JP2016102265A - 製紙用複合填料の製造方法、および填料内添紙の製造方法 - Google Patents

製紙用複合填料の製造方法、および填料内添紙の製造方法 Download PDF

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茂樹 信国
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Abstract

【課題】高灰分の紙を製造する際の紙力の低下を防ぐと共に、光学特性を悪化させにくい製紙用填料および、該填料を用いた填料内添紙を提供すること。【解決手段】炭酸カルシウムをアクリルアミド系共重合物で凝集させた製紙用の複合填料であって、パルプスラリーと混合する前の形態においてレーザー回折法により測定した50%体積平均粒子径が、60〜300μm、5μm以下の粒子が体積比で1%以下であり、かつ、前記複合填料をLBKPパルプの固形重量に対して固形分換算で30重量%添加したスラリーのDFRによるろ液の可視光透過率が高くなる様に適切に処理されたものを調製し、これをパルプスラリーに配合して抄紙する。【選択図】 なし

Description

本発明は、製紙に使用する填料および填料内添紙に関する。さらに詳しくは、優れた紙力を得るため炭酸カルシウムとアクリルアミド系共重合物を混合処理して調製した複合填料、および該填料をパルプスラリーに添加して抄造した填料内添紙に関するものである。
近年、世界的な紙需要の拡大により、原料となる木材の安定的な供給が一層困難となり、より少ないパルプ量で従来の品質を満たす紙の製造技術が望まれている。パルプの価格は填料よりも高価であることから、パルプを減らし填料の配合率を高めることはコスト削減の対策として製紙産業における重要な課題となっている。しかし、紙中のパルプの量が減り、填料の配合率が高くなるに伴い紙の強度(紙力)の低下が問題となる。紙力を高めるためには澱粉やポリアクリルアミド等の紙力増強剤を内添する手法が広く用いられているが、これらの薬品の添加量を通常よりも多くして紙力を高めようとしても、効果が頭打ちとなるために効率が悪く、コストの点からも実用的ではない。また、紙の地合いを悪化させ、操業の不安定化を引き起こすといった問題が生じる。
この様な問題を回避し紙力の低下を抑制する方法として、以下のように、填料に各種添加剤を加えて改質する方法が提案されている。
特許文献1には両性アクリルアミド共重合物で炭酸カルシウムを処理し、光学特性と紙力の低下を防ぐ方法が示されている。
特許文献2にはアニオン性のキサンタンガム、グアーガム等で炭酸カルシウムを処理し、紙力の低下を防ぐ方法が示されている。
特許文献3にはカチオン化澱粉、カチオン化グアーガムで炭酸カルシウムを処理し、填料の歩留りと紙力の低下を防ぐ方法が示されている。
特許文献4にはアクリル系ラテックスで炭酸カルシウム等の填料を処理し、不透明度と紙力の低下を防ぐ方法が示されている。
特許文献5にはアルギン酸類で炭酸カルシウム等の填料を処理し、填料の歩留りと紙力の低下を防ぐ方法が示されている。
特許文献6にはアニオン性の多糖類とカチオン性或いは両性のアクリルアミド系共重合物とから成る複合化アクリルアミド系共重合体で填料を被覆処理し、効率良く紙力を向上させる方法が示されている。
特許文献7には両性アクリルアミド系共重合物で炭酸カルシウムを処理し、嵩、白色度、不透明度、紙力、填料歩留りの高い複合化填料と填料内添紙の製造方法が示されている。
特開昭59−26595 特表平09−506397 特開平10−60794 特開2004−100119 特開2011−106075 特許4406882 特開2004−018323
しかしながら、前記した処理によって得られる複合填料は凝集形態が均一かつ適度でなく、パルプスラリーへ添加した後の挙動について考慮されていないものだった。そのため、パルプスラリー中におけるせん断力に対して適度な凝集形態を維持出来ず、十分な紙力が得られない場合や抄紙機の汚れを引き起こすなど課題も多かった。
このように従来の方法により得られる効果は十分とは言えず、より効果の高い方法が望まれている。
本発明は、高灰分の紙を製造する際の紙力の低下を防ぐと共に、光学特性を悪化させにくい製紙用填料の製造方法および、該填料を用いることで優れた紙力と光学特性を有する填料内添紙の製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは、アクリルアミド系共重合物で無機填料に均一かつ適度な凝集処理を施し、未凝集の填料粒子が極めて少ない複合填料とすることで、パルプスラリーへ混合した後から紙が抄かれるまでの間のせん断力がかかる条件下においては適度に再分散し、その際に填料微粒子の脱離が少ない複合填料を得ることに成功した。このような機能を有する複合填料をパルプスラリーに混合して抄造した紙は、高い紙力と光学特性(白色度や不透明度)を両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。とりわけ紙力が出にくい高灰分の紙において、複合填料の使用によってパルプ繊維間の接触面積を増大させる効果があり、これによって紙力向上が可能になると考えられる。
すなわち、本発明は、
<1>下記(1)および(2)の条件を満たすアクリルアミド系共重合物を用いて、下記(3)の条件を満たすように炭酸カルシウムを処理することを特徴とする、製紙用複合填料の製造方法。
(1)アクリルアミド系共重合物が両性であり、イオン性モノマー/非イオン性モノマーのモル比が5/95〜40/60、かつ、(カチオン性モノマーのモル数×カチオン性モノマーのカチオン性基の数)/(アニオン性モノマーのモル数×アニオン性モノマーのアニオン性基の数)の比が50/50〜90/10
(2)アクリルアミド系共重合物の重量平均分子量が200万〜700万
(3)複合填料の50%体積平均粒子径が60〜300μm、かつ、5μm以下の粒子が体積比で1%以下であり、かつ、DFR測定を実施した際、パルプ固形に対して未処理填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が50%となる希釈条件において、複合填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が60%以上、
<2>前記<1>に記載の製造方法により得られた製紙用複合填料をパルプスラリーに添加することを特徴とする填料内添紙の製造方法、
である。
本発明による複合填料を用いた場合、光学特性の悪化が少なく従来よりも紙力に優れた填料内添紙を得ることが出来る。
本発明で使用される炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)、軽質炭酸カルシウム(沈降炭酸カルシウム)のいずれも用いることができる。そのような炭酸カルシウムとしては、具体的には、ソフトン1000、ソフトン1500、ソフトン3200(いずれも白石カルシウム工業製)のような重質炭酸カルシウムや、タマパールTP−121(奥多摩工業製)のような軽質炭酸カルシウムが挙げられる。発明の効果が損なわれない範囲であれば、クレー、タルク、シリカ、アルミノケイ酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、水酸化アルミ、ゼオライト等の填料や、有機填料を併用しても良い。
炭酸カルシウムの凝集前の粒子径は50%体積平均粒子径で10μm以下のものが好ましい。これより大きいものでは填料の粒子が紙から脱落しやすくなる問題が生じ、トラブルが生じる恐れがある。
炭酸カルシウムスラリーは高濃度で移送し易くする目的で分散処理を施す場合があるが、本発明の効果を損なわないものであれば、凝集処理を施す前の炭酸カルシウムに対するこのような処理の有無を問わない。また、サイズ剤、耐水化剤、硫酸バンド、紫外線吸収剤、退色防止剤、染料等の助剤が添加してあっても良い。
本発明の複合填料の製造方法においては、炭酸カルシウム粒子を均一かつ適度に凝集させることが出来るよう、下記(1)、(2)の条件を満たすアクリルアミド系共重合物を使用する。
(1)アクリルアミド系共重合物が両性であり、イオン性モノマー/非イオン性モノマーのモル比が5/95〜40/60、かつ、(カチオン性モノマーのモル数×カチオン性モノマーのカチオン性基の数)/(アニオン性モノマーのモル数×アニオン性モノマーのアニオン性基の数)の比が50/50〜90/10
(2)アクリルアミド系共重合物の重量平均分子量が200万〜700万
本発明で用いるアクリルアミド系共重合物を構成する非イオン性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが挙げられ、重合に供する際は、粉体、水溶液のいずれでも構わない。
本発明のアクリルアミド系共重合物を構成するイオン性モノマーとしては、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーが挙げられる。
カチオン性モノマーとしては3級アミノ基、又は4級アンモニウム塩類を有するビニルモノマーを挙げることができる。
3級アミノ基を有するビニルモノマーとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの塩酸塩、及び硫酸塩等の無機酸塩類、並びに前記3級アミノ基を有するビニルモノマーのギ酸塩、及び酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
また、4級アンモニウム塩類を有するビニルモノマーとしては、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーと4級化剤との反応によって得られるビニルモノマーが挙げられる。前記4級化剤としては、メチルクロライド、及びメチルブロマイド等のアルキルハライド、ベンジルクロライド、及びベンジルブロマイド等のアラルキルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、並びにグリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの3級アミノ基、又は4級アンモニウム塩類を有するビニルモノマーは1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
アニオン性モノマーとしては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸、不飽和テトラカルボン酸、不飽和スルホン酸、不飽和ホスホン酸およびそれらの塩類等が挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上を併用して使用することができる。
これらのうち不飽和モノカルボン酸およびそれらの塩類としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-N-グリコール酸、およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸およびそれらの塩類の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和トリカルボン酸およびそれらの塩類の例としてはアコニット酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和テトラカルボン酸およびそれらの塩類の例としては、1−ペンテン−1,1,4,4−テトラカルボン酸、4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、3−ヘキセン−1,1,6,6―テトラカルボン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類又はアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和スルホン酸の例としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和ホスホン酸の例としては、ビニルホスホン酸、α−フェニルビニルホスホン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
上記のアニオン性ビニルモノマーの中でも紙力増強向上効果及び経済性の点で不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、具体的には、アクリル酸、イタコン酸、2-アクリルアミド-N-グリコール酸、およびその塩類が特に好ましい。
炭酸カルシウムの凝集性、紙力効果の点から、アクリルアミド系共重合物の組成としてはイオン性モノマー/非イオン性モノマーの比が5/95〜40/60(mol%)である必要があり、好ましくは10/90〜25/75である。また、同様の理由から(カチオン性モノマーのモル数×カチオン性モノマーのカチオン性基の数)/(アニオン性モノマーのモル数×アニオン性モノマーのアニオン性基の数)の比が50/50〜90/10(mol%)の条件を満たすものが良好な効果が得られ、より好ましくは50/50〜80/20である。
本発明で用いられるアクリルアミド系共重合物は、公知の方法で重合することで得ることができる。また、モノマーを分割して重合したり、モノマーを滴下して重合を行うことでもアクリルアミド系共重合物を得ることができる。
アクリルアミド系共重合物の分子量はGPC-MALS法による重量平均分子量で200万〜700万の範囲にあるものが良好な効果を示し、好ましくは250〜500万である。200万より低い場合には紙力向上の効果が不十分であり、700万より高い場合には填料の過凝集が紙力悪化を引き起こしたり、水溶液の粘度が高くなり取り扱いが不便である。
アクリルアミド系共重合物の重量平均分子量の測定はGPCに多角度光散乱検出器を接続したGPC−MALS法により行う。測定条件は以下の通りである。
GPC本体:アジレント・テクノロジー社製 LC1100シリーズ
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX SB806M HQ
溶離液:N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH3)
流速:1.0ml/分
検出器1:ワイアットテクノロジー社製多角度光散乱検出器DAWN
検出器2:昭和電工(株)製示唆屈折率検出器RI−101
発明の効果が損なわれない範囲であれば、前記アクリルアミド系共重合物に加え、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、両性澱粉等の高分子化合物を併用することが出来る。
本発明の複合填料の製造方法においては、填料の均一かつ適度な処理を行うことが必要であり、具体的には、下記(3)の条件を満たすように前記アクリルアミド系共重合物を用いて炭酸カルシウムを処理する。
(3)複合填料の50%体積平均粒子径が60〜300μm、かつ、5μm以下の粒子が体積比で1%以下であり、かつ、DFR測定を実施した際、パルプ固形に対して未処理填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が50%となる希釈条件において、複合填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が60%以上
レーザー回折法により測定した複合填料の50%体積平均粒子径が60〜300μmの範囲であると良好な紙力向上効果が得られる。より好ましくは100〜200μmである。60μmよりも小さい場合、十分な紙力向上効果が得られず、300μmよりも大きい場合、抄紙後の紙表面において凝集物に由来する欠点が生じる恐れがある。この場合不透明度が低下し好ましくない。また、抄紙機が汚れやすくなるといった問題が懸念される。
また、複合填料の粒度分布については5μm以下の粒子が体積比で1%以下であることが必要である。填料処理後の複合填料のスラリー中に未凝集の微粒子が多いと、十分な紙力向上効果を得ることが出来ない。
50%体積平均粒子径、及び、5μm以下の粒子の体積比は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定機(日機装(株)製マイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定する。
さらに、複合填料をLBKPパルプの固形重量に対して固形分換算で30重量%添加したスラリーのDFRによるろ液の可視光(波長620nm)透過率が60%以上であると、パルプスラリー中におけるせん断力に対する複合填料の安定性が高まり、良好な紙力を得られる。可視光透過率が60%に満たない場合は、凝集力が弱いか、或いは、凝集が不均一であり、シェアによる再分散によって凝集がほぐれ微粒子が多く生じていると判断される。微粒子が多いと紙力が大きく低下するため本課題を解決することができない。
(DFRの測定方法)
前記DFRとは、ミューテック社製Drainage Freeness Retention 測定装置(DFR-05。以下DFRと表記) を指す。DFRの特徴として、試料に対しせん断力を与えることが可能であり、実際の抄紙マシンに近い条件で評価を行うことができる。複合填料を加えたパルプスラリーにDFR装置を用いてせん断力を加え、ろ液の光透過率を分光光度計にて測定する。ろ液の光透過率が高い場合、せん断力を加えられた条件でも複合填料が適度な凝集形態を維持していることが推測されるため、パルプスラリーへの高い歩留まりに繋がる。
このように、せん断力を加えられた後の填料歩留まりを観察することで最適な粒子径範囲やアクリルアミド系共重合物の組成を把握することができる。
複合填料の製造においては、得られる複合填料が前記(3)の条件を満たすように、混合方法や処理方法、あるいは処理条件を適宜選択、調整する。
炭酸カルシウムにアクリルアミド系共重合物を混合する方法としては特に限定されないが、一括で混合するよりも多段階分割添加、または滴下添加によって混合することで効率的に凝集させることができ、また、炭酸カルシウムへの均一な定着を行う点で好ましい。
填料の処理方法としては、水を溶媒とした炭酸カルシウムのスラリーとアクリルアミド系共重合物の水溶液を混合する方法が最も簡便である。混合方法については均一に混合出来る公知の方法が用いられる。混合は撹拌機、アジテーター、バブリング等による撹拌が可能な反応容器、タンク内で行うことが出来る。或いは、アクリルアミド系共重合物の水溶液を炭酸カルシウムスラリーの移送ライン上で添加して調製することも可能である。そのような場合は、前記(3)の条件を満たすよう、均一かつ適度な処理を行うための十分な流量と流路すなわちパルプスラリーと混合されるまでの長さを確保することが好ましく、必要によりインラインミキサーを使用しても良い。炭酸カルシウムのスラリーへアクリルアミド系共重合物を添加した後において、せん断力が強過ぎる場合には未凝集の粒子が増加し十分な紙力が得られない恐れがあるので最適な添加方法、添加位置の調整を行う必要がある。
本発明におけるアクリルアミド系共重合物の処理量は、炭酸カルシウムの固形重量に対して固形換算で0.1〜3.0重量%の範囲が紙力向上効果の点で好ましく、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。0.1重量%以下では無機填料の凝集が不十分であり紙力向上の効果が小さく、3.0重量%を超える場合では紙力向上の効果が頭打ちとなり、また、イオンバランスの大きな偏りにより5μm以下の微粒子が増え、紙力が低くなる恐れがある。
本発明の填料内添紙は、本発明の複合填料をパルプスラリーに添加して抄紙することで得られる。パルプ固形分に対し固形換算で10〜100重量%の複合填料を使用することが好ましく、さらに好ましくは20〜70重量%である。本発明に使用されるパルプスラリーはパルプを含有し前記パルプが水溶媒で分散されることによりスラリー状になった形態を有する。本発明におけるパルプスラリーは、硫酸アルミニウムを用いる酸性系、硫酸アルミニウムを少量用いる中性系、或いは硫酸アルミニウムを全く用いないアルカリ性系のいずれのパルプスラリーであっても良い。
前記パルプとしては、通常使用されているパルプであればよく、クラフトパルプ、及びサルファイトパルプ等の晒、又は、未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ等の晒、又は未晒高収率パルプ、並びに新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙等の古紙パルプを挙げることが出来、これらの1種類又は2種類以上を使用することが出来る。又、パルプスラリーにはパルプ以外の種々の添加剤を必要に応じて用いることが出来る。
パルプスラリーには種々の添加剤を加えることができ、添加剤としては本発明の複合填料以外の填料、サイズ剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、紙厚向上剤、歩留り、濾水向上剤等を挙げることが出来る。例えば、サイズ剤の種類としてはロジンサイズ剤、AKDサイズ剤、ASAサイズ剤等があげられ、0.02〜0.5%の使用が好ましく、乾燥紙力剤としては両性澱粉、カチオン化澱粉、アクリルアミド系共重合物、ホフマンPAM、アニオン-マンニックPAM等があげられ、0.05〜2%の使用が好ましい。歩留まり、濾水向上剤としては公知のシステムが使用され、例えばシングルポリマー、ツインズシステム、コンポジルシステム、ハイドロコールシステムなどがあげられる。各々の紙種に要求される物性に応じて各種の添加剤が適宜に選択され使用される。
本発明の紙は酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙のいずれの抄紙でも良いが、中性抄紙またはアルカリ性抄紙が好ましい。
本発明により得られる填料内添紙としては、情報用紙、印刷用紙、印刷用塗工原紙、包装紙、建材用原紙、壁紙原紙等が挙げられる。
(紙中灰分率)
本発明の填料内添紙の紙中灰分率は10%以上であることが好ましく、さらに好ましくは20%以上である。10%未満では本発明による効果の優位性が発揮されにくくなるおそれがある。紙力レベルが実用強度を有する程度であれば、特に上限はないが、50%程度を目途として添加するのが好ましい。
以下に製造例と比較製造例、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、説明中のパーセントについては重量%を示す。
(炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物の製造例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素ガス導入管を付した四つ口フラスコに水400.55g、モノマーとして、50%アクリルアミド水溶液159.93g、ジメチルアミノエチルメタクリレート1.97g、イタコン酸8.13g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.50g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.99gを仕込んだ。
次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.18gを加え、重合を開始させ反応温度を90℃まで昇温させた。その後、水161.64g、30%硫酸水溶液26.86g、50%アクリルアミド水溶液159.93g、ジメチルアミノエチルメタクリレート25.55g、イタコン酸1.63g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.50g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.99gから成るモノマー混合液を加え、更に過硫酸アンモニウム0.65gを加え、2時間反応させた時点で、水51.00gを投入し、固形分20.2%、分子量330万の両性ポリアクリルアミドを得た。
(製造例2)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様に分子量を690万となるようにモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(製造例3)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様に分子量を210万となるようにモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(製造例4〜9)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様にモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(製造例10)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様にジメチルアミノエチルメタクリレートの一部を塩化ベンジルによる4級化物に置換して合成した以外は製造例1と同様の操作を行った。
(製造例11)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様にジメチルアミノエチルメタクリレートの一部をジメチルアミノプロピルアクリルアミドに置換して合成した以外は製造例1と同様の操作を行った。
(製造例12)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表1に示す様にイタコン酸の一部を2−アクリルアミド−N−グリコール酸に置換して合成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
(比較製造例13)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表2に示す様に分子量を900万となるようにモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(比較製造例14)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表2に示す様に分子量を140万となるようにモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(比較製造例15〜18)
炭酸カルシウムの処理に使用するアクリルアミド系共重合物を表2に示す様にモノマーの比率を変えた以外は製造例1と同様の操作を行った。
(比較製造例19)
撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を付した四つ口フラスコに
水281.1g、50%アクリルアミド水溶液113.72g、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液49.75gを仕込み、30%硫酸水溶液でpH3.0に調整した。次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.07gを加え、90℃に昇温し、保温した。
重合開始から1時間後、2時間後に、過硫酸アンモニウム0.18gを追添加し、反応開始後5時間後に重合を止め、冷却した。
(比較製造例20)
比較製造例19における合成方法を基に表2の組成(AAm/IA)のアクリルアミド系共重合物を得た。
(比較製造例21)
カチオン置換度(DS)が0.03のカチオン化澱粉を濃度3%でクッキングし、濃度1.5%に希釈後、炭酸カルシウムの処理に供した。
(比較製造例22)
カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学工業株式会社製1250)の濃度1.5%水溶液10gと比較製造例19における合成方法を基に得られた表2の組成(AAm/ DPA/DMBz/ IA/SAS/MBAA)のアクリルアミド系共重合物の濃度1.5%水溶液90gを混合、撹拌し、カルボキシメチルセルロースナトリウムとアクリルアミド系共重合物の混合水溶液100gを得た。
(比較製造例23)
比較製造例19における合成方法を基に表2の組成(AAm/DAC)のアクリルアミド系共重合物を得た。
(比較製造例24)
撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を付した四つ口フラスコに、水140g、2−スルホエチルメタクリレートナトリウム塩6.2g、アクリル酸nブチル100g、スチレン100g、アクリル酸6g、過硫酸アンモニウム1.03gの混合モノマー液の内17.7gを仕込み、水150gを加え撹拌を開始した。次いで、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温し、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム1.0gを加え、80℃に昇温した。残りの混合モノマー液335.5gを2時間かけて滴下し、滴下終了から1時間後に、10%過硫酸アンモニウム1.0gを追添加した。さらに2時間熟成した後重合を止め、冷却後アンモニア水でpHを7.0に調整した。
Figure 2016102265
Figure 2016102265
表1、表2における略号は以下の通りである。
AAM :アクリルアミド
IA :イタコン酸
SMAS :メタリルスルホン酸ナトリウム
DMAA :N,N−ジメチルアクリルアミド
DM :ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMBz :ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化ベンジルによる4級化物
DPA :ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
AGA :2−アクリルアミド−N−グリコール酸
DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド
CMC :カルボキシメチルセルロースナトリウム
SAS :アリルスルホン酸ナトリウム
MBAA :メチレンビスアクリルアミド
DAC :N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチルによる4級化物
ST :スチレン
BA :nブチルアクリレート
AA :アクリル酸
(填料スラリーの調製)
炭酸カルシウム100gを水900gに加え、ホモミキサーにより2000rpmで1分間分散処理を行い、濃度10%の填料スラリーを調製した。
(複合填料の調製)
(実施例1〜15、比較例1〜12)
濃度10%の炭酸カルシウムスラリー100gを300mLのビーカーに量り取り、プロペラ形撹拌翼を取り付けた撹拌機により回転数300rpmで撹拌しながら、前述の製造例、または比較製造例で示したアクリルアミド系共重合物の濃度1%水溶液10gを1分間かけて添加した。添加終了から3分間撹拌し複合填料のスラリーを得た。調製直後に平均粒子径、5μm以下体積比を測定した。
(実施例16)
濃度1%のアクリルアミド系共重合物水溶液の添加量を5gに変更した以外は、上記と同様の方法を行った。
(DFRの測定方法)
DFR測定用パルプスラリーの調製方法
測定にはナイアガラビーターにより叩解したカナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)400mL、電導度100(mS/m)、pH7.5に調整したLBKPパルプのスラリー(濃度0.8%)を用いた。調製にはすべて清水を使用し、パルプスラリーの温度は40℃に調整した。
DFRを使用したろ液の作製
パルプスラリー中におけるせん断力に対する複合填料の安定性の評価には、ミューテック社製Drainage Freeness Retention 測定装置(DFR-05) を用いた。ろ液の作製にはRetentionモードを使用した。
未処理の炭酸カルシウムを用いたDFRのろ液の光透過率
パルプスラリー1kgをDFR装置にセットし、未処理の炭酸カルシウム(濃度10%)をパルプ固形に対して固形換算で30%加え、回転数600rpmで10秒間撹拌した後、さらに回転数1000rpmで10秒間、800rpmで10秒間撹拌した後、ろ水を開始し、150メッシュのワイヤーを通過した初めのろ液100mLを採取した。ろ液の採取直後にイオン交換水で希釈し、光透過率が50%となる希釈倍率を求めた。光透過率は分光光度計(日立製レシオビーム分光光度計U-1000型)にて波長620.0nmにおける可視光の透過率を測定した。光透過率は液の調製直後に濁度成分が沈降する前に速やかに測定した。
光透過率が50%となる希釈倍率の算出方法
未処理の炭酸カルシウムを使用したDFR条件で得られたろ液を原液、ならびに10、20、30、50、100倍で希釈した液を測定し、光透過率が50%となる希釈倍率を見積もった。
炭酸カルシウムにソフトン3200(白石カルシウム工業製)を用いた比較例13において、光透過率が50%となる希釈倍率は15倍であったので、同じ炭酸カルシウムを用いた実施例1〜12、16、および比較例1〜12は同様に希釈倍率を15倍とした。以下、実施例13〜15も同様に比較例14〜16を用いて希釈倍率を求めた。
複合填料を用いたDFRのろ液の光透過率
パルプスラリー1kgをDFR装置にセットし、実施例1に示す複合填料1(濃度10%)をパルプ固形に対して固形換算で30%加え、回転数600rpmで10秒間撹拌した後、さらに回転数1000rpmで10秒間、800rpmで10秒間撹拌した後、ろ水を開始し、150メッシュのワイヤーを通過した初めのろ液100mLを採取した。
ろ液の採取直後に上記で求めた希釈倍率(未処理の炭酸カルシウムを使用したDFRのろ液において光透過率が50%となる希釈倍率)でイオン交換水により希釈し、光透過率を測定した。
(実施例2〜16、比較例1〜16)
表1、2の製造例、比較製造例に示すアクリルアミド系共重合物、またはカチオン化澱粉等を用いて種々の填料の処理を行い、複合填料を調製した。複合填料の物性値(50%体積平均粒子径、5μm以下体積比、DFRろ液光透過率)を表3、表4に示す。
Figure 2016102265
Figure 2016102265
(応用実施例1)
(填料内添紙の作製方法)
カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)400mL、電導度100(mS/m)、pH7.5に調整した濃度2.4%のLBKPパルプのスラリーを撹拌し、カチオン化澱粉(日本NSC株式会社製CATO304)をパルプ固形分に対して固形換算で1.0%、内添紙力剤(星光PMC株式会社製 DS4412)をパルプ固形分に対して固形換算で0.2%、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC株式会社社製 AD1604)をパルプ固形分に対して固形換算で0.1%を順次添加した。
更に1分間撹拌した後、pH7.5、電導度100(mS/m)に調整した水で、パルプ濃度を0.8%に希釈した後、実施例1に示す複合填料1(濃度10%)をパルプ固形分に対して固形換算で40%となる様に添加した。
カチオン性歩留剤(星光PMC株式会社製RD7142)をパルプ固形分に対して固形換算で0.015%を添加し、1分間撹拌した後、ノーブルアンドウッド製シートマシンにて抄紙し、湿紙を得た。
この湿紙をプレス脱水後、ドラムドライヤーにて100℃で100秒間乾燥し、坪量80g/mの紙を得た。
得られた紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿条件下で24時間調湿した後、各種測定を行った。紙質測定は後述の方法により実施した。紙力効果は内部強度、光学特性は不透明度から判断した。
(物性測定方法)
坪量 JIS P8124に準拠した。
紙中灰分率 JIS P8251 灰分試験方法 (525℃燃焼法)に準拠した。
不透明度 JIS P8149 不透明度試験方法に準拠した。
内部強度 JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.18-2
紙及び板紙 内部結合強さ試験方法 第2部 インターナルボンドテスタ法
に準拠した。
(応用実施例2〜12)
填料を表4の実施例2〜12の複合填料に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用実施例13)
重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業株式会社製ソフトン1500、粒子径3.6μm)を用いた実施例13の複合填料に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用実施例14)
重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業株式会社製ソフトン1000、粒子径5.7μm) を用いた実施例14の複合填料に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用実施例15)
軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製タマパールTP−121、粒子径2.4μm)を用いた実施例15の複合填料に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用実施例16)
実施例16の複合填料16を使用し、かつ、内添紙力剤を無添加にした以外は、応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例1〜12)
填料を表4の比較例1〜12の複合填料に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例13)
填料として未処理の重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業株式会社製ソフトン3200)に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例14)
填料として未処理の重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業株式会社製ソフトン1500)に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例15)
填料として未処理の重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業株式会社製ソフトン1000)に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例16)
填料として未処理の軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製タマパールTP−121)に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
(応用比較例17)
填料として未処理の軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製タマパールTP−121)に変更し、かつ、填料の添加率を30%に変更した以外は応用実施例1と同様の操作を行った。
Figure 2016102265
Figure 2016102265
表5、および表6より、応用実施例1〜12と応用比較例13、または応用実施例13と応用比較例14、または応用実施例14と応用比較例15、または応用実施例15と応用比較例16の結果から、本発明の複合填料を使用した紙は、未処理の填料を使用した紙と比較していずれも紙力が高いことが分かる。
応用実施例1〜3と応用比較例1〜2の結果から、応用実施例1〜3で使用される複合填料を使用した紙はいずれも紙力が高く、アクリルアミド系共重合物の分子量が適切でない場合、処理後填料の粒子径が適正範囲から外れ、紙力の向上効果が十分に得られないことが分かる。
応用実施例1〜12と応用比較例3〜8の結果から、応用実施例1〜12で使用される複合填料を使用した紙はいずれも紙力が高いことが分かる。アクリルアミド系共重合物を構成するモノマー組成が適切ではない、または処理後填料の粒子径が適正範囲から外れた場合、DFR測定ろ液の光透過率が60%未満となり、紙力の向上効果が十分に得られない。
応用実施例1〜12と応用比較例9〜12の結果から、応用実施例1〜12で使用される複合填料を使用した紙はいずれも紙力が高いことが分かる。公知の方法(従来技術)である応用比較例9〜12は填料の粒子径が十分ではない、または、填料の5μ以下の体積比が1%より大きい、または、DFRのろ液光透過率が60%未満であるため紙力の向上効果が十分に得られない。
応用実施例15と応用比較例16の結果から、複合填料を使用することで紙力が向上することが分かる。ここで、複合填料を使用した際、紙中灰分が低下し不透明度が悪化するケースがみられるが、紙中灰分の低い未処理填料と比較(応用比較例17)すると高いレベルにあることから、填料の増量によって改善が可能であることが分かる。
応用実施例16と応用比較例13の結果から、同一量のアクリルアミド系共重合物を使用する場合、パルプに内添するよりも炭酸カルシウムを処理し複合填料にすることで紙力向上効果が優れることが分かる。
以上のことから、本発明による複合填料を用いた場合、従来よりも優れた紙力、光学特性を持った填料内添紙を得ることが出来る。
本発明により高灰分の填料内添紙においても高い紙力を効率良く得ることが出来る。パルプ配合量、薬品配合量を少なくすることが出来、低コストかつ少資源化を達成する事が出来る。

Claims (2)

  1. 下記(1)および(2)の条件を満たすアクリルアミド系共重合物を用いて、下記(3)の条件を満たすように炭酸カルシウムを処理することを特徴とする、製紙用複合填料の製造方法。
    (1)アクリルアミド系共重合物が両性であり、イオン性モノマー/非イオン性モノマーのモル比が5/95〜40/60、かつ、(カチオン性モノマーのモル数×カチオン性モノマーのカチオン性基の数)/(アニオン性モノマーのモル数×アニオン性モノマーのアニオン性基の数)の比が50/50〜90/10
    (2)アクリルアミド系共重合物の重量平均分子量が200万〜700万
    (3)複合填料の50%体積平均粒子径が60〜300μm、かつ、5μm以下の粒子が体積比で1%以下であり、かつ、DFR測定を実施した際、パルプ固形に対して未処理填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が50%となる希釈条件において、複合填料を30重量%含むパルプスラリーのろ液光透過率が60%以上
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られた製紙用複合填料をパルプスラリーに添加することを特徴とする填料内添紙の製造方法。
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