JP2016108167A - スクライビングツールおよびスクライブ装置 - Google Patents

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【課題】シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツールおよびスクライブ装置を提供する。【解決手段】スクライビングツール30、40は、ホルダ33、43と、ホルダ33、43に設置されたスクライビングホイール31、41と、スクライビングホイール31、41からスクライブ方向に所定距離だけ離間し、且つ、スクライビングホイール31、41に対してスクライブ方向に垂直な一方向に変位した位置のみに配置されたローラ32、42と、を備える。スクライブ動作時に、スクライビングツール30のスクライビングホイール31およびローラ32は、それぞれ、スクライブ方向においてスクライビングツール40のローラ42およびスクライビングホイール41と略同じ位置に位置づけられる。【選択図】図10

Description

本発明は、基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールおよびスクライブ装置に関する。
従来、ガラス基板等の脆性材料基板の分断は、基板表面にスクライブラインを形成するスクライブ工程と、形成されたスクライブラインに沿って基板表面に所定の力を付加するブレイク工程とによって行われる。スクライブ工程では、スクライビングホイールの刃先が、基板表面に押し付けられながら、所定のラインに沿って移動される。スクライブラインの形成には、スクライブヘッドを備えたスクライブ装置が用いられる。
以下の特許文献1には、マザー基板から液晶パネルを切り出すための方法が記載されている。この方法では、薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板と、カラーフィルタ(CF)が形成された基板とをシール材を介して貼り合わせることによって、マザー基板が形成される。このマザー基板が分断されることにより個々の液晶パネルが取得される。シール材は、2つの基板が貼り合わされた状態で液晶注入領域となる空間が残るように配置される。
上記構成のマザー基板を分断する場合には、2つのスクライブヘッドを用いて、マザー基板の両面に、同時にスクライブラインを形成する方法が用いられ得る(たとえば、特許文献2参照)。この場合、2つのスクライブヘッドがマザー基板を挟むように配置される。2つのスクライビングホイールは、マザー基板を平面視したときに同じ位置に位置付けられる。この状態で、2つのスクライビングホイールが同じ方向に同時に移動されて、マザー基板の各面にスクライブラインが形成される。
特開2006−137641号公報 特開2012−240902号公報
上記特許文献1にも示されるように、従前のマザー基板には、隣り合う液晶注入領域の間に、シール材が介在しない領域が存在していた。したがって、上記のように2つのスクライブヘッドによってマザー基板の両面に同時にスクライブラインを形成する場合には、シール材が介在しない領域に、スクライブラインを形成することができた。このようにスクライブラインを形成してマザー基板を分断すると、液晶パネルには、液晶注入領域の周りに所定幅の額縁領域が残ることとなる。
しかしながら、近年、特にモバイル用の液晶パネルにおいて、上記額縁領域を極限まで狭くすることが主流になりつつある。この要求に応えるためには、マザー基板においてシール材が介在しない領域が省略され、隣り合う液晶注入領域は、シール材のみによって区切られるよう構成される必要がある。この場合、スクライブラインは、シール材の直上および直下に形成されることになる。
ところが、このようにシール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成すると、2つのガラス基板にクラックが十分に入らないといった問題が確認された。このようにクラックが不十分な状態でブレイク工程が実行されると、ブレイク後の基板の端縁に細かい亀裂や破損が生じて、ガラス基板の強度が低下する惧れがある。2つのガラス基板の何れか一方に深いクラックを形成できれば、ブレイク工程においてガラス基板を円滑に分断できる。しかしながら、上記特許文献2のように2つのスクライビングホイールを同じ位置に位置付けると、両方の基板に略同じ深さのクラックが形成され、何れか一方のガラス基板に深いクラックを形成することはできない。
かかる課題に鑑み、本発明は、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツールおよびスクライブ装置を提供することを目的とする。
本願発明者らは、試行錯誤の上、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、マザー基板の上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらすことにより、基板により深いクラックが入ることを発見した。
本発明の第1の態様は、第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールに関する。本態様に係るスクライビングツールは、ホルダと、前記ホルダに設置されたスクライビングホイールと、前記スクライビングホイールからスクライブ方向に所定距離だけ離間し、且つ、前記スクライビングホイールに対して前記スクライブ方向に垂直な一方向に変位した位置のみに配置されたローラと、を備える。
本態様に係るスクライビングツールを用いることにより、マザー基板の上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらしつつ、スクライビングホイールと反対側の面をローラで押さえることが可能となる。このようにスクライビングホイールと反対側の面をローラで押さえることにより、スクライビングホイールからの荷重によりマザー基板が撓むことが抑制される。このため、マザー基板の厚みが薄い場合でも、上下のスクライブホイールの位置をずらしつつ、適切な荷重で、各スクライビングホイールをマザー基板の上下の面に押し付けることができる。これにより、深いクラックをマザー基板の表面に安定的に形成することができる。また、ホルダにローラを1つのみ設ければよいので、構成の簡素化とコストの低減が図られ得る。
なお、スクライビングホイールに対してスクライブ方向に垂直な2方向に変位した各位置にローラが配される場合には、ローラの取り付け誤差等によって、スクライブ動作時に何れのローラがマザー基板の表面に当接するかを明確に確定できない。これに対し、本態様に係るスクライビングツールによれば、スクライビングホイールに対して一定の位置がローラによって押さえられるため、当該スクライビングツールを用いた場合のクラックの形成状態を、予め想定した状態にコントロールし易くなる。
本態様に係るスクライビングツールは、前記ホルダの下面に形成された第1の溝と、前記第1の溝を挟むように前記ホルダの下面に形成された一対の第2の溝と、前記第1の溝および前記一対の第2の溝を前記スクライブ方向に垂直な方向に貫くようにそれぞれ配置された2つの軸と、を備える構成とされ得る。この場合、前記スクライビングホイールは、前記第1の溝に挿入された状態で前記2つの軸の一方に軸支されるようにして前記ホルダに装着され、前記ローラは、前記一対の第2の溝の何れか一方に挿入された状態で前記2つの軸の他方に軸支されるようにして前記ホルダに装着される。こうすると、一つのホルダに対して、スクライビングホイールおよびローラの取り付け位置を自由に設定することができる。よって、スクライビングツールがマザー基板の上側に配置される場合と、スクライビングツールがマザー基板の下側に配置される場合とで、ホルダを共用することができる。
本態様に係るスクライビングツールにおいて、前記スクライビングホイールは、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに前記刃先の稜線に所定の間隔で溝を有して形成され得る。以下に示す実施の形態では、この種のスクライビングホイールによって実験が行われ、クラックが深く入ることが確認されている。
本発明の第2の態様は、第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置に関する。本態様に係るスクライブ装置は、前記マザー基板の上面に配置された第1のスクライブヘッドと、前記マザー基板の下面に配置された第2のスクライブヘッドと、を備える。前記第1および第2のスクライブヘッドには、それぞれ、上記第1の態様に係るスクライビングツールが装着される。スクライブ装置は、前記第1のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記スクライビングホイールおよび前記ローラを、それぞれ、前記第2のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記ローラおよび前記スクライビングホイールに対向させた状態で、前記第1のスクライブヘッドおよび前記第2のスクライブヘッドを移動させて、前記マザー基板の両面に同時にスクライブラインを形成する。
本態様に係るスクライブ装置によれば、上記第1の態様に係るスクライビングツールについて述べたと同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明によれば、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツールおよびスクライブ装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
実施の形態に係るスクライブ装置の構成を模式的に示す図である。 実施の形態に係るスクライブヘッドの構成を示す分解斜視図である。 実施の形態に係るスクライブヘッドの構成を示す斜視図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの構成を示す分解斜視図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの構成を示す分解斜視図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの構成を示す斜視図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの構成を示す側面図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの構成を示す側面図である。 実施の形態に係るスクライビングツールの装着方法を模式的に示す図である。 実施の形態に係るスクライビングツールによるスクライブ動作を模式的に示す図である。 実施の形態に係るスクライビングツールによるスクライブ動作を模式的に示す図である。 実施の形態に係るスクライブングツールを用いてスクライブ動作を行った場合の実験結果を示す図である。 変更例に係るスクライビングツールの構成を模式的に示す図である。 他の変更例に係るスクライビングツールの構成を模式的に示す図である。 さらに他の変更例に係るスクライビングツールの構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X−Y平面は水平面に平行で、Z軸方向は鉛直方向である。
<スクライブ装置>
図1(a)、(b)は、スクライブ装置1の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、Y軸正側からスクライブ装置1を見た図、図1(b)は、X軸正側からスクライブ装置1を見た図である。
図1(a)を参照して、スクライブ装置1は、コンベア11と、支柱12a、12bと、ガイド13a、13bと、ガイド14a、14bと、摺動ユニット15、16と、2つのスクライブヘッド2を備える。
図1(b)に示すように、コンベア11は、スクライブヘッド2が配置される箇所を除いて、Y軸方向に延びるように設けられている。コンベア11上には、マザー基板Gが載置される。マザー基板Gは、一対のガラス基板が相互に貼り合わされた構造を有する。マザー基板Gは、コンベア11によりY軸方向に送られる。
支柱12a、12bは、スクライブ装置1のベースに垂直に設けられている。ガイド13a、13bおよびガイド14a、14bは、それぞれ、X軸方向に平行となるように、支柱12a、12bの間に架設されている。摺動ユニット15、16は、それぞれ、ガイド13a、13b、ガイド14a、14bに摺動自在に設けられている。ガイド13a、13bおよびガイド14a、14bには、それぞれ、所定の駆動機構が設けられており、この駆動機構により、摺動ユニット15、16がX軸方向に移動される。
摺動ユニット15、16には、それぞれ、スクライブヘッド2が装着されている。上側のスクライブヘッド2と下側のスクライブヘッド2には、それぞれ、マザー基板Gに対向するようにスクライビングツール30、40が取り付けられている。スクライビングツール30、40に保持されたスクライビングホイールがマザー基板Gの表面に押し付けられた状態でスクライブヘッド2がX軸方向に移動する。これにより、マザー基板Gの表面にスクライブラインが形成される。
<スクライブヘッド>
図2は、スクライブヘッド2の構成を示す一部分解斜視図、図3は、スクライブヘッド2の構成を示す斜視図である。
図2を参照して、スクライブヘッド2は、昇降機構21と、スクライブライン形成機構22と、ベースプレート23と、トッププレート24と、ボトムプレート25と、ゴム枠26と、カバー27と、サーボモータ28とを備える。
昇降機構21は、サーボモータ28の駆動軸に連結された円筒カム21aと、昇降部21bの上面に形成されたカムフォロア21cとを備える。昇降部21bは、スライダー(図示せず)を介してベースプレート23に上下方向に移動可能に支持され、バネ21dによってZ軸正方向に付勢されている。バネ21dの付勢により、カムフォロア21cは円筒カム21aの下面に押し付けられている。昇降部21bはスクライブライン形成機構22に連結されている。サーボモータ28により円筒カム21aが回動すると、円筒カム21aのカム作用によって昇降部21bが昇降し、これに伴い、スクライブライン形成機構22が昇降する。スクライブライン形成機構22の下端に、スクライビングツール30、40が装着される。
ゴム枠26は、空気を通さない弾性部材である。ゴム枠26は、ベースプレート23の溝23a、トッププレート24の溝24aおよびボトムプレート25の溝25aに嵌まり込む形状を有している。ゴム枠26が溝23a、24a、25aに装着された状態で、ゴム枠26の表面は、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25の側面よりも僅かに外側に突出する。
カバー27は、前面部27a、右側面部27bおよび左側面部27cの3つの板部が折り曲げられた形状を有する。前面部27aの上下の端縁には、2つの孔27fが形成されている。
ゴム枠26が溝23a、24a、25aに嵌め込まれた状態で、カバー27の右側面部27bと左側面部27cが外側に撓むように変形されて、カバー27がベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25に取り付けられる。この状態で、前面部27aの上下の端縁に形成された2つの孔27fを介して、ネジがトッププレート24およびボトムプレート25に螺着される。さらに、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25の溝23a、24a、25aのやや外側に形成されたネジ穴に、ネジが螺着される。これにより、カバー27が、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25とネジの頭部とによって挟み込まれ、右側面部27bおよび左側面部27cの周縁部がゴム枠26に押し付けられる。こうして、図3に示すようにスクライブヘッド2が組み立てられる。
図1(a)に示すように、2つのスクライブヘッド2がマザー基板Gの上下にそれぞれ配される。2つのスクライブヘッド2は同じ構成となっている。2つのスクライブヘッド2には、スクライビングツール30、40が着脱可能に装着される。
<スクライビングツール>
図4は、スクライビングツール30の構成を示す分解斜視図である。
スクライビングツール30は、スクライビングホイール31と、ローラ32と、ホルダ33と、軸34、35とを備える。
スクライビングホイール31は、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに刃先の稜線に所定の間隔で溝を有する構造となっている。スクライビングホイール31として、たとえば、三星ダイヤモンド工業株式会社製、マイクロペネット(三星ダイヤモンド工業株式会社の登録商標)が用いられる。スクライビングホイール31の中央には円形の孔31aが形成されている。孔31aの径は、軸34の径よりもやや大きい。軸34は、超硬合金や焼結ダイヤモンド等の剛性の高い材料からなっている。軸34の両端は、径が徐々に小さくなって円形の端面へと続くように形成されている。
ローラ32は、金属材料や超硬合金等により構成され、円筒形の形状を有する。ローラ32の中央には円形の孔32aが形成されている。孔32aの径は、軸35の径よりもやや大きい。軸35は、超硬合金や焼結ダイヤモンド、金属等の剛性の高い材料からなっている。軸35の一端は、面取りされ径が徐々に小さくなって円形の端面へと続くように形成されており、他端は尖頭形状とされている。軸34と軸35は、同じ材料から構成され、また同じ形状および大きさとなっている。
ホルダ33は、強磁性体からなっている。ホルダ33は、円柱状の胴部33aと、胴部33aの下端に一体的に続く方形状の脚部33bとを備える。胴部33aには、側面が切り欠かれることによって傾斜面33cが形成されている。傾斜面33cは、スクライブ方向と鉛直方向に平行な面内方向に、水平方向から所定の角度だけ傾いている。
脚部33bの中央には、スクライブ方向に平行な溝331が形成されている。溝331は、脚部33bの幅方向(スクライブ方向に垂直な方向)中央位置に形成されている。溝331の隙間は、スクライビングホイール31の厚みよりも僅かに広い。また、溝331の両側に、それぞれ、スクライブ方向に平行な溝332a、332bが形成されている。溝332a、332bは、溝331に対して対称に配置されている。溝332a、332bの隙間は、ローラ32の厚みよりも僅かに広い。溝331、332a、332bは、ワイヤー放電等によって形成される。
脚部33bの一方の側面には、溝332aへと連通する挿入孔333aが形成されている。脚部33bには、挿入孔333aと同軸の位置に、さらに3つの挿入孔333b、333c、333dが形成されている。挿入孔333a〜333dの進行方向は、スクライブ方向に垂直である。また、挿入孔333a〜333cの径は、軸34の径と略同じである。孔333dの入口の径は軸34の径と同じであり、孔333dの出口は、軸34の尖頭形状の一端を受けるように径が小さくなっている。
また、脚部33bの一方の側面には、溝332aへと連通するもう一つの挿入孔334aが形成されている。また、脚部33bには、挿入孔334aと同軸の位置にさらに3つの挿入孔334b、334c、334dが形成されている。挿入孔334a〜334dの進行方向は、スクライブ方向に垂直である。また、挿入孔334a〜334cの径は、軸35の径と略同じである。孔334dの入口の径は軸35の径と同じであり、孔334dの出口は、軸35の尖頭形状の一端を受けるように径が小さくなっている。
スクライビングツール30の組み立て時には、孔31aが挿入孔333b、333cに向き合うように、スクライビングホイール31が溝331に挿入される。この状態で、軸34が挿入孔333aに通される。軸34は、挿入孔333bを通ってスクライビングホイール31の孔31aに挿入され、さらに、挿入孔333c、333dに挿入される。軸34は、後端が脚部33bの側面と略同一平面上に位置付けられるまで挿入される。この状態で、軸34の先端は、挿入孔333dの出口において、脚部33bの反対側の側面と略同一平面上に位置付けられる。
また、孔32aが挿入孔334c、334dに向き合うように、ローラ32が溝332bに挿入される。この状態で、軸35が挿入孔334aに通される。軸35は、挿入孔334b、334cを通ってローラ32の孔31aに挿入され、さらに、挿入孔334dに挿入される。軸35は、後端が脚部33bの側面と略同一平面上に位置付けられるまで挿入される。この状態で、軸35の先端は、挿入孔334dの出口において、脚部33bの反対側の側面と略同一平面上に位置付けられる。こうして、スクライビングツール30の組み立てが完了する。
図5は、スクライビングツール40の構成を示す分解斜視図である。
スクライビングツール40は、スクライビングホイール41とローラ42の装着位置がスクライビングツール30と異なることを除いて、スクライビングツール30と同様の構成を有する。ホルダ43の構成は、スクライビングツール30のホルダ33と全く同じである。ホルダ43は、胴部43a、脚部43bおよび傾斜面43cを備え、脚部43bには、溝431、432a、432bと、挿入孔433a〜433dおよび挿入孔434a〜434dが形成されている。スクライビングホイール41、ローラ42および軸44、45の構成も、スクライビングツール30のスクライビングホイール31、ローラ32および軸34、55と同様である。
スクライビングツール40の組み立て時には、孔41aが挿入孔434b、434cに向き合うように、スクライビングホイール41が溝431に挿入される。また、孔42aが挿入孔433a、433bに向き合うように、ローラ42が溝432aに挿入される。この状態で、軸44が、挿入孔434aから挿入孔434dに向かって挿入され、また、軸45が、挿入孔433aから挿入孔433dに向かって挿入される。こうして、スクライビングホイール41とローラ42が、それぞれ、軸44、45により回転可能に支持され、スクライビングツール40の組み立てが完了する。
図6(a)、(b)は、それぞれ、組立後のスクライビングツール30、40の外観を示す斜視図である。図6(a)に示すように、溝331および溝332a、332bをスクライブ方向に垂直な方向に貫くように、2つの軸34、35がホルダ33に装着され、これら軸34、35にそれぞれスクライビングホイール31とローラ32が回転自在に支持される。また、図6(b)に示すように、溝431および溝432a、432bをスクライブ方向に垂直な方向に貫くように、2つの軸44、45がホルダ43に装着され、これら軸44、45にそれぞれスクライビングホイール41とローラ42が回転自在に支持される。なお、ここでは、ローラ32、42が軸35、45に直接支持されたが、ベアリングを介してローラ32、42が軸35、45に支持されても良い。
図7(a)〜(c)は、スクライビングツール30の構成を示す左側面図、正面図、右側面図である。図8(a)〜(c)は、スクライビングツール40の構成を示す左側面図、正面図、右側面図である。
図7(b)を参照して、正面側からスクライビングツール30を見ると、スクライビングホイール31から右側に変位した位置に、ローラ32が配されている。また、図8(b)を参照して、正面側からスクライビングツール40を見ると、スクライビングホイール41から左側に変位した位置に、ローラ42が配されている。
図7(a)を参照して、軸34に平行な方向にスクライビングツール30を見ると、スクライビングホイール31およびローラ32は、それぞれ、ホルダ33の下面からD1、D2だけ突出している。D1は、ホルダ33の下面からスクライビングホイール31の刃先の下端までの距離であり、D2は、ホルダ33の下面からローラ32の下端までの距離である。本実施の形態では、D1がD2よりも大きく設定される。また、スクライビングホイール31の刃先の下端とローラ32の下端との間の距離は、D3に設定されている。ローラ32の下端は、スクライブ方向において、脚部33bの略中央位置にある。
図8(a)を参照して、軸44に平行な方向にスクライビングツール40を見ると、スクライビングホイール41およびローラ42は、それぞれ、ホルダ43の下面からD1、D2だけ突出し、スクライビングホイール41の刃先の下端とローラ42の下端との間の距離は、D3に設定されている。すなわち、ホルダ43の下面に対するスクライビングホイール41およびローラ42の突出量は、それぞれ、スクライビングツール30におけるスクライビングホイール31およびローラ32の突出量に等しい。また、スクライビングホイール41の刃先の下端とローラ42の下端との間の距離は、スクライビングツール30におけるスクライビングホイール31の刃先の下端とローラ32の下端との間の距離に等しい。スクライビングツール40では、スクライビングホイール41の刃先の下端が、スクライブ方向において、脚部43bの略中央位置にある。
図9(a)、(b)は、スクライブライン形成機構22に対するスクライビングツール30の取り付け方法を模式的に示す図である。図9(a)、(b)では、スクライブライン形成機構22の内部が透視された状態が示されている。
スクライブライン形成機構22の下端には、スクライビングツール30を保持する保持部221が設けられ、この保持部221に、スクライビングツール30を挿入可能な穴222が形成されている。穴222の底には磁石224が設置され、穴222の中間位置にピン223が設けられている。上記のように、スクライビングツール30のホルダ33は強磁性体からなっている。
スクライブライン形成機構22にスクライビングツール30を取り付ける場合、スクライビングツール30のホルダ33が保持部221の穴222に挿入される。ホルダ33の上端が磁石224に接近するとホルダ33が磁石224に吸着される。このとき、ホルダ33の傾斜面33cがピン223に当接し、ホルダ33が正規の位置に位置決めされる。こうして、図9(b)に示すように、スクライビングツール30がスクライブライン形成機構22の下端に装着される。スクライビングツール40も同様にしてスクライブライン形成機構22の下端に装着される。
図10(a)は、スクライビングツール30、40をそれぞれ対応するスクライブライン形成機構22に装着した状態を模式的に示す要部側面図、図10(b)は、スクライビングホイール31、41付近をX軸負側から見た図である。
図10(a)に示すように、上側のスクライブヘッド2のスクライブライン形成機構22は、下側のスクライブヘッド2のスクライブライン形成機構22に対して、X軸方向の同じ位置に位置付けられる。これにより、スクライビングツール30のスクライビングホイール31がスクライビングツール40のローラ42に対向し、スクライビングツール40のスクライビングホイール41がスクライビングツール30のローラ32に対向する。すなわち、スクライビングホイール31およびローラ32は、それぞれ、ローラ42およびスクライビングホイール41とスクライブ方向において略同じ位置に位置づけられる。
図10(b)に示すように、スクライビングホイール31の直下位置はローラ42によって押さえられず、直下位置からY軸正方向に所定距離だけずれた位置がローラ42によって押さえられる。同様に、スクライビングホイール41の直上位置はローラ32によって押さえられず、直上位置からY軸正方向に所定距離だけずれた位置がローラ32によって押さえられる。
スクライブ動作時には、このようにスクライビングホイール31、41とローラ42、32との位置関係を保ったまま、上下のスクライブヘッド2がスクライブ方向(X軸正方向)に移動される。これにより、マザー基板Gの上下の面にスクライブラインが形成される。
図11(a)はY軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図11(b)はX軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図11(c)はZ軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図である。便宜上、図11(a)〜(c)には、スクライビングホイール31、41のみが図示されている。
図11(a)に示すように、本実施の形態では、下側のスクライブヘッド2のスクライビングホイール41が、上側のスクライブヘッド2のスクライビングホイール31よりも、スクライブ方向に距離D3だけ先行するようにして、2つのスクライビングホイール31、41が移動される。
図11(b)を参照して、マザー基板Gは、シール材SLを介して2つのガラス基板G1、G2を貼り合わせて構成されている。ガラス基板G1にはカラーフィルタ(CF)が形成され、ガラス基板G2には薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。シール材SLと2つのガラス基板G1、G2によって、液晶注入領域Rが形成され、この液晶注入領域Rに液晶が注入される。2つのスクライビングホイール31、41は、Y軸方向に互いにずれることなく位置付けられる。スクライビングホイール31は、シール材SLの直上の位置においてガラス基板G1の表面に押し付けられ、スクライビングホイール41は、シール材SLの直下の位置においてガラス基板G2の表面に押し付けられる。
図11(c)に示すように、シール材SLは格子状に配置されている。2つのスクライビングホイール31、41は、シール材SLに沿ってX軸正方向に移動される。これにより、図11(b)、(c)に示すように、ガラス基板G1、G2の表面に、それぞれ、スクライブラインL1、L2が形成される。上記のように、本実施の形態では、スクライブ動作時に、スクライビングホイール31と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面がローラ42によって押さえられ、また、スクライビングホイール41と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面がローラ32によって押さえられる。
<実験>
本願発明者らは、図6(a)、(b)に示すスクライビングツール30、40を用いてマザー基板Gにスクライブラインを形成する実験を行った。以下、この実験と実験結果について説明する。
実験では、厚みがそれぞれ0.2mmのガラス基板G1、G2をシール材SLを介して貼り合わせた基板(マザー基板)を用いた。貼り合わせ基板(マザー基板)のサイズは115mm×500mmである。スクライビングホイール31、41は、上記と同様の構造のものを用いた。すなわち、本実験で用いたスクライビングホイール31、41は、それぞれ、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに刃先の稜線に所定の間隔で溝を有する構造である。ローラ32、42は、超硬合金からなるものを用いた。
また、実験では、スクライビングホイール31、41間の距離D3(図7(a)、図8(a)参照)が2.2mmに設定された。また、スクライビングホイール31、41の移動速度は、一定(200mm/sec)とした。下側のスクライブヘッド2の荷重中心に対するスクライビングホイール41の偏心量は、スクライブ方向と反対方向に1.0mmであり、上側のスクライブヘッド2の荷重中心に対するスクライビングホイール31の偏心量は、スクライブ方向と反対方向に3.2mmであった。
スクライビングホイール31、41の軸34、44の中心は、それぞれ、ローラ32、42の軸35、45の中心と、Z軸方向において一致させた。スクライビングホイール31、41の直径は3.1mmであった。また、ローラ32、42の直径は、何れも3mmであった。すなわち、ローラ32、42の直径は、スクライビングホイール31、41の直径よりも0.1mm小さく設定した。したがって、図7(a)、図8(a)に示すD1、D2の差分は、0.05mmであった。
以上の条件のもと、図10(a)〜図11(c)で説明したようにスクライビングツール30、40を移動させてスクライブ動作を行った。このとき、スクライビングツール30、40に付与される荷重を数段階に変化させ、各荷重について、ガラス基板G1、G2におけるクラックの浸透量を計測した。
図12(a)に、上記実験条件に基づく実験結果(実施例)を示す。図12(a)には、クラックの浸透量およびリブマーク量がガラス基板G1、G2の厚みに対する割合で示されている。実験結果中の浸透量およびリブマーク量は、顕微鏡下での実測値である。なお、浸透量がガラス基板G1、G2の厚みの100%に近い場合、クラックが進展していない部分が薄くなりすぎて、正確な浸透量の測定が困難であった。このため、図12(a)では、浸透量がガラス基板G1、G2の厚みの100%に近い場合に、99%の数値を当て嵌めている。
また、比較例1として、ローラ32、42が溝332a、332bの両方および溝432a、432bの両方に配置された場合の実験を行った。さらに、比較例2として、スクライビングツール30、40にスクライビングホイール31、41のみを配置し、スクライビングホイール31、41をスクライブ方向に互いにシフトさせずにスクライブ動作を行う場合の実験を行った。すなわち、比較例2では、図11(a)に示す距離D3が0である。比較例1、2におけるその他の実験条件は、実施例と同様である。図12(b)、(c)は、それぞれ、比較例1、2の実験結果である。
まず、図12(c)を参照すると、比較例2では、ガラス基板G1、G2におけるクラックの浸透量が、ガラス基板G1、G2の厚みの50%程度までに留まっている。比較例2では、荷重を大きくするに伴いガラス基板G1、G2におけるクラックの浸透量が徐々に大きくなるものの、荷重が9N以上となると、ガラス基板G1、G2に水平方向のクラックが発生し、それ以上は荷重を高めることができない。
これに対し、実施例では、図12(a)に示すように、下側のガラス基板G2に対してクラックの浸透量を大きくすることができる。実施例では、荷重が7Nである場合も、ガラス基板G2におけるクラックの浸透量がガラス基板G2の厚みの64%程度にまで高まる。さらに、実施例では、荷重が8N以上になると、ガラス基板G2におけるクラックの浸透量が急激に増加して、ガラス基板G2の厚み(0.2mm)の99%(略100%)に達する。
このように、ガラス基板G1、G2のうち何れか一方に大きな浸透量でクラックが入ると、ブレイク工程において、マザー基板Gを適正に分断することができる。
たとえば、比較例2のように、ガラス基板G1、G2におけるクラック量が共にガラス基板G1、G2の厚み(0.2mm)の半分程度であると、ブレイク工程において、マザー基板Gの両側からガラス基板G1、G2をそれぞれブレイクする必要がある。このようにマザー基板Gの両側からガラス基板G1、G2をそれぞれブレイクする動作が行われると、ガラス基板G1、G2の切断面の端縁に細かい亀裂や破損が生じて、ガラス基板G1、G2の強度が低下する惧れがある。
これに対し、実施例では、ガラス基板G1におけるクラックの浸透量は小さいものの、ガラス基板G2におけるクラックの浸透量が顕著に大きい。このようにガラス基板G2におけるクラックの浸透量が大きい場合、ブレイク工程では、クラックの浸透量が小さいガラス基板G1をマザー基板Gの一方側のみからブレイクする動作が行われればよく、このブレイク動作の際に、深くクラックが入ったガラス基板G2も同時にクラックに沿って分断される。このようにマザー基板Gの一方側のみからガラス基板G1、G2をブレイクすると、ガラス基板G1、G2の切断面の端縁に細かい亀裂や破損が生じることがなく、ガラス基板G1、G2の強度が高く保たれる。
以上の理由から、マザー基板Gの分断においては、ガラス基板G1、G2の何れか一方に大きな浸透量でクラックが入っていることが望ましい。実施例では、ガラス基板Gに対するクラックの浸透量が顕著に大きくなっている。特に、荷重が8N以上になると、ガラス基板G2に対するクラックの浸透量が、ガラス基板G2の厚みの略100%に達する。したがって、本実験の条件下では、スクライビングツール30、40に付与される荷重を8N以上に設定することが望ましいと言える。
なお、スクライビングホイール31、41間の距離D3を広げると、スクライブ方向に先行する下側のスクライビングホイール41によってクラックが浸透し易くなるが、反面、スクライビングホイール31、41の間において、マザー基板Gが歪み易くなる。したがって、スクライビングホイール31、41の間隔は、クラックの浸透量とマザー基板Gの歪みを考慮して、適切な値に設定する必要がある。図12(a)に示すように、実施例ではガラス基板G2におけるクラックの浸透量が顕著に高められたため、スクライビングホイール31、41間の距離D3は、2.2mmを中心に1〜4mm程度に設定することが望ましいと言える。
なお、図12(b)に示す比較例1の実験結果と図12(a)に示す実施例の実験結果とを比較すると、ガラス基板G1、G2に対する浸透量は、比較例1と実施例との間で略同等であり、むしろ、ガラス基板G2に対するクラックの浸透量は、実施例の方が僅かに深くなっている。したがって、ローラ32、42は、必ずしも、スクライビングホイール31、41の両側に配置しなくても良く、実施例のように、スクライビングホイール31、41の片側に配置すれば良い。
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
図4〜図8に示すスクライビングツール30、40を用いることにより、マザー基板Gの上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらしつつ、スクライビングホイール31、41と反対側の面をローラ42、32で押さえることが可能となる。これにより、実験で示したとおり、シール材SLの直下の位置に、深いクラックでスクライブラインL2を形成することができる。
スクライビングホイール31、41と反対側の面をローラ42、32で押さえることにより、スクライビングホイール31、41からの荷重によりマザー基板Gが撓むことが抑制される。このため、マザー基板Gの厚みが薄い場合でも、上下のスクライブホイール31、41の位置をずらしつつ、適切な荷重で、各スクライビングホイール31、41をマザー基板Gの上下の面に押し付けることができる。これにより、深いクラックをマザー基板Gの表面に安定的に形成することができる。
ホルダ33、43には、片方に一つのローラ32、42のみが配置されるため、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
なお、上記比較例1のように、スクライビングホイール31に対してスクライブ方向に垂直な2方向に変位した位置(本実施の形態では、溝332a、332bの両方)にローラ32が配される場合には、ローラ32の取り付け誤差等によって、スクライブ動作時に何れのローラ32がマザー基板Gの表面に当接するかを明確に確定できない。この点は、スクライビングツール40に2つのローラ42を配する場合も同様である。これに対し、本実施の形態に係るスクライビングツール30、40によれば、スクライビングホイール31、41に対してY軸正側に変位した一定の位置がローラ42、32によって押さえられるため、当該スクライビングツール30、40を用いた場合のクラックの形成状態を、予め想定した状態にコントロールし易くなる。
また、本実施の形態によれば、ホルダ33、43が同様の構成となっているため、マザー基板Gの上側に配置されるスクライビングツール30と、マザー基板Gの下側に配置されるスクライビングツール40に対して、共通のホルダを用いることができる。よって、スクライビングツール30、40に対してホルダを使い分ける必要がなく、作業性の向上とコストの低減を図ることができる。
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、刃先の稜線に一定間隔で溝が形成されたスクライビングホールが用いられたが、稜線に溝が形成されていないスクライビングホイールを用いても同様の効果が奏されることが想定され得る。スクライビングホイール(刃先)の大きさや形状は、上記実験に記載されたものに限定されるものではなく、他の大きさや形状、種類の刃先を適宜用いることができる。
また、上記実施の形態では、図10(b)に示すように、スクライビングホイール31、41に対して同じ方向に変位した位置にローラ32、42が配置されたが、スクライビングホイール31、41に対するローラ32、42の変位方向はこれに限られるものではない。たとえば、図13(a)に示すように、スクライビングホイール31、41に対して相反する方向に変位した位置にローラ32、42が配置されても良い。ただし、この構成では、スクライブ動作時におけるマザー基板Gの歪みがX軸方向の成分とともにY軸方向の成分をも持つこととなるため、上記実施の形態に比べて歪みが複雑になる。よって、スクライブ動作時におけるマザー基板Gの歪みを単純化し、スクライブ動作をより安定化させるためには、上記実施の形態のように、スクライビングホイール31、41に対してローラ32、42を同じ方向に変位させることが好ましい。
また、上記実施の形態では、スクライブ動作時に、マザー基板Gの下側のスクライビングホイール41を上側のスクライビングホイール31に対してスクライブ方向に先行させたが、図13(b)に示すように、マザー基板Gの上側のスクライビングホイール31を下側のスクライビングホイール41に対してスクライブ方向に先行させても良い。この場合は、マザー基板Gの上面に、深いクラックで、スクライブラインL1を形成することができる。
また、上記実施の形態では、図7(a)および図8(a)に示すように、スクライビングホイール31、41の突出量D1がローラ32、42の突出量D2よりも大きく設定されたが、突出量D1、D2を同じにすることも可能であり、また、突出量D2を突出量D1よりも大きくすることも可能である。また、突出量D1、D2は上記実験で示した大きさに限られるものではなく、他の大きさであっても良い。距離D3も適宜変更可能である。
また、上記実施の形態では、図10(b)に示すように、スクライブ動作の際にローラ32、42をスクライビングホイール31、41に対して同じ方向に変位した位置に位置付けるために、ホルダ33、43の脚部33b、43bに一対の溝332a、332bおよび一対の溝432a、432bを設けたが、図14(a)、(b)のように、ホルダ33、43から溝332b、432bが省略されても良い。この場合、スクライブ動作の際にローラ32、42は、スクライビングホイール31、41に対して相反する方向に変位した位置に位置付けられる。ただし、この構成によっても、ホルダ33、43は同様の構成であるため、マザー基板Gの上側に配置されるスクライビングツール30と、マザー基板Gの下側に配置されるスクライビングツール40に対して、共通のホルダを用いることができる。
また、図15(a)、(b)のように、ホルダ33では溝332aが省略され、ホルダ43では溝432bが省略される構成であっても良い。この場合、スクライブ動作の際にローラ32、42は、上記実施の形態と同様、スクライビングホイール31、41に対して同じ方向に変位した位置に位置付けられる。ただし、この構成では、ホルダ33、43の構成が相違するため、マザー基板Gの上側に配置されるスクライビングツール30と、マザー基板Gの下側に配置されるスクライビングツール40に対して、ホルダを使い分ける必要がある。
この他、マザー基板Gの構成、厚み、材質等は、上記実施の形態に示すものに限定されるものではなく、他の構成のマザー基板Gの切断にも、スクライブツール30、40を用いることができる。ホルダ33、43の形状も上記に示されたものに限定されるものではない。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
2 … スクライブヘッド(第1のスクライブヘッド、第2のスクライブヘッド)
30、40 … スクライビングツール
31、41 … スクライビングホイール
32、42 … ローラ
33、43 … ホルダ
34、35、44、45 … 軸
331、431 … 溝(第1の溝)
332a、332b、432a、432b … 溝(第2の溝)

Claims (5)

  1. 第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールであって、
    ホルダと、
    前記ホルダに設置されたスクライビングホイールと、
    前記スクライビングホイールからスクライブ方向に所定距離だけ離間し、且つ、前記スクライビングホイールに対して前記スクライブ方向に垂直な一方向に変位した位置のみに配置されたローラと、を備える、
    ことを特徴とするスクライビングツール。
  2. 請求項1に記載のスクライビングツールにおいて、
    前記ホルダの下面に形成された第1の溝と、
    前記第1の溝を挟むように前記ホルダの下面に形成された一対の第2の溝と、
    前記第1の溝および前記一対の第2の溝を前記スクライブ方向に垂直な方向に貫くようにそれぞれ配置された2つの軸と、を備え、
    前記スクライビングホイールは、前記第1の溝に挿入された状態で前記2つの軸の一方に軸支されるようにして前記ホルダに装着され、
    前記ローラは、前記一対の第2の溝の何れか一方に挿入された状態で前記2つの軸の他方に軸支されるようにして前記ホルダに装着される、
    ことを特徴とするスクライビングツール。
  3. 請求項1または2に記載のスクライビングツールにおいて、
    前記スクライビングホイールは、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに前記刃先の稜線に所定の間隔で溝を有して形成されている、
    ことを特徴とするスクライビングツール。
  4. 第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置において、
    前記マザー基板の上面に配置された第1のスクライブヘッドと、
    前記マザー基板の下面に配置された第2のスクライブヘッドと、を備え、
    前記第1および第2のスクライブヘッドには、それぞれ、請求項1ないし3の何れか一項に記載のスクライビングツールが装着され、
    前記第1のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記スクライビングホイールおよび前記ローラを、それぞれ、前記第2のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記ローラおよび前記スクライビングホイールに対向させた状態で、前記第1のスクライブヘッドおよび前記第2のスクライブヘッドを移動させて、前記マザー基板の両面に同時にスクライブラインを形成する、ことを特徴とするスクライブ装置。
  5. 請求項4に記載のスクライブ装置において、
    前記第1のスクライブヘッドには、前記スクライビングホイールに対して前記スクライブ方向に垂直な一方向に変位した位置に前記ローラが位置付けられ、
    前記第2のスクライブヘッドには、前記スクライビングホイールに対して前記第1のスクライブヘッドにおける前記ローラの変位方向と同じ方向に変位した位置に前記ローラが位置付けられる、
    ことを特徴とするスクライブ装置。
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