JPH06303875A - 造礁サンゴの破片を海中に垂下する事による、サンゴの 増殖法と移植法 - Google Patents

造礁サンゴの破片を海中に垂下する事による、サンゴの 増殖法と移植法

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JPH06303875A
JPH06303875A JP5132317A JP13231793A JPH06303875A JP H06303875 A JPH06303875 A JP H06303875A JP 5132317 A JP5132317 A JP 5132317A JP 13231793 A JP13231793 A JP 13231793A JP H06303875 A JPH06303875 A JP H06303875A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 過去において、オニヒトデによる食害
や、赤土の海への流入などにより死滅してしまつたサン
ゴ礁の自力での復元の手助けを行い、水産業の振興に寄
与し、さらには観光資源として、サンゴを利用できるよ
うにする。 【構成】 造礁サンゴより、莢肉部を含む破片を折
り取り、適当な付着体にその、小骨格を固定する。筏等
より小骨格を固定した付着体ごと垂下して、サンゴを生
長させて増殖する。適当な形状や材質の付着体を使用す
る事によりサンゴの大量の増殖と移植が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】過去に商品としてまで売買されて
いた、天然の造礁サンゴはオニヒトデによる食害、公共
工事や農地改良による赤土の海への流出により死滅して
しまっている。そのため、サンゴを移植して過去のよう
な美しい海中景観にするべく努力が続けられている。し
かし現在の方法は、費用の面、能率の面から見て決して
実用的なものではなく、大規模に行うには不適である。
現に大規模なサンゴの移植は行われていない。本発明
は、造礁サンゴ礁の復元をはかり、過去のような美しい
海中景観を出現させて観光事業や水産業に役立たせる事
を目的とする。
【0002】
【従来の技術】サンゴ群体から莢肉部で覆われた骨格を
含む破片を採取し、この小骨格を直接、海底の岩盤や岩
塊などの自然の基体上に固定部材を用いて移植する、あ
るいはコンクリートなどで作った人工基体上に直接、固
定部材を用いて移植し、それらの上で増殖する方法であ
る。このように従来の方法は、サンコ小骨格を直接、海
底上の基体に移植する事を前提としている。このため
に、移植に費用がかかるばかりでなく、オニヒトデの食
害や赤土のサンゴ上への堆積という問題を抱えている。
さらに、移植場所を観光などに利用するためには、長期
間を要する。オニヒトデの食害を防ぐには、移植したサ
ンゴ小骨格に網を被せる方法がとられている。網は海中
にしばらく置いておくと海草が繁茂しはじめサンゴ小骨
格の生長に必要な光が遮られてしまう。網をなお、その
ままほっておくと、サンゴは生長が悪くなり、ついには
死んでしまう。よって網を定期的に掃除しなければなら
ない。海底へのサンゴ小骨格の移植は、基体に打ち込ん
だ杭などに針金などで結びつける方法がとられている。
この方法は杭などにサンゴ小骨格を結びつける事に大き
な努力が必要で、時間もかかり、費用もかかる。もうひ
とつの、海底へのサンゴ小骨格の移植法は、基体上に水
中ボンドで固定する方法である。この方法は、前述の方
法に比べて多少効率はよいものの水中ボンドが高価で非
常に大きな費用がかかる。このように、海底の基体へ直
接サンゴ小骨格を移植する従来の方法では、サンゴ小骨
格の採集、移植そして管理まで、必然的に潜水によらな
ければならないために、能率が悪く、莫大な費用がかか
る。特に移植から、生長までに長期間を要するために、
その間の管理費用が莫大となる。赤土の影響を防ぐ特別
な手段は、今のところ取られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】サンゴの増殖法、移植
法を簡単で経済的なものとし、大規模なサンゴ移植が行
えるようにする。かつ、移植した造礁サンゴ群落の景観
を、短期間のうちに産業的に利用できるようにし、管理
費用を少なくする。
【0004】
【課題を解決するための手段】サンゴ群体から莢肉部で
覆われた骨格を含む破片を採取して、付着体に固定し筏
や水中ブイなどから垂下する。サンゴ小骨格を、海底か
ら離して垂下する事により海底を這っての移動しかでき
ないオニヒトデの食害を完全に防ぐ事ができる。垂下中
は、管理が簡単で、費用がほとんどかからない。水中へ
垂下する事は海水の流れが海底よりもより多くかかりサ
ンゴ小骨格上に赤土が堆積しにくいという効果も持って
いる。サンゴ小骨格を固定する付着体を海底への移植を
考慮した形にしておく。たとえばパイプ状の付着体を用
い、その上で十分サンゴ小骨格が生長した後、海底に金
属製の杭を打ち込み、杭にパイプ状の付着体を差し込ん
で固定する。移植作業が、手早く効率良く行える。最初
の垂下増殖に用いるサンゴ小骨格の採集は、潜水作業に
よらなければならないが、その垂下したサンゴ小骨格が
生長してきた後は、その生長したサンゴを次回よりの、
垂下用サンゴ小骨格に用いる事ができる。作業はサンゴ
の生長した垂下付着体を筏上よりロープをたぐりよせて
筏上で行えばよく、サンゴ小骨格の採集、付着体への固
定は潜水作業を行う必要がなくなる。本発明を使えば、
サンゴの増殖が簡単に行えるので大規模な増殖が可能で
ある。本発明により、大量に移植用のサンゴを確保でき
るので、波当たりの弱い海域などでは、海底への移植に
際して海上よりサンゴを付着体ごと投げいれ、その中の
一部が、海底に活着生長する事を利用する、粗放的サン
ゴ移植法を行う事が可能である。
【0005】
【作用】オニヒトデは、海底を這っての移動しかできな
いので、海底より離して水中に垂下されたサンゴをオニ
ヒトデは食べる事ができない。これまでオニヒトデの食
害から移植したサンゴを守るため網を被せている。網は
長期間ほったらかしておくと、海草が繁茂してくる。サ
ンゴは生長に光と海水中のプランクトンが必要なのだ
が、網に海草が繁茂すると光が遮られ、流れもなくなる
ためプランクトンも運ばれてこなくなり、サンゴはつい
には死んでしまう。そのため網の保守を潜水によって行
っているが、サンゴを海底より離して垂下すればオニヒ
トデ対策の必要がないので、ほとんど管理費用がかから
なくなる。垂下して付着体上で十分に生長した大きなサ
ンゴを、海底への移植に使用すれば移植場所は、短期間
でみごとな景観となり、観光に利用する事が可能であ
る。現在、天然のサンゴは、貴重なので移植用の母株と
して最小限の使用しかできなかった。そのために大きな
サンゴ骨格ではなくて、小さな骨格の使用となったので
ある。このために移植してから、美しいサンゴ群落にな
るのに長期間を必要としている。その間にサンゴがオニ
ヒトデの食害や赤土の堆積で死滅してしまう事もある。
しかし、垂下して付着体上で大きく生長したサンゴを使
用すれば、企業は短期間で移植場所を観光用に使うこと
ができ、収入を確保できる。オニヒトデ対策等の費用
は、移植場所よりの収益で賄えば良い。垂下して生長し
たサンゴを次回よりの、垂下用のサンゴ小骨格を採集す
る母株として使用できるので、これまで潜水作業によっ
て行っていた、サンゴ小骨格の採集、付着体への固定と
いった作業を海面上で行う事が可能となる。作業がだれ
でも行え、簡単なため大量に移植用のサンゴを確保でき
る。サンゴの管理が潜らずに行える事も大きな利点であ
る。筏の上から垂下用のロープをたぐるだけで、サンゴ
の生長具合や、生存の確認ができ、適宜な管理が簡単に
行える。筏は任意な場所に設置できるので、サンゴにと
って環境の良い場所、作業に都合の良い場所、台風の影
響の少ない場所等で、サンゴの垂下増殖ができる。サン
ゴが生長した後、筏ごと移植場所へ移動する事も可能で
ある。さらに、ある地域のサンゴがオニヒトデの食害で
全滅の可能性がある場合、緊急避難として、筏に垂下し
て保存しておく事も可能である。オニヒトデが、その地
域にいなくなってから後、保存してあるサンゴを移植す
れば、その地域のサンゴの種を元どうりの構成に復元で
きる。以上述べたように、サンゴの移植を企業的に行う
事が、本発明を用いれば可能である。観光資源としての
サンゴ移植を、行政や観光関連企業が、サンゴ移植を専
門業務として行う会社に委託する事は十分に考えられる
事である。現在、サンゴの保護、移植を専門業務とする
会社がないのが現状である。本発明によりサンゴの移植
が実用的となるので、サンゴ移植専門の会社の設立が可
能であり、サンゴ資源の保護、海洋環境の保護、水産振
興が図れる。
【0006】
【実施例】
(実施例−1)増殖法−長さ、約10cm、直径12m
mのエンビパイプ1を付着体とする。エンビパイプ1
は、垂下用ロープ2に通しておき、垂下用ロープ2の先
は軽く結んでおく。樹枝状のサンゴ(Acropora
sp.)の枝を長さ5cm程度に切り取り、エンビパ
イプ1の中ほどにビニタイ4で結んで固定する。(第1
図) 付着体へのサンゴの破片3の固定作業が終わり次第に筏
より垂下する。垂下深度は約3mにする。3ケ月もする
とサンゴの破片3は、エンビパイプ1上で増殖してエン
ビパイプ1との一体化が起こる。2〜3年ぐらい、その
後も垂下を行い、移植用の母株とする。移植法−海底の
基体にあらかじめ杭5を打ち込んでおく。杭5にサンゴ
が十分に生長して一体化の進んだエンビパイプ1を差し
込む。エンビパイプ1と杭5との間にくさび6を打ち込
み、エンビパイブ1を固定する。(第2図) 付着体のエンビパイプ1ごと、海底の基体に移植したサ
ンゴは、生長して基体と一体化が起こる。付着体として
使用する、パイプの長さや、大さは使用するサンゴの種
類によって決定する。材質は、海水中で5年ぐらいの使
用に耐えられる物であればなんでも良い。垂下深度も、
サンゴの種類によって適当な水深を決定する。 (実施例−2)増殖法−長さ、約3mで太さ、8mmの
ロープ7を付着体とする。付着用ロープ7の両端を30
cmほど残して、その間に30〜40cmの間隔で破片
3をビニタイ4で固定する。筏から1〜4mほどの水深
に垂下しておけば、2〜3ケ月もすれば破片3は、付着
用ロープ7上で増殖し、一体化が起こる。その後2〜3
年垂下して生長させて移植用の母株とする。(第3図) 移植法−海底にあらかじめ、適当な間隔で杭5を、なん
本か打ち込んでおく。サンゴが十分生長し一体化の進ん
だ付着用ロープ7の適当な箇所を、杭5にビニタイ4で
止める。しばらくすると、サンゴの母株は、生長し杭5
や海底と一体化する。付着体として使用する、ロープの
太さや長さは、サンゴの種類や、移植場所の海底の状況
に対応して決定する。材質は、海水中で5年ぐらいの使
用に耐えられる物であれば良い。垂下深度も、サンゴの
種類によって適当な水深を決定する。 (実施例−3)増殖法−付着体として、厚さ3mm、幅
5cm、長さ20cmのプラスチック板8を使用する。
中心付近の両脇に浅く切れ込みをいれる。この切れ込み
を利用して、サンゴの破片3をビニタイ4で固定する。
切れ込みは、破片3をビニタイ4で止めた時の滑り止め
のためのものである。付着体の上側と下側に適当な穴9
を、付着体の固定用に開けておく。(第4図) 付着体を、穴9を利用してビニタイ4で垂下用ロープに
固定する。固定が終わり次第に筏より2〜3mの水深に
垂下する。2〜3ケ月もすれば破片3は、プラスチック
板上で増殖し、一体化が起こる。その後2〜3年垂下し
て生長させて移植用の母株とする。移植法−海底に釘
で、プラスチック板8の上側の穴9と下側の穴9を利用
して打ち込んで固定する。しばらくすると、サンゴの母
株は、生長し、釘や海底の基体と一体化する。付着体
の、厚さ、幅、長さは、使用するサンゴの種類によって
決定する。材質は、海水中で5年ぐらいの使用に耐えら
れる物であれば良い。垂下深度もサンゴの種類によって
適当な水深に決定する。
【0007】
【発明の効果】造礁サンゴの増殖が大規模に、簡単にし
かも、低コストでおこなえるので、サンゴの移植を大規
模に行う事が可能になる。さらに波当たりの弱い海域な
どでは、移植を行うに際して、基体に対して特別な固定
法をとらずに行う事も可能である。大量にサンゴを垂下
増殖して、海面上より、投げいれ海底上にころがしてお
き、自然に基体と一体化させればよい、多少、移植サン
ゴの生存率は悪くなるが、量で十分に補える。移植に潜
水作業が要らなくなり費用を大幅に削減できる。魚介類
にとって大切な生活の場であるサンゴ礁の復活は、水産
業の発展に大きく寄与するものと思われる。さらには、
観光の重要な資源として利用できるだろう。現在、環境
破壊を伴うため禁止されている、造礁サンゴの採捕販売
であるが、垂下増殖したサンゴは環境破壊を起こさずに
販売商品とする事が可能なので、販売への道を開く事も
可能である。
【図面の簡単な説明】
【第1図】 エンビパイプ1に破片3を結びつけたと
ころの斜視図である
【第2図】 海底の基体にエンビパイプ1ごと増殖し
たサンゴを移植したところの斜視図である。
【第3図】 ロープ7に破片3を結びつけたところの
斜視図である。
【第4図】 プラスチック8に破片3を結びつけたと
ころの斜視図である。
【符号の説明】
1…エンビパイプ 2…垂下用ロープ 3…破片 1…ビニタイ 5…杭 6…く
さび 7…ロープ 8…プラスチック板 9…穴
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 造礁サンゴの破片を海中に垂下
する事による、サンゴの増殖法と移植法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】熱帯、亜熱帯海域において水産生
物の生活にとって重要な役割を担っている美しい造礁サ
ンゴは、オニヒトデの食害により、また大規模な公共工
事や、農地改良工事などにより発生する赤土が、大量に
海へ流入する場所において広い範囲で死滅している。美
しいサンゴ礁のサンゴが、いったん死滅してしまうと、
元のような景観に回復するのに、10年ぐらいの年月が
必要である。10年以上たっても、サンゴ礁自体の力で
は回復がほんの僅かという場所も多い。本発明は、死滅
したサンゴ礁の自力での回復を手助けし、回復を促進す
る事を目的とする。熱帯、亜熱帯に生活する海洋生物
は、多くの種類がサンゴ礁を産卵場として利用したり、
隠れ場所として利用するなど、サンゴ礁と密接に結び付
いて生活している。それらの中には漁業上の重要な種も
多い。死滅したサンゴ礁の復元を速やかに計る事ができ
れば、それらの水産生物種の個体群の維持、または増産
を計れるであろう。また、サンゴ礁は、その特異で美し
い景観と、そこに生活するカラフルな熱帯魚により観光
資源としての優れた資質を備えている。その魅力に引き
付けられて多数の観光客が、サンゴ礁海域を訪れてい
る。サンゴの死滅は観光資源としてのサンゴ礁の価値を
はとんど無にしてしまう。本発明により死滅したサンゴ
礁の回復を速やかにする事が可能なので、サンゴ礁の持
つ観光資源としての失われた価値を復活でき、観光産業
の振興に貢献する事ができる。サンゴは過去においてイ
ンテリア品、みやげ物として販売されていた。しかし現
在は、サンゴ礁が大規模に死滅している状況なので、サ
ンゴ礁海域の環境保護をはかる目的により、サンゴの商
品としての採取、販売は、国内はもちろん、ワシントン
条約等により国際的にも強く規制されている。本発明
は、サンゴの大量増殖を可能とするとともに、この増殖
されたサンゴの採取により、環境を破壊する事がないよ
うに設計してあるので、増殖したサンゴを、販売商品と
する事ができる。また、本発明は、サンゴを増殖する過
程において、増殖場所のサンゴが生長するに従い、海底
を離れた海中空間に多量にサンゴが出現するようにな
り、これらのサンゴが、サンゴ礁の役割を担うようにな
る。これを人工漁礁として利用し、水産生物種の資源の
維持、または増産を計る事が可能である。
【0002】
【従来の技術】サンゴ群体より莢肉部で覆われた骨格を
含む破片を採取し、この小骨格を直接海底の岩盤や岩塊
などの自然の基体上に、固定部材を用いて移植する。あ
るいはサンゴ破片の固定が容易になるような構造の、コ
ンクリートなどで造った人工基体を海底に設置し、固定
部材を用いてそれらの上に固定して移植する方法であ
る。サンゴ小骨格の、岩盤や岩塊などの自然の基体への
固定は、基体に移植するサンゴ小骨格の数だけの釘や杭
を打ち込み、1個、1個、針金などによりそれらに固定
する事によって行う。また基体への固定を、針金などに
代えて水中ボンドで行う方法もある。人工基体の場合
は、釘や杭を海底での作業により打ち込まなくてもよい
というメリットはあるが、小さなサンゴ小骨格の固定作
業は、自然の基体の場合と同じように1個、1個であ
り、作業効率がそれほど良くなるものでもない。このよ
うに従来の技術による移植は、作業がサンゴ小骨格の採
取から固定まですべて海中での作業である。陸上と異な
り波浪や流れの影響を受ける海中ではこのような細かい
作業は陵上に比べて、困難であり効率もかなり落ちる。
天候によっては、作業自体が不可能な場合も出てくる。
もし、現在の方法で、サンゴの移植を1Km、2Kmと
いう広い範囲に行おうとするとものすごい労力と時間、
そして莫大な費用が必要であろう。海中作業を行う潜水
士や、使用する船舶にかかる金額が大きいからである。
また、移植にサンゴ一群体そのままを使用せず、細かく
砕いて小骨格として使用しているのは、サンゴの採取に
伴う環境破壊に配慮しているためであるが、それでも広
い範囲へ移植するとなると、移植に利用するサンゴ小骨
格の量も多くなり、環境破壊が問題となるであろう。こ
のように、従来の方法は、サンゴ小骨格を直接に海底上
の基体に移植する事を前提としている。そのため、移植
直後よりサンゴ小骨格は、オニヒトデの食害に常に曝さ
れてしまう。移植用のサンゴの採取を自然のサンゴに頼
っているため、採取による自然破壊を少なくするために
しかたなく、小さなサンゴ小骨格を移植に用いている現
在の移植法では、移植場所が美しいサンゴ群落となるの
に、サンゴ小骨格が生長するための時間として最低でも
3年という年月を必要とする。移植の効果が出てくるま
でに、長い年月が必要なだけでなく、その間におけるオ
ニヒトデの出現状況によって、移植サンゴの生存率は決
定されてしまう。この期間、オニヒトデが出現しなけれ
ばサンゴは順調にそだち、移植場所は美しい景観になる
であろう。しかし、オニヒトデが出現した場合は、移植
したサンゴの大部分が食害にあう可能性が大きく、移植
場所の景観は、みじめなものになるであろう。そして、
その3年という期間中のオニヒトデの出現具合いを予測
する事は、不可能なのである。現に、移植場所の生存率
は現在のところ予測できず、移植場所の利用計画が立て
られた事もない。移植の効果が現在の移植法では、オニ
ヒトデの食害などのために期待できないからである。こ
の事は、移植サンゴを漁業的にまたは、観光的に利用し
ようとした場合、利用計画が立てれない事を示してい
る。以上のように、作業効率の悪さ、コスト、オニヒト
デの食害による移植後のサンゴの生存率の予測が不可能
な事、環境の破壊を伴う事などにより、サンゴの移植
は、現在のところ官庁が、調査研究として行っている段
階であり、実用化されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在の移植法は、すべ
ての移植作業を潜水によって行っているために作業効率
が悪い。作業効率が悪いために、どうしても作業に費や
す時間が長くなる。それに伴い費用も掛かってしまう。
さらに、潜水作業は、陸上の作業よりもコストがどうし
ても多く掛かる。移植作業のすべてを潜水により行う現
在の方法では、期間、コストの両面で大きな負担を伴う
のである。この問題を、解決するためには、サンゴ小骨
格の採取から移植までの作業の中で、できるだけ潜水に
よらずに作業を行える部分を増やせば良い。これは、サ
ンゴの増殖を筏などよりの垂下により行う事で実現でき
る。さらに、現在の移植法は、移植用のサンゴ小骨格を
すべて、自然からの採取に頼っている。よって移植に用
いるサンゴ小骨格の採取に伴い、環境の破壊を伴ってい
るのが現状である。この事は、移植によりサンゴを増や
すという目的と相反している。大規模な移植をする場合
には、この採取による環境破壊が、問題となる可能性が
ある。環境破壊を伴わずにサンゴ小骨格を採取できるよ
うにするためには、初回の自然のサンゴを母株として採
取したサンゴ小骨格を生長させて、その生長したサンゴ
を母株として、次回よりの増殖用のサンゴ小骨格を採取
して使用する、増殖サイクルをつくり、そのサイクルよ
り、同様に移植用として使用する生長したサンゴを、取
り出すシステムをつくる事が必要である。(図6)この
サイクルを作あげる事により環境破壊を伴わない、サン
ゴの移植を可能にする事ができる。また、現在の移植法
は、折り取ったサンゴ小骨格を、海底に固定するため
に、移植後の生長期間ずっと、オニヒトデの食害を受け
る可能性を持っている。またオニヒトデの食害を防ぐ対
策も取られていないので、移植が成功するか、しないか
は、移植海域にオニヒトデが出現するのか、しないの
か、そのオニヒトデの食害に合うか、合わないのかとい
う偶然に左右される。サンゴ小骨格から、生長してある
程度の大きさ、5cmの小骨格が15cmほどに生長す
るのに、サンゴの種によって異なるが、3年ぐらいの期
間が必要である。この問題は、サンゴ小骨格をある期
間、オニヒトデの食害に合わない場所で増殖、生長させ
て、十分に生長した後に移植を行うという方法を取る事
である程度の解決を計れる。この増殖した大きなサンゴ
を、移植に用いる事により短期間に移植場所を、美しい
サンゴ礁にする事ができる。期間が短いだけオニヒトデ
の食害に遭う確率を減らす事ができ、サンゴの移植の成
功確率が高まり、移植場所の観光などへの利用計画の立
案が行える。また、オニヒトデ対策も、サンゴを観光な
どに利用しながら行えば、収入を得ながらなので実施が
可能であろう。また、現在の移植法は、サンゴを販売商
品とする事を全く考えていない。しかし、経済的に利用
する事によってこそ、企業的なサンゴの増殖、移植とい
う事ができるであろう。サンゴを経済的に利用法できる
方法を確立する事も大切だと考える。
【0004】
【課題を解決するための手段】現在の移植法は、増殖の
段階、移植の段階という区別がなく、サンゴ小骨格の海
底への固定は、そのまま増殖であり移植でもある。本発
明は、サンゴの小骨格を用いた増殖段階を、完全養殖の
ような、ひとつの閉じたサイクルとし、そのサイクルで
増殖されたサンゴを用いて移植を行う事を特徴とする。
サンゴ小骨格から生長させたサンゴを、次回のサンゴ小
骨格の採取用の母株として使用するとともに、残りのサ
ンゴを同様に移植用として利用するのである。(図6)
増殖は、海面上の筏などで行い、これらの筏などよりサ
ンゴ小骨格を吊り下げて、生長させる垂下法による。増
殖サイクルの始まりのサンゴ小骨格は、自然のサンゴを
母株とし、潜水作業によって採取しなければならない
が、その最初のサンゴ小骨格が、生長した後は、その生
長したサンゴを、次回よりの増殖用のサンゴ小骨格の、
採取用の母株にする。これで増殖サイクルの出来上がり
である。移植用のサンゴは、増殖サイクルにより増殖し
たサンゴのうち、サンゴ小骨格の採取用の母株として使
用しなかった残りのサンゴを使用する。また、サンゴ小
骨格の増殖は、移植や販売を考慮に入れた形状の付着体
を用いて行い、移植作業の効率化や、販売商品としての
付加価値を高める。以下、本発明による増殖法を記述し
ていく。サンゴは、小さなサンゴ虫が、多数集まって生
活する群体性の生物である。それらのサンゴ虫は、莢肉
部によってお互いに連結しており、サンゴ虫間の情報の
やり取り、栄養物のやり取りを莢肉部を通して行ってい
る。サンゴはサンゴ虫の体分裂による無性生殖と、卵と
精子との受精による有性生殖とのふたつの方法によって
増える事が確認されている。自然界での無性生殖は、通
常、台風などによりサンゴが破壊された場合に起こる。
元の群体より、折れ落ちたサンゴの小骨格が、落ちた場
所で生長、付着して大きな群体となる増え方である。本
発明は、この無性生殖によるサンゴの増殖を基礎として
行う。初回のサンゴの増殖は、自然のサンゴ群体より莢
肉部を含むサンゴ小骨格を、多数折り取って採取する
(図2)事から始まる。この、多数採取したサンゴ小骨
格を適当な形状の付着体に固定し(図1)海面上の筏な
どより垂下して生長させる。垂下したサンゴは、オニヒ
トデの食害を防ぐために、海底に直接触れないように注
意する。次回よりのサンゴ小骨格の採取は、この増殖し
たサンゴより行う。(図6)作業は、生長したサンゴを
付着体ごと筏上に引き上げて行う。潜水作業によらずに
サンゴ小骨格の、採取が可能となるだけでなく、自然破
壊を伴う事も無い。初回のサンゴ小骨格の採取は、母株
とする適当なサンゴ群体よりペンチなどの工具を使用し
て折り取るか、または素手で折り取る。折り取るサンゴ
小骨格の大きさは、5cm以上ある事が、その後の増殖
においての生長や、生存にとって望ましい。折り取る時
は母株のサンゴや、小骨格のサンゴのサンゴ虫などに余
分な傷などを与えないように注意する。採取した増殖用
のサンゴ小骨格は、垂下して生長させる。その時、サン
ゴ小骨格は、サンゴ虫が無性的に分裂、生長しサンゴ小
骨格が接している金属やプラスチック、ガラスその他ほ
とんどの物質に石灰質の骨格を付着させて生長する。そ
して2〜3ケ月もすれば、それらの物と一体化する。サ
ンゴ小骨格は、このように、触れている物に固着する性
質があるので、この固着させる物を、付着体として任意
に設定すれば移植作業を効率よく行う事が可能となるだ
けでなく、増殖用の小骨格の採取が容易になり、またサ
ンゴの販売商品としての付加価値を高める事もできる。
本発明においては、サンゴ小骨格の採取用に使用するサ
ンゴは、筏などから垂下した付着体上で生長させる。生
長させたサンゴは、付着体ごと筏上に引き上げて次回よ
りの増殖用の小骨格を採取し、固定も筏上で行う。付着
体としてロープを使用する場合、太さは取扱の容易さか
ら直径6mmから12mmぐらいが適当なようである。
筏上での固定作業中、サンゴ小骨格は、海水を満たして
エアーレーションを施したタンクに入れておく。タンク
内にてサンゴ小骨格が、重なり合って傷つかないよう
に、入れる密度には注意をする。付着体へのサンゴ小骨
格の固定は(図1)ビニタイや針金などを用いて行う。
小骨格は、およそ30cm〜40cmの間隔で固定する
のが適当なようである。固定は、3〜4ケ月ぐらいは、
波などによって落ちないように、しっかりと固定する必
要がある。付着体として用いるロープの長さは、サンゴ
小骨格を垂下する場所の、水深などを考慮にいれて適当
な長さに設定する。付着体へ固定したサンゴ小骨格は、
付着体ごと筏などより垂下して生長をさせる。垂下した
サンゴ小骨格は、オニヒトデの食害を受けないようにす
る必要からサンゴ小骨格自体が直接に、海底に触れない
ようにする。オニヒトデは海底を這っての移動法しか持
たないので、海底より離して垂下してあるサンゴを食べ
ることはできないからである。サンゴ小骨格が、次回よ
りのサンゴ小骨格の採取用の母株や、移植用のサンゴに
適した大きさになるまで、垂下して生長させる。垂下し
て十分に生長したサンゴを、次回よりの増殖用サンゴ小
骨格の採取用の母株とする場合、サンゴ小骨格の採取
は、筏上に生長させたサンゴを、引き上げて行えば良
く、潜水作業を行う事なくサンゴ小骨格の採取ができ
る。また、このシステムにする事により、初回だけは自
然破壊を伴うものの、その後は自然を破壊する事なく、
増殖用のサンゴ小骨格の採取を行う事ができる。また垂
下して生長させたサンゴを移植に使用すれば、移植場所
はサンゴ小骨格からの移植よりも、非常に短期間に美し
い景観になり、サンゴ礁としての他生物に対する働きも
早く行える。以上が、本発明による増殖法である。以下
に、本発明による移植法を記述する。本発明による移植
は、サンゴ小骨格を付着体に固定して、時間をかけて十
分に生長させ、その生長したサンゴを移植する際、付着
体を利用して効率よく移植作業を行う事を特徴とする。
付着体としてロープを用いる場合の移植法は、まず、移
植を行いたい海底の基体へ杭を打ち込む事から始める。
杭は、基体より適当な長さ頭を出しておき、付着体を固
定できるようにしておく。杭を打ち込む間隔は、移植に
用いる付着体のロープの長さ、生長したサンゴの付着し
ている間隔によって決定する。最低、ロープの両端と中
間の3ケ所が固定できればよい。付着体用のロープの固
定は、移植場所の基体が岩盤などであれば、サンゴが付
着しやすいように基体に触れた状態にしておき、できれ
ば基体上で動かないように十分な固定を行う。3〜4ケ
月もすると移植したサンゴは、基体に石灰質を分泌し、
自身で付着する。砂地へ移植を行う場合、砂地から杭頭
を20cmぐらい出して打ち、海底に移植サンゴが、か
るく触れた状態で杭に付着体を固定する。移植サンゴが
生長するに伴い、海底への接地面が増えて安定した状態
になる。移植用のサンゴが大量に必要な場合、移植を行
おうとする場所の近くに筏を設置し、そこで移植用サン
ゴを、増殖すれば移植時には、筏をサンゴごと船舶によ
り移植場所まで移動する事で、簡易に多量のサンゴの移
動ができるので、その後のサンゴの移植を効率よく行う
事ができる。
【0005】
【効果】 1・採取したサンゴ小骨格を筏に垂下して増殖を行う事
により、次回よりのサンゴ小骨格の採取、付着体への固
定という作業が筏上で行える。よって作業効率を大きく
向上する事ができる。 2・潜水作業が減った分、経費の削減が可能である。 3・初回のサンゴ小骨格の採取は、自然のサンゴを母株
として行わなければならないが、これを筏に垂下して生
長させる事により次回よりのサンゴ小骨格の母株とする
ので、次回より自然破壊を伴う事なく、サンゴ小骨格の
採取を行う事が可能となる。自然破壊を伴う事なく、移
植用サンゴの確保ができる。 4・垂下して増殖するので海底を這っての移動手段しか
持たない、オニヒトデによる食害を受ける事がない。生
存率の予測ができるので、増殖を計画的に行える。 5・垂下して十分に大きく生長したサンゴを、移植に用
いるので、移植場所を短期間に観光などに利用する事が
可能である。 6・垂下して増殖したサンゴならば環境破壊を起こす事
なく、採取できるので販売商品として活用する事が可能
である。 7・付着体にロープを使用した場合、1本の付着体にて
多数の増殖用サンゴ小骨格を生長させる事が可能であ
り、この付着体を海底に固定する事によって増殖した多
数のサンゴを、一度に移植する事ができ、移植作業が効
率よく行える。(図4) 8・増殖場所は、サンゴ礁のような働きを行うので、サ
ンゴ礁生物の個体群の維持及び増産に寄与する。あるい
は人工漁礁のように使用する事も可能であろう。
【0006】
【実施例】 実施例−1 付着体としてロープを、使用する場合 A 自然のサンゴ(1)より、サンゴ小骨格を採取す
る。採取は潜水作業にて行う。採取するサンゴ小骨格の
大きさは約5cmとする。採取を行う種はショウガサン
ゴ(Stylophora.sp)を使用する。(図
2) B 採取した多数のサンゴ小骨格(2)を、筏上にて付
着体用のロープに固定する。付着体として使用するロー
プは、長さ5m、太さは6mmとする。筏上ではサンゴ
小骨格は、エアーレーションを施したタンク内に入れて
おく。(図1) C 付着体用ロープへの増殖用サンゴ小骨格の固定は、
ビニタイ(3)を使用する。3ケ月間は、サンゴ小骨格
が落ちない程度にしっかりと固定する。サンゴ小骨格と
サンゴ小骨格間の固定間隔は、約30cmぐらいとす
る。水深2mまでの浅い場所は、海藻の繁茂がはげしい
ので、2mよりも深い場所に、サンゴ小骨格の垂下深度
がくるようにする。付着体用のロープ上部は1mぐらい
筏への結び代として残しておく。付着用のロープ下部に
は重りをつけ、付着体が流れなどで舞い上がらないよう
にする。(図3) D サンゴ小骨格の固定を終えた付着体用のロープは、
筏に結び付けて垂下しサンゴ小骨格を生長させる。(図
3) E 垂下場所の環境が適切であれば、垂下してから2年
から3年後には、サンゴ小骨格は、15cmから20c
mに生長する。 F 移植を行う場所には、あらかじめ杭を、だいだい1
m〜1.5mの間隔で打ち込んでおく。 G その杭に、生長させたサンゴ(8)を付着体用のロ
ープごと固定する。その時、海底の基体(9)にサンゴ
が触れた状態で固定する。固定は、波浪などの影響で、
サンゴが岩にこすれて傷つかないように、しっかりと付
着体用のロープを杭(7)に結び付ける。(図4) H 3ケ月もするとサンゴは、海底の基体(9)に石灰
質の骨格を、付着させて自身で基体に固着するようにな
る。サンゴが基体に付着した後は、杭や付着体用のロー
プは必要があれば取り去る。(図5) I 生長させたサンゴは、移植用に使用したり、次回よ
りの、サンゴ小骨格の採取用に使用する。(図6) 実施例−2 付着体としてエンビパイプを使用する方法 α 長さ、約15cm、直径12mmのエンビパイプ
(11)を付着体とする。エンビパイプは、垂下用のロ
ープ(10)に通しておき、ロープの先は、軽く結んで
おく。樹枝状のサンゴ群体(Acropora.sp)
より増殖用サンゴ小骨格(2)を採取する。サンゴ小骨
格の長さは、約5cmとし、エンビパイプにビニタイ
(3)で固定する。(図7) β 付着体のエンビパイプ(11)への、サンゴ小骨格
(2)の固定作業が終わり次第、筏より垂下する。垂下
場所の環境が適切であれば、3ケ月もするとサンゴ小骨
格(2)はエンビパイプ(11)に付着を始め、2年も
すると15cmぐらいに生長する。(図8) γ 垂下を水中の構造物より行うには、まず水中にブイ
(12)とロープ(13)により構造物を設置する。構
造物は砂袋(14)により海中に設置する。この構造物
用のロープの直径は、12mmの物を使用し、ブイの直
径は、300mmとする。海底から構造物上面までの、
高さは約5m、低面の広がりを10m x 10mとす
る。砂袋は、ブイの浮力を十分に打ち消す事ができる数
量を使用する。(図9) δ (図9)の構造物に、サンゴ小骨格(2)を固定し
たエンビパイプ(11)を垂下してサンゴ小骨格を生長
させる。(図10) ε 基体にあらかじめ杭(7)を打ち込んでおく。この
杭(7)にサンゴが、十分に生長して付着した付着体用
のエンビパイプ(11)を差し込む。エンビパイプ(1
1)と、杭(7)との間にくさび(15)を打ち込んで
エンビパイプ(11)を固定する。移植の完了である。
サンゴはその後、生長を続け基体に自身で付着する。
(図11)
【発明の効果】
【0007】造礁サンゴの増殖が大規模に、簡単にしか
も、低コストでおこなえるのでそれを基礎としてサンゴ
の移植を、大規模に行う事が可能となる。大規模なサン
ゴの移植は、漁業的な貢献が期待できる。さらには、観
光施設のある海域に移植を行い、観光資源として有効に
活用できるであろう。増殖したサンゴは、環境破壊を伴
う事なく採取が可能なので、販売商品としての利用も可
能である。付着体にガラスやプラスチックを用いデザイ
ンに配慮して販売に適した物にする事により、販売商品
としての付加価値を高められるであろう。経済的に直接
的メリットが得られるので、漁師などのサンゴ養殖の起
業化が可能となろうし、企業化もできるであろう。ま
た、本発明による方法では、砂地への移植を行う事も可
能であり、未利用空間の有効利用を計れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 採取したサンゴ小骨格を付着体用のロープ
に固定したところの正面図である。
【図2】 自然のサンゴより、サンゴ小骨格を採取す
る様子の正面図である。
【図3】 筏より付着体に固定したサンゴ小骨格を垂
下したところの斜視図である。
【図4】 生長したサンゴを、基体に移植したところ
の斜視図である。
【図5】 移植したサンゴが生長し、基体に付着した
ところの斜視図である。
【図6】 サンゴ増殖サイクルと移植との関係を示し
た模式図である。
【図7】 付着体用のエンビパイプに、サンゴ小骨格
を固定したところの斜視図である。
【図8】 海中に設置した構造物の斜視図である。
【図9】 (図8)の構造物に、サンゴ小骨格を固定
したエンビパイプ(図7)を垂下したところの斜視図で
ある。
【図10】 付着体用のエンビパイプ上で、サンゴが
生長したところの斜視図である。
【図11】 付着体用のエンビパイプごと、基体に移
植をしたところの斜視図である。
【符号の説明】 1…自然のサンゴ 2…サンゴ小骨格 3…ビ
ニタイ 4…付着体用のロープ 5…筏 6…重
り 7…杭 8…生長したサンゴ 9…基
体 10…垂下用のロープ 11…エンビパイプ 12
…水中ブイ 13…構造物用のロープ 14…砂袋 1
5…くさび
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の方法による造礁サンゴの増殖法と
    移植法 (1)サンゴ群体から莢肉部で覆われた骨格を含む破片
    を採取し、任意の形状の付着体に固定し、海底より離し
    て海水中に垂下、付着体表面で十分に生長させて付着体
    と一体化させる事によって、移植用の親株とする事を特
    徴とするサンゴの増殖法。 (2)サンゴの移植は、(1)により増殖した付着体ご
    と、海底の基体に対して行い、基体への固定は、基体へ
    あらかじめ釘、または杭などを打ち込み、それらに結び
    つけたり、くさびで止めて行うか、または、付着体に
    釘、または杭を打ち込んで基体に固定する、海況が好条
    件であれば、特別な固定を行わずに海底に置くだけで行
    う。
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