本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による面発光レーザアレイの平面図である。図1を参照して、実施の形態1による面発光レーザアレイ100は、面発光レーザ素子1〜36を備える。
面発光レーザ素子1〜36は、6行×6列の2次元に配置される。そして、6個の面発光レーザ素子1,7,13,19,25,31/2,8,14,20,26,32/3,9,15,21,27,33/4,10,16,22,28,34/5,11,17,23,29,35/6,12,18,24,30,36は、副走査方向に配置され、6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/14〜24/25〜30/31〜36は、主走査方向に配置される。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/14〜24/25〜30/31〜36は、副走査方向に階段的にずらされて配置される。その結果、36個の面発光レーザ素子1〜36から放射された36個のレーザ光は、相互に重なることがない。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/14〜24/25〜30/31〜36において、隣接する2つの面発光レーザ素子間の間隔は、面発光レーザアレイ100の中心部では、間隔X1に設定され、周辺部では、間隔X2(<X1)に設定される。すなわち、面発光レーザアレイ100の中心部に配置された面発光レーザ素子3,4間/9,10間/15,16間/21,22間/27,28間/33,34間の間隔は、間隔X1に設定され、面発光レーザアレイ100の周辺部に配置された面発光レーザ素子1,2間/5,6間/7,8間/11,12間/13,14間/17,18間/19,20間/23,24間/25,26間/29,30間/31,32間/35,36間の間隔は、間隔X2に設定される。また、面発光レーザ素子2,3間/4,5間/8,9間/10,11間/14,15間/16,17間/20,21間/22,23間/26,27間/28,29間/32,33間/34,35間の間隔は、間隔X1と間隔X2との間の間隔X3に設定される。
この場合、間隔X1は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも広い間隔に設定され、間隔X2は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも狭い間隔に設定される。そして、間隔X1は、たとえば、50μmに設定され、間隔X2は、たとえば、25μmに設定され、間隔X3は、たとえば、35μmに設定される。
また、副走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1,7,13,19,25,31/2,8,14,20,26,32/3,9,15,21,27,33/4,10,16,22,28,34/5,11,17,23,29,35/6,12,18,24,30,36において、隣接する2つの面発光レーザ素子間の間隔は、副走査方向において一定であり、間隔dに設定される。そして、dは、たとえば、d=30μmに設定される。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6の6個の中心から副走査方向に配置された直線40に下ろした6個の垂線L1〜L6の副走査方向における間隔Cは、等間隔であり、C=d/6によって決定される。図1に示す例では、C=30/6=5μmである。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子7〜12/13〜18/19〜24/25〜30/31〜36の6個の中心から直線40に下ろした6個の垂線の副走査方向における間隔も、等間隔であり、間隔Cと同じである。
このように、面発光レーザアレイ100においては、副走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1,7,13,19,25,31/2,8,14,20,26,32/3,9,15,21,27,33/4,10,16,22,28,34/5,11,17,23,29,35/6,12,18,24,30,36は、等間隔dに配置され、主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/14〜24/25〜30/31〜36は、面発光レーザアレイ100の周辺部から中心部に向かうに従って広くなるように配置される。
すなわち、面発光レーザアレイ100においては、主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/14〜24/25〜30/31〜36の間隔は、面発光レーザアレイ100の周辺部よりも中央部が広く、主走査方向の位置によって異なる。
具体例として、面発光レーザ素子15―16(中央部)の間隔に比べて面発光レーザ素子13−14(周辺部)の間隔が狭い。また、面発光レーザ素子16―21(中央部)の間隔に比べて面発光レーザ素子26−31(周辺部)の間隔が狭い。
その結果、面発光レーザアレイ100の周辺部に配置された面発光レーザ素子から発せられた熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に与える影響が低減され、面発光レーザアレイ100の36個の面発光レーザ素子1〜36を同時に動作させたときの面発光レーザアレイ100における温度分布は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置された場合よりも均一化される。したがって、36個の面発光レーザ素子の出力特性を均一化できる。そして、面発光レーザアレイ100内で最も高温となる面発光レーザ素子15,16,21,22の温度が低下するため、面発光レーザアレイ100の寿命を長くできる。
また、間隔X1は、間隔X1は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも広い間隔に設定され、間隔X2は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも狭い間隔に設定されるので、面発光レーザ素子1〜36の占有面積を36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合よりも小さくできる。その結果、面発光レーザアレイ100を光書き込み用の光源として用いた場合、コリメートレンズ等の光学系の収差を36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合よりも小さくできる。そして、面発光レーザアレイ100の面積を小さくしたまま、中心付近の面発光レーザ素子15,16,21,22の温度上昇を抑えることができるので、レンズ等光学系の収差の影響を抑えられるので、面発光レーザアレイ100を画像形成装置に用いた場合、きれいな画像となり、かつ、面発光レーザアレイ100の寿命を長くできるので、光書き込み光学ユニット自体の再利用が可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
なお、主走査方向においては、隣接する2つの面発光レーザ素子の間隔は、主走査方向における位置によって異なっており、副走査方向に配置された面発光レーザ素子の間隔は、一定であるので、原理的には、6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/19〜24/25〜30/31〜36は、主走査方向にS字カーブ状に配置される。
図2は、図1に示す面発光レーザ素子1の概略断面図である。図2を参照して、面発光レーザ素子1は、基板101と、反射層102,106と、共振器スペーサー層103,105と、活性層104と、選択酸化層107と、コンタクト層108と、SiO2層109と、絶縁性樹脂110と、p側電極111と、n側電極112とを備える。
基板101は、n型ガリウム砒素(n−GaAs)からなる。反射層102は、n−Al0.9Ga0.1As/n−Al0.3Ga0.7Asの対を一周期とした場合、40.5周期の[n−Al0.9Ga0.1As/n−Al0.3Ga0.7As]からなり、基板101の一主面に形成される。そして、n−Al0.9Ga0.1Asおよびn−Al0.3Ga0.7Asの各々の膜厚は、面発光レーザ素子1の発振波長をλとした場合、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)である。
共振器スペーサー層103は、ノンドープAl0.6Ga0.4Asからなり、反射層102上に形成される。活性層104は、Al0.12Ga0.88Asからなる井戸層と、Al0.3Ga0.7Asからなる障壁層とを含む量子井戸構造を有し、共振器スペーサー層103上に形成される。
共振器スペーサー層105は、ノンドープAl0.6Ga0.4Asからなり、活性層104上に形成される。反射層106は、p−Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7Asの対を一周期とした場合、24周期の[p−Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As]からなり、共振器スペーサー層105上に形成される。そして、p−Al0.9Ga0.1Asおよびp−Al0.3Ga0.7Asの各々の膜厚は、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)である。
選択酸化層107は、p−AlAsからなり、反射層106中に設けられる。そして、選択酸化層107は、非酸化領域107aと酸化領域107bとからなり、20nmの膜厚を有する。
コンタクト層108は、p−GaAsからなり、反射層106上に形成される。SiO2層109は、反射層102の一部の一主面と、共振器スペーサー層103、活性層104、共振器スペーサー層105、反射層106、選択酸化層107およびコンタクト層108の端面とを覆うように形成される。
絶縁性樹脂110は、SiO2層109に接して形成される。p側電極111は、コンタクト層108の一部および絶縁性樹脂110上に形成される。n側電極112は、基板101の裏面に形成される。
反射層102,106の各々は、活性層104で発振した発振光をブラッグの多重反射により反射して活性層104に閉じ込める半導体分布ブラッグ反射器を構成する。
また、酸化領域107bは、非酸化領域107aよりも小さい屈折率を有する。そして、酸化領域107bは、p側電極111から注入された電流が活性層104へ流れる経路を非酸化領域107aに制限する電流狭窄部を構成するとともに、活性層104で発振した発振光を非酸化領域107aに閉じ込める。これによって、面発光レーザ素子1は、低閾値電流での発振が可能となる。
図3は、図2に示す面発光レーザ素子1の活性層104の近傍を示す断面図である。図3を参照して、反射層102は、低屈折率層1021と、高屈折率層1022と、組成傾斜層1023とを含む。低屈折率層1021は、n−Al0.9Ga0.1Asからなり、高屈折率層1022は、n−Al0.3Ga0.7Asからなる。組成傾斜層1023は、低屈折率層1021および高屈折率層1022のいずれか一方から他方へ向かってAl組成が徐々に変化するn−AlGaAsからなる。そして、低屈折率層1021が共振器スペーサー層103に接する。
反射層106は、低屈折率層1061と、高屈折率層1062と、組成傾斜層1063とを含む。低屈折率層1061は、p−Al0.9Ga0.1Asからなり、高屈折率層1062は、n−Al0.3Ga0.7Asからなる。組成傾斜層1063は、低屈折率層1061および高屈折率層1062のいずれか一方から他方へ向かってAl組成が徐々に変化するp−AlGaAsからなる。そして、低屈折率層1061が共振器スペーサー層105に接する。
活性層104は、各々がAl0.12Ga0.88Asからなる3層の井戸層1041と、各々がAl0.3Ga0.7Asからなる4層の障壁層1042とが交互に積層された量子井戸構造からなる。そして、障壁層1042が共振器スペーサー層103,105に接する。
面発光レーザ素子1においては、共振器スペーサー層103,105および活性層104は、共振器を構成し、基板101に垂直な方向における共振器の厚さは、面発光レーザ素子1の1波長(=λ)に設定される。すなわち、共振器スペーサー層103,105および活性層104は、1波長共振器を構成する。
なお、図1に示す面発光レーザ素子2〜36の各々は、図2および図3に示す面発光レーザ素子1の構成と同じ構成からなる。
図4、図5および図6は、それぞれ、図1に示す面発光レーザアレイ100の製造方法を示す第1から第3の工程図である。なお、図4〜図6の説明においては、図1に示す36個の面発光レーザ素子1〜36のうち、1つの面発光レーザ素子が作製される工程を参照して面発光レーザアレイ100の製造方法を説明する。
図4を参照して、一連の動作が開始されると、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、反射層102、共振器スペーサー層103、活性層104、共振器スペーサー層105、反射層106、選択酸化層107およびコンタクト層108を基板101上に順次積層する(図4の工程(a)参照)。
この場合、反射層102のn−Al0.9Ga0.1Asおよびn−Al0.3Ga0.7Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH3)およびセレン化水素(H2Se)を原料として形成し、共振器スペーサー層103のAl0.6Ga0.4Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH3)を原料として形成する。
また、活性層104のAl0.12Ga0.88As/Al0.3Ga0.7Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH3)を原料として形成する。
さらに、共振器スペーサー層105のAl0.6Ga0.4Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH3)を原料として形成する。
さらに、反射層106のp−Al0.9Ga0.1As/p−Al0.3Ga0.7Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH3)および四臭化炭素(CBr4)を原料として形成する。なお、四臭化炭素(CBr4)に代えて、ジメチル亜鉛(DMZn)を用いてもよい。
さらに、選択酸化層107のp−AlAsをトリメチルアルミニウム(TMA)、アルシン(AsH3)および四臭化炭素(CBr4)を原料として形成し、コンタクト層108のp−GaAsをトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH3)および四臭化炭素(CBr4)を原料として形成する。この場合も、四臭化炭素(CBr4)に代えて、ジメチル亜鉛(DMZn)を用いてもよい。
その後、コンタクト層108の上にレジストを塗布し、写真製版技術を用いて、コンタクト層108上にレジストパターン120を形成する(図4の工程(b)参照)。
レジストパターン120を形成すると、その形成したレジストパターン120をマスクとして用いて、反射層102、共振器スペーサー層103、活性層104、共振器スペーサー層105、反射層106、選択酸化層107およびコンタクト層108の周辺部をドライエッチングにより除去し、さらに、レジストパターン120を除去する(図4の工程(c)参照)。
次に、図5を参照して、図4に示す工程(c)の後、85℃に加熱した水を窒素ガスでバブリングした雰囲気中において、試料を425℃に加熱して、選択酸化層107の周囲を外周部から中央部に向けて酸化し、選択酸化層107中に非酸化領域107aと酸化領域107bとを形成する(図5の工程(d)参照)。
その後、気相化学堆積法(CVD:Chemical Vapour Deposition)を用いて、試料の全面にSiO2層109を形成し、写真製版技術を用いて光出射部となる領域およびその周辺領域のSiO2層109を除去する(図5の工程(e)参照)。
次に、試料の全体に絶縁性樹脂110をスピンコートにより塗布し、光出射部となる領域上の絶縁性樹脂110を除去する(図5の工程(f)参照)。
図6を参照して、絶縁性樹脂110を形成した後、光出射部となる領域上に所定のサイズを有するレジストパターンを形成し、試料の全面にp側電極材料を蒸着により形成し、レジストパターン上のp側電極材料をリフトオフにより除去してp側電極111を形成する(図6の工程(g)参照)。そして、基板101の裏面を研磨し、基板101の裏面にn側電極112を形成し、さらに、アニールしてp側電極111およびn側電極112のオーミック導通を取る(図6の工程(h)参照)。これによって、面発光レーザアレイ100が完成する。
なお、図4に示す工程(b),(c)においては、1個の面発光レーザ素子を形成するためのドライエッチングが図示されているが、実際には、工程(b),(c)においては、図1に示す36個の面発光レーザ素子1〜36を同時に形成するためのドライエッチング行なわれる。この場合、36個の面発光レーザ素子1〜36を同時に形成するためのレジストパターンは、図1に示す36個の面発光レーザ素子1〜36の配置に適合したフォトマスクを用いて形成される。すなわち、36個の面発光レーザ素子1〜36を同時に形成するためのレジストパターンは、主走査方向における間隔X1,X2,X3が間隔X2<X3<X1を満たすように設定され、かつ、主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子1〜6/7〜12/13〜18/19〜24/25〜30/31〜36の6個の中心から直線40に下ろした6個の垂線L1〜L6が等間隔Cになるように設計されたフォトマスクを用いて形成される。
図7は、図1に示す面発光レーザ素子1〜36の他の概略断面図である。図1に示す面発光レーザ素子1〜36の各々は、図7に示す面発光レーザ素子1Aからなっていてもよい。
図7を参照して、面発光レーザ素子1Aは、図2に示す面発光レーザ素子1の共振器スペーサー層103,105をそれぞれ共振器スペーサー層103A,105Aに代え、活性層104を活性層104Aに代えたものであり、その他は、面発光レーザ素子1と同じである。
共振器スペーサー層103Aは、(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pからなり、反射層102上に形成される。活性層104Aは、圧縮歪組成であるGaInPAsからなる井戸層と、引っ張り歪を有するGa0.6In0.4Pからなる障壁層とを含む量子井戸構造からなり、共振器スペーサー層103A上に形成される。共振器スペーサー層105Aは、(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pからなり、活性層104A上に形成される。そして、面発光レーザ素子1Aは、780nmのレーザ光を発振する。
図8は、図7に示す面発光レーザ素子1Aの活性層104Aの近傍を示す断面図である。図8を参照して、反射層102の低屈折率層1021が共振器スペーサー層103Aに接し、反射層106の低屈折率層1061が共振器スペーサー層105Aに接する。
活性層104Aは、各々がGaInPAsからなる3層の井戸層1041Aと、各々がGa0.6In0.4Pからなる4層の障壁層1042Aとが交互に積層された量子井戸構造からなる。そして、障壁層1042Aが共振器スペーサー層103A,105Aに接する。
そして、面発光レーザ素子1Aにおいては、共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aは、共振器を構成し、基板101に垂直な方向における共振器の厚さは、面発光レーザ素子1Aの1波長(=λ)に設定される。すなわち、共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aは、1波長共振器を構成する。
表1は、共振器スペーサー層103A,105A/活性層104Aの井戸層1041Aが、それぞれ、AlGaAs/AlGaAsから形成された場合およびAlGaInP/GaInPAsから形成された場合における共振器スペーサー層103A,105Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差および障壁層1042Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差を示す。
共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aの井戸層1041AにそれぞれAlGaAsおよびAlGaAsを用いた場合、発振波長が780nmである面発光レーザ素子における共振器スペーサー層103A,105Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、465.9meVであり、障壁層1042Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、228.8meVである。
また、共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aの井戸層1041AにそれぞれAlGaAsおよびAlGaAsを用いた場合、発振波長が850nmである面発光レーザ素子における共振器スペーサー層103A,105Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、602.6meVであり、障壁層1042Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、365.5meVである。
一方、共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aの井戸層1041AにそれぞれAlGaInPおよびGaInPAsを用いた場合、発振波長が780nmである面発光レーザ素子1Aにおける共振器スペーサー層103A,105Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、767.3meVであり、障壁層1042Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差は、463.3meVである。
なお、面発光レーザ素子1Aは、図4から図6に示す工程(a)〜(h)に従って作製される。この場合、工程(a)において、共振器スペーサー層103A,105Aを構成する(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)およびフォスフィン(PH3)を原料して形成し、活性層104Aの井戸層1041Aを構成するGaInPAsをトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、フォスフィン(PH3)およびアルシン(AsH3)を原料として形成し、活性層104Aの障壁層1042Aを構成するGa0.6In0.4Pをトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)およびフォスフィン(PH3)を原料として形成する。
このように、共振器スペーサー層103A,105Aおよび活性層104Aの井戸層1041AをそれぞれAlGaInPおよびGaInPAsによって構成することにより、共振器スペーサー層103A,105Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差および障壁層1042Aと井戸層1041Aとのバンドギャップの差を従来よりも格段に大きくできる。その結果、井戸層1041Aへのキャリアの閉じ込め効果が格段に大きくなり、面発光レーザ素子1Aは、低閾値で発振するとともに、より高出力の発振光を放射する。
また、活性層104Aが圧縮歪を有するGaInPAsを含むので、ヘビーホールとライトホールとのバンド分離によって利得の増加が大きくなる。これにより、高利得となり、低閾値で高出力な発振光を得ることができる。なお、この効果は、GaAs基板とほぼ同じ格子定数を有するAlGaAs系で作製した780nmまたは850nmの面発光レーザ素子では得られない。
さらに、キャリア閉じ込めの向上、および活性層104Aが歪量子井戸構造からなることによる高利得化によって、面発光レーザ素子1Aの閾値電流が低化し、光取り出し側の反射層106による反射率の低減が可能となり、さらに高出力化できる。
さらに、利得が大きくなると、面発光レーザ素子1Aの温度上昇による光出力の低下を抑制でき、面発光レーザアレイ100の素子間隔をさらに狭くできる。
さらに、活性層104Aは、Alを含んでいない材料から構成されているので、これらの層への酸素の取り込みが低減することによって非発光再結合センターの形成を抑制でき、長寿命化を図れる。これによって、書き込みユニットまたは光源ユニットの再利用が可能となる。
なお、面発光レーザアレイ100においては、間隔X3を間隔X1または間隔X2と同じに設定してもよい。
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2による面発光レーザアレイの平面図である。図9を参照して、実施の形態2による面発光レーザアレイ100Aは、面発光レーザ素子201〜236を備える。
2個の面発光レーザ素子219,226/211,218、5個の面発光レーザ素子203,209,216,224,231/204,210,217,225,232/205,212,220,227,233および6個の面発光レーザ素子201,207,214,222,229,235/202,208,215,223,230,236は、副走査方向に配置され、4個の面発光レーザ素子201〜204/233〜236および7個の面発光レーザ素子205〜211/212〜218/219〜225/226〜232は、主走査方向に配置される。
主走査方向に配置された4個の面発光レーザ素子201〜204/233〜236および7個の面発光レーザ素子205〜211/212〜218/219〜225/226〜232は、副走査方向に階段的にずらされて配置される。その結果、36個の面発光レーザ素子201〜236から放射された36個のレーザ光は、相互に重なることがない。
主走査方向に配置された4個の面発光レーザ素子201〜204/233〜236および7個の面発光レーザ素子205〜211/212〜218/219〜225/226〜232の間隔は、主走査方向において等間隔であり、間隔Xに設定される。そして、間隔Xは、たとえば、30μmに設定される。
また、副走査方向に配置された2個の面発光レーザ素子219,226/211,218、5個の面発光レーザ素子203,209,216,224,231/204,210,217,225,232/205,212,220,227,233および6個の面発光レーザ素子201,207,214,222,229,235/202,208,215,223,230,236において、隣接する2つの面発光レーザ素子間の間隔は、面発光レーザアレイ100Aの中心部では、間隔d1に設定され、周辺部では、間隔d2に設定される。すなわち、面発光レーザアレイ100Aの中心部に配置された面発光レーザ素子212,220間/213,221間/214,222間/215,223間/216,224間/217,225間の間隔は、間隔d1に設定され、面発光レーザアレイ100Aの周辺部に配置された面発光レーザ素子201,207間/202,208間/203,209間/204,210間/227,233間/228,234間/229,235間/230,236間の間隔は、間隔d2に設定される。また、面発光レーザ素子205,212間/206,213間/207,214間/208,215間/209,216間/210,217間/211,218間/219,226間/220,227間/221,228間/222,229間/223,230間/224,231間/225,232間の間隔は、間隔d1と間隔d2との間の間隔d3に設定される。
この場合、間隔d1は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも広い間隔に設定され、間隔d2は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも狭い間隔に設定される。そして、間隔d1は、たとえば、40μmに設定され、間隔d2は、たとえば、30μmに設定され、間隔d3は、たとえば、35μmに設定される。
主走査方向に配置された4個の面発光レーザ素子201〜204の4個の中心から副走査方向に配置された直線41に下ろした4個の垂線L7〜L10の副走査方向における間隔Cは、等間隔である。
また、主走査方向に配置された7個の面発光レーザ素子205〜211/212〜218/219〜225/226〜232の7個の中心から直線41に下ろした7個の垂線の副走査方向における間隔も、等間隔であり、間隔Cと同じである。
さらに、主走査方向に配置された4個の面発光レーザ素子233〜236の4個の中心から副走査方向に配置された直線41に下ろした4個の垂線の副走査方向における間隔も、等間隔であり、間隔Cと同じである。
面発光レーザアレイ100Aにおいては、複数の面発光レーザ素子が主走査方向に8列に配置されるので、間隔Cは、d1/8=40/8=5μmである。
さらに、面発光レーザアレイ100Aにおいては、副走査方向の位置によって、主走査方向に配置される面発光レーザ素子の個数が異なる。
このように、面発光レーザアレイ100Aにおいては、主走査方向に配置された4個の面発光レーザ素子201〜204/233〜236および7個の面発光レーザ素子205〜211/212〜218/219〜225/226〜232は、等間隔Xに配置され、副走査方向に配置された2個の面発光レーザ素子219,226/211,218、5個の面発光レーザ素子203,209,216,224,231/204,210,217,225,232/205,212,220,227,233および6個の面発光レーザ素子201,207,214,222,229,235/202,208,215,223,230,236は、面発光レーザアレイ100Aの周辺部から中心部に向かうに従って広くなるように配置される。
すなわち、面発光レーザアレイ100Aにおいては、副走査方向に配置された2個の面発光レーザ素子219,226/211,218、5個の面発光レーザ素子203,209,216,224,231/204,210,217,225,232/205,212,220,227,233および6個の面発光レーザ素子201,207,214,222,229,235/202,208,215,223,230,236の間隔は、面発光レーザアレイ100Aの周辺部よりも中央部が広く、副走査方向の位置によって異なる。
具体例として、面発光レーザ素子215―221(中央部)の間隔に比べて面発光レーザ素子213−214(周辺部)の間隔が狭い。
その結果、面発光レーザアレイ100Aの周辺部に配置された面発光レーザ素子から発せられた熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に与える影響が低減され、面発光レーザアレイ100Aの36個の面発光レーザ素子201〜236を同時に動作させたときの面発光レーザアレイ100Aにおける温度分布は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置された場合よりも均一化される。したがって、36個の面発光レーザ素子の出力特性を均一化できる。そして、面発光レーザアレイ100A内で最も高温となる面発光レーザ素子214,215,222,223の温度が低下するため、面発光レーザアレイ100Aの寿命を長くできる。
また、間隔X1は、間隔d1は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも広い間隔に設定され、間隔d2は、36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合の間隔よりも狭い間隔に設定されるので、面発光レーザ素子201〜236の占有面積を36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合よりも小さくできる。その結果、面発光レーザアレイ100Aを光書き込み用の光源として用いた場合、コリメートレンズ等の光学系の収差を36個の面発光レーザ素子が副走査方向および主走査方向に等間隔で配置される場合よりも小さくできる。そして、面発光レーザアレイ100Aの面積を小さくしたまま、中心付近の面発光レーザ素子214,215,222,223の温度上昇を抑えることができるので、レンズ等光学系の収差の影響を抑えられるので、面発光レーザアレイ100Aを画像形成装置に用いた場合、きれいな画像となり、かつ、面発光レーザアレイ100Aの寿命を長くできるので、光書き込み光学ユニット自体の再利用が可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
図10は、実施の形態2による面発光レーザアレイの他の平面図である。実施の形態2による面発光レーザアレイは、図10に示す面発光レーザアレイ100Bであってもよい。
図10を参照して、面発光レーザアレイ100Bは、図9に示す面発光レーザアレイ100Aの面発光レーザ素子219を面発光レーザ素子231の下側へ移動し、面発光レーザ素子212,220間/213,221間/214,222間/215,223間/216,224間/217,225間の間隔を間隔d3に設定したものであり、その他は、面発光レーザアレイ100Aと同じである。面発光レーザアレイ100Bにおいても、面発光レーザアレイ100Aと同じ効果を享受できる。
図9および図10に示す面発光レーザ素子201〜236の各々は、図2および図3に示す面発光レーザ素子1または図7および図8に示す面発光レーザ素子1Aからなる。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3による面発光レーザアレイの平面図である。図11を参照して、実施の形態3による面発光レーザアレイ100Cは、面発光レーザ素子301〜336を備える。
面発光レーザアレイ100Cは、面発光レーザアレイ100A(図9参照)において、主走査方向の面発光レーザ素子の間隔を面発光レーザアレイ100Aの中心部では間隔X1に設定し、面発光レーザアレイ100Aの周辺部では間隔X2に設定したものに相当する。
したがって、面発光レーザアレイ100Cにおいては、主走査方向に配置された面発光レーザ素子の個数は、副走査方向の位置によって異なり、副走査方向に配置された面発光レーザ素子の個数は、主走査方向の位置によって異なる。
このように、面発光レーザアレイ100Cにおいては、中心部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔は、主走査方向および副走査方向の両方において、周辺部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔よりも広い。
その結果、周辺部に配置された面発光レーザ素子から発生した熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に及ぼす影響を面発光レーザアレイ100,100Aよりも低減できる。そして、36個の面発光レーザ素子301〜336の特性をさらに均一化できる。また、面発光レーザアレイ100B内で最も高温となる面発光レーザ素子314,315,322,323の温度が低下するため、面発光レーザアレイ100Bの寿命を長くできる。さらに、面発光レーザアレイ100Bの面積を小さくしたまま、中心付近の面発光レーザ素子314,315,322,323の温度上昇を抑えることができるので、レンズ等光学系の収差の影響を抑えられるので、面発光レーザアレイ100Bを画像形成装置に用いた場合、きれいな画像となり、かつ、面発光レーザアレイ100Bの寿命を長くできるので、光書き込み光学ユニット自体の再利用が可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
図12は、実施の形態3による面発光レーザアレイの他の平面図である。実施の形態3による面発光レーザアレイは、図12に示す面発光レーザアレイ100Dであってもよい。
図12を参照して、面発光レーザアレイ100Dは、図11に示す面発光レーザアレイ100Cの面発光レーザ素子319を面発光レーザ素子331の下側へ移動し、面発光レーザ素子312,320間/313,321間/314,322間/315,323間/316,324間/317,325間の間隔を間隔d3に設定したものであり、その他は、面発光レーザアレイ100Cと同じである。面発光レーザアレイ100Dにおいても、面発光レーザアレイ100Cと同じ効果を享受できる。
図11および図12に示す面発光レーザ素子301〜336の各々は、図2および図3に示す面発光レーザ素子1または図7および図8に示す面発光レーザ素子1Aからなる。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態4]
図13は、実施の形態4による面発光レーザアレイの平面図である。図13を参照して、実施の形態4による面発光レーザアレイ100Eは、面発光レーザ素子401〜436を備える。
面発光レーザ素子401〜436は、6行×6列の2次元に配置される。そして、6個の面発光レーザ素子401,407,413,419,425,431/402,408,414,420,426,432/403,409,415,421,427,433/404,410,416,422,428,434/405,411,417,423,429,435/406,412,418,424,430,436は、副走査方向にジグザグ状に配置され、6個の面発光レーザ素子401〜406/407〜412/413〜418/414〜424/425〜430/431〜436は、主走査方向に配置される。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子401〜406/407〜412/413〜418/414〜424/425〜430/431〜436は、副走査方向に階段的にずらされて配置される。その結果、36個の面発光レーザ素子401〜436から放射された36個のレーザ光は、相互に重なることがない。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子401〜406/407〜412/413〜418/414〜424/425〜430/431〜436において、隣接する2つの面発光レーザ素子間の間隔は、面発光レーザアレイ100Cの中心部では、間隔X1に設定され、周辺部では、間隔X2に設定される。すなわち、面発光レーザアレイ100Bの中心部に配置された面発光レーザ素子403,404間/409,410間/415,416間/421,422間/427,428間/433,434間の間隔は、間隔X1に設定され、面発光レーザアレイ100Cの周辺部に配置された面発光レーザ素子401,402間/405,406間/407,408間/411,412間/413,414間/417,418間/419,420間/423,424間/425,426間/429,430間/431,432間/435,436間の間隔は、間隔X2に設定される。また、面発光レーザ素子402,403間/404,405間/408,409間/410,411間/414,415間/416,417間/420,421間/422,423間/426,427間/428,429間/432,433間/434,435間の間隔は、間隔X1と間隔X2との間の間隔X3に設定される。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子401〜406の6個の中心から副走査方向に配置された直線42に下ろした6個の垂線L11〜L16の副走査方向における間隔Cは、等間隔であり、C=d/6によって決定される。
主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子407〜412/413〜418/419〜424/425〜430/431〜436の6個の中心から直線42に下ろした6個の垂線の副走査方向における間隔も、等間隔であり、間隔Cと同じである。
第1行目において主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子401〜406の各々は、第2行目において主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子407〜412の隣接する2つの面発光レーザ素子の間に配置される。
より具体的には、面発光レーザ素子401は、面発光レーザ素子407,408間に配置され、面発光レーザ素子402は、面発光レーザ素子408,409間に配置され、面発光レーザ素子403は、面発光レーザ素子409,410間に配置され、面発光レーザ素子404は、面発光レーザ素子410,411間に配置され、面発光レーザ素子405は、面発光レーザ素子411,412間に配置される。
他の行において主走査方向に配置された6個の面発光レーザ素子407〜412/413〜418/419〜424/425〜430/431〜436も、6個の面発光レーザ素子401〜406と同じように配置される。
すなわち、面発光レーザアレイ100Eにおいては、副走査方向における第1の位置において主走査方向に配置された複数の面発光レーザ素子の各々は、副走査方向において第1の位置に隣接する第2の位置において主走査方向に配置された複数の面発光レーザ素子の隣接する2つの面発光レーザ素子間に配置される。
また、面発光レーザアレイ100Eは、面発光レーザアレイ100(図1参照)において、第2行目、第4行目および第6行目に配置された6個の面発光レーザ素子を紙面上において左側にずらせた面発光レーザアレイ、または面発光レーザアレイ100(図1参照)において、第1行目、第3行目および第5行目に配置された6個の面発光レーザ素子を紙面上において右側にずらせた面発光レーザアレイに相当する。
その結果、面発光レーザアレイ100Eにおいては、中心部に配置された2つの面発光レーザ素子間の間隔W1は、周辺部に配置された2つの面発光レーザ素子間の間隔W2よりも広い。
このように、面発光レーザアレイ100Eにおいては、中心部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔は、主走査方向および副走査方向の両方において、周辺部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔よりも広い。
その結果、周辺部に配置された面発光レーザ素子から発生した熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に及ぼす影響を面発光レーザアレイ100,100Aよりも低減できる。したがって、36個の面発光レーザ素子401〜436の特性をさらに均一化できる。そして、面発光レーザアレイ100E内で最も高温となる面発光レーザ素子415,416,422の温度が低下するため、面発光レーザアレイ100Eの寿命を長くできる。また、面発光レーザアレイ100Eの面積を小さくしたまま、中心付近の面発光レーザ素子415,416,422の温度上昇を抑えることができるので、レンズ等光学系の収差の影響を抑えられるので、面発光レーザアレイ100Eを画像形成装置に用いた場合、きれいな画像となり、かつ、面発光レーザアレイ100Eの寿命を長くできるので、光書き込み光学ユニット自体の再利用が可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
上記においては、第1行目、第3行目および第5行目に配置された6個の面発光レーザ素子または第2行目、第4行目および第6行目に配置された6個の面発光レーザ素子を同じ方向にずらせると説明したが、この発明においては、これに限らず、各行に配置された6個の面発光レーザ素子を行によって異なる方向にずらせてもよい。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態5]
図14は、実施の形態5による面発光レーザアレイの平面図である。図14を参照して、実施の形態5による面発光レーザアレイ100Fは、面発光レーザ素子501〜536を備える。
3個の面発光レーザ素子513,519,525/512,518,524、および5個の面発光レーザ素子501,507,521,527,533/502,508,515,528,534/503,509,522,529,535/504,510,516,530,536/505,511,517,523,531/506,514,520,526,532は、副走査方向に配置され、5個の面発光レーザ素子501〜505/532〜536、6個の面発光レーザ素子513〜518/519〜524および7個の面発光レーザ素子506〜512/525〜531は、主走査方向に配置される。
主走査方向に配置された5個の面発光レーザ素子501〜505/532〜536、6個の面発光レーザ素子513〜518/519〜524および7個の面発光レーザ素子506〜512/525〜531は、副走査方向に階段的にずらされて配置される。その結果、36個の面発光レーザ素子501〜536から放射された36個のレーザ光は、相互に重なることがない。
面発光レーザアレイ100Fの周辺部に配置された面発光レーザ素子501〜514,516〜521,523〜536の主走査方向の間隔は、等間隔であり、間隔Xに設定される。
また、面発光レーザアレイ100Fの中央部においては、隣接する2つの面発光レーザ素子間の平面方向の間隔は、周辺部において隣接する2つの面発光レーザ素子間の平面方向の間隔よりも広い。
具体的には、面発光レーザ素子515―516(中央部)の間隔に比べて面発光レーザ素子503−504(周辺部)の間隔が狭い。
すなわち、面発光レーザアレイ100Fは、複数の面発光レーザ素子が主走査方向に等間隔Xで配置された面発光レーザアレイにおいて中央部に配置された面発光レーザ素子の一部を周辺部へ移動させた面発光レーザアレイに相当する。
より具体的には、面発光レーザアレイ100Fは、主走査方向において面発光レーザ素子514,515間、面発光レーザ素子515,516間、面発光レーザ素子521,522間および面発光レーザ素子522,523間に存在する面発光レーザ素子を周辺部に移動させた面発光レーザアレイに相当する。
このように、面発光レーザアレイ100Fにおいては、中心部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔は、主走査方向および副走査方向の両方において、周辺部に配置された面発光レーザ素子の平面方向の間隔よりも広い。
換言すれば、面発光レーザ素子の配置される密度が、面発光レーザアレイの周辺部よりも中央部のほうが疎である。
その結果、周辺部に配置された面発光レーザ素子から発生した熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に及ぼす影響を面発光レーザアレイ100,100Aよりも低減できる。したがって、36個の面発光レーザ素子501〜536の特性をさらに均一化できる。そして、面発光レーザアレイ100F内で最も高温となる面発光レーザ素子515,516,522の温度が低下するため、面発光レーザアレイ100Fの寿命を長くできる。また、面発光レーザアレイ100Fの面積を小さくしたまま、中心付近の面発光レーザ素子515,516,522の温度上昇を抑えることができるので、レンズ等光学系の収差の影響を抑えられるので、面発光レーザアレイ100Fを画像形成装置に用いた場合、きれいな画像となり、かつ、面発光レーザアレイ100Fの寿命を長くできるので、光書き込み光学ユニット自体の再利用が可能となり、環境負荷の低減に貢献できる。
上述した実施の形態1から実施の形態5においては、36個の面発光レーザ素子を備える面発光レーザアレイについて説明したが、この発明においては、これに限らず、この発明による面発光レーザアレイは、36個以外の面発光レーザ素子を備えていてもよく、その配置方法は、上述した実施の形態1から実施の形態5において説明した間隔を有する範囲において自由である。
[実施の形態6]
実施の形態6の面発光レーザアレイについて、図15〜図18を用いて説明する。この面発光レーザアレイは、40個の面発光レーザ素子を有し、副走査方向に対応する方向(以下では、便宜上「S方向」という)に沿って一列に配列された複数の面発光レーザ素子からなる素子列が、主走査方向に対応する方向(以下では、便宜上「M方向」という)に8列配置されている。
そして、S方向に関して、40個の面発光レーザ素子は等間隔Cである。
なお、ここでは、各素子列を区別するため、便宜上、各図(図15〜図18)の紙面左から右に向かって、第1素子列L1、第2素子列L2、第3素子列L3、第4素子列L4、第5素子列L5、第6素子列L6、第7素子列L7、及び第8素子列L8とする。
また、M方向に関して、第1素子列L1と第2素子列L2との間隔はX4、第2素子列L2と第3素子列L3との間隔はX3、第3素子列L3と第4素子列L4との間隔はX2、第4素子列L4と第5素子列L5との間隔はX1、第5素子列L5と第6素子列L6との間隔はX2、第6素子列L6と第7素子列L7との間隔はX3、第7素子列L7と第8素子列L8との間隔はX4であり、X1>X2>X3>X4である。すなわち、複数列の中央部に位置し互いに隣接する2つの素子列の間隔は、複数列の端側に位置し互いに隣接する2つの素子列の間隔よりも大きい。
図15は、実施の形態6に係る面発光レーザアレイ100Gの平面図である。
この面発光レーザアレイ100Gは、S方向に沿って等間隔dで一列に配列された5個の面発光レーザ素子からなる素子列が、M方向に8列配置されている。すなわち、素子列の数は、1つの素子列を構成する面発光レーザ素子の数よりも多い。
そして、互いに隣接する2つの素子列において、最も近い2つの面発光レーザ素子のS方向に関する間隔はCである。
具体的には、X1=56μm、X2=45μm、X3=36μm、X4=26μm、d=35.2μm、C=4.4μmである。間隔dは、間隔X1よりも小さい。
なお、間隔dは間隔X4よりも大きいが、これに限定されるものではない。面発光レーザアレイの周辺部は中心部に比べて熱干渉が少なく温度上昇が小さいので、間隔dが間隔X1よりも小さければ良い。
図16は、実施の形態6に係る面発光レーザアレイ100Hの平面図である。
この場合には、第1素子列L1は6個の面発光レーザ素子から構成され、第2素子列L2は5個の面発光レーザ素子から構成され、第3素子列L3は4個の面発光レーザ素子から構成され、第4素子列L4は5個の面発光レーザ素子から構成され、第5素子列L5は5個の面発光レーザ素子から構成され、第6素子列L6は4個の面発光レーザ素子から構成され、第7素子列L7は5個の面発光レーザ素子から構成され、第8素子列L8は6個の面発光レーザ素子から構成されている。
そして、互いに隣接する2つの素子列において、最も隣接する2つの面発光レーザ素子のS方向に関する間隔はCである。
また、各素子列における複数の面発光レーザ素子の間隔は必ずしも等間隔ではない。
具体的には、X1=50μm、X2=45.5μm、X3=38.5μm、X4=26μm、C=4.4μmである。
面発光レーザアレイ100Hでは、上記面発光レーザアレイ100Gよりも、アレイで動作させた場合の中心付近の素子温度(特に活性層温度)を低減できる。
図17は、実施の形態6に係る面発光レーザアレイ100Iの平面図である。
この面発光レーザアレイ100Iは、S方向に沿って等間隔dで一列に配列された5個の面発光レーザ素子からなる素子列が、M方向に8列配置されている。すなわち、素子列の数は、1つの素子列を構成する面発光レーザ素子の数よりも多い。
そして、互いに隣接する2つの素子列において、最も近い2つの面発光レーザ素子のS方向に関する間隔はCよりも大きい。すなわち、面発光レーザアレイ100Hでは、いわゆる千鳥配置となっている。
なお、面発光レーザアレイ100Iでは、各素子列における最も+S側にある面発光レーザ素子の位置が、第1素子列L1→第3素子列L3→第5素子列L5→第7素子列L7→第2素子列L2→第4素子列L4→第6素子列L6→第8素子列L8の順で−S側にシフトしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図18に示される面発光レーザアレイ100Jのように、各素子列における最も+S側にある面発光レーザ素子の位置が、第1素子列L1→第7素子列L7→第3素子列L3→第5素子列L5→第2素子列L2→第8素子列L8→第4素子列L4→第6素子列L6の順で−S側にシフトしても良い。すなわち、シフトの順番はランダムであっても良い。
面発光レーザアレイ100I及び面発光レーザアレイ100Jでは、複数の面発光レーザ素子を、上記面発光レーザアレイ100G及び面発光レーザアレイ100Hよりも広い面積中に配置することができるので、更に温度上昇を低減できる。
以上説明したように、実施の形態6では、40個の面発光レーザ素子が二次元的に配置され、S方向に沿って一列に配列された少なくとも2個の面発光レーザ素子からなる素子列が、S方向に垂直なM方向に8列配置され、M方向に関して、8列の中央部に位置し互いに隣接する2つの素子列の間隔は、8列の端側に位置し互いに隣接する2つの素子列の間隔よりも大きい。
これにより、複数の面発光レーザ素子が同時に動作した場合、面発光レーザアレイの周辺部に配置された面発光レーザ素子から発せられた熱が中心部に配置された面発光レーザ素子に与える影響が低減され、中心部に配置された面発光レーザ素子の温度上昇は、複数の面発光レーザ素子がS方向およびM方向に等間隔で配置された場合よりも低減される。従って、各面発光レーザ素子の出力特性を均一化することができる。また、最も高温となる面発光レーザ素子の温度が低下するため、面発光レーザアレイの寿命を長くすることができる。
また、S方向に関して、40個の面発光レーザ素子は等間隔であり、素子列の数は、1つの素子列を構成する面発光レーザ素子の数よりも多い。そして、素子列におけるS方向に関する面発光レーザ素子の間隔は、M方向に関する複数の面発光レーザ素子の間隔の最大値よりも小さい。
これにより、各面発光レーザ素子間の熱干渉の影響低減や、各面発光レーザ素子の配線を通すために必要なスペースを確保しつつ、書込み密度を高くすることができる。
ところで、S方向に沿って等間隔dで一列に配列された8個の面発光レーザ素子からなる素子列が、M方向に5列配置されている場合には、d=35.2μmであればC=35.2/5=7.04μmとなる。すなわち、実施の形態6の面発光レーザアレイにおける間隔Cよりも大きくなる。
次に、面発光レーザアレイにおける温度上昇のシミュレーション結果を説明する。
実際に、面発光レーザ素子を定電流:4.26mAで駆動(電圧:2.55V程度)させたところ、単独動作でほぼ1.7mW出力であった。そして、室温にて各素子に同様に注入して最も熱干渉を受け素子温度が上昇する中心付近の素子の活性層温度を、発振波長のシフト量から見積もったところ、約78℃上昇していることが実験的に得られた。
そこで、40個の面発光レーザ素子すべての発熱量が同じとしてシミュレーションし、上記最も熱干渉を受け素子温度が上昇する中心付近の素子の活性層温度となるように補正して、各面発光レーザ素子の活性層の温度分布を導いた。
(1)従来のように、S方向に沿って等間隔dで一列に配列された4個の面発光レーザ素子からなる素子列が、M方向に等間隔Xで10列配置されている場合(図19参照):
ここでは、d=44μm、X=30μmとした。従って、C=4.4μmである。
この場合の結果が図20に示されている。40個の面発光レーザ素子における上昇温度の違いは13℃程度あり、中心付近の面発光レーザ素子ほど上昇温度が高いことがわかる。
(2)上記面発光レーザアレイ100Gの場合(図21参照):
ここでは、d=35.2μm、X1=50μm、X2=46μm、X3=38μm、X4=26μmとした。従って、C=4.4μmである。
この場合の結果が図22に示されている。最も大きい温度上昇は75.1℃であり、(1)の場合よりも低下している。
なお、S方向に沿って等間隔dで一列に配列された4個の面発光レーザ素子からなる素子列が、M方向に等間隔に8列配置されている場合には、最も大きい温度上昇は77.6℃であった。素子列を不均等に配置することは最高温度を下げる効果があることがわかる。
(3)上記面発光レーザアレイ100Hの場合(図23参照):
X1=50μm、X2=45.5μm、X3=38.5μm、X4=26μm、C=4.4μmとした。
この場合の結果が図24に示されている。最も大きい温度上昇は74.5℃であり、(2)の場合よりも更に温度が低下している。
一般に、面発光レーザ素子は、温度が10℃下がれば、寿命は2倍程度になるので、例えば3.5℃の温度低下は30%程度の長寿命化が期待できる。
なお、発熱量(W)は、駆動電圧(V)×電流(I)−光出力(W)で概算することができる。本シミュレーションでは、全ての面発光レーザ素子の駆動条件を同一とし、全ての面発光レーザ素子の発熱量が同じであるとして計算したが、実際には熱干渉を受ける度合いが高いほど光出力が下がる。そこで、中心付近の面発光レーザ素子ほど発熱量が大きくなり、実際には計算結果より温度分布は大幅に大きくなることが予想される。従って、面発光レーザアレイにおける面発光レーザ素子の配置を工夫することによる実際の温度低減は、計算値より大幅に大きいはずであり、長寿命化の効果はきわめて大きい。
なお、上記実施形態では、面発光レーザアレイの各メサ部の形状が円形状の場合について説明したが、これに限らず、例えば楕円形状、正方形状、長方形状、四角形以外の多角形など任意の形状であっても良い。
また、上記実施形態では、面発光レーザ素子がS方向に沿って一列に配列されている場合について説明したが、これに限らず、列中の少なくとも1つの素子が、列中の他の素子の配列に比べ、ずれて配列されていても良い。
[応用例]
図25には、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタ500の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ500は、光走査装置900、感光体ドラム605、帯電チャージャ902、現像ローラ903、トナーカートリッジ904、クリーニングブレード905、給紙トレイ906、給紙コロ907、レジストローラ対908、転写チャージャ911、定着ローラ909、排紙ローラ912、及び排紙トレイ910などを備えている。
感光体ドラム605の表面には、感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム605の表面が被走査面である。ここでは、感光体ドラム605は、図25における矢印方向に回転するものとする。
帯電チャージャ902、現像ローラ903、転写チャージャ911及びクリーニングブレード905は、それぞれ感光体ドラム605の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム605の回転方向に関して、帯電チャージャ902→現像ローラ903→転写チャージャ911→クリーニングブレード905の順に配置されている。
帯電チャージャ902は、感光体ドラム605の表面を均一に帯電させる。
光走査装置900は、帯電チャージャ902で帯電された感光体ドラム605の表面に、上位装置(例えばパソコン)からの画像情報に基づいて変調された光を照射する。これにより、感光体ドラム605の表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム605の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム605の回転に伴って現像ローラ903の方向に移動する。この光走査装置900の構成については後述する。
トナーカートリッジ904にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ903に供給される。このトナーカートリッジ904内のトナー量は、電源投入時や印刷終了時などにチェックされ、残量が少ないときには不図示の表示部にトナーカートリッジ904の交換を促すメッセージが表示される。
現像ローラ903は、回転に伴ってその表面にトナーカートリッジ904から供給されたトナーが帯電されて薄く均一に付着される。また、この現像ローラ903には、感光体ドラム605における帯電している部分(光が照射されなかった部分)と帯電していない部分(光が照射された部分)とで互いに逆方向の電界が生じるような電圧が印加されている。そして、この電圧によって、現像ローラ903の表面に付着しているトナーは、感光体ドラム605の表面の光が照射された部分にだけ付着する。すなわち、現像ローラ903は、感光体ドラム605の表面に形成された潜像にトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着された潜像(以下、便宜上「トナー像」という)は、感光体ドラム605の回転に伴って転写チャージャ911の方向に移動する。
給紙トレイ906には記録紙913が格納されている。この給紙トレイ906の近傍には給紙コロ907が配置されており、該給紙コロ907は、記録紙913を給紙トレイ906から1枚づつ取り出し、レジストローラ対908に搬送する。該レジストローラ対908は、転写ローラ911の近傍に配置され、給紙コロ907によって取り出された記録紙913を一旦保持するとともに、該記録紙913を感光体ドラム605の回転に合わせて感光体ドラム605と転写チャージャ911との間隙部に向けて送り出す。
転写チャージャ911には、感光体ドラム605の表面上のトナーを電気的に記録紙913に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム605の表面のトナー像が記録紙913に転写される。ここで転写された記録紙913は、定着ローラ909に送られる。
この定着ローラ909では、熱と圧力とが記録紙913に加えられ、これによってトナーが記録紙913上に定着される。ここで定着された記録紙913は、排紙ローラ912を介して排紙トレイ910に送られ、排紙トレイ910上に順次スタックされる。
クリーニングブレード905は、感光体ドラム605の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。なお、除去された残留トナーは、再度利用されるようになっている。残留トナーが除去された感光体ドラム605の表面は、再度帯電チャージャ902の位置に戻る。
次に、前記光走査装置900の構成について説明する。
この光走査装置900は、図26示されるように、光源ユニット601、シリンドリカルレンズ602、ポリゴンミラー603、走査レンズ604、などを備えている。
光源ユニット601は、上記面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイを有している。
シリンドリカルレンズ602は、光源ユニット601からの光を、ポリゴンミラー603の偏向反射面近傍に副走査方向に関して結像する。
ポリゴンミラー603は、6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー603は、副走査方向に平行な回転軸の周りに等速回転する。
走査レンズ604は、ポリゴンミラー603で偏向された光を感光体ドラム605の表面に集光する。
例えば、上記面発光レーザアレイ100Gを用いた場合、間隔Cは4.4μmであり、光学系の倍率を約1.2倍とすれば4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。ところで、従来のように、40個の面発光レーザ素子を等間隔に配置し、C=7.04μmの場合、光学系の倍率を約0.75倍とすれば4800dpi(ドット/インチ)が可能となる。しかしながら、光学系の倍率が小さいと光量を多く必要とするので好ましくない。
また、面発光レーザアレイ100、100A〜100Jの各々においては、複数の面発光レーザ素子の中心から副走査方向に配置された直線に下ろした複数の垂線の間隔は、等間隔Cになるように設定されているので、複数の面発光レーザ素子の点灯のタイミングを調整することにより、感光体605上では、光源が副走査方向に等間隔Cで並んでいる場合と同様に捉えることができる。面発光レーザ素子の素子間隔Cおよび光学系の倍率を調整することにより副走査方向に書き込まれる間隔を調整できる。
例えば、上記面発光レーザアレイ100を用いた場合、間隔Cは、5μmであり、光学系の倍率を2.1倍とすれば、2400dpi(ドット/インチ)の高密度な書き込みを行なうことができる。そして、面発光レーザ素子の素子数を増加させたり、間隔Cをさらに小さくしたり、倍率を下げたりすることによって、さらに高密度化でき、より高品質な印加が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、光源の点灯タイミングによって容易に制御され得る。
光源ユニット601は、上記面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイを有しているため、従来よりも高出力化が可能である。その結果、レーザプリンタ500は、従来よりも高速で画像形成を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置900によると、光源ユニット601が、上記面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイを有しているため、被走査面上を安定して走査することが可能となる。また、長寿命化を実現することが可能となる。
また、本実施形態に係るレーザプリンタ500によると、被走査面上を安定して走査することができる光走査装置900を備えているため、結果として高品質の画像を高速で形成することが可能となる。
なお、画像の形成速度が従来と同程度で良い場合には、面発光レーザアレイを構成する面発光レーザ素子の数を低減することが可能となり、面発光レーザアレイの製造歩留まりが大きく向上するとともに、低コスト化を図ることができる。
また、書き込みドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することが可能である。
さらに、複数の面発光レーザ素子の占める面積をより小さくし、中心付近の温度上昇を抑えることができるので、光学系の収差の影響が抑制され、画像品質を向上させることができる。
また、面発光レーザアレイの寿命が長いので、光源ユニットの再利用が可能である。
ところで、例えば、いわゆる書込み光学ユニットに面発光レーザアレイを用いる場合に、面発光レーザ素子の寿命が短いときには、書込み光学ユニットは使い捨てになる。しかしながら、上記面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイは、前述したように長寿命であるため、面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイを用いた書込み光学ユニットは、再利用が可能となる。従って、資源保護の促進及び環境負荷の低減を図ることができる。なお、このことは、面発光レーザアレイを用いている他の装置にも同様である。
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ500の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置900を備えた画像形成装置であれば、結果として高品質の画像を高速で形成することが可能となる。
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質の画像を高速で形成することが可能となる。
この場合に、一例として図27に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるタンデムカラー機であっても良い。このタンデムカラー機は、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、及び転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、及び転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、及び転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、及び転写用帯電手段Y6と、光走査装置1010と、転写ベルトT80と、定着手段T30などを備えている。
この場合には、光走査装置1010は、ブラック用の面発光レーザアレイ、シアン用の面発光レーザアレイ、マゼンタ用の面発光レーザアレイ、イエロー用の面発光レーザアレイを有している。そして、各面発光レーザアレイは、面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイである。
そして、ブラック用の面発光レーザアレイからの光はブラック用の走査光学系を介して感光体ドラムK1に照射され、シアン用の面発光レーザアレイからの光はシアン用の走査光学系を介して感光体ドラムC1に照射され、マゼンタ用の面発光レーザアレイからの光はマゼンタ用の走査光学系を介して感光体ドラムM1に照射され、イエロー用の面発光レーザアレイからの光はイエロー用の走査光学系を介して感光体ドラムY1に照射されるようになっている。なお、色毎に光走査装置1010を備えていても良い。
各感光体ドラムは、図27中の矢印の方向に回転し、回転順にそれぞれ帯電器、現像器、転写用帯電手段、クリーニング手段が配置されている。各帯電器は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電器によって帯電された感光体ドラム表面に光走査装置1010により光が照射され、感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像器により感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電手段により、記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着手段T30により記録紙に画像が定着される。
タンデムカラー機では、機械精度等で各色の色ずれが発生する場合があるが、光走査装置1010は高密度な面発光レーザアレイを有しているため、点灯させる面発光レーザ素子を選択することで各色の色ずれの補正精度を高めることができる。
なお、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、像担持体としてビームスポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により可視画像を直接、像担持体に形成することができる。
また、面発光レーザアレイ100、100A〜100Jのいずれかと同等の面発光レーザアレイを備えた画像形成装置であれば、光走査装置を備えていない画像形成装置であっても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1〜36,1A,201〜236,301〜336,401〜436,501〜536…面発光レーザ素子、40〜42…直線、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100I…面発光レーザアレイ、101…基板、102,106…反射層、103,103A,105,105A…共振器スペーサー層、104,104A…活性層、107…選択酸化層、108…コンタクト層、109…SiO2層、110…絶縁性樹脂、111…p側電極、112…n側電極、120…レジストパターン、500…レーザプリンタ(画像形成装置)、601…光源ユニット、603…ポリゴンミラー(偏向器)、604…走査レンズ(走査光学系)、605…感光体ドラム(像担持体)、900…光走査装置、1010…光走査装置、1021,1061…低屈折率層、1022,1062…高屈折率層、1023,1063…組成傾斜層、1041,1041A…井戸層、1042,1042A…障壁層、K1…感光体ドラム(像担持体)、C1…感光体ドラム(像担持体)、M1…感光体ドラム(像担持体)、Y1…感光体ドラム(像担持体)。