JP2016101658A - 金属光沢を有する装飾膜を備えた複合部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性が高く、金属光沢及び金属的素材感を有する装飾膜が形成された複合部材、並びにこの複合部材を備える光学部品及び電子部品を提供する。【解決手段】基材と、前記基材を被覆する最上層としての装飾膜とを備える複合部材であって、前記装飾膜が金属がドープされたアモルファスカーボンであり且つ10nm以上の厚さを有する。【選択図】 図1
Description
本発明は、最上層として金属光沢を有する装飾膜が形成された複合部材、並びにこの複合部材を備える光学部品及び電子部品に関する。
デジタルカメラ、携帯電話等のボディを構成する複合部材の基材の材料として、アルミニウム合金等の金属や、樹脂が用いられている。そのような複合部材の形状や外観などのデザイン要素は、デジタルカメラ、携帯電話等の商品価値を大きく左右する重要な因子となる。この点において、樹脂から形成された基材の外観は高級感に乏しく、商品価値の付加という点では不十分である場合がある。そのため、従来は、射出成型などの方法により成型した軽量で安価な樹脂基材上に、装飾膜として、金属膜を形成した複合部材が用いられていた。それにより複合部材に金属光沢を持たせることができ、高品位なデザイン性を確保しようとしていた。
さらに、金属膜からなる装飾膜の損傷や剥離を防止するために、例えば特許文献1の図4に示されているように、金属膜上に透光性膜を形成した複合部材も提案されている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、金属光沢および金属的な素材感を有し、且つ耐摩耗性の高い複合部材を提供することを目的とする。さらには、本発明は、そのような複合部材を備える光学部品及び電子部品を提供することを目的とする。
第1の態様に従えば、複合部材であって、
基材と、
前記基材を被覆する最上層としての装飾膜とを備え、
前記装飾膜が、金属がドープされたアモルファスカーボンであり、且つ10nm以上の厚さを有する複合部材が提供される。
基材と、
前記基材を被覆する最上層としての装飾膜とを備え、
前記装飾膜が、金属がドープされたアモルファスカーボンであり、且つ10nm以上の厚さを有する複合部材が提供される。
前記複合部材において、前記装飾膜が、300nm以下の厚さを有してもよい。
前記複合部材において、前記装飾膜が、1×10-5Ωcm〜8×10-3Ωcmの範囲の電気抵抗率を有してもよい。
前記複合部材において、前記装飾膜が、10GPa〜20GPaの硬度を有してもよい。
前記複合部材において、前記基材と前記装飾膜の間に透明層を備えてもよい。
前記複合部材において、前記基材と前記装飾膜の間に着色層を備えてもよく、さらに前記着色層と前記基材との間に透明層を備えてもよい。
前記複合部材において、前記装飾膜が前記基材に直接設けられていてもよい。さらに、前記基材は、着色された基材であってもよい。
前記複合部材において、前記装飾層の膜厚が10〜20nmであってもよい。
前記複合部材において、前記基材がプラスチックであってもよい。
前記複合部材において、前記金属がチタンまたはアルミニウムであってもよい。
前記複合部材において、前記基材がカメラ筐体部品であってもよい。
第2の態様に従えば、第1の態様の複合部材を備えた光学機器が提供される。
第3の態様に従えば、第1の態様の複合部材を備えた電子機器が提供される。
上記態様によれば、耐摩耗性が高く、金属光沢及び金属的素材感を有する装飾膜が形成された複合部材、並びにこの複合部材を備える光学部品及び電子部品を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、第1の実施形態の複合部材100は、基材60と、基材を被覆する最上層としての装飾膜80を有する。なお、「最上層」とは、複合部材の最表面に現れる層を意味し、その層の上には別の層が存在していない。また、「装飾膜」とは、製品の外観に表れる部分の全体または一部に、製品のデザイン性を高めるために形成される膜であり、他の部材との連結等により製品外観に表れない部分に形成される膜、例えば、他との部材と摺動接触する部分に形成されて、使用状態では外部に露出しない膜は装飾膜に含まれない。
図1に示すように、第1の実施形態の複合部材100は、基材60と、基材を被覆する最上層としての装飾膜80を有する。なお、「最上層」とは、複合部材の最表面に現れる層を意味し、その層の上には別の層が存在していない。また、「装飾膜」とは、製品の外観に表れる部分の全体または一部に、製品のデザイン性を高めるために形成される膜であり、他の部材との連結等により製品外観に表れない部分に形成される膜、例えば、他との部材と摺動接触する部分に形成されて、使用状態では外部に露出しない膜は装飾膜に含まれない。
複合部材100の基材60には、用途に応じて種々の材料が用いられる。本実施形態の複合部材100がカメラシステムに用いられる場合、基材60として例えば、アルミニウム、ステンレス鋼のような金属やセラミックなどの無機材料、樹脂等の有機材料などで形成され、任意の形状を有するカメラ筐体部品を用いることができる。樹脂は安価で比重が小さいため、樹脂を射出成型して形成した基材60を用いることで、複合部材を軽量化し、安価に大量生産することが可能となる。樹脂としては、射出成型などの量産化プロセスに適した樹脂(プラスチック)が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエステル樹脂、及びこれらの樹脂中にガラスファイバーやカーボンファイバーを添加した樹脂など種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、基材60は、例えば顔料または染料を基材材料に練りこむことによって、着色されていてもよい。
装飾膜80は金属がドープされたアモルファスカーボンからなる。アモルファスカーボンとは、ダイヤモンドに対応するsp3結合した炭素sp3‐Cと、グラファイトに対応するsp2結合した炭素sp2‐Cがランダムに混じり合った炭素組成物(以下、適宜「a‐C」と表記する)である。アモルファスカーボンは、ダイヤモンドとグラファイトの両者の特徴を併せ持った特性を有し、高硬度で耐摩耗性に優れる材料である。
アモルファスカーボンにより、耐摩耗性を獲得できても、所望の金属的な外観(金属光沢)及び素材感を獲得することは困難であると考えられてきた。これは、アモルファスカーボンの高い硬度は自由電子をもたない炭素原子間の共有結合により実現されるが、一方、金属光沢及び金属的な素材感は多数の自由電子を有することにより実現されるからである。本実施形態では、金属をドープしたアモルファスカーボン(以下、適宜「a‐C:M」と表記する)を用いることで、良好な耐摩耗性、並びに金属的な外観(金属光沢)及び素材感を備えた装飾膜を製造することに成功した。
アモルファスカーボンにドープする金属としては、装飾膜80の耐摩耗性や、金属的な外観(金属光沢)及び素材感、特に金属的な外観という観点からすれば、Ti、Ni、Cr、Al、Mg、Cu、Fe、Ag、Au、Pt等が挙げられる。このうち、Ti、Al、Cr、Ni、Feが好ましく、Ti、Alが特に好ましい。装飾膜80中の金属の含有量(ドープ量)は、装飾膜80の耐摩耗性並びに金属的な外観及び素材感を適度に維持するためには、1〜33at%、特に1〜20at%が望ましい。含有量が1at%未満であると金属的な外観(金属光沢)及び素材感が不十分である。含有量が20at%を超えると、装飾膜80の硬度が低下して耐摩耗性が悪化する傾向にある。
装飾膜80の金属がドープされたアモルファスカーボン層80は、10nm以上の膜厚を有する。装飾膜80の膜厚が10nm未満であると、装飾膜80の金属光沢を認識することが難しい。さらに、装飾膜80の金属がドープされたアモルファスカーボン層80は、300nm以下の膜厚を有することが好ましい。装飾膜80の膜厚が300nmを超える場合、装飾膜80の成膜時間及び材料が多く必要になり、複合部材100の製造プロセスの生産性が低下する。この点で、装飾膜80の膜厚の上限は特に100nmが好ましい。さらに、装飾膜80の膜厚が20nm以下であると、装飾膜80の光透過性が大きくなり、装飾膜80を通して基材60の色相が見える。そのため、所望の色に着色した基材60や基材60上に着色層を備える場合には、所望の色の金属光沢を有する複合部材100を得ることができるという理由から、装飾膜80の膜厚は10nm〜20nmであることがさらに好ましい。
装飾膜80の金属がドープされたアモルファスカーボンは、1×10-5Ωcm〜8×10-3Ωcmの範囲の電気抵抗率を有することが好ましい。低電気抵抗率は自由電子を有する金属結合性材料に特有の性質である。金属光沢および高い伝熱性による金属的な素材感もまた、自由電子が存在することによって得ることができる性質である。したがって装飾膜80の電気抵抗率が前記上限以下である場合、装飾膜80は自由電子を有するため、その装飾膜80を備える複合部材100は所望の金属光沢及び金属的な素材感を有することができる。一方、装飾膜80の電気抵抗率が前記下限未満である場合、貴金属のように極めて軟質な膜となり、装飾膜80を備える複合部材100の耐摩耗性が不十分となるため、装飾膜として不適当である。
装飾膜80の金属がドープされたアモルファスカーボンは、10GPa〜20GPaの硬度を有することが好ましい。装飾膜80の硬度が前記下限未満である場合、装飾膜80を備える複合部材100の耐摩耗性が不十分となり、複合部材100に傷が生じたり、装飾膜80が剥離したりする恐れがある。一方、装飾膜80の硬度が前記上限を超える場合、自由電子をほとんど有さない透明な膜となり金属光沢を呈さないため、装飾膜として不適当である。
<第2実施形態>
この実施形態の複合部材200は、図2に示すように、基材60と装飾膜80の間に、透明層120を備えている。透明層120は、クリアコートと呼ばれる樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。透明層120を形成することにより、基材60表面に凹凸や欠陥がある場合に、基材60の凹凸及び欠陥を埋めることができる。そのため、基材60と装飾膜80の間に透明層120を備える複合部材200は、粗さが小さく欠陥が少ない、高品位の外観品質を有し得る。
この実施形態の複合部材200は、図2に示すように、基材60と装飾膜80の間に、透明層120を備えている。透明層120は、クリアコートと呼ばれる樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。透明層120を形成することにより、基材60表面に凹凸や欠陥がある場合に、基材60の凹凸及び欠陥を埋めることができる。そのため、基材60と装飾膜80の間に透明層120を備える複合部材200は、粗さが小さく欠陥が少ない、高品位の外観品質を有し得る。
<第3実施形態>
この実施形態の複合部材300は、図3に示すように、基材60と装飾膜80の間に、着色層140を備えている。装飾膜80越しに着色層140の色相が見えるようにするため、装飾膜80の膜厚は10〜20nmであることが好ましい。着色層80は、特定波長帯域の光を吸収する顔料や染料を含有させたクリアコート樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。
この実施形態の複合部材300は、図3に示すように、基材60と装飾膜80の間に、着色層140を備えている。装飾膜80越しに着色層140の色相が見えるようにするため、装飾膜80の膜厚は10〜20nmであることが好ましい。着色層80は、特定波長帯域の光を吸収する顔料や染料を含有させたクリアコート樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。
<第4実施形態>
この実施形態の複合部材400は、図4に示すように、基材60と装飾膜80の間に着色層140を備え、さらに着色層140と基材60との間に透明層120を備えている。装飾膜80越しに着色層140の色相が見えるようにするため、装飾膜80の膜厚は10〜20nmであることが好ましい。透明層120は、クリアコートと呼ばれる樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。透明層120を形成することにより、基材60表面に凹凸や欠陥がある場合に、基材60の凹凸及び欠陥を埋めることができる。そのため、基材60と装飾膜80の間に透明層120を備える複合部材400は、粗さが小さく欠陥が少ない、高品位の外観品質を有し得る。
この実施形態の複合部材400は、図4に示すように、基材60と装飾膜80の間に着色層140を備え、さらに着色層140と基材60との間に透明層120を備えている。装飾膜80越しに着色層140の色相が見えるようにするため、装飾膜80の膜厚は10〜20nmであることが好ましい。透明層120は、クリアコートと呼ばれる樹脂をスプレー塗装することより形成することができる。透明層120を形成することにより、基材60表面に凹凸や欠陥がある場合に、基材60の凹凸及び欠陥を埋めることができる。そのため、基材60と装飾膜80の間に透明層120を備える複合部材400は、粗さが小さく欠陥が少ない、高品位の外観品質を有し得る。
<装飾膜の製造方法>
基材上に装飾膜を形成する成膜方法の一例として、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法及びその方法を実施する成膜装置1の概要構造を、図5を参照しながら説明する。
基材上に装飾膜を形成する成膜方法の一例として、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法及びその方法を実施する成膜装置1の概要構造を、図5を参照しながら説明する。
FCVA成膜装置1は、主に、アークプラズマ生成部10と、フィルタ部20と、成膜チャンバ部30とから構成される。アークプラズマ生成部10と成膜チャンバ部30とがフィルタ部20により接続され、図示省略する真空装置により成膜チャンバ部30の圧力が10-5[Torr]程度の真空度に設定される。
アークプラズマ生成部10には、カソードであるターゲット11とアノード(ストライカー)が設けられており、ストライカーをターゲット11に接触させて直後に離すことによってアーク放電を生じさせる。a‐C膜を成膜する場合には、ターゲット11としてグラファイトが用いられ、アーク放電によりアークプラズマ(炭素プラズマ)が発生される。アークプラズマにより生成された中性の炭素粒子及び炭素イオンは、成膜チャンバ部30に向けてフィルタ部20を飛行する。上記実施形態の金属ドープされたa‐C膜からなる装飾膜を製造するには、金属を含み且つ水素を含まないグラファイトのターゲットを用いる。金属種は前述のようにTi、Ni、Cr、Al、Mg、Cu、Fe、Ag、Au、Ptなどが挙げられる。
フィルタ部20には、電磁石コイル21が巻かれたダクト23及びイオンスキャン用コイル25が設けられている。ダクト23は、アークプラズマ生成部10と成膜チャンバ部30との間で、直交する二方向に2度曲折されており、その外周に電磁石コイル21が巻き付けられている。ダクト23がこのような屈曲構造(ダブルベンド構造)を有することにより、ダクト23内の中性粒子は内壁面に衝突して堆積することで除去される。一方、電磁石コイル21に電流を流すことによりダクト23内部の荷電粒子にはローレンツ力が作用して、ダクト断面の中心領域に集約され、ダクトの屈曲に沿って飛行し、成膜チャンバ部30に導くことができる。すなわち、この電磁石コイル21とダクト23が、荷電粒子のみを高効率で通過させる狭帯域の電磁気空間的フィルタを構成する。
イオンスキャン用コイル25は、上記のようにしてダクト23を通り成膜チャンバ部30に入る荷電粒子のビームをスキャンし、ホルダ31に保持された基材32の表面に一様なa‐C:M膜を形成する。基材は、樹脂等の有機材料や、金属やセラミックなどの無機材料からなる任意の形状の材料を使用することができる。装飾膜がカメラ用の複合部材に使用される場合には、樹脂などのプラスチックやアルミニウム、ステンレス鋼などの金属が用いられる。
成膜チャンバ部30には、フィルタ部20の出口と対向するプレート状のホルダ31が設けられ、このホルダ31の表面に基材32がセットされる。ホルダ31はモータ35によりその回転軸を中心として回転可能である。ホルダ31には電源37によって任意のバイアスを設定可能になっている。
<複合部材を有する部品>
さらなる実施形態によれば、上記のような複合部材を有する部品もまた提供される。上記実施形態の複合部材は、複合部材の有する高い耐摩耗性、金属的外観(金属光沢)及び金属的素材感という観点から様々な用途の部品に使用することができるが、特に、形状や外観などのデザイン要素が商品価値を大きく左右する重要な因子となるデジタルカメラ、双眼鏡、眼鏡等の光学機器、携帯電話、スマートフォン、携帯音楽機器、携帯映像機器等の電子機器などの部品に好適である。
さらなる実施形態によれば、上記のような複合部材を有する部品もまた提供される。上記実施形態の複合部材は、複合部材の有する高い耐摩耗性、金属的外観(金属光沢)及び金属的素材感という観点から様々な用途の部品に使用することができるが、特に、形状や外観などのデザイン要素が商品価値を大きく左右する重要な因子となるデジタルカメラ、双眼鏡、眼鏡等の光学機器、携帯電話、スマートフォン、携帯音楽機器、携帯映像機器等の電子機器などの部品に好適である。
[実施例]
以下に、装飾膜を備える部材の製造方法を記載するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
以下に、装飾膜を備える部材の製造方法を記載するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7
図5に示すようなFCVA成膜装置1を用いて、基材上に、アモルファスカーボン層として、FCVA法によりa‐C:Ti膜(チタンドープアモルファスカーボン膜)を作製した。金属元素を含むターゲット11としては、Tiを2.15[at%]含有した焼結グラファイトターゲットを用いた。なお、焼結グラファイトターゲットは脱水処理したものを用いた。また、基材としてはポリカーボネート基板を用いた。a‐C:Ti膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)の電流を60A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を13A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を8A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.2Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。a‐C:Ti膜は、成膜時間を制御することにより、図6の表中に示すように種々の膜厚に調整した。
図5に示すようなFCVA成膜装置1を用いて、基材上に、アモルファスカーボン層として、FCVA法によりa‐C:Ti膜(チタンドープアモルファスカーボン膜)を作製した。金属元素を含むターゲット11としては、Tiを2.15[at%]含有した焼結グラファイトターゲットを用いた。なお、焼結グラファイトターゲットは脱水処理したものを用いた。また、基材としてはポリカーボネート基板を用いた。a‐C:Ti膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)の電流を60A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を13A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を8A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.2Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。a‐C:Ti膜は、成膜時間を制御することにより、図6の表中に示すように種々の膜厚に調整した。
実施例8、9
実施例1〜7で用いたFCVA成膜装置1により、基材上に、アモルファスカーボン層として、FCVA法によりa‐C:Al膜(アルミニウムドープアモルファスカーボン膜)を作製した。金属元素を含むターゲット11としては、Alを8.5[at%]含有した焼結グラファイトターゲットを用いた。なお、焼結グラファイトターゲットは脱水処理したものを用いた。また、基材としてはポリカーボネート基板を用いた。a‐C:Al膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を70A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を13A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を8A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.2Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。a‐C:Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、15nm及び300nmにそれぞれ調整した。
実施例1〜7で用いたFCVA成膜装置1により、基材上に、アモルファスカーボン層として、FCVA法によりa‐C:Al膜(アルミニウムドープアモルファスカーボン膜)を作製した。金属元素を含むターゲット11としては、Alを8.5[at%]含有した焼結グラファイトターゲットを用いた。なお、焼結グラファイトターゲットは脱水処理したものを用いた。また、基材としてはポリカーボネート基板を用いた。a‐C:Al膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を70A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を13A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を8A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.2Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。a‐C:Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、15nm及び300nmにそれぞれ調整した。
比較例1
実施例で用いたFCVA成膜装置1により、基材上に、FCVA法によりTi膜を作製した。ターゲット11としては、Tiターゲットを用いた。基材としてはポリカーボネート基板を用いた。Ti膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を140A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を7.5A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を10.5A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.5Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。Ti膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、200nmとした。
実施例で用いたFCVA成膜装置1により、基材上に、FCVA法によりTi膜を作製した。ターゲット11としては、Tiターゲットを用いた。基材としてはポリカーボネート基板を用いた。Ti膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を140A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を7.5A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を10.5A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.5Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。Ti膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、200nmとした。
比較例2
a‐C:Ti膜の膜厚を5nmとした以外は、実施例1と同様にしてa‐C:Ti膜を作製した。
a‐C:Ti膜の膜厚を5nmとした以外は、実施例1と同様にしてa‐C:Ti膜を作製した。
上記のようにして作製した実施例1〜9及び比較例1、2の試料について、可視分光光度計にて、波長500nmにおける反射率及び透過率を測定した。また、スガ試験機(株)製カラーコンピュータSM−4型により試料の色度を計測した。結果を図6の表中に示す。実施例1〜9の試料は、反射率が29.7〜34.1%であった。比較例1の試料は、反射率が53.2%であった。比較例2の試料は反射率が10.7%であった。また、a‐C:M膜の膜厚が25nm以上である実施例4〜7及び実施例9の試料では透過率は0%であり、a‐C:M膜を透過したポリカーボネート基板の色相は見られなかった。一方、a‐C:M膜の膜厚が20nm以下である実施例1〜3及び実施例8の試料では、透過率が12.6%〜56.3%であり、a‐C:M膜を透過してポリカーボネート基材の色相が見られた。なお、L*a*b*表色系により表示された試料の色度がa*≒0かつb*≒0のときに、色相無しと表示した。
次に、実施例1〜9及び比較例1、2の試料について、金属光沢の有無を測定した。金属光沢は、デジタル変角光沢計(Digital Variable Gloss Meter, UGV−5D,スガ試験機(株)製)によって測定した。測定条件は次のとおりである。
光源:D65
角度:60度
参照材料:60°Gloss standard
校正値:91.2%
上記の光沢度測定によりオーバーレンジと表示されたものを金属光沢有りとした。結果を図6の表中に示す。実施例1〜9及び比較例1の試料は金属光沢を有していたが、比較例2の試料は金属光沢を有さなかった。
光源:D65
角度:60度
参照材料:60°Gloss standard
校正値:91.2%
上記の光沢度測定によりオーバーレンジと表示されたものを金属光沢有りとした。結果を図6の表中に示す。実施例1〜9及び比較例1の試料は金属光沢を有していたが、比較例2の試料は金属光沢を有さなかった。
次に、実施例1〜9及び比較例1、2の試料について、スチールウール試験によって耐摩耗性を評価した。スチールウール試験は、スチールウール(steel wool No.0000)を取り付けたラビングテスター((株)ケイエステ製)によって行い、スチールウールを200gfの荷重で試料に押し付けて、振幅30mmで80回往復させて、目視にて傷が確認できない場合を合格(表中では「○」と表記する)、目視にて傷が確認できる場合を不合格(表中では「×」と表記する)とした。結果を図6の表中に示す。実施例1〜9の試料はいずれも合格であったが、比較例1、2の試料はスチールウールによって傷が生じたため不合格であった。
実施例10
基材とa‐C:Ti膜の間に紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例2と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は、ポリカーボネート基材上に市販のUV下塗り用アクリルラッカー塗料を手動でスプレーコートすることにより作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
基材とa‐C:Ti膜の間に紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例2と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は、ポリカーボネート基材上に市販のUV下塗り用アクリルラッカー塗料を手動でスプレーコートすることにより作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
実施例11
基材とa‐C:Al膜の間に紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例8と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は、実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
基材とa‐C:Al膜の間に紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例8と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は、実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
実施例12
紫外線硬化コート層とa‐C:Ti膜の間に顔料入り紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例10と同様にして試料を作製した。顔料入り紫外線硬化コート層は、青色の顔料をブレンドした市販のUV硬化型上塗り用クリヤー塗料を手動で紫外線硬化コート層上にスプレーコートすることにより作製した。顔料入り紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
紫外線硬化コート層とa‐C:Ti膜の間に顔料入り紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例10と同様にして試料を作製した。顔料入り紫外線硬化コート層は、青色の顔料をブレンドした市販のUV硬化型上塗り用クリヤー塗料を手動で紫外線硬化コート層上にスプレーコートすることにより作製した。顔料入り紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
実施例13
紫外線硬化コート層とa‐C:Al膜の間に顔料入り紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例11と同様にして試料を作製した。顔料入り紫外線硬化コート層は、実施例12と同様にして作製した。顔料入り紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
紫外線硬化コート層とa‐C:Al膜の間に顔料入り紫外線硬化コート層を形成した以外は、実施例11と同様にして試料を作製した。顔料入り紫外線硬化コート層は、実施例12と同様にして作製した。顔料入り紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。
比較例3
a‐C:Al膜の代わりにAl膜を形成した以外は、実施例11と同様にして試料を作製した。Al膜は実施例で用いたFCVA成膜装置1により作製した。ターゲット11としては、Alターゲットを用いた。Al膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を160A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を7.5A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を10.5A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.5Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、200nmとした。
a‐C:Al膜の代わりにAl膜を形成した以外は、実施例11と同様にして試料を作製した。Al膜は実施例で用いたFCVA成膜装置1により作製した。ターゲット11としては、Alターゲットを用いた。Al膜の成膜時におけるFCVA成膜装置1の運転条件として、アークプラズマ生成部10におけるアーク電源(カソード側電源)のアーク電流を160A、フィルタ部20における電磁石コイル21の電流(フィルタ電流)を7.5A、アークプラズマ生成部10におけるアノード側電源の電流(アノード電流)を10.5A、イオンスキャン用コイル25の電圧(ダクト電圧)を0.5Vとした。バイアス電源の電圧は、フローティングとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、200nmとした。
比較例4
膜厚20nmのAl膜上に紫外線硬化コート層を形成した以外は、比較例3と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
膜厚20nmのAl膜上に紫外線硬化コート層を形成した以外は、比較例3と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
比較例5
a‐C:Al膜の代わりにAl膜を形成した以外は、実施例13と同様にして試料を作製した。Al膜は、比較例3と同様にして作製した。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
a‐C:Al膜の代わりにAl膜を形成した以外は、実施例13と同様にして試料を作製した。Al膜は、比較例3と同様にして作製した。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
比較例6
膜厚20nmのAl膜上に紫外線硬化コート層を形成した以外は、比較例5と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
膜厚20nmのAl膜上に紫外線硬化コート層を形成した以外は、比較例5と同様にして試料を作製した。紫外線硬化コート層は実施例10と同様にしてスプレーコート法により作製した。紫外線硬化コート層の膜厚は8μmとした。Al膜の膜厚は、成膜時間を制御することにより、20nmとした。
上記のようにして作製した実施例10〜13及び比較例3〜6の試料について、実施例1と同様にして金属光沢の有無を測定した。結果を図7の表中に示す。表面に金属光沢を有するa‐C:M膜またはAl膜が形成されている実施例10〜13及び比較例3、5の試料は金属光沢を有していたが、最表面に金属光沢を有さない紫外線硬化コート層が形成されている比較例4、6の試料は、金属光沢(金属的な素材感)を有さなかった。比較例4、6の試料は、一見すると金属的な素材感を有しているように感じられるが、紫外線硬化コート層を通して見た金属膜からの光沢であるため、よく見ると、金属を直接目視した時に感じられる金属光沢とは異なっているように感じられてしまう。このように、金属的な素材感を得るためには、最表層に金属光沢を有する層を配置する必要があることがわかる。
次に、実施例10〜13及び比較例3〜6の試料について、実施例1と同様にしてスチールウール試験によって耐摩耗性を評価した。結果を図7の表中に示す。最表面にa‐C:M膜または紫外線硬化コート層が形成されている実施例10〜13及び比較例4、6の試料は合格であったが、最表面にAl膜が形成されている比較例3、5の試料は、スチールウールによって目視で確認できる傷が生じたため不合格であった。最上層に軟質(低硬度)な金属膜を配置すると容易に傷がつくため、耐摩耗性に劣ることがわかる。このような耐摩耗性の低い膜を複合部材の装飾膜として用いると、ユーザが複合部材を使用する時に、容易に装飾膜表面に傷がついたり装飾膜が剥離したりして、複合部材の外観を損ねるおそれがある。
さらに、実施例10〜13及び比較例3〜6の試料について、色相を評価した。結果を図7の表中に示す。顔料入り紫外線硬化コート層を備える実施例12、13及び比較例5、6の試料はいずれも顔料色を呈していた。実施例12、13では、a‐C:M膜の膜厚が15nm、つまり20nm以下であるため、a‐C:M膜を透過して顔料の色相を見ることができた。
以上の評価結果に示された通り、実施例で用いたa‐C:M膜は、耐摩耗性及び金属光沢(金属的な素材感)を有している。このようなa‐C:M膜が表面に形成された部材は、金属光沢による高い外観品質をもち、且つ高い耐摩耗性により長期間外観品質を保持することができる。樹脂製基材を用いてa‐C:M膜が表面に形成された部材を作製することにより、容易かつ安価にデザイン性の高い部材を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。例えば、a‐C:Mの金属ドープ元素Mの一例としてチタン及びアルミニウムを示したが、以上の説明から当業者であれば理解されるように、金属ドープ元素はa‐Cを基本とする皮膜に導電性を付与する役割を果たせばよく、他の金属元素、例えばNi、Cr、Mg、Cu、Fe、Ag、Au、Pt等であってもよい。
本実施形態の複合部材を有する部品は広範な用途に適用することができる。その一例を例示すれば、形状や外観などのデザイン要素が商品価値を大きく左右する重要な因子となるデジタルカメラ、双眼鏡、眼鏡等の光学機器、携帯電話、スマートフォン、携帯音楽機器、携帯映像機器等の電子機器などが挙げられる。
1 成膜装置
10 アークプラズマ生成部
11 ターゲット
20 フィルタ部
21 電磁石コイル
23 ダクト
25 イオンスキャン用コイル
30 成膜チャンバ部
31 ホルダ
32 基材
35 モータ
37 電源
60 基材
80 装飾膜
100 複合部材
120 透明層
140 着色層
200、300、400 複合部材
10 アークプラズマ生成部
11 ターゲット
20 フィルタ部
21 電磁石コイル
23 ダクト
25 イオンスキャン用コイル
30 成膜チャンバ部
31 ホルダ
32 基材
35 モータ
37 電源
60 基材
80 装飾膜
100 複合部材
120 透明層
140 着色層
200、300、400 複合部材
Claims (15)
- 複合部材であって、
基材と、
前記基材を被覆する最上層としての装飾膜とを備え、
前記装飾膜が金属がドープされたアモルファスカーボンであり且つ10nm以上の厚さを有する複合部材。 - 前記装飾膜が、300nm以下の厚さを有する請求項1に記載の複合部材。
- 前記装飾膜が、1×10-5Ωcm〜8×10-3Ωcmの範囲の電気抵抗率を有する請求項1または2に記載の複合部材。
- 前記装飾膜が、10GPa〜20GPaの硬度を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記基材と前記装飾膜の間に透明層を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記基材と前記装飾膜の間に着色層を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記着色層と前記基材との間に透明層を備える請求項6に記載の複合部材。
- 前記装飾膜が前記基材に直接設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記基材が、着色された基材である請求項8に記載の複合部材。
- 前記装飾層の膜厚が10〜20nmである請求項6、7または9に記載の複合部材。
- 前記基材がプラスチックである請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記金属がチタンまたはアルミニウムである請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記基材がカメラ筐体部品である請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合部材。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合部材を備えた光学機器。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合部材を備えた電子機器。
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RU2114210C1 (ru) * | 1997-05-30 | 1998-06-27 | Валерий Павлович Гончаренко | Способ формирования углеродного алмазоподобного покрытия в вакууме |
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KR20130069621A (ko) * | 2010-05-07 | 2013-06-26 | 가부시키가이샤 니콘 | 도전성 슬라이딩막, 도전성 슬라이딩막이 형성된 부재 및 그 제조 방법 |
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