JP2016106433A - 面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置 Download PDF

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憲吾 牧田
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Naoto Jikutani
直人 軸谷
和宏 原坂
Kazuhiro Harasaka
和宏 原坂
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Satoru Sugawara
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Abstract

【課題】高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得る。【解決手段】 主面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]方向に向かって15度傾斜している基板上に積層体が積層され、該積層体に含まれる酸化狭窄構造体の酸化層108a近傍の少なくとも一部に、酸化による歪み場を有し、該歪み場は、X軸方向とY軸方向とで歪みの大きさが互いに異なっている。この場合に、活性層における量子井戸の光学特性は、基板による光学異方性と、酸化層108a近傍の歪み場による光学異方性とを加算して有することができる。従って、高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得ることが可能となる。【選択図】図7

Description

本発明は、面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子、該面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイ、前記面発光レーザ素子又は前記面発光レーザアレイを有する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
電子写真の画像記録では、レーザを光源に用いた画像形成装置が広く用いられている。この場合、画像形成装置は、光源から射出され、偏向器で偏向された光で感光体ドラムの表面を走査し、感光体ドラムの表面に潜像を形成するための装置として光走査装置を備えている。
ところで、光走査装置は、走査レンズなどの光学系を有しており、該光学系に入射する光の偏光状態が不安定であると、画像形成装置から出力される画像(出力画像)の品質を低下させるおそれがある。
そこで、面発光レーザ素子において、射出される光の偏光状態を制御する様々な試みがなされてきた。その中で最も有力視されている第1の方法は、傾斜基板を利用する方法である(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
また、第2の方法として、活性層に対し異方的な応力を付加する方法が提案された(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
さらに、被選択酸化層の形状を長方形もしくは楕円にする方法(第3の方法、例えば、特許文献4〜特許文献6参照)や、被選択酸化層の膜厚を不均一とする方法(第4の方法、例えば、特許文献7参照)などが提案された。
しかしながら、上記第1の方法では、安定性に欠けるという不都合があった。例えば、高温時、及び長期間駆動による劣化時に、偏光状態が不安定になることがあった。また、上記第2の方法では、配線の引き出し方向が制約を受けたり、メサ形成に通常の等方的なドライエッチング手法を用いることができないため、高コスト化を招くという不都合があった。さらに、上記第3の方法では、発光ビームの形状(断面形状)に悪影響を及ぼすという不都合があった。そして、上記第4の方法では、製造方法が限定され、一般的な製造方法である有機金属気相成長法(MOCVD法)が利用できず、高コスト化を招くという不都合があった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、第1の観点からすると、基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子であって、主面の法線方向が、結晶方位<1 0 0>の一の方向に対して、結晶方位<1 1 1>の一の方向に向かって傾斜している基板と、活性層を含む共振器構造体、及び該共振器構造体を挟んで設けられ、アルミニウムを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化物が電流通過領域を取り囲んでいる狭窄構造体を有する半導体多層膜反射鏡を含み、前記基板上に積層されている複数の半導体層と、を備え、前記被選択酸化層は、前記半導体多層膜反射鏡の低屈折率層の一部をなし、前記低屈折率層は、前記被選択酸化層の一側及び他側の少なくとも一方に隣接する第1の層と、該第1の層に隣接する第2の層とを有し、前記第1の層におけるアルミニウムの含有率は、前記被選択酸化層におけるアルミニウムの含有率よりも小さく、前記第2の層におけるアルミニウムの含有率よりも大きく、前記基板の表面に平行で前記結晶方位<1 0 0>の一の方向及び前記結晶方位<1 1 1>の一の方向のいずれにも直交する方向を第1の軸方向とし、前記法線方向及び前記第1の軸方向のいずれにも直交する方向を第2の軸方向としたとき、前記電流通過領域を取り囲んでいる酸化物において、酸化が前記第1の軸方向の一側又は他側に進行した部分の幅を1としたときに、酸化が前記第2の軸方向の一側に進行した部分の幅が0.995以下であることを特徴とする面発光レーザ素子である。
これによれば、上記第1の方法よりも偏光状態を安定させることができるとともに、上記第2〜4の方法のような不都合も解消することができる。従って、高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得ることが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、本発明の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイである。
これによれば、本発明の面発光レーザ素子が集積されているため、高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得ることが可能となる。
本発明は、第3の観点からすると、光によって被走査面上を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザ素子を有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える第1の光走査装置である。
本発明は、第4の観点からすると、光によって被走査面上を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザアレイを有する光源と、前記光源からの光を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える第2の光走査装置である。
上記各光走査装置によれば、光源が本発明の面発光レーザ素子あるいは本発明の面発光レーザアレイを有しているため、安定した光走査を行うことが可能となる。
本発明は、第5の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と、を備える画像形成装置である。
これによれば、少なくとも1つの本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。 図1における光走査装置を示す概略図である。 図2における光源に含まれる面発光レーザ素子を説明するための図である。 図4(A)及び図4(B)は、それぞれ図3における基板を説明するための図である。 図3における活性層近傍を拡大した図である。 図3における上部半導体DBRの一部を拡大した図である。 図3のA−A断面図である。 IR顕微鏡によって観察される酸化層及び電流通過領域を説明するための図である。 酸化速度比と偏光抑制比との関係を説明するための図である。 図10(A)は図7における酸化狭窄構造体のA−A断面図であり、図10(B)はSy1とSx1の具体例を説明するための図である。 図11(A)は図7における酸化狭窄構造体のB−B断面図であり、図11(B)はSx1とSx2の具体例を説明するための図であり、図11(C)はSy1とSx1の具体例を説明するための図である。 図3の面発光レーザ素子におけるカソードルミネッセンスのピーク波長の測定データを説明するための図である。 比較例1の面発光レーザ素子におけるカソードルミネッセンスのピーク波長の測定データを説明するための図である。 比較例2の面発光レーザ素子におけるカソードルミネッセンスのピーク波長の測定データを説明するための図である。 酸化距離の差と被選択酸化層の厚さとの関係を説明するための図である。 面発光レーザアレイを説明するための図である。 図16における発光部の2次元配列を説明するための図である。 図17のA−A断面図である。 カラープリンタの概略構成を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14を用いて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、光源14、カップリングレンズ15、開口板16、アナモルフィックレンズ17、反射ミラー18、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、ハウジング30の中の所定位置に組み付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
カップリングレンズ15は、光源14から射出された光束を略平行光とする。光源14とカップリングレンズ15はアルミニウム製の一つの保持部材に固定され、ユニット化されている。
開口板16は、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。
アナモルフィックレンズ17は、開口板16の開口部を通過した光束を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。
光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とアナモルフィックレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が18mmの6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、副走査対応方向に平行な軸の周りを等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り曲げミラーが配置されても良い。
光源14は、一例として図3に示されるように、面発光レーザ素子100を有している。なお、本明細書では、レーザ発振方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。
面発光レーザ素子100は、設計上の発振波長が780nm帯の面発光レーザであり、基板101、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109などを有している。
基板101は、表面が鏡面研磨面であり、図4(A)に示されるように、鏡面研磨面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度(θ=15度)傾斜したn−GaAs単結晶基板である。すなわち、基板101はいわゆる傾斜基板である。ここでは、図4(B)に示されるように、結晶方位[0 1 −1]方向が+X方向、結晶方位[0 −1 1]方向が−X方向となるように配置されている。また、X軸方向が所望の偏光方向であるものとする。
下部半導体DBR103は、不図示のバッファ層を介して基板101の+Z側の面上に積層され、n−AlAsからなる低屈折率層103aと、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層103bのペアを40.5ペア有している。各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層(図示省略)が設けられている。そして、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学厚さとなるように設定されている。ところで、光学厚さがλ/4のとき、その層の実際の厚さは、その層の媒質の屈折率をNとするとλ/4Nである。
下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層され、一例として図5に示されるように、3層の量子井戸層105aと4層の障壁層105bとを有している。各量子井戸層105aは、0.7%の圧縮歪みを誘起する組成であるGaInPAsからなり、バンドギャップ波長が約780nmである。また、各障壁層105bは、0.6%の引張歪みを誘起する組成であるGa0.68In0.32Pからなる。
ところで、歪みが増加すると、ヘビーホールとライトホールのバンド分離が大きくなるため、利得の増加が大きくなり、低閾値化するとともに高効率化(高出力化)する。さらには、キャリア閉じ込め性の向上及び低閾値化によって、上部半導体DBRの反射率低減が可能となり、さらに高出力化を実現できる。
上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
下部スペーサ層104と活性層105と上部スペーサ層106とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学厚さとなるように設定されている。なお、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。
上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層され、低屈折率層と高屈折率層のペアを23ペア有している。そして、各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた組成傾斜層(図示省略)が設けられている。
上部半導体DBR107における低屈折率層の1つには、一例として図6に示されるように、p−AlAsからなる被選択酸化層108が均一な厚さ30nmで挿入されている。この被選択酸化層108の挿入位置は、上部スペーサ層106から光学的に5λ/4離れた位置であり、上部スペーサ層106から3ペア目の低屈折率層中である。そして、被選択酸化層108が含まれる低屈折率層は、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、3λ/4の光学厚さとなるように設定されている。
上部半導体DBR107における被選択酸化層108が含まれる低屈折率層を除く各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、λ/4の光学厚さとなるように設定されている。
被選択酸化層108の−Z側及び+Z側には、一例として図6に示されるように、p−Al0.81Ga0.19Asからなる厚さ38nmの中間層107mが設けられている。
被選択酸化層108が含まれる低屈折率層における各中間層107mに隣接する層107c(以下では、「低屈折率層107c」という)は、p−Al0.7Ga0.3Asからなる層である(図6参照)。
上部半導体DBR107における被選択酸化層108が含まれる低屈折率層以外の低屈折率層107aは、p−Al0.9Ga0.1Asからなる層である。また、上部半導体DBR107における高屈折率層107bは、p−Al0.3Ga0.7Asからなる層である。
コンタクト層109は、上部半導体DBR107の+Z側に積層され、p−GaAsからなる層である。
なお、このように基板101上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」ともいう。
次に、面発光レーザ素子100の製造方法について簡単に説明する。
(1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。
ここでは、III族の原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料には、フォスフィン(PH)、アルシン(AsH)を用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr)、ジメチルジンク(DMZn)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(HSe)を用いている。なお、キャリアガスには、Hを用いている。特に、MOCVD法は、原料ガスの供給量を制御することで、組成傾斜層のような構成を容易に形成できるので、半導体DBRを含んだ面発光レーザ素子の結晶成長方法としてMBE法に比べて適している。またMBE法のような高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や供給時間を制御すれば良いので、量産性にも優れている。
(2)積層体の表面に一辺が20μmの正方形状のレジストパターンを形成する。
(3)Clガスを用いるECRエッチング法で、正方形状のレジストパターンをフォトマスクとして四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層104中に位置するようにした(図3参照)。なお、メサの大きさ(1辺の長さ)は10μm以上とすることが好ましい。あまり小さいと動作時に熱がこもり、特性が低下するおそれがあるからである。
(4)フォトマスクを除去する。
(5)積層体を水蒸気中で熱処理する。ここでは、積層体が載置されるステージの温度を380℃、酸化時間を37分とした。これにより、被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化層108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する(図3参照)。すなわち、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域(電流注入領域)である。
(6)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNあるいはSiOからなる保護層111を形成する(図3参照)。
(7)ポリイミド112で平坦化する(図3参照)。
(8)メサ上部にP側電極コンタクトの窓開けを行う。ここでは、フォトレジストによるマスクを施した後、メサ上部の開口部を露光してその部分のフォトレジストを除去した後、BHFにて保護層111をエッチングして開口する。
(9)メサ上部の光出射部となる領域に一辺10μmの正方形状のレジストパターンを形成し、p側の電極材料の蒸着を行なう。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
(10)光出射部の電極材料をリフトオフし、p側の電極113を形成する(図3参照)。
(11)基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側の電極114を形成する(図3参照)。ここでは、n側の電極114はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。
(12)アニールによって、p側の電極113とn側の電極114のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。
(13)チップ毎に切断する。
このようにして製造された面発光レーザ素子100では、射出された光束は直線偏光であり、その偏光方向は所望の偏光方向であるX軸方向に安定していた。また、面発光レーザ素子100から射出された光束の形状(ファー・フィールド・パターン、以下では「FFP」ともいう)は、ほぼ円形であった。
この面発光レーザ素子100では、図3のA−A断面図である図7に示されるように、酸化層108aの+Y側端部と電流通過領域108bの+Y側端部との距離をdy1、酸化層108aの−Y側端部と電流通過領域108bの−Y側端部との距離をdy2、酸化層108aの+X側端部と電流通過領域108bの+X側端部との距離をdx1、酸化層108aの−X側端部と電流通過領域108bの−X側端部との距離をdx2とし、IR顕微鏡を用いてそれぞれを測定すると(図8参照)、dy2>dy1、及びdx2≒dx1>dy1であった。
dy1は、−Y方向に酸化が進行したときの酸化距離であり、dy2は、+Y方向に酸化が進行したときの酸化距離である。また、dx1は、−X方向に酸化が進行したときの酸化距離であり、dx2は、+X方向に酸化が進行したときの酸化距離である。ここでは、酸化時間は一定であるため、酸化速度が速いほど酸化距離は長くなる。従って、上記の関係は、−Y方向に向かう酸化速度が、+Y方向、+X方向及び−X方向に向かう各酸化速度よりも遅いこと示している。
また、dy1/dx1(以下では、「酸化速度比」ともいう)は0.95であった。
図9には、酸化条件のみを変更したときの酸化速度比と偏光抑圧比との関係について発明者らが行った実験結果が示されている。偏光抑圧比とは、所望の偏光方向における光強度とそれに直交する方向における光強度との比を意味する。この偏光抑圧比は、複写機などでは20dB程度必要であるとされている。図9によると、偏光抑圧比は、酸化速度比を0.95から大きくしていくと、0.98あたりから低下し始め、0.995以上では20dBよりも小さくなった。酸化速度比が0.995以上のときは、偏光状態が非常に不安定であり、発熱量や使用時間によっては、偏光方向が回転するという不都合が発生した。なお、本実施形態に係る面発光レーザ素子100では、前記偏光抑圧比は20dB以上であった。
また、図7における酸化狭窄構造体のA−A断面図が図10(A)に示されている。そして、酸化層108aの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察すると、該断面は酸化の進行方向に向かってなだらかな下りの傾斜を有していた。電流通過領域108bの+Y側にある酸化層108aの厚さをSy1、電流通過領域108bの−Y側にある酸化層108aの厚さをSy2とし、それらをY軸方向に関する種々の位置で計測すると、一例として図10(B)に示されるように、酸化終了部からの距離が同じであっても、Sy1はSy2よりも厚かった。
また、図7における酸化狭窄構造体のB−B断面図が図11(A)に示されている。そして、同様にして電流通過領域108bの−X側にある酸化層108aの厚さSx1、及び電流通過領域108bの+X側にある酸化層108aの厚さSx2を計測した。この場合には、Sx1及びSx2は、酸化終了部からの距離が同じであれば、一例として図11(B)に示されるように、ほぼ同じであった。また、Sx1及びSx2は、酸化終了部からの距離が同じであっても、一例として図11(C)に示されるように、上記Sy1よりも薄かった。
ところで、前記選択酸化によって歪み場が形成されていることは、例えば、TEMによる制限視野電子回折像から知ることができる。これによると、選択酸化による歪み場は酸化終了部近傍で大きくなり、その影響が活性層105に及んでいた。すなわち、選択酸化によって活性層105に局所的な歪みが付加されていた。
発明者らは、カソードルミネッセンス(CL)法を用いて、活性層に付加された局所的な歪みの大きさ(歪み量)を求めた。
一例として、図12には、面発光レーザ素子100の活性層105におけるY軸方向に関する位置とカソードルミネッセンスのピーク波長との関係が示されている。電流通過領域108bに対応する領域内でのピーク波長に対する酸化終了部近傍に対応する位置(F1、F2)でのピーク波長の変化量(以下、便宜上「シフト量」ともいう)は、プラスであり、これらの部分に引張応力が存在していることがわかる。また、+Y側の位置F1でのシフト量f1は、−Y側の位置F2でのシフト量f2よりも大きい。従って、引張応力の大きさを位置F1と位置F2とで比較すると、位置F1の方が大きい。これは、前記Sy1がSy2よりも大きいことによるものと考えられる。
ところで、GaInAsP系の場合、カソードルミネッセンスにおける約1nmのシフト量は、約0.02%の歪み量に対応している(例えば、M.Watanabe、H.Matsuura and N.Shimada、「Investigation of tensile−strained InGaAIP multiquantum−well active regions by photoluminescence measurements」、J.Appl.Phys.76(12)、15、December、1994参照)。
面発光レーザ素子100では、位置F1でのシフト量f1は、位置F2でのシフト量f2よりも約1nm大きい(図12参照)。すなわち、面発光レーザ素子100では、活性層105に0.02%程度の異方性のある局所的な歪みが付加されている。
図13には、比較例1として、劣化した従来の面発光レーザ素子におけるカソードルミネッセンスのピーク波長の測定データが示されている。なお、図13における位置10μm付近でのピーク波長の低下は、劣化による発光強度の低下に起因するものと思われるので、ここでは、無視している。この場合には、酸化終了部近傍である位置F3及び位置F4では、ほぼ同じシフト量であり、活性層に付加される局所的な歪みの異方性は0.002%程度であった。そして、この面発光レーザ素子では、偏光状態が不安定であった。
また、図14には、比較例2として、面発光レーザ素子100よりも酸化層を厚くした面発光レーザ素子におけるカソードルミネッセンスのピーク波長の測定データが示されている。この場合には、酸化終了部近傍である位置F5でのシフト量及び位置F6でのシフト量は、いずれも約3nmであった。この3nmのシフト量は、約0.06%の歪み量に対応する。この面発光レーザ素子に対して、出力を1.4mWに固定して、60℃での寿命試験を行ったところ、寿命は数百時間であった。一般的な面発光レーザ素子では、数千時間の寿命を有することから、この面発光レーザ素子の寿命は明らかに短かった。数百時間という寿命では画像形成装置の仕様を満たすことができない。このことから、偏光制御のため活性層に局所的な歪みを付加する場合に、その歪み量が0.06%にもなると、寿命に悪影響を及ぼすことがわかる。なお、面発光レーザ素子100の場合よりも、酸化層を活性層近くに配置した面発光レーザ素子でも同様な傾向がみられた。
ところで、一般的な歪み量子井戸構造の活性層では、スペーサ層などで歪みを補償するなど工夫されており、かつ面内で一様な歪みであるため、その歪み量が寿命に与える影響は、上記局所的な歪みの数値とは明らかに異なるものである。面発光レーザ素子の寿命に関わる歪み量は、選択酸化によって発生する局所的な歪みであり、一般的なフォトルミネッセンス手法などでは定量できない量である。発明者らによるカソードルミネッセンス法を用いた面発光レーザ素子の研究において初めて定量化できたものである。
以上説明したように、本実施形態に係る面発光レーザ素子100によると、主面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]方向に向かって15度傾斜している基板101上に積層体が積層され、該積層体に含まれる酸化狭窄構造体の酸化層108a近傍の少なくとも一部に、酸化による歪み場を有し、該歪み場は、X軸方向(第1の軸方向)とY軸方向(第2の軸方向)とで歪みの大きさが互いに異なっている。この場合に、活性層105における量子井戸の光学特性は、基板101による光学異方性と、酸化層108a近傍の歪み場による光学異方性とを加算して有することができる。従って、高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得ることが可能となる。
傾斜基板を用いた場合には、Alを含む被選択酸化層が選択酸化される際の酸化速度に面内異方性が現れる。そして、本願の発明者らが様々な実験を行った結果、この酸化速度の面内異方性は、酸化条件により大きく変動することがわかった。さらに、酸化速度を精度良く制御するために詳細な調査を行った結果、酸化速度に面内異方性がある場合でも、電流通過領域の形状が2軸対称となる酸化条件を見出した。電流通過領域の形状が2軸対称であると、出力ビームの偏光方向が一方の軸方向に揃い易くなる。すなわち、偏光制御に有利であると考えられる。
第1の軸方向(ここでは、X軸方向)の酸化速度、第2の軸の−方向(ここでは、−Y方向)の酸化速度、及び第2の軸の+方向(ここでは、+Y方向)の酸化速度は、互いに異なっており、それらの大小関係は酸化条件によって変化する。
互いに異なる種々の酸化条件で形成された酸化層に対し、TEM観察による酸化層の厚さ測定、IR顕微鏡による酸化速度(酸化距離)の測定、及びCL法による歪み量の測定を行った。その結果、どの酸化条件であっても、酸化層の厚い方が、歪み量が大きく、かつ酸化速度が遅い(酸化距離が短い)傾向にあることが判った。これは、酸化速度が遅いと、厚さ方向の酸化が進み、それによって体積収縮が大きくなり、歪み量が増大するものと考えられる。
さらに、上記面発光レーザ素子100における被選択酸化層の厚さを32nm及び34nmとして面発光レーザ素子を、面発光レーザ素子100と同様にして製造し、dy1、dy2、dx1及びdx2を測定した。その結果、被選択酸化層の厚さが異なっていても、dx1及びdx2は、ほぼ同じ値であり、約10μmであった。また、図15に示されるように、被選択酸化層の厚さが異なっていても、dy1は、常に、dx1よりも約0.5μm小さいことが判った。さらに、dx1とdy2との差(Δdy2)は、被選択酸化層の厚さが大きくなるにつれて、拡大していることが判った。すなわち、dy2は、被選択酸化層の厚さに依存している。このように、本願の発明者らの実験によって、酸化条件が一定であっても、酸化速度の異方性は、被選択酸化層の厚さによって変化することが判った。
本実施形態に係る光走査装置1010によると、光源14が面発光レーザ素子100を有しているため、安定した光走査を行うことが可能となる。
本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、高品質の画像を形成することが可能となる。
なお、上記実施形態における「面発光レーザ素子100の製造方法」の工程(5)での条件(酸化条件)は、上記実施形態の酸化条件に限定されるものではない。酸化層108a近傍の少なくとも一部に、選択酸化による歪み場を有し、該歪み場が、X軸方向とY方向とで歪みの大きさが互いに異なるような酸化条件であれば良い。
また、上記実施形態では、X軸方向が所望の偏光方向である場合について説明したが、これに限らず、{100}面に対する基板101の傾斜方向及び傾斜角度によっては、Y軸方向が所望の偏光方向であっても良い。
また、上記実施形態では、被選択酸化層がp−AlAsからなる場合について説明したが、これに限らず、例えばp−Al0.98Ga0.02AsのようにGaが含まれていても良い。
また、上記実施形態では、被選択酸化層108の挿入位置が、上部スペーサ層106から光学的に5λ/4離れた位置である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被選択酸化層108の挿入位置が、上部スペーサ層106から光学的に3λ/4、あるいは7λ/4離れた位置であっても良い。
また、上記実施形態では、レーザ発振方向に直交する断面でのメサ形状が正方形の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば円形、楕円形あるいは長方形など任意の形状とすることができる。
また、上記実施形態では、基板の主面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]方向に向かって15度傾斜している場合について説明したが、これに限定されるものではない。基板の主面の法線方向が、結晶方位<1 0 0>の一の方向に対して、結晶方位<1 1 1>の一の方向に向かって傾斜していれば良い。そして、この場合には、X軸方向とY方向とで歪みの大きさが互いに異なるような酸化条件を、傾斜方向及び傾斜角度に応じて適切に設定すれば良い。
また、上記実施形態において、光源14は、前記面発光レーザ素子100に代えて、一例として図16に示されるように、面発光レーザアレイ500を有していても良い。
この面発光レーザアレイ500は、複数(ここでは32個)の発光部が同一基板上に配置されている。ここでは、図16におけるM方向は主走査対応方向であり、S方向は副走査対応方向である。なお、発光部の数は32個に限定されるものではない。
面発光レーザアレイ500は、図17に示されるように、M方向からS方向に向かって傾斜した方向であるT方向に沿って8個の発光部が等間隔に配置された発光部列を4列有している。そして、これら4列の発光部列は、すべての発光部をS方向に伸びる仮想線上に正射影したときに等間隔cとなるように、S方向に等間隔dで配置されている。すなわち、32個の発光部は、2次元的に配列されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
ここでは、間隔cは3μm、間隔dは24μm、M方向の発光部間隔X(図17参照)は30μmである。
各発光部は、図17のA−A断面図である図18に示されるように、前述した面発光レーザ素子100と同様な構造を有している。そして、この面発光レーザアレイ500は、前述した面発光レーザ素子100と同様な方法で製造することができる。
このように、面発光レーザアレイ500は、前記面発光レーザ素子100が集積された面発光レーザアレイであるため、前記面発光レーザ素子100と同様な効果を得ることができる。
この場合に、面発光レーザアレイ500では、各発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときの発光部間隔が等間隔cであるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で発光部が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
そして、上記間隔cが3μmであるため、光走査装置1010の光学系の倍率を約1.8倍とすれば、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査対応方向の発光部数を増加したり、前記間隔dを狭くして間隔cを更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、発光部の点灯タイミングで容易に制御できる。
また、この場合には、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
また、この場合には、各発光部からの光束の偏光状態が安定して揃っているため、レーザプリンタ1000では、高品質の画像を安定して形成することができる。
ところで、2つの発光部の間の溝は、各発光部の電気的及び空間的分離のために、5μm以上とすることが好ましい。あまり狭いと製造時のエッチングの制御が難しくなるからである。また、メサの大きさ(1辺の長さ)は10μm以上とすることが好ましい。あまり小さいと動作時に熱がこもり、特性が低下するおそれがあるからである。
また、上記実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
また、面発光レーザ素子100及び面発光レーザアレイ500は、画像形成装置以外の用途に用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
また、上記実施形態において、前記面発光レーザ素子100に代えて、前記面発光レーザ素子100と同様の発光部が1次元配列された面発光レーザアレイを用いても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば良い。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、一例として図19に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図19中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、それぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、前記光源14と同様な光源を、色毎に有している。そこで、上記光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、光走査装置2010を備えているため、上記レーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が前記面発光レーザアレイ500と同様な面発光レーザアレイを有していると、点灯させる発光部を変更することで色ずれを低減することができる。
以上説明したように、本発明の面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイによれば、高コスト化及びビーム形状の劣化を招くことなく、安定した偏光状態を得るのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、安定した光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。
11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源、100…面発光レーザ素子、101…基板、103…下部半導体DBR(半導体多層膜反射鏡の一部)、104…下部スペーサ層(共振器構造体の一部)、105…活性層、106…上部スペーサ層(共振器構造体の一部)、107…上部半導体DBR(半導体多層膜反射鏡の一部)、108…被選択酸化層、108a…酸化層(電流通過領域を取り囲んでいる酸化物)、108b…電流通過領域、500…面発光レーザアレイ、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。
特許第4010095号公報 特許第3606059号公報 特開2006−13366号公報 特許第3799667号公報 特許第3551718号公報 特許第2891133号公報 特許第3800852号公報
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Claims (7)

  1. 基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子であって、
    主面の法線方向が、結晶方位<1 0 0>の一の方向に対して、結晶方位<1 1 1>の一の方向に向かって傾斜している基板と、
    活性層を含む共振器構造体、及び該共振器構造体を挟んで設けられ、アルミニウムを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化物が電流通過領域を取り囲んでいる狭窄構造体を有する半導体多層膜反射鏡を含み、前記基板上に積層されている複数の半導体層と、を備え、
    前記被選択酸化層は、前記半導体多層膜反射鏡の低屈折率層の一部をなし、
    前記低屈折率層は、前記被選択酸化層の一側及び他側の少なくとも一方に隣接する第1の層と、該第1の層に隣接する第2の層とを有し、
    前記第1の層におけるアルミニウムの含有率は、前記被選択酸化層におけるアルミニウムの含有率よりも小さく、前記第2の層におけるアルミニウムの含有率よりも大きく、
    前記基板の表面に平行で前記結晶方位<1 0 0>の一の方向及び前記結晶方位<1 1 1>の一の方向のいずれにも直交する方向を第1の軸方向とし、前記法線方向及び前記第1の軸方向のいずれにも直交する方向を第2の軸方向としたとき、前記電流通過領域を取り囲んでいる酸化物において、酸化が前記第1の軸方向の一側又は他側に進行した部分の幅を1としたときに、酸化が前記第2の軸方向の一側に進行した部分の幅が0.995以下であることを特徴とする面発光レーザ素子。
  2. 前記複数の半導体層は、前記酸化に先立って、少なくとも前記被選択酸化層が側面に露出したメサ形状となるようにエッチングされており、
    前記酸化では、光の射出方向に直交する面内において、前記第2の軸方向の酸化速度が、前記第1の軸方向の酸化速度よりも遅いことを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  3. 前記電流通過領域を取り囲んでいる酸化物は、酸化が前記第2の軸方向の前記一側に向かって進行した部分の厚さが、酸化が前記第2の軸方向の他側に向かって進行した部分の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の面発光レーザ素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイ。
  5. 光によって被走査面上を走査する光走査装置であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子を有する光源と、
    前記光源からの光を偏向する偏向器と、
    前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置。
  6. 光によって被走査面上を走査する光走査装置であって、
    請求項4に記載の面発光レーザアレイを有する光源と、
    前記光源からの光を偏向する偏向器と、
    前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備える光走査装置。
  7. 少なくとも1つの像担持体と、
    前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの請求項5又は6に記載の光走査装置と、を備える画像形成装置。
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