JP4336675B2 - ヒメジャコやシラナミの養殖基盤 - Google Patents

ヒメジャコやシラナミの養殖基盤 Download PDF

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Description

本発明は、海底等に沈めてヒメジャコやシラナミの養殖に用いる養殖基盤に関する。
ヒメジャコは最も高級なシャコガイ類であり、漁業者は最も重要視している貝であるが、資源が著しく減少している。しかも地元マーケットは、ヒメジャコの供給を強く望んでいる。そのため、ヒメジャコ養殖の技術開発が強く要望されているが、ヒメジャコは天然サンゴまたはそれ由来のサンゴ性石灰岩に穿孔する性質があり、集約的な養殖事業化が困難であった。
その理由は、天然海域に存在する塊状サンゴ等の岩盤が数限られており、一度、ヒメジャコを埋め込むと穴があいてしまうため、その後は使えなくなってしまう。しかも、養殖貝は天然物との区別が付かないために、漁業調整上の問題もある上、天然の塊状サンゴを特定の漁業者が養殖のために使用することによるトラブルも発生している。
そこで、塊状サンゴ等の岩盤に代わる養殖基盤を人工的に開発し、ヒメジャコの畑(養殖場)を新規に造成すれば、漁業者はそれぞれの養殖区画でヒメジャコを養殖管理でき、こうした問題も解消できて、養殖生産が著しく拡大できる。
ヒメジャコ等のこのような養殖生産を目的として、実用新案登録第3028625 号に記載のように、コーラル系砕石を接着剤を用いて多孔状養殖台に形成することが提案されている。
実用新案登録第3028625 号
ところが、このような接着剤(有機溶剤およびセメントペーストを含む)を用いる工法では、ヒメジャコ本来の酸を用いた穿孔メカニズムでは、溶解できず、成長阻害を来して、斃死するほか、特に有機溶剤系接着剤の場合は食用のヒメジャコが接着剤の影響で汚染される可能性があり、食用としての採用は到底許されない。
また、砕石を接着する工法を採っているため、養殖穴を有する一定方向に規則性を持った適当サイズの養殖基盤を効率的に製造することが困難である。さらに、多数の養殖基盤を海底に強固に敷設することで大量の養殖を可能とする必要があるが、このような固定技術が解決されていない。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、貝類の生育に適するようにサンゴ又は貝殻を由来とし、かつ成型の容易な骨材を、土壌硬化剤などに利用され生物への悪影響の無い軽焼マグネシアで接合する工法を採用することによって、養殖穴を有する大量の養殖基盤を効率的に製造しかつ海底に強固に敷設可能とすることにある。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴をヒメジャコ又はシラナミの酸性分泌物で溶かして大きくしながら成長できるように
珊瑚又は貝殻を由来とする骨材軽焼マグネシアを配合し成型することによって、前記養殖穴を形成してなることを特徴とするヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材軽焼マグネシアを配合し成型することによって養殖穴を形成してあるため、ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴を、ヒメジャコ又はシラナミが酸性分泌物を出して溶かすのに適しており、養殖穴を円滑に溶かして大きくしながら順調に成長できる。また、軽焼マグネシアの流動的性質を活用し、養殖基盤を自在に成型できるので、養殖穴を有する養殖基盤を効率的に製造できる。
請求項2は、前記の珊瑚又は貝殻を由来とする骨材が、琉球石灰岩の粉砕物、炭酸カルシウムペレット、白砂、カキ殻又はホタテ貝殻の中から選択した任意の1以上であることを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材として、琉球石灰岩の粉砕物、炭酸カルシウムペレット、白砂、カキ殻又はホタテ貝殻などの中から任意の材料を選択使用できるので、価格や性状、産地その他の条件を勘案し、最適の材料を採択して生産できる。すなわち、選択の幅が広がる。
請求項3は、前記の養殖基盤に、前記養殖穴を長方形状に形成しかつほぼ等間隔に配列し、しかも各長方形状穴は、前記養殖基盤の一辺に対し約40〜50度傾けて配置してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、前記の養殖基盤に、前記養殖穴を長方形状に形成しかつほぼ等間隔に配列してあるため、作業効率的に埋め込みが容易となり、より多くのヒメジャコ等を養殖生産できる。また、各長方形状穴は養殖基盤の一辺に対し40〜50度傾けて配置してあるため、養殖基盤の限られた領域により多くのヒメジャコ等の稚貝を植え付け可能となる。
請求項4は、前記の養殖基盤の中に網又は格子状の補強手段を埋め込んであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、前記の養殖基盤の中に網又は格子状の補強手段を埋め込んであるため、強い波浪を受けても容易に破損したり、破損散乱することはなく、長期間使用が可能となる。なお、海底の深さは任意であるが、人間が立てる程度の深さで足りる。
請求項5は、前記の養殖基盤は振圧コンクリート成型により即時脱型され、しかも前記養殖基盤に開けた取付け孔に、海底に沈めるコンクリート製又は金属製の基台に取付けたアンカー筋を挿通して、取付け固定可能としたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、振圧コンクリート成型によって養殖基盤を即時脱型すると、液状化によって密実に成型された養殖基盤は、振動を停止すると材料の流動性がなくなるため、即時脱型が可能となり型枠の使用効率を高め、低コストでより多くの養殖基盤を供給できる。また、前記養殖基盤に開けた取付け孔に、海底に沈めるコンクリート製又は金属製の基台に取付けたステンレス棒やめっき処理棒などのアンカー筋を挿通して、取付け固定可能としたため、海底に沈めたコンクリート製又は金属製の基台に、取付け孔を利用して安定良く固定できる。その結果、養殖基盤が強い波浪で転倒したり、流されたりするのを未然に防止でき、耐久性を確保できる。
請求項6は、前記基台に固定されているアンカー筋を前記養殖基盤の前記取付け孔に挿通して、前記アンカー筋に開けてある横孔に、前記養殖基盤の上側でくさび状の板を挿通可能な構造であることを特徴とする請求項5に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、前記アンカー筋に開けてある横孔に、前記養殖基盤の上側でくさび状のステンレス板を挿通可能な構造であるため、波浪によって養殖基盤が基台から分離し破損する恐れはない。しかも、前記養殖基盤の上側で、前記アンカー筋に開けてある横孔にくさび状のステンレス板を挿通するだけであるから、作業も至って簡単であり、海底での作業をスムーズに遂行できる。
請求項7は、前記基台に固定されているアンカー筋を前記養殖基盤の前記取付け孔に挿通した状態において、前記アンカー筋を利用して、前記養殖基盤より上側に、食害防止手段を取付け可能に構成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤である。
このように、養殖基盤取付け用のアンカー筋を利用して、前記養殖基盤より上側に、食害防止手段を取付け可能に構成されているため、網状や格子状などの食害防止手段で囲まれた養殖基盤は、基盤を破壊して食害しようとする魚を防止し、ヒメジャコ等の長期間の生き残りを保証できる。
請求項8は、ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴をヒメジャコ又はシラナミの酸性分泌物で溶かして大きくしながら成長できるように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材と軽焼マグネシアを配合し成型することによって前記養殖穴を形成してなる養殖基盤を用いてヒメジャコ又はシラナミの収穫を完了した後に、
使用後の前記養殖基盤を海底に放置することによって、ヒメジャコ又はシラナミの養殖に使用後の養殖基盤を珊瑚や海草の定着基盤として引き続き活用することを特徴とするヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤の使用方法である。
このように、ヒメジャコ等を収穫完了した時点で、ヒメジャコ等自らの基盤の溶融作用によって、おおむね溶出し、細れきとなって、自然に回帰するので、養殖基盤として使用した後に、自然環境を破壊したりする恐れはない。しかも、ヒメジャコ等を収穫完了した後は、珊瑚や海草などの繁殖が期待でき、海底の自然環境の維持増進に寄与できる。
請求項1のように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材軽焼マグネシアを配合し成型することによって養殖穴を形成してあるため、ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴を、ヒメジャコ又はシラナミが酸性分泌物を出して溶かすのに適しており、養殖穴を円滑に溶かして大きくしながら順調に成長できる。また、軽焼マグネシアの流動的性質を活用し、養殖基盤を自在に成型できるので、養殖穴を有する養殖基盤を効率的に製造できる。
請求項2のように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材として、琉球石灰岩の粉砕物、炭酸カルシウムペレット、白砂、カキ殻又はホタテ貝殻などの中から任意の材料を選択使用できるので、価格や性状、産地その他の条件を勘案し、最適の材料を採択して生産できる。すなわち、選択の幅が広がる。
請求項3のように、前記の養殖基盤に、前記養殖穴を長方形状に形成しかつほぼ等間隔に配列してあるため、作業効率的に埋め込みが容易となり、より多くのヒメジャコ等を養殖生産できる。また、各長方形状穴は養殖基盤の一辺に対し40〜50度傾けて配置してあるため、養殖基盤の限られた領域により多くのヒメジャコ等の稚貝を植え付け可能となる。
請求項4のように、前記の養殖基盤の中に網又は格子状の補強手段を埋め込んであるため、強い波浪を受けても容易に破損したり、破損散乱することはなく、長期間使用が可能となる。
請求項5のように、振圧コンクリート成型によって養殖基盤を即時脱型すると、液状化によって密実に成型された養殖基盤は、振動を停止すると材料の流動性がなくなるため、即時脱型が可能となり型枠の使用効率を高め、低コストでより多くの養殖基盤を供給できる。また、前記養殖基盤に開けた取付け孔に、海底に沈めるコンクリート製又は金属製の基台に取付けたステンレス棒やめっき処理棒などのアンカー筋を挿通して、取付け固定可能としたため、海底に沈めたコンクリート製又は金属製の基台に、取付け孔を利用して安定良く固定できる。その結果、養殖基盤が強い波浪で転倒したり、流されたりするのを未然に防止でき、耐久性を確保できる。
請求項6のように、前記アンカー筋に開けてある横孔に、前記養殖基盤の上側でくさび状のステンレス板を挿通可能な構造であるため、波浪によって養殖基盤が基台から分離し破損する恐れはない。しかも、前記養殖基盤の上側で、前記アンカー筋に開けてある横孔にくさび状のステンレス板を挿通するだけであるから、作業も至って簡単であり、海底での作業をスムーズに遂行できる。
請求項7のように、養殖基盤取付け用のアンカー筋を利用して、前記養殖基盤より上側に、食害防止手段を取付け可能に構成されているため、網状や格子状などの食害防止手段で囲まれた養殖基盤は、基盤を破壊して食害しようとする魚を防止し、ヒメジャコ等の長期間の生き残りを保証できる。
請求項8のように、ヒメジャコ等を収穫完了した時点で、ヒメジャコ等自らの基盤の溶融作用によって、おおむね溶出し、細れきとなって、自然に回帰するので、養殖基盤として使用した後に、自然環境を破壊したりする恐れはない。しかも、ヒメジャコ等を収穫完了した後は、珊瑚や海草などの繁殖が期待でき、海底の自然環境の維持増進に寄与できる。
次に本発明による貝類の養殖基盤が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は養殖基盤の実施形態であり、(1)は平面図、(2)はA−A断面図、(3)はB−B断面図、である。
養殖基盤1は、厚さが例えば40mm、1辺が例えば500mmの正方形状であり、骨材として例えば炭酸カルシウムを使用し軽焼マグネシアで成型してある。この正方形養殖基盤の上面に50mm四方の間隔で、各区画の中央にヒメジャコの稚貝を植え付ける養殖穴2…を開けてある。図1(4)はこの養殖穴の詳細を示す平面図であり、正方形状に想定した1区画の中央に対角線方向に向けて長方形の養殖穴2を開けてある。つまり、各養殖穴2は、養殖基盤1の一辺に対し約45度斜めに向けて配置してある。
この養殖穴2は、長辺が例えば約15mm、短辺が例えば約8mmであり、深さは例えば約10mmである。3はヒメジャコ等の稚貝である。以上のようにして、養殖基盤1には、ヒメジャコ等の稚貝3を植え付ける長方形状の養殖穴2を100個等間隔に開けてある。この養殖穴2の底位置と養殖基盤1の底面との間に補強用の網体4又は鋼製格子を埋め込んである。この養殖基盤1の中央に取付け孔5を開けて、上下方向に貫通させてある。
図2は、この養殖基盤1を取付け固定するためのコンクリート製又は金属製の基台6の斜視図である。この基台6は、1辺が例えば5〜15m程度の正方形状をしており、高さが例えば5〜10m程度の大型ブロック状をしている。このような重量物のコンクリートブロックを海底に沈めて、前記の養殖基盤1の固定に用いる。このコンクリート基台を単体で用いることもできるが、波浪で移動し難いように、複数個連結して使用するのがよい。
そのため、各基台6には、成型時に縦横方向の横孔7、8を開けておき、隣接する複数の基台6に横方向の鉄筋9を挿通して互いに連結する。同様に、隣接する複数の基台6に縦方向の鉄筋10を挿通して互いに連結することで、互いに強固に連結固定しておく。鉄筋9、10は全長が鉄筋であってもよいが、大部分をワイヤーとし、その両端のみに鉄筋を接続して、ボルト状に形成してもよい。また、鉄筋9、10又はワイヤーは、最初から生コンクリート中に埋め込んでおくことも可能である。
この基台6には、図4のように、アンカー筋11の下端のU字状フック部12を埋め込み固定してある。そして、このアンカー筋11の上部を前記の養殖基盤1の取付け孔5に挿通して、養殖基盤1を取付け固定する。したがって図2の基台6は、アンカー筋11の上部の露出状態を図示省略してある。
図4は養殖基盤1の基台6への取付け固定構造を示す図で、(1)は平面図、(2)はA−A断面図、(3)はB−B断面図ある。アンカー筋11の上端には、縦長の横向き孔13を開けてあり、このアンカー筋11の上側を養殖基盤1の前記取付け孔5に挿通して、上側に突き出した状態で、横向き孔13に抜け止めのくさび状板14を差し込み、突出した部分に開けてあるピン孔15にピンを挿入する。なお、抜け止めピンに代えて、くさび状板14の突出した部分自体をほぼ直角方向に又はJ字状に折り曲げてもよい。このくさび状板14と養殖基盤1の上面との間には、ワッシャー16を挟むのがよい。
前記の基台6は、通常のコンクリート製でよいが、その上面に取付け固定する養殖基盤1は、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材を用いて、軽焼マグネシアを配合して成型することが必要である。このとき、振圧コンクリート成型により即時脱型する製造法が適している。単位水量の極めて少ない超硬練りの基盤材料を用いて、載荷し加圧しつつ振動を与えて液状化させることにより密実に締め固めて成型するため、振動を停止すると材料の流動性がなくなって、即時脱型が可能となる。その結果、型枠の使用効率が高く、低コストでより多くの養殖基盤を供給でき、量産性に富んでいる。
瑚に由来する骨材としては、琉球石灰岩や南部石粉、白砂、炭酸カルシウムペレットなどが適している。琉球石灰岩はトラバーチンとも呼ばれるが、実施例では、沖縄本島の南部で産出した5mm砕石を用いた。軽焼マグネシアとの重量比で3:1と4:1の2例を試みたところ、いずれもヒメジャコ稚貝が酸性分泌物を出して養殖穴2を溶かして大きくしながら順調に成長した。したがって、ヒメジャコ等の養殖基盤として適している。
沖縄県島尻郡渡嘉敷村前島沖で採取した白砂を用い、軽焼マグネシアとの重量比で3:1の割合で配合して成型したモルタル板に10%程度空気連行させた養殖基盤を用いたところ、ヒメジャコ稚貝の酸性分泌物による養殖穴2の溶出も成長も順調であった。したがって、ヒメジャコ等の養殖基盤として適している。
炭酸カルシウムペレットは、硬水を軟水化処理する際の副産物を用いる。沖縄の天然水は、珊瑚を由来とするカルシウム分が多く溶け込んでいて、飲料水とするには硬度が高いので、近年、浄水場では、このカルシウムを取り除く施設が整備されている。この施設で副産物として炭酸カルシウムのペレットが析出する。
この炭酸カルシウムペレットも珊瑚礁を由来とするため、ヒメジャコ等から出る酸性分泌物で容易に溶ける。この炭酸カルシウムペレットを軽焼マグネシアに対し重量比で15%配合して養殖基盤を成型したところ、ヒメジャコ稚貝の酸性分泌物による養殖穴2の溶出も成長も順調であった。
南部石粉は、沖縄本島の南部で産出した琉球石灰岩すなわちトラバーチンを粉砕してなる粉末であり、見かけ容積で「白砂1:南部石粉2:軽焼マグネシア1」の割合で配合して養殖基盤を成型したところ、ヒメジャコ稚貝の酸性分泌物による養殖穴2の溶出も成長も順調であった。
貝殻に由来する骨材としては、カキ殻やホタテ貝殻が適している。カキ殻は5mm以下に砕いたものを軽焼マグネシアと「粉砕殻12kg+軽焼マグネシア2.5kg」の割合で配合して養殖基盤を成型したところ、ヒメジャコ稚貝の酸性分泌物による養殖穴2の溶出も成長も順調であった。
ホタテ貝殻は、5mm以下に砕いたものを軽焼マグネシアと「粉砕殻12kg+軽焼マグネシア2.5kg」の割合で配合して養殖基盤を成型したところ、ヒメジャコ稚貝の酸性分泌物による養殖穴2の溶出も成長も順調であった。
このように、軽焼マグネシアと混ぜる骨材として、珊瑚又は貝殻を由来とする材料を用いると、ヒメジャコ等などの貝類が酸性分泌物で溶かして成長するのに適している。なお、一般的な材料である普通ポルトランドセメントを用いる場合は、セメント中のシリカ分によってヒメジャコの生育に支障が出る。
養殖基盤を用いてヒメジャコを養殖した場合、約3年で成長し収穫可能となる。収穫後の養殖穴は再利用できないので、養殖が完了した時点で、その役目が終了したことになる。こうして使用した後の養殖基盤は、海底に残しておくことにより、珊瑚や海草の定着基盤として引き続き有効利用することがのぞましい。
しかしながら、養殖基盤を海底に設置して1年程度経過し、ヒメジャコが成長すると、大型の魚などに食べられる恐れがあるので、図5のように、食害防止網を被せて、食害から保護する構造が必要である。図4のアンカー筋11のくさび状板14より上側の部分を利用して食害防止網を取付けてもよいが、図5の実施形態では、ワッシャー17の上からナット18を締め付けて、養殖基盤1を一旦固定した状態で、アンカー筋11のナット18より上側の部分に高ナット19つき受け板20を螺合させて固定する。
各アンカー筋11上の各受け板20…の上に食害防止網21を載せた状態で、押さえ板22を載せて、固定ボルト23を螺合させて、食害防止網21を上下の板の間に挟んで固定する。なお、押さえ板22と受け板20には、ボルト挿入孔を開けてあり、高ナット19の上側には、ボルト受け用のメネジ孔を開けることは言うまでもない。
図4の場合も、アンカー筋11の上端に設けたオネジ部11aを利用して、受け板20と押さえ板22を設けることによって、食害防止網21を取付けることができる。なお、食害防止網21の網目の大きさは1辺が3〜15cm程度が適しており、取付け位置は、養殖基盤1の上面から5cm以上離すのがよい。食害防止網21に代えて、格子状の手段を用いることもできる。これらの網21や格子は使用後に回収するので、合成樹脂製でもよい。
以上すべての取付け金具や食害防止製品に関しては、鋼製以外にも充分に強度のある合成樹脂製品でもよい。
以上のように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材を軽焼マグネシアで接合して成型してなる養殖基盤は、ヒメジャコやシラナミが酸性分泌物を出して溶かすのに適しているので、海中に沈めて養殖するのに有効である。また、有機系の接着剤ではなく軽焼マグネシアを用いて養殖基盤を成型できるので、海洋汚染や養殖貝類に悪影響を与える恐れもなく、安全を確保できる。
養殖基盤の実施形態であり、(1)は平面図、(2)はA−A断面図、(3)はB−B断面図、(4)は養殖穴の詳細を示す平面図である。 養殖基盤を取付け固定するためのコンクリート製基台の斜視図である。 多数の養殖基盤をコンクリート製基台に固定した状態の断面図である。 養殖基盤のコンクリート製基台への取付け固定構造を示す図で、(1)は平面図、(2)はA−A断面図、(3)はB−B断面図である。 食害防止網の取付け構造を示す側面図である。
1 養殖基盤
2 養殖穴
3 稚貝
4 網体
5 取付け孔
6 コンクリート製基台
7・8 横孔
9・10 鉄筋
11 アンカー筋
12 フック部
13 横孔
14 くさび状板
15 ピン孔
16 ワッシャー
17 ワッシャー
18 ナット
19 高ナット
20 受け板
21 食害防止網
22 押さえ板
23 固定ボルト

Claims (8)

  1. ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴をヒメジャコ又はシラナミの酸性分泌物で溶かして大きくしながら成長できるように
    珊瑚又は貝殻を由来とする骨材軽焼マグネシアを配合し成型することによって、前記養殖穴を形成してなることを特徴とするヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  2. 前記の珊瑚又は貝殻を由来とする骨材が、琉球石灰岩の粉砕物、炭酸カルシウムペレット、白砂、カキ殻又はホタテ貝殻の中から選択した任意の1以上であることを特徴とする請求項1に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  3. 前記の養殖基盤に、前記養殖穴を長方形状に形成しかつほぼ等間隔に配列し、しかも各長方形状穴は、前記養殖基盤の一辺に対し約40〜50度傾けて配置してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  4. 前記の養殖基盤の中に網又は格子状の補強手段を埋め込んであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  5. 前記の養殖基盤は振圧コンクリート成型により即時脱型され、しかも前記養殖基盤に開けた取付け孔に、海底に沈めるコンクリート製又は金属製の基台に取付けたアンカー筋を挿通して、取付け固定可能としたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  6. 前記基台に固定されているアンカー筋を前記養殖基盤の前記取付け孔に挿通して、前記アンカー筋に開けてある横孔に、前記養殖基盤の上側でくさび状の板を挿通可能な構造であることを特徴とする請求項5に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  7. 前記基台に固定されているアンカー筋を前記養殖基盤の前記取付け孔に挿通した状態において、前記アンカー筋を利用して、前記養殖基盤より上側に、食害防止手段を取付け可能に構成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤。
  8. ヒメジャコ又はシラナミの稚貝を植え付けた養殖穴をヒメジャコ又はシラナミの酸性分泌物で溶かして大きくしながら成長できるように、珊瑚又は貝殻を由来とする骨材と軽焼マグネシアを配合し成型することによって前記養殖穴を形成してなる養殖基盤を用いてヒメジャコ又はシラナミの収穫を完了した後に、
    使用後の前記養殖基盤を海底に放置することによって、ヒメジャコ又はシラナミの養殖に使用後の養殖基盤を珊瑚や海草の定着基盤として引き続き活用することを特徴とするヒメジャコ又はシラナミの養殖基盤の使用方法。
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