JP6263378B2 - 下地剤及びパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下地剤及びパターン形成方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する試みが始まっている。
ブロックコポリマーの相分離を利用するためには、ミクロ相分離により形成された自己組織化ナノ構造を特定の領域のみに形成し、かつ所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等の方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
ブロックコポリマーを良好に相分離させ、微細なパターンを形成するための方法の一つとして、基板の上に2つのブロック鎖の表面自由エネルギーの中間の値の表面自由エネルギーとされた中性層を形成することで、基板の上のブロック共重合体が接触する面が、2つのブロック鎖の表面自由エネルギーの中間の値の表面自由エネルギーとされている状態とする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−36491号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、用いるブロックコポリマー種に応じて表面自由エネルギーが所望の値となる中性層材料を都度選択し、中性層の表面自由エネルギーを制御する必要がある。そのため、ブロックコポリマーの相分離により良好なパターンが得られる下地剤であって、より簡便に用いることができる下地剤が求められていた。
また、従来の下地剤は、下地剤の表面状態の制御が不十分であり、温度マージンの広い下地剤とすることが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ブロックコポリマーの相分離を利用して、基板表面に、位置及び配向性がより自在にデザインされたナノ構造体を備える基板を製造し得る下地剤であって、温度マージンの広い下地剤、及び該下地剤を用いたブロックコポリマーを含む層のパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、基板上に形成した複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる下地剤であって、樹脂成分を含有し、該樹脂成分が、芳香族基を有する構成単位と、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位と、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位と、を含むことを特徴とする下地剤である。本発明の第一の態様において、樹脂成分全体の構成単位のうち、10%以下がヒドロキシアルキル基を有する構成単位であることが好ましい。
本発明の第二の態様は、基板上に、本発明の第一の態様の下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する工程と、前記下地剤からなる層の上に、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、当該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、を有することを特徴とするパターン形成方法である。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、ブロックコポリマーの相分離を利用して、基板表面に、位置及び配向性がより自在にデザインされたナノ構造体を備える基板を製造し得る下地剤であって、温度マージンの広い下地剤、及び該下地剤を用いたブロックコポリマーを含む層のパターン形成方法を提供することができる。
本発明の第二の態様の実施形態例を説明する概略工程図である。
≪下地剤≫
本発明の下地剤は、基板上に形成した複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる下地剤であって、樹脂成分を含有し、該樹脂成分が、芳香族基を有する構成単位と、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位と、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位と、を含むことを特徴とする。
本発明の下地剤は、基板上に形成した複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる。本発明の下地剤は、具体的には、該下地剤を基板上に塗布して下地剤からなる層(中性化膜ともいう)を設けた後、その上に複数種のブロックコポリマーを含む層を形成することにより、該下地剤からなる層が表面に形成された基板表面を、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性が高いものとすることができる。
なお、本発明の下地剤を用いることができる、ブロックコポリマーを含む層の相分離や、ブロックコポリマーを含む層のパターン形成方法については、本発明の第二の態様において説明する。
<樹脂成分(A)>
本発明の下地剤は、樹脂成分(以下、「樹脂成分(A)」ということがある。)を含有し、該樹脂成分(A)が、芳香族基を有する構成単位と、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位と、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位と、を含む。
本明細書および本特許請求の範囲において「樹脂成分」とは、分子量が1000以上の重合体を意味する。重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
[芳香族基を有する構成単位]
本発明において、樹脂成分(A)は芳香族基を有する構成単位(以下、「構成単位(a1)」ということがある。)を含む。
[構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、芳香環を有する構成単位である。(A)成分が、構成単位(a1)として芳香環を有する構成単位を含有することにより、各種の特性を有するブロックを有するブロックコポリマーを用いた場合にも、該ブロックコポリマーに対して適度な親和性を有するものとすることができる。
芳香環としては炭素数6〜18が好ましく、具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、芳香環を有するものであればそれ以外の構造は特に限定されるものではない。構成単位(a1)として例えば、
・ビニル基を有する芳香族化合物(芳香環を含有する化合物);
・(メタ)アクリロイル基を有する芳香族化合物;
・ノボラック樹脂の構成成分となるフェノール類化合物、等が挙げられる。
なかでも、置換基を有していてもよい芳香環の、環を形成する炭素原子に結合した水素原子の1つがビニル基で置換された化合物から誘導される構成単位;又は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステルから誘導される構成単位であって、芳香環を有する構成単位が好ましいものとして挙げられる。ここでビニル基は、その炭素原子のうち、芳香環に結合した炭素原子が置換基で置換されたものであってもよい。
構成単位(a1)としては、特に、スチレン若しくはその誘導体、ビニルナフタレン若しくはその誘導体、又はビニルアントラセン若しくはその誘導体から誘導される構成単位が好ましい。
「スチレン若しくはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいスチレン(以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたスチレンを「α置換スチレン」といい、該位置が置換されていないスチレンと、α置換スチレンとを総称して「(α置換)スチレン」ということがある。他の類似化合物についても同様にいう。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレン(以下「(α置換)ヒドロキシスチレン」ということがある。)、(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基で置換されていてもよいビニル安息香酸(以下、(α置換)ビニル安息香酸ということがある。)、(α置換)ビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換された化合物等が挙げられる。
α置換スチレン、α置換ヒドロキシスチレン、α置換ビニル安息香酸において、α位の炭素原子に結合する置換基としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
ヒドロキシスチレンは、ベンゼン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ベンゼン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ベンゼン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。水酸基の数が1つである場合は、ビニル基の結合位置のパラ4位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニル安息香酸は、安息香酸のベンゼン環に1つのビニル基が結合した化合物である。ベンゼン環におけるビニル基の結合位置は特に限定されない。
スチレンまたはその誘導体のベンゼン環に結合してもよい、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基としては、特に限定されず、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
「ビニルナフタレン若しくはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニルナフタレン(以下「(α置換)ビニルナフタレン」ということがある。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニル(ヒドロキシナフタレン)(以下「(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)」ということがある。)、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。α置換ビニルナフタレン、α置換ビニル(ヒドロキシナフタレン)において、α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、上記α置換スチレン等の置換基と同様である。
ビニル(ヒドロキシナフタレン)は、ナフタレン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ビニル基は、ナフタレン環の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよい。ナフタレン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ナフタレン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位または2位にビニル基が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、水酸基の数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5または6位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニルナフタレンまたはその誘導体のナフタレン環に結合してもよい置換基としては、前記(α置換)スチレンのベンゼン環に結合してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニルアントラセンまたはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アントラセン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていてもよいビニルアントラセンが挙げられる。置換基としては、上記α置換スチレン等の置換基と同様である。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸(以下「(α置換)アクリル酸」ということがある。)またはそのエステルのα位の炭素原子に結合する置換基としては、α置換ビニルナフタレン、α置換ビニル(ヒドロキシナフタレン)において、上記α置換スチレン等の置換基と同様である。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基としては、特に限定されない。
構成単位(a1)としては、下記式(a1−1)〜(a1−4)のいずれかで表される構成単位が特に好ましい。
Figure 0006263378
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。X、Xはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基または有機基である。RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン原子、−COOX(Xは水素原子または有機基である。)、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。pxは0〜3の整数であり、qxは0〜5の整数であり、px+qxは1〜5である。qxが2以上の整数である場合、複数のRはそれぞれ同じであっても異なってもよい。xは0〜3の整数であり、yは0〜3の整数であり、y’は0〜2の整数であり、zは0〜4の整数であり、式(a1−2)におけるx+y+zは1〜7であり、式(a1−3)におけるx+y+y’+zは1〜7である。y+z又はy+y’+zが2以上の整数である場合、複数のRはそれぞれ同じであっても異なってもよい。XArは芳香環を有する1価の有機基である。]
式中、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記α置換スチレン等についての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
式中、X、Xの有機基は、炭素原子を含む基であれば特に限定されるものではなく、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、ケイ素原子等)を有していてもよい。
、Xの有機基としては、置換基を有していてもよい炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基がより好ましい。
置換基を有していてもよいアルキル基としては、たとえば、無置換のアルキル基、該無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された置換アルキル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換アルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
また、無置換又は置換アルキル基を構成する炭素原子の一部ヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−Si−が好ましい。
式中、R、Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
、Rの−COOXにおいて、Xは水素原子または有機基であり、有機基としては前記X、Xの有機基と同様である。
、Rの炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様である。
Arは芳香環を有する1価の有機基であって、上述した芳香環から水素原子を1つ以上除いた基が挙げられ、置換基を有していてもよいベンゼン、ナフタレン、又はアントラセンから水素原子を1つ除いた基が好ましい。
(A)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、10〜95モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、30〜90モル%がさらに好ましく、50〜85モル%が最も好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、上層となるブロックコポリマーを含む層を良好に相分離させることができる。また、上限値以下とすることにより、構成単位(a2)とのバランスをとりやすくなる。
[ヒドロキシアルキル基を有する構成単位]
本発明において、樹脂成分(A)は、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位(以下、「構成単位(a15)」ということがある。)を含む。本発明において、構成単位(a15)としては、ヒドロキシアルキル基を有していれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有アルキル基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、「構成単位(a150)」と記載することがある。)が好ましく用いられる。ただし、構成単位(a15)に該当する構成単位のうち、芳香族基を有する構成単位に該当するものは、構成単位(a1)に該当し、構成単位(a15)に該当しないものとする。構成単位(a150)としては、下記一般式(a150−1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0006263378
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Yは炭素数1〜5のアルキル基である。]
式(a150−1)中、Rは前記同様である。Yは炭素数1〜5のアルキル基であり、無置換のアルキル基であることが好ましい。無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基が挙げられ、メチレン基又はエチレン基であることが好ましい。
(A)成分が含有する構成単位(a15)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(a15)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、15モル%以下であることが好ましく、8モル%以下がより好ましく、6モル%以下がさらに好ましく、5モル%が最も好ましい。
構成単位(a15)の割合を上限値以下とすることにより、構成単位(a1)及び後述の構成単位(a2)とのバランスをとりやすくなると考えられる。また、構成単位(a15)の含有量を上記の範囲とすることにより、下地剤の表面状態がより安定すると推察される。
[芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位]
本発明において、(A)成分は、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位(以下、「構成単位(a2)」ということがある。)を含む。
[構成単位(a2)]
構成単位(a2)は、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位である。(A)成分は、構成単位(a1)、構成単位(a15)及び構成単位(a2)とを共に含有していることにより、ブロックコポリマーの各種構成単位に対して親和性を有するものとすることができる。
構成単位(a2)としては、構成単位(a1)及び構成単位(a15)において説明した芳香族基及びヒドロキシアルキル基をその構造中に有しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、
・α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステルから誘導される構成単位であって、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しないもの;
・α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体から誘導される構成単位であって、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しないもの;
・シクロオレフィンまたはその誘導体から誘導される構成単位であって、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しないもの;
・ビニルスルホン酸エステルから誘導される構成単位であって、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しないもの;等が挙げられる。
これらの中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸またはそのエステルから誘導される構成単位、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミドまたはその誘導体から誘導される構成単位が好ましい。
「アクリルアミドまたはその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリルアミド(以下、(α置換)アクリルアミドということがある。)、(α置換)アクリルアミドのアミノ基(末端の水素原子の一方または両方が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。
アクリルアミドまたはその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換スチレンのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方を置換する置換基としては、有機基が好ましい。該有機基としては、特に限定されないが、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方または両方が置換基で置換された化合物としては、たとえば前記(α置換)アクリル酸エステル中のα位の炭素原子に結合した−C(=O)−O−を、−C(=O)−N(R)−[式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]で置換した化合物が挙げられる。
式中、Rにおけるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
構成単位(a2)としては、下記式(a2−1)又は(a2−2)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 0006263378
[式中、Rは前記同様であり、X、Xはそれぞれ独立に水素原子または芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない有機基である。Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
式中、X、Xはそれぞれ独立に水素原子または有機基である。有機基としては、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有さず、炭素原子を含む基であれば特に限定されるものではなく、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、ケイ素原子等)を有していてもよい。Xa、Xbの有機基として具体的には、X、Xの有機基として説明し基のうち、芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有さない基が挙げられる。
式中、Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、前記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様である。
(A)成分が含有する構成単位(a2)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、5〜90モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、10〜70モル%がさらに好ましく、14〜50モル%が最も好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることによって、上層となるブロックコポリマーを含む層を良好に相分離させることができる。また、上限値以下とすることにより、構成単位(a1)及び構成単位(a15)とのバランスをとりやすくなる。
(A)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜200000が好ましく、1500〜200000がより好ましく、2000〜150000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、後述するような有機溶剤に十分に溶解するため、基板への塗布性に優れ、この範囲の下限値以上であると、ポリマーの製造安定性に優れ、かつ基板への塗布性に優れた組成物となる。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
本発明の下地剤において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分を2種以上を併用する場合には、(A)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、60〜95モル%であることが好ましく、70〜92モル%であることがより好ましい。
(A)成分を2種以上を併用する場合には、(A)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、30モル%以下であることが好ましく、25モル%であることがより好ましい。
(A)成分を2種以上を併用する場合には、(A)成分中の構成単位(a15)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、9モル%であることがより好ましい。
本発明の下地剤中、(A)成分の含有量は、下地剤からなる層の所望の膜厚等に応じて適宜調整すればよい。
本発明の下地剤は、上記の構成単位(a1)、構成単位(a15)及び構成単位(a2)とを含有していることにより、基板上に形成した複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる下地剤として用いた場合に、下地剤の表面状態をより安定に制御することが可能となり、温度マージンの広い下地剤とすることができると考えられる。
<任意成分>
[酸発生剤成分;(B)成分]
本発明の下地剤は、さらに、酸発生剤成分(B)(以下、「(B)成分」ということがある。)を含有していてもよい。(B)成分は、加熱や露光を行うことにより酸を発生するものである。(B)成分は、そのもの自体が酸性を有している必要はなく、熱又は光などにより分解し、酸として機能するものであればよい。
(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、加熱により酸を発生する熱酸発生剤、露光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられ、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
これらの酸発生剤成分は、一般的に光酸発生剤(PAG)として知られているが、熱酸発生剤(TAG)としても機能する。したがって、本発明において使用可能な酸発生剤成分としては、従来、化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として公知のものの中から任意のものを利用することができる。
なお、「加熱により酸を発生する熱酸発生剤」とは、具体的には200℃以下、より好ましくは50〜150℃の加熱により酸を発生する成分を意味する。200℃以下とすることで、酸の発生の制御が容易となる。より好ましくは50℃以上とすることで、下地剤中での安定性が良好となる。
(B)成分のオニウム塩系酸発生剤としてはアニオン部に、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、フッ素化アンチモン酸イオンからなる群より選択される少なくとも一種のアニオン基を有するものが好ましい。
また、カチオン部には、下記一般式(b−c1)又は一般式(b−c2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006263378
[式中、R”〜R”,R”〜R”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−c1)におけるR”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。]
式(b−c1)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。R”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
”〜R”のアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’等で置換された置換アリール基等が挙げられる。R’、R’、R’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
”〜R”において、無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
”〜R”の置換アリール基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56におけるR56を、R56’で置き換えた基も挙げられる。R56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
56’におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0006263378
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’におけるR’、R’、R’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
’、R’、R’における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、低級アルキル基等が挙げられる。
また、R’、R’、R’は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
’、R’、R’における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
’、R’、R’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
’、R’においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、たとえば、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。なかでも、解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
”〜R”のアルキル基は、その水素原子の一部または全部が、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’等により置換されていてもよい。アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’としては、R”〜R”のアリール基の置換基と同様である。
”〜R”のアルケニル基としては、たとえば、炭素数2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
前記式(b−c1)で表される化合物におけるカチオン部のなかで好適なものとして、具体的には以下に示すものが挙げられる。
Figure 0006263378
Figure 0006263378
Figure 0006263378
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 0006263378
式(ca−1−47)中、Rdは置換基である。該置換基としては、上記置換アリール基についての説明のなかで例示した置換基(アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、−C(=O)−O−R”、−O−C(=O)−R”、−O−R”)が挙げられる。
前記式(b−c2)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルケニル基としては、R”〜R”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
前記式(b−c2)で表される化合物におけるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、通常、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているもののなかから任意に選択して用いることができる。
Figure 0006263378
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006263378
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基を含む基である。R34のアルキル基又はハロゲン化アルキル基と、R35とが結合して環を形成していていもよい。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0006263378
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基を含む基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を含むものが挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基を含む基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0006263378
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
下地剤が(B)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が熱酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。(B)成分が光酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。上記範囲とすることで本願発明の効果を十分に得ることができ、(B)成分の含有量が下限値以上であると、下地剤中の(A)成分の含有量が低下することがないため好ましい。
本発明の下地剤には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えば下地剤からなる層の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物、イミダゾール等の含窒素塩基性化合物等を適宜、添加含有させることができる。
[有機溶剤;(S)成分]
本発明の下地剤は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ともいう)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には下地剤の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
≪パターン形成方法≫
本発明の第二の態様は、基板上に、本発明の第一の態様の下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する工程と、前記下地剤からなる層の上に、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、当該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、を有することを特徴とするパターン形成方法である。以下、本発明のパターン形成方法について、図1を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
[基板上に、前記下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する工程]
本発明のパターン形成方法においては、まず、基板上に、前記下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する。
<基板>
基板1は、その表面上にブロックコポリマーを含む溶液を塗布し得るものであれば、または本発明に係る下地剤を塗布しうるものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板、SiON等の窒化酸化膜を有する基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機化合物からなる基板などが挙げられる。
また、本発明において用いられる基板1の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板1は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものまで多様に用いることができる。
また、基板1の表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。このとき用いられる有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、該感受性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、ブロックコポリマーからなるパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、該パターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、ブリューワサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
基板に本発明の第一の態様の下地剤からなる層2を形成する前に、基板1の表面は、予め洗浄されていてもよい。基板表面を洗浄することにより、下地剤の塗布が良好に行える場合がある。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。
第一の態様の下地剤を、基板1上に塗布して下地剤からなる層2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、下地剤をスピンコート、スピンナーを用いる等の従来公知の方法により基板1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、下地剤からなる層2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる有機溶剤を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。
ベーク温度は、80〜300℃が好ましく、100〜270℃がより好ましく、120〜250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30〜500秒間が好ましく、60〜240秒間がより好ましい。
本発明においては、下地剤を塗布して塗膜を形成した後、溶剤等のリンス液を用いてリンスすることにより、前記塗膜中の未架橋部分等を洗浄する工程を含んでいてもよい。当該洗浄工程により、下地剤からなる層2を形成することで、未架橋部分等を除去できるため、ブロックコポリマーを構成する少なくとも1つのポリマー(ブロック)との親和性が向上し、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造やシリンダー構造からなる相分離構造を形成しやすくなる。なお、リンス液は未架橋部分を溶解するものであればよく、PGMEA、PGME、EL等の溶剤や市販のシンナー液等を用いることができる。また、洗浄工程後は、リンス液を揮発させるために80〜150度程度のポストベーク等の乾燥工程を行ってもよい。
下地剤からなる層2を基板1表面に設けることによって基板1の表面が中性化され、その上層に設けるブロックコポリマーからなる層3のうち、特定のブロックからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。その結果、ブロックコポリマーを含む層3の相分離によって、基板表面に対して自在に配向されたシリンダー構造、ラメラ構造、ドット構造、ジャイロイド構造、球分散構造等を形成することが可能となる。
[下地剤からなる層の上に、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程]
複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層3を、前記下地剤からなる層2の上に形成する方法としては特に限定されるものではなく、例えば、ブロックコポリマーを含有する組成物を、下地剤からなる層2の上に塗布して形成することができる。塗布の方法としては、下地剤と同様のものが挙げられる。
本発明においては、ブロックコポリマーを含む層3の厚さは、相分離が起こるために十分な厚みであればよく、当該厚さの下限値としては、特に限定されないが、形成される相分離構造の構造周期サイズ、ナノ構造体の均一性等を考慮すると、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
(ブロックコポリマーを含有する組成物)
・ブロックコポリマー
本発明においてブロックコポリマーとは、同種の構成単位のみが結合した部分構成成分(ブロック)が、複数結合した高分子である。ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。本発明においては、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
ブロックコポリマーとしては、例えば、
・スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;
・スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;
・アルキレンオキシドから誘導される構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。
スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位としては、前記同様である。
シロキサンの誘導体としては、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
なかでもブロックコポリマーとしては、スチレン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマーを用いることが好ましい。
具体的には、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルメタクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルメタクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメタクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルアクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリアクリル酸ブロックコポリマー等が挙げられ、特に、PS−PMMAブロックコポリマーを用いることが好ましい。
ブロックコポリマーを構成する各ポリマーの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、5000〜500000が好ましく、5000〜400000がより好ましく、5000〜300000がさらに好ましい。
またブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
ブロックコポリマーを含有する組成物には、上記ブロックコポリマー以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えば下地剤からなる層の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物等を適宜、添加含有させることができる。
・有機溶剤
ブロックコポリマーを含有する組成物は、上記ブロックコポリマーを有機溶剤に溶解して作製することができる。有機溶剤としては、下地剤に用いることができる有機溶剤として上述した(S)成分と同様のものを用いることができる。
ブロックコポリマーを含有する組成物中の有機溶剤の使用量は特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはブロックコポリマーの固形分濃度が0.2〜70質量%、好ましくは0.2〜50質量%の範囲内となる様に用いられる。
[ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程]
ブロックコポリマーを含む層3の相分離は、ブロックコポリマーを含む層3が形成された、下地剤からなる層2を備えた基板1を熱処理し、後工程におけるブロックコポリマーの選択除去によって基板表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造を形成させる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。例えば、ブロックコポリマーが、PS−PMMA(Mw:40k−20k)の場合には、180〜270℃で30〜3600秒間熱処理を行うことが好ましい。
また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
<任意工程>
[ブロックコポリマーを含む層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程]
前記ブロックコポリマーを含む層3のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相3aを選択的に除去することにより、パターンを形成してもよい。
なお、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、後の工程で選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるブロックをPブロックという。例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを含む層を相分離した後、当該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、PSがPブロックであり、PMMAがPブロックである。
次いで、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層のうち、Pブロックからなる相中のブロックの少なくとも一部を選択的に除去(低分子量化)する。予めPブロックの一部を選択的に除去することにより、現像液に対する溶解性を高められる結果、Pブロックからなる相がPブロックからなる相よりも選択的に除去しやすくなる。
このような選択的除去処理は、Pブロックに対しては影響せず、Pブロックを分解除去し得る処理であれば、特に限定されるものではなく、樹脂膜の除去に用いられる手法の中から、PブロックとPブロックの種類に応じて、適宜選択して行うことができる。また、基板表面に予め中性化膜が形成されている場合には、当該中性化膜もPブロックからなる相と同様に除去される。このような除去処理としては、例えば、酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、熱分解処理、及び化学分解処理等が挙げられる。
上記の様にしてブロックコポリマーからなる層3の相分離によりパターン3bを形成させた基板は、そのまま使用することもできるが、さらに熱処理を行うことにより、基板上の高分子ナノ構造体の形状を変更することもできる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
[ガイドパターン形成工程]
本発明のパターン形成方法においては、[基板上に、前記下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する工程]の後、[下地剤からなる層の上に、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程]の前に、下地剤からなる層2上にパターンが形成されたガイドパターンを予め設けてもよい。これにより、ガイドパターンの形状・表面特性に応じた相分離構造の配列構造制御が可能となる。例えば、ガイドパターンがない場合にはランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、基板表面にレジスト膜の溝構造を導入することにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理でガイドパターンを導入してもよい。またガイドパターンの表面が、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を備えることにより、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造やシリンダー構造からなる相分離構造を形成しやすくすることもできる。
具体的には、例えば、基板表面上に、レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なガイドパターンを形成することができる。
ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、基板表面に形成されるブロックコポリマーを含む層の厚み以上であることが好ましい。ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、例えば、ガイドパターンを形成するレジスト組成物を塗布して形成されるレジスト膜の膜厚によって適宜調整することができる。
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。当該レジスト組成物としては、露光部が溶解除去されるポジ型パターンを形成するポジ型レジスト組成物、未露光部が溶解除去されるネガ型パターンを形成するネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。ネガ型レジスト組成物としては例えば、酸発生剤と、酸の作用により有機溶剤を含有する現像液への溶解性が減少する基材成分とを含有し、該基材成分が、酸の作用により分解して極性が増大する構成単位を有する樹脂成分を含有するレジスト組成物が好ましい。
また、ガイドパターンが形成された基板表面上にブロックコポリマーの溶液が流し込まれた後、相分離を起こすために、熱処理がなされる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性と耐熱性に優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。但し、実施例1〜8、実施例11、実施例12、実施例15〜24は参考例である。
[下地剤の調製−1]
下記モノマー(1)〜(3)を表1に示すモル比で合成して樹脂1〜5を調製し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に樹脂1〜5をそれぞれ溶解させ、固形分濃度0.4質量%の下地剤1〜5を調製した。
Figure 0006263378
Figure 0006263378
実施例1〜8、比較例1〜12
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
次に、当該有機反射防止膜上に、表2に示す各下地剤を、スピンナーを用いて塗布し、表2に示す各温度で、1分間焼成して乾燥させ、PGMEAで処理・乾燥することにより、膜厚10nmの下地剤からなる層を基板上に形成した。
該下地剤の表面に水を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、接触角(静的接触角)の測定を行った(接触角の測定:水2μL)。この測定値を「接触角(°)」として、結果を表2〜3に示す。
次いで、前記下地剤部分を被覆するようにPS−PMMAのブロックコポリマー1(Mw42,400、PS/PMMA組成比(モル比)55/45、分散度1.07、周期26nm)またはブロックコポリマー2(Mw42,400、PS/PMMA組成比(モル比)75/25、分散度1.07、周期26nm)のPGMEA溶液(2質量%)をスピンコート(回転数1500rpm、60秒)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、240℃で60秒間加熱させてアニールすることにより、相分離構造を形成させた。
その結果、実施例1〜8、比較例1〜12では、下地剤上に相分離構造を含む構造体を製造することができた。
いずれの例においてもブロックコポリマー1を用いた場合はラメラパターンが、ブロックコポリマー2を用いた場合はシリンダーパターンが形成された。
相分離が形成された基板を、TCA−3822(東京応化工業製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行ってPMMAからなる相を選択的に除去し、得られた基板の表面を走査型電子顕微鏡SEMSU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。均一なパターン(垂直ラメラパターン又はシリンダーパターン)が観察されたものを◎、均一なパターン(垂直ラメラパターン又はシリンダーパターン)が形成されていない部分が観察された下地剤を○、均一なパターン(垂直ラメラパターン又はシリンダーパターン)が観察されなかった下地剤を△として評価した。結果を表2〜3に示す。
Figure 0006263378
Figure 0006263378
上記結果に示すように、本発明の下地剤は温度マージンが180℃〜250℃と広く、本発明の下地剤を用いることにより、ラメラパターン及び/又はシリンダーパターンを形成することができた。
[下地剤の調製−2]
上記モノマー(1)〜(3)を表4に示すモル比で合成して樹脂6〜9を得た。得られた樹脂6〜9について、表5に記載の配分でPGMEAに溶解させ、固形分濃度0.4質量%の下地剤6〜17を得た。下地剤における(樹脂配合後の)モノマー(1)〜(3)のモル比についても表5に併記する。
Figure 0006263378
Figure 0006263378
実施例9〜32
8インチのシリコンウェーハ上に、表6に示す各下地剤を、スピンナーを用いて塗布し、表6に示す各温度で、1分間焼成して乾燥させ、PGMEAで処理・乾燥することにより、膜厚約7nmの下地剤からなる層を基板上に形成した。
該下地剤の表面に水を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、接触角(静的接触角)の測定を行った(接触角の測定:水2μL)。この測定値を「接触角(°)」として、結果を表6に示す。
次いで、前記下地剤部分を被覆するようにPS−PMMAのブロックコポリマー1(Mw149000、PS/PMMA組成比(モル比)72/28、分散度1.08、周期52nm)のPGMEA溶液(2質量%)をスピンコート(回転数1500rpm、60秒)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、240℃で60秒間加熱させてアニールすることにより、相分離構造を形成させた。
相分離が形成された基板を、TCA−3822(東京応化工業製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行ってPMMAからなる相を選択的に除去し、得られた基板の表面を走査型電子顕微鏡SU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
均一なパターン(垂直シリンダーパターン)が形成されたものを◎、垂直シリンダーパターンが形成されているが、一部でホール(2〜3コ分)が連通していたものを〇、垂直シリンダーパターンが形成されているが、一部でホール(5〜10コ分)が連通していたものを△、として評価した。結果を表6に示す。
また、上記パターン形成工程において、シリコンウェーハのかわりにSiON基板を用いた他は同様にして形成した垂直シリンダーパターンについても、同様に形状の評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 0006263378
表6の結果から、本発明に係る下地剤は、基板依存性もなく温度マージンの広い下地剤であることが確認できた。芳香族基を有する構成単位と、ヒドロキシアルキル基を有する構成単位と芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位から構成される3元系の樹脂において、芳香族基を有する構成単位が78モル%以上90モル%以下であり、かつヒドロキシアルキル基を有する構成単位6モル%以下となる場合に、良好なシリンダーパターンが得られていることが確認できた。
1…基板、2…下地剤からなる層、3…ブロックコポリマーを含む層、3a…Pブロックからなる相、3b…Pブロックからなる相

Claims (2)

  1. 基板上に形成した複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を相分離させるために用いられる下地剤であって、
    樹脂成分を含有し、該樹脂成分が、
    芳香族基を有する構成単位と、
    ヒドロキシアルキル基を有する構成単位と、
    芳香族基及びヒドロキシアルキル基を有しない構成単位と、
    を含み、
    前記樹脂成分を構成する全構成単位に対し、前記の芳香族基を有する構成単位の割合が78モル%以上90モル%以下であり、かつ、前記のヒドロキシアルキル基を有する構成単位の割合が6モル%以下であることを特徴とする下地剤(但し、酸分解可能基を含む樹脂成分を含有するものを除く)
  2. 基板上に、請求項1に記載の下地剤を塗布し、該下地剤からなる層を形成する工程と、
    前記下地剤からなる層の上に、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、
    当該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる工程と、
    を有することを特徴とするパターン形成方法。
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