JP2016108702A - ポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、抗ピリング性及び、高収縮性(嵩高性)を両立させた円形又は異型断面のポリエステル繊維を供給する。【解決手段】本発明者らは鋭意検討した結果、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体に、該ポリエステル重合体を構成する全酸成分に対して、イソフタル酸成分(a)を10.0〜25.0モル%、及び下記式(I)で表すリン酸ジアルキルエステル成分(b)を(b)に由来するリン原子の含有量で0.5〜2.5モル%共重合したポリエステル系共重合体を用いて、かつ固有粘度[η]が0.3〜0.6dl/gの条件を見出すことで、本発明のポリエステル繊維を発明した。さらに溶融ポリマー温度及び冷却条件を適正化することで、上記の特徴を持った異型断面のポリエステル繊維を発明することができ、結果、速乾性、吸湿性、軽量性、外観などの特性を持たせることを可能とした。【選択図】なし

Description

本発明は、抗ピリング性及び、高収縮性を両立させた円形又は異型断面のポリエステル繊維に関する。
従来より、抗ピリング性を向上させたポリエステル繊維及び、嵩高性(高収縮性)を向上させたポリエステル繊維が知られている。特許文献1に記載されているポリエステル繊維は、ポリアルキレンテレフタレートを主体とすることで高収縮性を発現させている。また特許文献2ではイソフタル酸を用いることで、高速紡糸時の糸の収縮性の改良に関して記述されている。また特許文献3に記載されているポリエステル繊維は、リン化合物を共重合することで染色時に容易に強伸度を低下させることができ、抗ピリング性を発揮できるとされている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載のポリエステル繊維の特徴である高収縮性及び抗ピリング性両方の特徴を有する繊維はこれまでに無く、下着など直接肌に触れる部分に使用する繊維には両方の機能を持ち、尚且つ着用する人の好みに合わせた触感を供給できる繊維が望まれていたが供給出来ずにいた。
特許第2813378号公報 特開平5−302210号公報 特開昭61−47818号公報
本発明は上述の要望を満たすためになされた発明であり、抗ピリング性及び高収縮性(嵩高性)の両方の特徴を兼備した繊維を提供するものである。
本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、ポリエステル繊維に特定の成分を共重合させ、かつその共重合量と固有粘度を制御することにより、抗ピリング性及び高収縮性(嵩高性)に優れるポリエステル繊維に到達した。
すなわち、本発明は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体に、該ポリエステル重合体を構成する全酸成分に対して、イソフタル酸成分(a)を10.0〜25.0モル%、及び下記式(I)で表すリン酸ジアルキルエステル成分(b)を成分(b)に由来するリン原子の含有量で0.5〜2.5モル%共重合した、ポリエステル系共重合体を含み、固有粘度[η]が0.3〜0.6dl/gであるポリエステル繊維である。
Figure 2016108702
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数3〜8のアルキル基を表す)
本発明のポリエステル繊維は、繊維断面形状が異型断面であり、固有粘度[η]が0.35〜0,6dl/gであることが好ましい。
また、本発明は、前記ポリエステル繊維を用いて形成された布帛を包含する。
本発明により、抗ピリング性及び高収縮性(嵩高性)の両方の特徴を兼備したポリエステル繊維を供給することができる。また、本発明のポリエステル繊維は、繊維断面形状を異型断面に安定に変更することができ、種々の触感を発現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、特定の成分が特定の割合で共重合されたポリエステル系共重合体からなり、該ポリエステル共重合体について、以下に詳細を説明する。
本発明におけるポリエステル系共重合体は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体に、イソフタル酸成分(a)が共重合されていることが必要である。その共重合量としては、ポリエステル重合体を構成する全酸成分に対して10〜25モル%であることが適正範囲であり、好ましくは10〜20モル%である。イソフタル酸成分(a)の共重合量が10モル%未満の場合、繊維や布帛とした際に本発明の目的とする高収縮性が見られず、25モル%を超える場合は繊維中の構造ひずみが大きく、十分な繊維の強度が得られないため適さない。
また、本発明におけるポリエステル系共重合体には、下記式(I)で表されるリン酸ジアルキルエステル成分(b)が共重合されていることが重要である。リン酸ジアルキルエステル成分(b)が共重合されていることによって、繊維形成した後、またはその繊維から布帛を形成した後、さらに該布帛から縫製品などの製品を製造した後に、それらの繊維、布帛または製品を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理すると、ポリエステルの部分的な加水分解が生じてポリエステルの重合度が低下し、良好な抗ピリング性が繊維に付与される。
Figure 2016108702
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数3〜8のアルキル基を表す)
本発明におけるリン酸ジアルキルエステル成分(b)において、前述したようにアルキル基RとRは、それぞれ独立して炭素原子数3〜8のアルキル基であり、したがって、アルキル基RおよびRはプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基から選ばれる炭素原子数3〜8のアルキル基である。前記したアルキル基は直鎖状のアルキル基であってもまたは分岐したアルキル基であってもよいが、直鎖状のアルキル基である方が好ましい。また、アルキル基RとRは互いに同じアルキル基、または異なるアルキル基であってもよい。
本発明におけるリン酸ジアルキルエステル(b)の具体例としては、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブチルホスフェート、ジ−t−ブチルホスフェート、ジ−n−ペンチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェート、ジ−n−ヘプチルホスフェート、ジ−n−オクチルホスフェート、(n−プロピル)(n−ブチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−プロピル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ぺンチル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−オクチル)ホスフェート、(n−ヘプチル)(n−オクチル)ホスフェートなどを挙げることができる。なかでも、比較的安定に重合できる観点から、ジ−n−ブチルホスフェートを用いることが好ましい。また、前記したそれぞれのリン酸ジアルキルエステル(a)において、リン酸エステルを形成しているその2つのアルキル基のうちの一方または両方が、n−アルキル基ではなく分岐したアルキル基であるリン酸ジアルキルエステルも勿論使用できる。そして、本発明のポリエステルは、上記したリン酸ジアルキルエステル(b)の1種類が共重合されていても、または2種類以上が共重合されていてもよい。
本発明において、アルキル基RおよびRが炭素原子数3〜8のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステルを用いて共重合されているポリエステルを使用する理由は、アルキル基RおよびRがメチル基やエチル基の場合には、リン酸ジアルキルエステルが非常に分解し易く、ポリエステルの変性用として有効に使用することができないためである。一方、アルキル基RおよびRが炭素原子数9以上のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステルを用いてポリエステルを変性した場合には、変性により得られるポリエステルが黄色味を帯びてその色調が不良になり、好ましくない。
そして、本発明におけるポリエステル系共重合体におけるリン酸ジアルキルエステル成分(b)の共重合量は、成分(b)に由来するリン原子の含有量で、ポリエステル系共重合体を構成する全酸成分に対して0.5〜2.5モル%であることが必要である。リン原子の含有量が0.5モル%未満であると、ポリエステル系共重合体を溶融紡糸して得られるポリエステル繊維や布帛を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理しても、抗ピリング性に優れる繊維や布帛等が得られない。一方、リン原子の含有量が2.5モル%を超えると、抗ピリング性は付与できるが、ポリエステルを製造する際の重合度の調整が困難になったり、繊維の製造工程中における加水分解が著しくなってロット間の差が大きくなったり、得られる繊維の力学的特性などが低下して、繊維を紡績したり布帛にしたりする工程での損傷が著しくなったりするといった問題が生じるため適さない。
本発明のポリエステル系共重合体は、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位およびエチレングリコール単位以外に、その全構成単位に基づいて、30モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば他の2官能性化合物から誘導される構造単位を必要に応じて含有していてもよい。そのような他の2官能性化合物から誘導される構造単位としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;デカリンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシプロピオン酸、アシアチン酸、キノバ酸、ヒドロキシ安息香酸、マンデル酸、マトロラクチン酸などのヒドロキシカルボン酸;ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン;トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール;ヒドロキノン、カテコール、ナフタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどの2官能性成分から誘導される構造単位を挙げることができる。
本発明のポリエステル繊維は、前述した成分を共重合したポリエステル系共重合体を用いて製造するとともに、固有粘度を適正な範囲に制御することが重要である。すなわち、本発明のポリエステル繊維の固有粘度[η]は0.3〜0.6dl/gであることが重要であり、好ましくは0.35〜0.60dl/gであり、より好ましくは0.35〜0.58dl/gである。固有粘度[η]が0.3dl/g未満であると粘度が低すぎるため、溶融紡糸性が悪化するため適さない。一方、固有粘度[η]が0.6dl/gを超えると、該繊維より形成された布帛、該布帛より形成された縫製品などの抗ピリング性が低下するため好ましくない。なお、前記固有粘度[η]は、後述する実施例に記載された方法で測定される値を指す。
本発明のポリエステル繊維は、異型断面形状にすることで、その断面形状に応じて丸型断面を有する通常の繊維とは異なり、肌と糸との接触面積を変えることができる。その結果、断面形状によって、風合、触感を変えることができる。また速乾性、吸湿性、軽量性、外観などの特性も変えた繊維や布帛も得ることが出来る。
断面形状を異形断面に変化させる場合は、固有粘度[η]が0.35〜0.60dl/gであることが好ましい。固有粘度[η]が0.35dl/g未満であると粘度が低すぎるため、紡糸した際に目的とする断面形状を得ることが困難となる。より好ましくは、0.40〜0.58dl/gである。
異型断面とする際の断面形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することが出来る。限定されるものではないが、本発明におけるポリエステル繊維の断面形状としては、例えば中空形状、Y型、T型、十字型、偏平型、3〜8葉型、3〜8角型、ドックボーン型、楕円型などを挙げることができる。
更に本発明のポリエステル繊維には、酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛などの艶消し剤、あるいは光安定剤、酸化防止剤、酸化ケイ素などの表面処理剤などが添加剤として含まれていてもよい。酸化ケイ素を用いることで、得られる繊維は減量加工後に繊維表面に微細な凹凸を付与することができる。更に熱安定剤を用いることで、加熱溶融時やその後の熱処理における熱分解を制御できる。また光安定剤を用いることで繊維の耐光性を高めることができ、表面処理剤を用いることで染色性を高めることも可能である。
これら添加剤は、本発明のポリエステル系共重合体を重合によって得る際に、重合系内にあらかじめ加えておいても良い。ただし、一般に酸化防止剤などは重合末期に添加する方が好ましく、特に重合系に悪影響を与える場合や、重合条件下で添加剤が失活する場合はそうすることが好ましい。一方、艶消剤、熱安定剤などは重合時に添加する方が、均一に樹脂重合物内に分散しやすいため好ましい。
このポリエステル系共重合体を例えば単軸押出機や二軸押出機を用いて溶融混練し、通常の溶融紡糸装置を用いて、本発明のポリエステル繊維を得ることが出来る。なお、口金の形状や大きさ、捲き取り速度などを変えることによって、得られる繊維の断面形状や径を任意に設定することが可能である。
本発明のポリエステル繊維を得る際に異型断面を紡糸する場合は、樹脂の固有粘度[η]が比較的低いため、ノズル孔から吐出後、ノズル形状の断面が変化する前に固化させることが重要となる。例として、ノズル面直下にポリマーの固化点を設定すること等である。この時、固化点をノズルに近づけすぎるとノズル自体を冷やしてしまうためノズル温度が下がり、結果ノズル内で溶融ポリマーが固化してしまうため紡糸が不可能となる。逆に固化点がノズルより離れすぎると吐出後、繊維形状が変化(円形となる)してしまい、目標とする繊維形状を得ることが出来ない。固化点を調整するには溶融ポリマーの温度及び、冷却条件を変えることで調整を行う。
このようにして溶融紡糸されたポリエステル繊維は延伸しても延伸しなくてもよい。延伸する場合の方法は、特に限定されず、例えば、一旦未延伸糸を製造してから加熱して延伸してもかまわないし、高速で引き取ることによって紡糸と同時に延伸してもかまわない。得られる延伸糸は、フィラメントであってもステープルであってもかまわないが、抗ピリング性及び高収縮性(嵩高性)が要求される観点からは、ステープルである場合に本発明のポリエステル繊維を用いる利益が大きい。こうして得られたポリエステル繊維を用いて、織物や編地、不織布、紙などの各種の布帛を製造することができる。
本発明のポリエステル繊維を用いて布帛を形成してから、該布帛を熱処理することで、布帛に抗ピリング性を付与することができる。該熱処理としては、熱水中での熱処理(染色)が挙げられる。熱処理を水の不存在下で行うと、抗ピリング性を付与するのに必要なポリエステル繊維の部分加水分解、及びそれに伴う繊維物性の低下を発現させることができない。また、熱水処理温度は110℃以上であることが必要であり、110℃未満であると抗ピリング性を付与するための熱処理に極めて長い時間を要するようになる。抗ピリング性を付与するための熱処理の効率性、及びポリエステル繊維の著しい物性低下の防止等の点から、水の存在下における熱処理を120〜180℃の温度で行うのが好ましい。
この熱処理後の単繊維の繊維強力は5cN以下であることが好ましい。より好ましくは単繊維の繊維強力が4.5cN以下であり、さらには4cN以下であることが望ましい。これは、単繊維の繊維強力が5cNを超えると発生したピルが切れ落ちにくく、抗ピリング性に劣るものとなってしまう。なお前記単繊維の繊維強力は、後述する実施例に記載された方法で測定される値を指す。
また該繊維の繊度は、0.3dtex以上であることが好ましく、より好ましくは0.8dtex以上である。繊度が0.3dtex未満の場合、繊維内の分子の配向が進むため高収縮性を得ることが難しい。さらには、単繊維強力が低いため、紡績工程での工程通過性が悪く品位に劣る紡績糸しか得られなくなる点でも問題となる。なお前記繊度は、後述する実施例に記載された方法で測定される値を指す。
該繊維の熱水収縮率は、10%以上であることが好ましく、より好ましくは18%以上である。10%未満の場合、布帛にした際の嵩高性が発現しにくく風合が良くない。なお前記熱水収縮率は、後述する実施例に記載された方法で測定した値を指す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。なお、繊度、強力・強度、伸度、固有粘度、紡糸性、断面形状、熱水収縮率、抗ピリング性、触感、速乾性の評価は、以下の方法に従った。
<繊度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて評価した。
<強力・強度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.7.1)」に準じて評価した。
<伸度>
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.7.1)」に準じて評価した。
<固有粘度[η] dl/g>
溶媒としてフェノール/テトラクロロエタン(体積比1/1)混合溶媒を用い30℃でウベローデ型粘度計(林製作所製HRK−3型)を用いて測定した。なお、熱水処理前後の固有粘度を測定し比較することで抗ピリング性を評価することができる。例えば、熱水処理後に固有粘度が低下することが、加水分解が進むこと、すなわち抗ピリング性に優れることを示す。
<紡糸性>
以下の基準に従って紡糸性評価を行った。
○:24hrの連続紡糸において、断糸が発生せず、紡糸性が良好であった(3回)。
△:24hrの連続紡糸において、紡糸時の断糸がわずかに発生した(4〜12回)。
×:24hrの連続紡糸において、断糸が多発し紡糸することが出来なかった(25回以上)。
<断面形状>
紡糸後、巻き取った糸の繊維の長さ方向に対し、かみそりを用いて垂直方向に糸を切断した。切断後の断面形状を、KEYENCE社製マイクロスコープ(VHX−5000)を使い観察した。
<熱水収縮率>
繊維を熱水条件下(100℃10分、120℃30分)に浸漬させた後の収縮率を測定した。
<抗ピリング性>
試験布を作製し、ICI型試験機を使い、最も良好な5級から不良の1級まで等級評価を実施した。
<触感>
10人の被験者に繊維で編んだ布地に触れてもらい、以下の4段階で官能評価を実施した。
◎ : 10人全員が、良好と判断。
○ : 8〜9人が、良好と判断。
△ : 3〜7人が、良好と判断。
× : 2人以下が、良好と判断。
<速乾性>
20℃×65%の雰囲気中で、生地の裏面に0.6gの水を滴下し、時間ごとに生地重量を測定する拡散性残留水分率試験法を用いて、水分率10%以下になるまでの時間で評価した。
<ポリエステル繊維の紡糸方法>
イソフタル酸成分(a)を含むポリエチレンテレフタレートとしてクラレ社製ポリエステルチップKBF45(イソフタル酸成分の含有量:45モル%)、及びリン酸ジアルキルエステル成分(b)のジ−n−ブチルホスフェート(DBP)を含むポリエチレンテレフタレートとしてクラレ社製ポリエステルチップTSP2.0(リン原子の含有量:2.0モル%)、更にクラレ社製セミダルポリエステルチップを使い、表1及び2に記載の条件で、各実施例及び比較例の配合となるようにチップをブレンドした後、二軸押出機を使い270℃で溶融した。その後ギアポンプで計量し、290℃で保温されたノズル(孔径=φ0.20、ホール数=460)より押し出し、1200m/minで捲き取り後、浴温80℃中で目標繊度になるまで延伸、油剤・捲縮付与を行い、原綿を採取した。また、後述する実施例6〜7の異型断面繊維においては、偏平孔(ホール数=650)及び、十字孔(ホール数=700)のノズルをそれぞれ使い、断面形状を確保するために固化点をノズル直下に設定して紡糸、延伸、油剤・捲縮付与を行い、原綿の採取を行った。
〔実施例1〜3〕
表1に示すように、DBP成分の含有量を変更した繊維を使い、評価を実施した。結果は、DBP成分の添加量が増加するにつれて熱水処理後の強力値が低下した。また抗ピリング性については、添加量が増加するとともに等級が大きく、すなわち抗ピリング性が向上した。
〔実施例4〜5〕
表1に示すように、イソフタル酸成分の含有量を変更した繊維を使い、評価を実施した。結果、含有量が増加するとともに熱水処理後の伸度が向上し、かつ触感も向上した。
〔実施例6〜7〕
表1に示すように、DBP成分の含有量、及びイソフタル酸成分の含有量を実施例1と同じ条件で固定し、偏平形状及び十字形状のノズルをそれぞれ使って紡糸した繊維を使い、各評価を行った。断面形状を維持するために冷却条件を変えた影響で、熱水処理後の強力は高目、また抗ピリング性の等級も低めの値となった。しかし、断面形状を異型断面に変更した結果、繊維の表面積が増加し、十字断面においては特に触感が向上した。さらに速乾性においては、偏平断面、十字断面共に向上した。
〔比較例1〜2〕
表2に示すように、DBP成分の含有量を変更した繊維を使い評価を行うため、繊維の生産を行った。比較例2の2.8モル%品においては添加量が多すぎたため、紡糸時の糸の挙動が安定せず糸切れが多発した。結果、評価用の繊維を採取することができなかった。また、比較例1の0.4%品においては添加量が少なすぎたため、熱水処理後の強力が高く、目標とした抗ピリング性を有する繊維を得ることができなかった。
〔比較例3〜4〕
表2に示すように、イソフタル酸成分の含有量を変更した繊維を使い評価を行うため、繊維の生産を行った。比較例4の27モル%品においては強力が低すぎるため捲き取り工程(ワインダー)のテンションで糸切れが多発し、評価用の繊維を採取することが出来なかった。また、比較例3の9モル%添加品においては熱水処理後の伸度が低く、目標とする触感を得ることが出来なった。
〔比較例5〜6〕
表2に示すように、固有粘度[η]を変更した繊維を使い評価を行うため、繊維の生産を行った。比較例5の0.280dl/g品においては粘度が低すぎるため、ノズル面から吐出された糸の状態が安定せず、巻き取ることが出来なかった。結果、評価用の繊維を採取することが出来なかった。また、比較例6の0.630dl/g品においては熱水処理後の強力値が高く、目標とするピリング性を有することが出来なかった。
Figure 2016108702
Figure 2016108702
本発明は、抗ピリング性及び、高収縮性(嵩高性)を両立させた円形又は異型断面のポリエステル繊維に関する。より詳細には、本発明の繊維を使用することで、抗ピリング性に優れた繊維を供給できるだけでなく、下着など直接肌に触れる部分に使用する場合は、繊維断面を異型断面にすることで、触感を容易に変えることが可能となった。すなわち、本発明のポリエステル繊維は、衣料用途等に応用することができる。

Claims (3)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重合体に、該ポリエステル重合体を構成する全酸成分に対して、イソフタル酸成分(a)を10.0〜25.0モル%、及び下記式(I)で表すリン酸ジアルキルエステル成分(b)を(b)に由来するリン原子の含有量で0.5〜2.5モル%共重合したポリエステル系共重合体を含み、固有粘度[η]が0.3〜0.6dl/gであるポリエステル繊維。
    Figure 2016108702

    (式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数3〜8のアルキル基を表す)
  2. 繊維断面形状が異型断面であり、固有粘度[η]が0.35〜0,6dl/gである、請求項1に記載のポリエステル繊維。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステル繊維を用いて形成された布帛。
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