JP2016098284A - アクリル重合体及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、熱安定性等の耐久性に優れる低分子量アクリル重合体を、簡便に製造することができる方法、および該方法により製造されるアクリル重合体を提供することを目的とする。【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をラジカル重合する工程(工程I)と、該工程Iで得られた重合体に水素添加する工程(工程II)と、を有するアクリル重合体の製造方法である。数平均分子量が1000未満であり、重量平均分子量が1500未満であり、イオウ分の含有量が2ppm未満であり、リン分の含有量が2ppm未満であり、金属分の含有量が100ppm未満であり、末端ビニル基の含有量が0質量%以上、1質量%以下である、アクリル重合体である。【選択図】なし

Description

ラジカル重合したのち、水素添加反応を行うことを特徴とする末端ビニル基を有さないアクリル重合体の製法及び、それにより得られたアクリル重合体に関する。また、該アクリル重合体を用いた冷凍機用潤滑油に関する。
分子量の低いアクリル重合体は塩化ビニル樹脂やABS樹脂などの成形材及び、シーリング材等の合成樹脂の可塑剤として、また、塗料や粘・接着剤の無溶剤化、ハイソリッド化にも有用である。
そのような分子量の低いアクリル重合体を製造する方法として、200℃以上の高温でバルク重合する方法(特許文献1、非特許文献1)、150℃以上の高温において、溶液重合する方法(特許文献2、非特許文献2)、250℃以上の高温で、アクリル重合体を熱分解する方法(特許文献3)、が知られている。
一方、高温重合や、熱分解により製造される低分子量アクリル重合体は、不可避的に末端ビニル基を有することが知られている(非特許文献1)。
また、アニオン重合により低分子量アクリル重合体が得られ、冷媒との相溶性に優れるとともに潤滑性能にも優れることから、冷凍機用潤滑油に好適であることが記載されている。(特許文献5)。
米国特許第4414370号明細書 特開2004−18791号公報 特開平11−240854号公報 国際公開第01/083619号 特開平4−275−397号公報
河合道弘「高温重合によるマクロモノマーの合成とその反応性」、東亜合成研究年報、2002年、第5号、p.2−10 大畑正敏、外2名、「低分子量アクリル樹脂の特性に及ぼす重合温度の影響」、色材協会誌、2006年、第79巻、第7号、p.283−289
上記のとおり、分子量の低いアクリル重合体の製造方法が種々知られている。しかし、高温重合や、熱分解により製造される低分子量アクリル重合体は、熱安定性等の耐久性が十分でなく、耐熱性を改善するという要求があった。
一方で、連鎖移動剤としてメルカプト化合物やリン酸(塩)等のリン化合物を使用したり、アニオン重合により製造したものの中には、ある程度良好な熱安定性等の耐久性を示す場合がある。しかし、前者の場合、熱安定性を改善するためには多量のメルカプト化合物やリン化合物の添加が必要となり、臭気や着色の問題があり、改善の要求があった。また後者の場合、重合触媒として金属化合物を用いるため金属分を多く含む重合体となる。特に、分子量の低い重合体を得るためには重合触媒を多く用いる必要があり、触媒除去の操作を行ったとしても、十分に金属分を除くことが難しい。そのため、電子材料のごとき高度な絶縁性や耐蝕性を求める用途や、冷凍機用潤滑油のごとき不純物の混入を嫌う用途などに適用するには問題があり、改善の要求があった。
よって、本発明は、熱安定性等の耐久性に優れる低分子量アクリル重合体を、簡便に製造することができる方法、および該方法により製造されるアクリル重合体を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱安定性等の耐久性に優れ、金属成分の含有量や硫黄成分の含有量の少ない、低分子量アクリル重合体(組成物)を提供することを、別の目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、高温重合や、熱分解により製造される低分子量アクリル重合体において、熱安定性等の耐久性を損なう主な要因は、不可避的に存在する末端ビニル基に存することを突き止めた。更に、イオウ分の含有量を2ppm未満、リン分の含有量が2ppm未満、金属分の含有量を100ppm未満とすることで、臭気や着色、分子量変化等の問題も解消されることに想到した。
そうした末端ビニル基を有さない低分子量アクリル重合体、さらにはイオウ分の含有量が2ppm未満、リン分の含有量が2ppm未満、金属分の含有量が100pm未満である、低分子量アクリル重合体を得るためには、アクリルモノマーをラジカル重合した後、水素添加反応を行うことが有効であり、工業的にも適した製法であることを見出し、さらに、そのようにして得られた低分子量アクリル重合体が、冷凍機用潤滑油として好適であることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をラジカル重合する工程(工程I)と、該工程Iで得られた重合体に水素添加する工程(工程II)と、を有するアクリル重合体の製造方法である。
また、本発明の別の局面からは、アクリル重合体(組成物)が提供される。すなわち本発明のアクリル重合体は、数平均分子量が1000未満であり、重量平均分子量が1500未満であり、末端ビニル基の含有量が0質量%以上、1質量%以下であり、イオウ分の含有量が2ppm未満、リン分の含有量が2ppm未満、金属分の含有量が100ppm未満であるアクリル重合体(組成物)である。更に本発明は、前記のアクリル重合体を含むことを特徴とする冷凍機用潤滑油に関し、特に冷媒が水素含有フロンを用いた前記冷凍機用潤滑油である。
本発明のアクリル重合体は、末端ビニル基を有さないため、安定性に優れ、例えば長時間、高温にさらされても分子量の変化や色目の変化が少ない。また、所望に応じて連鎖移動剤を使用しないことも可能であるため、連鎖移動剤に由来する臭気等の問題を回避することが可能であり、また、種々の安定性低下の要因となるイオウ分、リン分の含有量を少なく設定することが可能である。また、金属系の触媒を多量に使用する必要がないため、種々の安定性低下の要因となる金属分の含有量を少なく設定することが可能である。それらの効果として安定性や耐久性に優れ、例えば、冷凍機用潤滑油のごとき高い耐久性の要求される用途に好適に用いることができる。
水素添加前の実施例1で得られた重合体(EA重合体)のHNMRチャートである。 水素添加後の実施例1で得られた重合体(EA重合体)のHNMRチャートである。
本発明の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をラジカル重合する工程(工程I)と、該工程Iで得られた重合体に水素添加する工程(工程II)と、を有するアクリル重合体の製造方法である。
本発明において、「アクリル重合体」とは、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をラジカル重合する工程を含み、得られる重合体をいう。本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルをいう。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシエチルアクリル酸ブチルなどのα−ヒドロキシアルキルアクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸誘導体類;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、パーフルオロエチレンなどの(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体類などが挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上記工程Iで使用される単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体(以下、「その他の単量体」ともいう)を含んでいても良い。その他の単量体としては、通常はラジカル重合可能な化合物であることが好ましい。その他の単量体は、2種以上使用しても良い。上記単量体成分は、全単量体((メタ)アクリル酸エステルおよびその他の単量体)100モル%に対し、(メタ)アクリル酸エステル(2種以上含まれる場合にはその合計)を80モル%以上、100モル%以下含むことが好ましく、90モル%以上、100モル%以下含むことがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
本発明のアクリル重合体は好ましくはラジカル重合により製造できる。ラジカル重合は比較的、低廉な装置で行うことができ、広く工業的に実施されている。重合温度を適当な範囲に選択することで、アクリル重合体の分子量を制御することができる。
重合温度は特に限定されないが、数平均分子量が1000未満、かつ、重量平均分子量が1500未満のアクリル重合体を得るためには、150℃以上の温度で重合することが好ましい。200℃以上350℃以下で重合することがさらに好ましく、240℃以上300℃以下で重合することが特に好ましい。かかる高温において重合するにあたっては、反応系を密閉状態にできる反応器を用いることが好ましい。
上記工程Iで使用する開始剤に特に制限は無いが、上記重合を150〜350℃で行う場合、開始剤としては、例えば、ジ(t−アミル)パーオキサイド、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、t−アミルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化水素などを使用することができる。その使用量は、上記モノマー混合物に対して、例えば、0.5〜10重量%である。
また、重合に用いられる有機溶剤としては、炭化水素系、エステル系、ケトン系、アルコール系、エーテル系などの種々のものが利用できるが、重合温度を考慮すると、100℃以上の沸点を有する溶剤を用いることが好ましい。なお、これらの溶剤は2種以上を組合せて使用することができる。上記溶剤の量は適宜決定できるが、ハイソリッドタイプの塗料に含まれるバインダーを製造する場合には、モノマー混合物に対して、25〜65重量%であることが好ましい。
上記重合反応には、従来からよく知られているアクリル重合方法の手順をそのまま適用することができる。例えば、所定の重合温度に加熱した溶剤に、上記モノマー混合物および開始剤を滴下していく方法が用いられる。滴下終了後、重合温度を保ったまま熟成を行うことが好ましい。この重合反応は、通常、1〜9時間かけて行われることが好ましい。
本発明の製造方法は、上記工程Iで得られた重合体に水素添加する工程(工程II)を含む。工程(II)における水素添加反応としては(1)Ti、Co、Niなどの有機酸塩またはアセチルアセトン塩と、Li、Mg、Al、Snなどの有機金属化合物を組み合わせてなる、いわゆるチグラータイプの均一系触媒を用いる方法、(2)パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属をカーボン、アルミナ、シリカ・アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持してなる担持型貴金属系触媒を用いる方法、(3)ニッケルなどの卑金属を用いた固体触媒を用いる方法、(3)Rh、Ruなどの貴金属錯体触媒を用いる方法などが知られている。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物、還元性有機金属化合物、又はチタノセン化合物と還元性有機金属化合物の混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上持つ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。本発明において、水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。
水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも実施できる。
本発明の製造方法は、上記工程I、工程IIの他、任意の工程を含んでいても良い。例えば、重合溶媒等を使用した場合の溶媒除去工程、任意の溶媒で希釈する希釈工程、精製工程、抽出工程、ろ過工程等を含んでいても良い。
[アクリル重合体]
本発明のアクリル重合体は、末端ビニル基の含有量が0質量%以上、1質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0質量%以上、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%以上、0.3質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。上記範囲であれば、安定性が顕著に良好となる傾向にあり、例えば長時間、高温にさらされても分子量の変化や色目の変化が小さくなる傾向にある。末端ビニル基の含有量は、例えばHNMRより、末端ビニル基と単量体構造のモル比を評価し、質量比に換算することにより算出することができる。
本発明のアクリル重合体は、上記の本発明の製造方法により製造することが好ましい。
本発明のアクリル重合体は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)で決定される数平均分子量が、好ましくは5000未満、更に好ましくは2000未満、特に好ましくは1000未満である。また、GPCで決定される重量平均分子量が、好ましくは7500未満、さらに好ましくは3000未満、特に好ましくは1500未満である。分子量が上記の範囲より外れると、粘度が高くなり加工性に問題が生じたり、種々の材料との相溶性が悪化することがある。
また、本発明のアクリル重合体は、基本的に連鎖移動剤を使用して製造する必要がないため、連鎖移動剤に由来する臭気等の問題を回避することが可能である。特に、種々の安定性低下の要因となる重合体に含まれるイオウ分、リン分の含有量を少なく設定することが可能であり、例えばイオウ分の含有量は、重合体の質量に対し、硫黄原子換算(硫黄原子として計算することをいい、例えば‐SH基でも、Sとして質量計算することをいう)で0ppm以上、2ppm未満であることが好ましい。リン分の含有量は、重合体の質量に対し、リン原子換算(リン原子として計算することをいい、例えば‐OPO(OH)基でも、Pとして質量計算することをいう)で0ppm以上、2ppm未満であることが好ましい。
また、本発明のアクリル重合体は、金属系の触媒を多量に使用して製造する必要がないため、種々の安定性低下の要因となる金属分の含有量を少なく設定することが可能である。重合体に含まれる金属分の含有量は、重合体の質量に対し、金属原子換算(金属原子として計算することをいう)で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、20ppm未満である。なお、金属原子とは周期律表の第1族から第12族までの原子をいう。
本発明のアクリル重合体は、それらの効果として安定性や耐久性に優れ、特に冷凍機用潤滑油のごとき高い耐久性の要求される用途に好適に用いることができる。
[アクリル重合体組成物]
本発明のアクリル重合体組成物は、本発明のアクリル重合体を含む。本発明のアクリル重合体組成物は、例えば、本発明のアクリル重合体を35質量%以上、100質量%以下含むことが好ましい。
本発明のアクリル重合体組成物は、有機溶剤を含んでいても良い。有機溶剤としては、上記例示したものが挙げられる。本発明のアクリル重合体組成物の有機溶剤の含有量は、例えば、0質量%以上、65質量%以下であることが好ましい。
本発明のアクリル重合体組成物は、イオウ分の含有量を少なく設定することが可能である。本発明のアクリル重合体組成物のイオウ分の含有量は、硫黄原子換算で0ppm以上、2ppm未満であることが好ましい。上記範囲であれば、臭気などを低く抑えることが可能となる。なお、本発明において「イオウ分」とは、硫黄原子を含むイオン、化合物、基等をいう。
本発明のアクリル重合体組成物のリン成分の含有量は、リン原子換算で0ppm以上、2ppm未満であることが好ましい。上記範囲であれば、着色などを低く抑えることが可能となる。なお、本発明において「リン分」とは、リン原子を含むイオン、化合物、基等をいう。
本発明のアクリル重合体組成物は、金属分の含有量を少なく設定することが可能である。本発明のアクリル重合体組成物の金属分の含有量は、金属原子換算で0ppm以上、100ppm未満であることが好ましく、0ppm以上、50ppm未満であることがより好ましい。上記範囲であれば、加熱時の着色などを低く抑えることが可能となる。なお、本発明において「金属分」とは、金属イオン、金属原子を含む化合物、基等をいう。
[冷凍機用潤滑油]
冷凍機用潤滑油とは、冷凍機に使用される潤滑油をさし、冷凍機において冷媒を圧縮するためのコンプレッサー(圧縮機)の潤滑をする潤滑油をさす。冷凍機用潤滑油は冷媒と常に共存した状態で系内を循環し、冷媒を圧縮することで生じる熱(高温)、冷媒が蒸発して奪う熱(低温)にさらされる。また、冷凍機の耐用年数は、通常、10年から20年と非常に長く、密閉されたシステムでオイル交換を前提としない。即ち、冷凍機用潤滑油は上記のような過酷な条件で長期間、品質を維持する必要があり、高度な耐久性と信頼性が要求される。
[冷媒]
冷凍機に用いられる冷媒としては、従来、フロン12が多く用いられてきたが、フロン12はオゾン層を破壊するなど、環境汚染をもたらす恐れがあることから世界的にその規制が厳しくなっている。そのため、新しい冷媒としてフロン134aに代表される水素含有フロン化合物が注目されるようになっている。水素含有フロン化合物は、オゾン層を破壊する恐れが少ない上、従来の冷凍機の構造をほとんど変更することなくフロン12を代替することができる点で好ましい。
以下、実施例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(金属分、イオウ分およびリン分の定量方法)
ICP発光分光分析法により定量した。
(末端ビニル基の定量方法)
H−NMRより、5.6ppm、6.2ppm付近の末端ビニル基由来のピークと4ppm付近のアクリル酸エステルの酸素に近いメチレン鎖に由来するピークの比より、繰り返し単位に対するビニル基のモル比を求め、質量換算することにより求めた。
(耐熱性評価)
試料1gを20mlのガラス製サンプル管に秤取し、循環式熱風乾燥機により、200℃で1時間熱処理した。その後、目視で外観(色目)の変化を観察し、GPC(ゲルパーミネーションクロマトクラフィー)により、分子量を測定し、熱処理前後での分子量変化を測定した。
(実施例1)
容量1000mlの加圧式撹拌槽型反応器に酢酸ブチル144質量部を加えて密閉し、窒素ガスにより加圧、解圧を繰り返して反応器内部を窒素で置換する。電熱ヒーターにより、反応器内温度を240℃にまで昇温した後、酢酸ブチル144質量部と、メチルエチルケトンパーオキサイド(以下MEKPOという。)3.6質量部を均一に混合した開始剤溶液とエチルアクリレート(以下EAという。)72質量部を、それぞれ2時間かけて、高圧定量ポンプを用いて同時に反応器に連続的に投入する。その後、反応器内の温度を240℃に保ったまま、10分間保持した。その時、反応器内の圧力は1.1MPaであった。
その後、冷却し、反応器内の圧力が十分、低下したことを確認した後、解圧して内容物を取出し、無色透明のEA重合体の溶液を得た。
次に、そのようにして得られたEA重合体溶液75質量部と、水素添加反応用の触媒として、パラジウムカーボン(デグサジャパン社製)1.5質量部と、撹拌子を、300mlのナス型フラスコに投入した。ナス型フラスコを3方コックにより、アスピレータと水素ガスを充てんした風船につないだ。ナスフラスコの内部をアスピレータで脱気した後、水素ガス雰囲気とし、撹拌子を回転させながら70℃で反応させた。3時間後、パラジウムカーボンを濾過により除去し、酢酸ブチルや残存EA等の低沸点成分を減圧除去した。
表1に水素添加反応前後のEA重合体の物性をまとめた。水素添加により、EA重合体の耐熱安定性が向上したことが明らかである。また、図1は水素添加前後のEA重合体の
H−NMRスペクトルを示す。H−NMRスペクトルにおいて、5.6ppm付近、6.2ppm付近の末端ビニル基に由来するピークが消失していた。よって、水素添加反応により、末端のビニル基に同定される吸収が消失していることが明らかとなった。
Figure 2016098284

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分をラジカル重合する工程(工程I)と、該工程Iで得られた重合体に水素添加する工程(工程II)と、を有するアクリル重合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られるアクリル重合体であって、
    末端ビニル基の含有量が0質量%以上、1質量%以下である、アクリル重合体。
  3. 数平均分子量が1000未満であり、重量平均分子量が1500未満であり、
    イオウ分の含有量が2ppm未満であり、リン分の含有量が2ppm未満であり、金属分の含有量が100ppm未満であり、
    末端ビニル基の含有量が0質量%以上、1質量%以下である、アクリル重合体。
  4. 請求項2または、請求項3のアクリル重合体を含むことを特徴とする冷凍機用潤滑油。
  5. 冷媒が水素含有フロンを用いたものである請求項4の冷凍機用潤滑油。
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