JP2019089672A - ガラス板の製造方法及びガラス板 - Google Patents

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Abstract

【課題】切断面にラテラルクラックが発生しないようにマザーガラスを切断する。【解決手段】ガラス板の製造方法は、スクライブチップ1によりマザーガラスGの表面Gaに塑性変形による凹状線RLを形成する工程S1と、凹状線RLに対応する位置に内部初期クラックFCを形成する工程S2と、内部初期クラックFCを凹状線RLに沿ってマザーガラスGの内部に進展させる工程S3と、を備える。凹状線RLは、この凹状線RLの幅方向端部に形成される突起部7と、塑性変形による圧縮応力層5とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、マザーガラスを折割ることにより所定形状のガラス板を製造する方法及びガラス板に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス板を製造する場合、例えばダウンドロー法等の成形法により成形された大型のマザーガラスを切断することで、所定の大きさのガラス板を形成する。具体的には、例えばスクライブホイールを使用してマザーガラスにスクライブ線を形成した後、このスクライブ線に沿ってマザーガラスを折割ることにより、ガラス板が形成される。
スクライブホイールを使用してマザーガラスにスクライブ線を形成すると、スクライブ線の形成時にガラス板の表面に平行な方向に延びる微小なクラック(ラテラルクラック)が形成されると共に、ラテラルクラックの形成に伴い、ガラス粉が発生する。その後、マザーガラスを折割ることでガラス板を形成すると、その切断面(端面)には、ラテラルクラックが残存する。このラテラルクラックは、ガラス板の機械的強度の低下を招くことから、ガラス板の端面を面取り加工(研削)することによって除去される。すなわち、ガラス板の機械的強度を高め、ガラス板の割れや欠けを防止し、後工程でのハンドリングを行い易くするために、ガラス板の端面には、研削(面取り)加工及び研磨加工が施される(例えば特許文献1参照)。
特開2013−136488号公報
従来のガラス板の製造方法では、マザーガラスを切断した際に、端面に形成されるラテラルクラックを除去するための面取り加工を必要とすることから、加工に係る工数及び時間が増大していた。また、スクライブ線形成時に発生したガラス粉や、面取り加工及び研磨加工により発生した加工粉(パーティクル)がマザーガラスに付着することから、当該ガラス粉や加工粉を除去する洗浄工程も必要となる。
したがって、ガラス板を一層効率良く製造するには、ガラス板の切断面にラテラルクラックが発生しないようにマザーガラスを切断し、研削加工等を省略又は簡略化することが望ましい。
そこで本発明は、切断面にラテラルクラックが発生しないようにマザーガラスを切断することを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、スクライブチップによりマザーガラスの表面に塑性変形による凹状線を形成する工程と、前記凹状線に対応する位置に内部初期クラックを形成する工程と、前記内部初期クラックを前記凹状線に沿って前記マザーガラスの内部で進展させる工程と、を備え、前記凹状線は、前記凹状線の幅方向端部に形成される突起部と、前記塑性変形による圧縮応力層と、を備えることを特徴とする。
これによれば、マザーガラスの表面を塑性変形させることで、ラテラルクラックが存在しない凹状線を形成できる。凹状線に対応する位置に内部初期クラックを形成し、マザーガラスの内部において、当該クラックを凹状線に沿って進展させることで、製造されるガラス板の端面にラテラルクラックが発生しないように、マザーガラスを切断できる。また、クラックを進展させる工程において、凹状線の圧縮応力層により、内部のクラックが凹状線の表面(底面)に到達することが防止される。これにより、ガラス粉の発生を防止すると共に、マザーガラスを好適に切断できる。
上記の方法において、前記内部初期クラックは、前記凹状線の底部から0.1μm〜10μmの深さ位置に形成されることが望ましい。これにより、内部初期クラックをマザーガラスの内部で確実に進展させることができる。
また、前記内部初期クラックを進展させる工程は、前記凹状線が形成された部位に応力を発生させる外力を前記マザーガラスに付与する工程を含むことが望ましい。また、前記内部初期クラックを進展させる工程は、前記内部初期クラックに液体を供給する工程を含むことが望ましい。これにより、クラックの進展速度を向上させることができ、マザーガラスを効率良く切断できる。
本発明に係るガラス板は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面と第2主面とを繋ぐ端面とを備え、前記第1主面と前記端面との境界部分に、前記第1主面から突出する突起部と、塑性変形による圧縮応力層と、を備えることを特徴とする。
上記のガラス板において、前記圧縮応力層は、前記第2主面に形成されないことが望ましい。
本発明によれば、切断面にラテラルクラックが発生しないようにマザーガラスを切断することができる。
スクライブチップの斜視図である。 スクライブチップの平面図である。 スクライブチップの側面図である。 ガラス板の製造方法を示すフローチャートである。 ガラス板の製造方法における凹状線形成工程を示す平面図である。 図5のVI−VI線断面図である。 ガラス板の製造方法における初期クラック形成工程を示す平面図である。 図7のVIII−VIII線断面図である。 マザーガラスの一部を示す斜視図である。 ガラス板の製造方法における折割工程を示す断面図である。 製造されたガラス板の斜視図である。 スクライブチップの他の例を示す斜視図である。 図12に示すスクライブチップの平面図である。 スクライブチップの他の例を示す斜視図である。 他の実施形態に係るガラス板の製造方法の凹状線形成工程を示す側面図である。 スクライブチップの平面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1乃至図14は、本発明に係るガラス板G1の製造方法の一実施形態を示す。
図1乃至図3は、本方法に使用されるスクライブチップを示す。本実施形態では、ペンシル型のスクライブチップ1を例示する。スクライブチップ1は、シャンク2と、このシャンク2の端部に固定されるチップ3とを有する。
シャンク2は、金属製であり、円柱状又は多角柱状に構成される。シャンク2においてチップ3が取り付けられる端部は、尖端状に構成される。シャンク2は、ホルダHに装着される。ホルダHは、シャンク2を保持するとともに、スクライブチップ1を上下方向及び水平方向に移動させる。また、ホルダHは、マザーガラスGに対するシャンク2の傾斜角度を自在に変更できる。
チップ3は、例えば単結晶又は多結晶のダイヤモンドチップからなるが、これに限定されず、PCBN、セラミック、又は超硬合金その他の金属により構成され得る。チップ3は、接着剤、ろう材等によりシャンク2の先端部に固定されている。チップ3は、切頭円錐台状に構成されており、その端部には、マザーガラスGに接触する押圧部4が形成されている。すなわち、チップ3の軸方向の端面3a(第1の面3b)における縁部が押圧部4となっている。押圧部4は、マザーガラスGにラテラルクラックを発生させないように、円弧状に構成される。押圧部4は、マザーガラスGの表面を押圧することにより塑性変形させ、この塑性変形部に凹状線RLを形成する。押圧部4の半径(曲率半径)は、0.001mm〜1mmとされることが好ましく、0.025mm〜0.5mmとされることがより好ましい。
この円形の押圧部4は、複数の円弧から成るものと見做すことができる。例えば図2に示すように、押圧部4は、三個の円弧4a〜4cにより仮想的に構成される。この例において、各円弧4a〜4cの中心角θaは、120°に設定されているが、これに限らず、5°〜120°以下とされることが望ましい。なお、各円弧4a〜4cの中心角θaは等しく設定しているが、これらを異なる角度で構成してもよい。
本方法に使用されるマザーガラスGは、図3に示すように、表裏の関係にある第1主面Gaおよび第2主面Gbと、第1主面Gaと第2主面Gbとを繋ぐ端面Gcとを備える。本発明において、第1主面Ga又は第2主面Gbの少なくとも一方をマザーガラスGの「表面」という。本実施形態では、マザーガラスGの厚みtは、0.01mm〜1mmとされることが好ましく、より好ましくは、0.01mm〜0.7mmである。マザーガラスGは、一辺の長さが1000mm以上の大きさを有するが、この寸法に限定されるものではない。
マザーガラスGは、公知のフロート法、ロールアウト法、スロットダウンドロー法、リドロー法等の各種成形法により成形され得るが、オーバーフローダウンドロー法により成形されることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、断面が略くさび形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側壁部に沿って流下させながら、成形体の下端部で融合一体化し、一枚の帯状ガラスを連続成形するというものである。帯状ガラスの一部を幅方向に切断することで、矩形状のマザーガラスGが形成される。
以下、ガラス板G1の製造方法について説明する。この例では、無アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製OA−10G)からなる矩形のマザーガラスGから矩形のガラス板G1を製造する場合について説明する。
図4に示すように、本方法は、スクライブチップ1によりマザーガラスGの表面(第1主面Ga)に塑性変形による凹状線RLを形成する凹状線形成工程S1と、凹状線RLに対応する位置に内部初期クラックFCを形成する初期クラック形成工程S2と、内部初期クラックFCを凹状線RLに沿ってマザーガラスGの内部に進展させるクラック進展工程S3と、マザーガラスGに曲げ応力を作用させる折割工程S4と、を備える。
凹状線形成工程S1では、まず、載置台(図示せず)にマザーガラスGを載置し、このマザーガラスGの第1主面Gaに、スクライブチップ1を接触させる。なお、載置台には、発泡樹脂シートが載置され、マザーガラスGは、この発泡樹脂シートに載置されることが望ましい。スクライブチップ1は、シャンク2がマザーガラスGに対して傾斜するようにホルダHに支持される。シャンク2を移動方向X側に傾斜させる場合、その傾斜角度θbは、30°〜85°とされることが望ましいが、この範囲に限定されるものではない。
その後、スクライブチップ1に荷重を付与し、チップ3の押圧部4によってマザーガラスGの第1主面Gaを押圧しつつ、移動方向Xに沿って摺動させる(図5参照)。スクライブチップ1の移動速度は、50mm/s〜1500mm/sとされることが望ましい。スクライブチップ1に付与される荷重は、0.1N〜10Nとされるが、この範囲に限定されず、マザーガラスGの大きさ、厚み、材質等の条件に応じて適宜設定される。なお、押圧部4(円弧4aの部分)は、この移動方向Xに対して直交する向き(円弧4aに係る接線と移動方向Xとが直交するように)に配置される(図2参照)。
第1主面Gaの一部は、押圧部4の押圧により塑性変形する。押圧部4の移動により、第1主面Gaにおける塑性変形部分に直線状の凹状線RLが形成される(図5及び図6参照)。凹状線RLの深さD1(図6参照)は、300nm〜500nmとされることが望ましい。また、凹状線RLの幅W1は、15μm〜30μmとされることが望ましい。
凹状線RLの内部には、塑性変形による圧縮応力層5が形成される。圧縮応力層5よりも内側の内部領域には、引張応力層6が形成される。
図6に示すように、凹状線RLの幅方向の端部には、塑性変形により、第1主面Gaよりも突出する突起部7が形成される。突起部7は、凹状線RLの全長に亘って形成される。この突起部7の突出量(第1主面Gaからの高さ)hは、10nm〜20nmとされることが望ましい。
初期クラック形成工程S2では、図7に示すように、スクライブホイール(スクライブチップ)8を、マザーガラスGの第1主面Gaに接触させ、所定の切り込み量で凹状線RLに交差するように移動させる。この場合において、スクライブホイール8の切り込み量は、当該スクライブホイール8が引張応力層6に達するように設定される。スクライブホイール8の移動方向Yは、凹状線RLに直交する方向が望ましいが、これに限定されない。スクライブホイール8の移動方向Yと凹状線RLとの交差角度は、凹状線RLの長さ、幅、深さ等の条件に応じて適宜設定できる。
スクライブホイール8により、第1主面Gaに凹状線RLと交差するスクライブ線SLが形成される。これにより、このスクライブ線SLを起点として、引張応力層6に内部初期クラックFCが形成される。
図8に示すように、内部初期クラックFCは、引張応力層6に形成される。内部初期クラックFCは、凹状線RLの底部から一定の深さ位置に形成される。すなわち、内部初期クラックFCの端部と凹状線RLの底部との距離(深さ)D2は、0.1μm〜10μmとされることが好ましく、より好ましくは、1μm〜10μmとされる。
クラック進展工程S3において、内部初期クラックFCは、この引張応力層6における引張応力の作用により、当該引張応力層6内を進展する(図9参照)。すなわち、クラックCは、内部初期クラックFCを起点として、凹状線RLの長手方向に沿って進展する。
クラックCの進展速度は、0.5μm/s〜10000μm/sとされることが望ましく、0.5μm/s〜1000μm/sとされることがより好ましい。クラックCの進展速度を向上させるために、内部初期クラックFCに水、界面活性剤等の液体を供給(注入)することが望ましい。内部初期クラックFCに注入された液体は、毛細管現象によりクラックCを進展させる。内部初期クラックFCに水、界面活性剤等の液体を供給した場合、クラックCの進展速度は、100μm/s〜500μm/sとされることがより好ましい。クラックCの進展速度を向上させるために、マザーガラスGに外力F1を付与してもよい。この外力F1により、マザーガラスGには、凹状線RLを跨ぐように曲げ応力が発生し、クラックCは、より高速でマザーガラスGの内部を進展する。外力F1は、クラックCがマザーガラスGの厚さ方向に進展しないように調整される。一方、特にクラックCの進展速度を向上させない場合は、クラックCの進展速度は0.5μm/s〜20μm/sとされることがより好ましい。
クラックCが凹状線RLに沿って進展し終わると、折割工程S4が実行される。図10に示すように、折割工程S4では、クラックCをマザーガラスGの厚さ方向に進展させるべく、当該マザーガラスGに外力F2を付与する。この外力F2は、クラック進展工程S3においてマザーガラスGに付与される外力F1よりも大きく設定される。外力F2により、マザーガラスGには、凹状線RLを跨ぐように曲げ応力が発生する。クラックCは、この曲げ応力の作用により、マザーガラスGの厚さ方向に進展する。クラックCが第1主面Ga及び第2主面Gbに到達すると、マザーガラスGは分断される。これにより、ガラス板G1が形成される。
図11に示すように、ガラス板G1は、第1主面G1aと、第1主面G1aの反対側に位置する第2主面G1bと、第1主面G1aと第2主面G1bとを繋ぐ端面G1cとを有する。さらにガラス板G1は、第1主面G1aと端面G1cとの境界部Bに、凹状線RLの痕跡である湾曲面CSと突起部7とを有する。湾曲面CSと突起部7には、ラテラルクラックが存在しないため、ガラス板G1は、研削加工を施さずとも機械的強度の高いものとなる。加えて、ガラス板G1には、湾曲面CSに沿って形成される圧縮応力層5と、この圧縮応力層5よりも内部側に位置する引張応力層6とが残存する。
上記の折割工程S4では、クラックCをマザーガラスGの厚さ方向に進展させることから、当該進展を好適に行うために、マザーガラスGの第2主面Gbに圧縮応力層5が形成されないことが望ましく、したがって、製造されたガラス板G1の第2主面G1bにも圧縮応力層5は存在しない。
以上説明した本実施形態に係るガラス板G1の製造方法によれば、凹状線形成工程S1、初期クラック形成工程S2、クラック進展工程S3、及び折割工程S4を経ることで、切断面にラテラルクラックを発生させることなくマザーガラスGを切断できる。これにより、ガラス粉の発生を防止し、切断面に対する研削(面取り)処理及び研磨処理を可及的に省略又は簡素化でき、高品質のガラス板G1を効率良く製造することが可能になる。
なお、マザーガラスを切断する他の技術として、レーザ光をマザーガラスの内部に照射することで、多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域を切断起点としてマザーガラスの内部にクラックを進展させる方法が公知である。改質領域は、レーザ光の照射による多光子吸収によって加熱することで形成されるため、当該方法によって製造されたガラス板には、その内部及び端面(切断面)に改質領域、すなわち加熱の痕跡(熱履歴)が残存することとなる。本発明におけるガラス板G1の圧縮応力層5は、上記の改質領域とは異なり、マザーガラスGを塑性変形させることにより形成されるものである。本発明に係るガラス板G1の製造方法では、内部に熱履歴を残すことなく、マザーガラスGを切断することが可能である。
また、ガラス板の他の製造方法として、ガラス板をイオン交換によって化学的に強化する方法が公知である。この場合、製造された化学強化ガラス板は、表面から一定の深さ内に圧縮応力層を有するものとなる。すなわち、化学強化ガラス板には、内部及び端面に化学強化された痕跡(化学強化履歴)として圧縮応力層が残存する。本発明に係るガラス板G1の圧縮応力層5は、イオン交換によって形成されたものではなく、マザーガラスGを塑性変形させることにより構成されたものである。本発明によって、マザーガラスGの切断後に製造されたガラス板G1には、内部及び端面に化学強化履歴は残っていない。
図12乃至図14は、チップ3の他の例を示す。図12及び図13に示す例において、チップ3は、円錐状に構成されるとともに、その頂部に複数の押圧部4を有する。押圧部4は、複数の円弧状の縁部(エッジ部)を組み合わせることにより構成される。具体的には、三角形状に構成される縁部の各辺を円弧状に構成することにより、三個の押圧部4がチップ3に形成される。
図14(a)に示す例では、チップ3は、円柱状又は円板状に構成されている。チップ3は、その軸方向端部に第1の面3bと第2の面3cとを有する。本例では、第1の面3b及び第2の面3cにおける円形の縁部が押圧部4となる。
図14(b)に示す例では、チップ3は、三角柱状に構成されている。チップ3は、軸方向における各端部に、第1の面3b及び第2の面3cを有する。第1の面3b及び第2の面3cは、その頂部が円弧状に構成される三角形状(例えば正三角形状)に構成されている。各面3b,3cの縁部は、直線部3dと、円弧状の押圧部4とを有する。
図14(c)に示す例では、チップ3は、図14(b)の例と同様に三角柱状に構成されている。チップ3は、三角形状の各面3b,3cの頂部に第1の押圧部4dを有し、三角形状の各辺に相当する部分に第2の押圧部4eを有する。第1の押圧部4d及び第2の押圧部4eは、その曲率半径が異なる。すなわち、第2の押圧部4eの曲率半径が第1の押圧部4dの曲率半径よりも大きくなっている。
図14(d)に示す例では、チップ3は、四角柱状に構成されている。したがって、チップ3の軸方向における端面(第1の面3b及び第2の面3c)は、四角形状に構成される。各面3b,3cの縁部は、直線部3dと、円弧状の押圧部4とにより構成される。図14(e)に示す例では、チップ3は、半球体により構成されており、その押圧部4は、無数の円弧状の部分を含む球面により構成される。
図15及び図16は、本発明の他の実施形態を示す。本実施形態では、スクライブチップとしてディスク状のチップ3を例示する。図15に示すように、チップ3は、ねじ部材等の固定部材を介してホルダHに固定される。本例では、ホルダHに保持されるチップ3の押圧部4をマザーガラスGに接触させ、移動方向Xに移動させることで、当該マザーガラスGに凹状線RLを形成できる。例えば、チップ3は、図16(a)乃至図16(c)に示す三角形板、図16(d)に示す四角形板、図16(e)に示す円板状に形成される。なお、チップ3の中央部には、固定部材の軸部を挿通可能な孔3eが形成されている(図16参照)。
チップ3は、図16(a)乃至図16(e)に例示される形状に限定されない。チップ3は、五角形その他の多角形状に構成されてもよく、複数の角部(押圧部4)を有する異形形状に構成されてもよい。また、例えば、図16(a)乃至図16(d)に係るチップ3において、各角部を球面状(図14(e)に相当)に形成し、この球面を押圧部4としてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、スクライブチップ1を直線的に移動させることにより、マザーガラスGを切断する例を示したが、これに限定されず、スクライブチップ1を曲線的に移動させてマザーガラスGを切断するようにしてもよい。また、複数のスクライブチップ1を同時に移動させてマザーガラスGを切断することも可能である。
上記の実施形態では、単層のマザーガラスGを切断する例を示したが、これに限定されず、本方法は、複数のマザーガラスを積層してなるガラス積層体、又はマザーガラスと樹脂板とを積層してなるガラス樹脂積層体を切断する場合にも適用可能である。
1 スクライブチップ
5 圧縮応力層
7 突起部
FC 内部初期クラック
G マザーガラス
Ga マザーガラスの第1主面(表面)
G1 ガラス板
G1a ガラス板の第1主面
G1b ガラス板の第2主面
G1c ガラス板の端面
RL 凹状線
S1 凹状線形成工程
S2 初期クラック形成工程
S3 クラック進展工程

Claims (6)

  1. スクライブチップによりマザーガラスの表面に塑性変形による凹状線を形成する工程と、
    前記凹状線に対応する位置に内部初期クラックを形成する工程と、
    前記内部初期クラックを前記凹状線に沿って前記マザーガラスの内部で進展させる工程と、を備え、
    前記凹状線は、前記凹状線の幅方向端部に形成される突起部と、前記塑性変形による圧縮応力層と、を備えることを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 前記内部初期クラックは、前記凹状線の底部から0.1μm〜10μmの深さ位置に形成される、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記内部初期クラックを進展させる工程は、マザーガラスに外力を付与する工程を含む、請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記内部初期クラックを進展させる工程は、前記内部初期クラックに液体を供給する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
  5. 第1主面と、第2主面と、前記第1主面と第2主面とを繋ぐ端面とを備え、
    前記第1主面と前記端面との境界部分に、前記第1主面から突出する突起部と、塑性変形による圧縮応力層と、を備えることを特徴とするガラス板。
  6. 前記圧縮応力層は、前記第2主面に形成されない、請求項5に記載のガラス板。
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