアクセル開度センサ34と、シフトレバーの操作位置SPを検出するシフトポジションセンサ35と、車速Vを検出する車速センサ36とが設けられる。アクセル開度APSやその時間変化率ΔAPSは、例えば運転手がエンジン10に要求する出力(トルク)の大きさに対応するパラメータとされる。また、シフトレバーの操作位置SPは、車両に搭載される変速機の変速ギア段(例えば1速,2速,…,6速等)に対応する。
筒内における筒内噴射弁11の近傍には、筒内圧センサ37が内蔵されたグロープラグが設けられる。このグロープラグは、例えばエンジン10の冷態始動時に筒内の空気を加熱することで、着火性を向上させる着火補助装置である。筒内圧センサ37は、グロープラグに内蔵された圧力センサであり、実際の燃焼圧である実筒内圧PCYLを検出する。また、コモンレール27には、レール圧Fを検出する燃圧センサ38が設けられる。上記の各種センサ31〜38で検出された各種情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
[2.エンジン制御装置]
上記のエンジン10を搭載する車両には、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit,制御装置)が設けられる。エンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、エンジン10の各シリンダーに供給される吸入空気量や燃料噴射量,燃料噴射時期,EGR量等を制御するものである。エンジン制御装置1は、車載ネットワーク網を介して、他の電子制御装置(例えば、変速機ECU,エアコンECU,ブレーキECU,車体制御ECU,ボディECU等)や各種センサ31〜38に接続される。
このエンジン制御装置1は、例えばCPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ(マイクロプロセッサ)やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等を集積した電子デバイスである。プロセッサは、制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)等を内蔵する演算処理装置である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。エンジン制御装置1での制御内容は、例えばアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
本実施形態のエンジン制御装置1は、車両の走行状態に応じて、コモンレール27内のレール圧Fを増減させるレール圧制御を実施する。車両の走行状態は、例えば各種センサ31〜38で検出された各種情報に基づいて判断される。レール圧Fを増減させるための具体的な手法は任意であり、例えば燃料ポンプ28の出力を増減させる手法や、コモンレール27から燃料ポンプ28側への還流路に介装されたレール圧制御弁の開度を制御する手法等を採用することができる。
レール圧制御では、筒内圧の目標値PTGTと計測値PMEAとの偏差ΔPに基づいてレール圧Fが制御される。例えば、筒内圧の目標値PTGTと比較してその計測値PMEAが小さい運転状態では、レール圧Fが減少方向に補正される。一方、筒内圧の目標値PTGTと比較してその計測値PMEAが大きい運転状態では、レール圧Fが増加方向に補正される。これにより、燃料噴霧の貫徹力が筒内の実際の圧力に応じて最適化され、燃焼状態が改善される。
エンジン制御装置1には、レール圧制御を実施するための要素として、算出部2及び制御部6が設けられる。これらの各要素は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよい。あるいは、これらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。なお、ソフトウェアは、エンジン制御装置1内のROMや補助記憶装置に記録,保存してもよいし、エンジン制御装置1が読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
[2−1.算出部]
算出部2は、レール圧制御で用いられる偏差ΔPを算出するものである。この算出部2には、実筒内圧取得部3,目標筒内圧算出部4,偏差算出部5が設けられる。
実筒内圧取得部3は、実際の筒内圧の計測値PMEAを取得する。ここでいう計測値PMEAには、筒内圧の「実測値」及び「推定値」の両方が含まれ、またこれらに基づいて算出される「演算値」も含まれる。すなわち、筒内圧センサ37で実測された実筒内圧PCYLだけでなく、エンジン10の燃焼状態に影響を与えるパラメータについての実測値に基づいて推定された筒内圧の推定値も、計測値PMEAの一つとなりうる。
例えば、インマニ圧センサ32で検出されたインマニ圧PIMに基づいて推定された筒内圧の推定値は、計測値PMEAの一つである。この場合、インマニ圧PIMだけでなく、吸気酸素濃度Dや吸気温度,ターボチャージャー14の回転速度,冷却水温,EGRガス量等に基づいて計測値PMEAを推定することが好ましい。また、筒内圧の実測値を計測値PMEAとする場合には、筒内圧センサ37で検出された実筒内圧PCYLをそのまま計測値PMEAとして用いればよい。さらに、インマニ圧PIM由来の推定値と実筒内圧PCYLとの平均値を計測値PMEAとして用いてもよい。ここで取得された計測値PMEAの情報は、偏差算出部5に伝達される。
なお、実筒内圧取得部3で得られる計測値PMEAは、エンジン10の燃焼サイクル内で予め設定されたタイミングでの筒内圧を表すものとする。また、ここでいう所定のタイミングは任意に設定可能であり、ピストンが圧縮上死点に達するタイミングであってもよいし、着火時刻〔燃焼率(全燃料のうち燃焼した燃料の質量割合)が10%になった時刻〕や、燃焼重心時刻(燃焼率が50%になった時刻)であってもよい。本実施形態では、エンジン10の着火時刻における目標値PTGTと計測値PMEAとに基づいて、偏差ΔPが算出される。
目標筒内圧算出部4は、エンジン10の運転状態に基づいて筒内圧の目標値PTGTを算出する。目標筒内圧算出部4には、例えばエンジン10の回転負荷マップが予め設定され、この回転負荷マップに基づいて筒内圧の目標値PTGTが算出される。回転負荷マップには、少なくともエンジン回転数Neとエンジン負荷Ecと目標値PTGTとの関係が規定され、好ましくはこれらにエンジン冷却水温を追加した四者の関係が規定される。回転負荷マップ上に規定される筒内圧の目標値PTGTの値は、エンジン10の定常運転状態における標準的な筒内圧に相当する。なお、エンジン負荷Ecは、エンジン10に対する出力要求に相当するパラメータであり、例えばアクセル開度APSや車速V,吸入空気量,インマニ圧PIM,外気温,外気圧,エンジン冷却水温等に基づいて算出される。ここで算出された目標値PTGTの情報は、偏差算出部5に伝達される。
偏差算出部5は、目標値PTGTを基準とした計測値PMEAの偏差ΔPを算出する。偏差ΔPは、以下の式1に示すように、目標値PTGTから計測値PMEAを減算した値を持つ。計測値PMEAが目標値PTGTに一致するとき、すなわちエンジン10の定常運転状態では、偏差ΔPがゼロとなる。一方、目標値PTGTよりも計測値PMEAが小さければΔPは正の値となり、計測値PMEAがより小さいほどΔPの絶対値が増大する。また、目標値PTGTよりも計測値PMEAが大きければΔPは負の値となり、計測値PMEAがより大きいほどΔPの絶対値が増大する。ここで算出された偏差ΔPの情報は、制御部6に伝達される。
Figure 2016108945
[2−2.制御部]
制御部6は、レール圧制御を実施するものである。この制御部6には、条件判定部7及びレール圧制御部8が設けられる。
条件判定部7は、レール圧制御を実施するための開始条件及び終了条件を判定する。開始条件は、例えば以下の条件1が成立することである。条件1は、車両を急加速させる急加速要求の有無を判定するものであり、例えばアクセル開度APSの時間変化率が正の所定値以上である場合に、急加速要求があるものと判断される。なお、条件2〜4は付加条件であり、全ての条件1〜4が成立した場合にレール圧制御を開始することとしてもよい。
=レール圧制御の開始条件=
条件1:車両を急加速させる急加速要求を検出した
条件2:アクセル開度APSが所定開度以上である
条件3:低負荷運転状態からの加速操作がなされた
条件4:車速Vが所定車速V0以上での走行中である
また、レール圧制御の終了条件は、例えば以下の条件5〜8の何れかが成立することである。
=レール圧制御の終了条件=
条件5:制御開始からの経過時間が所定時間以上である
条件6:インマニ圧PIM(計測値)が目標インマニ圧PTGT(目標値)に達した
条件7:車速Vが所定車速V0未満である
条件8:ΔPがほぼゼロである
条件6中の目標インマニ圧PTGTは、エンジン10の運転状態に基づいて算出される。条件判定部7には、例えばエンジン10の回転負荷マップが予め設定され、この回転負荷マップに基づいて目標インマニ圧PTGTが算出される。回転負荷マップには、少なくともエンジン回転数Neとエンジン負荷Ecと目標インマニ圧PTGTとの関係が規定され、好ましくはエンジン冷却水温を含む四者の関係が規定される。回転負荷マップ上に規定される目標インマニ圧PTGTの値は、エンジン10の定常運転状態における標準的なインマニ圧PIMに相当する。
レール圧制御部8は、算出部2で算出された偏差ΔPに基づき、レール圧制御を実施するものである。ここでは、エンジン10の運転状態に基づく基準レール圧FRAILが算出されるとともに、この基準レール圧FRAILを補正するための係数Kが算出される。コモンレール27内のレール圧Fはこれらの基準レール圧FRAIL,係数Kに基づいて制御される。
レール圧制御部8には、例えばエンジン10の回転負荷マップが予め設定され、この回転負荷マップに基づいて基準レール圧FRAILが算出される。回転負荷マップには、少なくともエンジン回転数Neとエンジン負荷Ecと基準レール圧FRAILとの関係が規定され、好ましくはエンジン冷却水温を含む四者の関係が規定される。回転負荷マップ上に規定される基準レール圧FRAILの値は、エンジン10の定常運転状態における標準的な基準レール圧FRAILに相当する。
また、レール圧制御部8には、少なくとも偏差ΔPと係数Kとの関係が規定された係数マップが予め設定され、この係数マップに基づいて係数Kが算出される。本実施形態の係数マップは、図2に示すように、偏差ΔP,シフトレバーの操作位置SP,係数Kの三者の関係を規定する。この係数マップ上では、偏差ΔPがゼロであるときに係数Kが1であり、偏差ΔPが正の範囲で増大するに連れて、係数Kが0より大きく1未満の範囲で減少するような特性が与えられる。また、偏差ΔPが負の範囲で減少するに連れて、係数Kが1より大きく2未満の範囲で増大するような特性が与えられる。このような特性は、シフトレバーの操作位置SP(すなわち減速比)によらない特性であって、すなわち各操作位置SPに共通の特性であるといえる。
また、上記の係数マップ上では、シフトレバーの操作位置SP毎に偏差ΔPと係数Kとの関係が定められており、シフトレバーの操作位置SPが高速ギア寄りであるほど(減速比が小さいほど)、係数Kの値が大きく変化するような特性が与えられている。例えば、偏差ΔPが正の場合、操作位置SPが1速であるときよりも2速であるときの方が、同一の偏差ΔPに対してより小さな係数Kが与えられる。反対に、偏差ΔPが負の場合には、操作位置SPが1速であるときよりも2速であるときの方が、同一の偏差ΔPに対してより大きな係数Kが与えられる。
つまり、係数マップには、エンジン10に接続される変速機の減速比が小さいほど、係数Kの値が大きく変化するような特性が与えられる。ただし、係数Kを変化させ過ぎないようにすべく、係数Kの値域は0<K<2とされる。なお、偏差ΔP及びシフトレバーの操作位置SPを指数に含む関数で係数Kを表現することで、図2に示されたような係数Kと偏差ΔPとの関係を規定してもよい。
また、単位偏差あたりの係数Kの減少量(すなわち、偏差ΔPを微小量だけ増加させたときの係数Kの減少量であって、換言すれば、係数Kの減少勾配)は、偏差ΔPが大きいほど小さくなるように設定される。つまり係数Kには、偏差ΔPが大きくなるほど、グラフの勾配が緩くなるような特性が与えられる。したがって、本実施形態のレール圧制御では、偏差ΔPが大きいほど、単位偏差あたりのレール圧Fの低下量が小さくなるように、レール圧Fが制御される。
さらに、レール圧制御部8は、上記の基準レール圧FRAIL,係数Kに基づき、レール圧Fの制御指令値である指示レール圧FCOMを算出する。本実施形態では、式2に示すように、基準レール圧FRAILと係数Kとの積が指示レール圧FCOMとなる。レール圧制御部8は、実際のレール圧Fが指示レール圧FCOMに近づくように、燃料ポンプ28の出力や燃圧制御弁の開度を制御する。
Figure 2016108945
[3.フローチャート]
図3は、レール圧制御の手順を例示するフローチャートであり、エンジン制御装置1内において所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップA1では、エンジン制御装置1に各種情報が入力される。ここでは例えば、アクセル開度APS,車速V,エンジン回転数Ne,シフトレバーの操作位置SP,実筒内圧PCYL等の情報が取得される。
ステップA2では、制御部6の条件判定部7において、レール圧制御の開始条件が成立したか否かが判定される。ここでは例えば、アクセル開度APSの時間変化率が正の所定値以上であるか否かが判定される。ここで、レール圧制御の開始条件が成立した場合には急加速要求があるものと判断され、開始条件成立フラグを立ててステップA3に進む。一方、レール圧制御の開始条件が不成立の場合にはステップA9に進む。なお、前回までの演算周期ですでに開始条件成立フラグが立てられている場合には、レール圧制御の終了条件を判定すべく、ステップA2をスキップしてステップA3に進む。
ステップA3では、条件判定部7において、レール圧制御の終了条件が成立したか否かが判定される。ここでは例えば、上記の条件5〜7の何れかが成立するか否かが判定される。この条件が成立した場合にはレール圧制御を終了すべくステップA9に進み、不成立の場合にはステップA4に進む。
ステップA4では、実筒内圧取得部3で筒内圧の計測値PMEAが取得される。筒内圧の推定値を用いる場合には、インマニ圧センサ32で検出されたインマニ圧PIMに基づいて計測値PMEAが推定される。また、筒内圧の実測値を用いる場合には、筒内圧センサ37で検出された実筒内圧PCYLがそのまま計測値PMEAとされる。
ステップA5では、目標筒内圧算出部4で筒内圧の目標値PTGTが算出される。目標値PTGTは、エンジン10の回転負荷マップに基づき算出されるため、その時点のエンジン回転数Ne,エンジン負荷Ec,エンジン冷却水温等に応じた値となる。また、ステップA6では、偏差算出部5において、上記の式1に従って筒内圧の目標値PTGTと計測値PMEAとの偏差ΔPが算出される。
ステップA7では、制御部6のレール圧制御部8において、基準レール圧FRAILを補正するための係数Kが算出される。ここでは、例えば図2に示すような係数マップが使用され、その時点の偏差ΔP,シフトレバーの操作位置SPに応じた値の係数Kが算出される。
続くステップA8では、エンジン10の運転状態に基づいて基準レール圧FRAILが算出され、これに係数Kを乗じたものが指示レール圧FCOMとして算出されて、実際のレール圧Fが指示レール圧FCOMに近づくように、燃料ポンプ28の出力等が制御される。
なお、ステップA9では、レール圧制御の開始条件が不成立又は終了条件が成立しているため、係数Kの値がK=1に設定されて通常の制御が実施される。つまりこの場合、基準レール圧FRAILがそのまま指示レール圧FCOMとされ、実際のレール圧Fが指示レール圧FCOMに近づくように、燃料ポンプ28の出力等が制御される。
[4.作用]
図4(A)に示すように、エンジン10の低負荷低回転状態(アイドリング運転状態)において、時刻t0〜t1間に急加速操作がなされると、アクセル開度APSの増加に伴ってエンジン負荷Ecが増大する。また、筒内圧の目標値PTGTは、アクセル開度APSが増加するのに対応するように時刻t0から増大する。これに対して、実際の筒内圧は、吸気輸送遅れや過給遅れの影響を受けるため、図4(B)に示すように、その計測値PMEAは目標値PTGTの増大変化に対してやや遅れて、目標値PTGTよりも低い値を取りながら追従するように変動する。
一方、本実施形態のエンジン制御装置1では、筒内圧の目標値PTGTを基準とした計測値PMEAの偏差ΔPが算出され、偏差ΔPに基づいて基準レール圧FRAILを補正するための係数Kが算出される。係数Kの値は、図4(C)に示すように、筒内圧の目標値PTGTに比して計測値PMEAが小さい時刻t0〜t2間で1よりも小さい値となる。これにより、時刻t0〜t2間では、実際のレール圧Fが基準レール圧FRAILよりも減少方向に補正されたレール圧制御が実施される。このように、実際の筒内圧が目標値PTGTよりも低い状態では、燃料噴霧の貫徹力が弱められるため、シリンダ内壁やピストンへの噴霧液滴の接近,付着が抑制され、筒内での燃焼状態が適正化される。
また、上記の急加速操作の直後である時刻t3〜t4間に減速操作がなされると、アクセル開度APSの減少に伴ってエンジン負荷Ecが低下し、筒内圧の目標値PTGTも減少する。これに対して、筒内圧の計測値PMEAは目標値PTGTの減少変化に対してやや遅れて、目標値PTGTよりも高い値を取りながら追従するように変動する。一方、係数Kの値は、図4(C)に示すように、筒内圧の目標値PTGTに比して計測値PMEAが大きい時刻t3〜t5間で1よりも大きい値となる。これにより、時刻t3〜t5間では、実際のレール圧Fが基準レール圧FRAILよりも増加方向に補正されたレール圧制御が実施される。このように、実際の筒内圧が目標値PTGTよりも高い状態では、燃料噴霧の貫徹力が強められるため、燃料噴霧の局所的な偏り(例えば、局所当量比が過大になってしまうような不均一分布)が抑制され、筒内での燃焼状態が適正化される。
[5.効果]
(1)上記のエンジン制御装置1では、筒内圧の目標値PTGTと計測値PMEAとの偏差ΔPが大きいほど、エンジン10のレール圧Fが低められる。このように、筒内圧の目標値PTGTに対して実際の計測値PMEAが低い場合にレール圧Fを低下させることで、燃料噴霧の貫徹力を減少させることができる。したがって、吸気輸送遅れや過給遅れに伴う筒内圧の上昇遅れに合わせて、燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
また、筒内圧の目標値PTGTに対して実際の計測値PMEAが高い場合にはレール圧Fを上昇させることで、燃料噴霧の貫徹力を強めることができる。したがって、吸気輸送遅れや過給遅れに伴う筒内圧の下降遅れにも合わせて、燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
(2)上記のエンジン制御装置1では、図2に示すように、偏差ΔPが正の範囲では係数Kが1よりも小さく設定され、偏差ΔPが負の範囲では係数Kが1よりも大きく設定される。また、係数Kの値は、偏差ΔPの絶対値が大きいほど補正量が増加するように設定される。例えば、偏差ΔPが正であれば、その値が大きいほど係数Kの値が小さく設定され、偏差ΔPが負であれば、その値が小さいほど係数Kの値が大きく設定される。
このように、偏差ΔPの絶対値が大きいほど補正量を増加させることで、実際の計測値PMEAを早期に目標値PTGTまで近づけ、あるいは一致させることができる。したがって、例えば筒内圧が急激に変化する急加速時や急減速時における筒内の燃焼状態を改善することができる。
(3)上記のエンジン制御装置1では、偏差ΔPだけでなく、シフトレバーの操作位置SPにも基づいて係数Kの値が設定される。例えば、図2に示すように、減速比が小さい変速ギア段では、減速比が大きい変速ギア段のときよりも、同一の偏差ΔPに対して係数Kの値がより小さい値に変更される。これは、減速比が小さい状態において、アクセル操作に対するエンジン負荷Ecが大きくなりやすく、筒内噴射弁11から噴射される燃料噴射量が増加しやすいからである。このように、燃料噴射量が増加しやすい運転状態でのレール圧Fの補正量を増加させることで、液滴粒子の分散性(燃料噴霧の広がりやすさ)を大きく変化させることができ、過渡状態における筒内の燃焼状態を改善することができる。
一方、減速比が大きい状態では、アクセル操作に対してエンジン負荷Ecよりもエンジン回転数Neの方が上昇しやすく、燃料噴射量が増加しにくい。このように、燃料噴射量が増加しにくい運転状態では、レール圧Fの補正量を減少させることで、通常時(エンジン10の定常運転状態における標準的な運転状態)に近い液滴粒子の分散性を得ることができ、過渡状態における筒内の燃焼状態を安定させることができる。
(4)上記のエンジン制御装置1では、筒内圧センサ37で検出された実筒内圧PCYLが計測値PMEAとして使用可能である。このように、筒内における実際の燃焼状態が反映された圧力値を用いてレール圧Fを制御することで、筒内の燃焼状態を精度よく制御することができる。また、実筒内圧PCYLのみを計測値PMEAとして使用した場合には、例えばインマニ圧PIMに基づく計測値PMEAの推定が不要となり、制御構成を簡素化できる。
(5)上記のエンジン制御装置1では、インマニ圧センサ32で検出されたインマニ圧PIMに基づいて推定された筒内圧の推定値も、計測値PMEAとして使用可能である。このように、インマニ圧PIMを利用してレール圧Fを制御することで、筒内圧センサ37を搭載しないエンジン10においても容易に筒内の燃焼状態を改善することができる。また、筒内圧センサ37はエンジン10の振動の影響を受けやすいのに対して、インマニ圧センサ32はそのような振動の影響を受けにくい。そのため、振動の有無がレール圧制御に与える影響を小さくすることができ、筒内の燃焼状態を精度よく制御することができる。
(6)上記のエンジン制御装置1では、エンジン10の着火時刻における目標値PTGTと計測値PMEAとに基づいて、偏差ΔPが算出される。これにより、燃焼サイクル毎に異なる筒内圧の変動形状に左右されることなく、燃焼状態を精度よく把握することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
(7)上記のエンジン制御装置1では、レール圧制御の開始条件として、車両を急加速させる急加速要求の有無が判断される。例えば、アクセル開度APSの時間変化率が正の所定値以上である場合に、急加速要求があるものと判断されて、レール圧制御が開始される。このように、急加速要求をトリガーとしてレール圧制御を開始することで、吸気輸送遅れや過給遅れが生じやすい状況でのみレール圧Fを補正することができ、急加速に伴う吸気遅れや過給遅れに対する燃焼状態を改善することができる。一方、急加速中でなければレール圧Fが補正されないため、燃料噴霧の広がりやすさが過剰に変更されることがなく、定常運転での燃焼状態を安定させることができる。
(8)上記のエンジン制御装置1では、偏差ΔPが大きいほど、単位偏差あたりのレール圧Fの低下量が小さくなるようにレール圧Fが制御される。このような制御により、燃料噴霧の完全燃焼性を向上させることができ、特に偏差ΔPが大きい状態での燃料噴霧の完全燃焼性を向上させることができる。例えば、偏差ΔPが比較的大きい加速運転状態で燃料の噴射圧を過剰に低下させると、液滴の粒径拡大により各々の液滴が完全燃焼しにくくなり、すすの発生量が増加する可能性が高まる。これに対して、偏差ΔPが大きいほどレール圧Fの減少勾配を緩勾配にすることで、レール圧Fを低下させつつ液滴の大径化を抑制することができ、燃料噴霧の完全燃焼性を高めることができ、排気性能を向上させることができる。
[6.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、ディーゼルエンジンの制御について詳述したが、この制御はガソリンエンジンにも適用することができる。また、デュアルループEGRシステム及びターボシステムは、レール圧制御の対象となるエンジン10に必須の要素ではなく、これらを省略することも可能である。少なくとも、エンジン10の運転状態に基づいて設定される筒内圧の目標値PTGTから計測値PMEAを減じた偏差ΔPに基づいてレール圧Fを制御するものとすれば、上述の実施形態と同様の制御を実現することができ、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
上述の実施形態では、図2に示すような係数マップを用いて係数Kを設定するものを例示したが、変速機のギア段,偏差ΔP,係数Kの具体的な対応関係はこれに限定されない。また、これらのパラメータに加えて、エンジン10の運転状態に関する別のパラメータを引数とした係数マップを用いてもよい。例えば、吸気酸素濃度D,低圧EGR量,高圧EGR量,吸入空気量,エンジン冷却水温,吸気温度等を参照して係数Kを設定することが考えられる。これらのパラメータを考慮に入れることで、筒内でのタンブル流やスワール流の形状や速度,その中での燃焼反応の進行速度等をより精度よく推測することができ、筒内の燃焼状態をより精度よく改善することができる。
上述の実施形態における条件1〜条件8には、車速V,エンジン負荷Ec,時間,インマニ圧PIM,アクセル開度APS及びその時間変化率等に関する条件が列挙されているが、他の条件を追加することも考えられる。例えば、エンジン回転数Ne,ターボチャージャーの回転速度,吸気酸素濃度D等の情報を併用してもよいし、シフトレバーの操作位置SPに応じて条件の内容を変更してもよい。反対に、条件1〜条件8を省略して、車両の走行中(アイドリング運転状態でない状態)では常にレール圧制御が実施されるような制御構成としてもよい。このようなレール圧制御であっても、筒内の燃焼状態を改善することができる。
上述の実施形態では、コモンレール27内のレール圧Fを増減させるレール圧制御について詳述したが、制御対象となる燃料圧力は、コモンレール27内のレール圧Fに限定されない。例えば、コモンレール27を持たないエンジン10の場合には、筒内噴射弁11に供給される燃料の圧力や、筒内噴射弁11から噴射される燃料の圧力を制御対象としてもよい。このような制御においても、燃料噴霧の貫徹力や燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
1 エンジン制御装置
2 算出部
3 実筒内圧取得部
4 目標筒内圧算出部
5 偏差算出部
6 制御部
7 条件判定部
8 レール圧制御部
10 エンジン
11 筒内噴射弁
27 コモンレール
28 燃料ポンプ
32 インマニ圧センサ
35 シフトポジションセンサ
37 筒内圧センサ
SP 操作位置
FRAIL 基準レール圧
K 係数
PCYL 実筒内圧
PTGT 目標値
PMEA 計測値
ΔP 偏差

Claims (7)

  1. エンジンの運転状態に基づいて設定される筒内圧の目標値から前記筒内圧の計測値を減じた偏差を算出する算出部と、
    前記算出部で算出された前記偏差が大きいほど、前記エンジンの燃圧を低める制御部と、
    を備えたことを特徴とする、エンジン制御装置。
  2. 前記制御部は、前記偏差が正の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を低下させ、前記偏差が負の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を上昇させる
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン制御装置。
  3. 前記制御部は、前記エンジンに接続される変速機の減速比が小さいほど前記燃圧を大きく変化させる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン制御装置。
  4. 前記算出部が、筒内圧センサで計測された燃焼圧を前記計測値とする
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
  5. 前記算出部が、インマニ圧センサで計測された吸気圧に基づいて前記計測値を推定する
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
  6. 前記算出部が、前記エンジンの着火時刻における前記偏差を算出する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
  7. 前記制御部が、運転者の運転操作に基づき、車両を急加速させる急加速要求を検出したことを条件として、前記燃圧の制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
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