JP2016108362A - 着色硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
BMには、液晶ディスプレイの画像品質を優れたものとするために、遮光性に優れていることが要求される。中でも近年、より高精細、高輝度化に対応するために、従来のようなカラーフィルタ基板上にBMを形成する方法から、薄膜トランジスタ(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上にBMを形成する、BOA(Black Matrix on Array)方式の検討がなされている。このBOA方式では、素子との位置あわせのためのこれまでのような張り合わせ工程が不要となり、ピクセル口径比(開口率)が大幅に増大でき、製造工程の短縮化が可能であることより、表示品位の向上、コストの削減が可能なことから、従来のカラーフィルタ基板上にBMを形成する方法より優れた点が多い。
また、BM形成時に行うマスクアライメントは、赤外線カメラを用いて行うため、一定水準の近赤外領域の光透過率も必要である。そのため、従来BM材料として主に用いられていたカーボンブラックでは、高い誘電率を示し絶縁性に乏しいだけでなく、近赤外領域における光透過率も低いためにアライメントを行うことが困難であり、BOA方式の液晶パネルに用いることは困難である。
このような課題を解決する方法として、特定の有機顔料で遮光性を持たせる方法(特許文献1参照)が開示されている。
本発明は、電気絶縁性、遮光性、及び耐溶剤性に優れたブラックマトリクスを製造するための着色硬化性樹脂組成物、これを用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタ、及び分散体の提供を課題とする。
すなわち本発明は、下記の〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 式(A1)で表される化合物(A1)と、アジン系染料、アントラキノン系染料及びペリノン系染料から選ばれる1種以上の染料(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、硬化性化合物(D)と、を含有する着色硬化性樹脂組成物。
〔2〕 〔1〕に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備する、カラーフィルタ。
〔3〕 式(A1)で表される化合物(A1)と、アジン系染料、アントラキノン系染料及びペリノン系染料から選ばれる1種以上の染料(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、を含有する分散体。
本発明によれば、化合物(A1)及び染料(A2)を組み合わせて用いることで、相乗効果を発揮して、電気絶縁性及び遮光性に優れ、更に耐溶剤性に優れたブラックマトリクスを製造することのできる樹脂組成物が得られる。
本発明の樹脂組成物は、黒色色材として、電気絶縁性、及び遮光性の観点から、化合物(A1)及び染料(A2)を含有する。
(化合物(A1))
本発明の樹脂組成物は、電気絶縁性、及び遮光性の観点から、式(A1)で表される化合物(A1)を含有する。
式(A1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
R11は、化合物(A1)の製造容易性の観点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合することが好ましく、R13はジヒドロインドロン環の4位に結合することが好ましい。同様の観点から、R11、R12、及びR13は、好ましくは水素原子である。
化合物(A1)は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、本発明に用いる化合物は、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
化合物(A1)は、例えば、国際公開公報WO2000/24736,国際公開公報WO2010/081624に記載された方法により製造することができる。
本発明の樹脂組成物は、電気絶縁性及び遮光性の観点から、アジン系染料、アントラキノン系染料及びペリノン系染料から選ばれる1種以上の染料(A2)を含有する。
Mは、好ましくは鉄原子である。X−は、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくはフッ化物イオン、塩化物イオン、及びシュウ化物イオンから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは塩化物イオンである。
R21は、好ましくは、水素原子である。R21の置換位置は、アミノ基の置換位置に対して、好ましくはオルト位である。
R22は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R22の置換位置は、アミノ基の置換位置に対して、好ましくはパラ位である。
R25及びR26は、好ましくは水素原子である。
R25及びR26は、ペリノン環上のいずれの位置に置換していてもよい。
n及びmは、好ましくは各々独立に0〜2の整数であり、より好ましくは0である。
本明細書において、化合物(A1)、染料(A2)及び他の色材を総称して、単に「色材(A)」ともいう。
本発明の樹脂組成物に含まれる色材(A)中、化合物(A1)と染料(A2)との合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下であり、更に好ましくは100質量%である。
色材と有機溶媒との親和性を高め、分散性及び保存安定性を高めるという観点から、色材としては、化合物(A1)又は染料(A2)に、樹脂や高分子、化合物(A1)又は染料(A2)の誘導体等により予め表面処理を施したものを用いることもできる。
分散剤としては、例えば、主鎖又は側鎖としてポリ(メタ)アクリレート、ポリラクトン、ポリアルキレンオキサイド等を有する、ポリウレタン系分散剤、ポリアミド系分散剤、ポリイミド系分散剤、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(無水)マレイン酸等のポリカルボン酸系分散剤、ポリアミン系分散剤、及びその一部に4級アンモニウム塩等が導入された分散剤が挙げられる。これらの分散剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、油脂等及び式(SL1)で表される化合物が挙げられる。
nは1又は2が好ましい。
有機溶媒としては、色材の分散性と、分散剤の溶解性又は分散性の観点から、好ましくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはPGMEAである。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性化合物としては、例えば、多官能重合性化合物が挙げられる。
<多官能性重合性化合物>
多官能重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を2個以上有する。
エチレン性不飽和結合を有する部位としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基等が挙げられる。
多官能重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物が好ましく用いられる。
多官能重合性化合物中に含まれるエチレン性不飽和結合の数は、耐溶剤性の観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更に好ましくは5個以上であり、好ましくは8個以下、より好ましくは7個以下、更に好ましくは6個以下である。
これらの中でも、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(以下、「DPHA」ともいう)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはDPHAである。
本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。そして、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を意味する。
硬化性化合物として、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、(メタ)アクリル酸、炭素数1以上18以下の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等の単官能重合性化合物が含まれていてもよい。
これらの中でも、樹脂組成物は、現像性及び塗膜の物性をより高める観点から、好ましくはアルカリ可溶性樹脂を含有する。
本発明の樹脂組成物がチオール化合物を含有する場合、前記チオール化合物は、好ましくは多価チオール化合物である。
チオール化合物は、耐溶剤性の観点から、好ましくはメルカプト基を3個以上有する。メルカプト基を3個以上有することで架橋密度が高くなるため、樹脂組成物から得られる硬化膜において、NMP等の溶剤による膨潤や色材の溶出等をより抑制できると考えられる。
チオール化合物は、脂肪族チオール化合物、複素環又は芳香環等の環状構造を有するチオール化合物が挙げられ、耐溶剤性の観点から、脂肪族チオール化合物が好ましい。
チオール化合物は、耐溶剤性の観点から、好ましくはメルカプトカルボン酸由来の構造を有する。
複素環を有するチオール化合物としては、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、トリス[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]イソシアヌレート、(1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジアン−2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−メチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
芳香環を有するチオール化合物としては、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン等が挙げられる。
フッ素化合物としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤、フッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物等から選ばれる少なくとも1種等が挙げられる。
フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤としては、市販品として、住友スリーエム株式会社製「フロリナート FC」シリーズの「430」、「431」、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「F142D」、「F171」、「F172」、「F173」、「F177」、「F183」、「F554」、「R30」、三菱マテリアル電子化成株式会社製「エフトップ EF」シリーズの「301」、「303」、「351」、「352」、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−105」、株式会社ダイキンファインケミカル研究所製「E5844」等が挙げられる。
フッ素系オリゴマーとしては、市販品として、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−611」、「S−651」などが挙げられる。
フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「RS−72−K」、「RS−75」、「RS−76−E」等が挙げられる。
フッ素化合物としては、耐溶剤性の観点から、好ましくはフッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはフルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物である。
フッ素系オリゴマーは、分子量が高く溶剤に対するフッ素化合物の溶解度が低いため、耐溶剤性に優れると考えられる。フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物は、例えば光硬化時に、硬化性化合物(D)と共重合するため、硬化膜の耐溶剤性により優れると考えられる
フッ素系オリゴマーの中では、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−611」、「S−651」が好ましい。フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物の中では、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「RS−72−K」、「RS−75」、「RS−76−E」が好ましい。
本発明に用いられるフッ素化合物は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
光重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物、フェニルグリコレート、ベンゾフェノン等が好ましい。市販の光重合開始剤としては、例えば、BASFジャパン社製「IRGACURE」シリーズの「OXE02」、「369」、「907」、「651」、「2959」、「184」、「250」、「754」;「DAROCUR」シリーズの「MBF」、「BP」、「1173」が好ましく挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記光重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。
光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンが挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルタを製造する際に、未露光部を現像液に溶解させるために用いられる。アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの、すなわち、0.05質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1質量%以上溶解するものであればよい。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくはベンジル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体としては、より好ましくはベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体及びメチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体から選ばれる少なくとも1種である。
前記共重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とのモル比((メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸)は、好ましくは50/50以上、より好ましくは70/30以上であり、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下である。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは7,000以上であり、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下である。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
樹脂組成物中の化合物(A1)及び染料(A2)の合計含有量は、遮光性の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、耐溶剤性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
樹脂組成物における化合物(A1)及び染料(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量は、分散性の観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更により好ましくは15質量部以上であり、遮光性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。
樹脂組成物中の硬化性化合物(D)の含有量は、耐溶剤性及び良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.1質量%以上であり、遮光性、現像性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
樹脂組成物における硬化性化合物(D)100質量部に対する光開始助剤の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、下記工程を有することが好ましい。
工程1:化合物(A1)、染料(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)と、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂とチオール化合物とを含む分散体を得る工程
工程2:工程1で得られる分散体と、硬化性化合物(D)と、を混合する工程
上記製造方法の工程1は、下記の工程1a、または、工程1b−1から1b−3を有する。
工程1a:化合物(A1)、染料(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂、チオール化合物を分散し、分散体を得る工程
工程1b−1:化合物(A1)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂、チオール化合物を分散し、分散体b1を得る工程
工程1b−2:染料(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂、チオール化合物を分散し、分散体b2を得る工程
工程1b−3:分散体b1及びb2を混合して、分散体を得る工程
本発明の樹脂組成物では、黒色色材として少なくとも化合物(A1)及び染料(A2)の二種類を用いる。これらの化合物(A1)、染料(A2)は、共に分散してもよいし(工程1a)、それぞれ別々に分散してもよい(工程1b−1〜1b−3)。これらの中でも、遮光性、及び耐溶剤性の観点から、化合物(A1)及び染料(A2)を共に分散すること(工程1a)が好ましい。
これらの中では、色材を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましい。市販のメディア式分散機としては、寿工業株式会社製「ウルトラ・アペックス・ミル」、浅田鉄工株式会社製「ピコミル」等が挙げられる。
メディア式分散機を用いる場合に、分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、色材中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.003mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
分散時間は、色材を十分に微細化する観点から、0.3時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、分散体の製造効率の観点から、50時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
分散体中の化合物(A1)及び染料(A2)の合計含有量は、遮光性及び生産性の観点から、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは16質量%以上であり、分散性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
分散体中の分散剤(B)の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、耐溶剤性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
分散体における、化合物(A1)及び染料(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量の好ましい範囲は、上記樹脂組成物における含有量の好ましい範囲と同様である。
分散体中の有機溶媒(C)の含有量は、作業性及び分散性の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、生産性及び樹脂組成物の配合自由度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
なお、本発明の分散体は、例えば、工程1a、又は、工程1b−1〜1b−3により、得られる。
工程2では、必要に応じて、チオール化合物、フッ素化合物、光重合開始剤、光開始助剤、アルカリ可溶樹脂などの任意成分を混合する。
工程2の混合方法は、特に制限はないが、例えば、ローラー式攪拌機による攪拌が挙げられる。攪拌時間は、5分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、製造効率の観点から、10時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、カラーフィルタの製造のために使用され、より好ましくはカラーフィルタのブラックマトリクス形成のために使用される。
本発明の樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタの製造方法は、本発明の樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥、光硬化、現像を行い、塗膜を得る工程(a)と、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜よりなるブラックマトリクスを形成する工程(b)と、前記硬化膜上に樹脂の有機溶剤溶液を塗工して樹脂膜を形成する工程(c)を有することが好ましい。
上記光硬化は、例えば、塗膜に紫外線を照射して、樹脂組成物中の多官能モノマーが架橋反応し、塗膜を硬化させる。光硬化は続く現像でガラス基板上にパターンを残すために行い、現像で除去する部分には紫外線を防ぐフォトマスクを載せて硬化させないことが好ましい。
上記現像は、例えば、光硬化後の塗膜をアルカリ水溶液中に浸漬し、更に水でリンスして未硬化部分を除去する。
工程(b)は、ポストベイク工程であり、本工程を行うことにより、硬度に優れた硬化膜を形成することができる。
工程(c)の樹脂は例えばポリイミドである。工程(c)の有機溶剤は例えばNMPである。
10cm×10cmのガラス基板上に、樹脂組成物をスピンコーターで塗布し、水平台にて5分間静置し、120℃のホットプレート上で10分間乾燥した。更に、230℃のクリーンオーブン内で20分間処理し、片面に塗膜を有する基板(以下、「塗膜基板」ともいう)を得た。前記塗膜の厚さは1〜2μmとなるようにした。
卓上式透過濃度計(X−Rite社製「モデル361T」、測定波長550nm)により、塗膜基板の吸光度を測定し、測定値をODRとした。吸光度を測定した部位の塗膜の厚さT(μm)を、(株)東京精密製「SURFCOM 1500DX」で測定した。塗膜の厚さ1μm当たりの光学濃度を「OD」とし、以下の式により算出した。
OD=ODR/T(μm)
このODが大きいほど、遮光性が良好である。
10cm×10cmのガラス基板上に、後述する現像基板の塗膜の厚さが3.0±0.2μmとなるように、樹脂組成物をスピンコーターで塗布した。前記基板を水平台にて5分間静置し、100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。次いで、基板の、樹脂組成物を塗布した面の上に、0.5mmの間隙を設けてフォトマスクを設置し、紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製「MUV−202U」)を用いて、紫外線(i線:波長365nm)を100mJ/cm2照射した。基板を0.04質量%KOH水溶液に浸漬して現像し、純水でリンスした後、230℃のクリーンオーブンで20分間熱処理し、現像基板を得た。
次にNMP 100mLを、ステンレス製トレイ(底面:175mm×115mm;深さ:18mm)に入れた。NMPを80℃まで加熱し、前記現像基板を、塗膜面を上にしてNMP中に浸漬し、80℃で40分保持した後、室温まで冷却した。
トレイから現像基板を取り出し、トレイに残った液を均一にし、現像基板からの溶出物を含むNMP溶液を得た。前記溶液を試料とし、紫外可視分光光度計(日立製作所製「U−3010」)を用い、波長680nmにおける吸光度を測定した。吸光度が小さいほど、耐溶剤性が良好である。
塗膜基板を25℃、45%RHの環境で6時間静置したのち、絶縁抵抗器(横河・ヒューレット・パッカード社製「4329A」)に接続した抵抗値測定用チャンバー(川口電気(株)製「Model P−601」、測定電圧:100V)にて、表面抵抗率Ps(Ω/□)を測定し、電気絶縁性を評価した。表面抵抗率の値が大きいほど、電気絶縁性が良好である。
ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いた。溶離液として、リン酸濃度60mmol/L、臭化リチウム濃度50mmol/LのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ともいう)溶液を用いた。試料をDMFで希釈して、固形分0.3質量%の溶液とし、その0.1mLを、GPC〔装置:東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」、カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL、α−M」×2本、流速:1mL/min〕にて測定した。標準物質としては、東ソー株式会社製標準ポリスチレン「A−500(Mw=5.0×102)」、「A−2500(Mw=2.63×103)」「F−1(Mw=1.02×104)」、「F−10(Mw=9.64×104)」を用いた。
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10gを入れ、そこに試料2gを量り採り、ガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の質量を量り、次式より得られた値を試料の固形分とした。
固形分(質量%)=[〔乾燥後の質量−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの質量)〕/試料の質量]×100
顔料濃度を10質量%に調整した顔料分散体1mLを、20℃で5分間保持した後、E型粘度計(東機産業株式会社製「TV−25 typeL」;ローター1°34′×R24)を用いて、20℃で顔料分散体の粘度を測定した。ローターの回転数は20rpmで測定し、150mPa・sを超えた場合は、10rpmに変更して測定した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう)15gを入れた容量20mLのガラス製サンプル瓶(マルエム社製「スクリュー管No.5」に、実施例及び比較例で得られた顔料分散体を0.01g添加し、試験管ミキサー(IKA社製「Minishaker MS1」)を用いて2500rpmで1分間撹拌した。粒径測定装置(堀場製作所社製「SZ−100」)を用い、測定条件として、試料屈折率:1.51と、分散媒屈折率:1.400と、分散媒粘度:1.136mPa・sと、測定温度:25℃とをそれぞれ入力し、測定した。JIS Z 8826に記載の粒子径解析−光子相関法に基づき、キュムラント解析されて求められたキュムラント平均粒径を顔料分散体の平均粒径とした。
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管、ディーンスターク管、ジムロート管を装着した5Lの四つ口フラスコに、2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−二酢酸(和光純薬工業(株)製)115g、イサチン(東京化成工業(株)製)150g、p−トルエンスルホン酸一水和物35g、トルエン3750gの混合液を110℃に加熱し、脱水しながら7時間攪拌し、更に110℃で14時間攪拌した。この混合液を室温まで冷却し、黒色の懸濁液を濾紙No.2(アドヴァンテック東洋(株))で濾過した。この濾過残分をメタノール5Lで洗浄し、60℃/104Paで乾燥し、236gの式(A1−1)で表される化合物A1−1(黒色物質)を得た。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう)3.6g、ベンジルメタクリレート(以下、「BzMA」ともいう)36.4g、3−メルカプトプロピオン酸0.56g、及びPGMEA 40gを仕込み、攪拌しながら窒素置換を行った。
フラスコ内を攪拌しながら78℃まで昇温し、MAA 14.4g、BzMA 145.6g、3−メルカプトプロピオン酸2.2g、PGMEA 160g、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」(以下、「V−65」ともいう)) 2.0gを混合して得られた溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、V−65 2.0gとPGMEA 10.0gとの混合溶液を加え、78℃で1時間撹拌した。更に、V−65 1.0gとPGMEA 10.0gとの混合溶液を加え、78℃で1時間撹拌した。PGMEA 100gを加え、撹拌しながら冷却し、BzMAとMAAとの共重合体(以下、「共重合体1」ともいう)のPGMEA溶液を得た。固形分は40.0質量%、共重合体1の重量平均分子量は10900であった。
合成例2で得られた固形分40.0質量%の共重合体1の溶液 21.1g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、「DPHA」ともいう)6.0g、光重合開始剤(BASFジャパン社製「IRGACURE OXE02」) 5.5g、PGMEA 37.3g及びシクロヘキサノン 30.0gを均一に混合し、クリアレジスト液を得た。固形分は20質量%であった。
(分散体)
合成例1で得た化合物A1−1 25.5g、化合物A2a−1(オリヱント化学工業株式会社製「NUBIAN BLACK TH−807」) 4.5g、分散剤として日本ルーブリゾール社製「ソルスパ−スJ−200」6.0g、有機溶媒としてPGMEA114.0g、及びφ0.3mmのジルコニアビーズ(ニッカトー製「YTZボール」)300gを容量500mLのポリエチレン製容器に入れ、浅田鉄工(株)製「ペイントシェーカー」にて、640rpmで3時間撹拌した。得られた分散液から濾過にてジルコニアビーズを除去し、分散体1を得た。
(着色硬化性樹脂組成物)
分散体1 10.0gと、前記クリアレジスト液8.0gと、PGMEA 2.0gとを容量30mLのガラス製容器に入れ、密栓した。前記ローラー式攪拌機を用い、50rpmで20分間混合し、表2に示す組成の樹脂組成物を得た。
表1及び2に記載の配合に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、分散体及び樹脂組成物を得た。
なお、製造に用いた原料は、下記の通りである。
A2a−1:アジン系染料(C.I.ソルベントブラック7;オリヱント化学工業株式会社製「NUBIAN BLACK TH−807」、下記化合物A2a−1)
A2b−1:下記化合物A2b−1(アントラキノン系染料)
A2c−1:下記化合物A2c−1(ペリノン系染料)
A2R−51:下記化合物A2R−51(アゾ系染料)
B−1:日本ルーブリゾール社製「ソルスパースJ200」
Claims (9)
- 化合物(A1)と染料(A2)との合計に対する、染料(A2)の質量比〔染料(A2)/(化合物(A1)+染料(A2))〕が、0.01以上0.50以下である、請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
- アルカリ可溶性樹脂を更に含む、請求項1又は2に記載の着色硬化性樹脂組成物。
- カラーフィルタのブラックマトリクス形成用である、請求項1〜6のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備する、カラーフィルタ。
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