JP2016108463A - プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂流れ性を調整可能とするプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板を提供することを目的とする。【解決手段】樹脂組成物を織布基材に含浸させ、加熱乾燥して形成されるプリプレグであって、前記樹脂組成物が、無機充填材として、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、または、エポキシシランで表面処理された球状シリカのいずれか一方を含む、プリプレグ。【選択図】なし
Description
本発明は、プリプレグ、前記プリプレグを用いて形成された金属張積層板、前記金属張積層板を用いて形成されたプリント配線板に関するものである。
電子機器の小型化及び薄型化に伴い、電子機器に備えられる電子部品として、表面実装型パッケージのものが用いられることが多くなってきている。このようなパッケージ(PKG)としては、具体的には、BOC(Chip On Board)等の、半導体チップを基板上に実装するパッケージ等が挙げられる。
さらに、電子機器を多機能化するためには、搭載される電子部品の数を増加する必要がある。この要求を満たすために、複数のサブパッケージを積層して基板上に実装して、さらにパッケージ化するパッケージ・オン・パッケージ(Package on Package:PoP)というパッケージの形態が採用されている。例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯端末装置等に、このPoPが多く採用されている。
これらのパッケージに用いられるプリント配線板は、プリント配線板材料であるプリプレグをプレス成形して得られる。
一般にプリプレグは、そのプレス成形の際に、配線基板等における導体間の隙間に樹脂を充填させるために、樹脂流れを高く保つ必要があるとされている。しかし、プリプレグの樹脂流れが高くなると、そのプリプレグから得られる金属張積層板の板厚は、樹脂が流れてしまうため、基板中央部が厚くなり、外周部が薄くなる。このような面内の板厚のばらつきは、高多層にするほど大きくなり、基板の加工精度のばらつきや、品質のばらつき、歩留まりにつながる。このようなばらつきが起こると、面内の板厚の違いで場所によって性能が異なるおそれが出てくる。また、基板への電子部品実装にも悪影響を与える。また、樹脂流れが高くなりすぎると、樹脂が少なすぎてガラスクロスと回路が接してしまうクロスタッチの危険性もある。
近年、回路の信頼性及びその寸法精度への要求がいっそう厳しくなっており、板厚精度に起因する信号速度の精度やインピーダンスへの影響も大きくなることが懸念される。
一方で、プリプレグにおける樹脂流れを小さくすると、面内の板厚精度は改善されるが、樹脂の回路充填性が悪くなり、導体間に空隙(ボイド)が残り易くなるという問題がある。
このような問題に対し、プリプレグの流動率を規制しつつ金型を用いてコントロールする方法(特許文献1)、積層治具を用いて樹脂の流れを防ぐ方法(特許文献2)等が報告されている。
しかし、上記特許文献1および2に記載されているような技術では以下のような問題がある。
まず、特許文献1記載の技術においては、特許文献1の図1に示される複雑な成形用治具が必要とされ、さらに熱盤の間にプレートと成形する際の銅箔とプリプレグだけでなく、複雑な3のような揺動板や、横への樹脂流れを制御する加熱部材7も設ける必要があり、煩雑かつコストもかかる。また、特許文献2記載の技術においても複雑な治具が必須となっている。
さらに、近年では電子材料の用途も多様化しており、顧客のニーズに合わせて、回路充填性と板厚精度のバランスにおいて繊細な微調整を行うことが重要となっている。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、樹脂流れ性を調整可能とし、回路充填性と板厚精度のバランスの微調整が可能なプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板を提供することを目的とするものである。
本発明の一態様に係るプリプレグは、樹脂組成物を織布基材に含浸させ、加熱乾燥して形成されるプリプレグであって、前記樹脂組成物が、無機充填材として、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、または、エポキシシランで表面処理された球状シリカのいずれか一方を含むことを特徴とする。
さらに、前記プリプレグにおいて、前記樹脂組成物が、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、及び、エポキシシランで表面処理された球状シリカの両方を含むことが好ましい。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成型して得られることを特徴とする。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて得られることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂流れ性を調整可能とし、回路充填性と板厚精度のバランスの微調整が可能なプリプレグ、金属張積層板、プリント配線板を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態のプリプレグは、樹脂組成物を織布基材に含浸させて、それを半硬化状態(いわゆるBステージ状態)となるまで加熱乾燥することによって形成されている。
そして、前記樹脂組成物が、無機充填材として、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、または、エポキシシランで表面処理された球状シリカのいずれか一方を含むことを特徴とする。
イソシアネートシランで表面処理された球状シリカを用いる場合は、樹脂流れが高くなるため、回路充填性に重きをおく、微細な回路や充填しにくい回路を形成する際にはイソシアネートシランで表面処理された球状シリカを含む樹脂組成物を使用する。
一方、エポキシシランで表面処理された球状シリカを用いる場合は、樹脂流れ性が低くなるため、回路充填性はそこまで必要ないが板厚精度が重要な回路基板等を作成する際は、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカを含む樹脂組成物を使用する。
さらには、前記樹脂組成物が、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、および、エポキシシランで表面処理された球状シリカの両方を含んでいることが好ましい。その場合、用途や必要に応じて、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、および、エポキシシランで表面処理された球状シリカの配合比を調整することによって、所望の樹脂流れ性を有するプリプレグを提供することができる。
本実施形態で使用する球状シリカは、上述したような表面処理がなされている限りその他の構成として特に限定はないが、サイズとしては、例えば、平均粒径で0.01〜5μm程度であることが、回路充填性やプリント配線板特性の観点から好ましい。
球状シリカのサイズについては、特定のサイズのものを単独で用いても、異なる2つ以上のサイズのものを組み合わせて使用してもよい。
ここで、本実施形態における球状シリカの平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布計で測定した値をさす。
本実施形態の樹脂組成物における球状シリカの配合量は、樹脂組成物中の樹脂成分(後述の(A)、(B)および(C)成分)の合計を100質量部として、前記球状シリカが30〜300質量部の範囲で含有されていることが好ましい。なお、前記球状シリカの配合量が30質量部未満になると耐燃性が低下、CTE増加、誘電正接増加、弾性率低下するおそれがあり、一方で、300質量部を超えると、樹脂流れ性、回路充填性に劣ったり、銅箔ピール強度が低下したり、デスミア量が増加するおそれがある。
イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、および、エポキシシランで表面処理された球状シリカは、公知の方法・装置を用いて得られるもの、あるいは、市販のものを使用することができる。
本実施形態で使用する樹脂組成物としては、無機充填材として上記した球状シリカを含有していれば、電子材料として使用できるものを特に限定なく使用することができる。好ましくは、(A)以下の構造式(I)(II)で表記される構造を有し、炭素原子間に不飽和結合を有さず、エポキシ価が0.2〜0.8eq/kgであり、重量平均分子量が20万〜100万である高分子量体、(B)ポリアリーレンエーテル共重合体(PAE)、及び(C)1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ樹脂を含み、前記(B)成分が前記(A)成分と相溶し、かつ前記(C)成分が前記(A)成分と非相溶である、エポキシ樹脂を使用することができる。
本実施形態において、これら前記樹脂組成物の3成分は、硬化が進行していない状態、つまり硬化促進剤等を共に含有せず樹脂のみの場合、(B)成分と(A)成分は相溶し、また(C)成分と(A)成分は相溶せず、相分離をしめす。前記成分同士が相溶しているか非相溶であるかの測定は、例えば、後述の実施例において用いた測定方法などで判定することができる。そして、前記樹脂組成物は、硬化が進行した半硬化状態及び硬化状態においては(例えば、硬化促進剤を共に含有している状態)、(B)成分と(C)成分の硬化が促進され、(A)成分と(B)および(C)成分の硬化物とは相溶せず、相分離している状態となっている。(A)成分と(B)および(C)成分の硬化物が相分離することによって、プリプレグの硬化状態において、(B)および(C)成分の硬化物によって剛性を高め、(A)成分によって弾性を下げることができる。
さらに、本実施形態の樹脂組成物を用いた積層板では、弾性を下げて応力を緩和させることができるのでパッケージの形態に依存することなく汎用的にパッケージの反りを低減することができるものである。さらに特にB成分によって積層板の誘電特性を向上させることができるという利点がある。
〔(A)成分:高分子量体〕
本実施形態の(A)成分、高分子量体は、低弾性成分であり、具体的にはアクリルゴムであり、上記式(I)(II)で表される構造を有するものである。すなわち、(A)成分の主鎖は式(I)(II)で表される構造からなり、主鎖にはエポキシ基が結合している。X:Y=0:1〜0.35:0.65であるから、(A)成分の主鎖が式(II)で表される構造のみからなる場合もあるが、これ以外の場合、式(I)(II)で表される構造の配列順序は特に限定されない。
本実施形態の(A)成分、高分子量体は、低弾性成分であり、具体的にはアクリルゴムであり、上記式(I)(II)で表される構造を有するものである。すなわち、(A)成分の主鎖は式(I)(II)で表される構造からなり、主鎖にはエポキシ基が結合している。X:Y=0:1〜0.35:0.65であるから、(A)成分の主鎖が式(II)で表される構造のみからなる場合もあるが、これ以外の場合、式(I)(II)で表される構造の配列順序は特に限定されない。
また(A)成分は、炭素原子間に二重結合や三重結合のような不飽和結合を有しないものである。すなわち、(A)成分の炭素原子同士は飽和結合(単結合)により結合されている。炭素原子間に不飽和結合を有すると、経時的に酸化されることで弾性を失って脆くなる。
さらに(A)成分は、エポキシ価が0.2〜0.8ep/kgである。エポキシ価が0.2ep/kgより小さいと、(B)成分や(C)成分の熱硬化性樹脂と反応するエポキシ基が少なくなることにより、(A)成分の熱可塑性が強くなるので、パッケージの耐熱性が低下する。逆にエポキシ価が0.8ep/kgより大きいと、(A)成分と(B)成分及び(C)成分とが相溶してしまい、これにより積層板(金属張積層板及びプリント配線板)のガラス転移温度が低下して、パッケージの耐熱性が悪化する。
(A)成分は、重量平均分子量(Mw)が20万〜100万である高分子量体である。重量平均分子量が20万より小さいと、耐薬品性が悪くなる。逆に重量平均分子量が100万より大きいと、成形性が悪くなる。
そして、上記のような(A)成分が樹脂組成物に含有されていると、この樹脂組成物の硬化物が吸湿しにくくなることによって、積層板の耐湿性を高めることができ、絶縁信頼性を向上させることができると考えられる。
〔(B)成分:ポリアリーレンエーテル共重合体(PAE)〕
本実施形態の(B)成分、ポリアリーレンエーテル共重合体としては、上述の(A)成分と相溶するものであれば特に限定はない。
本実施形態の(B)成分、ポリアリーレンエーテル共重合体としては、上述の(A)成分と相溶するものであれば特に限定はない。
具体的には、例えば、数平均分子量(Mn)が500〜2000であるポリアリーレンエーテル共重合体を用いることが好ましく、前記数平均分子量(Mn)は650〜1500であることがより好ましい。前記分子量が500以上であれば、硬化物の耐熱性として充分なものが得られ、また、分子量が2000以下であれば、確実に(A)成分と相溶すると考えられ、かつ硬化が進むと(C)成分と反応しやすい。また、溶融粘度が高くなり過ぎず、充分な流動性を得ることができる。
なお、本実施形態における、前記(B)ポリアリーレンエーテル共重合体の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
また、前記(B)成分は、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体であることが好ましい。さらには、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.8〜2.4個有することがより好ましい。前記末端水酸基数が平均1.5〜3個であれば、後述の(C)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ基との反応性を十分に得ることができ、硬化物の耐熱性により優れ、かつ、樹脂組成物の保存性も良好となり、誘電率及び誘電正接も低く抑えることができると考えられる。
なお、本実施形態において前記(B)成分の水酸基数は、使用する前記ポリアリーレンエーテルの製品の規格値からわかる。前記末端水酸基数としては、具体的には、例えば、前記(B)成分1モル中に存在する全てのポリアリーレンエーテル共重合体の1分子あたりの水酸基の平均値を表した数値等が挙げられる。
さらには、前記(B)成分の25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであることが好ましく、0.06〜0.095dl/gであればより好ましい。前記固有粘度の範囲であれば、硬化物の耐熱性を向上させ、かつ充分な流動性を得ることができるため、成形不良をより抑制することもできると考えられる。
なお、ここでの前記固有粘度も、使用する前記ポリアリーレンエーテル共重合体の製品の規格値からわかる。また、ここでの固有粘度は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度であり、より具体的には、例えば、0.18g/45mlの塩化メチレン溶液(液温25℃)を、粘度計で測定した値等である。前記粘度計としては、例えば、Schott社製のAVS500 Visco System等が挙げられる。
前記(B)成分のポリアリーレンエーテル共重合体としては、具体的には、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノールまたは3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリアリーレンエーテル共重合体や、ポリ(2,6−ジメチル−1,4フェニレンオキサイド)等のポリフェニレンエーテルを主成分とするもの等が挙げられる。また、前記2官能フェノールとしては、例えば、テトラメチルビスフェノールA等が挙げられる。
より具体的な前記(B)成分であるポリアリーレンエーテル共重合体としては、例えば、下記一般式(1)に示す構造を有するポリアリーレンエーテル共重合体等が挙げられる。
上記式(1)中、m,nは、前記溶融粘度の範囲内になるような重合度であればよい。具体的には、mとnとの合計値が1〜30であることが好ましい。また、mが0〜20であることが好ましく、nが0〜20であることが好ましい。このような構成のポリアリーレンエーテル共重合体を用いることにより、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が確実に得られる。
前記ポリアリーレンエーテル共重合体は、例えば、国際公開2007/067669号パンフレット記載の方法などによって製造することができる。また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体として、市販のものを用いることも可能であり、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA−90」などを使用することができる。
〔(C)成分:エポキシ樹脂〕
本実施形態の(C)成分として使用されるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。
本実施形態の(C)成分として使用されるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。
なお、ここでのエポキシ基数は、使用する前記エポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。前記エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、具体的には、例えば、前記エポキシ樹脂1モル中に存在する全ての前記エポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値を表した数値等が挙げられる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、これらの水素添加型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましくは、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を用いる。このようなエポキシ樹脂を用いることによって、高Tgおよび高耐熱性をより確実に得ることができ、また、(A)成分と相分離しやすく、硬化物の弾性を下げることができる。
より好ましくは、ナフタレン環含有エポキシ樹脂を用いることであり、それにより、上記特性をより確実に達成できると考えられる。ナフタレン環含有エポキシ樹脂としては、市販のものを使用することが可能であり、例えば、DIC社製の「HP9500」「HP4710」または「HP6000」などを具体例として挙げることができる。
また樹脂組成物において(A)成分と(B)成分と(C)成分の質量比は、樹脂組成物が上述したような特性を有している限り特に限定はされないが、前記(A)、(B)および(C)成分の合計を100質量部とした場合、前記(A)成分が10〜40質量部であることが好ましい。(A)成分がこのような範囲で配合されていることにより、積層板の誘電特性を悪化させることなく、積層板の剛性と低弾性を両立できるという利点がある。
また、本実施形態の樹脂組成物を調製するにあたっての各成分のそれぞれの混合比率は、適宜調節することが可能である。例えば、樹脂組成物においては、(B)成分と(C)成分の質量の和と(A)成分の質量の比は、90:10〜60:40であることが望ましい。(B)成分の質量比は、誘電特性の観点から、(A)、(B)および(C)成分の合計を100質量部とした場合、40〜85質量部であることが望ましい。また、耐熱性の観点から(B)成分と(C)成分の質量比は、B成分の水酸基当量に対する、C成分のエポキシ当量の比((C)成分のエポキシ当量/(B)成分の水酸基当量)が1.0〜4.0となるようになれば好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分および球状シリカ(無機充填材)に加え、さらにその他の成分を含有していてもよい。例えば、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、オクタン酸亜鉛等の金属石鹸類、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等を用いることができる。また、樹脂組成物には、光安定剤、粘度調整剤、及び難燃剤等を含有していてもよい。
〔プリプレグ〕
上記の(A)成分、(B)成分および(C)成分と、本実施形態の球状シリカ、そして必要に応じて硬化促進剤を配合することによって樹脂組成物を調製することができ、さらにこれを溶剤で希釈することによって樹脂組成物のワニスを調製することができる。
上記の(A)成分、(B)成分および(C)成分と、本実施形態の球状シリカ、そして必要に応じて硬化促進剤を配合することによって樹脂組成物を調製することができ、さらにこれを溶剤で希釈することによって樹脂組成物のワニスを調製することができる。
具体的には、例えば、まず、前記樹脂組成物のうちの、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられ、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、特に限定されない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド等の窒素含有溶剤等が挙げられる。
得られた樹脂ワニスを用いてプリプレグを製造する方法としては、例えば、得られた樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。すなわち、本実施形態に係るプリプレグは、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたものである。このようなプリプレグであれば、樹脂流れ性を調整可能とし、回路充填性と板厚精度のバランスの微調整が可能となり、様々ニーズに合わせた積層板やプリント配線板を製造できる。
プリプレグを製造する際に用いられる織布基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、織布基材の厚みとしては、例えば、10〜200μmのものを使用できる。
樹脂ワニスの織布基材への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
樹脂ワニスが含浸された織布基材は、所望の加熱条件、例えば、120〜190℃で3〜15分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
〔金属張積層板およびプリント配線板〕
本実施形態に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成型して得られたものである。
本実施形態に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成型して得られたものである。
本実施形態のプリプレグを用いて金属張積層板を作製する具体的な方法としては、例えば、プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製する方法などが挙げられる。
そして、作製された積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して部分的に除去し、回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができる。あるいは、前記プリプレグを硬化させた後、アディティブ法によってメッキでその上に回路を形成してプリント配線板を得ることもできる。
本明細書は、上述したように、様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係るプリプレグは、樹脂組成物を織布基材に含浸させ、加熱乾燥して形成されるプリプレグであって、前記樹脂組成物が、無機充填材として、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、または、エポキシシランで表面処理された球状シリカのいずれか一方を含むことを特徴とする。そのような構成によれば、樹脂流れを微調整することが可能となり、回路充填性や板厚精度などを、配合設計の観点から、ニーズに合わせて自由にあわせることができる。
さらに、前記プリプレグにおいて、前記樹脂組成物が、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、及び、エポキシシランで表面処理された球状シリカの両方を含むことが好ましい。それにより、上述したような回路充填性や板厚精度等の調整をより確実に行うことができる。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成型して得られることを特徴とする。そして、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、上述の金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られる。
このような構成によれば、成型性、もしくは回路充填性に優れ(ボイド、カスレ等がない)、また板厚精度に優れる金属張積層板ひいてはプリント配線板を提供することができる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
まず、本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いた各成分について説明する。
(A成分・高分子量体)
・高分子量体1:アクリルゴム、ナガセケムテックス社製「SG−P3」(式中、R1が水素原子、R2がブチル基、エチル基。エポキシ価0.2eq/kg、Mw85万)
(B成分・PAE)
・PAE1:SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA90(数平均分子量1500、水酸基:1.9個、末端水酸基濃度:1270μmol/g)
(C成分・エポキシ樹脂)
・ナフタレン型エポキシ樹脂:DIC社製「HP9500」
(球状シリカ・無機充填材)
・球状シリカ1(平均粒径2μm):エポキシシランで表面処理された球状シリカSC6500−SED(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ2(平均粒径0.5μm):エポキシシランで表面処理された球状シリカSC2500−SEJ(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ3(平均粒径2μm):イソシアネートシランで表面処理された球状シリカSC6500−GND(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ4(平均粒径0.5μm):イソシアネートシランで表面処理された球状シリカSC2500−GNO(株式会社アドマテックス製)
(硬化促進剤)
・2E4MZ:2−エチル−4−イミダゾール(四国化成工業株式会社製)
・オクタン酸亜鉛:DIC株式会社製「Zn−OCTOATE」
・高分子量体1:アクリルゴム、ナガセケムテックス社製「SG−P3」(式中、R1が水素原子、R2がブチル基、エチル基。エポキシ価0.2eq/kg、Mw85万)
(B成分・PAE)
・PAE1:SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA90(数平均分子量1500、水酸基:1.9個、末端水酸基濃度:1270μmol/g)
(C成分・エポキシ樹脂)
・ナフタレン型エポキシ樹脂:DIC社製「HP9500」
(球状シリカ・無機充填材)
・球状シリカ1(平均粒径2μm):エポキシシランで表面処理された球状シリカSC6500−SED(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ2(平均粒径0.5μm):エポキシシランで表面処理された球状シリカSC2500−SEJ(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ3(平均粒径2μm):イソシアネートシランで表面処理された球状シリカSC6500−GND(株式会社アドマテックス製)
・球状シリカ4(平均粒径0.5μm):イソシアネートシランで表面処理された球状シリカSC2500−GNO(株式会社アドマテックス製)
(硬化促進剤)
・2E4MZ:2−エチル−4−イミダゾール(四国化成工業株式会社製)
・オクタン酸亜鉛:DIC株式会社製「Zn−OCTOATE」
[実施例1]
(プリプレグ)
まず、ポリアリーレンエーテル共重合体(PAE)とトルエンとを混合させて、その混合液を80℃になるまで加熱することによって、ポリアリーレンエーテル共重合体をトルエンに溶解させて、ポリアリーレンエーテル共重合体の50質量%トルエン溶液を得た。その後、そのポリアリーレンエーテル共重合体のトルエン溶液に、表1に記載の配合割合になるように、エポキシ樹脂および高分子量体を添加した後、30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、硬化促進剤や無機充填材を添加して、ボールミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
(プリプレグ)
まず、ポリアリーレンエーテル共重合体(PAE)とトルエンとを混合させて、その混合液を80℃になるまで加熱することによって、ポリアリーレンエーテル共重合体をトルエンに溶解させて、ポリアリーレンエーテル共重合体の50質量%トルエン溶液を得た。その後、そのポリアリーレンエーテル共重合体のトルエン溶液に、表1に記載の配合割合になるように、エポキシ樹脂および高分子量体を添加した後、30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、硬化促進剤や無機充填材を添加して、ボールミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
プリプレグには、織布基材として、日東紡績株式会社製の♯1078タイプ、WEA1078のガラスクロスを用いた。そして、上記の樹脂ワニスを織布基材に硬化後の厚みが60μmとなるように含浸させると共に、これを半硬化状態となるまで110℃で60秒加熱乾燥することによってプリプレグを得た。
[実施例2〜24]
球状シリカの種類と配合及びプリプレグの乾燥時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
球状シリカの種類と配合及びプリプレグの乾燥時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
上記のようにして得られたそれぞれのプリプレグを評価用サンプルとして用いて、以下に示す方法により樹脂流れの評価試験を行った。
〔評価〕
(樹脂流れ)
各プリプレグの樹脂流れ性は、JIS C 6521に準拠して測定した。成形の条件は、温度170℃、圧力40kgf/cm2とし、プリプレグを15分間熱板プレスした。測定に使用するプリプレグの枚数は、前述のように作製したプリプレグを16枚用いた。
(樹脂流れ)
各プリプレグの樹脂流れ性は、JIS C 6521に準拠して測定した。成形の条件は、温度170℃、圧力40kgf/cm2とし、プリプレグを15分間熱板プレスした。測定に使用するプリプレグの枚数は、前述のように作製したプリプレグを16枚用いた。
結果を、下記表1にまとめる。なお、表中の各成分の数値は質量部を示す。
さらには、プリプレグの乾燥時間の長さを調節したり、シリカのサイズを調整することによって、さらに樹脂流れを高くしたり低くしたりすることができることもわかった。イソシアネートシラン処理した球状シリカを使用した場合は、プリプレグの乾燥時間の影響が比較的高いことがわかった。また、エポキシシラン処理を使用した場合、乾燥条件での影響が低いため、製造条件のブレによる樹脂流れのブレの抑制ができ、低樹脂流れ性プリプレグの製造安定性を確保しやすいこともわかった。また、実施例19〜21の結果より、樹脂流れを高くしたい場合は、イソシアネートシラン処理した球状シリカを使用し、かつ粒径の大きな球状シリカを用いることがよいことも示された。
Claims (4)
- 樹脂組成物を織布基材に含浸させ、加熱乾燥して形成されるプリプレグであって、前記樹脂組成物が、無機充填材として、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、または、エポキシシランで表面処理された球状シリカのいずれか一方を含む、プリプレグ。
- 前記樹脂組成物が、イソシアネートシランで表面処理された球状シリカ、及び、エポキシシランで表面処理された球状シリカの両方を含む、請求項1記載のプリプレグ。
- 請求項1または2に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする金属張積層板。
- 請求項1又は2記載のプリプレグを用いたプリント配線板。
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JP2014247706A JP2016108463A (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板 |
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- 2014-12-08 JP JP2014247706A patent/JP2016108463A/ja active Pending
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