以下、添付図面を参照して本実施形態のパターン形成方法の実施形態について説明する。先ず、本実施形態のパターン形成方法の各工程で使用できる材料に関して、簡単に説明する。
(被処理体)
本実施形態のパターン形成方法を実施できる被処理体としては、特に制限されず、例えば、電子部品用の基板や、該基板に所定の配線パターンが形成されたもの、等を使用することができる。より具体的には、前記基板として、シリコンウェーハ基板、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板、ガラス基板、等を使用することができる。また、配線パターンの材料の具体例としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。
また、被処理体は、上述した基板上に、無機系の膜(無機膜)及び/又は有機系の膜(有機膜)が設けられたものであっても良い。
無機膜としては、例えば、無機反射防止膜(無機ARC)が挙げられる。有機膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)、多層レジスト法における下層膜、等が挙げられる。無機膜は、例えば、シリコン系材料など(SOG膜材料、SiON膜材料、等)の無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機膜は、例えば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。なお、使用される有機膜形成用材料は、光や電子線に対する感受性を有するものであっても良いが、有さないものであっても良い。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、被処理体は、上述した基板上に、中性膜が設けられたものであっても良い。中性膜としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。中性膜の製造例としては、ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)とのランダム共重合体を、所定の溶媒に溶解したものを被処理体上に塗布し、数分乃至数時間熱処理することなどが挙げられる。
溶媒としては、通常、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、アセトン、OK73(商品名、東京応化工業株式会社製)などを使用することができる。溶媒とランダム共重合体との比率は、通常、約1〜20%溶媒、80〜99%ランダム共重合体、である。
(自己組織化ブロック・コポリマー(BCP))
指向性自己組織化技術(DSA:directed self−assembled)とは、被処理体上にブロック・コポリマーの第1のポリマー及び第2のポリマーを自己組織化して、自己組織化周期パターンを形成する技術のことである。本手法では、現行のフォトリソグラフィー法よりも微細なパターンを形成することができ、これをエッチングパターンとして使うことによって微細加工が可能になる。
ブロック・コポリマーの自己組織化について、簡単に説明する。
互いに混和しない第1のポリマー(例えばPS)及び第2のポリマー(例えばPMMA)を含有したブロック・コポリマー層を被処理体に塗布する。この状態で、常温(25℃)から300℃以下の温度で熱処理(アニール)する。通常、200℃〜250℃で熱処理するとブロック・コポリマー層は相分離する。しかし、300℃より高温で熱処理すると、相分離せずにPS及びPMMAがランダムに配置される。また、相分離後に温度を常温に戻してもブロック・コポリマー層は相分離状態を保つ。
各ポリマーのポリマー長が短いと相互作用(斥力)は弱くなり、かつ親水性が強くなる。ポリマー長が長いと相互作用(斥力)は強くなり、かつ疎水性が強くなる。このようなポリマーの性質を利用して、PS及びPMMAの相分離構造を半導体パターンへ応用することができる。
前述のように、各ポリマーのポリマー長を制御することにより、ポリマーの親水性及び疎水性を制御することができる。さらに、塗布されたポリマーと隣接する層の親水性及び/又は疎水性を制御することにより、当業者は所望のパターンを形成することができる。
図1に、自己組織化ブロック・コポリマーの半導体パターンへの応用を説明するための概略図を示す。図1(a)は、第1のポリマーAと第2のポリマーBがほぼ同じポリマー長のとき(A=B)の相分離構造を示す。これによれば、各ポリマーの相互作用は同じであるから、ブロック・コポリマー層を250℃程度で熱処理すると、ポリマーAとポリマーBは自己組織化してライン状に相分離する。この相分離構造は、ラインアンドスペース(L/S)の周期パターンとして半導体製造パターンに応用することができる。
また、図1(b)は、ポリマーAとポリマーBのポリマー長が大きく異なるとき(A>B)の相分離構造を示す。これによれば、ポリマーAの相互作用(斥力)が強く、ポリマーBの相互作用(斥力)が弱い。このようなポリマー間の相互作用の強弱から、ブロック・コポリマー層を250℃程度で熱処理すると、ポリマーAが外側、ポリマーBが内側に自己組織化して円筒状に相分離する。この相分離構造は、ホールの周期パターンとして半導体製造パターンに応用することができる。
以上のように、ブロック・コポリマーの自己組織化周期パターンを所定方向にライン上に整列させた場合には、ラインアンドスペースパターンが形成され、一方のポリマー成分が他方のポリマー成分を取り囲むように整列した場合には、ホールパターンが形成される。ブロック・コポリマーの相分離構造には、ライン状やホール状以外にも多くの構造があるが、半導体パターンとして用いるためには、以上の2つの形状が好ましい。
第1のポリマーA及び第2のポリマーBの取り得る材料について説明する。自己組織化可能なブロック・コポリマーの第1のポリマーA及び第2のポリマーBは、2種類の有機ポリマーである。
ブロック・コポリマーの第1のポリマーA及び第2のポリマーBでは、いずれか一方のポリマーをエッチングにより除去することによって他方のポリマーによるパターンを形成することができる。本実施形態のように第1のポリマー及び第2のポリマーは、ポリスチレンPS及びポリメチルメタクリレートPMMAのジブロック・コポリマーに限定されず、その他鎖状ブロック・コポリマーや、他の構造を有するブロック・コポリマー、例えば、星型コポリマ、分岐コポリマ、超分岐コポリマ、及びグラフト・コポリマを用いることもできる。
ブロックは種々異なる重合可能なモノマーから誘導することができ、ここでブロックは、それらに限定されないが、ポリジエンを含むポリオレフィン、ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、又は、これらのランダム又はブロック・コポリマーなど)を含むポリエーテル、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマンなどを含むことができる。
ブロック・コポリマーのブロックはモノマーとしては、具体的には、C2−30オレフィンモノマー、C1−30アルコール由来の(メタ)アクリレートモノマー、Fe、Si、Ge、Sn、Al、Tiをベースとするものを含む無機含有モノマー、又は前述のモノマーの少なくとも1つを含む組合せを含み得る。ブロック内に用いるモノマーは、C2−30オレフィンモノマーとして、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1、3−ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、又はα−メチルスチレンを含み得る。モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含み得る。これらのモノマーの2つ又はそれ以上の組合せを用いることができる。ホモポリマであるブロックは、スチレン(例えば、ポリスチレンブロック)、又はポリ(メチルメタクリレート)のような(メタ)アクリレート・ホモポリマ・ブロックを用いて調製されるブロックを含むことができる。ランダム・ブロックは、例えば、ランダムに共重合されたスチレン及びメチルメタクリレート(例えば、ポリ(スチレン−co−メチルメタクリレート))のブロックを含むことができる。代替のコポリマ・ブロックはスチレン及びマレイン酸無水物のブロックを含むことができ、これはほとんどの条件下でマレイン酸無水物がホモポリマ化できないためにスチレン−マレイン酸無水物2分子繰返し構造を形成する(例えば、ポリ(スチレン−alt−マレイン酸無水物))ことが知られている。このようなブロックは例示的なものであって、これらのブロックに限定する趣旨ではない。
さらに、本実施形態で使用できるブロック・コポリマーは、例えば、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)、又は前述のブロック・コポリマーの少なくとも1つを含む組合せなどのジブロック又はトリブロック・コポリマーを含む。
本実施形態のブロック・コポリマーは、更なる処理を行うことができる全体的な分子量及び多分散性を有することが好ましい。例えば、ブロック・コポリマーは3,000乃至400,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。同様に、ブロック・コポリマーは、1,000乃至200,000の数平均分子量(Mn)を有することができる。ブロック・コポリマーはまた、1.01乃至6の多分散性(Mw/Mn)を有することができる。しかしながら、本実施形態のブロック・コポリマーは、上述の分子量及び多分散性に限定されない。なお、Mw及びMnは、例えば、ゲル浸透クロマトグラフにより、ポリスチレン標準に対して較正されるユニバーサル較正法を用いて決定することができる。
(レジスト組成物)
本実施形態のパターン形成方法では、レジスト組成物として、後述するレジスト組成物を使用することにより、優れた均一性を有する良好な微細パターンを形成することができる。
レジスト組成物として、後述するレジスト組成物を使用することにより、優れた均一性を有する良好な微細パターンを形成することができる理由は明らかではないが、以下のような理由が考えられる。本実施形態のパターン形成方法で用いるレジスト組成物は、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を含有する。即ち、本実施形態で用いる構成単位(a1')は、鎖状又は単環状の酸分解性基を有するものであるため、酸分解性基や酸解離性基の体積が比較的小さいものとなる。そして、露光部において基材成分から解離した酸解離性基の体積が小さいことにより、露光部のレジスト膜中において、酸解離性基の脱離による空隙が小さいものとなり、酸解離(露光)前後でのレジスト膜の体積変化が生じ難く、形成されるパターンのラフネスが低減される。なお、本実施形態で用いる構成単位(a1')の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
また、脱離する酸解離性基の体積が小さいことにより、該酸解離性基が露光後ベーク(PEB)中に揮発しやすいものとなる。そのため、レジスト膜の露光部における、解離後の酸解離性基の残留が少なく、現像後の膜がより緻密なものとなり、さらにパターンのラフネスが低減されると考えられる。
本実施形態のレジストパターン形成方法においては、少なくとも、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」ともいう。)と、を含有するレジスト組成物が用いられる。
かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、(B)成分から酸が発生し、該酸が(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させる。その結果、当該レジスト膜の露光部の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部は現像液に対する溶解性が変化しないため、現像することにより、ポジ型パターンの場合は露光部が、ネガ型パターンの場合は未露光部がそれぞれ溶解除去されてレジストパターンが形成される。
本実施形態のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であっても良く、ポジ型レジスト組成物であっても良い。
また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であっても良く、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であっても良い。
[(A)成分]
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分であって、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有する。また、本実施形態で用いる構成単位(a1')の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。なお、基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体であっても、重合体であっても良い。
非重合体の「分子量が500以上の有機化合物」としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体の「分子量が500以上の有機化合物」としては、好ましくは、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、分子量が1000以上の重合体を高分子化合物又は樹脂という。なお、高分子化合物の「分子量」は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
[(A1)成分]
(A1)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであっても良く、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであっても良い。
本実施形態で用いるレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する(又は溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物である場合、(A1)成分としては、好ましくは、アルカリ現像液に可溶性を示す高分子化合物(以下、この高分子化合物を「(A1−2)成分」ともいう。)が用いられ、さらに、架橋剤成分が配合される。
(A1−2)成分は、通常、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等のアルカリ可溶性基を有しており、架橋剤成分としては、メチロール基、アルコキシメチル基等の、酸の作用により該アルカリ可溶性基と反応し得る反応性基を有するものが用いられる。そのため、かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部にて(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A1−2)成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、(A1−2)成分のアルカリ可溶性基の減少及びそれに伴う極性の低下、分子量の増大等が生じる。その結果、アルカリ現像液に対する溶解性が減少(有機系現像液に対する溶解性が増大)する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を被処理体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性(有機系現像液に対して可溶性)へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性(有機系現像液に対して難溶性)のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成できる。また、このとき現像液として有機系現像液を用いると、ポジ型のレジストパターンが形成できる。
架橋剤成分としては、例えば、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤、メラミン系架橋剤などを用いることが好ましい。これらの架橋剤成分を使用することで、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成できるため、好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
なお、(A1−2)成分が自己架橋性を有する場合(例えば(A1−2)成分が、酸の作用によりアルカリ可溶性基と反応し得る基を有する場合)は、必ずしも架橋剤成分は配合しなくてもよい。
本実施形態で用いるレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する(又は溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する)レジスト組成物である場合、(A1)成分としては、好ましくは、酸の作用により極性が増大する高分子化合物(以下この高分子化合物を「(A1−1)成分」ともいう。)が用いられる。(A1−1)成分は露光前後で極性が変化するため、(A1−1)成分を用いることにより、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても良好な現像コントラストを得ることができる。
つまり、アルカリ現像プロセスを適用する場合、(A1−1)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を被処理体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ポジ型レジストパターンが形成できる。一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、(A1−1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなって有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を被処理体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しない。そのため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成できる。
(A1)成分は、(A1−1)成分であることが好ましい。即ち、本実施形態で用いるレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型となり、溶剤現像プロセスにおいてネガ型となる化学増幅型レジスト組成物であることが好ましい。
(A1)成分は、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')に加えて、さらに、−SO2−含有環式基又はラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)を有することが好ましい。
[構成単位(a1')]
構成単位(a1')は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位であって、該酸分解性基は単環または鎖状の炭化水素基を有する。なお、「酸分解性基」とは、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。また、本実施形態で用いる構成単位(a1')の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生じる基等が挙げられる。
極性基としては、例えば、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。これらの中でも、構造中に−OH基を含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)を使用することが好ましく、カルボキシ基又は水酸基がより好ましく、カルボキシ基が更に好ましい。
酸分解性基として、より具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(例えばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)などが挙げられる。
「酸解離性基」は、酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性が低い基であり、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性が大きい極性基が生じる。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化する。具体的には、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては単環または鎖状の炭化水素基を有するものであれば特に限定されず、従来の化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られており、これらを使用しても良い。また、本実施形態で用いる構成単位(a1')の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基により置換されていても良い。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族単環式基を含有する酸解離性基等が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素及び水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれであっても良いが、飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、例えば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的には、tert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基であることが好ましい。
「脂肪族単環式基」は、芳香族性を有さない単環式基であることを示す。「脂肪族単環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族単環式基は、置換基により置換されていても良い。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族単環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素及び水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和又は不飽和のいずれであっても良いが、飽和であることが好ましい。
脂肪族単環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていても良いし、されていなくても良いモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、これらの脂環式単炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであっても良い。
脂肪族単環式基を含有する酸解離性基としては、例えば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(例えばC(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子又は基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族単環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基;
などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族単環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、例えばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、例えば後述する式(1−1)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、例えば下記一般式(1−1)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、例えば下記一般式(2−1)で表される基等が挙げられる。
[式中、R14はアルキル基であり、R15及びR16は、それぞれ独立してアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
式(1−1)中、R14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状(ただし、単環状)のいずれであっても良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
式(1−1)〜(2−1)中のgは0〜4の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
式(2−1)中、R15〜R16のアルキル基としては、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)、(2−1)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていても良い。
また、式(1−1)、(2−1)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良い。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基末端の水素原子と置換して酸素原子が結合している。そして、酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基が形成される。
アセタール型酸解離性基としては、例えば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
[一般式(p1)中、R1',R2'は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基又は環状のアルキル基を表す。又は、R1'及びYがアルキル基であって、R1'の末端とYの末端とが結合して環を形成していても良い。]
一般式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、0が最も好ましい。
R1',R2'における炭素数1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Yにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、上記R1',R2'における炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yにおける環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていても良いし、されていなくても良いモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
また、R1'及びYが、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であって、R1'の末端とYの末端とが結合して環を形成していても良い。
この場合、結合により形成された環式基は、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1')としては、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含むものであれば特に限定されないが、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であって、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位であることが好ましい。なお、本実施形態で用いる構成単位(a1')の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
ここで、「エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位」とは、エチレン性二重結合を有する化合物におけるエチレン性二重結合が開裂して単結合となった構造の構成単位を意味する。
エチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基により置換されていても良いアクリル酸又はそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基により置換されていても良いアクリルアミド又はその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基により置換されていても良いビニル芳香族化合物、シクロオレフィン又はその誘導体、ビニルスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸又はそのエステル、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリルアミド又はその誘導体、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いビニル芳香族化合物が好ましい。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
本明細書において、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸、アクリル酸エステルを、各々、α置換アクリル酸、α置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸とα置換アクリル酸とを包括して「(α置換)アクリル酸」、α置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸又はそのエステルのα位の炭素原子に結合する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
前記α位の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記α位の置換基としての炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
前記α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基が好ましく、具体的には、上記の炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基で置換された基が挙げられる。
本実施形態において、(α置換)アクリル酸又はそのエステルのα位の炭素原子に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
「有機基」は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(例えば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していても良い。
(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基としては、特に限定されないが、例えば前述した芳香族基、極性変換基、後述する酸分解性基等の特性基、これらの特性基を構造中に含む特性基含有基等が挙げられる。該特性基含有基としては、例えば、前記特性基に2価の連結基が結合した基等が挙げられる。2価の連結基としては、例えば後述する一般式(a1−3)中のY2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
「アクリルアミド又はその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリルアミド(以下、(α置換)アクリルアミドということがある。)、(α置換)アクリルアミドのアミノ基(末端の水素原子の一方又は両方が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。
アクリルアミド又はその誘導体のα位の炭素原子に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方又は両方を置換する置換基としては、有機基が好ましい。該有機基としては、特に限定されないが、例えば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
(α置換)アクリルアミドのアミノ基末端の水素原子の一方又は両方が置換基で置換された化合物としては、例えば前記(α置換)アクリル酸エステル中のα位の炭素原子に結合した−C(=O)−O−を、−C(=O)−N(Rb)−[式中、Rbは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。]で置換した化合物が挙げられる。
式中、Rbにおけるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
「ビニル芳香族化合物」は、芳香環及び該芳香環に結合した1つのビニル基を有する化合物であり、スチレン又はその誘導体、ビニルナフタレン又はその誘導体等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物のα位の炭素原子(ビニル基の炭素原子のうち、芳香環に結合した炭素原子)に結合してもよい置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されビニル芳香族化合物を(α置換)ビニル芳香族化合物ということがある。
「スチレン又はその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いスチレン(以下、(α置換)スチレンということがある。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いヒドロキシスチレン(以下、(α置換)ヒドロキシスチレンということがある。)、(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基及びカルボキシ基以外の置換基で置換されていても良いビニル安息香酸(以下、(α置換)ビニル安息香酸ということがある。)、(α置換)ビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換された化合物、等が挙げられる。
ヒドロキシスチレンは、ベンゼン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ベンゼン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ベンゼン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。水酸基の数が1つである場合は、ビニル基の結合位置のパラ4位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニル安息香酸は、安息香酸のベンゼン環に1つのビニル基が結合した化合物である。ベンゼン環におけるビニル基の結合位置は特に限定されない。
スチレン又はその誘導体のベンゼン環に結合してもよい、水酸基及びカルボキシ基以外の置換基としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
(α置換)ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、例えば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基として挙げた有機基が挙げられる。
(α置換)ビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、例えば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基として挙げた有機基が挙げられる。
「ビニルナフタレン又はその誘導体」としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いビニルナフタレン(以下、(α置換)ビニルナフタレンということがある。)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いビニル(ヒドロキシナフタレン)(以下、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)ということがある。)、(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が置換基で置換された化合物、等が挙げられる。
ビニル(ヒドロキシナフタレン)は、ナフタレン環に、1つのビニル基と、少なくとも1つの水酸基とが結合した化合物である。ビニル基は、ナフタレン環の1位に結合していても良く、2位に結合していても良い。ナフタレン環に結合する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が特に好ましい。ナフタレン環における水酸基の結合位置は特に限定されない。ナフタレン環の1位又は2位にビニル基が結合している場合、ナフタレン環の5〜8位のいずれかが好ましい。特に、水酸基の数が1つである場合は、ナフタレン環の5〜7位のいずれかが好ましく、5又は6位が好ましい。水酸基の数が2以上の整数である場合は、任意の結合位置を組み合わせることができる。
ビニルナフタレン又はその誘導体のナフタレン環に結合してもよい置換基としては、前記(α置換)スチレンのベンゼン環に結合してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
(α置換)ビニル(ヒドロキシナフタレン)の水酸基の水素原子が有機基で置換された化合物における有機基としては、特に限定されないが、例えば前記(α置換)アクリル酸エステルが有する有機基と同様のものが挙げられる。
構成単位(a1')としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位;α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ベンゼン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基の水素原子が、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸解離性基又は単環または鎖状の炭化水素基を有する酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位;α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良く、ナフタレン環に結合した水素原子が、水酸基以外の置換基で置換されていても良いビニル(ヒドロキシナフタレン)から誘導される構成単位の水酸基の水素原子が、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸解離性基又は単環または鎖状の炭化水素基を有する酸解離性基を含む置換基で置換されてなる構成単位、等が挙げられる。なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a11)が好ましい。なお、本実施形態で用いる構成単位の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
[構成単位(a11)]
構成単位(a11)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位である。また、本実施形態で用いる構成単位(a11)の酸分解性基は、多環式基を有しないことがより好ましい。
構成単位(a11)としては、例えば、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
[一般式(a1−0−1)又は一般式(a1−0−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;X1は酸解離性基であり;Y2は2価の連結基であり;X2は酸解離性基である。]
一般式(a1−0−1)において、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記α置換アクリル酸又はそのエステルのα位の炭素原子に結合する置換基として挙げた炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
X1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは式(a1−0−1)中のRと同様である。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していても良い2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
[置換基を有していても良い2価の炭化水素基]
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても良く、芳香族炭化水素基であっても良い。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であっても良く、不飽和であっても良く、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基又は原子)を有していても良く、有していなくても良い。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基により置換されていても良い環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であっても良く、単環式であっても良い。単環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子を置換する置換基(水素原子以外の基又は原子)を有していても良いし、有していなくても良い。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていても良い。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する2価の炭化水素基であり、置換基により置換されていても良い。芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でも良い。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていても良い。例えば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていても良い。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
[ヘテロ原子を含む2価の連結基]
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子及び水素原子以外の原子であり、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=NH)−、=N−等の非炭化水素系連結基、これらの非炭化水素系連結基の少なくとも1種と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記のうち、−C(=O)−NH−中の−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−中のHは、各々、アルキル基、アシル基等の置換基で置換されていても良い。該置換基の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
Y2としては、特に、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、環状の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
Y2が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記2価の連結基としての「置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基」の説明中、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
Y2が環状の脂肪族炭化水素基である場合、該環状の脂肪族炭化水素基としては、前記2価の連結基としての「置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基」の説明中、「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」として挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン又はテトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基が特に好ましい。
Y2がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていても良い。)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−又はY21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21及びY22はそれぞれ独立して置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m'は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
Y2が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていても良い。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−又はY21−O−C(=O)−Y22−中、Y21及びY22は、それぞれ独立して、置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基により置換されていても良い2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−で表される基において、m'は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a'−C(=O)−O−(CH2)b'−で表される基が好ましい。該式中、a'は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b'は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Y2におけるヘテロ原子を含む2価の連結基としては、少なくとも1種と非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせからなる有機基が好ましい。なかでも、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合又はエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−又はY21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましく、前記式−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−又はY21−O−C(=O)−Y22−で表される基が好ましい。
Y2としては、上記のなかでも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、前記式−Y21−O−Y22−で表される基、前記式−[Y21−C(=O)−O]m'−Y22−で表される基、又は前記式−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がさらに好ましい。
構成単位(a11)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位等が挙げられる。
[一般式(a1−1)〜(a1−4)中、R、R1'、R2'、n、Y及びY2はそれぞれ前記と同じであり、X'は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]
一般式(a1−1)〜(a1−4)中、Rは式(a1−0−1)中のRと同様である。
X'は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R1'、R2'、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR1'、R2'、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
(A1)成分が含有する構成単位(a1')は1種類であっても良く2種類以上であっても良い。
構成単位(a1')としては、構成単位(a11)が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1')の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、30〜70モル%が好ましく、30〜65モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、パターン形状等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。(A1)成分における、酸分解性基を含む構成単位のうち、構成単位(a1')の占める割合は、本発明の効果を向上させる点において、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
[構成単位(a2)]
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、−SO2−含有環式基又はラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)をさらに有することが好ましい。
構成単位(a2)の−SO2−含有環式基又はラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めうえで有効なものである。また、アルカリ現像液等の水を含有する現像液との親和性が向上する点で、アルカリ現像プロセスにおいて有効である。
[−SO2−含有環式基]
ここで、「−SO2−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO2−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO2−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO2−を含む環を1つ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO2−含有環式基は、単環式であっても良く、多環式であっても良い。
−SO2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO2−を含む環式基、即ちO−SO2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するサルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO2−含有環式基は、−SO2−含有脂肪族環式基であっても良く、−SO2−含有芳香族環式基であっても良い。好ましくは−SO2−含有脂肪族環式基である。
−SO2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO2−又はO−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH2−が−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH2−CH2−が−O−SO2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素環は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素環は、多環式であっても良く、単環式であっても良い。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素環としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
−SO2−含有環式基は、置換基により置換されていても良い。該置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR"、−OC(=O)R"におけるR"は、いずれも、水素原子又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
R"が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
R"が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていても良いし、されていなくても良いモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO2−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
[一般式(3−1)〜(3−4)中、A'は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、zは0〜2の整数であり、R27はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R"は水素原子又はアルキル基である。]
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A'は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいても良い炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
A'における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子又は硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端又は炭素原子間に−O−又はS−が介在する基が挙げられ、例えばO−CH2−、−CH2−O−CH2−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−等が挙げられる。
A'としては、炭素数1〜5のアルキレン基又はO−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであっても良く、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR27はそれぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。
R27におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO2−含有環式基が有していても良い置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、一般式(3−1)〜(3−4)中の「Ac」はアセチル基を示す。
−SO2−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(3−1)で表される基が好ましく、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)及び(3−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される基が最も好ましい。
[ラクトン含有環式基]
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であっても良く、多環式基であっても良い。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、例えばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
ラクトン含有環式基として、より具体的には、下記一般式(4−1)〜(4−7)で表される基が挙げられる。
[一般式(4−1)〜(4−7)中、R'はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R"は水素原子又はアルキル基であり;s"は0又は1〜2の整数であり;A"は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;mは0又は1の整数である。]
R'のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、−SO2−含有環式基が有していても良い置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR"、−OC(=O)R"、ヒドロキシアルキル基、−COOR"、−OC(=O)R"(R"は前記同様)と同様のものが挙げられる。
A"としては、炭素数1〜5のアルキレン基又はO−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
s"は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(4−1)〜(4−7)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の波線は結合手を示す。
構成単位(a2)としては、−SO2−含有環式基又はラクトン含有環式基を有するものであれば他の部分の構造は特に限定されないが、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって−SO2−含有環式基を含む構成単位、及びα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていても良いアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位が好ましい。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−0)で表される構成単位が挙げられる。
[一般式(a2−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R28は−SO2−含有環式基又はラクトン含有環式基であり、Y4は単結合又は2価の連結基である。]
一般式(a2−0)中、Rは前記と同様である。
R28は、前記で挙げた−SO2−含有環式基又はラクトン含有環式基と同様である。
Y4は、単結合、2価の連結基のいずれであっても良いが、2価の連結基であることが好ましい。
Y4における2価の連結基としては、特に限定されず、例えば、前記(a1−0−2)におけるY2における2価の連結基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、又はエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R30−C(=O)−O−[式中、R30は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。即ち、構成単位(a2)は、下記一般式(a2−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
[一般式(a2−0−1)中、R及びR28はそれぞれ前記と同様であり、c〜eはそれぞれ独立に1〜3の整数である。]
構成単位(a2)としては、特に、下記一般式(a2−1−11)、(a2−1−12)、(a2−2−11)、(a2−1−12)で表される構成単位が好ましく、下記一般式(a2−1−12)又は(a2−2−11)で表される構成単位がより好ましい。
[一般式(a2−1−11)、(a2−1−12)、(a2−2−11)又は(a2−1−12)中、R、A'、R27、z、R'、s"はそれぞれ前記と同じである。]
(A1)成分において、構成単位(a2)は1種類でも2種類以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を含有する場合、(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、30〜70モル%が好ましく、30〜65モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
[その他の構成単位]
(A1)成分は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1')、(a2)以外の他の構成単位(a4)を含んでいても良い。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1')、(a2)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、又はシアノ基を置換基として有していても良い。
また、構成単位(a4)としては、酸非解離性の芳香族基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位、スチレンから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位等も好ましい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−6)の構造のもの、ビニル(ヒドロキシ)ナフタレン、(ヒドロキシ)ナフチル(メタ)アクリレート(ヒドロキシ)ベンジル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
[一般式(a4−1)〜(a4−6)中、Rは前記と同じである。]
また、構成単位(a4)としては構成単位(a1')に該当しない酸分解性基を有する構成単位を含有していても良い。
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1')を有する樹脂成分であることが好ましい。
(A1)成分として具体的には、構成単位(a1')及び(a2)からなる共重合体;構成単位(a1')、(a2)及び(a4)からなる共重合体等が例示できる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、例えばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いても良く、公知の方法を利用して合成してもよい。
(A1)成分は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であっても良い。該割合が25質量%以上であると、MEF、真円性(Circularity)、ラフネス低減等のリソグラフィー特性がより向上する。
(A)成分は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、(A1)成分以外の、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物などが挙げられる。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部又は全部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
該低分子化合物としては、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール又はキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。該酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
本実施形態で用いるレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
[酸発生剤成分;(B)成分]
(B)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分である。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(b−1)又は(b−2)で表される化合物を用いることができる。
[一般式(b−1)又は(b−2)中、R1"〜R3",R5"〜R6"は、それぞれ独立に、置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−1)におけるR1"〜R3"のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。Z−は対アニオンを表す。]
・カチオン部
前記一般式(b−1)中、R1"〜R3"における置換基により置換されていても良いアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換された置換アリール基等が挙げられる。
無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
置換アリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、−O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R31")]x等が挙げられる。R6'、R7'、R8'は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。R9'は含窒素炭化水素基を表す。R11"は置換基により置換されていても良いアリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。R21"、R31"はそれぞれ独立に置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表し、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。xは1又は2であり、W1は(x+1)価の連結基を表す。
前記アリール基の置換基としての、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、前記式(a1−0−2)中のY2における2価の連結基の説明中で芳香族炭化水素基の置換基としてあげたものと同様である。
前記アリール基の置換基としてのアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
前記アリール基の置換基としてのアルコキシアルキルオキシ基としては、例えば、
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[一般式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
R47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていても良いし、されていなくても良いモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
前記アリール基の置換基としてのアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、例えば、
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[一般式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
R50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56におけるR56を、R56'で置き換えた基も挙げられる。R56'は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいても良い脂肪族環式基である。
R56'におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R56'におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R56'における、ヘテロ原子を含んでいても良い脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
R56'について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R56'について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、後述する式(L1)〜(L7)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
R56'について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'におけるR6'、R7'、R8'は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基により置換されていても良い。該置換基としては、例えばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
R6'、R7'、R8'における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基により置換されていても良い。例えば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていても良く、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていても良い。
前者の例としては、前記モノシクロアルカン又はポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していても良い。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
また、R6'、R7'、R8'は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであっても良い。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
R6'、R7'、R8'における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
R6'、R7'、R8'における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基により置換されていても良い。該置換基としては、前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R7'、R8'においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
−O−R9'中のR9'における含窒素炭化水素基としては、前記芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基における炭素原子の一部を窒素原子で置換したものが挙げられる。好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基における窒素原子に結合した水素原子の1つ又は2つが炭素数1〜10のアルキル基で置換された(モノ又はジ)アルキルアミノアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基におけるハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられ、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R31")]xにおいて、R11"における置換基により置換されていても良いアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基としてはそれぞれ、R1"における置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基、アルケニル基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
R21"、R31"としてはそれぞれ式(b−1)中のR2"、R3"と同様のものが挙げられる。
xは1又は2である。
W1は、(x+1)価、即ち2価又は3価の連結基である。
W1における2価の連結基としては、上記Y2の2価の連結基と同様のものが挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良く、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
W1における3価の連結基としては、2価の連結基から水素原子を1個除いた基、2価の連結基にさらに2価の連結基が結合した基、等が挙げられる。2価の連結基としては上記Y2の2価の連結基と同様のものが挙げられる。W1における3価の連結基としては、アリーレン基に3個のカルボニル基が組み合わさった基が好ましい。
置換基として−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]xを有する場合、R1"〜R3"のうち、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]xを有するのは1つであることが好ましい。
置換基として−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]xを有するカチオンの好ましい具体例として、下記の一般式(ca−0)で表されるものが挙げられる。
[一般式(ca−0)中、R11"は置換基により置換されていても良いアリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。R21"、R31"はそれぞれ独立に置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表し、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。xは1又は2であり、W1は(x+1)価の連結基を表す。]
R1"〜R3"における置換基により置換されていても良いアルキル基としては、例えば、無置換のアルキル基、該無置換のアルキル基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換された置換アルキル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。解像性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換アルキル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、 −O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]x等が挙げられる。
これらはそれぞれ、R1"〜R3"における置換アリール基が有していても良い置換基として挙げたアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、 −O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]xと同様のものが挙げられる。
R1"〜R3" における置換基により置換されていても良いアルケニル基としては、例えば、無置換のアルケニル基、該無置換のアルケニル基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換された置換アルケニル基等が挙げられる。
無置換のアルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状が好ましく、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
置換アルケニル基における置換基としては、R1"〜R3"における置換アルキル基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
一般式(b−1)中のカチオン(S+(R1")(R2")(R3"))のなかで、R1"〜R3"がそれぞれ独立に置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基である場合の好適なものとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−46)で表されるカチオンが挙げられる。
[式(ca−1−1)〜(ca−1−46)中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
式(b−1)におけるR1"〜R3"のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。この場合、該環は、飽和であっても良く、不飽和であっても良い。また、該環は、単環式であっても良く、多環式であっても良い。例えばR1"〜R3"のうち、環を形成する2つのいずれか一方又は両方が環式基(環状のアルキル基又はアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環は、環骨格を構成する原子として、R1"〜R3"が結合した硫黄原子以外の他のヘテロ原子を有していても良い。該ヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。
形成される環の具体例としては、例えばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
式(b−1)中のカチオン(S+(R1")(R2")(R3"))のなかで、R1"〜R3" のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例として、例えば、下記式(ca−12)〜(ca−15)で表されるカチオン部が挙げられる。
[式(ca−12)〜(ca−13)中、Q2は単結合、メチレン基、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、カルボニル基、−SO−、−SO2−、−SO3−、−COO−、−CONH−又はN(RN)−(該RNは炭素数1〜5のアルキル基である。)であり;R81〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基又はヒドロキシアルキル基であり;n1〜n5はそれぞれ独立して0〜3の整数であり、n6は0〜2の整数である。]
[式(ca−14)〜(ca−15)中、uは1〜3の整数であり、R9は、置換基により置換されていても良いフェニル基、ナフチル基又はアルキル基であり、R10は、置換基により置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基又は水酸基であり、R4'は置換基により置換されていても良いアルキレン基である。]
式(ca−12)〜(ca−13)中、R81〜R86におけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R81〜R86に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR81〜R86はそれぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2及びn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
前記式(ca−12)又は(ca−13)で表されるカチオンの好適なものとしては、例えば以下に示すもの等が挙げられる。
式(ca−14)〜(ca−15)中、uは1〜3の整数であり、1又は2が最も好ましい。
R9は、置換基により置換されていても良いフェニル基、ナフチル基又はアルキル基である。
R9におけるフェニル基又はナフチル基が有していても良い置換基としては、R1"〜R3"における置換アリール基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、 −O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]x等が挙げられる。
R9における置換基により置換されていても良いアルキル基としては、前記R1"〜R3"における置換基により置換されていても良いアルキル基と同様のものが挙げられる。
R10は、置換基により置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アルキル基、アルコキシ基又は水酸基である。
R10におけるフェニル基又はナフチル基が有していても良い置換基としては、R9におけるフェニル基又はナフチル基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R10における置換基により置換されていても良いアルキル基、アルコキシ基におけるアルキル基としてはそれぞれ、前記R1"〜R3"におけるにおけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
R4'におけるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
R4'におけるアルキレン基が有していても良い置換基としては、R1"〜R3"における置換アルキル基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、 −O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]x等が挙げられる。
前記式(ca−14)又は(ca−15)で表されるカチオンの好適なものとしては、例えば以下に示すもの等が挙げられる。
式(ca−14−1)中、Rdは置換基である。該置換基としては、上記R9のフェニル基又はナフチル基が有していても良い置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。具体的には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、オキソ基(=O)、シアノ基、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R6'、−O−C(=O)−R7'、−O−R8'、 −O−R9'、ハロゲン化アルキルスルホニルオキシ基、−O−W1−[O−R11"−S+(R21")(R3")]x等が挙げられる。
式(b−2)中のR5"〜R6"における置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基としては、R1"〜R3"における置換基により置換されていても良いアリール基、アルキル基又はアルケニル基と同様のものが挙げられる。
R5"〜R6"のうち、少なくとも1つは置換基により置換されていても良いアリール基であることが好ましく、両方が置換基により置換されていても良いアリール基であることがより好ましい。
式(b−2)中のカチオン(I+(R5")(R6"))の好ましい具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、等が挙げられる。
・アニオン部
式(b−1)〜(b−2)中のZ−は対アニオンであって、「R4"SO3 −」が好ましい。
R4"は、置換基により置換されていても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。
R4"としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
R4"としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R4"としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R4"がアルキル基の場合の「R4"SO3 −」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
前記R4"としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
前記R4"としてのアリール基は、R1"〜R3"、R5"〜R6"におけるアリール基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
前記R4"としてのアルケニル基は、R1"〜R3"、R5"〜R6"におけるアルケニル基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましい。
前記R4"におけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はアルケニル基はそれぞれ、置換基により置換されていても良い。
「置換基により置換されていても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていても良いことを意味する。
R4"における置換基の数は1つであっても良く、2つ以上であっても良い。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X3−Q'−[式中、Q'は酸素原子を含む2価の連結基であり、X3は置換基により置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4"において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
X3−Q'−で表される基において、Q'は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q'は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO2−)が連結されていても良い。
該組み合わせとしては、例えば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−SO2−O−R94−O−C(=O)−、−R95−SO2−O−R94−O−C(=O)−(式中、R91〜R95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R95におけるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、例えばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Q'としては、エステル結合又はエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−又はC(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
X3−Q'−で表される基において、X3は置換基により置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基である。
X3の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても良く、脂肪族炭化水素基であっても良い。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基により置換されていても良い。例えば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていても良く、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていても良い。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
X3における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であっても良く、不飽和脂肪族炭化水素基であっても良い。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
X3において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていても良く、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部又は全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていても良い。
X3における「ヘテロ原子」としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であれば特に限定されず、例えばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであっても良く、前記ヘテロ原子以外の基又は原子を含む基であっても良い。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、例えばO−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていても良い)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいても良い。
水素原子の一部又は全部を置換する置換基として、具体的には、例えばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、又は環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であっても良く、多環式基であっても良い。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、例えば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、例えば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
[式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)中、Q"は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−又はS−R95−であり、R94及びR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0又は1の整数である。]
式中、Q"、R94及びR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていても良い。該置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部又は全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
X3としては、特に、置換基により置換されていても良い環式基が好ましい。該環式基は、置換基により置換されていても良い芳香族炭化水素基であっても良く、置換基により置換されていても良い環状のアルキル基であっても良く、置換基により置換されていても良い脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基が置換していても良いフェニル基、又は置換基が置換していても良いナフチル基が好ましい。該置換基としては、フッ素原子が好ましい。
置換基により置換されていても良い環状のアルキル基としては、置換基により置換されていても良い多環式の環状のアルキル基が好ましい。該多環式の環状のアルキル基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L7)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
前記R4"としては、上記の中でも、ハロゲン化アルキル基、又は置換基としてX3−Q'−を有するものが好ましい。
置換基としてX3−Q'−を有する場合、R4"としては、X3−Q'−Y5−[式中、Q'及びX3は前記と同じであり、Y5は置換基により置換されていても良い炭素数1〜4のアルキレン基又は置換基により置換されていても良い炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X3−Q'−Y5−で表される基において、Y5のアルキレン基としては、前記Q'で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y5として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
Y5としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−;−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−;−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH2CF2CF2CF2−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
前記アルキレン基又はフッ素化アルキレン基は、置換基により置換されていても良い。アルキレン基又はフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基又はフッ素化アルキレン基における水素原子又はフッ素原子の一部又は全部が、水素原子及びフッ素原子以外の原子又は基で置換されていることを意味する。
アルキレン基又はフッ素化アルキレン基が有していても良い置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R4"がX3−Q'−Y5−で表される基であるR4"SO3 −の具体例としては、例えば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
[式(b1)〜(b9)中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、R7は置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0又は1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q"は前記と同じである。]
R7の置換基としては、前記X3において、脂肪族炭化水素基が有していても良い置換基、芳香族炭化水素基が有していても良い置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R7に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7はそれぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)中のアニオン部(R4"SO3 −)を、下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
[一般式(b−3)又は(b−4)中、X"は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y"、Z"は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
式(b−3)において、X"は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(b−4)において、Y"、Z"は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X"のアルキレン基の炭素数又はY"、Z"のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X"のアルキレン基又はY"、Z"のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜86頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤を好適に用いることができる。
ジアゾメタン系酸発生剤としては、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤を好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
レジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[任意成分]
[(D)成分]
本実施形態のレジスト組成物は、任意の成分として、塩基性化合物成分(D)(以下、「(D)成分」という。)を含有していても良い。本実施形態において、(D)成分は、酸拡散制御剤、即ち露光により前記(B)成分等から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものである。なお、本実施形態において「塩基性化合物」とは、(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物をいう。
本実施形態における(D)成分は、カチオン部と、アニオン部とからなる塩基性化合物(D1)(以下、「(D1)成分」という。)であっても良く、該(D1)成分に該当しない塩基性化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であっても良い。
[(D1)成分]
本実施形態において、(D1)成分は特に限定されるものではないが、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、アルキルスルホニルイミドアニオン等が挙げられ、なかでも下記一般式(d1−1)で表される化合物(d1−1))(以下、「(d1−1)成分」という。)、及び下記一般式(d1−2)で表される化合物(d1−2)(以下、「(d1−2)成分」という。)からなる群から選ばれる1つ以上を含有することが好ましい。(d1−1)〜(d1−2)成分は、露光前はクエンチャーとしては作用せず、露光によりクエンチャーとして作用する光反応型クエンチャーである。
[一般式(d1−1)又は(d1−2)中、R51は置換基により置換されていても良い炭化水素基であり、Z2cは置換基により置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、M+はそれぞれ独立に有機カチオンである。]
[(d1−1)成分]
・アニオン部
式(d1−1)中、R51は置換基により置換されていても良い炭化水素基である。
R51の置換基により置換されていても良い炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であっても良く、(B)成分中のX3の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでもR51の置換基により置換されていても良い炭化水素基としては、置換基により置換されていても良い芳香族炭化水素基、又は、置換基により置換されていても良い脂肪族環式基であることが好ましく、置換基により置換されていても良いフェニル基やナフチル基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
また、R51の置換基により置換されていても良い炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、あるいは脂環式アルキル基、又は、フッ素化アルキル基であることも好ましい。
R51の直鎖状、分岐鎖状あるいは脂環式アルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
R51のフッ素化アルキル基は、鎖状であっても環状であっても良いが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基や、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の分岐鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基が挙げられる。
また、R51のフッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、例えば酸素原子、炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
なかでも、R51のフッ素化アルキル基としては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換された基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
・カチオン部
式(d1−1)中、M+は、有機カチオンである。
M+の有機カチオンとしては特に限定されるものではないが、例えば、前記式(b−1)又は(b−2)で表される化合物のカチオン部と同様のものが挙げられ、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−46)で表されるカチオン部が好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[(d1−2)成分]
・アニオン部
式(d1−2)中、Z2cは置換基により置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基である。
Z2cの置換基により置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であっても良く、(B)成分中のX3の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでもZ2cの置換基により置換されていても良い炭化水素基としては、置換基により置換されていても良い脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基により置換されていても良い)であることがより好ましい。
Z2cの炭化水素基は置換基を有していても良く、置換基としては、(B)成分中のX31と同様のものが挙げられる。ただし、Z2cにおいて、SO3 −におけるS原子に隣接する炭素は、フッ素置換されていないものとする。SO3 −とフッ素原子とが隣接しないことにより、当該(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分のクエンチング能が向上する。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
・カチオン部
式(d1−2)中、M+は、前記式(d1−1)中のM+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(D1)成分は、上記(d1−1)成分又は(d1−2)成分を含有することが好ましく、上記(d1−1)成分又は(d1−2)成分のいずれか1種のみを含有していても良く、これら成分の2種以上を組み合わせて含有していても良い。
(d1−1)〜(d1−2)成分の合計の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜5.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
[(D2)成分]
(D2)成分としては、(B)成分に対して相対的に塩基性となる化合物であり、酸拡散制御剤として作用するものであり、且つ(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。例えば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミン又はアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミン及びアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であっても良い。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール又はこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
(D)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本実施形態のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ポジ型レジスト組成物とした際、ラフネス等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
[(E)成分]
本実施形態のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、例えば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
[(F)成分]
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有していても良い。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。かかる重合体としては、構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記式(f1)で表される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記式(f1)で表される構成単位と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記式(f1)で表される構成単位と共重合される前記構成単位(a1)としては、前記式(a1−0−1)で表される構成単位が好ましく、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位で表される構成単位が特に好ましい。
[(f1−1)式中、Rは前記同様であり、R45及びR46はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、複数のR45又はR46は同じであっても異なっていても良い。a1は1〜5の整数であり、R7"はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、R45、R46のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。R45、R46の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましい。R45、R46の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもR45、R46としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、a1は1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、R7"はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであっても良く、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、R7"としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、メチル基、−CH2−CF3、−CH2−CF2−CF3、−CH(CF3)2、−CH2−CH2−CF3、−CH2−CH2−CF2−CF2−CF2−CF3が最も好ましい。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を併用してもよい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本実施形態の溶剤現像ネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本実施形態の溶剤現像ネガ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いても良く、2種以上の混合溶剤として用いても良い。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
以下、実施形態を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図2に、第1の実施形態のパターン形成方法を説明するための概略図を示す。
図2(a)の初期状態の被処理体100上に、図2(b)で示した中性膜101を形成する。
被処理体100は、前述の通り、半導体(例えばシリコン)基板だけでなく、半導体素子や配線に対応した導電膜、これらを絶縁する絶縁膜が形成された基板であっても良い。導電膜及び/又は絶縁膜は、後に説明するようにエッチングの対象であり、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、又は酸窒化シリコン(SiNO)などの絶縁膜、アモルファスシリコン(α−Si)又はポリシリコン(poly−Si)のような導電膜を、例えば気相堆積法により堆積することにより形成される。第1の実施形態では、シリコン基板上に酸化シリコンを形成させた被処理体100を使用した。
第1の実施形態では、中性膜101は、前述のPS−r−PMMAを所定の溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、アセトン、OK73(商品名、東京応化工業株式会社製))に溶解したものを被処理体上に塗布し、数分乃至数時間熱処理することによって得ることができる。なお、溶媒とランダム共重合体との比率は、通常、約1〜20%溶媒、約80〜99%ランダム共重合体、である。
次に、図2(c)に示すように、中性膜101上に、例えば、スピンコートを使用して、前述したレジスト組成物を塗布する。塗布した組成物を、例えばホットプレートを使用したプレベーク(PAB)処理し、乾燥することにより、所定の膜厚を有するレジスト膜102を形成することができる。
得られたレジスト膜は、図2(d)に示すように、従来の露光装置、現像液を使用して、レジスト膜を露光、現像してパターニングする。
露光装置としては、フォトリソグラフィー技術において、使用され得る公知の露光装置で良く、例えばArF液浸露光装置を使用することができる。この場合、ArFエキシマレーザーを、ハーフトーンマスクを介して選択的に照射することができる。また、現像液としては、フォトリソグラフィー技術において、使用され得る公知の現像液で良く、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を使用することができる。
本実施形態では、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用することが好ましい。露光部が溶解除去されたポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用した場合、現像後に露出する中性膜が、現像液によりダメージが生じる可能性があるため、ネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用することが好ましい。
次に、例えばスピンコートにより中性膜101上にBCP(第1の実施形態ではPS−b−PMMA)の塗布液を塗布すると、図2(e)に示すように、BCPの膜103が形成される。この膜103においては、図2(e)の挿入図に模式的に示すように、PSポリマーとPMMAポリマーとが互いに混ざり合っている。
次いで、図2(f)に示すように、BCPの膜103が形成された被処理体100を所定の温度に加熱すると、BCPの膜103に相分離が生じる。前記加熱としては、使用した溶剤雰囲気下で加熱しても良く、真空雰囲気下で加熱しても良い。また、前記雰囲気下で所定の時間加熱した後、所定の時間放置することでも、BCPの膜103を相分離することができる。
なお、本実施形態においてBCPの膜103の相分離とは、図2(f)の挿入図に示すように、レジスト膜102がガイドとなり、PS領域DSとPMMA領域DMとが交互に配列することを指す。ここで、PSの分子長の整数倍で領域DSの幅が決まり、PMMAの分子長の整数倍で領域DMの幅が決まるため、PS−b−PMMAの膜103においては、領域DS及び領域DMが等しいピッチ(領域DSの幅+領域DMの幅)で繰り返し配列される。また、PS分子の重合数によりPS領域DSの幅が決まり、PMMA分子の重合数によりPMMA領域DMの幅が決まるため、重合数の調整により、所望のパターンを決定することができる。
加熱終了後、被処理体100上のBCPの膜103に対して、大気中で紫外光が照射される。紫外光の光源Lとしては、紫外光領域に属する波長を発する限りにおいて、特に限定されないが、例えば、低圧紫外ランプ(低圧水銀灯)、Xeエキシマランプ、KrClエキシマランプなどを使用することができる。また、これらのランプは、1種類を単独で使用しても良く、2種類以上を併用して使用して、紫外光を照射しても良い。
また、BCPの光吸収性を考慮し、吸収される波長領域の紫外光をBCPの膜103に照射しても良い。そのような紫外光を得るため、例えば遠紫外領域から真空紫外領域にかけて比較的ブロードな発光スペクトルを有するランプと、例えば約230nmの波長より長い波長を遮蔽する波長カットフィルターとを用いることが好ましい。紫外光が照射されると、紫外光と、雰囲気中の酸素及び/又は水とによりPMMAが酸化されて、現像液に対する可溶性が生じると考えられる。
次に、BCPの膜103に対して現像液(有機溶剤)が供給される。現像液としては、フォトリソグラフィー技術において、露光されたフォトレジスト膜の現像に使用され得る現像液で良く、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、TMAH、水酸化カリウムなどを使用することができる。
紫外光により改質されたPMMAは、現像液に対する可溶性を有しているため、PMMAが選択的に現像液中に溶け出す。
所定の時間が経過した後、リンス液により現像液を洗い流し、被処理体100の表面を乾燥すると、図2(g)に示すように、PS領域DSからなるパターンが形成される。ここで、リンス液は、例えば脱イオン水(DIW)であって良いが、乾燥時にPS領域DSが倒れないように、DIWの表面張力よりも小さい表面張力を有する液体であると好ましい。そのような液体としては、アルコール(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)など)や界面活性剤がある。
PMMAポリマーは、カルボキシル基(−COOH)とメチル基(−CH3)の間の炭素(C)原子とメチレン基(−CH2−)のC原子とが化学結合することにより、−CH2C(CH3)(COOCH3)−が重合した構造を有している。ここで紫外光が照射されると、紫外光のエネルギーがケトン基(>C=O)に作用し、C原子間の化学結合が切れて、アルカン酸エステルが生じる。現像時には、現像液中に含まれるH2Oによりアルカン酸エステルが加水分解してアルカン酸が生じる。アルカン酸はIPAに溶けるため、IPAによりPMMAポリマーが除去されることになる。一方、PS−b−PMMA中のPSにはケトン基はなく、露光によってもエステル化が起こらないため、PSはTMAHには溶けない。以上の理由により、PMMAが選択的に除去されると考えられる。
本実施形態では、BCPとしてPS−b−PMMAを使用し、現像液としてIPAを使用した例について説明したが、いずれか一方のポリマーを除去することができれば、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ケトン基を有さないAポリマーと、ケトン基を有するBポリマーとから構成されるブロック共重合体を使用して、上述した現像液を使用してパターンを形成しても良い。また、他の現像液を使用して、いずれか一方のポリマーを除去しても良い。
また、本実施形態では、BCPのいずれか一方のポリマーを除去する方法として、紫外線によるエネルギー照射及び現像液による溶解を利用した方法について説明した。しかしながら、本実施形態の変形例として、相分離させたBCPのいずれか一方のポリマーの除去は、酸素(O2)プラズマを使用したドライエッチングにより、実行しても良い。BCPとしてPS−b−PMMAを使用して、O2プラズマによりドライエッチングする実施形態においては、PSのエッチングレートとPMMAのエッチングレートとの比は、1:3〜7程度である。このエッチングレートの差を利用して、PMMAを選択除去することにより、パターンを形成しても良い。
なお、O2プラズマを使用したドライエッチング装置としては、通常のエッチング技術の分野で使用される、公知のO2プラズマエッチング装置を使用することができる。
なお、被処理体100上の酸化シリコンは、例えば、CF系のエッチャントガスを使用して、PSをマスクにしてドライエッチングすることにより、選択エッチングすることができる。なお、CF系のエッチャントガスとは、例えば、CF4、C2F4、C2F6、C3F6、C3F8、C4F6、C4F8、C5F8、C5F10のガスなどが挙げられ、これらは環状であっても良く、直鎖状であっても良い。
図3に、第1の実施形態に係るパターン形成方法により形成されたパターンの一例のSEM(走査型電子顕微鏡)像を示す。第1の実施形態に係るパターン形成方法により、線幅のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンを形成することができた。
以上、本実施形態によれば、被処理体上に中性膜を形成し、更にレジスト組成物を塗布し、露光することにより、フォトレジストパターンを形成する。前記フォトレジストパターンをガイドとして利用して、BCPの塗布液を塗布し、層分離させ、BCPのいずれか一方のポリマーを選択除去することにより、線幅のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンを形成することができた。
また、本実施形態によれば、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、線幅のラフネスが小さく、より均一幅のパターンを形成することができる。
(第2の実施形態)
図4に、第2の実施形態のパターン形成方法を説明するための概略図を示す。
先ず、図4(a)の初期状態の被処理体200上に、レジスト膜201を形成する(図4(b))。
被処理体200は、第1の実施形態で述べたものと同様の構成のものを使用することができる。
レジスト膜201の形成は、被処理体200上に、例えば、スピンコートを使用して、前述したレジスト組成物を塗布する。塗布した組成物を、例えばホットプレートを使用してプレベーク(PAB)処理し、乾燥することにより、所定の膜厚を有するレジスト膜201を形成することができる。
得られたレジスト膜201は、図4(c)に示すように、従来の露光装置、現像液を使用して、レジスト膜を露光、現像してパターニングする。なお、本実施形態では、約90nmのホール径を有する、フォトレジストパターン201を形成した。
露光装置としては、フォトリソグラフィー技術において、使用され得る公知の露光装置を用いて良く、例えばArF液浸露光装置を使用することができる。この場合、ArFエキシマレーザーを、ハーフトーンマスクを介して選択的に照射することができる。また、現像液としては、フォトリソグラフィー技術において、使用され得る公知の現像液で良く、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などを使用することができる。
本実施形態では、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良く、露光部が溶解除去されたポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良い。
次に、例えばスピンコートにより被処理体200及びレジスト膜201上に塗布液を塗布し、BCP(本実施形態ではPS−b−PMMA)の膜202を形成する。次いで、BCPの膜202が形成された被処理体100を所定の温度に加熱すると、図4(d)に示すように、BCPの膜202に相分離が生じる。なお、第2の実施形態において、BCPの膜202の相分離とは、図4(d)に示すように、ホールの外径側にPMMA領域DMが、ホールの内径側にPS領域DSが、配列することを指す。
ここで、領域DSの幅と領域DMの幅は、使用するPS及びPMMAの分子長で決まり、当業者は所望のホール径に応じて、PS及びPMMAの分子長を設計することができる。
加熱については、使用した溶剤雰囲気下で加熱しても良く、真空雰囲気下で加熱しても良い。また、前記雰囲気下で所定の時間加熱した後、所定の時間放置することでも、BCPの膜202を相分離することができる。
次に、第1の実施形態と同様の材料、装置及び工程を使用して、BCPのいずれか一方のポリマー(本実施形態ではPMMA)を除去することにより、図4(e)に示すように、微細なホール径を有する、コンタクトホールを形成することができる。
図5に、第2の実施形態に係るパターン形成方法により形成されたコンタクトホールの一例のSEM(走査型電子顕微鏡)像を示す。第2の実施形態に係るパターン形成方法により、約30nmのホール径を有するコンタクトホールを形成することができた。
以上、本実施形態によれば、被処理体上にレジスト組成物を塗布し、露光することにより、フォトレジストパターン(コンタクトホール)を形成する。前記被処理体上にBCPの塗布液を塗布し、層分離させ、BCPのいずれか一方のポリマーを選択除去することにより、微小なホール径を有する、コンタクトホールを形成することができる。
また、本実施形態によれば、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、ホールのラフネスが小さく、より均一径なコンタクトホールを形成することができる。
(第3の実施形態)
図6に、第3の実施形態のパターン形成方法を説明するための概略図を示す。
第3の実施形態では、被処理体300は、親水性を有する前述の有機反射防止膜(有機ARC)が形成されたものを使用した。しかしながら、本実施形態においては、表面に親水性を有する膜が形成されていれば良く、本発明はこの点において限定されない。例えば、基板上に非親水性の反射防止膜が形成され、更に他の親水性膜が積層された構造の被処理体であっても良い。
先ず、図6(a)の初期状態の被処理体300上に、レジスト膜301を形成する(図6(b))。
レジスト膜301の形成は、被処理体300上に、例えば、スピンコートを使用して、前述したレジスト組成物を塗布する。塗布した組成物を、例えばホットプレートを使用したプレベーク(PAB)処理し、乾燥することにより、所定の膜厚を有するレジスト膜301を形成することができる。
形成されたレジスト膜は、図6(c)に示すように、従来の露光装置、現像液を使用して、露光、現像してパターニングする。
露光装置及び現像液は、フォトリソグラフィー技術において、使用され得る公知の露光装置で良く、第1の実施形態で記載したものと、同様のものを使用することができる。
本実施形態では、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良く、露光部が溶解除去されたポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良い。
現像によりパターニングされたレジスト膜は、例えば約100℃乃至250℃で熱処理することにより、硬化処理を施しても良い。
次に、図6(d)に示すように、被処理体300及びレジスト膜301上に、中性膜302を形成する。中性膜302の形成は、第1の実施形態と同様の条件で行うことができる。
次に、図6(e)に示すように、リフトオフ法により、レジスト膜301(及びレジスト膜301上に形成された中性膜302)を除去する。なお、本実施形態におけるリフトオフ法としては、レジスト膜301を選択的に溶解する有機溶剤中に、被処理体300を浸漬する方法であっても良く、例えばO2プラズマを用いた、レジスト膜301を選択エッチングする方法であっても良い。後者の方法の場合、レジスト膜301が形成されていない、表面に露出した中性膜302も、プラズマによりダメージが生じる可能性がある。そのため、レジスト膜301の除去は、有機溶剤を使用した方法を採用することが好ましい。いずれの方法を使用した場合にあっても、レジスト膜301上に形成された中性膜302は、レジストが除去される際に、併せて除去される。
次に、例えばスピンコートにより被処理体300及び中性膜302上にBCPの塗布液を塗布し、BCP(本実施形態ではPS−b−PMMA)の膜303を形成する。BCPの膜303が形成された被処理体300を所定の温度に加熱すると、BCPの膜303に相分離が生じる。
本実施形態においては、有機ARC膜が親水性膜であるため、親水性のPMMAとの相互作用により、図6(f)に示すような、PS領域DSとPMMA領域DMとが交互に配列した、パターンが形成される。つまり、除去するレジスト膜301のパターンが、BCPのパターンのガイドの役割を果たす。即ち、当業者は、除去するレジスト膜301のパターンと、BCPの第1のポリマーの重合数及び第1のポリマーの重合数と、を制御することにより、所望のパターンのBCPのパターンを形成することができる。
なお、BCPを相分離させるための加熱条件は、第1の実施形態と同様の条件を採用することができる。
次に、図6(g)に示すように、相分離したBCPのいずれか一方のポリマーを除去する。いずれか一方のポリマーの除去は、第1の実施形態で述べたように、紫外光によるエネルギー照射及び現像液による溶解を利用した方法でも良く、酸素(O2)プラズマを使用したドライエッチングを利用した方法でも良い。
紫外光によるエネルギー照射及び現像液による溶解を利用して、BCPのいずれか一方のポリマー(本実施形態ではPMMA)を除去する場合、下層の中性膜302は除去されない。そのため、PMMAを選択除去した後、O2プラズマを使用したドライエッチングを利用して、中性膜302を除去する。
酸素(O2)プラズマを使用したドライエッチングを利用して、BCPのいずれか一方のポリマーを除去する場合において、中性膜302とPSとのエッチングレートは同程度である。そのため、PSをマスクとしてPMMAをエッチングする際に、中性膜302がエッチングされる時間を考慮することで、効率良くPMMA及び中性膜302をエッチングすることができる。
被処理体300上の有機ARCは、後述するエッチャントガスを使用して、PSをマスクにしてドライエッチングすることにより、選択除去することができる。エッチャントガスとしては、NH3、及びC2H4、CH4、C2H2、C2H6、C3H4、C3H6、C3H8、C4H6、C4H8、C4H10、C5H8、C5H10、C6H6、C6H10、C6H12等のうちの少なくとも1つの炭化水素ガスを含むガスを使用することができる。
図7に、第3の実施形態に係るパターン形成方法により形成されたパターンの一例のSEM像を示す。第3の実施形態に係るパターン形成方法により、線幅のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンを形成することができた。
以上、本実施形態によれば、表面が親水性である被処理体上にレジスト組成物を塗布し、露光することにより、フォトレジストパターンを形成する。得られた被処理体及びレジストパターン上に中性膜を形成し、レジストをリフトオフすることにより、被処理体上に表面修飾領域を形成する。表面修飾領域にBCPの塗布液を塗布し、層分離させ、BCPのいずれか一方のポリマーを選択除去することにより、線幅が小さいパターン形成を達成することができる。
また、本実施形態によれば、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、線幅のラフネスが小さく、より均一幅なパターンを形成することができる。
(第4の実施形態)
図8に、第4の実施形態のパターン形成方法を説明するための概略図を示す。
第4の実施形態では、被処理体400は、シリコン基板上に無機反射防止膜(酸化シリコン)が形成されたものを使用した。しかしながら、本実施形態は、反射防止膜として、有機反射防止膜(有機ARC)が形成されたものでも良い。
先ず、図8(a)の初期状態の被処理体400上に、例えばスピンコートにより、PSを含む塗布液を塗布し、PS膜401を形成する(図8(b)参照)。
次に、図示しないが、形成されたPS膜401を架橋する。PS膜401は、PS膜401を約250℃〜300℃で数時間アニール(熱処理)することにより、架橋される。PS膜401を架橋することにより、架橋しない場合と比較して、PS膜が化学的に安定な状態となり、他の物質とは反応しにくくなる。
次に、図8(c)に示すように、架橋したPS膜上に、例えば、スピンコートを使用して、前述したレジスト組成物を塗布する。塗布した組成物を、例えばホットプレートを使用したプレベーク(PAB)処理し、乾燥することにより、所定の膜厚を有するレジスト膜402を形成することができる。
得られたレジスト膜は、図8(d)に示すように、公知の露光装置、現像液を使用して、レジスト膜を露光、現像してパターニングする。露光装置及び現像液は、公知のものを使用することができ、具体例としては、第1の実施形態で述べたものなどを使用することができる。
本実施形態では、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良く。露光部が溶解除去されたポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用しても良い。
次に、図8(e)に示すように、パターニングされたレジスト膜402をマスクとして、O2プラズマを使用したドライエッチングにより、PS膜401を選択エッチングする。本実施形態によれば、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、このレジストをマスクにしてドライエッチングすることによって得られるPSパターンも、ラフネスが小さくなる。
なお、PS膜401を選択エッチングする変形例として、PS膜401の選択エッチングの前に、レジスト膜402の側壁にプラズマ反応生成物を堆積させてレジスト膜402のパターン幅を広げ、広げられたレジスト膜402をマスクとして、O2プラズマを使用したドライエッチングによりPS膜401をエッチングしても良い。この変形例では、PS膜402を縦方向にエッチングする際に、広げられたレジスト膜402の横方向のエッチング(即ち、トリミング処理)が併せて実施される。これにより、より微細なPS膜401及びレジスト膜402のパターンを形成することができる(図8(e)は、この変形例の場合の図である)。
次に、図8(f)に示すように、レジスト膜402を選択除去する。レジスト膜402を選択除去する方法としては、第3の実施形態で述べたような、レジスト膜402を選択的に溶解する有機溶剤中に、被処理体400を浸漬する方法であっても良く、例えばO2プラズマを用いた、レジスト膜402を選択エッチングする方法であっても良い。
その後、図8(g)に示すように、表面にPS膜401が露出した被処理体400上に、中性膜403を塗布する。中性膜403の高さは、PS膜401の高さと略同じとなるようにする。なお、中性膜403の塗布は、第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
次に、例えばスピンコートにより中性膜403及びPS膜401上に、BCPの塗布液を塗布し、所定の温度に加熱することにより、相分離されたBCPの膜404が形成される。
本実施形態においては、PS膜401が前述の架橋により化学的に安定であるため、BCP中のPS分子との相互作用により、BCP中のPS分子を呼び込み、図8(h)に示すような、PS領域DSとPMMA領域DMとが交互に配列した、パターンが形成される。つまり、架橋したPS膜のパターンが、BCPのパターンのガイドの役割を果たす。即ち、当業者は、架橋したPS膜401のパターン(つまり、レジスト膜402のパターン)と、BCPの第1のポリマーの重合数及び第1のポリマーの重合数と、を制御することにより、所望のパターンのBCPのパターンを形成することができる。
なお、BCPを相分離させるための加熱条件は、第1の実施形態と同様の条件を採用することができる。
次に、図8(i)に示すように、相分離したBCPのいずれか一方のポリマーを除去する。いずれか一方のポリマーの除去は、第1の実施形態で述べたように、紫外光によるエネルギー照射及び現像液による溶解を利用した方法でも良く、酸素(O2)プラズマを使用したドライエッチングを利用した方法でも良い。
被処理体400上の反射防止膜は、使用した反射防止膜の種類に応じて、第1の実施形態又は第3の実施形態で述べたエッチャントガスを使用して、残存PS膜をマスクとしてドライエッチングすることにより選択除去することができる。
以上、本実施形態によれば、被処理体上にPS膜を形成し、架橋した後、レジスト組成物を塗布し、露光することにより、フォトレジストパターンを形成する。得られたレジストパターンを用いて、前記架橋PS膜をパターニングし、前記被処理体上に表面修飾領域を形成する。前記表面修飾領域にBCPの塗布液を塗布し、層分離させ、BCPのいずれか一方のポリマーを選択除去することにより、線幅が小さいパターン形成を達成することができる。
また、本実施形態では、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、前記レジスト組成物を利用してパターン形成を行うことで、線幅のラフネスが小さく、より均一幅なパターンを形成することができる。
(第5の実施形態)
図9に、第5の実施形態のパターン形成方法を説明するための概略図を示す。
第5の実施形態では、被処理体500は、親水性を有する前述の有機反射防止膜(有機ARC)が形成されたものを使用した。しかしながら、本実施形態は、表面に親水性を有する膜が形成されていれば良く、本発明はこの点において限定されない。例えば、基板上に非親水性の反射防止膜が形成され、更に他の親水性膜が積層された構造の被処理体であっても良い。
先ず、図9(a)の初期状態の被処理体500上に、中性膜501を形成する(図9(b)参照)。中性膜501の形成は、第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
次に、図9(c)に示すように、形成された中性膜501上に、レジスト膜502を形成する。レジスト膜502の形成は、被処理体500上に、例えば、スピンコートを使用して、前述したレジスト組成物を塗布する。塗布した組成物を、例えばホットプレートを使用したプレベーク(PAB)処理し、乾燥することにより、所定の膜厚を有するレジスト膜502を形成することができる。
形成されたレジスト膜は、図9(d)に示すように、公知の露光装置、現像液を使用して、レジスト膜を露光、現像してパターニングする。露光装置及び現像液は、公知のものを使用することができ、具体的には、第1の実施形態で述べたものなどを使用することができる。
本実施形態では、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用することが好ましい。露光部が溶解除去されたポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用した場合、現像後に露出する中性膜に、現像液によりダメージが生じる可能性があるため、ネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を使用することが好ましい。
次に、図9(e)に示すように、パターニングされたレジスト膜502をマスクとして、O2プラズマを使用したエッチングにより、中性膜501をエッチングし、被処理体を表面に露出させる。
次に、図9(f)に示すように、レジスト膜502を選択除去し、被処理体の表面に、有機ARC又は中性膜501を露出させる。レジスト膜502を選択除去する方法としては、第3の実施形態で述べたような、レジスト膜502を選択的に溶解する有機溶剤中に、被処理体500を浸漬する方法であっても良く、例えばO2プラズマを用いた、レジスト膜502を選択的にエッチングする方法であっても良い。
次に、例えばスピンコートにより被処理体500及び中性膜501上に、BCPの塗布液を塗布し、所定の温度に加熱することにより、相分離されたBCPの膜503が形成される。
本実施形態において、BCPの膜503中のPMMA分子と有機ARCとの相互作用により、PMMA分子が有機ARCに集まり、図9(g)に示すような、PS領域DSとPMMA領域DMとが交互に配列した、パターンが形成される。つまり、被処理体500上の有機ARCのパターンが、BCPのパターンのガイドの役割を果たす。当業者は、被処理体500上の有機ARCのパターンを制御し(即ち、被処理体500上に選択的に表面修飾領域を形成し)、かつ、BCPの第1のポリマーの重合数及び第1のポリマーの重合数と、を制御することにより、所望のパターンのBCPのパターンを形成することができる。
なお、BCPを相分離させるための加熱条件は、第1の実施形態と同様の条件を採用することができる。
次に図9(h)に示すように、相分離したBCPのいずれか一方のポリマーを除去する。いずれか一方のポリマーの除去は、第1の実施形態で述べたように、紫外光によるエネルギー照射及び現像液による溶解を利用した方法でも良く、酸素(O2)プラズマを使用したドライエッチングを利用した方法でも良い。
被処理体500上の反射防止膜は、使用した反射防止膜の種類に応じて、第1の実施形態又は第3の実施形態で述べたエッチャントガスを使用して、残存PS膜をマスクとしてドライエッチングすることにより選択除去することができる。
以上、本実施形態によれば、表面が親水性である被処理体上に中性膜を形成し、レジスト組成物を塗布し、露光することにより、フォトレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクにして中性膜をエッチングし、レジストを除去することにより、被処理体上に表面修飾領域を形成する。前記表面修飾領域にBCPの塗布液を塗布し、層分離させ、BCPのいずれか一方のポリマーを選択除去することにより、線幅が小さいパターン形成を達成することができる。
また、本実施形態によれば、レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、前記基材成分(A)が、酸の作用により極性が増大し、且つ単環または鎖状の炭化水素基を有する酸分解性基を含む構成単位(a1')を有する樹脂成分(A1)を含有するため、レジストのLWR(Line Width Roughness)が小さい。そのため、線幅のラフネスが小さく、より均一幅なパターンを形成することができる。