JP2016108436A - 下地剤、及び相分離構造を含む構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる自己組織化ナノ構造の位置制御及び配向制御を実現するため、ガイドパターンによって相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等の方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、従来の中性層材料(下地剤)では、これを用いて形成される下地剤層の表面状態の制御が不充分であり、ブロックコポリマーの相分離不良を生じやすい、という問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ブロックコポリマーの相分離性能が高められ、簡便に用いることができる下地剤、及びこれを用いた相分離構造を含む構造体の製造方法を提供すること、を課題とする。
本発明の第一の態様において、前記樹脂成分は、前記構成単位(u1)を有し、かつ、主鎖のいずれか一つの末端部のみにヒドロキシ基を有する高分子化合物を含有することが好ましい。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様とする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。アクリル酸エステルにおけるα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンのベンゼン環に置換基が結合したもの等が挙げられる。α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
スチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法によれば、ブロックコポリマーの相分離性能が高められ、既存のリソグラフィー技術に比べて、より微細な構造体を良好な形状で形成できる。
本発明の第一の態様である下地剤は、基板上に形成した、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられるものである。
かかる下地剤は、ブロックコポリマーの誘導自己組織化(DSA)技術によって微細な構造体を形成する際、基板の表面改質材料として有用である。かかる下地剤を基板上に塗布して下地剤層を設けることで、基板表面が、ブロックコポリマーを構成するブロックのいずれかのブロックと親和性の高いものとなり、ブロックコポリマーの相分離が促進する。
かかる下地剤は、樹脂成分(以下「樹脂成分(A)」又は「(A)成分」ということがある。)を含有する。
樹脂成分(A)は、下記一般式(u1−1)で表される構成単位(u1)を有し、かつ、主鎖の少なくとも一つの末端部にヒドロキシ基を有する。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
構成単位(u1)において、ベンゼン環に、置換基として前記R1が結合していることにより、下地剤層表面の自由エネルギーが調節され、該下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層が垂直シリンダーパターン等に良好に相分離し得る。
R1における炭化水素基としては、例えば直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、又はアリール基が挙げられる。
このR1におけるアルキル基は、部分的又は完全にハロゲン化されたアルキル基(ハロゲン化アルキル基)、アルキル基を構成する炭素原子がケイ素原子もしくは酸素原子に置換されているアルキルシリル基、アルキルシリルオキシ基又はアルコキシ基であってもよい。
部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、アルキル基に結合する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、アルキル基に結合する水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい(すなわち、フッ素化アルキル基が好ましい)。
R1におけるアルキルシリル基としては、トリアルキルシリル基又はトリアルキルシリルアルキル基が好ましく、例えばトリメチルシリル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリル−n−プロピル基等が好適に挙げられる。
R1におけるアルキルシリルオキシ基としては、トリアルキルシリルオキシ基又はトリアルキルシリルオキシアルキル基が好ましく、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリメチルシリルオキシメチル基、トリメチルシリルオキシエチル基、トリメチルシリルオキシ−n−プロピル基等が好適に挙げられる。
R1におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数が1〜10であり、より好ましくは炭素数が1〜8であり、さらに好ましくは炭素数が1〜6である。
その中でも、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基がさらに好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
R1におけるハロゲン化アルキル基は、前記のR1におけるアルキル基の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。このハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。R1におけるハロゲン化アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、3〜6がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。
R1におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。R1におけるアルコキシ基としては、直鎖状のアルコキシ基、分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基が好適に挙げられ、エトキシ基が特に好ましい。
(A)成分中、構成単位(u1)の割合は、該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して25モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、75〜100モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(u1)の割合が好ましい下限値以上であれば、下地剤層の表面がより安定化し、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層が良好に相分離し得る。
好ましい(A)成分としては、例えば、構成単位(u1)を有し、かつ、主鎖の少なくとも一つの末端部にヒドロキシ基を有する高分子化合物(以下「(A1)成分」という。)が挙げられる。
(A1)成分は、構成単位(u1)を有し、かつ、主鎖の少なくとも一つの末端部(主鎖末端部)にヒドロキシ基を有する高分子化合物である。
(A1)成分中、構成単位(u1)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して25モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、75〜100モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(u1)の割合が好ましい下限値以上であれば、下地剤層の表面がより安定化し、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層が良好に相分離し得る。
主鎖末端部が有するヒドロキシ基の数は、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層の相分離性能がより高められることから、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
以下に、ヒドロキシ基を有する主鎖末端部の具体例を挙げる。尚、化学式中の「*」は結合手であることを示す。
(A1)成分は、構成単位(u1)以外の構成単位(構成単位(u2))を有してもよい。
構成単位(u2)としては、例えば、スチレンから誘導される構成単位;α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、側鎖末端部にヒドロキシ基(好ましくは1〜3つのヒドロキシ基)を含んでいてもよいアクリル酸又はそのエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
前記α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
R10及びR20における脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。該脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられ、中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
R10及びR20における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香環は、(4n+2)個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン等が挙げられる。R10及びR20における芳香族炭化水素基としては、前記の芳香環から水素原子を1つ以上除いた基、2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ以上除いた基、前記の芳香環もしくは芳香族化合物の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)、又は、前記の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の水素原子の1つ以上が芳香環で置換された基等が挙げられる。前記の芳香環もしくは芳香族化合物に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
かかる(A)成分としては、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層の相分離性能がより高められることから、上述の(A1)成分を含有することが好ましい。
(A)成分中の(A1)成分の含有量は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、100質量%であってもよい。かかる(A1)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であれば、基板の種類に依らず、ブロックコポリマーを含む層が良好に相分離しやすくなる。
以下に(A2)成分の具体例を挙げる。式中、Rαは、水素原子又はメチル基である。化学式(A2−3)中にある複数のRαは、互いに同一であっても異なっていてもよい。化学式(A2−4)中にある複数のRαは、互いに同一であっても異なっていてもよい。化学式(A2−5)中にある複数のRαは、互いに同一であっても異なっていてもよい。化学式(A2−2)中のR22は、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。
(A1)成分と(A2)成分とを併有する場合、両者の比率(質量比)は、(A1)成分/(A2)成分=10/90〜90/10が好ましく、15/85〜85/15がより好ましい。かかる比率(質量比)が前記の好ましい範囲内であれば、下地剤層の表面がより安定化し、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層が良好に相分離し得る。
(A)成分の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5がさらに好ましい。尚、Mnは数平均分子量を示す。
さらに、(A)成分には、上記重合の際に、例えばブチレンオキシドのような末端修飾剤を用いてもよい。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成したものを用いてもよい。
本発明に係る下地剤中、(A)成分の含有量は、固形分全体に対して70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る下地剤は、上述した(A)成分に加えて、該(A)成分以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
本発明に係る下地剤は、さらに、酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」ともいう。)を含有してもよい。(B)成分は、加熱や露光により酸を発生するものである。(B)成分は、そのもの自体が酸性を有している必要はなく、熱又は光などにより分解し、酸として機能するものであればよい。
このような酸発生剤成分としては、加熱により酸を発生する熱酸発生剤、露光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられる。例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
尚、「加熱により酸を発生する熱酸発生剤」とは、具体的には200℃以下の加熱により酸を発生する成分を意味する。加熱温度が200℃以下であれば、酸の発生の制御が容易となる。好ましくは50〜150℃の加熱により酸を発生する成分が用いられる。好ましい加熱温度が50℃以上であれば、下地剤中での安定性が良好となる。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることがより好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[式中、R47、R48は、それぞれ独立して、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
R56’におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)でそれぞれ表される脂肪族環式基等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R6’、R7’、R8’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R1”〜R3”のアルキル基は、その水素原子の一部または全部が、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’等により置換されていてもよい。アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6’、−O−C(=O)−R7’、−O−R8’としては、R1”〜R3”のアリール基の置換基と同様である。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。R5”〜R6”のアルケニル基としては、R1”〜R3”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
前記式(b−c2)で表される化合物におけるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基を含む基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を含むものが挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R34のアリール基を含む基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
下地剤が(B)成分を含有する場合、下地剤中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲内であれば、本発明の効果が充分に得られる。
本発明に係る下地剤は、(A)成分及び必要に応じて(B)成分等の各成分を、有機溶剤(以下「(S)成分」ともいう。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物;前記多価アルコール類もしくは前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などが挙げられる。
(S)成分は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、(S)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とされる。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGME及びシクロヘキサノンを配合する場合、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分としては、PGMEA、EL、又は前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンと、の混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には下地剤の固形分濃度が0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
本発明に係る下地剤は、これを用いて基板上に形成される下地剤層の表面における水の接触角が、好ましくは90°以上となるものである。この接触角の値が大きいほど、下地剤層表面は高疎水性であって撥水性が高くなり、下地剤層を介して基板とブロックコポリマーを含む層との密着性が強まる。これに伴い、下地剤層上に形成されるブロックコポリマーを含む層の相分離性能が高まる。
本発明に係る下地剤において、かかる水の接触角は、好ましくは90°以上であり、より好ましくは93°以上である。
手順(1):基板上に、(A)成分のPGMEA溶液を塗布して、膜厚10nm未満の下地剤層を形成する。
手順(2):下地剤層の表面に水2μLを滴下し、接触角計によって接触角(静的接触角)の測定を行う。
この接触角(静的接触角)とは、静止液体(水)の自由表面が固体壁(下地剤層)に接する場所で、その液面と固体面とのなす角(液の内部にある角をとる)を意味する。
かかる下地剤を、基板上に形成した複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる、基板の表面改質材料として用いた場合、下地剤層の表面を疎水性の高い状態に制御することが可能となる。これにより、該下地剤層を介して、基板と、該基板上に形成されるブロックコポリマーを含む層と、の密着性が高まる。これに伴って、ブロックコポリマーの相分離性能が高められる、と考えられる。
また、かかる下地剤は、下地剤層の表面状態が安定しているため、用いるブロックコポリマー種に応じて下地剤層表面の自由エネルギーが所望の値となる中性層材料を都度選択する必要がない。このように、かかる下地剤は、簡便に用いることができる。
本発明の第二の態様である、相分離構造を含む構造体の製造方法は、基板上に、上述した本発明の第一の態様の下地剤を塗布し、下地剤層を形成する工程(以下「工程(i)」という。)と、該下地剤層の上に、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程(以下「工程(ii)」という。)と、該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程(以下「工程(iii)」という。)と、を有する。
以下、かかる相分離構造を含む構造体の製造方法について、図1を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、基板1上に、上述の本発明に係る下地剤を塗布して、下地剤層2を形成する(図1(I);工程(i))。
次に、下地剤層2上に、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含有する組成物(以下「BCP組成物」ともいう。)を塗布して、該ブロックコポリマーを含む層3を形成する(図1(II);工程(ii))。
次に、加熱してアニール処理を行い、該ブロックコポリマーを含む層3を、相3aと相3bとに相分離させる(図1(III);工程(iii))。
上述した本実施形態の製造方法、すなわち、工程(i)〜(iii)を有する製造方法によれば、下地剤層2が形成された基板1上に、相分離構造を含む構造体3’が製造される。
工程(i)では、基板1上に、前記下地剤を塗布して、下地剤層2を形成する。
基板1上に下地剤層2を設けることによって、基板1の表面が疎水化される。これによって、下地剤層2上に形成されるブロックコポリマーを含む層3のうち、疎水化された基板1との親和性の高いブロックからなる相は、基板1との密着性が高まる。これに伴い、ブロックコポリマーを含む層3の相分離によって、基板1表面に対して垂直方向に配向されたシリンダー構造が形成しやすくなる。
基板1の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板1は、必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な形状の基板を適宜選択できる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの形状の基板が挙げられる。
無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
無機系の膜は、例えば、シリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を、基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、例えば、該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。この有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、感受性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、層3を加工して形成される、ブロックコポリマーからなるパターン、を用いて有機系の膜をエッチングすることにより、該パターンを有機系の膜へ転写し、有機系の膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機系の膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機系の膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、日産化学工業株式会社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業株式会社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
たとえば、下地剤を、スピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により基板1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、下地剤層2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる溶媒を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。この際、ベーク温度は、80〜300℃が好ましく、180〜270℃がより好ましく、220〜250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30〜500秒間が好ましく、60〜400秒間がより好ましい。
塗膜の乾燥後における下地剤層2の厚さは、10〜100nm程度が好ましく、40〜90nm程度がより好ましい。
洗浄処理方法としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。
尚、リンス液は、未架橋部分を溶解し得るものであればよく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)等の溶剤、又は市販のシンナー液等を用いることができる。
また、該洗浄後は、リンス液を揮発させるため、ポストベークを行ってもよい。このポストベークの温度条件は、80〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、120〜250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30〜500秒間が好ましく、60〜240秒間がより好ましい。かかるポストベーク後における下地剤層2の厚さは、1〜10nm程度が好ましく、2〜7nm程度がより好ましい。
工程(ii)では、下地剤層2の上に、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層3を形成する。
下地剤層2の上に層3を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により、下地剤層2上にBCP組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させる方法が挙げられる。かかるBCP組成物の詳細については後述する。
例えば、基板1がSi基板又はSiO2基板の場合、層3の厚さは、20〜100nmが好ましく、30〜80nmがより好ましい。
基板1がCu基板の場合、層3の厚さは、10〜100nmが好ましく、30〜80nmがより好ましい。
工程(iii)では、ブロックコポリマーを含む層3を相分離させる。
工程(ii)後の基板1を加熱してアニール処理を行うことにより、ブロックコポリマーの選択除去によって、基板1表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造が形成する。すなわち、基板1上に、相3aと相3bとに相分離した相分離構造を含む構造体3’が製造される。
アニール処理の温度条件は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満で行うことが好ましい。例えばブロックコポリマーがポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)ブロックコポリマー(質量平均分子量5000〜100000)の場合には、180〜270℃が好ましい。加熱時間は、30〜3600秒間が好ましい。
また、アニール処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法は、上述した実施形態に限定されず、工程(i)〜(iii)以外の工程(任意工程)を有してもよい。
かかる任意工程としては、ブロックコポリマーを含む層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程(以下「工程(iv)」という。)、ガイドパターン形成工程等が挙げられる。
工程(iv)では、下地剤層の上に形成された、ブロックコポリマーを含む層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する。これにより、微細なパターン(高分子ナノ構造体が形成される。
尚、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、選択的に除去されないブロックをPAブロック、選択的に除去されるブロックをPBブロックという。例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを含む層を相分離した後、該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、PS部分がPAブロックであり、PMMA部分がPBブロックである。
図2に示す実施形態においては、工程(iii)で基板1上に製造された構造体3’に、酸素プラズマ処理を行うことによって、相3aが選択的に除去され、離間した相3bからなるパターン(高分子ナノ構造体)が形成されている。この場合、相3bがPAブロックからなる相であり、相3aがPBブロックからなる相である。
加熱の温度条件は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満が好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法においては、工程(i)と工程(ii)との間に、下地剤層上にガイドパターンを設ける工程(ガイドパターン形成工程)を有してもよい。これにより、相分離構造の配列構造制御が可能となる。
例えば、ガイドパターンを設けない場合に、ランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、下地剤層表面にレジスト膜の溝構造を設けることにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理で、下地剤層2上にガイドパターンを設けてもよい。また、ガイドパターンの表面が、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有することにより、基板表面に対して垂直方向に配向されたシリンダー構造からなる相分離構造が形成しやすくなる。
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。該レジスト組成物としては、レジスト膜露光部が溶解除去されるポジ型パターンを形成するポジ型レジスト組成物、レジスト膜未露光部が溶解除去されるネガ型パターンを形成するネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。ネガ型レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤と、酸の作用により有機溶剤を含有する現像液への溶解性が酸の作用により減少する基材成分とを含有し、該基材成分が、酸の作用により分解して極性が増大する構成単位を有する樹脂成分、を含有するレジスト組成物が好ましい。
ガイドパターンが形成された下地剤層上にBCP組成物が流し込まれた後、相分離を起こすためにアニール処理が行われる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性と耐熱性とに優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
BCP組成物としては、ブロックコポリマーを有機溶剤に溶解してなるものが挙げられる。
ブロックコポリマーとは、同種の構成単位が繰り返し結合した部分構成成分(ブロック)の複数が結合した高分子化合物である。
ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
本発明において、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではない。
疎水性ポリマーブロック(b11)(以下単に「ブロック(b11)」ともいう。)とは、水との親和性が相対的に異なる複数のモノマーが用いられ、これら複数のモノマーのうち水との親和性が相対的に低い方のモノマーが重合したポリマー(疎水性ポリマー)からなるブロックをいう。親水性ポリマーブロック(b21)(以下単に「ブロック(b21)」ともいう。)とは、前記複数のモノマーのうち水との親和性が相対的に高い方のモノマーが重合したポリマー(親水性ポリマー)からなるブロックをいう。
また、ブロック(b11)とブロック(b21)とは、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも容易に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
尚、高分子化合物(BCP−1)は、ブロック(b11)及びブロック(b21)以外の部分構成成分(ブロック)が結合していてもよい。
スチレン又はスチレン誘導体として具体的には、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、4−ビニルベンジルクロリド等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルとして具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アントラセン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アントラセン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
シルセスキオキサン構造含有構成単位としては、かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位が好ましい。かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位を提供するモノマーとしては、かご型シルセスキオキサン構造と重合性基とを有する化合物が挙げられる。
具体的には、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルメタクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルメタクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメタクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルアクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリアクリル酸ブロックコポリマー等が挙げられる。これらの中でも、PS−PMMAブロックコポリマーが特に好ましい。
ブロックコポリマーの分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。尚、Mnは数平均分子量を示す。
ブロックコポリマーの周期(ブロックコポリマーの分子1つ分の長さ)は、5〜50nmが好ましく、10〜40nmがより好ましく、20〜30nmがさらに好ましい。
BCP組成物は、上記ブロックコポリマーを有機溶剤に溶解することにより調製できる。この有機溶剤としては、下地剤に用いることができる有機溶剤として上述した(S)成分と同様のものが挙げられる。
BCP組成物に含まれる有機溶剤は、特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定され、一般的にはブロックコポリマーの固形分濃度が0.2〜70質量%、好ましくは0.2〜50質量%の範囲内となるように用いられる。
≪高分子化合物3の合成≫
乾燥させた容量50mLのシュレンク管に塩化リチウム180mgを入れ、アルゴン雰囲気下、低酸素・低水分グレードのテトラヒドロフラン39gを入れ、−78℃まで冷却した。
前記の冷却の後、そこに、sec−ブチルリチウムの1Mシクロヘキサン溶液0.34gと、脱水・脱気処理を行ったスチレン0.83gと、をシリンジにて注入し、30分間反応させた。
続いて、高分子化合物の末端修飾剤として、脱気処理を行った1,2−ブチレンオキシド0.91gをシリンジにて注入し、15分間反応させて反応液を得た。
次いで、反応液を室温まで昇温した後、濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル26gで希釈した。続いて、1質量%塩酸水溶液17gで3回、超純水17gで4回、有機層を洗浄した。
洗浄後の有機層を濃縮乾固することで、目的物である高分子化合物(高分子化合物3)0.62gを収率75%で得た。
得られた高分子化合物3について、GPC分析の結果、Mnは1900、Mwは2000、Mw/Mnは1.15であった。13C−NMR分析の結果、OH基が結合した第4級炭素原子のピークが69〜70ppmに確認された。開始剤端(18〜20ppmのCH3)との積分値の比率から、主鎖末端部へのOH導入率は93.8%であった(0.061/0.065×100=93.8%)。
スチレン0.83gをtert−ブチルスチレン1.28gに変更した以外は、上述の≪高分子化合物3の合成≫と同様にして、目的物である高分子化合物(高分子化合物4)1.14gを収率89%で得た。
得られた高分子化合物4について、GPC分析の結果、Mnは2300、Mwは2400、Mw/Mnは1.04であった。13C−NMR分析の結果、OH基が結合した第4級炭素原子のピークが69〜70ppmに確認された。開始剤端(18〜20ppmのCH3)との積分値の比率から、主鎖末端部へのOH導入率は90.8%であった(0.059/0.065×100=90.8%)。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
上記のようにして高分子化合物3〜4を合成した。また、下記の高分子化合物1〜2を、それぞれ公知のラジカル重合によって合成した。
次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に高分子化合物1〜4をそれぞれ溶解して、各例の下地剤(固形分濃度1.20質量%)を調製した。
(A)−1:下記の高分子化合物1。13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))x/y=93/7、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)5000、分子量分散度(Mw/Mn)1.05。
(A)−2:下記の高分子化合物2。13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))x/y/z=80/14/6、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)5000、分子量分散度(Mw/Mn)1.05。
(A)−3:上記の高分子化合物3。13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))x=100、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)2000、分子量分散度(Mw/Mn)1.15。
(A)−4:上記の高分子化合物4。13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))x=100、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)2400、分子量分散度(Mw/Mn)1.04。
(S)−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
[工程(i)]
8インチのシリコン(Si)ウェーハ上に、表1に示す各例の下地剤を、スピンナーを用いて塗布し、表2に示すベーク温度、ベーク時間で焼成して乾燥させることにより、膜厚40nmの下地剤層を形成した。
この下地剤層を、OK73シンナー(商品名、東京応化工業株式会社製)でリンスして、未架橋部分等のランダムコポリマーを除去した。この後、250℃、60秒間でベークした。ベーク後、該Siウェーハ上に形成された下地剤層の膜厚は2nmであった。
該下地剤層の表面に水を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、接触角(静的接触角)の測定を行った(接触角の測定:水2μL)。この測定値を「接触角(°)」として表2に示す。
次いで、該Siウェーハ上に形成された下地剤層を被覆するように、PS−PMMAブロックコポリマー(PS/PMMA組成比(モル比)55/45、Mw42400、Mw/Mn1.07、周期26nm)のPGMEA溶液(ブロックコポリマー濃度2質量%)をスピンコート(回転数1500rpm、60秒間)した。
次いで、PS−PMMAブロックコポリマーのPGMEA溶液が塗布された基板を、90℃、60秒間でベークして乾燥させることにより、膜厚30nmのPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した。
次いで、窒素気流下、210℃で300秒間加熱してアニールすることにより、PS−PMMAブロックコポリマー層を、PSからなる相とPMMAからなる相とに相分離させて、相分離構造を形成した。
相分離構造が形成されたシリコン(Si)ウェーハに対し、TCA−3822(東京応化工業株式会社製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行い、PMMAからなる相を選択的に除去した。
この後、得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡SEM(SU8000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察した。
かかる観察の結果、垂直シリンダーパターンが観察されたものを◎、水平シリンダーパターンが観察されたものを×とし、その結果を「相分離性能」として表2に示した。
[工程(i)〜(iii)]
シリコン(Si)ウェーハを銅(Cu)基板に変更したこと、及び、PS−PMMAブロックコポリマー層の膜厚を70nmに変更したこと以外は、表1に示す実施例1〜3の下地剤を用い、上記の<相分離構造を含む構造体の製造(1)>と同様にして、工程(i)〜(iii)の操作を行った。
この結果、いずれの例においても、下地剤層上に、相分離構造を含む構造体が製造された。
実施例2の下地剤を用いた場合、垂直シリンダーパターンが形成された。
実施例1及び実施例3の下地剤を用いた場合、垂直シリンダー形状と水平シリンダー形状とが混在したパターンが形成された。
相分離構造が形成されたCu基板に対し、TCA−3822(東京応化工業株式会社製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行い、PMMAからなる相を選択的に除去した。
この後、得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡SEM(SU8000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察した。
かかる観察の結果、垂直シリンダーパターンが観察されたものを◎、垂直シリンダー形状と水平シリンダー形状とが混在したパターンが形成されたものを○とし、その結果を「相分離性能」として表2に示した。
[工程(i)〜(iii)]
シリコン(Si)ウェーハを二酸化ケイ素(SiO2)基板に変更し、及び、PS−PMMAブロックコポリマー層の膜厚を30nmとして、表1に示す実施例1〜3の下地剤を用い、上記の<相分離構造を含む構造体の製造(1)>と同様にして、工程(i)〜(iii)の操作を行った。
この結果、いずれの例においても、下地剤層上に、相分離構造を含む構造体が製造された。実施例1〜3の下地剤を用いた場合、いずれも垂直シリンダーパターンが形成された。
相分離構造が形成されたSiO2基板に対し、TCA−3822(東京応化工業株式会社製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行い、PMMAからなる相を選択的に除去した。
この後、得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡SEM(SU8000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察した。
かかる観察の結果、垂直シリンダーパターンが観察されたものを◎とし、その結果を「相分離性能」として表2に示した。
加えて、実施例1〜3の下地剤は、相分離構造を含む構造体の製造において、簡便に用いることができ、ブロックコポリマーの相分離を利用して、基板表面に、位置及び配向性がより自在にデザインされたナノ構造体を備える基板を製造し得ること、が確認された。
Claims (4)
- 前記一般式(u1−1)中のR1が、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である、請求項1に記載の下地剤。
- 前記樹脂成分は、前記構成単位(u1)を有し、かつ、主鎖のいずれか一つの末端部のみにヒドロキシ基を有する高分子化合物を含有する、請求項1又は2に記載の下地剤。
- 基板上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の下地剤を塗布し、下地剤層を形成する工程と、
該下地剤層の上に、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、
該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、
を有することを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法。
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