JP2016047787A - スクライビングツールおよびスクライブ装置 - Google Patents
スクライビングツールおよびスクライブ装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016047787A JP2016047787A JP2014173524A JP2014173524A JP2016047787A JP 2016047787 A JP2016047787 A JP 2016047787A JP 2014173524 A JP2014173524 A JP 2014173524A JP 2014173524 A JP2014173524 A JP 2014173524A JP 2016047787 A JP2016047787 A JP 2016047787A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- scribing
- scribe
- roller
- wheel
- scribing tool
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツール及びスクライブ装置の提供。
【解決手段】ホルダ33と、ホルダ33の下面に形成された溝331と、溝331に対してスクライブ方向に平行な方向に変位した位置に形成された凹部332と、溝331に回転可能に装着されたスクライビングホイール31と、凹部332に回転可能に装着されたローラ32と、を備え、スクライビングホイール31を回転可能に支持する軸35とローラ32を回転可能に支持する軸36がスクライブ方向に所定距離だけ互いに離れているスクライビングツール30。
【選択図】図8
【解決手段】ホルダ33と、ホルダ33の下面に形成された溝331と、溝331に対してスクライブ方向に平行な方向に変位した位置に形成された凹部332と、溝331に回転可能に装着されたスクライビングホイール31と、凹部332に回転可能に装着されたローラ32と、を備え、スクライビングホイール31を回転可能に支持する軸35とローラ32を回転可能に支持する軸36がスクライブ方向に所定距離だけ互いに離れているスクライビングツール30。
【選択図】図8
Description
本発明は、基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールおよびスクライブ装置に関する。
従来、ガラス基板等の脆性材料基板の分断は、基板表面にスクライブラインを形成するスクライブ工程と、形成されたスクライブラインに沿って基板表面に所定の力を付加するブレイク工程とによって行われる。スクライブ工程では、スクライビングホイールの刃先が、基板表面に押し付けられながら、所定のラインに沿って移動される。スクライブラインの形成には、スクライブヘッドを備えたスクライブ装置が用いられる。
以下の特許文献1には、マザー基板から液晶パネルを切り出すための方法が記載されている。この方法では、薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板と、カラーフィルタ(CF)が形成された基板とをシール材を介して貼り合わせることによって、マザー基板が形成される。このマザー基板が分断されることにより個々の液晶パネルが取得される。シール材は、2つの基板が貼り合わされた状態で液晶注入領域となる空間が残るように配置される。
上記構成のマザー基板を分断する場合には、2つのスクライブヘッドを用いて、マザー基板の両面に、同時にスクライブラインを形成する方法が用いられ得る(たとえば、特許文献2参照)。この場合、2つのスクライブヘッドがマザー基板を挟むように配置される。2つのスクライビングホイールは、マザー基板を平面視したときに同じ位置に位置付けられる。この状態で、2つのスクライビングホイールが同じ方向に同時に移動されて、マザー基板の各面にスクライブラインが形成される。
上記特許文献1にも示されるように、従前のマザー基板には、隣り合う液晶注入領域の間に、シール材が介在しない領域が存在していた。したがって、上記のように2つのスクライブヘッドによってマザー基板の両面に同時にスクライブラインを形成する場合には、シール材が介在しない領域に、スクライブラインを形成することができた。このようにスクライブラインを形成してマザー基板を分断すると、液晶パネルには、液晶注入領域の周りに所定幅の額縁領域が残ることとなる。
しかしながら、近年、特にモバイル用の液晶パネルにおいて、上記額縁領域を極限まで狭くすることが主流になりつつある。この要求に応えるためには、マザー基板においてシール材が介在しない領域が省略され、隣り合う液晶注入領域は、シール材のみによって区切られるよう構成される必要がある。この場合、スクライブラインは、シール材の直上および直下に形成されることになる。
ところが、このようにシール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成すると、2つのガラス基板にクラックが十分に入らないといった問題が確認された。このようにクラックが不十分な状態でブレイク工程が実行されると、ブレイク後の基板の端縁に細かい亀裂や破損が生じて、ガラス基板の強度が低下する惧れがある。
かかる課題に鑑み、本発明は、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツールおよびスクライブ装置を提供することを目的とする。
本願発明者らは、試行錯誤の上、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、マザー基板の上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらすことにより、各基板により深いクラックが入ることを発見した。本発明は、マザー基板の上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらしつつ、スクライビングホイールと反対側の面をローラで押さえることが可能なスクライビングツールに関するものである。
本発明の第1の態様は、第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールに関する。本態様に係るスクライビングツールは、ホルダと、前記ホルダの下面に形成された溝と、前記溝に対してスクライブ方向に平行な方向に変位した位置に形成された凹部と、前記溝に回転可能に装着されたスクライビングホイールと、前記凹部に回転可能に装着されたローラと、を備える。前記スクライビングホイールの回転軸と前記ローラの回転軸がスクライブ方向に所定距離だけ互いに離れている。
本態様に係るスクライビングツールを用いることにより、マザー基板の上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらしつつ、スクライビングホイールと反対側の面をローラで押さえることが可能となる。これにより、クラックの深さを深くしつつ、クラックの形成状況を安定化させることができる。
本態様に係るスクライビングツールにおいて、前記ローラは、軸部と、円柱状の一対の当接部とを備えるよう構成され得る。前記一対の当接部は、前記軸部と同軸になるように前記軸部の中心軸に平行な方向に前記軸部を挟み、且つ、前記軸部よりも大きな径を有する。前記スクライブ方向に前記ホルダを見ると、前記スクライビングホイールと前記一対の当接部が重ならないように、前記スクライビングホイールと前記ローラがそれぞれ前記溝と前記凹部に装着されている。こうすると、ローラがスクライビングホイールに対してスクライブ方向下流側に配される場合に、スクライビングホイールによって形成されたクラックに当接部が圧接されることが回避され得る。
本態様に係るスクライビングツールは、前記軸部の前記中心軸に平行な方向に前記ホルダを見ると、前記スクライビングホイールの一部と前記一対の当接部の一部が互いに重なるように、前記スクライビングホイールと前記ローラがそれぞれ前記溝と前記凹部に装着されるよう構成され得る。この構成によれば、スクライビングホイールとローラとの間の距離をスクライブ方向に縮めることができる。
この場合、前記溝と前記凹部が互いに連通するよう構成され得る。こうすると、スクライビングホイールとローラの距離を縮めながら、溝と凹部にスクライビングホイールとローラを円滑に収めることができる。
本態様に係るスクライビングツールは、前記スクライブ方向に前記溝を挟むように2つの前記凹部が前記ホルダに形成され、これら2つの凹部には、それぞれ、前記ローラの前記回転軸を挿入するための孔が設けられるよう構成され得る。前記ローラは、2つの前記凹部の何れか一方に装着される。こうすると、2つの凹部の一方に選択的にローラを配置することができる。よって、一つのホルダを2種類のローラ配置に用いることができる。
この場合、スクライビングツールは、前記スクライビングホイールの前記回転軸から一方の前記孔までの距離と、前記スクライビングホイールの前記回転軸から他方の前記孔までの距離が等しくなるように構成されることが好ましい。こうすると、異なる凹部にローラが装着された2つのスクライビングツールをマザー基板の上面と下面に配置することにより、上下のスクライビングホイールをそれぞれローラに対向させることができる。
本態様に係るスクライビングツールにおいて、前記ホルダは、磁性材料からなっており、円柱の側面を斜めに切り欠いて傾斜面が形成された形状とされ得る。こうすると、スクライブヘッドのホルダが装着される穴に磁石を設置することで、スクライビングツールを円滑にスクライブヘッドに装着することができる。また、この穴に前記傾斜面が当接するピン等のストッパーを配置することにより、スクライビングツールを正規の位置に位置決めすることができる。
本態様に係るスクライビングツールにおいて、前記所定距離は、0.5mm以上に設定されることが望ましい。こうすると、クラックの深さを効果的に深くすることができる。
また、本態様に係るスクライビングツールにおいて、前記スクライビングホイールは、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに前記刃先の稜線に所定の間隔で溝を有して形成され得る。以下に示す実施の形態では、この種のスクライビングホイールによって実験が行われ、クラックが深く入ることが確認されている。
本発明の第2の態様は、第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置に関する。本態様に係るスクライブ装置は、前記マザー基板の上面に配置された第1のスクライブヘッドと、前記マザー基板の下面に配置された第2のスクライブヘッドと、を備える。前記第1および第2のスクライブヘッドには、それぞれ、上記第1の態様に係るスクライビングツールが装着される。前記第1のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記スクライビングホイールおよびローラが、それぞれ、前記第2のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記ローラおよびスクライビングホイールに対向する。
本態様に係るスクライブ装置によれば、上記第1の態様に係るスクライビングツールについて述べたと同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明によれば、シール材の直上および直下の位置にスクライブラインを形成する場合に、十分な深さのクラックを基板に形成することが可能なスクライビングツールおよびスクライブ装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X−Y平面は水平面に平行で、Z軸方向は鉛直方向である。
<スクライブ装置>
図1(a)、(b)は、スクライブ装置1の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、Y軸正側からスクライブ装置1を見た図、図1(b)は、X軸正側からスクライブ装置1を見た図である。
図1(a)、(b)は、スクライブ装置1の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、Y軸正側からスクライブ装置1を見た図、図1(b)は、X軸正側からスクライブ装置1を見た図である。
図1(a)を参照して、スクライブ装置1は、コンベア11と、支柱12a、12bと、ガイド13a、13bと、ガイド14a、14bと、摺動ユニット15、16と、2つのスクライブヘッド2を備える。
図1(b)に示すように、コンベア11は、スクライブヘッド2が配置される箇所を除いて、Y軸方向に延びるように設けられている。コンベア11上には、マザー基板Gが載置される。マザー基板Gは、一対のガラス基板が相互に貼り合わされた基板構造を有する。マザー基板Gは、コンベア11によりY軸方向に送られる。
支柱12a、12bは、スクライブ装置1のベースにコンベア11を挟んで垂直に設けられている。ガイド13a、13bおよびガイド14a、14bは、それぞれ、X軸方向に平行となるように、支柱12a、12bの間に架設されている。摺動ユニット15、16は、それぞれ、ガイド13a、13b、ガイド14a、14bに摺動自在に設けられている。ガイド13a、13bおよびガイド14a、14には、それぞれ、所定の駆動機構が設けられており、この駆動機構により、摺動ユニット15、16がX軸方向に移動される。
摺動ユニット15、16には、それぞれ、スクライブヘッド2が装着されている。Z軸正側のスクライブヘッド2とZ軸負側のスクライブヘッド2には、それぞれ、マザー基板Gに対向するようにスクライビングツール30、40が取り付けられている。スクライビングツール30、40に保持されたスクライビングホイールがマザー基板Gの表面に押し付けられた状態でスクライブヘッド2がX軸方向に移動する。これにより、マザー基板Gの表面にスクライブラインが形成される。
<スクライブヘッド>
図2は、スクライブヘッド2の構成を示す一部分解斜視図、図3は、スクライブヘッド2の構成を示す斜視図である。
図2は、スクライブヘッド2の構成を示す一部分解斜視図、図3は、スクライブヘッド2の構成を示す斜視図である。
図2を参照して、スクライブヘッド2は、昇降機構21と、スクライブライン形成機構22と、ベースプレート23と、トッププレート24と、ボトムプレート25と、ゴム枠26と、カバー27と、サーボモータ28とを備える。
昇降機構21は、サーボモータ28の駆動軸に連結された円筒カム21aと、昇降部21bの上面に形成されたカムフォロア21cとを備える。昇降部21bは、スライダー(図示せず)を介してベースプレート23に上下方向に移動可能に支持され、バネ21dによってZ軸正方向に付勢されている。バネ21dの付勢により、カムフォロア21cは円筒カム21aの下面に押し付けられている。昇降部21bはスクライブライン形成機構22に連結されている。サーボモータ28により円筒カム21aが回動すると、円筒カム21aのカム作用によって昇降部21bが昇降し、これに伴い、スクライブライン形成機構22が昇降する。スクライブライン形成機構22の下端に、スクライビングツール30、40が装着される。
ゴム枠26は、空気を通さない弾性部材である。ゴム枠26は、ベースプレート23の溝23a、トッププレート24の溝24aおよびボトムプレート25の溝25aに嵌まり込む形状を有している。ゴム枠26が溝23a、24a、25aに装着された状態で、ゴム枠26の表面は、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25の側面よりも僅かに外側に突出する。
カバー27は、前面部27a、右側面部27bおよび左側面部27cの3つの板部が折り曲げられた形状を有する。前面部27aの上下の端縁には、2つの孔27fが形成されている。
ゴム枠26が溝23a、24a、25aに嵌め込まれた状態で、カバー27の右側面部27bと左側面部27cが外側に撓むように変形されて、カバー27がベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25に取り付けられる。この状態で、前面部27aの上下の端縁に形成された2つの孔27fを介して、ネジがトッププレート24およびボトムプレート25に螺着される。さらに、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25の溝23a、24a、25aのやや外側に形成されたネジ穴に、ネジが螺着される。これにより、カバー27が、ベースプレート23、トッププレート24およびボトムプレート25とネジの頭部とによって挟み込まれ、右側面部27bおよび左側面部27cの周縁部がゴム枠26に押し付けられる。こうして、図3に示すようにスクライブヘッド2が組み立てられる。
図1(a)に示すように、2つのスクライブヘッド2がマザー基板Gの上下にそれぞれ配される。2つのスクライブヘッド2は同じ構成となっている。2つのスクライブヘッド2に装着されるスクライビングツール30、40は、スクライブ方法に応じて変更される。以下に示す2つのスクライブ方法のうち、スクライブ方法1では、スクライビングホイール301、401のみを保持するスクライビングツール30、40が用いられる。また、スクライブ方法2では、スクライビングホイール301、401とローラ302、402を保持するスクライビングツール30、40が用いられる。
以下、これら2つのスクライブ方法について説明する。これら2つのスクライブ方法のうちスクライブ方法2が、実施の形態に係るものである。
<スクライブ方法1>
図4(a)はY軸負側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図4(b)はX軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図4(c)はZ軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図である。
図4(a)はY軸負側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図4(b)はX軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図4(c)はZ軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図である。
図4(a)に示すように、本スクライブ方法では、上側(Z軸正側)のスクライブヘッド2のスクライビングホイール301が、下側(Z軸負側)のスクライブヘッド2のスクライビングホイール401よりも、スクライブ方向(X軸正方向)に距離W1だけ先行するようにして、2つのスクライビングホイール301、401が移動される。2つのスクライビングホイール301、401は、それぞれ、軸301a、401aを回転軸として回転可能にスクライビングツール30、40に取り付けられている。
図4(b)を参照して、マザー基板Gは、シール材SLを介して2つのガラス基板G1、G2を貼り合わせて構成されている。ガラス基板G1にはカラーフィルタ(CF)が形成され、ガラス基板G2には薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。シール材SLと2つのガラス基板G1、G2によって、液晶注入領域Rが形成され、この液晶注入領域Rに液晶が注入される。2つのスクライビングホイール301、401は、Y軸方向に互いにずれることなく位置付けられる。スクライビングホイール301は、シール材SLの直上の位置においてガラス基板G1の表面に押し付けられ、スクライビングホイール401は、シール材SLの直下の位置においてガラス基板G2の表面に押し付けられる。
図4(c)に示すように、シール材SLは格子状に配置されている。2つのスクライビングホイール301、401は、シール材SLに沿ってX軸正方向に移動される。これにより、図4(b)、(c)に示すように、ガラス基板G1、G2の表面に、それぞれ、スクライブラインL1、L2が形成される。
図4(a)〜(c)に示すスクライブ方法1では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面を押さえるローラは設けられておらず、また、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面を押さえるローラも設けられていない。
<実験1>
本願発明者らは、図4(a)〜(c)に示すスクライブ方法に従ってマザー基板Gにスクライブラインを形成する実験を行った。以下、この実験と実験結果について説明する。
本願発明者らは、図4(a)〜(c)に示すスクライブ方法に従ってマザー基板Gにスクライブラインを形成する実験を行った。以下、この実験と実験結果について説明する。
実験では、厚みがそれぞれ0.2mmのガラス基板G1、G2をシール材SLを介して貼り合わせた基板(マザー基板)を用いた。貼り合わせ基板(マザー基板)のサイズは118mm×500mmである。スクライビングホイール301、401は、三星ダイヤモンド工業株式会社製、マイクロぺネット(三星ダイヤモンド工業株式会社の登録商標)を用いた。スクライビングホイール301、401は、それぞれ、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに刃先の稜線に所定の間隔で溝を有する構造となっている。スクライビングホイール301、401は、直径3mm、刃先角度110°、溝個数550、溝深さ3μmである。
この構成のスクライビングホイール301、401を、それぞれ、図4(a)〜(c)に示すようにガラス基板G1、G2に押し付けつつ移動させてスクライブ動作を行った。スクライブ動作時にスクライビングホイール301、401に付与される荷重は6.5Nに制御した。また、スクライビングホイール301、401の移動速度は、一定(200mm/sec)とした。
以上の条件のもと、2つのスクライビングホイール301、401間の距離W1を変化させながら、ガラス基板G1、G2におけるクラックの浸透量を計測した。比較例として、スクライビングホイール301、401間の距離W1が0の場合のクラックの浸透量も計測した。各測定では、クラックの浸透量の他、リブマーク量も併せて計測した。
図5(a)〜(e)に実験結果を示す。図5(a)は、クラックの浸透量とリブマーク量を数値で示す図、図5(b)〜(e)は、スクライブライン上におけるマザー基板Gの断面写真であり、それぞれ、距離W1が0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmの場合のものである。図5(b)〜(e)において、D1、D3はリブマーク量、D2、D4はクラックの浸透量を示している。
図5(a)を参照すると、距離W1が0.6mmを超えると、距離W1が0mmの場合に比べて、ガラス基板G1のクラックの浸透量が大きくなっている。ガラス基板G1、G2のうち何れか一方に大きな浸透量でクラックが入ると、ブレイク工程において、マザー基板Gを適正に分断することができる。
たとえば、比較例(W1=0mm)のように、ガラス基板G1、G2におけるクラック量が共にガラス基板G1、G2の厚み(0.2mm)の半分程度であると、ブレイク工程において、マザー基板Gの両側からガラス基板G1、G2をそれぞれブレイクする必要がある。このようにマザー基板Gの両側からガラス基板G1、G2をそれぞれブレイクする動作が行われると、ガラス基板G1、G2の端縁に細かい亀裂や破損が生じて、ガラス基板G1、G2の強度が低下する惧れがある。
これに対し、距離W1が0.6mm〜1.4mmである場合には、ガラス基板G2におけるクラックの浸透量は小さいものの、ガラス基板G1におけるクラックの浸透量が大きい。このようにガラス基板G1におけるクラックの浸透量が大きい場合、ブレイク工程では、クラックの浸透量が小さいガラス基板G2をマザー基板Gの一方側のみからブレイクする動作が行われればよく、このブレイク動作の際に、深くクラックが入ったガラス基板G1も同時にクラックに沿って分断される。このようにマザー基板Gの一方側のみからガラス基板G1、G2をブレイクすると、ガラス基板G1、G2の端縁に細かい亀裂や破損が生じることがなく、ガラス基板G1、G2の強度が高く保たれる。
以上の理由から、マザー基板Gの分断においては、ガラス基板G1、G2の何れか一方に大きな浸透量でクラックが入っていることが望ましい。本実験では、図5(a)に示すように、2つのスクライビングホイール301、401間の距離W1が0.6mmを超えると、比較例(W1=0mm)に比べて、ガラス基板G1のクラックの浸透量が大きくなっている。このことから、2つのスクライビングホイール301、401間の距離W1は、0.6mm以上であることが望ましいと言える。このように2つのスクライビングホイール301、401間の距離W1を設定することにより、マザー基板Gのブレイクを適正に行うことができる。
<スクライブ方法2>
図4(a)〜(c)に示すスクライブ方法(スクライブ方法1)では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面がローラで押さえられておらず、また、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面もローラで押さえられていない。これに対し、スクライブ方法2では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面と、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面が、それぞれ、ローラによって押さえられている。
図4(a)〜(c)に示すスクライブ方法(スクライブ方法1)では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面がローラで押さえられておらず、また、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面もローラで押さえられていない。これに対し、スクライブ方法2では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面と、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面が、それぞれ、ローラによって押さえられている。
図6(a)、(b)は、スクライブ方法2を説明する図である。図6(a)はY軸負側からスクライブ位置付近を見たときの模式図、図6(b)はX軸正側からスクライブ位置付近を見たときの模式図である。
図6(a)に示すように、スクライブ方法2では、スクライビングホイール301と反対側(Z軸負側)のマザー基板Gの表面がローラ402で押さえられ、また、スクライビングホイール401と反対側(Z軸正側)のマザー基板Gの表面もローラ302で押さえられている。ローラ302、402は、それぞれ、軸302a、402aを回転軸として回転可能となっている。ローラ302は、円柱状の一対の当接部302bを備え、これら当接部302bがスクライビングホイール301を挟むように配置されている。ローラ402も、一対の当接部402bを備え、これら当接部402bがスクライビングホイール401を挟むように配置されている。一対の当接部302bがマザー基板Gの上面に当接し、一対の当接部402bがマザー基板Gの下面に当接する。
スクライブ方法1と同様、2つのスクライビングホイール301、401は、スクライブ方向(X軸方向)に距離W1だけ互いにずれている。2つのスクライビングホイール301、401は、それぞれ、ガラス基板G1、G2に押し付けられながら、シール材SLに沿って移動する。スクライビングホイール301と当接部302bとの間にはY軸方向の隙間があり、スクライビングホイール401と2つの当接部402との間にもY軸方向の隙間がある。このため、ローラ302、402は、スクライビングホイール301、401によって形成されるスクライブラインL1、L2を跨ぐようにしてX軸正方向に移動する。
<実験2>
本願発明者らは、図6(a)、(b)に示すスクライブ方法2に従ってマザー基板Gにスクライブラインを形成する実験を行った。以下、この実験と実験結果について説明する。
本願発明者らは、図6(a)、(b)に示すスクライブ方法2に従ってマザー基板Gにスクライブラインを形成する実験を行った。以下、この実験と実験結果について説明する。
本実験で用いたマザー基板Gとスクライビングホイール301、401は、上記実験1と同じとした。本実験では、スクライビングホイール301、401間の距離W1が2.2mmに設定された。また、スクライビングホイール301、401の移動速度は、一定(200mm/sec)とした。上側のスクライブヘッド2の荷重中心に対するスクライビングホイール301の偏心量は1.0mmであり、下側のスクライブヘッド2の荷重中心に対するスクライビングホイール401の偏心量は3.2mmであった。
スクライビングホイール301、401の軸301a、401aの中心位置は、それぞれ、ローラ302、402の軸302a、402aの中心位置と、Z軸方向において一致し、ローラ302、402の当接部302b、402bの直径は、それぞれ、スクライビングホイール301、401の直径と同じく3mmに設定した。
以上の条件のもと、スクライビングツール30、40に付与される荷重を変化させながら、ガラス基板G1、G2におけるクラックの浸透量を計測した。
図7(a)〜(e)に実験結果を示す。図7(a)は、クラックの浸透量とリブマーク量を数値で示す図、図7(b)〜(e)は、スクライブライン上におけるマザー基板Gの断面写真であり、それぞれ、荷重が6N、7N、8N、9Nの場合のものである。図5(b)〜(e)において、D1、D3はリブマーク量、D2、D4はクラックの浸透量を示している。
図7(a)を参照すると、荷重が5Nから6Nに変化すると、ガラス基板G1におけるクラックの浸透量が急激に増加することが分かる。また、荷重が6Nを超えると、ガラス基板G1のクラックの浸透量がガラス基板G1の厚み(0.2mm)の80%を超え、ガラス基板G1に大きな浸透量でクラックが入る。上記のように、ガラス基板G1、G2のうち何れか一方に大きな浸透量でクラックが入ると、ブレイク工程において、マザー基板Gを適正に分断することができる。したがって、スクライブ方法2においては、スクライビングツール30、40に付与される荷重を6N以上に設定することが望ましいと言える。
なお、本実験では、上記実験1に比べて、ガラス基板G1に対するクラックの浸透量がさらに大きくなっている。したがって、クラックの浸透量を大きくしつつ安定的にクラックを形成するには、スクライブ方法2のように、マザー基板Gのスクライビングホイール301、401と反対側の面をローラ402、302で押さえるようにすることが望ましいと言える。
<スクライビングツール>
以下、上記スクライブ方法2に用いられるスクライビングツール30、40の具体的構成例を説明する。なお、図6(a)、(b)の構成では、2つの当接部302bが個別に設けられ、これら当接部302bがそれぞれ軸302aに軸支されたが、以下の構成では、2つの当接部が一体化された状態で一つのローラに設けられている。また、図6(a)、(b)の構成では、マザー基板Gの上側のスクライビングホイール301を下側のスクライビングホイール401に対してスクライブ方向に先行させたが、以下の構成では、マザー基板Gの下側のスクライビングホイールを上側のスクライビングホイールに対してスクライブ方向に先行させている。
以下、上記スクライブ方法2に用いられるスクライビングツール30、40の具体的構成例を説明する。なお、図6(a)、(b)の構成では、2つの当接部302bが個別に設けられ、これら当接部302bがそれぞれ軸302aに軸支されたが、以下の構成では、2つの当接部が一体化された状態で一つのローラに設けられている。また、図6(a)、(b)の構成では、マザー基板Gの上側のスクライビングホイール301を下側のスクライビングホイール401に対してスクライブ方向に先行させたが、以下の構成では、マザー基板Gの下側のスクライビングホイールを上側のスクライビングホイールに対してスクライブ方向に先行させている。
図8は、スクライビングツール30の構成を示す分解斜視図である。
スクライビングツール30は、スクライビングホイール31と、ローラ32と、ホルダ33と、スペーサ34と、軸35、36とを備える。この構成では、スクライビングホイール31とローラ32の当接部32aが、それぞれ、図6(a)、(b)に示すスクライビングホイール301とローラ302の当接部302bに対応する。また、軸35および軸36が、それぞれ、図6(a)、(b)に示す軸301aおよび軸302aに対応する。
スクライビングホイール31は、上記実験1、2で用いられたスクライビングホイール301と同じく、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに刃先の稜線に所定の間隔で溝を有する構造となっている。スクライビングホイール31の中央には円形の孔31aが形成されている。
ローラ32は、円柱状の一対の当接部32aと、円柱状の軸部32bと、を備える。ローラ32は、摩耗しにくく円滑に回転し得る材料により構成され、たとえば、MCナイロンやピーク樹脂からなっている。一対の当接部32aは、軸部32bと同軸になるように軸部32bの中心軸に平行な方向に軸部32bを挟み、且つ、軸部32bよりも大きな径を有する。ローラ32には、一対の当接部32aと軸部32bの中心を貫く孔32cが設けられている。この孔32cに筒状のスペーサ34が嵌め込まれる。
ホルダ33は、強磁性体からなっている。ホルダ33は、円柱状の胴部33aと、胴部33aの下端に一体的に続く枠部33bとを備える。胴部33aには、側面が切り欠かれることによって傾斜面33cが形成されている。傾斜面33cは、スクライブ方向と鉛直方向に平行な面内方向に、水平方向から所定の角度だけ傾いている。
枠部33bの中央には、スクライブ方向に平行な溝331が形成され、この溝331をスクライブ方向に挟むように、2つの凹部332、333が形成されている。溝331の隙間は、スクライビングホイール31の厚みよりもやや広い。枠部33bには、スクライブ方向の中央位置に孔331aが形成されている。この孔331aは、枠部33bの一方の側面から溝331を通って他方の側面へと達している。また、凹部332には、枠部33bの側面から見て同じ位置に孔332a、332bが形成され、凹部333には、枠部33bの側面から見て同じ位置に孔333a、333bが形成されている。孔331aと孔332aとの距離は、孔331aと孔333aの距離と同じである。孔331a〜333aの高さ方向の位置は同じである。枠部33bは、スクライブ方向に対称な形状を有し、スクライブ方向に垂直な方向にも対称な形状を有している。なお、枠部33bの一側面側の孔331aの一方の端部と、孔332b、孔333bの端部は、軸35,36が脱落しないようそれぞれ内径が小さくされている。
スクライビングツール30では、2つの凹部332、333のうち凹部332にローラ32が装着される。ローラ32は、孔32cにスペーサ34が嵌め込まれた状態で凹部332に収められる。この状態で、軸36が、孔332aとスペーサ34に通され、さらに孔332bに通される。孔332a、332bの径は軸36の径と同じであるが、図11(c)に示されているように孔332bの枠部側面側の端部は軸36が脱落しないよう径が小さくされている。スペーサ34の内径は軸36の径よりも僅かに大きい。したがって、ローラ32は、軸36によって回転可能に支持される。
スクライビングホイール31が溝331に収められた状態で、軸35が孔331aとスクライビングホイール31の孔31aに通される。孔331aの径は軸35の径と同じであるが、図11(c)に示されているように一方の端部は軸35が脱落しないよう径が小さくされている。孔31aの径は軸35の径よりも僅かに大きい。したがって、スクライビングホイール31は、軸35によって回転可能に支持される。
図9(a)は、スクライビングホイール31とローラ32が装着された状態のスクライビングツール30の外観を示す斜視図である。
上記のように、スクライビングツール30では、2つの凹部332、333のうち凹部332にローラ32が装着される。このため、ローラ32は、溝331に対してスクライブ方向上流側に位置付けられる。
図9(b)は、スクライビングホイール41とローラ42が装着された状態のスクライビングツール40の外観を示す斜視図である。
スクライビングツール40は、ローラ32の配置位置を除いてスクライビングツール30と同様の構成を備える。スクライビングツール40は、スクライビングホイール41と、ローラ42と、ホルダ43と、軸45、46とを備える。スクライビングホイール41は、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに刃先の稜線に所定の間隔で溝を有する構造となっている。ホルダ43は強磁性体からなっている。ホルダ43は、胴部43aと枠部43bを有する。胴部43aには傾斜面43cが形成されている。枠部43bには、溝431と、2つの凹部432、433が形成されている。
スクライビングホイール41は、枠部43bの溝431に収められた状態で、孔431aに軸45を通すことによりホルダ43に装着される。ローラ42は、凹部433に収められた状態で、軸46を孔433aに通すことによりホルダ43に装着される。ローラ42は、円柱状の一対の当接部42aと、円柱状の軸部42bと、を備える。一対の当接部42aは、軸部42bと同軸になるように軸部42bの中心軸に平行な方向に軸部42bを挟み、且つ、軸部42bよりも大きな径を有する。
スクライビングツール40では、2つの凹部432、433のうち凹部433にローラ42が装着される。このため、ローラ42は、溝431に対してスクライブ方向下流側に位置付けられる。
図9(a)、(b)の構成では、スクライビングホイール31、41の軸35、45の中心位置が、それぞれ、ローラ32、42の軸36、46の中心位置と、高さ方向において一致し、スクライビングホイール31、41の直径が、それぞれ、ローラ32、42の当接部32a、42aの直径と等しくなっている。
図10(a)、(b)は、それぞれ、スクライビングツール30、40を上側から見たときの斜視図である。図11(a)〜(c)は、スクライビングツール30の構成を示す左側面図、正面図、右側面図である。図12(a)〜(c)は、スクライビングツール40の構成を示す左側面図、正面図、右側面図である。図13(a)、(b)は、それぞれ、スクライビングツール30、40の底面図である。
図11(b)を参照して、スクライブ方向にスクライビングツール30を見ると、スクライビングホイール31と一対の当接部32aとが重ならないように、スクライビングホイール31とローラ32がホルダ33に装着されている。また、図12(b)を参照して、スクライブ方向にスクライビングツール40を見ると、スクライビングホイール41と一対の当接部42aとが重ならないように、スクライビングホイール41とローラ42がホルダ43に装着されている。
図11(a)、(c)を参照して、軸35に平行な方向にスクライビングツール30を見ると、スクライビングホイール31の一部と一対の当接部32aの一部が互いに重なるように、スクライビングホイール31とローラ32がホルダ33に装着されている。すなわち、図13(a)に示すように、スクライビングホイール31のスクライブ方向上流側が一対の当接部32aによって挟まれるように、スクライビングホイール31とローラ32がホルダ33に装着されている。
図12(a)、(c)を参照して、軸45に平行な方向にスクライビングツール40を見ると、スクライビングホイール41の一部と一対の当接部42aの一部が互いに重なるように、スクライビングホイール41とローラ42がホルダ43に装着されている。すなわち、図13(b)に示すように、スクライビングホイール41のスクライブ方向下流側が一対の当接部42aによって挟まれるように、スクライビングホイール41とローラ42がホルダ43に装着されている。
図14(a)、(b)は、スクライブライン形成機構22に対するスクライビングツール30の取り付け方法を模式的に示す図である。図14(a)、(b)では、スクライブライン形成機構22の内部が透視された状態が示されている。
スクライブライン形成機構22の下端には、スクライビングツール30を保持する保持部221が設けられ、この保持部221に、スクライビングツール30を挿入可能な穴222が形成されている。穴222の底には磁石224が設置され、穴222の中間位置にピン223が設けられている。上記のように、スクライビングツール30のホルダ33は強磁性体からなっている。
スクライブライン形成機構22にスクライビングツール30を取り付ける場合、スクライビングツール30のホルダ33が保持部221の穴222に挿入される。ホルダ33の上端が磁石224に接近するとホルダ33が磁石224に吸着される。このとき、ホルダ33の傾斜面33cがピン223に当接し、ホルダ33が正規の位置に位置決めされる。こうして、図14(b)に示すように、スクライビングツール30がスクライブライン形成機構22の下端に装着される。スクライビングツール40も同様にしてスクライブライン形成機構22の下端に装着される。
図15(a)は、スクライビングツール30、40をそれぞれ対応するスクライブライン形成機構22に装着した状態を模式的に示す要部側面図、図15(b)は、スクライビングホイール31、41付近をX軸負側から見た図である。
図15(a)に示すように、上側のスクライブヘッド2のスクライブライン形成機構22は、下側のスクライブヘッド2のスクライブライン形成機構22に対して、X軸負方向に変位した位置に位置付けられる。この位置調整は、上下のスクライブヘッド2の位置を調整することにより行われる。これにより、スクライビングツール30のスクライビングホイール31がスクライビングツール40のローラ42に対向し、スクライビングツール40のスクライビングホイール41がスクライビングツール30のローラ32に対向する。
図15(b)に示すように、スクライビングホイール31の直下位置は当接部42aによって押さえられず、直下位置からY軸正負方向に所定距離だけずれた位置が当接部42aによって押さえられる。同様に、スクライビングホイール41の直上位置は当接部32aによって押さえられず、直上位置からY軸正負方向に所定距離だけずれた位置が当接部32aによって押さえられる。
このようにスクライビングホイール31、41とローラ42、32との位置関係を保ったまま、上下のスクライブヘッド2がスクライブ方向(X軸正方向)に移動される。これにより、マザー基板Gの上下の面にスクライブラインが形成される。
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
図8〜図13に示すスクライビングツール30、40を用いることにより、マザー基板Gの上面および下面の各スクライブ位置をスクライブ方向に所定距離だけずらしつつ、スクライビングホイールと反対側の面をローラで押さえることが可能となる。これにより、実験2で示したとおり、シール材SLの直下の位置に、深いクラックでスクライブラインL2を形成することができる。スクライビングツール30、40にローラ32、42を設けることにより、クラックの浸透量をさらに大きくしつつ安定的にクラックを形成することができる。
図12(b)に示すように、スクライブ方向からホルダ43を見ると、スクライビングホイール41と一対の当接部42aが重ならないように、スクライビングホイール41とローラ42がホルダ43に装着される。このため、ローラ42がスクライビングホイール41に対してスクライブ方向下流側に配されても、スクライビングホイール41によって形成されたクラックに当接部42aが圧接されることが回避され得る。
図11(a)に示すように、軸35に平行な方向にホルダ33を見ると、スクライビングホイール31の一部と一対の当接部32aの一部が互いに重なるように、スクライビングホイール31とローラ32がホルダ33に装着される。すなわち、図13(a)に示すように、一対の当接部32aの一部がスクライビングホイール31の一部を挟むように、スクライビングホイール31と一対の当接部32aが配置される。この構成により、スクライビングホイール31とローラ32との間の距離をスクライブ方向に縮めることができる。
図8に示すように、枠部33bに形成された溝331と凹部332は互いに連通している。この構成により、スクライビングホイール31とローラ32の距離を縮めながら、溝331と凹部332にスクライビングホイール31とローラ32を円滑に収めることができる。
図8に示すように、スクライブ方向に溝331を挟むように2つの凹部332、333がホルダ33の枠部33bに形成され、これら2つの凹部332、333には、それぞれ、ローラ32の軸36を挿入可能な孔332a、332bおよび孔333a、333bが設けられる。この構成により、2つの凹部332、333の一方に選択的にローラ32を配置することができ、一つのホルダ33を2種類のローラ配置に用いることができる。
スクライビングツール30は、スクライビングホイール31の軸35を挿入するための孔331aから一方の孔332aまでの距離と、孔331aから他方の孔333aまでの距離が等しくなっている。スクライビングツール40も同様の構成となっている。この構成により、スクライブ方向上流側の凹部332にローラ32が装着されたスクライビングツール30と、スクライブ方向下流側の凹部433にローラ42が装着されたスクライビングツール40をマザー基板Gの上面と下面に配置することにより、図15(a)のように、上下のスクライビングホイール31、41をそれぞれローラ42、32に対向させることができる。
図8〜図13に示すスクライビングツール30、40は、ホルダ33、43が磁性材料からなっており、円柱の側面を斜めに切り欠いて傾斜面33c、43cが形成された形状となっている。このため、スクライブヘッド2のホルダ33、43が装着される穴222に磁石224を設置することで、スクライビングツール30、40を円滑にスクライブヘッド2に装着することができる。また、この穴222に傾斜面33c、43cが当接するピン223を配置することにより、磁石224による吸着力を利用して、スクライビングツール30、40を正規の位置に位置決めすることができる。
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、刃先の稜線に一定間隔で溝が形成されたスクライビングホールが用いられたが、稜線に溝が形成されていないスクライビングホイールを用いても同様の効果が奏されることが想定され得る。スクライビングホイール(刃先)の大きさや形状は、上記実施の形態に記載されたものに限定されるものではなく、他の大きさや形状、種類の刃先を適宜用いることができる。
また、図8(a)〜図15(b)の構成では、マザー基板Gの下側のスクライビングホイール41を上側のスクライビングホイール31に対してスクライブ方向に先行させたが、マザー基板Gの上側のスクライビングホイール31を下側のスクライビングホイール41に対してスクライブ方向に先行させても良い。この場合は、上記実験と同じく、マザー基板Gの上面に深いクラックでスクライブラインL1を形成することができる。
また、図9(a)、(b)の構成では、スクライビングホイール31、41の軸35、45の中心位置が、それぞれ、ローラ32、42の軸36、46の中心位置と、高さ方向において一致し、スクライビングホイール31、41の直径が、それぞれ、ローラ32、42の当接部32a、42aの直径と同じとされた。しかしながら、スクライビングホイール31、41とローラ32、42の関係は、これに限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
たとえば、図16(a)に示すように、スクライビングホイール31の直径が当接部32aの直径よりもΔd1だけ大きくても良く、あるいは、図16(b)に示すように、スクライビングホイール31の直径が当接部32aの直径よりもΔd2だけ小さくても良い。また、図16(c)に示すように、スクライビングホイール31の軸35の中心位置がローラ32の軸36の中心位置よりもΔd3だけZ軸負方向にずれていても良く、あるいは、図16(d)に示すように、スクライビングホイール31の軸35の中心位置がローラ32の軸36の中心位置よりもΔd4だけZ軸正方向にずれていても良い。スクライビングホイール41とローラ42についても同様に変更され得る。
なお、図16(b)、(d)の構成例では、当接部32aの下端がスクライビングホイール31の下端よりも下側にあるため、スクライブ動作時に、当接部32aがより強くガラス基板G1に押し付けられる。このように当接部32aが強く押し付けられると、ガラス基板G1がZ軸負方向に撓み、これにより、ガラス基板G1の裏面にクラックを開く方向の引っ張り力が掛かる。このため、当接部32aが押しつけられたガラス基板G1の部分の裏面に他方のスクライビングホイール41の刃先が押しつけられると、この引っ張り力によってクラックが深く入り易くなる。よって、図16(b)、(d)の構成例では、ローラ32に対応する裏側のスクライビングホイール41によって、より深くクラックが形成されるとの作用が想定され得る。スクライビングホイール41とローラ42の関係が図16(b)、(d)と同様である場合も、同様の作用が想定され得る。
また、図16(a)、(c)の構成例では、当接部32aの下端がスクライビングホイール31の下端よりも上側にあるため、スクライブ動作時に、当接部32aがガラス基板G1に押し付けられる力が比較的弱くなり、基板の過度な撓みを防止することができる。
この他、マザー基板Gの構成、厚み、材質等は、上記実施の形態に示すものに限定されるものではなく、他の構成のマザー基板Gの切断にも、スクライブツール30、40を用いることができる。ローラ32、42の形状や材料も上記に示されたものに限定されるものではなく、ホルダ33、43の形状も上記に示されたものに限定されるものではない。たとえば、スクライビングホイール31とローラ32との距離が大きい場合、溝321と凹部332、333は互いに連通しないように形成され得る。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
30、40 … スクライビングツール
31、41 … スクライビングホイール
32、42 … ローラ
32a、42a … 当接部
32b、42b … 軸部
33、43 … ホルダ
33c、43c … 傾斜面
331、431 … 溝
332、333、432、433 … 凹部
332a、332b、333a、333b … 孔
31、41 … スクライビングホイール
32、42 … ローラ
32a、42a … 当接部
32b、42b … 軸部
33、43 … ホルダ
33c、43c … 傾斜面
331、431 … 溝
332、333、432、433 … 凹部
332a、332b、333a、333b … 孔
Claims (10)
- 第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成する際に用いられるスクライビングツールであって、
ホルダと、
前記ホルダの下面に形成された溝と、
前記溝に対してスクライブ方向に平行な方向に変位した位置に形成された凹部と、
前記溝に回転可能に装着されたスクライビングホイールと、
前記凹部に回転可能に装着されたローラと、を備え、
前記スクライビングホイールの回転軸と前記ローラの回転軸がスクライブ方向に所定距離だけ互いに離れている、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項1に記載のスクライビングツールにおいて、
前記ローラは、軸部と、円柱状の一対の当接部とを備え、
前記一対の当接部は、前記軸部と同軸になるように前記軸部の中心軸に平行な方向に前記軸部を挟み、且つ、前記軸部よりも大きな径を有し、
前記スクライブ方向に前記ホルダを見ると、前記スクライビングホイールと前記一対の当接部が重ならないように、前記スクライビングホイールと前記ローラがそれぞれ前記溝と前記凹部に装着されている、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項2に記載のスクライビングツールにおいて、
前記軸部の前記中心軸に平行な方向に前記ホルダを見ると、前記スクライビングホイールの一部と前記一対の当接部の一部が互いに重なるように、前記スクライビングホイールと前記ローラがそれぞれ前記溝と前記凹部に装着されている、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項3に記載のスクライビングツールにおいて、
前記溝と前記凹部が互いに連通している、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項1ないし4の何れか一項に記載のスクライビングツールにおいて、
前記スクライブ方向に前記溝を挟むように2つの前記凹部が前記ホルダに形成され、2つの前記凹部には、それぞれ、前記ローラの前記回転軸を挿入するための孔が設けられ、
前記ローラは、2つの前記凹部の何れか一方に装着される、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項5に記載のスクライビングツールにおいて、
前記スクライビングホイールの前記回転軸から一方の前記孔までの距離と、前記スクライビングホイールの前記回転軸から他方の前記孔までの距離が等しい、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載のスクライビングツールにおいて、
前記ホルダは、磁性材料からなっており、円柱の側面を斜めに切り欠いて傾斜面が形成されている、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項1ないし7の何れか一項に記載のスクライビングツールにおいて、
前記所定距離は、0.5mm以上に設定される、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 請求項1ないし8の何れか一項に記載のスクライビングツールにおいて、
前記スクライビングホイールは、円板の外周にV字状の刃先が形成されるとともに前記刃先の稜線に所定の間隔で溝を有して形成されている、
ことを特徴とするスクライビングツール。 - 第1基板と第2基板をシール材により貼り合わせてなるマザー基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置において、
前記マザー基板の上面に配置された第1のスクライブヘッドと、
前記マザー基板の下面に配置された第2のスクライブヘッドと、を備え、
前記第1および第2のスクライブヘッドには、それぞれ、請求項1ないし9の何れか一項に記載のスクライビングツールが装着され、
前記第1のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記スクライビングホイールおよびローラが、それぞれ、前記第2のスクライブヘッドに装着された前記スクライビングツールの前記ローラおよびスクライビングホイールに対向する、ことを特徴とするスクライブ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014173524A JP2016047787A (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | スクライビングツールおよびスクライブ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014173524A JP2016047787A (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | スクライビングツールおよびスクライブ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016047787A true JP2016047787A (ja) | 2016-04-07 |
Family
ID=55648927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014173524A Pending JP2016047787A (ja) | 2014-08-28 | 2014-08-28 | スクライビングツールおよびスクライブ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016047787A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108623141A (zh) * | 2018-07-18 | 2018-10-09 | 安徽锐利玻璃机械有限公司 | 一种玻璃切割机 |
TWI715868B (zh) * | 2017-09-29 | 2021-01-11 | 韓商塔工程有限公司 | 劃片方法和劃片設備 |
JP2021519251A (ja) * | 2018-03-22 | 2021-08-10 | コーニング インコーポレイテッド | ガラスシートを検査する方法、ガラスシートを製造する方法、およびガラス製造装置 |
-
2014
- 2014-08-28 JP JP2014173524A patent/JP2016047787A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI715868B (zh) * | 2017-09-29 | 2021-01-11 | 韓商塔工程有限公司 | 劃片方法和劃片設備 |
JP2021519251A (ja) * | 2018-03-22 | 2021-08-10 | コーニング インコーポレイテッド | ガラスシートを検査する方法、ガラスシートを製造する方法、およびガラス製造装置 |
CN108623141A (zh) * | 2018-07-18 | 2018-10-09 | 安徽锐利玻璃机械有限公司 | 一种玻璃切割机 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI466811B (zh) | Adhesive and holding method for sheet-like workpieces and adhesive holding device for sheet-like workpieces and manufacturing system | |
JP6439313B2 (ja) | スクライブ方法およびスクライブ装置 | |
KR20140136868A (ko) | 커터 유닛, 절단 장치, 절단 방법 및 홀더 | |
KR102383744B1 (ko) | 기판 분단 방법 및 스크라이브 장치 | |
JP2016047787A (ja) | スクライビングツールおよびスクライブ装置 | |
TW201540459A (zh) | 劃線頭及劃線裝置 | |
JP6384264B2 (ja) | スクライブ方法およびスクライブ装置 | |
TW201604154A (zh) | 劃線輪、劃線裝置、劃線方法、顯示用面板之製造方法及顯示用面板 | |
JP6435698B2 (ja) | スクライブ装置 | |
JP2016121037A (ja) | スクライブ装置 | |
JP6493512B2 (ja) | 分断方法および分断装置 | |
JP2016108167A (ja) | スクライビングツールおよびスクライブ装置 | |
JP6405717B2 (ja) | ホルダ、ホルダユニット及びスクライブ装置 | |
JP2016108169A (ja) | スクライビングツールおよびスクライブ装置 | |
KR20150145503A (ko) | 기판 폴리싱장치 및 방법 | |
JP2016108168A (ja) | スクライビングツールおよびスクライブ装置 | |
JP6384265B2 (ja) | スクライブ方法およびスクライブ装置 | |
JP2004117540A (ja) | 表示装置および板状部材切断装置 | |
TW201922645A (zh) | 劃線方法和切割方法 | |
JP2012144050A (ja) | ブレイク方法 |