以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る接合装置10(図2以下参照)を使用して鋼管柱1を接合したコンクリート充填鋼管柱(CFT柱)2を示す立面図(部分断面図)である。この図に示すように、CFT柱2は、坑7内に建て込まれた逆打ち支柱であり、複数の鋼管柱1が接合されて杭3に達する長さとなっている。なお、坑7の断面形状は円形であっても角形であってもよい。
ここで、各鋼管柱1の上端には、内周面にねじ溝が形成された雌ねじ部4が形成され、各鋼管柱1の下端には、外周面にネジ溝が形成された雄ねじ部5が形成されており、下側の鋼管柱1の雌ねじ部4と上側の鋼管柱1の雄ねじ部5とが締結されることにより、上下の鋼管柱1が接合されている。
また、CFT柱2の仕口部には、ダイアプレート6が設けられている。このダイアプレート6は、通しダイアフラム又は外ダイアフラム、例えば円盤状又は円環状の鋼材であり、鋼管柱1の外周面から水平に張り出している。
図2は、鋼管柱1を接合するのに使用する接合装置10を示す立面図であり、図3は、該接合装置10を示す平断面図(図2の3−3断面図)である。図4は、接合装置10を示す平断面図(図2の4−4断面図)である。これらの図に示すように、接合装置10は、坑7内に挿入された下側の鋼管柱1を保持する保持装置20と、上側の鋼管柱1を回転させて雌ねじ部4と雄ねじ部5とを締結させる締結装置40とを備えている。
保持装置20は、矩形状の台座フレーム22と、台座フレーム22の下に配された複数(本実施形態では4個)のレベル調整機構24と、台座フレーム22上に設置された保持機構30とを備えている。台座フレーム22は、H型鋼22A、22B、22C、22Dが溶接されることにより矩形状に形成されている。また、レベル調整機構24は、油圧ジャッキであり、台座フレーム22の角部の下に配されている。この複数のレベル調整機構24により台座フレーム22の高さ及び姿勢が調整される。
ここで、台座フレーム22の一辺を構成するH型鋼22Aは、材軸方向の中央部22A−1と材軸方向の端部22A−2とが分割可能に構成されている。即ち、中央部22A−1の両端と、端部22A−2の一端とにはフランジ22Fが設けられており、中央部22A−1側のフランジ22Fと端部22A−2側のフランジ22Fとがボルトで結合されている。
中央部22A−1の長さは、鋼管柱1の直径(ダイアプレート6の直径ではなく柱部分の直径)よりも大きく設定されている。なお、中央部22A−1の長さは、ダイアプレート6の直径よりも大きく設定されてもよい。
H型鋼22Aの両端に結合された一対のH型鋼22B、22Dは、固定用ピン25により地面に固定されている。この固定用ピン25は、H型鋼22B、22Dの下側のフランジに空けられた孔と地面に空けられた孔とに挿入されることで、台座フレーム22の回り止めをしている。
また、台座フレーム22の内周側には、保持機構30を取り付けるための台板26が設けられている。この台板26は、H型鋼22B、22C、22Dの上側のフランジに溶接されている。また、台板26には、ダイアプレート6の半径よりも曲率半径が大きい円弧状の切欠きが形成されており、鋼管柱1の下降時におけるダイアプレート6と台板26との干渉が防止されている。
保持機構30は、台板26上に固定された円弧状の固定フレーム32と、固定フレーム32に連結された一対の円弧状の可動フレーム34と、一対の可動フレーム34に取付けられた締付装置36と、固定フレーム32及び可動フレーム34と鋼管柱1との間に嵌め込まれたスペーサ38とを備えている。固定フレーム32は、円弧状に湾曲した溝形鋼である。この固定フレーム32の曲率半径は、台板26の円弧状の切欠きの曲率半径と同じであり、固定フレーム32のウェブと台板26の円弧状の切欠きの縁部とが同一線上において重ね合わされている。
可動フレーム34は、固定フレーム32の周方向の一端に鉛直軸回りに回動可能に取り付けられている。可動フレーム34は、第1可動部34Aと第2可動部34Bとを備えている。第1可動部34A及び第2可動部34Bは、円弧状に湾曲した溝形鋼である。第1可動部34Aの周方向の一端は、回転軸34Cを介して固定フレーム32の周方向の一端に鉛直軸周りに回動可能に支持され、第2可動部34Bの周方向の一端は、回転軸34Dを介して第1可動部34Aの周方向の他端に鉛直軸周りに回動可能に支持されている。
一対の可動フレーム34は、固定フレーム32の曲率中心に対して対称に配されており、図3に実線で示す閉じた状態では、一対の可動フレーム34の先端同士が近接することにより、固定フレーム32と一対の可動フレーム34とにより円状のフレームが構成される。一方、一対の可動フレーム34は、図3に破線で示す展開した状態では、第1可動部34Aと第2可動部34Bとが折畳まれることにより、後述のレベル調整機構44に干渉することなく、上下の台座フレーム22、42の間に納められる。ここで、展開状態の一対の可動フレーム34の間隔は、鋼管柱1の直径よりも大きく、さらにダイアプレート6の直径よりも大きくなっている。
締付装置36は、油圧シリンダであり、一対の可動フレーム34の先端を連結するように設けられている。第2可動部34Bの先端には、ピン36Aが着脱可能に設けられている。このピン36Aは、第2可動部34Bの上下のフランジに形成された孔に挿通されており、締付装置36の軸方向一端が、ピン36Aに回動可能に取り付けられている。
図3に実線で示すように可動フレーム34が閉じた状態において、締付装置36が収縮すると一対の可動フレーム34が互いに接近する。一方、ピン36Aが第2可動部34Bから取り外されると、図3に破線で示すように、可動フレーム34を展開状態にすることが可能となる。
スペーサ38は、ゴム等の円環状の部材であり、固定フレーム32及び可動フレーム34と鋼管柱1の柱部分との間に嵌め込まれている。このスペーサ38は、複数(本実施形態では3個)に分割されている。ここで、締付装置36が伸長した状態では、スペーサ38と可動フレーム34との間にクリアランスができる。そして、スペーサ38が複数に分割されている。これらにより、締付装置36が伸長すると、スペーサ38が容易に取外し可能になる。なお、スペーサ38は、ゴム製に限られるものではなく、鋼材加工品又は鋼材加工品にすべり止めのゴムを付加した物等であってもよい。
図3に実線で示すように可動フレーム34が閉じた状態において、締付装置36が収縮すると、一対の可動フレーム34が互いに接近し、鋼管柱1が、固定フレーム32及び可動フレーム34によりスペーサ38を介して締め付けられる。
図2及び図4に示すように、締結装置40は、矩形状の台座フレーム42と、台座フレーム42の下に配された複数(本実施形態では4個)のレベル調整機構44と、台座フレーム42上に設置された保持機構50と、伸縮機構60とを備えている。台座フレーム42は、H型鋼42A、42B、42C、42Dが溶接されることにより矩形状に形成されている。また、レベル調整機構44は、油圧ジャッキ44Aと、その上下の柱部材44Bとを備え、台座フレーム42の角部と台座フレーム22の角部とを結合している。この複数のレベル調整機構44により、台座フレーム42の高さ及び姿勢が調整される。
ここで、台座フレーム42の一辺を構成するH型鋼42Aは、台座フレーム22のH型鋼22Aの真上に配されており、材軸方向の中央部42A−1と材軸方向の端部42A−2とが分割可能に構成されている。即ち、中央部42A−1の両端と、端部42A−2の一端とにはフランジ42Fが設けられており、中央部42A−1側のフランジ42Fと端部42A−2側のフランジ42Fとがボルトで結合されている。
中央部42A−1の長さは、鋼管柱1の直径(ダイアプレート6の直径ではなく柱部分の直径)よりも大きく設定されている。なお、中央部42A−1の長さは、ダイアプレート6の直径よりも大きく設定されてもよい。
台座フレーム42の内周側には、保持機構50を取り付けるための台板46が設けられている。この台板46は、H型鋼42B、42C、42Dの上側のフランジに溶接されている。また、台板46には、ダイアプレート6の半径よりも曲率半径が大きい円弧状の切欠きが形成されており、鋼管柱1の下降時におけるダイアプレート6と台板26との干渉が防止されている。ここで、台板46には、円弧状の切欠きに沿ってガイド壁(図示省略)が形成されている。
保持機構50は、台板26上に回転可能に設けられた円弧状の回転機構52と、回転機構52に連結された一対の円弧状の可動フレーム54と、一対の可動フレーム54に取付けられた締付装置56と、回転機構52及び可動フレーム54と鋼管柱1との間に嵌め込まれたスペーサ58とを備えている。回転機構52は、円弧状に湾曲した溝形鋼である。この回転機構52の曲率半径は、台板46の円弧状のガイド壁の曲率半径と同じであり、回転機構52のウェブと前記ガイド壁とが当接している。
可動フレーム54は、回転機構52の周方向の一端に鉛直軸回りに回動可能に取り付けられている。可動フレーム54は、円弧状に湾曲した溝形鋼である。可動フレーム54の周方向の一端は、回転軸54Cを介して回転機構52の周方向の一端に鉛直軸周りに回動可能に支持されている。
一対の可動フレーム54は、回転機構52の曲率中心に対して対称に配されており、図3に実線で示す閉じた状態では、一対の可動フレーム54の先端同士が近接することにより、回転機構52と一対の可動フレーム54とにより円状のフレームが構成される。一方、図3に破線で示すように、展開状態の一対の可動フレーム54の間隔は、鋼管柱1の直径よりも大きく、さらにダイアプレート6の直径よりも大きくなっている。
締付装置56は、油圧シリンダであり、一対の可動フレーム54の先端を連結するように設けられている。可動フレーム54の先端には、ピン56Aが着脱可能に設けられている。このピン56Aは、可動フレーム54の上下のフランジに形成された孔に挿通されており、締付装置56の軸方向一端が、ピン56Aに回動可能に取り付けられている。
図4に実線で示すように可動フレーム54が閉じた状態において、締付装置56が収縮すると一対の可動フレーム54が互いに接近する。一方、ピン56Aが可動フレーム54から取り外されると、図4に破線で示すように、可動フレーム54を展開状態にすることが可能となる。
スペーサ58は、ゴム等の円環状の部材であり、回転機構52及び可動フレーム54と鋼管柱1の柱部分との間に嵌め込まれている。このスペーサ58は、複数(本実施形態では3個)に分割されている。ここで、締付装置56が伸長した状態では、スペーサ58と可動フレーム54との間にクリアランスができる。そして、スペーサ58が複数に分割されている。これらにより、締付装置56が伸長すると、スペーサ58が容易に取外し可能になる。なお、スペーサ58は、ゴム製に限られるものではなく、鋼材加工品又は鋼材加工品にすべり止めのゴムを付加した物等であってもよい。
図4に実線で示すように可動フレーム54が閉じた状態において、締付装置56が収縮すると、一対の可動フレーム54が互いに接近し、鋼管柱1の柱部分が、回転機構52及び可動フレーム54によりスペーサ58を介して締め付けられる。
伸縮機構60は、油圧シリンダであり、H型鋼42Cの上に配されている。回転機構52のウェブの外周面には上下一対のフランジ62と、該上下一対のフランジ62に両端を固定されたピン64とが設けられ、H型鋼42Cの軸方向一端部には、ピン66と、ピン66を鉛直に支持するフレーム68とが設けられている。
伸縮機構60と締付装置56とは、鋼管柱1を挟んで配されており、伸縮機構60が伸長すると回転機構52及び可動フレーム54が図中反時計周り方向に回転し、伸縮機構60が収縮すると回転機構52及び可動フレーム54が図中時計周り方向に回転する。
図5〜図14は、鋼管柱1を接合する手順を示す立面図又は平面図である。まず、図5の平面図及び図6の立面図に示すように、クレーン8で吊り上げた上側の鋼管柱1を下側の鋼管柱1の上まで移動させる。この際、上側の保持機構50を展開状態にし、上側の鋼管柱1を、一対の可動フレーム54の間を通して水平に、下側の鋼管柱1の上まで移動させる。なお、下側の鋼管柱1は下側の保持機構30で保持する。
次に、上側の鋼管柱1を手動又は機械を用いて回転させて、上側の鋼管柱1の雄ねじ部5と下側の鋼管柱1の雌ねじ部4とを螺合させる。次に、図7の平面図に示すように、締結装置40により上側の鋼管柱1を回転させることにより、上側の鋼管柱1の雄ねじ部5と下側の鋼管柱1の雌ねじ部4とを締結させる。この工程では、まず、上側の鋼管柱1と保持機構50との間にスペーサ38を嵌め込み、締付装置56を収縮させて可動フレーム54の内径を縮小させることにより、固定フレーム52及び可動フレーム54がスペーサ58を介して上側の鋼管柱1を締付けて保持する状態にする。次に、伸縮機構60を伸長させることにより、回転機構52、可動フレーム54及びそれらに保持された上側の鋼管柱1を図中反時計周り方向に回転させる。
次に、図8及び図9の平面図及び図10の立面図に示すように、複数の鋼管柱1が接合されてなる柱体1´の全体を降下させる。まず、図8及び図9に示すように、上下の締付装置36、56を伸長させて上下の保持機構30、50による柱体1´の保持を開放する。そして、上下のスペーサ38、58を上下の保持機構30、50と柱体1´との間から取り外す。次に、図10に示すように、柱体1´を、クレーン8で降下させる。この際、保持機構30、50の円孔の直径がダイアプレート6の直径よりも大きいことにより、ダイアプレート6が、保持機構30、50を通過する。そして、柱体1´の頭部が保持機構30の高さまで降下すると、保持機構30と柱体1´との間にスペーサ38を嵌め込み、締付装置36を収縮させることにより、柱体1´の頭部を保持装置20で保持する。
以上のような工程を繰り返して柱体1´が杭3に達する長さとなると、図11〜図13の平面図及び図14の立面図に示すように、接合装置10を、柱体1´の建込位置から撤去し、柱体1´内にコンクリートを打設する準備をする。本工程では、図11に示すように、締付装置56を可動フレーム54から取り外して可動フレーム54を展開状態にすると共に、H型鋼42Aの中央部42A−1を端部42A−2から取り外す。また、図12に示すように、締付装置36を可動フレーム34から取り外して可動フレーム34を展開状態にすると共に、H型鋼22Aの中央部22A−1を端部22A−2から取り外す。次に、フォークリフト9により接合装置10を柱体1´のの建込位置から撤去する。
以上説明したように、本実施形態に係る接合装置10は、下側の鋼管柱1を回り止めした状態で保持する保持装置20と、上側の鋼管柱1を保持して回転させる締結装置40とを備える。締結装置40は、保持装置20の上に配され上側の鋼管柱1が通される上側の台座フレーム42と、上側の鋼管柱1の軸の周りに回転可能に上側の台座フレーム42に設けられ、上側の鋼管柱1を包囲して保持する保持状態と、該保持状態から展開して上側の鋼管柱1を入退可能とする展開状態とに遷移する保持機構50(上側の保持フレーム)と、上側の台座フレーム42に設けられ、保持機構50を回転させる伸縮機構60とを備える。
これにより、保持機構50を展開状態にし、上側の鋼管柱1の下端の高さを保持機構50の上端より下側で台座フレーム42の上端より上側の高さに合わせて、上側の鋼管柱1を水平に移動させることで、上側の鋼管柱1を保持機構50の内側に移動させることができる。即ち、上側の鋼管柱1を、保持機構50の上側まで持ち上げることなく、保持機構50の内側に移動させることができる。
従って、鋼管柱1の長さを、保持機構50とその上方の既設構造物との間隔以上にすることができ、保持機構50の下端から上端までの高さの分だけ長くすることができ、それにより、鋼管柱1の接続作業の回数を低減することができる。以上により、地盤の坑内に挿入された下側の鋼管柱1とその上側の鋼管柱1とをネジ式機械式継手により十分な接合強度をもって接合することを、低空頭の条件下でも好適に実施することができる。
また、保持装置20は、上側の台座フレーム42の下に配され下側の鋼管柱1が通される下側の台座フレーム22と、下側の台座フレーム22に設けられ、下側の鋼管柱1を包囲して保持する保持状態と、該保持状態から展開して下側の鋼管柱1を入退可能とする展開状態とに遷移する保持機構30(下側の保持フレーム)とを備える。ここで、上側の台座フレーム42は、展開状態の上側の保持機構50に入退する上側の鋼管柱1が入退する通路を備え、下側の台座フレーム22は、展開状態の下側の保持機構30に入退する下側の鋼管柱1が入退する通路を備える。
これにより、上下の保持機構30、50を展開状態にし、接合装置10全体を、上下の鋼管柱1が上下の保持機構30、50から退出する方向へ水平に移動させて、上下の鋼管柱1を、上下の台座フレーム22、42の通路を通して上下の台座フレーム22、42から退出させることができる。従って、鋼管柱1が地表面に突出した状態で、接合装置10を鋼管柱1の建込位置から容易に撤去することができる。
ここで、接合装置10では、上下の台座フレーム22、42が矩形状に構成され、その一辺であるH型鋼22A、42Aの一部である中央部22A−1、42A−1がその両側から分離可能に構成されている。これにより、中央部22A−1、42A−1が一体化された状態の台座フレーム22、42は、上下の鋼管柱1を締結する際の反力に耐えるに十分な剛性を有することになる。一方で、鋼管柱1が地表面に突出した状態で、接合装置10を鋼管柱1の建込位置から容易に撤去することができる。
また、接合装置10は、上側の台座フレーム42及び下側の台座フレーム22の高さを調整する高さ調整機構を備えるレベル調整機構24、44Aを備える。これにより、レベル調整機構24、44Aで上下の台座フレーム22、42のレベル調整を実施することによって、保持機構30、50に保持された鋼管柱1の高さや姿勢を調整することができる。
また、接合装置10では、上下の保持機構30、50の内径が鋼管柱1のダイアプレート6の直径よりも大きく設定され、鋼管柱1と上下の保持機構30、50の内周面との間にスペーサ38、58が嵌め込まれている。また、締付装置36が伸長した状態では、スペーサ38と可動フレーム34との間にクリアランスができ、締付装置36が伸長した状態では、スペーサ38と可動フレーム34との間にクリアランスができる。そして、スペーサ38が複数に分割されている。これらにより、締付装置36が伸長すると、スペーサ38が容易に取外し可能になる。従って、上下の保持機構30、50で上下の鋼管柱1を保持できると共に、鋼管柱1を降下させる際に、上下の保持機構30、50を保持状態(閉じた状態)にしたままで、ダイアプレート6を上下の保持機構30、50の内側を通過させることができる。
図15は、他の実施形態に係る保持装置120を示す平面図である。この図に示すように、保持装置120は、矩形状の台座フレーム122と、台座フレーム122の下に配された複数(本実施形態では4個)のレベル調整機構24(図2参照)と、台座フレーム122上に設置された保持機構130とを備えている。台座フレーム122は、一対の互いに平行のH型鋼22A、22Cと、これらの間に互いに平行に配された一対の矩形状の鋼材122Bとで構成されている。
H型鋼22Aの両端に結合された一対の鋼材122Bは、固定用ピン25により地面に固定されている。この固定用ピン25は、鋼材122Bに空けられた孔と地面に空けられた孔とに挿入されることで、台座フレーム122の回り止めをしている。ここで、固定用ピン25を用いることにより、台座フレーム122を地面から容易に取り外すことができる。なお、台座フレーム122の固定方法は種々採用できる。例えば、台座フレーム122を構成するH型鋼に外付けの補強プレートを溶接して該補強プレートを固定用ピン25により地面に固定してもよい。または、台座フレーム122を構成する鋼管に外付けのピースを溶接して該ピースを固定用ピン25により地面に固定してよい。さらには、地面に凹部を形成して該凹部に台座フレーム122を嵌め込むことにより固定してもよい。
一対の保持機構130は、鋼管柱1を挟むように配されており、各保持機構130は、矩形状の鋼材であるキープレート132と、キープレート132を鋼材122Bの上面に連結するヒンジ134と、キープレート132を鋼材122Bに固定するボルト136とを備えている。
図16は、保持機構130を拡大して示す立断面図である。図15及び図16に示すように、鋼管柱1の外周面には、一対のキー11が、同じ高さで鋼管柱1の軸心に対して対称に設けられており、各キープレート132には、キー11が嵌り込むキー溝132Aが設けられている。
鋼材122Bとキー11とは互いに重ならないように配されており、キープレート132は、キー溝132Aが設けられた部分が鋼材122Bから鋼管柱1側に張り出し、キー11がキー溝132Aに嵌り込むように配されている。また、ヒンジ134は、キープレート132のキー溝132A側とは反対側の端面と、鋼材122Bの上面とを連結している。これにより、キープレート132は、図16に実線で示す倒れた状態と、図16に破線で示す立上った状態とをとり得る。
キープレート132が倒れた状態では、キー11がキー溝132Aに嵌り込み、鋼管柱1がキー11及びキープレート132を介して回り止めされた状態で台座フレーム122に保持される。一方、キープレート132は、立上った状態では鋼材122B上に位置する。
ここで、両側の鋼材122Bの間隔は、ダイアプレート6の直径よりも大きく設定されている。これにより、キープレート132が立上った状態では、鋼管柱1が降下する際に、キー11及びダイアプレート6が、鋼材122Bの高さを通過できる。
なお、キー11を鋼管柱1に設け、キー溝132Aを保持装置120に設けたが、キーを保持装置120に設け、キー溝を鋼管柱1に設けてもよい。この場合、キーを保持装置120に、鋼管柱1の径方向に移動可能に設けることにより、キーを鋼管柱1のキー溝に係合させたり該キー溝から離脱させたりすればよい。
図17は、他の実施形態に係る鋼管柱1の接合装置100を示す立面図であり、図18は、該接合装置100を示す平断面図(図17の18−18断面図)である。これらの図に示すように、本実施形態に係る接合装置100は、上述の実施形態に係る接合装置10の伸縮機構60に替えて伸縮機構160を備える。
伸縮機構160は、一対のジャッキ61と、この一対のジャッキ61の一端側を鉛直のピン66を介して回動可能に支持するブラケット168とを備える。ブラケット168は、H型鋼42Cの材軸方向中央部に配されている。
一対のジャッキ61は、鋼管柱1の軸心に対して対称に配されており、各ジャッキ61の他端側は鉛直のピン64及びブラケット62を介して回転機構52に回動可能に支持されている。また、一対のジャッキ61は、ピン66からピン64にかけて間隔が広がるように配されている。これにより、図中に白抜きの矢印又は塗潰しの矢印で示すように、一方のジャッキ61が伸長して他方のジャッキ61が収縮することによって、回転機構52、可動フレーム54及びこれらに保持された鋼管柱1が回転される。
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の実施形態では、上下の保持機構30、50の内径をダイアプレート6の直径より大きくしたが、必須ではない。ここで、上下の保持機構30、50の内径をダイアプレート6の直径より小さくする場合には、鋼管柱1を降下させる際に、上下の保持機構30、50を展開状態にすればよい。
さらに、上述の実施形態では、下側の台座フレーム22のレベル調整を行うレベル調整機構24と上側の台座フレーム42のレベル調整を行うレベル調整機構44Aとを設置したが、これらの双方を設置することは必須ではなく、少なくとも一方を設置すればよく、さらに、これらの双方を非設置としてもよい。