JP2754314B2 - 造礁サンゴの破片を海中に垂下する事による、サンゴの増殖法と移植法 - Google Patents
造礁サンゴの破片を海中に垂下する事による、サンゴの増殖法と移植法Info
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Description
物の生活にとって重要な役割を担っている美しい造礁サ
ンゴは、オニヒトデの食害により、また大規模な公共工
事や農地改良工事などにより発生する赤土が、大量に海
へ流入する場所において広い範囲で死滅している。美し
いサンゴ礁のサンゴが、いったん死滅してしまうと、元
のような景観に回復するのに、10年ぐらいの年月が必
要である。10年以上たっても、サンゴ礁自体の力では
回復がほんの僅かという場所も多い。本発明は、死滅し
たサンゴ礁の自力での回復を手助けし、回復を促進する
事を目的とする。熱帯、亜熱帯に生活する海洋生物は、
多くの種類がサンゴ礁を産卵場として利用したり、隠れ
場所として利用するなど、サンゴ礁と密接に結びついて
生活している。それらの中には漁業上の重要な種も多
い。死滅したサンゴ礁の復元を速やかに計る事ができれ
ば、それらの水産生物種の個体群の維持、または増産を
計れるであろう。また、サンゴ礁は、その特異で美しい
景観と、そこに生活するカラフルな熱帯魚により観光資
源としての優れた資質を備えている。その魅力に引き付
けられて多数の観光客が、サンゴ礁海域を訪れている。
サンゴの死滅は観光資源としてのサンゴ礁の価値をほと
んど無にしてしまう。本発明により死滅したサンゴ礁の
回復を速やかにする事が可能なので、サンゴ礁の持つ観
光資源としての失われた価値を復活でき、観光産業の振
興に貢献する事ができる。サンゴは過去においてインテ
リア品、みやげ物として販売されていた。しかし現在
は、サンゴ礁が大規模に死滅している状況なので、サン
ゴ礁海域の環境保護をはかる目的により、サンゴの商品
としての採取、販売は、国内はもちろん、ワシントン条
約により国際的にも強く規制されている。本発明は、サ
ンゴの大量増殖を可能とするとともに、この増殖したサ
ンゴの採取により、環境を破壊する事がないように設計
してあるので、増殖したサンゴを販売商品とする事がで
きる。また、本発明は、サンゴを増殖する過程におい
て、増殖場所のサンゴが成長するに従い、海底を離れた
海中空間に多量にサンゴが出現するようになり、これら
のサンゴが、サンゴ礁の役割を担うようになる。これを
人工漁礁として利用し、水産生物の資源の維持、または
増産を計る事が可能である。
含む破片を採取し、この小骨格を直接海底の岩盤や岩塊
などの自然の基体上に、固定部材を用いて移植する。あ
るいは、サンゴ破片の固定が容易になるような構造の、
コンクリートなどで造った人工基体を海底に設置し、固
定部材を用いてそれらの上に固定して移植する方法であ
る。サンゴ小骨格の、岩盤や岩塊などの自然の基体への
固定は、基体に移植するサンゴ小骨格の数だけの釘や杭
を打ち込み、1個、1個、針金などによりそれらに固定
する事によって行う。また基体への固定を、針金などに
代えて水中ボンドで行う方法もある。人工基体の場合
は、釘や杭を海底での作業により打ち込まなくてもよい
というメリットはあるが、小さなサンゴ小骨格の固定作
業は、自然の基体の場合と同じように1個、1個であ
り、作業効率がそれほど良くなるものでもない。このよ
うに従来の技術による移植は、作業がサンゴ小骨格の採
取から固定まですべて海中での作業である。陸上と異な
り波浪や流れの影響を受ける海中では、このような細か
い作業は陸上に比べて困難であり効率もかなり落ちる。
天候によっては、作業自体が不可能な場合も出てくる。
もし、現在の方法で、サンゴの移植を1Km 2 、2Km
2 という広い範囲に行おうとするとものすごい労力と時
間、そして莫大な費用が必要であろう。海中作業を行う
潜水士や、使用する船舶にかかる金額が大きいからであ
る。また、移植にサンゴ一群体をそのまま全部使用せ
ず、細かく砕いて小骨格として使用しているのは、サン
ゴの採取に伴う環境破壊に配慮しているためである。小
骨格による移植であっても広い範囲へ移植するとなる
と、移植に使用するサンゴ小骨格の量も多くなり、環境
破壊が問題となるからである。移植用のサンゴの採取
を、自然のサンゴに頼っているため、採取による自然破
壊を少なくするためにしかたなく、小さなサンゴ小骨格
を移植に用いている現在の移植法では、移植した場所が
美しいサンゴ群落となるのに要する時間として3年とい
う年月を必要とします。そして、移植の効果が出てくる
までに、長い年月が必要なだけでなく、その間における
オニヒトデの出現状況によって、移植したサンゴの生存
率が決定されてしまいます。この期間、オニヒトデが出
現しなければ移植した場所は美しい景観になるであろ
う。しかし、オニヒトデが出現した場合は、移植したサ
ンゴの大部分が食害にあう可能性が大きく、移植した場
所の景観はみじめなものになるであろう。そして、その
3年という期間中のオニヒトデの出現具合を予測する事
は不可能なのです。現に、移植場所の生存率は現在のと
ころ予測できず、移植場所の利用計画が立てられた事も
ありません。移植の効果を現在の移植法では予測できな
いからなのです。この事は、移植サンゴを漁業的にまた
は、観光的に利用しようとした場合に利用計画が立てれ
ない事を示しています。以上のように、作業効率の悪
さ、コスト、オニヒトデの食害による移植後のサンゴの
生存率の予測が不可能な事、環境の破壊を伴う事などに
より、サンゴの移植は、現在のところ官庁が調査研究と
して行っている段階であり、実用化されていません。
ての移植作業を潜水によって行っているために作業効率
が悪い。作業効率が悪いために、どうしても作業に費や
す時間が長くなる。さらに、潜水作業は、人件費、使用
機器などの点で陸上の作業よりもコストがどうしても多
く掛かる。移植作業のすべてを潜水により行う現在の方
法では、期間、コストの両面で大きな負担を伴うのであ
る。この問題を解決するためには、サンゴ小骨格の採取
から移植までの作業のうち、できるだけ潜水によらずに
作業を行える部分を増やせば良い。これは、サンゴの増
殖を筏などよりの垂下により行う事で実現できる。垂下
して大きく成長させたサンゴを筏に引き上げて、サンゴ
小骨格を採取する事により解決できる。採取作業が、潜
水作業ではなく筏上で行えるのです。さらに、現在の移
植法は、移植用のサンゴ小骨格をすべて、自然からの採
取に頼っている。よって移植に用いるサンゴ小骨格の採
取に伴い、環境の破壊を伴っているのが現状である。こ
の事は、移植によりサンゴを増やすという目的と相反し
ている。大規模な移植をする場合には、この採取による
環境破壊が、問題となる可能性がある。環境破壊を伴わ
ずにサンゴ小骨格を採取できるようにするためには、初
回は自然のサンゴを母株としてサンゴ小骨格を採取し、
その小骨格を大きく成長させて、その成長したサンゴを
母株として、次回よりの増殖用のサンゴ小骨格を採取す
る。このように完全養殖のサイクルをつくり、そのサイ
クルより、同様に移植用として使用する大きく成長した
サンゴを取り出すシステムをつくる事が必要である(図
6)。このサイクルを作りあげる事により環境破壊を伴
わない、サンゴの移植が可能になるのである。また、現
在の移植法は、折り取ったサンゴ小骨格を海底に固定す
るために移植から大きく成長するまでの期間ずっと、オ
ニヒトデの食害を受ける可能性を持つている。移植が成
功するかしないかは、移植海域にオニヒトデが出現する
のかしないのか、そのオニヒトデが食害するかしないか
という偶然に左右される。この問題は、サンゴ小骨格を
ある期間、オニヒトデの食害に合わない場所で増殖、成
長させて、十分大きく成長した後に移植を行うという方
法を取る事である程度の解決を計れる。この増殖し成長
させた大きなサンゴを、移植に用いる事により短期間に
移植場所を、美しいサンゴ礁にする事ができる。また、
移植後のオニヒトデ対策の費用は、サンゴを観光などに
利用しながら行う。そうすれば収入を得ながらなのでオ
ニヒトデ対策の実施が可能であろう。また、現在の移植
法は、サンゴを販売商品とする事を全く考えていない。
しかし、サンゴを経済的に利用する事によってこそ、企
業的なサンゴの増殖事業、移植事業ができるのであろ
う。サンゴを経済的に利用できる方法を確立する事も大
切だと考える。
を大きく増殖し成長させる段階、それを移植する段階と
いう区別がなく、サンゴ小骨格の海底への固定は、サン
ゴを増殖し成長させるものであり移植でもある。本発明
は、サンゴの小骨格を用いた増殖段階を、サンゴの完全
養殖と考え、ひとつの閉じたサイクルとし、そのサイク
ルで増殖し大きく成長させたサンゴを用いて移植を行う
事を特徴とする。サンゴ小骨格から大きく成長させたサ
ンゴを、次回のサンゴ小骨格の採取用の母株として使用
するとともに、母株としなかった残りのサンゴを移植用
として利用するのである。(図6)増殖は、海面上の筏
などで行い、これらの筏などよりサンゴ小骨格をつり下
げて成長させる垂下法による。増殖サイクルの始まりの
サンゴ小骨格は、自然のサンゴを母株とし、潜水作業に
よって採取しなければならないが、その最初のサンゴ小
骨格が、成長した後は、その大きく成長したサンゴを、
次回よりの増殖用のサンゴ小骨格の採取用の母株にす
る。これで増殖サイクルの出来上がりである。移植用の
サンゴは、増殖サイクルにより垂下して増殖したサンゴ
のうち、サンゴ小骨格の採取用の母株として使用しなか
った残りのサンゴを使用する。また、サンゴ小骨格を垂
下して成長させる増殖は、移植や販売を考慮に入れた形
状の付着体を用いて行い、移植作業の効率化や販売商品
としての付加価値を高める。以下、本発明による増殖法
を記述していく。サンゴは小さなサンゴ虫が、多数集ま
って生活する群体性の生物である。それらのサンゴ虫
は、莢肉部によってお互いに連結しており、サンゴ虫間
の情報のやり取り、栄養物のやり取りを莢肉部を通して
行っている。サンゴはサンゴ虫の体分裂による無性生殖
と、卵と精子との受精による有性生殖とのふたつの方法
によって増えることが確認されている。自然界での無性
生殖は、通常、台風などによりサンゴが破壊された場合
に起こる。元の群体より、折れ落ちたサンゴの小骨格
が、落ちた場所で成長し、成長により岩などに付着して
大きな群体となる増え方である。本発明は、この無性生
殖によるサンゴの増殖を基礎として行う。初回のサンゴ
の増殖は、自然のサンゴ群体より莢肉部を含むサンゴ小
骨格を多数折り取って採取する(図2)事から始める。
この、多数採取したサンゴ小骨格を適当な形状の付着体
に固定し(図1)海面上の筏などより垂下して成長させ
る。垂下したサンゴは、オニヒトデの食害を防ぐため
に、海底に直接触れないように注意する。次回よりのサ
ンゴ小骨格の採取は、この増殖して成長したサンゴより
行う。作業は、成長したサンゴを付着体ごと筏上に引き
上げて行う。潜水作業によらずにサンゴ小骨格の採取が
可能となるだけでなく、自然のサンゴを使用しないので
自然破壊を伴うこともない。初回のサンゴ小骨格の採取
は、母株とする自然のサンゴ群体よりペンチなどの工具
を使用して折り取るか、または素手で折り取る。折り取
るサンゴ小骨格の大きさは、5cm以上あることがその
後の成長や生存にとって望ましい。折り取る時は母株の
サンゴや、小骨格のサンゴのサンゴ虫などに余分な傷な
どを与えないように注意する。採取した増殖用のサンゴ
小骨格は、垂下して成長させる。その時、サンゴ小骨格
は、サンゴ虫が無性的に分裂、成長しサンゴ小骨格が接
している付着体の金属やプラスチック、ガラスその他ほ
とんどの物質に石灰質の骨格を付着させて成長する。そ
して2〜3ケ月もすれば、それらの物と一体化する。サ
ンゴ小骨格は、このように触れている物に固着する性質
があるので、この固着させる物の形を、付着体として任
意に設定すれば移植作業を効率よく行う事が可能となる
だけでなく、増殖用の小骨格の採取も容易になり、また
サンゴの販売商品としての付加価値を高める事もでき
る。本発明においては、サンゴ小骨格の採取用に使用す
るサンゴは、筏などから垂下した付着体上で大きく成長
させる。成長させたサンゴは、付着体ごと筏上に引き上
げて次回よりの増殖用の小骨格を採取し、それらの固定
も筏上で行う。付着体としてロープを使用する場合、太
さは取り扱いの容易さから直径6mmから12mmぐら
いが適当なようである。筏上での固定作業中、サンゴ小
骨格は、海水を満たしてエアーレーションを施したタン
クに入れておく。タンク内にてサンゴ小骨格が重なり合
って傷つかないように、入れる密度には注意する。付着
体へのサンゴ小骨格の固定は(図1)ビニタイや針金な
どを用いて行う。小骨格は、およそ30cm〜40cm
の間隔で固定するのが適当なようである。固定は、3〜
4ケ月ぐらいは、波などによって落ちないようにしっか
りと固定する必要がある。付着体として用いるロープの
長さは、サンゴ小骨格を垂下する場所の水深などを考慮
にいれて適当な長さに設定する。付着体へ固定したサン
ゴ小骨格は、付着体ごと筏などより垂下して成長をさせ
る。垂下したサンゴ小骨格は、オニヒトデの食害を受け
ないようにする必要からサンゴ小骨格自体が、直接に海
底に触れないようにする。オニヒトデは、海底を這って
の移動しかできないので海底より離して垂下してあるサ
ンゴを食べることはできないからである。サンゴ小骨格
が、次回よりの増殖用サンゴ小骨格の採取用の母株や、
移植用のサンゴに適した大きさになるまで垂下して成長
させる。垂下して十分に成長したサンゴを、次回よりの
増殖用サンゴ小骨格の採取用の母株とした場合、サンゴ
小骨格の採取は、筏上に成長させたサンゴを引き上げて
行えば良く、潜水作業を行う事なくサンゴ小骨格の採取
ができる。また、このシステムにする事により初回だけ
は、増殖用のサンゴ小骨格の採取に自然破壊を伴うもの
の、その後は自然を破壊する事なく、垂下して成長させ
たサンゴより増殖用のサンゴ小骨格の採取を行う事がで
きる。また、垂下して大きく成長させたサンゴを移植に
使用すれば、移植場所は小さなサンゴ小骨格からの移植
よりも非常に短期間に美しい景観になり観光用として早
く使用でき、サンゴ礁として他生物に対する働きも早く
行える。以上が本発明による増殖法である。次に、本発
明による移植法を記述する。本発明による移植は、サン
ゴ小骨格を付着体に固定した後、時間をかけて十分に成
長させ、その成長したサンゴを移植する際に、付着体を
利用して効率よく移植作業を行う事を特徴とする。付着
体としてロープを用いる場合の移植法は、まず、移植を
行いたい海底の岩盤などの基体へ杭を打ち込む事から始
める。杭は基体より適当な長さ頭を出して打ち込んでお
き、付着体を固定できるようにしておく。杭を打ち込む
間隔は移植に用いる付着体のロープの長さ、垂下して増
殖、成長させたサンゴの付着している間隔によって決定
する。最低ロープの両端と中間の3ケ所で固定できれば
よい。付着体用のロープの固定は、移植場所の基体が岩
盤であればサンゴが付着しやすいように基体に触れた状
態にしておき、できれば基体上で動かないように十分な
固定を行う。(図4) サンゴ移植のみ固定作業が、付着
体用のロープを杭に結びつけるだけで行えるので簡単で
効率良く行える。3〜4ケ月もすると移植したサンゴ
は、基体に石灰質を分泌し、自身で付着する。砂地へ移
植を行う場合、砂地から杭頭を20cmぐらい出して打
ち、海底に移植サンゴがかるく触れた状態でその杭に付
着体用のロープを固定する。移植サンゴが成長するに伴
い、海底への接地面が増えて安定した状態になる。砂地
への移植の完了である。移植用のサンゴが大量に必要な
場合、移植を行おうとする場所の近くに筏を設置し、そ
こで移植用のサンゴを、垂下増殖すれば移植時には、筏
をサンゴごと船舶により移植場所まで牽引して移動する
ことで、簡単に大量のサンゴの移動ができるので、その
後のサンゴの移植をも効率よく行う事ができる。
を行うことにより、次回よりのサンゴ小骨格の採取、付
着体への固定という作業が筏上で行える。よってサン ゴ
を増殖するための作業効率を大きく向上する事ができ
る。 2.潜水作業が減った分、経費の削減が可能である。 3.初回のサンゴ小骨格の採取は、自然のサンゴを母株
として行わなければならないが、これを筏に垂下して成
長させる事により次回よりのサンゴ小骨格の母株とする
ので、次回より自然破壊を伴う事なく、サンゴ小骨格の
採取を行う事が可能となる。このサンゴ小骨格を成長さ
せて移植に用いるので自然破壊を行う事なく、移植用の
サンゴの確保ができる。 4.垂下して増殖するので海底を這っての移動手段しか
持たない、オニヒトデによる食害を受ける事がない。生
存率の予測ができるので、増殖を計画的に行える。 5.垂下して十分に大きく成長したサンゴを移植に用い
るので、移植場所を短期間に観光などに利用する事が可
能である。 6.垂下して増殖したサンゴならば環境破壊を起こす事
なく、採取できるので販売商品として活用する事が可能
である。 7.付着体にロープを使用した場合、1本の付着体にて
多数の増殖用サンゴ小骨格を成長させる事が可能であ
り、この付着体を海底に固定する事によって増殖した多
数のサンゴを、一度に移植する事ができ、移植作業が効
率よく行える。(図4) 8.増殖場所は、サンゴ礁のような働きを行うので、サ
ンゴ礁生物の個体群の維持及び増産に寄与する。このた
め人工漁礁のように使用する事も可能であろう。
る。採取は潜水作業にて行う。採取するサンゴ小骨格の
大きさは約5cmとする。採取を行う種はショウガサン
ゴを使用した。(図2) B 採取した多数のサンゴ小骨格(2)を、筏上にて付
着体用のロープに固定する(図1)。付着体として使用
するロープは、長さ5m、太さは6mmとする。筏上で
はサンゴ小骨格は、エアーレーションを施したタンク内
に固定作業を行うまで入れておく。増殖用サンゴ小骨格
は、付着体への固定 が終わり次第海中へ隆ろしていく。 C 付着体用ロープへの増殖用サンゴ小骨格の固定は、
ビニタイ(3)を使用する。3ケ月間は、サンゴ小骨格
が落ちない程度にしっかりと固定する。サンゴ小骨格と
サンゴ小骨格間の固定間隔は、約30cmぐらいとす
る。水深2mまでの浅い場所は、海藻の繁茂がはげしい
ので、2mよりも深い場所にサンゴ小骨格の垂下深度が
くるようにする。付着体用のロープ上部は1mぐらい筏
への結び代として残しておく。付着体用のロープ下部に
は重りをつけ、付着体が流れなどで舞い上がらないよう
にする。(図3) D サンゴ小骨格の固定を終えた付着体用のロープは、
筏に結びつけて垂下しサンゴ小骨格を大きく成長させ
る。 E 垂下場所の環境が適切であれば、垂下してから2年
から3年後には、サンゴ小骨格は15cmから20cm
に成長する。 F 移植を行う場所には、あらかじめ杭をだいたい1m
〜1.5mの間隔で打ち込んでおく。 G その杭に成長させたサンゴ(8)を付着体用のロー
プを利用して固定する。その時、海底の基体(9)であ
る岩にサンゴが触れた状態で固定する。固定は、波浪な
どの影響でサンゴが岩にこすれて傷つかないように、し
っかりと付着体用のロープを杭(7)に結びつけて行
う。(図4) H 3ケ月もするとサンゴは、海底の基体(9)に石灰
質の骨格を付着させて自身で基体に固着するようにな
る。 I 垂下して成長させたサンゴは、このように移植用に
使用したり、次回よりの増殖用のサンゴ小骨格の採取用
に使用する。(図6)実施例−2 付着体としてエンビパイプを使用する方法 α 長さ、約15cm、直径12mmのエンビパイプ
(11)を付着体とする。エンビパイプは、垂下用のロ
ープ(10)に通しておき、ロープの先端はエンビパイ
プが、抜け落ちないように結んでおく。樹枝状のサンゴ
群体(Acropora.sp)より増殖用サンゴ小骨
格(2)を採取する。サンゴ小骨格の長さは、約5cm
としエンビパイプにビニタイ(3)で固定する。(図
7) β 付着体のエンビパイプ(11)への、サンゴ小骨格
(2)の固定作業が終わり次第、筏より垂下する。垂下
場所の環境が適切であれば、3ケ月もするとサンゴ小骨
格(2)はエンビパイプ(11)に付着を始め、2年も
すると15cmぐらいに成長する。 γ 垂下を水中の構追物より行うには、まず水中にブイ
(12)とロープ(13)を使用した構造物を設置す
る。構造物は砂袋(14)を使用して海中に設置する。
この構造物のロープの直径は、12mmの物を使用し、
ブイの直径は30cmとする。海底から構追物上面まで
の高さは約5m、底面の広がりを10mX10mとす
る。砂袋は、ブイの浮力を十分に打ち消す事ができる数
量を使用する(図9)。 δ (図9)の構造物に、サンゴ小骨格(2)を固定し
たエンビパイプ(11)を垂下してサンゴ小骨格を成長
させる。 ε 基体にあらかじめ杭(7)を打ち込んでおく。この
杭(7)にサンゴが、十分に成長して付着した付着体用
のエンビパイプ(11)を差し込む。エンビパイプ(1
1)と杭(7)との間にくさび(15)を打ち込んでエ
ンビパイプ(11)を固定する。移植の完了である。サ
ンゴはその後、成長を続け基体に自身で付着する。
かも、低コストでおこなえるのでそれを基礎として、大
きく成長させたサンゴを使用しての移植を、大規模に行
う事が可能となる。これまで、大規模なサンゴの移植
は、移植に使用するサンゴの採取が、ある意味で環境破
壊であったので行われた事がない。大規模なサンゴの移
植は、漁業的な貢献が期待できる。さらには、サンゴ小
骨格からの移植と異なり、大きく成長したサンゴを移植
に用いるので、観光施設のある海域に移植を行った場合
に短期間に景観の形成ができるので、観光資源として有
効に活用できる。増殖したサンゴは、環境破壊を伴う事
なく採取が可能なので、販売商品としての利用も可能で
ある。付着体にガラスやプラスチックを用い、デザイン
に配慮して販売に適した物にする事により、販売商品と
しての付加価値を高められるであろう。経済的に直接的
メリットが得られるので、漁師などのサンゴ養殖の起業
化が可能となろうし、企業化もできるであろう。また、
本発明による方法では、砂地への移植を行う事も可能で
あり、未利用空間の有効利用を計れるであろう。
に固定したところの正面図である。
る様子の模式図である。
下したところの斜視図である。
たところの斜視図である。
付着したところの斜視図である。
た模式図である。
を固定したところの斜視図である。
したエンビパイプ(図7)を垂下したところの斜視図で
ある。
長したところの斜視図である。
である岩に移植をしたところの斜視図である。
ビニタイ 4…付着体用のロープ 5…筏 6…
重り 7… 杭 8…成長したサンゴ 9…
基体 10…垂下用のロープ 11…エンビパイプ 12
…水中ブイ 13…構造物用のロープ 14…砂袋 15
…くさび
Claims (3)
- 【請求項1】造礁サンゴ群体より、莢肉部で覆われた骨
格部を含む破片を多数採取し、適当な形状の付着体にそ
の破片であるサンゴ小骨格(2)を固定し(図1)、海
上の筏などの構造物より垂下するか(図3)、または、
付着体に固定したサンゴ小骨格を海中に設置した構造物
より垂下して(図9)、海水環境中にて成長させて増殖
する事を特徴とするサンゴの増殖法。 - 【請求項2】請求項1に記載されたサンゴの増殖法より
増殖したサンゴ群体を付着体ごと海底の基体に固定する
事を特徴とするサンゴの移植法(図4、図11)。 - 【請求項3】請求項1に記載されたサンゴの増殖法によ
り増殖したサンゴを使用した、サンゴ製品。
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JP4947274B2 (ja) * | 2006-04-28 | 2012-06-06 | 直 上原 | 樹枝状の立体構造物による着生海洋生物の増殖法 |
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1993
- 1993-04-22 JP JP5132317A patent/JP2754314B2/ja not_active Expired - Fee Related
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