JP2016108183A - セメント混和剤 - Google Patents
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Abstract
Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
上記Zの1価の官能基としては、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性官能基;アミノ基等のカチオン性官能基のいずれかが好ましい。より好ましくは、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基のいずれかである。
本発明のリグニン誘導体における2価の連結基は、これらの中でも2価の炭化水素基であることが好ましい。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の2価の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1の2価の炭化水素基、すなわち、メチレン基である。
上記式(1)においてXで表される2価の連結基もこのような構造であることが好ましい。
アミノ酸に該当しない1級又は2級アミン化合物とは、1級又は2級アミン化合物がカルボキシル基を有しない化合物、又は、カルボキシル基を有する場合には、カルボキシル基のα炭素がアミノ基を有しない化合物を意味する。
上記1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニアとしては、下記式(3);
上記主鎖とは、式(3)における窒素原子に直接結合した炭素鎖であって、分岐がある場合には、最も炭素数の多い炭素鎖をいう。また、主鎖の炭素原子がヘテロ原子に置換されていてもよく、この場合、ヘテロ原子の数も主鎖の炭素の数として計算するものとする。
また、置換基とは、主鎖の炭素原子又はヘテロ原子に結合し、主鎖を構成しない基である。
また、本発明の1級又は2級アミン化合物は、置換基としてカルボキシル基を有しないものであることが好ましい。
なお、上記炭素数は、化合物全体が有する炭素の数を意味するものとする。
リグニンの重量平均分子量は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
本発明のリグニン誘導体においては、リグニン由来の水酸基、スルホン酸基等の官能基を利用してアミノ基を導入するのではなく、原料となるリグニン由来の官能基の種類や量に依存せず、アミノ基を導入することができるため、様々な蒸解方法により得られたリグニンを利用することができる。上記リグニン誘導体の原料となるリグニンとして好ましくは、アルカリリグニン、クラフトリグニン、酢酸リグニンである。
重量平均分子量は、GPC分析法を用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
リグニン、1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニア及びアルデヒド化合物を原料として反応させることで、リグニンと1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニア由来のアミノ基とが結合したリグニン誘導体を得ることができる。
上記反応は、アルデヒド化合物を用いた縮合反応により、リグニンと1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニアとを結合させる反応であることが好ましい。
このように、2段階の工程を経てリグニン誘導体を製造することにより、1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニアのリグニンへの導入効率をより向上させることができる。
本発明の製造方法で製造されるリグニン誘導体の反応サイトの構造は、上記式(1)で表される構造であることが好ましい。
このような製造方法は、リグニンと1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニア由来のアミノ基とが2価の連結基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体の好ましい製造方法である。
上記1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアとしては、下記式(4);
R8−CHO (5)
(式中、R8は水素原子又は1価の炭化水素基を表す。)で表されることが好ましい。アルデヒド化合物としてこのような構造の化合物を用いると、リグニン又は1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアに下記式(6);
この場合、リグニンと1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニア由来のアミノ基とがR8より炭素数が1多い2価の炭化水素基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体となる。
式(5)のR8が水素原子である場合、式(5)のアルデヒド化合物はホルムアルデヒドとなる。式(5)のR8が炭素数1〜3の炭化水素基である場合、式(5)のアルデヒド化合物は、それぞれアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナールとなる。
上記1級又は2級アミン化合物がグルタミン酸のような酸性の化合物である場合には、塩基性物質を用いてpHを調節することができる。
上記1級又は2級アミン化合物が塩基性の化合物である場合やアンモニアの場合、1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアを添加することにより反応溶液のpHを塩基性領域とすることができるが、1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニア以外の塩基性物質を用いてpHを調節してもよい。上記1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニア以外の塩基性物質としては、特に制限されないが、例えばナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。反応溶液のpHは、pHメーター(pHメーターD−51:堀場製作所製)により測定することができる。
また反応時間は、0.5〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜4時間である。
上記工程において使用する1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアとアルデヒド化合物との反応生成物の量は、リグニン1000gに対して、10〜15000gであることが好ましい。より好ましくは、10〜7500gであり、更に好ましくは、10〜1500gである。
反応溶液のpH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
リグニン誘導体の重量平均分子量は、以下の測定方法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル+GPCオプション(Waters社製)
カラム:TSKgel ガードカラムα(内径6.0×40mm)+α5000+α4000+α3000(各内径7.8×長さ300mm)(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:100mMホウ酸水溶液14371gに水酸化ナトリウム29gとアセトニトリル3600gを混合した溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
試料濃度:0.5質量%
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
較正曲線:標準物質として東ソー社製ポリエチレングリコール(Mp=300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470、1010、400)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成
得られたリグニン誘導体の電荷特性は、以下の測定方法により測定した。
装置:P/ACE システムMDQ(ベックマン・コールター社製)
解析ソフト:32Karat(ベックマン・コールター社製)
カラム:フューズドシリカキャピラリーカラム P/N=338454(内径75μm×長さ500mm)(ベックマン・コールター社製)
カラム温度:25℃
電圧:20kV
溶媒:50mMホウ酸水溶液
試料濃度:2質量%
検出器:UV、Hgランプ210nm
反応原料として用いたアミン化合物の残存量の確認は、以下の測定方法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム:CAPCELL PAK SCX UG80 5μm(内径4.6mm×長さ250mm、資生堂社製)
カラム温度:40℃
溶媒:100mMリン酸水溶液にリン酸二水素ナトリウム二水和物156gを溶解させた溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)
(第一の工程)
2−アミノエタノール73.7g及び脱イオン水28.3gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを40℃に昇温し、撹拌しながら37%ホルムアルデヒド液98.0gを1時間かけて滴下した。反応系のpHは10.8であった。滴下終了後、40℃でさらに1時間撹拌し、2−(ヒドロキシメチル)アミノエタノールを得た。
(第二の工程)
次に、クラフトリグニン(重量平均分子量17700、ALDRICH製)50.0g、脱イオン水364.7g、30%NaOH水溶液17.5g及び第一の工程で得られた2−(ヒドロキシメチル)アミノエタノールの溶液67.8gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、6時間撹拌した。反応系のpHは11.1であった。その後、冷却し、本発明のリグニン誘導体1を得た。
リグニン誘導体1の重量平均分子量は19000であった。リグニン誘導体1のキャピラリー電気泳動の結果を図1に示す。図1には、得られたリグニン誘導体1の他、リグニンの電気泳動の結果も示した。チオ尿素は電荷のない基準物質である。電気泳動測定で保持時間が長いほど陰イオン性が高いことを意味する。得られた生成物は反応前のリグニンよりも陰イオン性が低い側へシフトしており、この結果から、電荷のない2−アミノエタノールがリグニンに付加していることが確認された。また、LCにより2−(ヒドロキシメチル)アミノエタノールの残存量を定量した結果から、上記反応における2−(ヒドロキシメチル)アミノエタノールの消費率は、82%であった。
実施例1で使用したリグニンと同様のリグニンを比較例1のリグニンとした。
(第一の工程)
グルタミン酸水素ナトリウム12.0g、30%NaOH水溶液7.3g及び、脱イオン水15.5gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを40℃に昇温し、撹拌しながら37%ホルムアルデヒド液5.2gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、40℃でさらに1時間撹拌し、グルタミン酸とホルムアルデヒドの反応溶液を得た。反応系のpHは9.27であった。
(第二の工程)
次に、クラフトリグニン(重量平均分子量17700、ALDRICH製)9.6g、脱イオン水63.7g、30%NaOH水溶液3.2g及び第一の工程で得られた反応溶液15.3gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、6時間撹拌した。反応系のpHは11.3であった。その後、冷却し、リグニン誘導体2を得た。リグニン誘導体2の重量平均分子量は27100であった。
モルタル試験は、温度が20℃±1℃、相対湿度が60%±15%の環境下で行った。
モルタル配合は、C/S/W=500/1350/250(g)とした。
ただし、
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては消泡剤MA−404(BASFジャパン社製)を各試料の固形分に対して40質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。表1において、各試料の添加量は、セメント質量に対する各試料の固形分の質量%で表されている。
モルタルの調製はJIS−R5201−1997に準拠して次のように行った。ホバート型ミキサー(型番N−50;ホバート社製)を用い、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。
S投入終了後、2速で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。
得られたモルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移し、スパチュラで左右各10回かき混ぜた後、直ちにフロー測定板(30cm×30cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、更にモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突き、最後に不足分を補い、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから5分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)及び前記長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。なお、モルタルフロー値は、数値が大きいほど分散性能が優れていることを示す。
上記モルタル空気量(初期空気量)の測定は、JIS−A−1128(2005年改正)の方法により行った。モルタルを500mLのガラス製メスシリンダーに約200mL詰め、径8mmの丸棒で突き、手で軽く振動させて粗い気泡を抜いた。更にモルタルを約200mL加えて同様に気泡を抜いた後、モルタルの体積と質量を測り、各材料の密度から空気量を計算した。
クラフトリグニンに対する2−アミノエタノール及び37%ホルムアルデヒド液のモル比率が、実施例1の第二の工程におけるクラフトリグニンに対する2−(ヒドロキシメチル)アミノエタノールのモル比率と同様となるように、クラフトリグニン、2−アミノエタノール及び37%ホルムアルデヒド液をセパラブルフラスコに一括して仕込みを行った。上記仕込み以外の条件は、実施例1の第二の工程と同条件にて反応を行った。
得られたリグニン誘導体の重量平均分子量は19400であった。また、LCにより、2−アミノエタノールの残存量を定量した結果から、上記反応における2−アミノエタノールの消費率は、64%であった。
Claims (5)
- リグニンと1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニア由来のアミノ基とが2価の連結基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体を含有することを特徴とするセメント混和剤。
- 前記2価の連結基は、2価の炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤。
- リグニン、1級若しくは2級アミン化合物(アミノ酸を除く)又はアンモニア及びアルデヒド化合物を原料として反応させて得られるリグニン誘導体を含有することを特徴とするセメント混和剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤とセメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
- 側鎖にアミノ基を有するリグニン誘導体の製造方法であって、
該製造方法は、1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアとアルデヒド化合物とを反応させる工程と、1級若しくは2級アミン化合物又はアンモニアとアルデヒド化合物との反応生成物とリグニンとを反応させる工程とを含むことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。
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