JP2016107681A - 車両吸出し音の低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 乗員にとって不快な車両吸出し音を低減し、車両走行時の快適性を向上させる。【解決手段】 ドア2におけるヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線Lよりも車両上下方向において下方の領域(ドア押圧領域P)を、車内側から車外側に向けて押圧する。これにより、仮想線Lの軸回りにモーメントNを発生させ、乗員の耳に比較的近いドア上方を車外側から車内側に押さえつける。【選択図】図1
Description
本発明は、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減し、車両走行時の快適性を向上させるのに有用な車両吸出し音の低減装置に関する。
車両走行時、空気がボディに沿って車両後方へ高速流動することで、ボディ側面に負圧が発生する。この負圧が原因となり、ドアを車外側へ引っ張る力が生じる。ドアとボディと密着性が失われると、走行車両内外の気圧差によって車内の空気が車外に吸い出され、乗員にとって不快となる音(車両吸出し音)が生じる。なかでも、乗員の耳に比較的近い位置で生じる車両吸出し音は、乗員に感知されやすく、快適性が損なわれる原因となりやすい。車速の増加に伴って車両吸出し音は大きくなるため、高速走行時、車両吸出し音によって乗員の快適性が損なわれる問題が顕著になる。
このため、車速が所定値以上である場合、ドアガラスを支持するガイドレールをドア厚さ方向内側に傾倒させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ドアガラスをドアガラス厚さ方向外側へ吸い出す力に抗してドアガラスを車内側へ傾倒させる力が作用する、車両走行時に良好なシール性能を確保できる、との記載がある。
しかしながら、ガイドレールをドア厚さ方向内側に傾倒させる構成では、ドアガラスと、ドアガラスを保持するドアサッシュと、の密着性の向上しか期待できない。すなわち、ボディとドアとの間は、ボディ側に装着されるボディ側ウェザーストリップ(アウターウェザーストリップ)と、ドア側に装着されるドア側ウェザーストリップ(インナーウェザーストリップ)と、ドアガラスを保持するドアサッシュと、等の種々の部材が介在しているが、引用文献1では、車両走行時、このような部材同士の密着性を良好に確保することができない。このため、引用文献1では、依然として、乗員にとって不快な車両吸出し音の発生を抑制することができないという問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減し、車両走行時の快適性を向上させることができる車両吸出し音の低減装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の車両吸出し音の低減装置は、ドアを回動可能にボディに連結するヒンジ部と、車両前後方向において前記ヒンジ部とは反対側に配されて、閉扉時に前記ドアを前記ボディに係止させるラッチ構造と、を有する車両に搭載され、前記ドアにおける前記ヒンジ部及び前記ラッチ構造を結ぶ仮想線よりも車両上下方向において下方の領域を、車内側から車外側に向けて押圧する押圧機構を具備することを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、上記の領域(以下「ドア押圧領域」と称することがある。)を車内側から車外側に向けて押圧するため、ヒンジ部及びラッチ構造を結ぶ仮想線の軸周りにモーメントを発生させることができる。そして、このモーメントを利用して、乗員の耳に比較的近いドア上方(上記の仮想線よりも車両上下方向において上方)を、車外側から車内側に押さえつけることができる。このため、車両走行時、例えば、ボディと、ボディ側ウェザーストリップと、ドア側ウェザーストリップと、ドアサッシュと、等の各部材同士の密着性を確保することができるようになる。よって、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減でき、車両走行時の快適性を向上させることができる。
そして、請求項2に係る本発明の車両吸出し音の低減装置は、請求項1に記載の車両吸出し音の低減装置において、前記押圧機構は、車両上下方向において前記ドアの下端部を押圧することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、押圧機構がドアの下端部、すなわち、上記の仮想線から車両下方向に離れたドア押圧領域を押圧するため、上記のモーメントを効率よく発生させることができる。その結果、乗員にとって不快な車両吸出し音を効率よく低減でき、車両走行時の快適性を向上させやすくなる。
また、請求項3に係る本発明の車両吸出し音の低減装置は、請求項1又は2に記載の車両吸出し音の低減装置において、前記押圧機構は、車両前後方向において前記ドアの前記ラッチ構造側の端部を押圧することを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、押圧機構がドアのラッチ構造側の端部、すなわち、ヒンジ部によってドアがボディに固定された側とは反対側の端部のドア押圧領域を押圧するため、上記のモーメントを効率よく発生させることができる。その結果、乗員にとって不快な車両吸出し音を効率よく低減でき、車両走行時の快適性を向上させやすくなる。
また、請求項4に係る本発明の車両吸出し音の低減装置は請求項1から3の何れか一項に記載の車両吸出し音の低減装置において、車速が所定の閾値以上である状況を検出し、前記状況において前記押圧機構を作動させる制御手段を更に具備することを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、車両吸出し音によって乗員の快適性が損なわれる問題が顕著になる高速走行時に限り、押圧機構を作動させることができる。このため、高速走行時において乗員にとって車両吸出し音を低減できる上、低速時に押圧機構が不要に作動する状況を回避できるため、乗員の快適性を更に向上させることができる。
本発明の車両吸出し音の低減装置によれば、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減し、車両走行時の快適性を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。尚、各図において同じ符号を付したものは同一の部材を示している。
図1(a)〜(b)は、本実施形態に係る車両吸出し音の低減装置を備えた車両の概略図である。
図1(a)に示すように、車両1は、ドア2を回動可能にボディ3に連結するヒンジ部4と、車両前後方向においてヒンジ部4とは反対側に配され、閉扉時にドア2をボディ3に係止させるラッチ構造5と、を有している(いわゆるヒンジドア構造)。図面ではフロントドアが示されているが、リアドアについても同様である。
ドア2のインナーパネル6には、ドアガラス7を保持するドアサッシュ8が一体に設けられている。ドアガラス7は、ドアサッシュ8の車内側に装着されたランチャンネル12(図2等参照)に昇降可能に案内される。
ドア2と、フロントピラー及びルーフサイドレールの下面に亘るボディ3とには、ゴム製のウェザーストリップ9が装着されている。ウェザーストリップ9は、ボディ3の開口外周縁に設けられたボディ側ウェザーストリップ9aと、開口外周縁に対応するようにドアサッシュ8に沿って設けられたドア側ウェザーストリップ9bと、からなる。これらの部材同士の密着により、車両1の気密性、水密性、遮音性等が確保される。識別しやすいように、図1においてウェザーストリップ9は太線で示してある。
ラッチ構造5は、ドア2側に設けられたラッチ(図示せず)と、ボディ3側に設けられ、ラッチが係脱可能なストライカー(図示せず)と、からなる。開扉時には、ラッチ構造の係止状態が解除にされ、ヒンジ部4を基点にドア2が回動操作される。閉扉時には、ドア2が閉じられてラッチ構造5が係止状態とされる。
ここで、車両1には、本実施形態に係る車両吸出し音の低減装置10が設けられている。具体的には、ヒンジ部4及びラッチ構造5を車両前後方向に結ぶ仮想線L(図1(a)等に示す一点鎖線)よりも車両上下方向において下方の領域(ドア2のドアパネルの領域;「ドア押圧領域」とも称することがある。)を、ドア2におけるインナーパネル6やインナーパネル等とアウターパネルとで形成されるフランジ部に対し、車内側から車外側に向けて押圧する押圧機構11が設けられている。押圧機構11は、本実施形態に係る車両吸出し音の低減装置10の一部を構成する。尚、図面においては、ドア押圧領域P(図1(a)等に示す点線領域)は、車両前後方向においてラッチ構造5側にあるが、前記の例に限定されない。
押圧機構11によってドア押圧領域Pが押圧されることで、図1(b)に示すように、上記の仮想線Lの軸周りにモーメントNが発生する。このモーメントNを利用して、乗員の耳に近い位置にあるドア上方(上記の仮想線Lよりも車両上下方向において上方)を、車外側から車内側に押さえつけることができる。
図2(a)〜(b)は、車両吸出し音の低減装置を備えた車両のドア上方の拡大側面図(図1のA−A線に準ずる断面図)である。このうち、図2(a)は、開扉時における各部の概略図であり、図2(b)は、閉扉時における各部の概略図である。
図2(a)に示すように、ドアサッシュ8の車内側の縁部には、ランチャンネル12が設けられている。ランチャンネル12は、ドアガラス7の全閉時において、ドアガラス7とドアサッシュ8との間に介在する。ランチャンネル12は、図2(a)〜(b)において、ドアサッシュ8に沿って延在している。
ボディ3の一部をなすボディフランジ13に、上記のボディ側ウェザーストリップ9aが嵌合されている。ボディ側ウェザーストリップ9aは、閉扉時にドアサッシュ8に接触するリップ部14を有している。
また、ドアサッシュ8の一部をなすドアフランジ15に、上記のドア側ウェザーストリップ9bが嵌合されている。ドア側ウェザーストリップ9bは、閉扉時にボディ3溝面に接触するリップ部16を有している。
図2(b)の二点鎖線に示すように、閉扉時において、ボディ側ウェザーストリップ9aのリップ部14がドアサッシュ8に押圧され、リップ部14が弾性変形した状態でドアサッシュ8のインナー側に密着する。ドア側ウェザーストリップ9bのリップ部16もボディ3溝面に押圧され、リップ部16が弾性変形した状態でボディ3溝面に密着する。これらの部材同士の密着により、車両1の気密性、水密性、遮音性等が確保される。尚、本発明の範囲において各部の形状や配置は限定されない。
一方、車両走行時、空気がボディに沿って車両後方へ高速流動するため、ボディ側面に負圧が発生する。この負圧が原因となり、ドア全体を車内側から車外側へ引っ張る力(図2(b)に示すM)が生じる。車速が増加するにつれて負圧が大きくなるため、特に高速走行時、ドアを車外側へ引っ張る力Mも大きくなる。特に、ヒンジ部4及びラッチ構造5が係止されていることにより、ドア2においてヒンジ部4及びラッチ構造5、又はヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線Lから最も遠くに位置するドア2とボディ3のルーフサイドレールの下面との間の部分において、ウェザーストリップ9は、上記の引っ張る力Mの影響をより受けることとなる。
これに対し、車両1は、押圧機構11を具備するため、上記のドア押圧領域Pを車内側から車外側に向けて押圧し、これにより、ヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線の軸回りにモーメントNを発生させることができる。すなわち、本実施形態によれば、ドアを車外側へ引っ張る力Mに抗して、乗員の耳に近い位置にあるドア上方(上記の仮想線Lよりも車両上下方向において上方)を車外側から車内側に押さえつけるモーメントNを発生させることができる。
これにより、ボディ側面に発生する負圧が特に大きくなる高速走行時であっても、モーメントN(ドアを車外側へ引っ張る力Mに抗してドア上方を車内側へ傾斜させるモーメントN)により、ボディ3と、ボディ側ウェザーストリップ9aと、ドア側ウェザーストリップ9bと、ドアガラス7を保持するドアサッシュ8と、等の各部材間に隙間が生じることを防止でき、各部材同士の密着性を確保することができるようになる。よって、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減でき、車両走行時の快適性を向上させることができる。
尚、上記のドア押圧領域Pを車内側から車外側に向けて押圧することで、ドア下方(上記の仮想線Lよりも車両上下方向において下側)でのドア2とボディ3との密着性が失われる可能性を考慮することが望ましい。具体的には、押圧機構11の作動を前提として、ドア押圧領域P周辺のドア2及びボディ3との間のウェザーストリップ9のシール性を前もって設定することが望ましい。また、かかるドア下方は、乗員の耳から比較的遠い。このため、この車両吸出し音が乗員に感知されることはほとんど無く、快適性が損なわれる原因にはならない。
押圧機構11の一例としては、モーター等の駆動源を具備するとともに、この駆動源によってピンを前後にスライド可能に構成した機構(スライド型)が挙げられる。この型の押圧機構では、ピンをスライドさせてドア内側に当接させ、ドア押圧領域Pを押圧する。
押圧機構11の他の例としては、ピンに螺旋状の溝を設けておき、このピンを駆動源によって回転させる機構(スクリュー型)が挙げられる。この型の押圧機構では、ピンを回転させて前後移動させることによりドア2内側に当接させ、ドア押圧領域Pを押圧する。
押圧機構11の更に他の例としては、駆動源によってカムを回転可能に構成した機構(カム型)が挙げられる。この型の押圧機構では、カムを回転させることによりカム山をドア内側に当接させ、ドア押圧領域Pを押圧する。
ただし、押圧機構11の具体的構成は前記の例に限定されない。押圧機構11は、上記のドア押圧領域Pを車内側から車外側に向けて押圧する押圧部材と、この押圧部材を駆動させる駆動源と、を具備していればよい。押圧部材は、上記のスライドピン、スクリューピン及びカムに限定されない。駆動源は、上記のモーターに限定されない。
また、押圧機構11の配置も、上記のドア押圧領域Pを車内側から車外側に向けて押圧することができる位置であれば限定されない、例えば、押圧機構11は、座席の下方に配置することができる。また、ボディ3のフレームに所定の開口を形成し、この開口から押圧部材が突出するように配置することもできる。押圧機構11の配置場所、大きさ、形状等は、種々に変形が可能である。押圧機構11は1つに限られず、異なる押圧機構を複数備えるようにしてもよい。
更に、押圧機構11がドア2の内側に当接する際の振動、磨耗、騒音等を防止するために、押圧機構11やドア2の当接部分に緩衝部材(弾性体等)を設けてもよい。押圧機構11の押圧力がドア押圧領域Pに確実に付与されるように、押圧機構11のドア内側への当接部分の先端側を加工して当接領域を大きくしてもよい。この他、押圧機構11のドア内側への当接部分を案内する加工を施してもよい。
図3は、本実施形態に係る車両吸出し音の低減装置の押圧機構11が押圧するドア押圧領域を説明する車両の側面図である。ドア押圧領域Pは、ヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線Lよりも車両上下方向において下側の領域であって、車両前後方向においてラッチ構造5側の領域P1のうち、何れかの領域である。
「ヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線L」とは、ヒンジ部4及びラッチ構造5を直線で結んだときに得られる線をいう。ヒンジ部4が複数ある場合には、その中点位置が対象となる。ただし、複数あるヒンジ部のうち、最も下側にあるヒンジ部を対象にしてもよい。ラッチ構造5が複数ある場合についても同様である。
「車両前後方向においてラッチ構造側の領域」とは、ドア2の前後方向における、ルーフサイドレールの前端部よりも後方のラッチ構造5側の領域をいう。ドア2のヒンジ部4側は、該ヒンジ部4によって車両前後方向を軸とする回動が規制されている。一方、ドア2のラッチ構造5側は、閉扉時に係止状態にあるにしても、ドア2側のラッチと、ボディ3側のストライカーと、の間に多少の遊び空間がある。車両前後方向においてラッチ構造5側のドア押圧領域Pを押圧することで、この遊び空間の範囲で、閉扉時であっても仮想線Lを軸としてドア2を好適に回動させることができる。
ドア押圧領域Pは、例えば、車両上下方向において前記ドアの下端部P2である。下端部P2は、上記の仮想線Lから車両下方向に比較的離れており、また本実施形態におけるウェザーストリップ9が引っ張る力Mの影響をより受ける箇所(ドア2とボディ3のルーフサイドレールの下面との間の部分)とはドア上下方向において反対側に相当する箇所である。このため、かかる下端部P2を押圧することで、上記のモーメントNを効率よく発生させることができる。
ここでいう下端部P2は、サイドシルに沿った車両上下方向におけるドア2の下端を概ね含んだ部分であればよい。下端部P2は、概ね、車両上下方向においてドア押圧領域P1の下1/4程度の領域である。
また、ドア押圧領域Pは、例えば、車両前後方向においてドア2のラッチ構造5側の端部P3である。このため、かかる端部P3を押圧することで、上記のモーメントNを効率よく発生させることができる。
ここでいう端部P3は、車両上下方向に延びるBピラー(センターピラーとも称される。)に沿っており、車両前後方向においてドア2のラッチ構造5側の末端を概ね含んだ部分であればよい。端部P3は、概ね、車両前後方向においてドア押圧領域P1の車両後方向1/4程度の領域である。
従って、ドア押圧領域Pとしては、ヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線Lを設定したとき、負圧によってウェザーストリップ9を車外側へ引っ張る力Mの影響を最も受ける箇所と、上記の仮想線Lを介して逆の位置であるフランジ部(本実施形態における車幅方向でBピラーと対向するドア2の後方下端部におけるインナーパネル6又はドアインナーパネルとアウターパネルとで形成されるフランジ部;上記の下端部P2及び端部P3が重なる領域)が最も好ましい。本実施形態の押圧機構11も、かかる領域を車内側から車外側に押圧するように構成されている。ただし、ドア押圧領域Pは、上記の下端部P2や端部P3に重ならない領域であっても構わない。これまでフロントドアについて説明してきたが、リアドアについても同様に構成することができる。
ここで、本実施形態の車両吸出し音の低減装置10は、車両速度が所定値以上である状況を検出し、状況において押圧機構11を作動させる押圧機構作動制御手段(制御手段)を更に具備している。これにより、特に車両吸出し音によって乗員の快適性が損なわれる問題が顕著になる高速走行時に限り、押圧機構11を作動させることができる。このため、高速走行時に車両吸出し音を低減できる上、低速時に押圧機構11が不要に作動する状況を回避できる。
本実施形態に係る車両に搭載されたECUのうち、押圧機構作動制御に関連する部分は下記のとおりである。ECUは、車両1の各コンポーネントの制御を行うためのコントロールユニットであって、公知の構成からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。ECUは、車速検出手段と、押圧機構作動制御手段と、等を主要な要素として備えている。これらの各部は、具体的にはマイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現される。
車速検出手段は、公知の車速センサーからの信号を読み込んで車速Vを検出する。その他の信号を基に、車速Vを推定し、また車速Vを補正するようにしてもよい。押圧機構作動制御手段は、車速検出手段で検出された車速Vが所定の閾値Vt以上であるか否かを判断する。そして、車速Vが閾値Vt以上である場合、押圧機構11の駆動源を作動させるための信号を生成し、この信号を押圧機構11に送信する。
閾値Vtは、例えば80km/hである。ただし、閾値Vtは前記の例に限定されず、車両吸出し音によって乗員の快適性が損なわれる問題が顕著になる速度を任意に設定することができる。
本実施形態に係る車両吸出し音の低減装置の動作の一例としては、下記のとおりである。まず車速Vを検出する。その後車速Vが閾値Vt以上であるか否かを判断し、車速Vが閾値Vt以上である場合には押圧機構11を作動させる。その後例えば、車速Vが閾値Vtを下回ったことを検出し、押圧機構の作動を停止させる。尚、本動作は繰り返されるものである。
以上説明した車両吸出し音の低減装置10によれば、上記のドア押圧領域Pを車内側から車外側に向けて押圧する押圧機構11を具備するため、ヒンジ部4及びラッチ構造5を結ぶ仮想線Lの軸回りにモーメントNを発生させることができる。そして、このモーメントNを利用して、乗員の耳に近い位置にあるドア上方(上記の仮想線Lよりも車両上下方向において上方)を、車外側から車内側に押さえつけることができる。このため、車両の高速走行時であっても、例えば、ボディ3と、ボディ側ウェザーストリップ9aと、ドア側ウェザーストリップ9bと、ドアサッシュ8と、等の各部材同士の密着性を確保することができる。よって、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減でき、車両走行時の快適性を向上させることができる。
本発明は、乗員にとって不快な車両吸出し音を低減し、車両走行時の快適性を向上させるのに有用である。押圧機構によってドア押圧領域を車内側から車外側に向けて押圧し、モーメントを発生させ、これにより乗員の耳に近い位置にあるドア上方を車外側から車内側に押さえつける技術は、上記のヒンジドア構造に限られず、いわゆるスライドドア構造にも適用することができる
1 車両
2 ドア
3 ボディ
4 ヒンジ部
5 ラッチ構造
6 インナーパネル
7 ドアガラス
8 ドアサッシュ
9 ウェザーストリップ
9a ボディ側ウェザーストリップ(アウターウェザーストリップ)
9b ドア側ウェザーストリップ(インナーウェザーストリップ)
10 車両吸出し音の低減装置
11 押圧機構
12 ランチャンネル
13 ボディフランジ
14 リップ部
15 ドアフランジ
16 リップ部
2 ドア
3 ボディ
4 ヒンジ部
5 ラッチ構造
6 インナーパネル
7 ドアガラス
8 ドアサッシュ
9 ウェザーストリップ
9a ボディ側ウェザーストリップ(アウターウェザーストリップ)
9b ドア側ウェザーストリップ(インナーウェザーストリップ)
10 車両吸出し音の低減装置
11 押圧機構
12 ランチャンネル
13 ボディフランジ
14 リップ部
15 ドアフランジ
16 リップ部
Claims (4)
- ドアを回動可能にボディに連結するヒンジ部と、車両前後方向において前記ヒンジ部とは反対側に配されて、閉扉時に前記ドアを前記ボディに係止させるラッチ構造と、を有する車両に搭載され、
前記ドアにおける前記ヒンジ部及び前記ラッチ構造を結ぶ仮想線よりも車両上下方向において下方の領域を、車内側から車外側に向けて押圧する押圧機構を具備する
ことを特徴とする車両吸出し音の低減装置。 - 請求項1に記載の車両吸出し音の低減装置において、
前記押圧機構は、
車両上下方向において前記ドアの下端部を押圧する
ことを特徴とする車両吸出し音の低減装置。 - 請求項1又は2に記載の車両吸出し音の低減装置において、
前記押圧機構は、
車両前後方向において前記ドアの前記ラッチ構造側の端部を押圧する
ことを特徴とする車両吸出し音の低減装置。 - 請求項1から3の何れか一項に記載の車両吸出し音の低減装置において、
車速が所定の閾値以上である状況を検出し、前記状況において前記押圧機構を作動させる制御手段を更に具備する
ことを特徴とする車両吸出し音の低減装置。
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Cited By (2)
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