JP2016103995A - ヒメジャコの陸上効率養殖方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】養殖穴を形成する必要が無く、自由に貝を開放して太陽光を受光でき、成長したヒメジャコの収穫も極めて簡単となり、中身が傷むこともない陸上効率養殖方法の提供。【解決手段】陸上に設けた水槽1の底に珊瑚質その他の小石や砂5であって、ヒメジャコ6が養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石や砂5が水没するように海水Wを供給し、ヒメジャコ6の外敵は水槽内に入れずに、前記小石や砂5にヒメジャコ6が吸着支持されて自由に貝を開けたままで受光する陸上養殖方法。特に、ヒメジャコ6が狭い養殖穴の中で生息するのでなく、貝を十分に開いたままで太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを有効利用できる。【選択図】図2

Description

本発明は、ヒメジャコを陸上の水槽で効率的に養殖し成長させる方法に関する。
特許文献1のように、稚貝植付穴に稚貝を植えつけた養殖盤に、新鮮な海水が供給された陸上水槽を設置することで、稚貝を成長させることが提案されている。しかし、この稚貝が成長して収穫する際には、成長した貝の周りをタガネなどの道具で掘って貝を穴から出す必要があり、しかも貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下する。また、ヒメジャコの生態として、狭い養殖穴の中で貝を開閉するので、効率的に自由に貝を開いて太陽光を効果的に受光し成長することが困難となる。
特開平10−117628号
このように陸上で養殖する場合であっても、成長した貝の周りをタガネなどで掘って貝を穴から出す必要があるので、貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下するという欠点がある。なお、シャコガイには、ヒメジャコのほかにヒレジャコ、シラナミ、ヒレナシジャコ、シャゴウ、トガリシラナミの6種類が居るが、ヒメジャコの方が美味しいし市場価値も高いので、盛んに養殖が試行されている。しかし、岩場に体液で穴を掘って生息するので養殖が困難とされている。
ところが、発明者の発見によると、陸上で養殖する場合は、養殖穴の拘束を受けないように、初めから養殖穴無しの水槽で養殖する方が、太陽光を効率的に受光して短期に成長でき、有利であると判断した。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、養殖穴を形成する必要が無く、自由に貝を開放して太陽光を受光でき、成長したヒメジャコの収穫も極めて簡単となり、中身が傷むことも無い陸上効率養殖方法を実現する。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。「小石」には、砂利やバラスなども含まれるものとし、呼び方の如何を問わない。
請求項2は、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性としたことを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコの陸上養殖方法である。「水槽」には、非透水性とするためにフィルムやシートで覆った状態が含まれるものとする。
請求項3は、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを水槽から剥がして収穫し出荷することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。
請求項4は、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷き、ヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水する手段を設け、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されかつ貝を開けたままで受光が行われるようにしたヒメジャコの陸上養殖装置である。
請求項1のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光する陸上養殖方法によると、水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷くだけで済み、稚貝植付穴を形成する必要も無いので、養殖施設の構成は簡単安価となる。しかも収穫に際して、成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、しかも貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは狭い養殖穴の中で生息するのではないので、貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを有効利用して成長を促進できる。
請求項2のように、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆ってあるので、水槽を非透水性とする手法や構成、強度保持が簡単で、安価に製造できる。
請求項3のように、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで円滑に受光でき、成長したヒメジャコを水槽から剥がして収穫し出荷するので、稚貝の植付け穴を形成する必要はなく、養殖施設の構成が簡単で安価となる。しかも収穫に際して、成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを効率的に利用して成長できる。
請求項4のように、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷いてヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水するので、水槽の中を清掃する負担が軽減される。加えて、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを利用して短期に成長できる。
本発明により陸上に設けるヒメジャコ養殖用の水槽の斜視図である。 前記水槽の縦断面図である。 前記水槽の別の実施形態を示す縦断面図である。 ヒメジャコの収穫方法であり、(1) は従来方法、(2) は本発明の方法である。
次に本発明によるヒメジャコの陸上養殖方法が実際上どのように具体化されるか実施形態で説明する。図1は、陸上に設ける養殖用の水槽であり、長方形の水槽1、2が形成されている。図の右側の水槽1は、陸上においてコンクリートブロック3…で容器状に形成してある。底部は見えないが、コンクリートブロックを敷きつめて底面を形成してある。しかも、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。
左側の水槽2は、ベニア板4で容器状に形成し、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。水槽1、2の内面は、非透水性の塗料の塗布に代えて又は非透水性の塗料の塗布と共に、非透水性のフィルムやシートで覆って水漏れ防止を確実にすることもできる。なお、FRPなどのような強度もあり、非透水性の合成樹脂で水槽1、2を形成し、その底又は非透水性のフィルムやシートにヒメジャコが吸着支持される方法でもよい。
このように、海水が漏れないように水密機能を確保した上で、図2のように、水槽1、2の底に、珊瑚質その他の小石(砂利やバラスなども含まれる)5…及び/又は砂を3〜15cm好ましくは5〜10cm程度敷きつめ、前記小石5…及び/又は砂が水没するように海水Wを供給する。海水Wは、常時新鮮な海水が海からポンプアップし給水されるように、パイプPを設けてある。なお、ヒメジャコ6…の養殖で汚れた槽水は、水槽1、2の外に排水される。小石5…及び/又は砂の層は、下2cm程度は汚れで臭くなり、砂を用いても1年もすると汚れることもある。
従って、図3のように、水槽の底に強度のある網7を敷いてその上に小石5…及び/又は砂を敷き詰め、網7の下側は漏斗状の汚水集め8を形成し、汚水を回収して常時排水する構造にすると、水槽1、2の中を清掃する負担が軽減される。
以上の構成の養殖施設を陸上に設け、ヒメジャコ6の稚貝が前記小石5及び/又は砂に支持されるようにして養殖する。この際、常時新鮮な海水を海からポンプアップして水槽1、2に給水し、ヒメジャコ6で汚染されたら、網7の下に沈降させて水槽外に排水する。当然ではあるが、ヒメジャコの外敵となる動物は水槽1、2に入れない。従って、ヒメジャコは、養殖穴の拘束も受けずに貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用し、円滑に効率的に成長できる。
ヒメジャコ6は、珊瑚の死骸や他の小石5及び/又は砂に付着し支持されるが、ヒメジャコ6の嫌う灰汁などを出さない限り、FRPなどの合成樹脂類にも吸着する。従って、水槽の底面又は底面付近は、小石5及び/又は砂を数cmの層状に敷きつめる代わりに、ヒメジャコが嫌う材質でない限り、合成樹脂の部材に直接に吸着支持させることも可能である。あるいは、水槽の内面に非透水性の塗料を塗布したり、フィルムやシートで覆って非透水性の水槽にしてもよい。なお、パイプPとは反対側において、水槽1、2の側壁を低くしたり穴を開けて、水槽内の汚水がオーバーフローする構造も可能である。
次に、成長したヒメジャコの収穫方法を説明する。海底のヒメジャコ9は、体液を分泌して、海底の岩に穴を掘り、図4(1) のように隠れるという習性がある。発明者の実験の結果、この習性は、外敵から身を守るためのようである。
従って、成長したヒメジャコ9を収穫する際は、タガネiなどで周囲の岩10を削って貝9を取り出す必要があるが、この際に身を傷めてしまい、市場価値も低下する。
ところが、本発明の場合は、ヒメジャコ6が穴に隠れることは無く、小石5及び/又は砂に吸着しているだけであるから、吸着した小石及び/又は砂も一緒に収穫し出荷できる。小石及び/又は砂などが無く、水槽の底やシートなどに吸着している場合は、(2) のようにヘラ11などを用いて、剥離させて出荷する。
そのため、本発明の陸上養殖方法によると、稚貝を入れる穴を形成する必要が無いだけでなく、収穫も簡単でヒメジャコの市場価値も低下しない。
加えて、ヒメジャコは、養殖穴の拘束を受けるようなことは無く、貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用でき、効率的に成長する。
最後にヒメジャコの習性の研究成果を説明する。本発明の発明者は、特殊事情により、急にヒメジャコの稚貝を大量に入手したので、穴を開ける時間もなく、止むを得ず小石を集めて水槽の底に敷いて養殖してみた。また、小石の量も十分でなく、小石無しで養殖した例もある。
このように準備不足で始めたので、全く期待はしてなかったが、稚貝の植付け穴は全く開けなくても、ヒメジャコは順調に成長した。そこで疑問に思っていろいろと研究したところ、身を守るための外敵防止用の穴だろうと結論付けた。
上記のような準備不足の経験がかえって奏効し、ヒメジャコが穴を掘る目的を正しく理解できたのは発明者だけであり、その証拠に、引用文献1のような陸上養殖であっても養殖穴が不可欠だと鵜呑みしていた。また、海底を模した状態でヒメジャコを支持させるように、水槽の底部に小石を敷設しただけでは、外敵に捕食される危険があり、不充分である。従って、当然ではあるが、和食店の水槽などでは、ヒメジャコにとって外敵となる魚介類は一緒に入れないことが前提になる。
ところで、本発明のように小石及び/又は砂を敷くのは、小石及び/又は砂を敷設して海底を模した状態でシャコ貝を支持させるようにした構成であり、容易に発明できると思われそうだ。しかし、海底で小石及び/又は砂を敷いても、ヒメジャコの外敵は防げないので、ヒメジャコは寄り付かないでしょう。ヒメジャコの習性上、外敵に襲われないようにする隠れ家用の穴を掘れる岩場が必要となるのである。
本発明は、この習性に反して、岩の無い、小石及び/又は砂を敷いただけの水槽の中でヒメジャコを成長させたのである。その秘訣は、前記のように、ヒメジャコの外敵さえ防止できれば(水槽に外敵さえ入れなければ)、穴は不必要であり、小石及び/又は砂でも支障は無いし、極端に言えば小石及び/又は砂さえも要らないのである。
このように、外敵が居ないと分かれば養殖穴は不要であり、しかも常時貝を開いたままにできるので、外敵によるストレスは受けないし、太陽光を常に受けてヒメジャコ自身も共生藻も効率的に成長し、短期に高品質のヒメジャコを養殖できる。
以上のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷き、この小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されるようにして陸上養殖する方法や水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れない陸上養殖法だと、成長したヒメジャコの収穫が極めて簡単で品質低下も来さない。しかも、ヒメジャコが外敵を恐れる必要も無くストレスは溜まらないし、貝を開けっ放しにして太陽光をフルに受けて効率的に成長できる。
1、2 水槽
3 コンクリートブロック
4 ベニア板
5 珊瑚質その他の小石
W 海水
P パイプ
6 水槽内のヒメジャコ
7 網
8 汚水集め
9 穴中のヒメジャコ
i タガネ
10 岩
11 ヘラ
本発明は、ヒメジャコを陸上の水槽で効率的に養殖し成長させる方法に関する。
特許文献1のように、稚貝植付穴に稚貝を植えつけた養殖盤に、新鮮な海水が供給された陸上水槽を設置することで、稚貝を成長させることが提案されている。しかし、この稚貝が成長して収穫する際には、成長した貝の周りをタガネなどの道具で掘って貝を穴から出す必要があり、しかも貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下する。また、ヒメジャコの生態として、狭い養殖穴の中で貝を開閉するので、効率的に自由に貝を開いて太陽光を効果的に受光し成長することが困難となる。
特開平10−117628号
このように陸上で養殖する場合であっても、成長した貝の周りをタガネなどで掘って貝を穴から出す必要があるので、貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下するという欠点がある。なお、シャコガイには、ヒメジャコのほかにヒレジャコ、シラナミ、ヒレナシジャコ、シャゴウ、トガリシラナミの6種類が居るが、ヒメジャコの方が美味しいし市場価値も高いので、盛んに養殖が試行されている。しかし、岩場に体液で穴を掘って生息するので養殖が困難とされている。
ところが、発明者の発見によると、陸上で養殖する場合は、養殖穴の拘束を受けないように、初めから養殖穴無しの水槽で養殖する方が、太陽光を効率的に受光して短期に成長でき、有利であると判断した。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、養殖穴を形成する必要が無く、自由に貝を開放して太陽光を受光でき、成長したヒメジャコの収穫も極めて簡単となり、中身が傷むことも無い陸上効率養殖方法を実現する。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。「小石」には、砂利やバラスなども含まれるものとし、呼び方の如何を問わない。
請求項2は、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性としたことを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコの陸上養殖方法である。「水槽」には、非透水性とするためにフィルムやシートで覆った状態が含まれるものとする。
請求項3は、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが
自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを水槽から剥がして収穫し出荷することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。
請求項4は、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷き、ヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水する手段を設け、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されかつ貝を開けたままで受光が行われるようにしたヒメジャコの陸上養殖装置である。
請求項5は、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを設け、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを無傷で収穫し出荷されたことを特徴とする陸上養殖ヒメジャコである。
請求項6は、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを無傷で水槽から剥がして収穫し出荷したことを特徴とする陸上養殖ヒメジャコである。
請求項1のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光する陸上養殖方法によると、水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷くだけで済み、稚貝植付穴を形成する必要も無いので、養殖施設の構成は簡単安価となる。しかも収穫に際して、成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、しかも貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは狭い養殖穴の中で生息するのではないので、貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを有効利用して成長を促進できる。
請求項2のように、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆ってあるので、水槽を非透水性とする手法や構成、強度保持が簡単で、安価に製造できる。
請求項3のように、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで円滑に受光でき、成長したヒメジャコを水槽から剥がして収穫し出荷するので、稚貝の植付け穴を形成する必要はなく、養殖施設の構成が簡単で安価となる。しかも収穫に際して、成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを効率的に利用して成長できる。
請求項4のように、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷いてヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水するので、水槽の中を清掃する負担が軽減される。加えて、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを利用して短期に成長できる。
請求項5のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを設け、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを無傷で収穫し出荷するので、ヒメジャコの収穫時に身を傷めて、市場価値が低下することは無い。また、吸着した小石及び/又は砂も一緒に収穫し出荷できる。
請求項6のように、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを無傷で水槽から剥がして収穫し出荷するので、ヒメジャコの収穫時に身を傷めて、市場価値を低下することは無い。しかも、ヒメジャコは、養殖穴の拘束を受けるようなことは無く、貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用でき、効率的に成長する。加えて、ヒメジャコが外敵を恐れる必要も無くストレスは溜まらない。
本発明により陸上に設けるヒメジャコ養殖用の水槽の斜視図である。 前記水槽の縦断面図である。 前記水槽の別の実施形態を示す縦断面図である。 ヒメジャコの収穫方法であり、(1) は従来方法、(2) は本発明の方法である。
次に本発明によるヒメジャコの陸上養殖方法が実際上どのように具体化されるか実施形態で説明する。図1は、陸上に設ける養殖用の水槽であり、長方形の水槽1、2が形成されている。図の右側の水槽1は、陸上においてコンクリートブロック3…で容器状に形成してある。底部は見えないが、コンクリートブロックを敷きつめて底面を形成してある。しかも、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。
左側の水槽2は、ベニア板4で容器状に形成し、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。水槽1、2の内面は、非透水性の塗料の塗布に代えて又は非透水性の塗料の塗布と共に、非透水性のフィルムやシートで覆って水漏れ防止を確実にすることもできる。なお、FRPなどのような強度もあり、非透水性の合成樹脂で水槽1、2を形成し、その底又は非透水性のフィルムやシートにヒメジャコが吸着支持される方法でもよい。
このように、海水が漏れないように水密機能を確保した上で、図2のように、水槽1、2の底に、珊瑚質その他の小石(砂利やバラスなども含まれる)5…及び/又は砂を3〜15cm好ましくは5〜10cm程度敷きつめ、前記小石5…及び/又は砂が水没するように海水Wを供給する。海水Wは、常時新鮮な海水が海からポンプアップし給水されるように、パイプPを設けてある。なお、ヒメジャコ6…の養殖で汚れた槽水は、水槽1、2の外に排水される。小石5…及び/又は砂の層は、下2cm程度は汚れで臭くなり、砂を用いても1年もすると汚れることもある。
従って、図3のように、水槽の底に強度のある網7を敷いてその上に小石5…及び/又は砂を敷き詰め、網7の下側は漏斗状の汚水集め8を形成し、汚水を回収して常時排水する構造にすると、水槽1、2の中を清掃する負担が軽減される。
以上の構成の養殖施設を陸上に設け、ヒメジャコ6の稚貝が前記小石5及び/又は砂に支持されるようにして養殖する。この際、常時新鮮な海水を海からポンプアップして水槽1、2に給水し、ヒメジャコ6で汚染されたら、網7の下に沈降させて水槽外に排水する。当然ではあるが、ヒメジャコの外敵となる動物は水槽1、2に入れない。従って、ヒメジャコは、養殖穴の拘束も受けずに貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用し、円滑に効率的に成長できる。
ヒメジャコ6は、珊瑚の死骸や他の小石5及び/又は砂に付着し支持されるが、ヒメジャコ6の嫌う灰汁などを出さない限り、FRPなどの合成樹脂類にも吸着する。従って、水槽の底面又は底面付近は、小石5及び/又は砂を数cmの層状に敷きつめる代わりに、ヒメジャコが嫌う材質でない限り、合成樹脂の部材に直接に吸着支持させることも可能である。あるいは、水槽の内面に非透水性の塗料を塗布したり、フィルムやシートで覆って非透水性の水槽にしてもよい。なお、パイプPとは反対側において、水槽1、2の側壁を低くしたり穴を開けて、水槽内の汚水がオーバーフローする構造も可能である。
次に、成長したヒメジャコの収穫方法を説明する。海底のヒメジャコ9は、体液を分泌して、海底の岩に穴を掘り、図4(1) のように隠れるという習性がある。発明者の実験の結果、この習性は、外敵から身を守るためのようである。
従って、成長したヒメジャコ9を収穫する際は、タガネiなどで周囲の岩10を削って貝9を取り出す必要があるが、この際に身を傷めてしまい、市場価値も低下する。
ところが、本発明の場合は、ヒメジャコ6が穴に隠れることは無く、小石5及び/又は砂に吸着しているだけであるから、吸着した小石及び/又は砂も一緒に収穫し出荷できる
。小石及び/又は砂などが無く、水槽の底やシートなどに吸着している場合は、(2) のようにヘラ11などを用いて、剥離させて出荷する。
そのため、本発明の陸上養殖方法によると、稚貝を入れる穴を形成する必要が無いだけでなく、収穫も簡単でヒメジャコの市場価値も低下しない。
加えて、ヒメジャコは、養殖穴の拘束を受けるようなことは無く、貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用でき、効率的に成長する。
最後にヒメジャコの習性の研究成果を説明する。本発明の発明者は、特殊事情により、急にヒメジャコの稚貝を大量に入手したので、穴を開ける時間もなく、止むを得ず小石を集めて水槽の底に敷いて養殖してみた。また、小石の量も十分でなく、小石無しで養殖した例もある。
このように準備不足で始めたので、全く期待はしてなかったが、稚貝の植付け穴は全く開けなくても、ヒメジャコは順調に成長した。そこで疑問に思っていろいろと研究したところ、身を守るための外敵防止用の穴だろうと結論付けた。
上記のような準備不足の経験がかえって奏効し、ヒメジャコが穴を掘る目的を正しく理解できたのは発明者だけであり、その証拠に、引用文献1のような陸上養殖であっても養殖穴が不可欠だと鵜呑みしていた。また、海底を模した状態でヒメジャコを支持させるように、水槽の底部に小石を敷設しただけでは、外敵に捕食される危険があり、不充分である。従って、当然ではあるが、和食店の水槽などでは、ヒメジャコにとって外敵となる魚介類は一緒に入れないことが前提になる。
ところで、本発明のように小石及び/又は砂を敷くのは、小石及び/又は砂を敷設して海底を模した状態でシャコ貝を支持させるようにした構成であり、容易に発明できると思われそうだ。しかし、海底で小石及び/又は砂を敷いても、ヒメジャコの外敵は防げないので、ヒメジャコは寄り付かないでしょう。ヒメジャコの習性上、外敵に襲われないようにする隠れ家用の穴を掘れる岩場が必要となるのである。
本発明は、この習性に反して、岩の無い、小石及び/又は砂を敷いただけの水槽の中でヒメジャコを成長させたのである。その秘訣は、前記のように、ヒメジャコの外敵さえ防止できれば(水槽に外敵さえ入れなければ)、穴は不必要であり、小石及び/又は砂でも支障は無いし、極端に言えば小石及び/又は砂さえも要らないのである。
このように、外敵が居ないと分かれば養殖穴は不要であり、しかも常時貝を開いたままにできるので、外敵によるストレスは受けないし、太陽光を常に受けてヒメジャコ自身も共生藻も効率的に成長し、短期に高品質のヒメジャコを養殖できる。
以上のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷き、この小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されるようにして陸上養殖する方法や水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れない陸上養殖法だと、成長したヒメジャコの収穫が極めて簡単で品質低下も来さない。しかも、ヒメジャコが外敵を恐れる必要も無くストレスは溜まらないし、貝を開けっ放しにして太陽光をフルに受けて効率的に成長できる。
1、2 水槽
3 コンクリートブロック
4 ベニア板
5 珊瑚質その他の小石
W 海水
P パイプ
6 水槽内のヒメジャコ
7 網
8 汚水集め
9 穴中のヒメジャコ
i タガネ
10岩
11ヘラ


本発明は、ヒメジャコを陸上の水槽で効率的に養殖し成長させる方法に関する。
特許文献1のように、稚貝植付穴に稚貝を植えつけた養殖盤に、新鮮な海水が供給された陸上水槽を設置することで、稚貝を成長させることが提案されている。しかし、この稚貝が成長して収穫する際には、成長した貝の周りをタガネなどの道具で掘って貝を穴から出す必要があり、しかも貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下する。また、ヒメジャコの生態として、狭い養殖穴の中で貝を開閉するので、効率的に自由に貝を開いて太陽光を効果的に受光し成長することが困難となる。
特開平10−117628号
このように陸上で養殖する場合であっても、成長した貝の周りをタガネなどで掘って貝を穴から出す必要があるので、貝の中身が傷ついて死んでしまい、市場価値が格段と低下するという欠点がある。なお、シャコガイには、ヒメジャコのほかにヒレジャコ、シラナミ、ヒレナシジャコ、シャゴウ、トガリシラナミの6種類が居るが、ヒメジャコの方が美味しいし市場価値も高いので、盛んに養殖が試行されている。しかし、岩場に体液で穴を掘って生息するので養殖が困難とされている。
ところが、発明者の発見によると、陸上で養殖する場合は、養殖穴の拘束を受けないように、初めから養殖穴無しの水槽で養殖する方が、太陽光を効率的に受光して短期に成長でき、有利であると判断した。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、養殖穴を形成する必要が無く、自由に貝を開放して太陽光を受光でき、成長したヒメジャコの収穫も極めて簡単となり、中身が傷むことも無い陸上効率養殖方法を実現する。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光して成長し、成長したら、水槽から取り出して貝に入ったまま商品とすることを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。「小石」には、砂利やバラスなども含まれるものとし、呼び方の如何を問わない。
請求項2は、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすることを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコの陸上養殖方法である。「水槽」には、非透水性とするためにフィルムやシートで覆った状態が含まれるものとする。
請求項3は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを水槽から取り出して、貝に入ったまま商品とすることを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法である。
請求項4は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷き、ヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水する手段を設け、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されかつ貝を開けたままで受光して成長し、成長したら、水槽から取り出して、貝に入ったまま商品化が可能としたことを特徴とするヒメジャコの陸上養殖装置である。
請求項5は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを設け、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコであって、成長時の貝の中に入ったままの状態で前記水槽から取り出して商品としたことを特徴とする陸上養殖ヒメジャコである。
請求項6は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコであって、成長時の貝の中に入ったままの状態で前記水槽から取り出して商品としたことを特徴とする陸上養殖ヒメジャコである。
請求項7は、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、外敵さえ居なければ養殖穴も不要となる養殖方法を実現すべく、陸上に設けた水槽に海水を供給するとともに、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接に又は小石及び/若しくは砂を介してヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを前記水槽から取り出して商品とすることを特徴とするヒメジャコの成長促進方法である。
請求項1のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光する陸上養殖方法によると、水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷くだけで済み、稚貝植付穴を形成する必要も無いので、養殖施設の構成は簡単安価となる。しかも収穫に際して、成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、しかも貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは狭い養殖穴の中で生息するのではないので、外敵を恐れる必要も無くストレスが溜まらないばかりか、貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを有効利用して成長を促進できる。
請求項2のように、前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆ってあるので、水槽を非透水性とする手法や構成、強度保持が簡単で、安価に製造できる。
請求項3のように、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで円滑に受光でき、成長したヒメジャコを水槽から取り出して、貝に入ったまま商品とするので、稚貝の植付け穴を形成する必要はなく、養殖施設の構成が簡単で安価となる。従って、収穫に際して、従来のように成長した貝の周りをタガネなどで掘る必要も無く、貝の中身が傷ついて傷んだりすることもない。特に、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを効率的に利用して成長できる。
請求項4のように、陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷いてヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水するので、水槽の中を清掃する負担が軽減される。加えて、ヒメジャコは養殖穴の拘束を受けずに貝を十分に開いたままとし、太陽光を存分に取り入れ、光エネルギーを利用して短期に成長できる。そして成長したら、水槽から取り出して、貝に入ったまま商品化が可能である。
請求項5のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを設け、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを成長時の貝の中に入ったままの状態で前記水槽から取り出して商品としたので、ヒメジャコの収穫時に身を傷めて、市場価値が低下することは無い。また、吸着した小石及び/又は砂も一緒に収穫し出荷できる。
請求項6のように、陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光し、成長したヒメジャコを成長時の貝の中に入ったままの状態で前記水槽から取り出して商品としたので、ヒメジャコの収穫時に身を傷めて、市場価値を低下することは無い。しかも、ヒメジャコは、養殖穴の拘束を受けるようなことは無く、貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用でき、効率的に成長する。加えて、ヒメジャコが外敵を恐れる必要も無くストレスは溜まらない。
請求項7のように、ヒメジャコが外敵を避けるために養殖穴を形成する必要性を解明したことに基づき、外敵さえ居なければ養殖穴も不要となる養殖方法を実現すべく、陸上に設けた水槽に海水を供給するとともに、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接に又は小石及び/若しくは砂を介してヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを前記水槽から取り出して商品とするので、出願時の明細書の段落[0021]の末尾に明記のように、外敵が居ないと分かれば養殖穴は不要であり、しかも常時貝を開いたままにできるので、外敵によるストレスは受けないし、太陽光を常に受けてヒメジャコ自身も共生藻も効率的に成長し、短期に高品質のヒメジャコを養殖できる。
本発明により陸上に設けるヒメジャコ養殖用の水槽の斜視図である。 前記水槽の縦断面図である。 前記水槽の別の実施形態を示す縦断面図である。 ヒメジャコの収穫方法であり、(1) は従来方法、(2) は本発明の方法である。
次に本発明によるヒメジャコの陸上養殖方法が実際上どのように具体化されるか実施形態
で説明する。図1は、陸上に設ける養殖用の水槽であり、長方形の水槽1、2が形成されている。図の右側の水槽1は、陸上においてコンクリートブロック3…で容器状に形成してある。底部は見えないが、コンクリートブロックを敷きつめて底面を形成してある。しかも、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。
左側の水槽2は、ベニア板4で容器状に形成し、水が透過しないように、非透水性の塗料を内面に塗布したりして、海水が漏れないようにしてある。水槽1、2の内面は、非透水性の塗料の塗布に代えて又は非透水性の塗料の塗布と共に、非透水性のフィルムやシートで覆って水漏れ防止を確実にすることもできる。なお、FRPなどのような強度もあり、非透水性の合成樹脂で水槽1、2を形成し、その底又は非透水性のフィルムやシートにヒメジャコが吸着支持される方法でもよい。
このように、海水が漏れないように水密機能を確保した上で、図2のように、水槽1、2の底に、珊瑚質その他の小石(砂利やバラスなども含まれる)5…及び/又は砂を3〜15cm好ましくは5〜10cm程度敷きつめ、前記小石5…及び/又は砂が水没するように海水Wを供給する。海水Wは、常時新鮮な海水が海からポンプアップし給水されるように、パイプPを設けてある。なお、ヒメジャコ6…の養殖で汚れた槽水は、水槽1、2の外に排水される。小石5…及び/又は砂の層は、下2cm程度は汚れで臭くなり、砂を用いても1年もすると汚れることもある。
従って、図3のように、水槽の底に強度のある網7を敷いてその上に小石5…及び/又は砂を敷き詰め、網7の下側は漏斗状の汚水集め8を形成し、汚水を回収して常時排水する構造にすると、水槽1、2の中を清掃する負担が軽減される。
以上の構成の養殖施設を陸上に設け、ヒメジャコ6の稚貝が前記小石5及び/又は砂に支持されるようにして養殖する。この際、常時新鮮な海水を海からポンプアップして水槽1、2に給水し、ヒメジャコ6で汚染されたら、網7の下に沈降させて水槽外に排水する。当然ではあるが、ヒメジャコの外敵となる動物は水槽1、2に入れない。従って、ヒメジャコは、養殖穴の拘束も受けずに貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用し、円滑に効率的に成長できる。
ヒメジャコ6は、珊瑚の死骸や他の小石5及び/又は砂に付着し支持されるが、ヒメジャコ6の嫌う灰汁などを出さない限り、FRPなどの合成樹脂類にも吸着する。従って、水槽の底面又は底面付近は、小石5及び/又は砂を数cmの層状に敷きつめる代わりに、ヒメジャコが嫌う材質でない限り、合成樹脂の部材に直接に吸着支持させることも可能である。あるいは、水槽の内面に非透水性の塗料を塗布したり、フィルムやシートで覆って非透水性の水槽にしてもよい。なお、パイプPとは反対側において、水槽1、2の側壁を低くしたり穴を開けて、水槽内の汚水がオーバーフローする構造も可能である。
次に、成長したヒメジャコの収穫方法を説明する。海底のヒメジャコ9は、体液を分泌して、海底の岩に穴を掘り、図4(1) のように隠れるという習性がある。発明者の実験の結果、この習性は、外敵から身を守るためのようである。
従って、成長したヒメジャコ9を収穫する際は、タガネiなどで周囲の岩10を削って貝9を取り出す必要があるが、この際に身を傷めてしまい、市場価値も低下する。
ところが、本発明の場合は、ヒメジャコ6が穴に隠れることは無く、小石5及び/又は砂に吸着しているだけであるから、吸着した小石及び/又は砂も一緒に収穫し出荷できる。小石及び/又は砂などが無く、水槽の底やシートなどに吸着している場合は、(2) のようにヘラ11などを用いて、剥離させて出荷する。
そのため、本発明の陸上養殖方法によると、稚貝を入れる穴を形成する必要が無いだけでなく、収穫も簡単でヒメジャコの市場価値も低下しない。
加えて、ヒメジャコは、養殖穴の拘束を受けるようなことは無く、貝を十分に開いたままで生息でき、太陽光を十分に取り入れて光エネルギーを利用でき、効率的に成長する。
最後にヒメジャコの習性の研究成果を説明する。本発明の発明者は、特殊事情により、急にヒメジャコの稚貝を大量に入手したので、穴を開ける時間もなく、止むを得ず小石を集めて水槽の底に敷いて養殖してみた。また、小石の量も十分でなく、小石無しで養殖した例もある。
このように準備不足で始めたので、全く期待はしてなかったが、稚貝の植付け穴は全く開けなくても、ヒメジャコは順調に成長した。そこで疑問に思っていろいろと研究したところ、身を守るための外敵防止用の穴だろうと結論付けた。
上記のような準備不足の経験がかえって奏効し、ヒメジャコが穴を掘る目的を正しく理解できたのは発明者だけであり、その証拠に、引用文献1のような陸上養殖であっても養殖穴が不可欠だと鵜呑みしていた。また、海底を模した状態でヒメジャコを支持させるように、水槽の底部に小石を敷設しただけでは、外敵に捕食される危険があり、不充分である。従って、当然ではあるが、和食店の水槽などでは、ヒメジャコにとって外敵となる魚介類は一緒に入れないことが前提になる。
ところで、本発明のように小石及び/又は砂を敷くのは、小石及び/又は砂を敷設して海底を模した状態でシャコ貝を支持させるようにした構成であり、容易に発明できると思われそうだ。しかし、海底で小石及び/又は砂を敷いても、ヒメジャコの外敵は防げないので、ヒメジャコは寄り付かないでしょう。ヒメジャコの習性上、外敵に襲われないようにする隠れ家用の穴を掘れる岩場が必要となるのである。
本発明は、この習性に反して、岩の無い、小石及び/又は砂を敷いただけの水槽の中でヒメジャコを成長させたのである。その秘訣は、前記のように、ヒメジャコの外敵さえ防止できれば(水槽に外敵さえ入れなければ)、穴は不必要であり、小石及び/又は砂でも支障は無いし、極端に言えば小石及び/又は砂さえも要らないのである。
このように、外敵が居ないと分かれば養殖穴は不要であり、しかも常時貝を開いたままにできるので、外敵によるストレスは受けないし、太陽光を常に受けてヒメジャコ自身も共生藻も効率的に成長し、短期に高品質のヒメジャコを養殖できる。
以上のように、陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂を敷き、この小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されるようにして陸上養殖する方法や水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れない陸上養殖法だと、成長したヒメジャコの収穫が極めて簡単で品質低下も来さない。しかも、ヒメジャコが外敵を恐れる必要も無くストレスは溜まらないし、貝を開けっ放しにして太陽光をフルに受けて効率的に成長できる。
1、2 水槽
3 コンクリートブロック
4 ベニア板
5 珊瑚質その他の小石
W 海水
P パイプ
6 水槽内のヒメジャコ
7 網
8 汚水集め
9 穴中のヒメジャコ
i タガネ
10 岩
11 ヘラ

Claims (4)

  1. 陸上に設けた水槽の底に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴の形成してないものを敷き、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されて自由に貝を開けたままで受光することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法。
  2. 前記水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に非透水性の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすることを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコの陸上養殖方法。
  3. 陸上に設けた水槽を合成樹脂製とするか及び/又は内面に合成樹脂の塗料を塗布するか及び/又はフィルムやシートで覆って非透水性とすると共に海水を供給し、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成せずにヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、かつ水槽に直接にヒメジャコが支持されて貝を開けたままで受光可能とし、成長したヒメジャコを水槽から剥がして収穫し出荷することを特徴とするヒメジャコの陸上養殖方法。
  4. 陸上に設けた水槽の中を水平の網で仕切り、前記網の上に珊瑚質その他の小石及び/又は砂であって、ヒメジャコが養殖穴の拘束を受けないように、稚貝の入る養殖穴を形成してないものを敷き、ヒメジャコが自由に貝を開放可能とし、前記小石及び/又は砂が水没するように海水を供給し、ヒメジャコの外敵は水槽内に入れずに、前記網の下側の汚染された水を排水する手段を設け、前記小石及び/又は砂にヒメジャコが支持されかつ貝を開けたままで受光が行われるようにしたヒメジャコの陸上養殖装置。


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