JP2016102168A - 塩化ビニル系樹脂及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱安定性を高めることができる塩化ビニル系樹脂を提供する。【解決手段】本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、N−置換マレイミドとを含む重合成分を共重合させることにより得られ、原料のN−置換マレイミドは、不純物を含まないか、又は、GC−FIDのピーク面積比にて0.3%以下で不純物を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、塩化ビニルモノマーを含む重合成分を重合させることにより得られる塩化ビニル系樹脂に関する。また、本発明は、上記塩化ビニル系樹脂を用いた成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候性、自己消炎性及び耐薬品性に優れている。このため、上記塩化ビニル系樹脂は、パイプ、板、フィルム、シート及び容器等の各種の成形体に加工されており、多くの分野で使用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂に関しては、高温状態では脱塩酸反応が生じ、熱分解するために、熱安定性が悪いという問題がある。
塩化ビニル系樹脂の軟化点を高める方法が、下記の特許文献1に開示されている。具体的には、塩化ビニルにN−アリルマレイミドを共重合させた塩化ビニル系樹脂が開示されている。
特許文献1に記載の塩化ビニル系樹脂の熱安定性は、N−置換マレイミドを用いていない塩化ビニル系樹脂と同程度であることがある。このため、成形時に、従来の塩化ビニル系樹脂と同様に、熱安定剤などを比較的多く用いなければならないことがある。
本発明の目的は、熱安定性を高めることができる塩化ビニル系樹脂を提供することである。また、本発明は、上記塩化ビニル系樹脂を用いた成形体を提供することを目的とする。
本発明の広い局面によれば、塩化ビニルモノマーと、N−置換マレイミドとを含む重合成分を共重合させることにより得られ、原料のN−置換マレイミドは不純物を含まないか、又は、GC−FIDのピーク面積比にて0.3%以下で不純物を含む、塩化ビニル系樹脂が提供される。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂のある特定の局面では、前記N−置換マレイミドが、下記式(1)で表されるN−置換マレイミドである。
前記式(1)中、Rは水素原子ではなく、炭素数3〜20の有機基を表す。
本発明の広い局面によれば、上述した塩化ビニル系樹脂を成形することにより得られる、成形体が提供される。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、N−置換マレイミドとを含む重合成分を共重合させることにより得られ、原料のN−置換マレイミドは、不純物を含まないか、又は、GC−FIDのピーク面積比にて0.3%以下で不純物を含むので、熱安定性を高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(塩化ビニル系樹脂)
本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、N−置換マレイミドとを含む重合成分を共重合させることにより得られる。本発明に係る塩化ビニル系樹脂では、原料のN−置換マレイミドは、不純物を含まないか、又は、GC−FIDのピーク面積比にて0.3%以下で不純物を含む。原料のN−置換マレイミドは、GC−FIDのピーク面積比にて99.7%以上でN−置換マレイミドを含む。すなわち、本発明に係る塩化ビニル系樹脂では、N−置換マレイミドの不純物が含まれないか、又は、N−置換マレイミドの不純物が含まれていても、N−置換マレイミドの不純物の含有量がかなり少ない。本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と、上記N−置換マレイミドに由来する構造単位とを有する。上記塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系共重合体である。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、N−置換マレイミドとを含む重合成分を共重合させることにより得られる。本発明に係る塩化ビニル系樹脂では、原料のN−置換マレイミドは、不純物を含まないか、又は、GC−FIDのピーク面積比にて0.3%以下で不純物を含む。原料のN−置換マレイミドは、GC−FIDのピーク面積比にて99.7%以上でN−置換マレイミドを含む。すなわち、本発明に係る塩化ビニル系樹脂では、N−置換マレイミドの不純物が含まれないか、又は、N−置換マレイミドの不純物が含まれていても、N−置換マレイミドの不純物の含有量がかなり少ない。本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と、上記N−置換マレイミドに由来する構造単位とを有する。上記塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系共重合体である。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、上述した構成を備えているので、熱安定性を高めることができる。N−置換マレイミドの不純物により、塩化ビニル系樹脂の熱分解が進行することを抑えることができる。また、本発明に係る塩化ビニル系樹脂を用いて成形体を作製することで、本発明に係る塩化ビニル系樹脂を用いていない場合と比べて、成形体の熱安定性を高めることができる。上記N−置換マレイミドの不純物の濃度が上記上限を超えると、熱安定性を充分に高めることはできない。
一般に、N−置換マレイミドの合成時には、不純物が含まれやすい。不純物としては、芳香族化合物等が挙げられる。合成されたN−置換マレイミドをそのまま用いて、塩化ビニルモノマーと共重合させると、N−置換マレイミドの合成時に含まれていたN−置換マレイミドの不純物が、塩化ビニル系樹脂において含まれやすい。塩化ビニル系樹脂において、N−置換マレイミドの不純物は、N−置換マレイミドの不純物に由来する。N−置換マレイミドの不純物には、塩化ビニル系樹脂中において、他の重合成分と共重合した状態である不純物と、単独で含まれている不純物とが含まれる。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂において、N−置換マレイミドの不純物の含有量を少なくするために、N−置換マレイミドを合成した後、合成物から、N−置換マレイミドの不純物を取り除く精製工程を行うことが好ましい。また、本発明に係る塩化ビニル系樹脂において、N−置換マレイミドの不純物の含有量を少なくするために、N−置換マレイミドの合成時に、N−置換マレイミドの不純物の生成量が少なくなるように、合成条件を制御してもよい。N−置換マレイミドの合成物を精製することが特に好ましい。N−置換マレイミドの不純物の濃度は、N−置換マレイミド又は塩化ビニル系樹脂において、GC/MSの所定のピーク面積比から算出することが可能である。
N−置換マレイミドの合成物の精製方法としては、再結晶法、昇華法、カラム分離法、及び再沈殿法等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂の熱安定性をより一層高める観点からは、N−置換マレイミドの不純物の濃度は少ないほどよく、GC−FIDのピーク面積比で好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0重量%(未含有)である。
熱安定性をより一層高める観点からは、本発明に係る塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマー重量60%以上、99重量%以下と、N−置換マレイミド1重量%以上、40重量%以下とを含む重合成分を共重合させることにより得られることが好ましく、塩化ビニルモノマー70重量%以上、99重量%以下と、N−置換マレイミド1重量%以上、30重量%以下とを含む重合成分を共重合させることにより得られることがより好ましい。
上記塩化ビニルモノマーと上記N−置換マレイミドとを共重合させるために、上記重合成分は、重合開始剤を含むことが好ましい。上記重合開始剤は特に限定されない。上記重合開始剤は、モノマー成分に可溶である油溶性のフリーラジカルを発生する化合物であることが好ましい。上記重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[N−置換マレイミド]
上記N−置換マレイミドは、マレイミド化合物の窒素原子が、置換基で置換されている化合物である。上記N−置換マレイミドは、下記式(1)で表されるN−置換マレイミドであことが好ましい。上記N−置換マレイミドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記塩化ビニル系樹脂は、上記N−置換マレイミドに由来する構造単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記N−置換マレイミドは、マレイミド化合物の窒素原子が、置換基で置換されている化合物である。上記N−置換マレイミドは、下記式(1)で表されるN−置換マレイミドであことが好ましい。上記N−置換マレイミドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記塩化ビニル系樹脂は、上記N−置換マレイミドに由来する構造単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(1)中、Rは水素原子ではなく、炭素数3〜20の有機基を表す。
上記有機基は、炭化水素基にハロゲン原子が置換した基、又は、炭化水素基であることが好ましい。上記有機基は、炭素原子と水素原子とを含み、かつハロゲン原子を含まないか又は含むことが好ましい。上記Rは、非置換又は置換の脂肪族基、非置換又は置換の脂環式基、非置換又は置換の芳香族基であることが好ましい。この場合に、置換基は、ハロゲン原子であることが好ましい。
上記式(1)中のRは、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−クロロフェニル基、2−メチルフェニル基、ベンジル基、2−クロロベンジル基、2−メチルベンジル基、又はナフチル基であることが好ましい。
上記N−置換マレイミドとしては特に限定されず、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−p−キシリルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−o−トリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−2,5−ジエチルフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルフェニルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−o−キシリルマレイミド、N−m−キシリルマレイミド、ビスマレイミドメタン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−エチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチル−5−エチル−フェニル)メタン、N,N’−(2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン)ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミド、及びN,N’−m−キシリレンジマレイミド等が挙げられる。
[重合方法]
上記塩化ビニル系樹脂を得る共重合方法について説明する。共重合の方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、及び沈殿重合法等が挙げられる。これらの方法の中では、懸濁重合法、乳化重合法又は沈殿重合法が好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂を得る共重合方法について説明する。共重合の方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、及び沈殿重合法等が挙げられる。これらの方法の中では、懸濁重合法、乳化重合法又は沈殿重合法が好ましい。
上記懸濁重合法では、重合器内に、N−置換マレイミドは、重合開始前に全量を一括して添加してもよく、重合開始前に一部を添加した後、重合中に残りを連続的又は段階的に添加してもよく、重合中に全部を連続的又は段階的に添加してもよい。
上記重合成分は、塩化ビニルモノマーと上記N−置換マレイミドとを含んでいれば、上記塩化ビニルモノマーと共重合可能である他のビニルモノマーを用いてもよい。
熱安定性をより一層高めるために、上記重合成分は、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニリデン、メタクリル酸メチル又はアクリロニトリル等を含んでいてもよい。成形加工時の流動性をより一層高めるために、上記重合成分は、α−オレフィン、ビニルエステル化合物、アルキルビニルエーテル化合物又はアクリル酸エステル等を含んでいてもよい。上記α−オレフィンとしては、エチレン及びプロピレン等が挙げられる。上記ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル等が挙げられる。上記アルキルビニルエーテル化合物としては、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記重合成分は、上記塩化ビニルモノマーと上記N−置換マレイミドとを合計で90重量%以上含むことが好ましい。
上記懸濁重合法により重合を行う際には、分散剤(懸濁安定剤)を用いてもよく、重合開始剤を用いてもよい。上記分散剤の使用により、配合成分の水への分散安定性を高めることができ、共重合を安定的に進行させることができる。
上記分散剤(懸濁安定剤)としては特に限定されず、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリビニルアルコールの部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、及び無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤は特に限定されない。上記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記重合開始剤は、油溶性であることが好ましい。上記重合開始剤としては、有機パーオキサイド化合物及びアゾ化合物が挙げられる。上記有機パーオキサイド化合物としては、ラウロイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−sec−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、及びベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。上記重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
共重合を行う際には、重合中に重合槽内に付着する付着物の量を少なくする目的で、スケール防止剤、pH調整剤又は酸化防止剤等を用いてもよい。更に、必要に応じて、重合槽の内部、攪拌翼及び邪魔板等の形状、並びに重合槽の材質等を変更してもよい。
上記スケール防止剤は特に限定されず、ポリアミノベンゼン、多価フェノール、アミノフェノール、アルキル置換フェノール等から選ばれた1種又は2種以上の化合物の縮合反応によって得られる多価フェノール等が挙げられる。上記スケール防止剤は、水又は有機溶媒に希釈されていてもよい。上記スケール防止剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記懸濁重合法は、例えば、以下の方法により行われる。温度調整機及び攪拌機を備える重合器内に、純水、上記分散剤、上記油溶性重合開始剤、必要に応じて水溶性増粘剤及び重合度調節剤を含む分散溶液を入れ、真空ポンプにより重合器内から空気を排除する。次に、攪拌条件下で、原料の全てを重合器内に入れる。その後、重合器内を昇温し、所望の重合温度で、材料の重合反応を進行させ、グラフト共重合を行う。上記の共重合反応における重合温度は好ましくは30℃以上、好ましくは90℃以下である。上記の共重合反応における重合時間は、好ましくは2時間以上、好ましくは20時間以下である。
上記懸濁重合法では、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、すなわち、重合温度を制御可能である。反応終了後には、例えば未反応の塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーを除去してスラリー状にし、更に、脱水及び乾燥を行うことにより、目的とする塩化ビニル系樹脂を得ることができる。
[塩化ビニル系樹脂及び成形体の詳細]
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は好ましくは500以上、好ましくは2000以下である。上記重合度が上記下限以上であると、疲労特性などの長期性能が損なわれ難い。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は好ましくは500以上、好ましくは2000以下である。上記重合度が上記下限以上であると、疲労特性などの長期性能が損なわれ難い。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
成形前の上記塩化ビニル系樹脂は、粒子であることが好ましい。粒子である塩化ビニル系樹脂の粒子径は好ましくは0.1μm以上、好ましくは500μm以下である。上記粒子径が上記下限以上であると、乾燥時に微粉状態とならず、取扱い性が高くなる。上記粒子径が上記上限以下であると、粒子を得る際の重合時の反応が不安定になりにくい。
上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用されてもよい。例えば、機械的強度の更なる向上のため、上記塩化ビニル系樹脂を、後塩素化塩化ビニル系樹脂又はアクリル樹脂等と併用してもよい。
上記塩化ビニル系樹脂は、成形体を得るために、単独で用いることができる。上記塩化ビニル系樹脂は、必要に応じて、他の成分と混合されて、塩化ビニル系樹脂材料(塩化ビニル系樹脂組成物)として用いることができる。上記塩化ビニル系樹脂材料は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂を好ましくは1重量%以上含み、より好ましくは10重量%以上含み、更に好ましくは50重量%以上含む。上記成形体は、塩化ビニル系樹脂を1重量%以上用いて、成形を行うことにより得られることが好ましく、上記塩化ビニル系樹脂を1重量%以上含むことが好ましい。
上記成形体は、上記塩化ビニル系樹脂を成形することにより得られる。上記成形体を得る際に、上記塩化ビニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂材料(塩化ビニル系樹脂組成物)を用いてもよい。
上記成形体としては、パイプ、板及び容器等が挙げられる。上記成形体は、これら以外の成形体であってもよい。
上記塩化ビニル系樹脂及び上記塩化ビニル系樹脂組成物の成形方法としては特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法及びプレス成形法等が挙げられる。
成形に用いる成形機としては特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸異方向パラレル押出機、二軸異方向コニカル押出機、及び二軸同方向押出機等が挙げられる。上記成形機を用いて成形するとき、賦形する金型、樹脂温度等は、特に限定されない。
上記塩化ビニル系樹脂材料は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、帯電防止剤及び可塑剤等が挙げられる。本発明に係る成形体では特に、安定剤を用いることが好ましい。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤及び熱安定化助剤などが挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、及びバリウムーカドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万〜200万であるアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、及び2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α−メチルスチレン系、及びN−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルクなどが挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形品の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、及びジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)N−置換マレイミドの合成物の精製
三口ナスフラスコにN−シクロヘキシルマレイミド(イミレックスC)(日本触媒社製)400gをアセトン300gに加えた。これをオイルバスにより50℃で30分間、加熱攪拌させることでN−シクロヘキシルマレイミドを溶解させた。その後、8℃の冷水に浸漬させさらにメタノール100gを添加した。そのまま、8℃で1時間攪拌することで固体を得た。得た固体をろ別により回収しセパラフラスコに加えた。45℃のオイルバスに浸漬し150rpmで回転、さらに微量のアルゴンを流しながら一晩真空乾燥をおこなうことでN−シクロヘキシルマレイミドの精製物を得た。
(1)N−置換マレイミドの合成物の精製
三口ナスフラスコにN−シクロヘキシルマレイミド(イミレックスC)(日本触媒社製)400gをアセトン300gに加えた。これをオイルバスにより50℃で30分間、加熱攪拌させることでN−シクロヘキシルマレイミドを溶解させた。その後、8℃の冷水に浸漬させさらにメタノール100gを添加した。そのまま、8℃で1時間攪拌することで固体を得た。得た固体をろ別により回収しセパラフラスコに加えた。45℃のオイルバスに浸漬し150rpmで回転、さらに微量のアルゴンを流しながら一晩真空乾燥をおこなうことでN−シクロヘキシルマレイミドの精製物を得た。
(2)塩化ビニル系樹脂の作製
実施例1では、N−シクロヘキシルマレイミドの精製物を用いた。撹拌機及びジャケットを備えた重合器に、塩化ビニルモノマーを除く下記の表1で示す配合成分を下記の表1に示す配合量で入れた。
実施例1では、N−シクロヘキシルマレイミドの精製物を用いた。撹拌機及びジャケットを備えた重合器に、塩化ビニルモノマーを除く下記の表1で示す配合成分を下記の表1に示す配合量で入れた。
その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に攪拌条件下で塩化ビニルモノマーを下記の表1に示す配合量で入れた。次いで、ジャケット温度の制御により重合温度を58℃に制御して、共重合を開始した。
重合器内の圧力が下記の表1に示す圧力まで低下したところで、反応の終了を確認し反応を停止した。
その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することにより、塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル系共重合体(b))を得た。
(比較例1)
実施例1において、N−シクロヘキシルマレイミドの精製物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂を得た。
実施例1において、N−シクロヘキシルマレイミドの精製物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂を得た。
(比較例2)
N−シクロヘキシルマレイミド(イミレックスC)(日本触媒社製)を精製せずに用いたこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂を得た。
N−シクロヘキシルマレイミド(イミレックスC)(日本触媒社製)を精製せずに用いたこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル系樹脂を得た。
(評価)
(1)N−置換マレイミド(製品原料)の不純物濃度
GC/MSにより分析し、不純物濃度をピーク面積比から算出した。また、GC/MSにより分析し、得られた塩化ビニル系樹脂において、N−置換マレイミド(製品原料)に含まれる不純物に由来して、N−置換マレイミドの不純物が含まれていることを確認した。塩化ビニル系樹脂中のN−置換マレイミドの不純物の濃度を求めた。
(1)N−置換マレイミド(製品原料)の不純物濃度
GC/MSにより分析し、不純物濃度をピーク面積比から算出した。また、GC/MSにより分析し、得られた塩化ビニル系樹脂において、N−置換マレイミド(製品原料)に含まれる不純物に由来して、N−置換マレイミドの不純物が含まれていることを確認した。塩化ビニル系樹脂中のN−置換マレイミドの不純物の濃度を求めた。
(2)重合度
塩化ビニル系樹脂(塩化ビニルモノマーの重合体)の重合度を、JIS K6720−2に準拠して測定した。なお、発生した不溶解物はろ別し、可溶解分のみを用いて測定した。
塩化ビニル系樹脂(塩化ビニルモノマーの重合体)の重合度を、JIS K6720−2に準拠して測定した。なお、発生した不溶解物はろ別し、可溶解分のみを用いて測定した。
(3)N−置換マレイミドに由来する成分の含有量及び塩化ビニルモノマーの重合体の含有量
得られた塩化ビニル系樹脂について、酸素フラスコ燃焼法により塩素含有量を測定し、更に元素分析装置により塩化ビニル系樹脂の成分組成を算出した。具体的には、N−置換マレイミドに由来する成分の含有量(N−置換マレイミドに由来する構造単位の含有率)及び塩化ビニルモノマーの重合体の含有量(塩化ビニルに由来する構造単位の含有率)を算出した。
得られた塩化ビニル系樹脂について、酸素フラスコ燃焼法により塩素含有量を測定し、更に元素分析装置により塩化ビニル系樹脂の成分組成を算出した。具体的には、N−置換マレイミドに由来する成分の含有量(N−置換マレイミドに由来する構造単位の含有率)及び塩化ビニルモノマーの重合体の含有量(塩化ビニルに由来する構造単位の含有率)を算出した。
(4)熱安定性(Cテストによる熱分解時間)
得られた塩化ビニル系樹脂をガラス試験管に入れ、さらにコンゴーレッド試験紙を上部につるし栓をして密閉状態にした。JIS K6723に基づいて、コンゴーレッド試験紙の先端が、明瞭な青に変化するまでの時間を測定した。
得られた塩化ビニル系樹脂をガラス試験管に入れ、さらにコンゴーレッド試験紙を上部につるし栓をして密閉状態にした。JIS K6723に基づいて、コンゴーレッド試験紙の先端が、明瞭な青に変化するまでの時間を測定した。
配合組成及び結果を下記の表1に示す。
なお、比較例1,2から、原料のN−置換マレイミドの不純物が多く含まれていると、熱分解時間が短くなることがわかる。実施例1では、不純物濃度が0.05%であるが、精製条件をかえて不純物濃度をかえたところ、不純物濃度が0.3%以下であれば、比較例1と比べても、熱分解時間が長くなることを確認した。
Claims (3)
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JP2014241865A JP2016102168A (ja) | 2014-11-28 | 2014-11-28 | 塩化ビニル系樹脂及び成形体 |
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Cited By (1)
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CN108055849A (zh) * | 2015-07-03 | 2018-05-18 | 株式会社Lg化学 | 氯乙烯共聚物的制备方法以及由该制备方法制备的氯乙烯共聚物 |
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2014
- 2014-11-28 JP JP2014241865A patent/JP2016102168A/ja active Pending
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CN108055849B (zh) * | 2015-07-03 | 2020-09-08 | 株式会社Lg化学 | 氯乙烯共聚物的制备方法以及由该制备方法制备的氯乙烯共聚物 |
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