JP3193704B2 - 育成部材及び育成部材を備えた着脱式藻場増殖礁、並びに着脱式藻場増殖礁の取り扱い方法 - Google Patents

育成部材及び育成部材を備えた着脱式藻場増殖礁、並びに着脱式藻場増殖礁の取り扱い方法

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JP3193704B2
JP3193704B2 JP2000042857A JP2000042857A JP3193704B2 JP 3193704 B2 JP3193704 B2 JP 3193704B2 JP 2000042857 A JP2000042857 A JP 2000042857A JP 2000042857 A JP2000042857 A JP 2000042857A JP 3193704 B2 JP3193704 B2 JP 3193704B2
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Landscapes

  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中に棲息する生
物の生育に適した藻類を育成し藻場を造成するための育
成部材、及びその育成部材を備えた藻場増殖礁、並びに
その藻場増殖礁の取り扱い方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、漁礁として利用するために藻類を
増殖させる藻場増殖場としては、天然の岩場、テトラポ
ットやコンクリートプレート、或いは、これらコンクリ
ート製品を重積したりその間に自然石を配設したもの等
が利用されてきた。ところで近時、主に海域において、
水温や水質の変化、或いは食害動物等、様々な原因によ
って藻類が死滅してしまういわゆる磯焼け現象が問題と
なっている。また、柔らかい藻類が次第に硬い藻類にと
ってかわられて有用な藻類が締め出されたり、石灰藻が
着生することにより、漁礁の表面が非常に硬い石灰質で
覆われ、次に新たな藻類が着生しなくなるという問題も
ある。このような問題に対して、前述のような従来の漁
礁では、投入されたブロック等に藻類が付着するのに時
間がかかるため、実質的には対応策となり得ない。ま
た、磯焼けが拡大してきた場合の対策方法ともならなか
った。
【0003】そこで、既存の藻場における海藻類の増殖
力等に着目し、既存の藻場そのものを人工基盤への海藻
類の種苗の着生及び生育に利用する藻場造成方法とし
て、特開平11−69924号公報に開示されているよ
うな方法も考えられている。この方法は、既存の藻場に
重量物からなる資材を沈設して表面に海藻類を着生、成
育させた後、この資材を回収して藻場を造成すべき場所
に種資材として移設するとともに、その周囲に海藻類を
着生させるべき他の資材を配して、種資材の海藻類を他
の資材に増殖させて藻場を造成しようとするものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
方法では、海底に安定的に沈設できる重量物である資材
を、海藻類を着生させるべき種資材として利用するた
め、非常に重い種資材そのものを移設するには多大な費
用を必要とするという問題がある。また、せっかく造成
した藻場に磯焼けが生じると、新たに種資材を運搬した
り、資材の表面に付着した石灰質を磨いて落とすための
時間や手間、費用が非常に大きくなってしまうという問
題もある。さらには、種資材は既存の藻場で海藻類を着
生させるものであるため、目的とする海藻類が当初の予
想通りに着生しなかったり、着生、生育しても食害動物
に食べられてしまう恐れもある。
【0005】そこで、藻類の増殖効果が予想されるカル
シウム組成物をコンクリート製漁礁に含有させて使用す
る方法が考えられている。このようなカルシウム組成物
としては、近年の資源や廃棄物の有効利用に着目して、
一部はカルシウム源として肥料に利用されているものの
大部分が埋め立て処分されているカキ殻等に代表される
貝殻や魚の骨などの海産物の廃材等が挙げられる。しか
し、このようにコンクリート製漁礁にカルシウム組成物
を含有させるものであると、コンクリート強度が低下す
るという問題があり、そのようなカルシウム組成物を漁
礁用ブロックに混入して使用される例は殆ど見られな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
問題に鑑みて、藻類を育成し移設が容易な育成部材を構
成するとともに、その育成部材を別途に設けた重しとな
る部材とともに使用する便利で安価な着脱式藻場増殖礁
を構成することとしている。さらに、その着脱式藻場増
殖礁を効率良く低コストで取り扱うことができ、メンテ
ナンスも容易な方法に特徴を有する。
【0007】すなわち、本発明に係る育成部材は、藻類
を育成し藻場を造成するためのものであって、前記藻類
を育成する育成部と、アンカー機能を具備する物に着脱
可能に取付け得る取付部とを具備するとともに、自らは
アンカー機能を有さず、少なくとも前記育成部を、表面
に凹凸形状を有する転写元物質の表面側に常温では硬化
して弾性変形可能な型枠となる熱可塑性材料を加熱溶融
した状態で接触させ、該熱可塑性材料が硬化して形成さ
れた型枠にコンクリート、モルタル、又はセメントペー
ストを打設して硬化させることによって前記転写元物質
に対応した表面形状を有するように作製したものである
ことを特徴とする。
【0008】このようなものであれば、育成部において
藻類を適切に育成し、その後この育成部材を移設するよ
うな場合にも、育成部材自身が比較的軽量のものである
ので、コストや時間を掛けずに簡便に移送することがで
きる。そのうえ、取付部によって適宜の場所に適切に取
付けることができ、その場で藻場を造成することも容易
である。
【0009】しかも、この育成部材において少なくとも
育成部は、表面に凹凸形状を有する転写元物質の表面側
に常温では硬化して弾性変形可能な型枠となる熱可塑性
材料を加熱溶融した状態で接触させ、該熱可塑性材料が
硬化して形成された型枠にコンクリート等を打設して硬
化させることによって前記転写元物質に対応した凹凸の
表面形状を有するようにしているため、育成部の表面積
が大きくて藻類が根を張り易くその増殖にも適した育成
部材を簡単に作製することができる。
【0010】また、上記のような育成部材を備えた本発
明の藻場増殖礁は、該育成部材と、育成部材を着脱可能
に保持し藻場を造成すべき所定位置に沈設されるアンカ
ー部材とから構成していることを特徴とする。
【0011】このように、藻類を適切に育成し移設に適
した重量の軽い育成部と、主としてアンカー機能を有す
るアンカー部材とに、藻場を造成するための機能をそれ
ぞれ分離したものであれば、主として藻類を育成、増殖
させる役割は育成部材に担わせて、目的とする場所に沈
設したアンカー部材に育成部材を取付けることで、所期
の藻場増殖礁を安価で簡単に形成することができること
となる。
【0012】このような着脱式藻場増殖礁として、アン
カー部材の重しとしての機能を損なうことなく、資源や
廃材の有効利用を図るためには、前記アンカー部材が、
カキ殻等の貝殻、魚の骨、甲殻類の殻、フライアッシ
ュ、珪藻土、スラグ、ベンガラ等のうち少なくとも一つ
を組成中に含有するコンクリート製ブロックであるもの
とすることが非常に好ましい。
【0013】本発明はまた、以上のような着脱式藻場増
殖礁を取り扱う好ましい方法として、藻類の育成に適し
た場所として設定した育成ゾーンにおいて前記育成部材
で藻類を育成し、前記藻類が成育した後、育成部材を、
育成ゾーンから藻場を造成すべき場所として設定した造
成ゾーンに移設するとともに前記アンカー部材に取付け
て、該造成ゾーンにおいて藻場を造成するようにしてい
ることを特徴とする。
【0014】このような方法であれば、藻類の育成に適
した場所に育成ゾーンを設定し、成育した藻類を藻場を
造成すべき造成ゾーンへと育成部材ごと移設しても、そ
の費用や時間、手間は少ないもので済み、造成ゾーンに
藻類の水中(海中)林を簡単に形成することができる。
さらには、それまで藻場がなかった所や磯焼けにより藻
場が消失した所にも、藻場を造成することができ、藻類
を餌にする魚介類を集めることができる良好な漁場を計
画的に造成できることとなる。また、造成ゾーンにおい
てアンカー部材に育成部材を取付けた後で、磯焼けなど
何らかの原因で育成部材の一部または全部の藻類が死滅
しても、その育成部材のみを取り外し、育成ゾーンから
新たに移設してきた育成部材と取り替えることで、藻場
増殖礁のメンテナンスを容易に行うことができる。した
がって、造成ゾーンに常に安定した藻場増殖礁を維持す
ることができ、また、藻場増殖礁を拡大することも容易
である。
【0015】このような方法において、育成ゾーンを水
底に設定する場合には、育成ゾーンにもアンカー部材等
重しとなる部材を設置するなどして育成部材を取付け、
安定的に藻類を育成することができることとなる。
【0016】また、育成ゾーンを水中に設定する場合に
は、藻類の育成に必要な日光を十分に受けさせることが
でき、また、水底に棲息する食害動物から藻類を効果的
に守ることもできることとなる。
【0017】この場合、特に、藻類の育成に適した水温
や日射量に対応して育成部材の深さを容易に変更したり
水底に棲息する植食生物等の食害動物からの保護を有効
に図るなど、藻類の育成の集中管理を容易なものとする
ためには、水面に浮かべた筏等の浮遊物に育成部材を吊
り下げることによって、育成ゾーンを水中に設定するこ
とが望ましい。また、陸上で藻類を育成する場合には、
広大な敷地を確保して大きな水槽で藻類の育成を実施す
る必要があり、さらにその水槽の水を循環させたり取り
替えたりする必要もあるが、上記のような方法によれ
ば、このような土地や設備、作業に係る費用や手間を削
減でき、自然な環境での藻類の育成が可能となる。
【0018】さらにこのような場合において、より多数
の育成部材を筏等に吊すことができ、また潮流により流
れてくる藻類の胞子を受け止めやすくするためには、育
成部材を、その厚み方向を水深方向と略直交させて縦向
きの姿勢で吊り下げるようにしていることが好ましい。
特にこの方法は、板状の育成部材に適用する場合に有効
となる。
【0019】また、藻類が幼芽のうちはまだ柔らかく、
食害動物が嫌う独特の渋味成分等を分泌して自らを食害
から守ることが十分にできないうえに、育成部材にしっ
かりと根付いていないために、幼芽の状態で育成部材を
造成ゾーンに移設すれば食害を受けたり潮流で流されて
しまうなどの問題が生じる。そこで、このような問題を
解消して、適切な藻場増殖礁を形成するためには、育成
ゾーンにおいて、藻類を、食害動物等に対する自己防衛
能力を発揮でき、且つ潮流から受ける抵抗力に抗して育
成部材に根付いた状態を維持できる大きさまで育成し、
その後、水底などに設定した造成ゾーンに移設すること
が効果的である。このとき、食害動物が嫌う渋味成分な
どを分泌できる葉長(30cm程度)になれば、水中よ
り水底に移設可能であり、あまり大きくなるまで水中で
育成すると、かえって葉落ちの危険性もあるため、葉長
1m未満での水中から水底への移設が望ましい。
【0020】また、より安価に育成部材に藻類を着生さ
せるためには、育成ゾーンを目的とする藻類が生育して
いる水域の近傍に設定し、その位置に育成部材を吊り下
げるようにすることが望ましい。
【0021】一方、目的とする藻類のより確実且つ選択
的な育成を可能とするためには、育成部材を、藻類の胞
子を付着させて初期培養するとともにその藻類を水中で
数cm程度の大きさまでの幼芽の状態にした種糸を巻い
た状態で、育成ゾーンに配置するようにすることが望ま
しい。これは、10cmまで成長すると、種糸に着生し
たままでは自身を支えることができず、葉落ちする危険
性が出てくるためであり、幼芽が根を張り出し育成部材
に効率よく着床させるには、10cm未満の状態にて種
糸を育成部材に巻き付けるのがよい。この方法によれ
ば、造成ゾーンにおいて藻類が磯焼けしたり枯死した育
成部材のメンテナンスも極めて容易となる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図1〜図7を参
照して説明する。
【0023】図1に示す着脱式藻場増殖礁B1は、海藻
類の一種であるアラメC(図6参照)を生育、増殖させ
て、主にそれを餌として食べるために集まるアワビを漁
獲するために使用されるものである。この藻場増殖礁B
1は、主としてアラメCを育成するための機能を有する
育成部材1と、この育成部材1を海底Pに保持する重し
としてのアンカー機能を有するアンカー部材2とから構
成されている。
【0024】育成部材1は、図1及び図2に示すよう
に、運搬が容易なように例えば一辺1m程度の平面視略
正方形状の板状部11と、その裏面11b側の周囲に突
出する鍔部12とから構成した重さ約0.5tのコンク
リート製のものである。そして、この育成部材1をアン
カー部材2に着脱可能に取付けられるように、鍔部12
に取付部たる金具15を突出させている。また、アラメ
Cを活着させるように、該板状部11の表面11aに凹
凸形状を形成するとともに、育成部材1の周囲に予めア
ラメCの胞子を付着させたクレモナ糸13と称される種
糸を巻付け、前記表面11aとクレモナ糸13とにより
育成部14を形成している。このクレモナ糸13は、ア
ラメCを他の海藻類よりも優先的に生育させて、漁獲収
益の高いアワビを選択的に得ることを目的として用いら
れるものである。さらに、本実施例では、後述する移設
の便宜のために、板状部11の表面11aにフック16
を取付けている。
【0025】ここで、本実施例の育成部材1の作製方法
について、図3及び図4に従って説明する。
【0026】図3(a)に示すように、まず、周囲を鋼
製等の素材からなる外枠51で囲った型枠52の上に、
転写元となる数cm程度の大きさの多数の砂利3を平面
的に敷詰め、その砂利3の上方から加熱溶融させた状態
の熱可塑性材料4(41)を、砂利3の表面を覆うよう
に流し掛ける。ここで、熱可塑性材料4としては、例え
ば、「EM/エム」(商品名;住友大阪セメント株式会
社製)等を使用する。この「EM/エム」は、特殊ポリ
マーの三次元網目構造にオイルを封じ込めた熱可塑性エ
ラストマーであり、常温においてはゴム弾性体となり、
摂氏210℃以上の高温下ではオイル状となるものであ
る。この状態でしばらく放置すると、この熱可塑性材料
4が硬化し、ゴム弾性体からなるシート状の型枠42が
形成される(図3(b))。この型枠42が形成された
段階で、該型枠42を、部材の弾性変形を利用して前記
砂利3から離脱させる(図3(c))。このとき、前記
砂利3の表面側から流し掛けられた熱可塑性材料4は、
各砂利3の隙間3aに流れ込むため、図3(c)及び図
4(a)に示すように、前記隙間3aに対応した柔突起
42aを有する型枠42が形成されている。しかる後、
この型枠42を枠体53内に載置して、枠体53内にモ
ルタル等のセメント材料54を打設する(図4
(a))。この際、セメント材料54の上方から矩形の
型材55を載置することにより完成後の育成部材1の鍔
部12の形状を形成する(図4(b))。このセメント
材料54を硬化させた後に、ゴム弾性体である型枠42
の弾性変形を利用すれば容易にセメント材料から剥離す
ることができ、図1及び図2に示すような、転写元であ
る砂利3の形状に対応した逆勾配のある表面形態をなす
育成部材1が形成される。なお、この育成部材1は、前
記金具15やフック16を備えているので、セメント材
料54の硬化前に予めこれらを所定位置に配置しておく
か、或いは硬化後に適宜抜脱不能に取付ければよい。
【0027】アンカー部材2は、図1及び図2に示すよ
うに、前記育成部材1を載置し固定するための重しとし
てのアンカー機能を有する矩形のコンクリート製ブロッ
クで、海底Pに沈設して育成部材1を安定的に保持し得
るように、その海域での最大潮流によって流失しない程
度の重量を有し、さらに、育成部材1を保持するための
保持部21を具備している。この保持部21は、アンカ
ー部材2の一対の側面2aに固定した鎖21aの先端
に、育成部材1の金具15に係合するようなリング21
bを取付けたものである。また、このアンカー部材2
は、海産物の廃棄物を有効利用するために、図5に断面
を示すように、そのコンクリート組成中にカキ殻61を
含有するものである。本実施例では、アンカー部材2に
主としてアンカーの役割を担わせたものであるが、海底
Pで継続的に藻場Aを形成するために、経年変化にある
程度耐え得るだけの強度を付与するべく、コンクリート
組成中の前記カキ殻61を基本組成であるセメント材料
62に対して所定割合で混在させている。
【0028】以上のような構成からなる本実施例の着脱
式藻場増殖礁B1は、次のようにして取り扱われる。以
下、図6及び図7に示す模式図に基づいて説明する。
【0029】まず、アラメCの育成に適した場所とし
て、図6に示すように、適切な水温で激しい潮流がな
く、日光が届く等の条件を満たす海底P、例えば水深5
〜6m程度の海底Pに育成ゾーンXを設定する。この育
成ゾーンXには、アンカー部材2を予め沈設しておき、
そのアンカー部材2に育成部材1を着脱可能に保持させ
る。育成ゾーンXでは、このようにした育成部材1を多
数配置して、アラメCの育成を集中管理する。特に、ア
ラメCが十分に成育していない幼稚期間は、魚類やウミ
ウシ等の食害動物に食べられ易いため、適宜図示しない
防護ネットを張ることもアラメCの順調な育成には有効
である。アラメCは、まずクレモナ糸13から発芽し、
次第に成育してくると、根を延ばして凹凸形状の育成部
11の表面11aに乗り換えるようになり、やがて育成
部材1に確実に活着する。
【0030】前記育成ゾーンXにおいてアラメCが十分
に成育すると、育成部材1をアンカー部材2から取り外
し、図7に示すように、藻場Aを造成すべき場所として
海底Pに設定した造成ゾーンYに移設する。この造成ゾ
ーンYにもアンカー部材2を予め沈設しておき、そのア
ンカー部材2に育成部材1を着脱可能に保持させて、着
脱式藻場増殖礁B1を形成する。藻場Aを広く造成する
場合には、多数の藻場増殖礁B1を配置すればよい。こ
のようにして、アラメCの海中林が完成する。
【0031】このようにして藻場Aを造成した後、磯焼
け等の原因で一部又は全部のアラメCが死滅した場合、
あるいは育成部材1に集まったアワビを漁獲する場合に
は、その育成部材1のみをアンカー部材2から取り外
し、育成ゾーンXにおいてアラメCが成育した新たな育
成部材1を移設してきて交換する。また、取り外した育
成部材1にはメンテナンスを施して、再度育成ゾーンX
にてアラメCを育成するために利用する。このようにす
ることで、藻場A全体のメンテナンスを行うことができ
ることとなる。
【0032】本実施例の育成部材1は、上記のような構
成からなるものであって、比較的軽量のものであるの
で、育成ゾーンXと造成ゾーンYとの間の移設やメンテ
ナンス時の運搬作業にもコストや時間があまり掛からな
い。また、アラメCを育成、活着させるべき育成部14
においてアラメCを適切に育成することができる。さら
に、育成部材1自身には水中における安定性は低いが、
取付部15によってアンカー部材2等の適切な場所に取
付けることができ、その場でアラメCを育成したり藻場
Aを造成することも安定的に行うことができる。
【0033】しかも、この育成部材1は、表面11aに
凹凸形状の育成部14を有しているため、アラメCが根
を張り易くその増殖に適したものである。また、このよ
うな育成部14の凹凸形状は、表面に凹凸形状を有する
転写元物質である砂利3の形状を転写した熱可塑性材料
4を型枠42としてセメント材料54を打設することに
より作製されたものであるので、その作製が非常に容易
となるばかりでなく、その型枠42を共通に用いて同一
の育成部材1を大量に生産することができる。
【0034】さらに、本実施例の着脱式藻場増殖礁B1
は、このような育成部材1を備えている上に、その育成
部材1を着脱可能に保持するアンカー部材2を備えたも
のである。したがって、アラメCを育成すべき機能とア
ンカー機能とを、育成部材1とアンカー部材2とに分離
することができるので、育成部材1のみを必要に応じて
移設すればよく、非常に機能的である。
【0035】また、アンカー部材2のコンクリート組成
中に、漁業地域で廃棄物処理が問題となっているカキ殻
61を含有させるようにしているので、廃棄物の有効利
用に大きく貢献でき、既存又は将来の廃棄処分場の延命
にも役立つことができる。また、このようにコンクリー
ト組成中にカキ殻61を混入しても、アンカー部材2の
アンカー機能を何ら損なうものではない。
【0036】さらにまた、本実施例では以上のような構
成の着脱式藻場増殖礁B1を取り扱う方法として、アラ
メCの育成に適した育成ゾーンXと、藻場Aを造成すべ
き造成ゾーンYとを別々に設定し、育成部材1のみを両
ゾーンX、Yの間を移設するようにして、各ゾーンX、
Yにおいて育成部材1をアンカー部材2に着脱可能に保
持させているので、移設に係るコストや手間、時間を有
効に低減することができる。また、育成ゾーンXにおい
てアラメCの育成を集中的に管理することができるた
め、その効率を非常に高めることができる。さらに、造
成ゾーンYとして、それまで藻場Aがなかった砂浜等の
場所や、磯焼けが起こっている場所にも、計画的に藻場
Aを造成、拡張することができ、アラメCを餌とするア
ワビを始めとする魚介類の良好な漁場を得ることができ
る。さらに、造成ゾーンYにおいてアンカー部材2に育
成部材1を取付けた後で、磯焼けなど何らかの原因で育
成部材1の一部または全部のアラメCが死滅しても、そ
の育成部材1のみを新たな育成部材1と取り替えること
で、藻場増殖礁B1のメンテナンスを容易にすることも
できるので、常に安定した藻場増殖礁B1を維持できる
こととなる。
【0037】特に、本実施例では、育成ゾーンXを海底
Pに設定するとともに、育成ゾーンXにもアンカー部材
2を設置しているので、育成部材1の前記取付部15を
利用して、育成ゾーンX及び造成ゾーンYにおいて、育
成部材1を安定的に海底Pに保持しておくことが可能で
ある。
【0038】なお、本発明は上述した実施例には限られ
ない。
【0039】例えば、育成ゾーンX2は、図8に示すよ
うに、水深約5m以内の海中に設定したものであっても
よい。この場合は、海面Rに定位置で浮遊する筏7等を
浮かべ、その筏7から海中Qに育成部材1を吊り下げ
る。このようにすれば、幼稚期間にあるアラメCを食害
動物から有効に保護して育成することができる。また、
海中Qであれば、アラメCの育成に必要な日光を十分に
与えることができるだけでなく、吊り下げる水深を適宜
変更することで育成に適した海水温に調節することもで
きる。このような方法によって成育したアラメCは、上
記実施例のように育成部材1ごと図7に示す造成ゾーン
Yに移設すればよい。また、アラメCが食害動物に食べ
られない程度に成育すれば、造成ゾーンYに移設する前
に、一旦海底Pに設定した図示しない第2の育成ゾーン
でそのまま育成を続けるようにしてもよい。
【0040】また、着脱式藻場増殖礁を構成する育成部
材やアンカー部材の形状や取付方法等も、上記実施例に
限られるものではない。以下、そのうちの数例について
説明する。但し、いずれの育成部材も、表面の育成部に
凹凸形状を有するものであり、以下の説明では特に触れ
ないが、各図面においては上記実施例に対応する符号を
附している。
【0041】図9に示す着脱式藻場増殖礁B2は、複数
(図示例では4枚)の比較的小型の板状部211のみか
らなる育成部材201と、上面202aにこの育成部材
201に対応する凹部222を複数設けたアンカー部材
202とから構成されるものである。そして、アンカー
部材202の上面202aに保持部たる板状金具221
を回転可能に取付けて、育成部材201の表面211a
側を押えるようにするとともに、この金具221が回転
することにより通過する育成部材201の表面211a
を部分円形状に平らにして、この部分を取付部としてい
る。このような育成部材201は、小型のものであるの
で、上述した筏7等で海中Qに吊り下げる方式の育成ゾ
ーンX2に適用するのが好ましいものである。
【0042】図10(a)(b)に示す着脱式藻場増殖
礁B3は、板状部311と、その板状部311の裏面3
11b側に設けた複数(図示例では2本)の突部312
とからなる育成部材301を備えたもので、板状部31
1の4隅には、それぞれ取付部たる貫通孔315を設け
ている。一方、アンカー部材302は、上面302bの
4隅に前記貫通孔315に対応する塩化ビニル製パイプ
等からなる突起323と、この突起323と共に保持部
321を形成するワイヤ324とを具備し、育成部材3
01の突部312に対応する凹部322を形成したもの
である。そして、突部312を凹部322に一致させる
とともに、貫通孔315に突起323を挿入するように
して育成部材301をアンカー部材302に載置して、
ワイヤ324を突起323の周囲に設けた孔323aに
挿通して、育成部材301を保持するようにしているも
のである。
【0043】図11に示す着脱式藻場増殖礁B4は、板
状部411の一対の側面411cに取付部たるインサー
トナット415を複数埋設した構成の育成部材401
と、上面402bにこの育成部材401を嵌入し得る凹
部423を設けるとともに前記インサートナット415
に対応する貫通孔421aを形成したアンカー部材40
2とからなるものである。この貫通孔421aは、側方
から挿通されるボルト421bと共に保持部421を形
成するものである。そして、貫通孔421a及びインサ
ートナット415にボルト421bを挿入して、育成部
材401を着脱可能に保持するようにしている。
【0044】図12に示す着脱式藻場増殖礁B5は、板
状部511の側縁に沿って一対の側壁512を設けこの
側壁512に取付部たるクランク状のカギ孔515を形
成した育成部材501と、側面502aに前記カギ孔5
15と対応する保持部たる有頭の突起521を設けたア
ンカー部材502とから構成したものである。そして、
育成部材501を、カギ孔515が突起521に対して
段階的に係合するようにしてアンカー部材502に取付
けることで、着脱可能に保持されるようにしている。
【0045】図13に示す着脱式藻場増殖礁B6は、略
中央部に取付部たる貫通孔615を設けた板状部611
の底面側の周囲に鍔部612を設けた育成部材601
と、上面の略中央部に塩化ビニル製パイプ状の突起62
2を設けるとともに側面602aにロープ624を掛止
し得る金具623を設けたアンカー部材602とから構
成したものである。これら突起622、ロープ624及
び金具623は保持部621を構成するものである。そ
して、育成部材601をアンカー部材602に載置し、
アンカー部材602の対向する側面602a同士に掛け
渡したロープ624をそれぞれ前記突起622の周囲に
設けた孔622aに通して、育成部材601を着脱可能
に保持するようにしている。ここで、突起622として
塩化ビニル製のものを使用することで、錆びずに長期に
亘って使用できるようにしている。
【0046】図14に示す着脱式藻場増殖礁B7は、複
数(図示例では4つ)のブロック状の育成部材701
と、上面側にこれら育成部材701を挿入し得る保持部
たる深い凹部721を形成したアンカー部材702とか
ら構成したものである。このようなものでは、育成部材
701の側面701aとアンカー部材702の凹部72
1の内側面721aとが面接触するため、育成部材70
1を凹部721に挿入するだけでそこからは抜けにくい
ものとすることができ、育成部材701全体を取付部と
して機能させることができる。また、育成部材701の
表面にはフック716を設けて、着脱の便宜を図ってい
る。
【0047】以上に述べた図9〜図14に示す着脱式藻
場増殖礁B2、B3、B4、B5、B6、B7は、いず
れも育成部材とアンカー部材との着脱方法を向上するも
のであって、アラメ等の海藻類を育成する機能はいずれ
も前記実施例の着脱式藻場増殖礁B1と同等である。ま
た、該着脱方法は、これら図示例に限られず、様々な方
法が可能である。
【0048】また、海中Qに育成ゾーンを設定する方法
には、図8に示したものの他に、以下に述べるようなも
のも挙げられる。
【0049】すなわち、図15に示す育成部材801
は、一辺が20cm程度の平面視略正方形状をなし5c
m程度の厚みを有する板状のコンクリート製のもので、
その重量は約2.5Kgである。しかして、表面811
の略中央部に厚み方向に貫通する取付部たる貫通孔81
5を形成するとともに、その表面811に前記実施例と
同様の育成部814を構成する凹凸形状を形成してい
る。さらに、この育成部材801をロープ808を介し
て吊すことができるようにするために、表面811の対
向する辺同士に亘って前記貫通孔815を通過するよう
に略十文字状をなし、該ロープ808を添接させる添接
路816を形成している。なお、前記凹凸形状は、この
添接路816を避けて形成したものである。また、この
育成部材801の裏面812は平坦に形成してある。し
かして、育成ゾーンX8をアラメCが自生している海域
又はその近傍に設定し、図17に示すように、その位置
に海面Rに浮かべた筏807からロープ808を介して
育成部材801を海中Qに吊り下げる。その際、一対の
育成部材801を相互に裏面812同士を合わせた状態
で厚み方向が水深方向と略直交するように縦向きの姿勢
にし、一対のロープ808をそれぞれ前記添接路816
に添接させたうえで、貫通孔815に挿通した図示しな
い結束バンド等の結束具によって両ロープ808を拘束
し、育成部材801が脱落しないようにしている。な
お、このロープ808には、上記と同様に裏面812同
士を合わせた一対の育成部材801を上下に複数組取り
付けており、筏807にはこの育成部材801を合計約
2000個吊り下げられるようにしている。このように
して、自生のアラメCから放出され潮流に乗った胞子を
育成部814で受け止めて付着させて成育させる。そし
て、育成部材801を海中Qに吊してから一定期間経過
した後、この育成部材801を引き上げ、アラメCの活
着及び成育を確認してから、育成部材801を造成ゾー
ンY8へと移設する。その際のアラメCの成育度合は、
成育したアラメCが潮流から受ける抵抗力に抗し切れず
に育成部材801から抜けてしまわない程度の大きさ、
例えば10〜30cm程度を目安にする。また、十分に
成育していないアラメCは柔らかいうえに、ウニ等の食
害動物が嫌う独特の渋味成分であるフロロタンニンを分
泌できないため、海底Pに移設すれば簡単に食害を受け
てしまうが、上述の大きさまで成育すれば自己防衛機能
を発揮することができるため、そのような恐れを回避す
ることができる。なお、アラメCの活着が認められない
場合には、図18に示すように、予めアラメCの胞子を
付着させて海中Qで数cm程度の大きさの幼芽となるま
で初期育成を終えた種糸たるクレモナ糸813を育成部
材801に巻き付けて、育成ゾーンX8においてアラメ
Cを成育させてから造成ゾーンY8への移設を行っても
よいし、当初から育成部材801にクレモナ糸813を
巻き付けておいた状態でアラメCの育成を行ってもよ
い。なお、クレモナ糸813を巻くのは、アラメCの葉
長が10cm未満の状態で行う。
【0050】このような方法において、筏807に育成
部材801を吊り下げる際には、アラメCの成育に適し
た日光量や水温となるように、その吊り下げる深さを適
宜調節することができるうえに、常に新鮮な海水を与え
ることができる。
【0051】しかして、造成ゾーンY8においては、ア
ラメCを活着させた育成部材801を、それと共に藻場
増殖礁B8を構成するアンカー部材802に取り付け
る。このアンカー部材802は、一辺が2.2m程度の
略正方形の平面視形状を有し、高さ約1mのコンクリー
ト製ブロックからなる重量約9tのアンカーとしての機
能を具備するものである。このアンカー部材802は、
前記実施例等と同様に、カキ殻を骨材として含有するも
のであるが、このようなものを含有しない一般のコンク
リートブロックを用いてもよい。そして、その表面に、
育成部材801の貫通孔815に挿通し得る保持部たる
金属製の突起821を複数突出させている。また、同じ
く表面の略中央部には、このアンカー部材802を沈設
又は引き上げる際に利用されるフック822を取り付け
ている。しかして、このアンカー部材802の突起82
1を育成部材801の貫通孔815に挿入するようにし
て、藻場増殖礁B8を形成する。その後の取り扱いにつ
いては、上記実施例等と同様である。
【0052】その他にも、アンカー部材のコンクリート
組成中には、カキ殻以外の貝殻や魚の骨、甲殻類の殻等
の海産物の廃材、フライアッシュ、珪藻土、スラグ、ベ
ンガラ等を使用することもできる。また、育成部材のコ
ンクリート組成として、強度さえ十分なものであれば、
アンカー部材と同様に廃材等を含有させてもよい。さら
に、本発明は海域に限らず湖等の淡水域でも適用できる
ものである。また、クレモナ糸を使用しない場合には、
目的とする藻類が成育している地点に育成部材を配置し
て、自然に着生させる方法を採用してもよい。また、育
成ゾーンを水底に設定する場合には、育成部材をその位
置に保持する手段はアンカー部材を利用する方法に限ら
れることもなく、適当なアンカー機能を有するものがあ
ればそのものに取付けるようにしてもよい。その他、各
部の具体的構成についても、上記実施例に限られるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が
可能である。
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0054】すなわち、本発明に係る育成部材は、育成
部において藻類を適切に育成することができ、また、取
付部においてアンカー機能を具備する物に着脱可能に取
付けて水中或いは特に水底で安定的に保持できるもので
ある。その上、育成部材自らはアンカー機能を有しない
比較的軽量のものであるので、移送するのが簡単で、し
かもコストや時間を掛けることなく藻場を造成すること
ができる。
【0055】そして、表面に凹凸形状を有する転写元物
質の形状を転写し得る型枠を、熱可塑性材料により作製
し、その型枠にコンクリート材料を打設することにより
育成部材の表面に転写元物質の表面形状に対応した凹凸
形状を有するよう育成部を形成しているので、育成部
の表面積大きくして、藻類が根を張り易い増殖に適し
たものとすることができる。その上、このような製法に
よることで、このような形状の育成部を備えた育成部材
非常に容易に作製することができ、さらにはこの型枠
を用いて同一の育成部材を多数作製することもできる。
【0056】また、本発明の藻場増殖礁は、上記のよう
な藻類の育成機能を具備する育成部材を備えるととも
に、育成部材を着脱可能に保持し水底に沈設されるアン
カー機能を具備するアンカー部材とから構成している。
すなわち、藻場を造成するために必要な藻類の育成機能
と重しとしてのアンカー機能とをそれぞれ分離した構成
としているので、アンカー部材は水底に沈設したままに
しても、重量の軽い育成部材だけを移動することで極め
て低コストで藻場を造成することが可能である。
【0057】このような着脱式藻場増殖礁として、アン
カー部材をその組成中に廃材等を含有するコンクリート
製ブロックとすると、廃物利用や環境問題に大きく寄与
することができる。特に、廃材としてカキ殻に代表され
る海産物の廃材を利用する場合には、漁業地域で問題化
している廃材の処分問題を解決する一助とすることがで
きる。また、アンカー部材は、主として重しとしての機
能が必要なものであるので、これら廃材を含有するもの
であっても、その機能を十分に発揮することができるも
のである。
【0058】以上のような着脱式藻場増殖礁を取り扱う
方法として、本発明は、藻類の育成に適した育成ゾーン
において藻類を育成し、その後、藻場を造成すべき造成
ゾーンにおいて、藻場を造成するようにしている。その
際、育成ゾーンでは育成部材において藻類を十分成育さ
せるようにしているので、藻類の育成を極めて効率的に
集中管理することが可能である。さらに、成育した藻類
が活着した育成部材を造成ゾーンに移設して、造成ゾー
ンに予め沈設しておいたアンカー部材に取付けて前記の
ような藻場増殖礁を形成するようにしているので、その
費用や時間、手間は極めて少ないもので済み、造成ゾー
ンに藻場を簡単に造成することができる。このような方
法によれば、砂地や磯焼け地域など藻場が成育しにくい
場所にも、計画的に漁場を形成できる。また、藻場増殖
礁のメンテナンスの際にも、育成部材だけを取り替える
ことも簡単であり、常に安定的に藻場増殖礁を維持する
ことができる。
【0059】特に、育成ゾーンを水底に設定する場合に
は、育成ゾーンにもアンカー部材等重しとなる部材を設
置するなどして育成部材を取付け、安定的に藻類を育成
することができる。一方、育成ゾーンを水中に設定する
場合には、日光や水温等の藻類の成育に必要な条件を容
易に調節することができるだけでなく、水底に棲息する
食害動物から藻類を有効に保護することもできる。
【0060】この場合は、特に、育成部材を筏等の浮遊
物に吊り下げて育成ゾーンを水中に設定すれば、陸上で
藻類を育成する場合と比較して、広い面積の場所に大き
な水槽を設置してその水槽の水を清浄に保つために循環
させたり取り替えたりする必要もなく、より自然な環境
で、水温や日射量に応じた水深に育成部材の設定すると
ともに水底に棲息する植食生物等の食害動物から保護す
るなど、藻類の育成を容易且つ有効に集中管理すること
が可能である。
【0061】さらにこのような場合において、育成部材
を縦向きの姿勢でその厚み方向が水深方向と略直交する
ように筏等から吊り下げるようにすれば、より多数の育
成部材を同時に吊し、また潮流に流されてくる藻類の胞
子を受け止めて着生しやすくすることができる。特にこ
の方法は、板状の育成部材に適用した場合に有効であ
る。
【0062】さらに、水中の育成ゾーンで、藻類が食害
を受けない程度に自己防衛することができ、且つ潮流に
よって流されない程度に育成部材に根付いた状態を維持
できる大きさまで育成した後、育成部材を水底に設定し
た造成ゾーンに移設するようにしている場合には、育成
部材をアンカー部材に取り付けた藻場増殖礁において藻
類が十分に成育する前に食害動物に食べられたり潮流で
流されてしまうなどの問題を回避して、適切で有用な藻
場増殖礁を形成することが可能である。
【0063】また、育成ゾーンを目的とする藻類の天然
或いは人工の藻場の近傍に設定すれば、より低コストで
育成部材に藻類を着生させることができる。
【0064】一方、予め種糸に藻類の胞子を付着させて
初期培養し水中で数cm程度の大きさまで育成し、育成
部材をその種糸を巻いた状態で育成ゾーンに配置するよ
うにしている場合には、目的とする藻類を確実且つ選択
的に育成することが可能となり、造成ゾーンにおいて藻
類が磯焼けしたり枯死した育成部材の極めて容易なメン
テナンスも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の藻場増殖礁の一実施例を示す斜視図。
【図2】図1に対応する分解斜視図。
【図3】同実施例の育成部材の製造方法を模式的に説明
する工程図。
【図4】同工程図。
【図5】同実施例のアンカー部材を示す断面図。
【図6】本実施例の藻場増殖礁の取り扱い方法を説明す
る模式図。
【図7】同模式図。
【図8】本発明の藻場増殖礁のその他の取り扱い方法を
説明する模式図。
【図9】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図10】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図11】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図12】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図13】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図14】本発明のその他の藻場増殖礁を示す斜視図。
【図15】本発明のさらにその他の育成部材を示す斜視
図。
【図16】図15の育成部材を適用した藻場増殖礁を示
す斜視図。
【図17】同育成部材の取り扱い方法を示す模式図。
【図18】同育成部材の取り扱い方法の他の例を示す斜
視図。
【符号の説明】
B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8…着
脱式藻場増殖礁 C…藻類(アラメ) P…水底(海底) Q…水中(海中) X、X2、X8…育成ゾーン Y、Y8…造成ゾーン 1、201、301、401、501、601、70
1、801…育成部材 2、202、302、402、502、602、70
2、802…アンカー部材 3…転写元物質(砂利) 4…熱可塑性材料 14、214、314、414、514、614、71
4、814…育成部 15、215、315、415、515、615、71
5、815…取付部 42…型枠 61…カキ殻
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕明 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住友大阪セメント株式会社 セメント・ コンクリート研究所内 (72)発明者 小林 哲夫 千葉県船橋市豊富町585 住友大阪セメ ント株式会社 関東技術センター内 (56)参考文献 特開 平10−33083(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 33/00 A01K 61/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】藻類を育成し藻場を造成するためのもので
    あって、 前記藻類を育成する育成部と、アンカー機能を具備する
    物に着脱可能に取付け得る取付部とを具備するととも
    、自らはアンカー機能を有さず、少なくとも前記育成
    部を、表面に凹凸形状を有する転写元物質の表面側に常
    温では硬化して弾性変形可能な型枠となる熱可塑性材料
    を加熱溶融した状態で接触させ、該熱可塑性材料が硬化
    して形成された型枠にコンクリート、モルタル、又はセ
    メントペーストを打設して硬化させることによって前記
    転写元物質に対応した表面形状を有するように作製した
    ものであることを特徴とする育成部材。
  2. 【請求項2】請求項1記載の育成部材を備えた藻場増殖
    礁であって、該育成部材と、育成部材を着脱可能に保持
    し藻場を造成すべき所定位置に沈設されるアンカー部材
    とから構成していることを特徴とする着脱式藻場増殖
    礁。
  3. 【請求項3】前記アンカー部材が、カキ殻等の貝殻、魚
    の骨、甲殻類の殻、フライアッシュ、珪藻土、スラグ、
    ベンガラ等のうち少なくとも一つを組成中に含有するコ
    ンクリート製ブロックであることを特徴とする請求項2
    記載の着脱式藻場増殖礁。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の着脱式藻場増殖礁の
    取り扱い方法であって、藻類の育成に適した場所として
    水底に設定した育成ゾーンにおいて前記育成部材で藻類
    を育成し、前記藻類が成育した後、育成部材を、育成ゾ
    ーンから藻場を造成すべき場所として設定した造成ゾー
    ンに移設するとともに前記アンカー部材に取付けて、該
    造成ゾーンにおいて藻場を造成するようにしていること
    を特徴とする着脱式藻場増殖礁の取り扱い方法。
  5. 【請求項5】請求項2又は3記載の着脱式藻場増殖礁の
    取り扱い方法であって、藻類の育成に適した場所として
    水中に設定した育成ゾーンに前記育成部材を保持して藻
    類を育成し、前記藻類が成育した後、育成部材を、育成
    ゾーンから藻場を造成すべき場所として設定した造成ゾ
    ーンに移設するとともに前記アンカー部材に取付けて、
    該造成ゾーンにおいて藻場を造成するようにしているこ
    とを特徴とする着脱式藻場増殖礁の取り扱い方法。
  6. 【請求項6】水面に浮かべた筏等の浮遊物に育成部材を
    吊り下げることによっ て、育成ゾーンを水中に設定して
    いることを特徴とする請求項5記載の着脱式藻場増殖礁
    の取り扱い方法。
  7. 【請求項7】育成部材を、その厚み方向を水深方向と略
    直交させて縦向きの姿勢で吊り下げるようにしているこ
    とを特徴とする請求項6記載の着脱式藻場増殖礁の取り
    扱い方法。
  8. 【請求項8】前記育成ゾーンにおいて、藻類を、水底に
    棲息する植食生物等の食害動物に対する自己防衛能力を
    発揮でき、且つ潮流から受ける抵抗力に抗して育成部材
    に根付いた状態を維持できる大きさまで育成し、その
    後、水底に設定した造成ゾーンに移設するようにしてい
    ることを特徴とする請求項6又は7記載の着脱式藻場増
    殖礁の取り扱い方法。
  9. 【請求項9】育成ゾーンを目的とする藻類が生育してい
    る水域の近傍に設定し、その位置に育成部材を吊り下げ
    るようにしていることを特徴とする請求項4、5、6、
    7又は8記載の着脱式藻場増殖礁の取り扱い方法。
  10. 【請求項10】前記育成部材を、藻類の胞子を付着させ
    て初期培養するとともにその藻類を水中で数cm程度の
    大きさまでの幼芽の状態にした種糸を巻いた状態で、育
    成ゾーンに配置するようにしていることを特徴とする請
    求項4、5、6、7又は8記載の着脱式藻場増殖礁の取
    り扱い方法。
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